説明

異物混入防止機構付継手用アダプタ

【課題】外付けのフタを使用せず、塵埃の多い作業現場でも、ゴミや小石などが入らない継手であり、ワンタッチで樹脂製パイプを挿入し、止水性能に悪影響を及ぼさないだけでなく、挿入確認が目視で容易に且つ確実に行え、装着状態が良くない場合にも容易に解除機能を備えている継手に使用される、異物混入防止機構付継手用アダプタを提供する。
【解決手段】ヘッダーに取り付けられる本体部と、前記本体部に接続される固定部材と、前記本体部と前記固定部材との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記固定部材の開口部を開閉する扉部を備えて前記固定部材端部に装着される開閉機構とを備えた、異物混入防止機構付継手用アダプタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水給湯システムにおけるヘッダー(分岐管)、ニップル(分岐管の連結部材)、エルボ(配管曲げ部形成部材)等の配管継手に取り付けされる継手用のアダプタ、特に、異物混入防止機構付継手用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
給水給湯システムにおいては、分岐部に給水用・給湯用のヘッダーやチーズが設けられ、それら部材から一括分岐される。ヘッダーやチーズには、継手が取り付けられて、樹脂製のパイプと接続される。継手の内部には、パイプ抜け止めリング、圧縮リング等が収容されており、パイプが一旦継手に挿入されると、パイプ抜け止めリングによりパイプが固定され、治具等を使用しないかぎり、パイプは抜けないようになっている。
【0003】
ヘッダーやチーズと継手の取り付けや、パイプと継手の接続は主に、ゴミや小石などの多い屋外の作業現場で行なわれており、継手の内部のパイプ抜け止めリングにゴミや小石などが付着しないように、下記特許文献1、2のように継手には必ず防塵用のキャップが取り付けられている。また、継手の使用数は非常に多いため、そのキャップの取り外し作業は、非常に面倒なものとなっている。
【0004】
継手にパイプを挿入した場合に、パイプが正常に挿入されたか否かの確認は、目視や音によって行われる。また、継手の止水はOリングに代表されるような弾性体を用いることが多く、Oリングとパイプの間にゴミ等の異物が混入すると止水性に悪影響を及ぼす。
【特許文献1】特開2004−10689号公報
【特許文献2】特開2008−25660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、保管時、または作業場への移動や作業中等に、上述したパイプが挿入される継手用のアダプタの開口部にゴミ・小石がたまると、止水性能に悪影響を及ぼすだけでなく、パイプの挿入が正確に行うことができなくなる。このため、継手用のアダプタの保管時、作業場の移動に際しては、開口部にプラスチック等のフタを取り付けて、作業時にフタを取り除いていた。取り除いたフタは、廃棄されて作業環境を悪くしていた。また、住宅用の継手の使用数は非常に多いため、その取り外し作業は、非常に面倒なものとなっている。
また、暗いところで作業をする場合に視認が難しく、熟練者によって確認する必要があり、簡単に確実に挿入状況を確認することが難しい
【0006】
従って、この発明の目的は、従来の問題点を解決して、外付けのフタを使用せず、塵埃の多い作業現場でも、ゴミや小石などが入らない継手であり、ワンタッチで樹脂製パイプを挿入し、挿入確認が目視で容易に且つ確実に行え、装着状態が良くない場合にも容易に解除機能を備えている継手に使用される、異物混入防止機構付継手用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、保管時および作業場への移動や作業中は、継手用アダプタの開口部を覆って、ゴミ・小石等の付着を防止し、作業時に開口部を開閉する、扉部を備えた開閉機構を継手アダプタの固定部材に装着すると、固定部材に装着されたままで、作業時にワンタッチで扉部が開閉して固定部材の開口部が現われて、止水性能に悪影響を及ぼさないだけでなく、樹脂製パイプの挿入が容易にできることが判明した。
【0008】
更に、扉部は、複数片の部材で構成し、各片をそれぞれ重なり合うように配置させることで、塵埃の混入を防止することができ、また、扉部は、予めミシン目状の切込みを入れておくと、開閉機構を上下または、回転させると、容易に亀裂が入って、固定部材の開口部が現われることが判明した。この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものである。
【0009】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第1の態様は、ヘッダーに取り付けられる本体部と、前記本体部に接続される固定部材と、前記本体部と前記固定部材との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記固定部材の開口部を開閉する扉部を備えて前記固定部材端部に装着される開閉機構とを備えた、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0010】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第2の態様は、前記開閉機構は、前記固定部材端部の外周部に滑動可能に装着される機構本体と機構本体と一体的に形成された扉部とからなっており、前記機構本体が、前記固定部材の中心軸に沿って前後に移動することによって、前記扉部が開閉する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0011】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第3の態様は、前記機構本体が前記固定部材の端部に対応する筒状物からなり、前記筒状物の内周面に形成された凸部を備えており、前記固定部材の外周面に、対応して形成された少なくとも2つの対応する凹部を備えている、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0012】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第4の態様は、前記凹部は第1凹部および第2凹部からなり、前記固定部材の中心軸に沿って所定間隔をあけて配置されており、前記扉部が閉鎖されているときに、前記凸部が前記第1凹部と嵌合し、前記扉部が開放されているときに、前記凸部が第2凹部と嵌合する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0013】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第5の態様は、前記扉部は、複数片からなる薄型部材からなり、前記機構本体の中心軸に沿う移動によって、開放されて、前記固定部材の前記開口部が露出する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0014】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第6の態様は、前記開閉機構は、前記固定部材端部の外周部に滑動可能に装着される機構本体と機構本体と一体的に形成された扉部とからなっており、前記機構本体が、前記固定部材の外周面に沿って回転移動することによって、前記扉部が開閉する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0015】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第7の態様は、前記機構本体が前記固定部材の端部に対応する筒状物からなり、前記筒状物の内周面に形成された突起部を備えており、前記固定部材の外周面に、対応して斜めに形成された窪み部を備えている、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0016】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第8の態様は、前記斜めに形成された窪み部は、所定間隔をあけて形成された第1窪み部および第2窪み部とそれらを連絡する連絡部からなっており、前記扉部が閉鎖されているときに、前記突起部が前記第1窪み部と嵌合し、前記扉部が開放されているときに、前記突起部が第2窪み部と嵌合する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0017】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第9の態様は、前記扉部は、複数片からなる薄型部材からなり、前記機構本体の回転移動によって、開放されて、前記固定部材の前記開口部が露出する、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0018】
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの第10の態様は、前記機構本体の内周部に前記扉部の薄型部材を収容する収容部を備えている、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【発明の効果】
【0019】
この発明の継手用アダプタによると、保管時および作業場への移動や作業中間は、継手用アダプタの開口部を覆って、ゴミ・小石等の付着を防止し、作業時に開口部を開閉する扉部を備えた開閉機構を継手アダプタの固定部材に装着するので、固定部材に装着されたままで、作業時にワンタッチで扉部が開閉して固定部材の開口部が現われて、止水性能に悪影響を及ばさないだけでなく、樹脂製パイプの挿入が容易にできる。
【0020】
更に、扉部は、複数片の部材で構成し、各片をそれぞれ重なり合うように配置させることで、塵埃の混入を防止することができ、また、扉部は、予めミシン目状の切込みを入れておき、開閉機構を上下または、回転させると、容易に亀裂が入って、固定部材の開口部が現われるようにすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の異物混入防止機構付継手用アダプタの1つの態様は、ヘッダーに取り付けられる本体部と、前記本体部に接続される固定部材と、前記本体部と前記固定部材との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記固定部材の開口部を開閉する扉部を備えて前記固定部材端部に装着される開閉機構とを備えた、異物混入防止機構付継手用アダプタである。
【0022】
図1は、継手用アダプタの1つの態様を説明する図である。図1(a)に本体部および固定部材を分解して示している。図1(b)に、本体部および固定部材を組み合わせた継手用アダプタを斜め下から見た状態を示す。図1(c)は、抜け止め部材を示す。図1(d)に固定リングを示す。図1に示すように、継手用アダプタ1は、平らな端面部11を有する本体部2と、本体部2に接続される固定部材3と、本体部2と固定部材3との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部14を有する抜け止め部材13と、抜け止め部材13を固定する固定リング12とを備えている。
【0023】
図1(a)に示すように、固定部材3は、樹脂製パイプが挿入される側の端部15と、後述する本体部の接続部に対応する接続部16を備え、内部に固定リングを収容する固定リング収容部を備えている。樹脂製パイプが挿入される側の端部15には樹脂製パイプの断面外形と概ね同じ大きさの開口部40が備えられている。固定部材3の接続部16は内表面に沿って形成されたネジ溝からなっている。
【0024】
図1(d)に示すように、抜け止め部材13は、挿入された樹脂パイプが逆方向への進行を阻止する歯部14を有している。好ましくは、抜け止め部材13は、挿入された樹脂製パイプが後戻りしないように、金属製の歯部14を備えている。抜け止め部材13は、薄板を加工して形成され、本体部の抜け止め部材収容部に収容され、固定されるように垂直面17と、パイプの進行方向に先細り状に突き出した中空の概ね円錐台形状の歯部14とを備えている。
【0025】
更に、図1(a)に示すように、本体部2は、挿入されたパイプの先端面と同一面になる平らな端面部11と、固定部材側の端部に固定部材との接続部19をそれぞれ備え、内部に上述した抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部18を有している。接続部19は上述した固定部材の接続部16の内表面に沿って形成されたネジ溝と対応するネジ山を備えている。抜け止め部材収容部18は、樹脂パイプが逆方向への進行を阻止する機能を備えて抜け止め部材13の歯部14が収容されるように、固定部材3側に向かって末広がりに広がっている。本体部2の平らな端面部11には、概ね樹脂製パイプの断面形状と概ね同じ大きさの開口部20が備えられている。
【0026】
なお、接続部はネジ山、ネジ溝に限定されることはなく、密接に接続することが可能な部材を適宜使用することができる。
例えば、固定部材の本体側には、全周に渡って突起が出ており、本体部の固定部材側は突起に引っかかるようなテーパ形状とし、密接に接続することも可能である。
更に、固定リング12は必ずしも必要でなく、抜け止め部材13のみを使用してもよい。固定リングに代わって、抜け止め部材を保護するためにリング状の部材を使用してもよい。
【0027】
図1(b)に示すように、上述した固定部材3、固定リング12、抜け止め部材13、および、本体部2は、固定リング12、抜け止め部材13を内部に収納して組み立てられる。抜け止め部材13が無い状態では、樹脂製パイプは組み立てられた固定部材3、本体部2の開口部を所望の抵抗を伴って前進後退できる。長軸方向に沿った断面においては、固定リング収容部および抜け止め部材収容部は、境界線からそれぞれ先細り状の概ね台形状部分からなっている。
【0028】
図1(a)に示すように、固定部材3の外周面には、後述する、固定部材の開口部を開閉する扉部を備えて、固定部材端部に装着される開閉機構の凸部に対応する、第1凹部9、第2凹部10を備えた1対の凹部8が形成されている。第1凹部9、第2凹部10は、固定部材の軸線方向に概ね平行に設けられている。図1(a)では、一方の凹部が示されているが、固定部材3の外周面の反対側に対応するもう1つの凹部が形成されている。反対側の凹部8も第1凹部9、第2凹部10を備えている。
【0029】
図2は、固定部材の開口部を開閉する扉部を備えた開閉機構を説明する図である。開閉機構4は、固定部材部3の外周部に滑動可能に装着される機構本体5と機構本体5と一体的に形成された扉部6とからなっている。機構本体5が、固定部材の中心軸に沿って前後(図では、上下)方向に移動することによって、扉部6が開閉する。機構本体5が固定部材の端部に対応する形状の筒状物からなっている。機構本体5は、筒状物の内周面に形成された1対の凸部7を備えており、固定部材の外周面には、図1(a)を参照して説明したように、対応して形成された1対の対応する凹部を備えている。
【0030】
図3は、固定部材の端部に開閉機構が装着された状態を説明する断面図である。図3に示すように、固定部材の外周面に1対の凹部8が形成されている。凹部8は、図において、上から第1凹部9、第2凹部10からなっている。固定部材3の端部に固定部材の開口部10を覆うように開閉機構4が装着されている。開閉機構4の扉部6が固定部材の開口部40を閉塞して、筒状物の機構本体5の内周面に形成された凸部7が、固定部材の外周面に形成された第1の凹部に嵌合している。
【0031】
図4は、開閉機構の凸部と固定部材の外周面に形成された凹部の嵌合状態を説明する部分拡大図である。図4に実線で示すように、開閉機構の凸部が固定部材の第1凹部と嵌合して、固定部材の開口部が外側から覆われて閉塞された状態で、保管または作業場へ移動される。作業開始時には、開閉機構の凸部が固定部材の第1凹部と嵌合した状態から、開閉機構の機構本体5を、図において下方向に力を加えて移動させて、点線で示すように、開閉機構の凸部が固定部材の第2凹部10に嵌合する。
【0032】
このように、筒状物の機構本体5が、固定部材の軸線方向に沿って、図において、下方に移動すると、樹脂パイプが挿入される側の固定部材の端部15の開口部10が現われる。また、図2に示すように、予め亀裂が入りやすく切り込みが入った扉部6が切り込みに沿って、中央部から切り離されて、樹脂パイプが挿入される側の固定部材の端部15の開口部10が現われるようにすることもできる。
【0033】
上述したように、作業直前において、樹脂製パイプが挿入される側の固定部材の端部の開口部の覆いがワンタッチで開口されるので、固定部材の内部にゴミ・小石等が付着せず、樹脂製パイプが所望の精度で装着される。
【0034】
図5は、継手用アダプタの他の1つの態様を説明する図である。図1(a)に本体部および固定部材を分解して示している。図1(b)に、本体部および固定部材を組み合わせた継手用アダプタを斜め下から見た状態を示す。抜け止め部材および固定リングは、図1(c)、(d)を参照して説明したものと同一である。図5に示すように、継手用アダプタ1は、平らな端面部11を有する本体部2と、本体部2に接続される固定部材3と、本体部2と固定部材3との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備えている。
【0035】
図5(a)に示すように、固定部材3は、樹脂製パイプが挿入される側の端部15と、後述する本体部の接続部に対応する接続部16を備え、内部に固定リングを収容する固定リング収容部を備えている。樹脂製パイプが挿入される側の端部15には樹脂製パイプの断面外形と概ね同じ大きさの開口部410が備えられている。固定部材3の接続部16は内表面に沿って形成されたネジ溝からなっている。
【0036】
図6は、固定部材の開口部を開閉する扉部を備えた開閉機構を説明する図である。開閉機構4は、固定部材部3の外周部に滑動可能に装着される機構本体5と機構本体5と一体的に形成された扉部6とからなっている。機構本体5が、固定部材3の外周面に沿って回転移動することによって、扉部が開閉する。機構本体5が固定部材3の端部に対応する筒状物からなり、筒状物の内周面に形成された突起部25を備えている。固定部材3の外周面には、対応して斜めに形成された窪み部21を備えている。
【0037】
図5に示すように、斜めに形成された窪み部21は、所定間隔をあけて形成された第1窪み部23および第2窪み部24とそれらを連絡する連絡部22からなっている。扉部が閉鎖されているときに、機構本体5の内周面に形成された突起部25が固定部材3の外周面に形成された第1窪み部23と嵌合し、機構本体5が固定部材3の外周面に沿って回転移動すると、突起部25が第2窪み部24と嵌合して、扉部が開放される。
【0038】
図7は、開閉機構が固定部材の端部に装着された状態から回転移動した状態を説明する図である。実線で示す部分が、開閉機構が固定部材の端部に装着された状態、即ち、開閉機構4の扉部6が固定部材の開口部を覆うように閉塞し、筒状物の機構本体5の内周面に形成された突起部25が、固定部材3の外周面に形成された第1窪み部23と嵌合している状態を示す。点線で示す部分が、筒状物の機構本体5が回転移動して、内周面に形成された突起部25が、固定部材3の外周面に形成された連絡部22に沿って進み、第2窪み部24と嵌合している状態を示す。
【0039】
このように、筒状物の機構本体5の内周面が、固定部材の外周面と接しながら回転移動すると、樹脂パイプが挿入される側の固定部材の端部15の開口部40が現われる。また、図6に示すように、予め亀裂が入りやすく切り込みが入った扉部6が切り込みに沿って、中央部から切り離されて、樹脂パイプが挿入される側の固定部材の端部15の開口部40が現われるようにすることもできる。
【0040】
開閉機構の扉部は、複数片からなる薄型部材からなり、薄くて、固定部材の軸線に沿った移動、回転移動によって、樹脂パイプが挿入される側の固定部材の端部の開口部が現われたり、また、容易に切り離される材料であれば、樹脂、紙等適宜選択することができる。開閉機構の機構本体は、低コストで製作可能、且つ、適度な硬さの材料、例えば、樹脂、紙類等を使用することができる。
【0041】
ここで、複数片からなる薄型部材を、ドーム型のような形状とすることによって、開閉機構移動時の摩擦が低減し、薄型部材の開口が容易になる。また、複数片からなる薄型部材を平面型のような形状とすることによって、扉部が出張ることがなくなり、保管時等において梱包材等により薄型部材がめくりあがり、ゴミや塵などの混入を防止できる。
なお、機構本体の内周部に扉部の薄型部材を収容する収容部を備えていてもよい。
【0042】
図8は、開閉機構によって固定部材の開口部が露出した継手用アダプタに嵌合されるインコアを説明する図である。インコア41は、(図示しない)分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部42と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部43とを備え、頭部42および脚部43はそれぞれ中央に貫通孔を有し、頭部42の外径が樹脂製パイプの外径よりも大きく、脚部43の外径が樹脂製パイプの内径と概ね同一で、頭部と脚部が一体的に形成されたインコアである。
【0043】
更に、頭部42に少なくとも1つのOリング44を有して、上述したヘッダとの間の止水機能を備え、脚部43に少なくとも1つの別のOリング45を有して、樹脂製パイプとの間の止水機能を備えている。
【0044】
図9は、継手用アダプタ1に樹脂製パイプ30が挿入され、本体部2の平らな端面部11と樹脂製パイプ30の先端部が概ね同一面になるように固定された状況を説明する図である。この状態は、組み立てられた継手用アダプタ1に樹脂製パイプ30が挿入され、樹脂製パイプ30の先端面が本体部の平らな端面部が概ね同一面に位置している。
【0045】
即ち、図1を参照して説明したように固定部材3、本体部2の間に固定リング12、抜け止め部材13が配置された状態で組み立てられた継手用アダプタ1を、本体部2の平らな端面部11が下になり固定部材3が上になるように平らな板の上に垂直に載置し、固定部材3側から樹脂製パイプ30を垂直方向に、先端面が平らな板に接するまで挿入すると、樹脂製パイプ30の先端面と平らな端面部11が概ね同一平面になる状態で、樹脂製パイプ30が継手アダプタ1に、ワンタッチで容易に位置決めされ固定される。このように樹脂製パイプが所望の位置に固定されていることを目で容易に確認できる。
【0046】
なお、樹脂製パイプ30は、上述したように抜け止め部材によって逆戻りができないように固定されているので、樹脂製パイプ30が固定部材3側にずれて移動することは無い。なお、固定リング、抜け止め部材、固定リング収容部、および、抜け止め部材収容部の形状によって、固定された樹脂製パイプが長軸方向に微小移動するように若干の遊びを有していても良い。
【0047】
上述したように、この発明によると、外付けのフタを使用せず、塵埃の多い作業現場でも、ゴミや小石などが入らない継手であり、ワンタッチで樹脂製パイプを挿入し、止水性能に悪影響を及ぼさないだけでなく、挿入確認が目視で容易に且つ確実に行え、装着状態が良くない場合にも容易に解除機能を備えている継手に使用される、異物混入防止機構付継手用アダプタを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、継手用アダプタの1つの態様を説明する図である。図1(a)に本体部および固定部材を分解して示している。図1(b)に、本体部および固定部材を組み合わせた継手用アダプタを斜め下から見た状態を示す。図1(c)は、抜け止め部材を示す。図1(d)に固定リングを示す。
【図2】図2は、固定部材の開口部を開閉する扉部を備えた開閉機構を説明する図である。
【図3】図3は、固定部材の端部に開閉機構が装着された状態を説明する断面図である。
【図4】図4は、開閉機構の凸部と固定部材の外周面に形成された凹部の嵌合状態を説明する部分拡大図である。
【図5】図5は、継手用アダプタの他の1つの態様を説明する図である。図1(a)に本体部および固定部材を分解して示している。図1(b)に、本体部および固定部材を組み合わせた継手用アダプタを斜め下から見た状態を示す。
【図6】図6は、固定部材の開口部を開閉する扉部を備えた開閉機構を説明する図である。
【図7】図7は、開閉機構が固定部材の端部に装着された状態から回転移動した状態を説明する図である。
【図8】図8は、開閉機構によって固定部材の開口部が露出した継手用アダプタに嵌合されるインコアを説明する図である。
【図9】図9は、継手用アダプタに樹脂製パイプが挿入され、本体部の平らな端面部と樹脂製パイプの先端部が概ね同一面になるように固定された状況を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1 継手用アダプタ
2 本体部
3 固定部材
4 開閉機構
5 機構本体
6 扉部
7 凸部
8 凹部
9 第1凹部
10 第2凹部
11 平らな端部
12 固定リング
13 抜け止め部材
14 歯部
15 端部
16 接続部
17 垂直面
18 抜け止め部材収容部
19 接続部
20、40 開口部
21 窪み部
22 連絡部
23 第1窪み部
24 第2窪み部
25 突起部
30 樹脂製パイプ
41 インコア
42 頭部
43 脚部
44、45 Oリング44


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管継手に取り付けられる本体部と、前記本体部に接続される固定部材と、前記本体部と前記固定部材との間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記固定部材の開口部を開閉する扉部を備えて前記固定部材端部に装着される開閉機構とを備えた、異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記固定部材端部の外周部に滑動可能に装着される機構本体と機構本体と一体的に形成された扉部とからなっており、前記機構本体が、前記固定部材の中心軸に沿って前後に移動することによって、前記扉部が開閉する、請求項1に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項3】
前記機構本体が前記固定部材の端部に対応する筒状物からなり、前記筒状物の内周面に形成された凸部を備えており、前記固定部材の外周面に、対応して形成された少なくとも2つの対応する凹部を備えている、請求項2に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項4】
前記凹部は第1凹部および第2凹部からなり、前記固定部材の中心軸に沿って所定間隔をあけて配置されており、前記扉部が閉鎖されているときに、前記凸部が前記第1凹部と嵌合し、前記扉部が開放されているときに、前記凸部が第2凹部と嵌合する、請求項3に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項5】
前記扉部は、複数片からなる薄型部材からなり、前記機構本体の中心軸に沿う移動によって、開放されて、前記固定部材の前記開口部が露出する、請求項2から4の何れか1項に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項6】
前記開閉機構は、前記固定部材端部の外周部に滑動可能に装着される機構本体と機構本体と一体的に形成された扉部とからなっており、前記機構本体が、前記固定部材の外周面に沿って回転移動することによって、前記扉部が開閉する、請求項1に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項7】
前記機構本体が前記固定部材の端部に対応する筒状物からなり、前記筒状物の内周面に形成された突起部を備えており、前記固定部材の外周面に、対応して斜めに形成された窪み部を備えている、請求項6に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項8】
前記斜めに形成された窪み部は、所定間隔をあけて形成された第1窪み部および第2窪み部とそれらを連絡する連絡部からなっており、前記扉部が閉鎖されているときに、前記突起部が前記第1窪み部と嵌合し、前記扉部が開放されているときに、前記突起部が第2窪み部と嵌合する、請求項7に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項9】
前記扉部は、複数片からなる薄型部材からなり、前記機構本体の回転移動によって、開放されて、前記固定部材の前記開口部が露出する、請求項8に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項10】
前記機構本体の内周部に前記扉部の薄型部材を収容する収容部を備えている、請求項6から9の何れか1項に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。
【請求項11】
配管継手に取り付けられる前記本体部は平らな端面部となっている、請求項1から10の何れか1項に記載の異物混入防止機構付継手用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−236169(P2009−236169A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80759(P2008−80759)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】