説明

畳及び畳表への加工方法

【課題】従来の畳は、和室の床材として使用するという認識があったが、近年は床材としてだけではなく、生活空間や使用目的に合わせた要望に合わせたものが求められてきている。そのため凹凸のある畳表の表面形状を損なわずに、緻密で正確に写真画像等を形成すると共に、文字のはね等の筆跡の繊細な形状をも施し、また、表面を焦がしすぎることなく畳表の表面形状と感触を保持しながら、自然素材であるい草の香りも損なわずに施すようにする。
【解決手段】レーザー光線の強さを6割に抑え、さらに光軸の速度を4割に抑えることで畳表の表面に文字や写真画像を緻密で繊細、性格に彫刻を施すことができると共に、彫り残された表面の炭化により、凹凸のある畳表の表面形状を損なうことなく、感触も保持したまま施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にレーザー光線により写真画像や文字等を彫刻して形成することを特徴とし、独自性のある工芸品、記念品としての付加価値を高めたものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1の指輪への写真画像形成方法や、特許文献2で見られるお守りの製造方法でもレーザーによる彫刻方法がとられているが、素材となる基材の表面そのものに凹凸はみられない。畳の表面は自然素材であるい草の凹凸があるため、畳表の表面に彫刻したものはなかった。たとえば焼印を施した場合、表面を急速に高温で焦がすため、畳表の凹凸を必要以上に押しつぶし、表面形状を損うだけでなく焦がした匂いが残り、い草の香りまでも損なうという欠点があった。また、微細な文字や写真画像等を正確に施すことも困難であった。
【0003】
畳は、和室の床材としての認識がほとんどであるが、近年は、和室のない空間が急増しているため、床材としてだけでなくもっと身近に手軽に畳を楽しみたい、日本文化の発信ツールとして等の独自性の高い要望が増え、サイズにとらわれない、文字や画像処理等を施した畳の必要性が高まっている。
【特許文献1】 特開2005−261675号公報
【特許文献2】 特開2005−230470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば焼印で畳表に文字などを施した場合、畳表の凹凸を必要以上に押しつぶし、表面形状を損ない、また、高温で焦がすため匂いが残り、い草の香りをも損なうものである。この発明は、パソコンに入力された文字や写真画像をレーザー彫刻機のレーザー光線で彫刻することで、畳表に緻密明瞭に彫り残すことが可能になり、い草の凹凸がある表面形状を保ちつつ、微細ながら正確で、焦がしすぎることなく彫刻面を適度に炭化させ、文字や写真画像形成を有する独自性のある畳及び畳表を提供するものである。
【0005】
また、畳及び畳表に微細な彫刻ができるようになることから、手書き文字のはね等の細長い筆跡、あるいは写真画像と手書き文字、イラストや模様等も正確に彫り残すことが出来るようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、パソコンに文字や写真画像等のデータを入力し、読み込み、データ化し、さらにレーザー彫刻をするための加工データに変換し、畳をレーザー彫刻装置にセッティングし、畳表面にレーザー彫刻装置内で、レーザー光線の移動を伴い、単光軸で畳に微細な加工により彫刻して、文字や写真画像を畳表に形成させることができる。
【0007】
請求項2の発明は、パソコンに文字や写真画像等のデータを入力し、読み込み、データ化し、さらにレーザー彫刻をするための加工データに変換し、畳をレーザー彫刻装置にセッティングし、畳表面にレーザー彫刻装置内で、レーザー光線の移動を伴い、単光軸で畳表に微細な加工により彫刻して、文字や写真画像を畳表に形成することができる。
【0008】
本発明は、レーザー光線の強さを6割に抑え、速度を4割程度に設定することで天然素材のい草で凹凸のある畳表面にも、細部にわたり彫刻ができる他、新たな発想で写真画像や文字等を施すことができ、より独自性と付加価値を高めることが可能となる。
【0009】
この発明は、畳表に微細な彫刻ができるため、手書き文字のはね等の細長い筆跡、あるいは写真画像と手書き文字、イラストや模様等も正確に彫り残すことが出来るようにするものである。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明の畳表面は、レーザー光線により、凹凸のある自然素材であるい草の表面形状を保ちつつ、微細ながら正確に文字や写真画像形成を有する、独自性のある畳表面を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明による畳の表面への写真画像及び文字等形成方法について説明する。
図1においては、Aは本発明にかかる表面に加工された畳の正面斜視図である。
【0012】
Aは畳である。畳をレーザーマーキング装置にセッティングし、パソコンに取り込まれた文字や写真画像等をデータ化したものを、レーザー光線の強さを6割に抑え、速度を4割程度に設定し彫刻を施すものである。Aの寸法は、縦20cm×横20cm 厚さ1cmであるが、本体の寸法はこれに限定するものではなく、畳や畳表の形態、あるいは使用目的等に応じて適宜設定されるものである。
【0013】
1は畳の縁であるが、この縁は用途や使用目的に応じて取付け巾の寸法が設定されるものであり、また設定によって付けないこともできるものである。
【0014】
2はパソコンに取り込みデータ化したうえで畳表にレーザーにより文字を施した例である。この字体はパソコンで入力された形式の書体だけでなく手描きの書体も加工することができることから、文字数や大きさは使用目的や要望に応じて適宜設定されるものである。
【0015】
3は写真画像等をパソコンに取り込みデータ化したうえで畳表にレーザーにより施した例である。この画像は、自然素材であるい草で織られている畳表の凹凸を損なわずに、レーザーで施すことが出来る事から、表面寸法は使用目的や要望に応じて適宜設定されるものである。
【0016】
4はパソコンに取り込みデータ化したうえで、レーザーで緻密で正確に形成されたロゴマークである。ロゴマーク施す表面範囲やロゴマークの大きさは要望や使用目的において適宜設定されるものである。
【0017】
本実施例では表していないが、本発明は畳表を使って畳として仕上げた状態で畳表面に加工する事も出来るし、畳表の状態でレーザー加工を施す事も出来るものである。
【0018】
また、本実施例では文字と写真画像等を組み合わせているが、要望や使用目的に応じて、文字だけの単体や写真画像等のみの加工も適宜設定されるものである。
【0019】
レーザーを用いて行う繊細な光軸による緻密で正確な形成方法は、自然素材である畳表面の凹凸形状を保持することができ、手にとって触れた時の感触も風合いを損なわず、い草の感触として違和感のない仕上がりに加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の実施形態を表す畳表面図
【符号の説明】
【0021】
A 畳本体
1 畳の縁
2 畳の表面文字
3 畳の表面画像
4 畳の表面ロゴマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された写真や文字等を画像処理装置に入力し、読み込み、データ化し、さらにレーザー彫刻をするための加工データに変換し、畳をレーザー彫刻装置にセッティングし、レーザーによる微細な加工により彫刻して写真画像や文字等を畳表に形成されることを特徴とする畳。
【請求項2】
撮影された写真や文字等を画像処理装置に入力し、読み込み、データ化し、さらにレーザー彫刻をするための加工データに変換し、畳をレーザー彫刻装置にセッティングし、レーザーによる微細な加工により彫刻して写真画像や文字等を畳表に形成することを特徴とする畳表への加工方法。

【図1】
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