説明

畳床材セット、これを用いた畳床材、畳フロア、及びその施工方法

【課題】畳表の浮き上がりがなく、畳フロアの美観を確保することができ、つまずいて転倒するおそれもない畳床材セット10を提供する。
【解決手段】畳床材セット10は、表面に畳表21が配置された矩形状の畳パネル20と、畳パネル20の少なくとも一部の周縁に嵌合するように枠部32を形成することにより、表面に畳パネル20を収容する収容凹部31が形成された木質系床基材30とを少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳表を含む畳床材セットと、これを用いた畳床材、これらを敷設した畳フロア及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、畳は、芯材となる板状の畳床の表面を、いぐさを編み込んだ畳表で覆い、その畳床の周縁を帯状の畳縁で縫合することにより製作されている。畳を用いたフロアは、足に負担が少ない、足裏の体温を奪われ難い、転んでも怪我をし難いなど、優れた特性を有している。このような特性は、高齢者の使用にふさわしく、団塊世代が65歳を迎え高齢化社会が進むに従って、木質系フロアから畳フロアに移行する(リフォームする)要望が増えるものと考えられる。
【0003】
しかしながら、畳は、他の木質系のフロアと比べて厚みが厚く、既存のフロアに畳を敷設する場合には熟練者による採寸も必要であった。特に、狭い廊下や、入隅及び出隅が多い部屋、吐き出し窓のあるリビング等に、所望の形状の畳を敷くことは容易ではなかった。
【0004】
そこで、このような点を鑑みて、例えば、四角形状の周縁に、複数の突片と、該突片の間の湾入部とが形成された発泡樹脂プレートの表面に畳表を覆った連結用マット(畳パネル)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−301590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の連結用マット(畳パネル)を用いて畳フロアを施工する場合、連結用マットの突片と湾入部とを嵌合させ、発泡樹脂プレートの裏面を床下地面に接着する。しかしながら、リフォームを行う際に、施工面となる床下地面(フローリング)に段差があった場合、畳フロアの各発泡樹脂プレートを床下地面に接着したとしても、発泡樹脂プレートが充分に床下地面に倣わず、畳パネルがわずかに浮き上がることがある。この結果、畳フロアの継ぎ目部分(突片と湾入部との嵌合部分)に段差が生じ、畳フロアの美観が損なわれ、つまずいて転倒するおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、畳表の浮き上がりがなく、畳フロアの美観を確保することができ、つまずいて転倒するおそれもない畳床材セット、これを用いた畳床材、畳フロア、及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明に係る畳床材セットは、表面に畳表が配置された矩形状の畳パネルと、前記畳パネルの少なくとも周縁の一部に嵌合するように枠部を形成することにより、表面に前記畳パネルを収容する収容凹部が形成された木質系床基材と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、まず、前記木質系床基材を床下地面に敷設し、畳パネルの裏面と接触する木質系床基材の収容凹部の底面が変形しないように(木質系床基材の中央部分が浮き上がらないように)、該木質系床基材を床下地面に固定することができる。これにより、木質系床基材の収容凹部の平坦な底面に畳パネルの裏面を当接させ、畳パネルを収容凹部に収容することができる。このような手順で畳床材セットを用いて畳フロアを施工することにより、畳表の浮き上がりがなく、美観が確保された畳フロアに施工することができる。また、施工時に畳パネルを収容するので、工具の接触により畳表が傷付くことを回避することができる。
【0010】
なお、本発明に係る「畳床材セット」とは、畳パネルと木質系床基材とが分離可能な状態にある畳床材のセットをいい、「畳フロア」とは、床下地面に畳床材セットが敷設されたフロアのことをいう。また、「畳床材」とは、木質系床基材の収容凹部に、畳パネルを収容した状態の施工前の床材のことをいう。
【0011】
また、前記畳パネルの表面に畳表が配置され、畳パネルがクッション性を有するのであれば、例えば、畳パネルには、樹脂材、織布、不織布などの繊維材を含んでもよいが、より好ましくは、畳パネルは、前記畳表と発泡樹脂材とが積層された積層体である。
【0012】
本発明によれば、この畳パネルを用いて施工することにより、発泡樹脂材が、クッション性ばかりでなく断熱性をも有するので、足に負担が少ないばかりでなく、足裏の体温を奪い難い畳フロアを得ることができる。また、このような畳パネルを製造する際には、畳表の裏面側に発泡樹脂材の発泡樹脂を一体成形することができるので、畳表と発泡樹脂材は一体化され、これらの密着性を確保することができる。
【0013】
さらに、畳パネルには、前記畳表と発泡樹脂材との間に、防虫シートが挿入されていることが好ましい。本発明によれば、防虫シートを挿入することにより、害虫等の発生を抑制することができる。また、防虫シートに布材、複数の孔が空いた紙材等の樹脂が浸透可能な空隙を有するシート材を用いれば、畳パネルを製造する際に、防虫シート及び畳表の裏面側に発泡樹脂材の発泡樹脂を透過することで一度に積層させることができる。
【0014】
また、好ましい態様としては、前記枠部は、前記畳パネルの対向する周縁に嵌合するように、一方向に沿って並んで形成された一対の突出部からなる。本発明によれば、複数の木質系床基材の収容凹部が連続するように、木質系床基材を連結して床下地面に敷設し、木質系床基材を床下地面に固定することができる。これにより、隣接する木質系床基材同士の収容凹部の連結部分を覆うように、前記木質系床基材同士の連続した収容凹部に一枚の畳パネルを収容することができる。この結果、畳パネルの継ぎ目と、木質系床基材の継ぎ目をずらすことができ、木質系床基材が浮き上がったとしても、畳パネルの浮き上がりを目立たなくすることができる。
【0015】
また、より好ましい態様としては、前記木質系床基材は長尺状であり、前記突出部は、前記木質系床基材の長手方向に沿って形成されている。本発明によれば、長手方向に木質系床基材同士を連結するように、木質系床基材を床下地面に敷設した際に、長手方向に沿って木質系床基材同士の枠部及び収容凹部のそれぞれが連続して形成される。これにより、隣接する木質系床基材同士の短手方向に沿った連結部分を覆うように、木質系床基材の双方の収容凹部に畳パネルを収容することができる。特に、短手方向に沿って突出部を形成した場合に比べて、長手方向に沿って突出部を形成した場合には、畳パネル同士の継ぎ目の長さが短くすることができる。これにより、畳パネルの意匠性を高めると共に、継ぎ目部分(見切り部分)のほつれ等が発生し難くなる。
【0016】
また、別の態様としては、前記木質系床基材の前記枠部は、前記畳パネルの全周縁に嵌合するように形成された突出部からなることが好ましい。本発明によれば、前記木質系床基材の収容凹部に、前記畳パネルを収容して一体化された畳床材として取り扱うことができる。
【0017】
さらに、本発明として、上述した畳床材セットを用いた畳フロアの施工方法も開示する。すなわち、本発明に係る畳床材セットを用いた畳フロアの施工方法は、前記木質系床基材を床下地面に敷設し、該木質系床基材を床下地面に固定する工程と、該固定した木質系床基材の収容凹部に、前記畳パネルを収容する工程と、を含む。
【0018】
本発明によれば、木質系床基材を床下地面に敷設して固定するので、畳パネルの裏面と接触する木質系床基材の収容凹部の底面が変形しないように、該木質系床基材を床下地面に固定することができる。これにより、畳パネルの浮き上がりが無く、畳パネルを収容凹部に収容した畳フロアに施工することができる。また、木質系床基材の敷設・固定と、畳パネルの収容とを分けて行うので、作業時における畳パネルの畳表の養生を軽減することができる。
【0019】
また、上述した長尺状の木質系床基材を用いて畳フロアを施工する際には、複数の木質系床基材の前記収容凹部が連続するように、前記木質系床基材を連結して床下地面に敷設し、該木質系床基材を床下地面に固定する工程と、隣接する前記木質系床基材同士の連結部分を覆うように、前記木質系床基材同士の連続した収容凹部に前記畳パネルを収容する工程と、を含むことがより好ましい。
【0020】
本発明によれば、木質系床基材の短手方向に沿った連結部分(継ぎ目)に段差があったとしても、この連結部分を覆うように畳パネルを配置することができる。これにより、木質系床基材の継ぎ目と畳パネルとの継ぎ目とをずらして、木質系床基材の継ぎ目の段差を目立たなくすることができる。また、畳パネルは、木質系基材の継ぎ目の段差をまたぐことで、畳パネルはなだらかに傾斜するので、畳パネルの継ぎ目では段差が生じない。
【0021】
さらに、前記木質系床基材を床下地面に固定する方法としては、例えば、木質系床基材と床下地面とを接着剤を介して固定したり、釘などの固定部材を用いて実部から木質系床基材を固定したりする方法もあるが、より好ましくは、前記収容凹部から固定部材を前記木質系床基材に貫通させて、前記固定部材で前記木質系床基材を床下地面に固定する。本発明によれば、例えば刳り抜き加工により成形される、反りが発生しやすい収容凹部の底部を、固定部材を用いて固定するので、木質系床基材の収容凹部の底面を平坦な面に保ちつつ、該木質系床基材を床下地面に固定することができる。また、実部を固定する場合には、通常、床下地面に対して斜め方向から固定部材で木質系床基材を固定しなければならない(たとえば、釘打ちを行わなければならない)ところ、収容凹部を固定する場合には、床下地面に対して垂直方向から固定部材で木質系床基材を固定することができる。このようにして、畳パネルの浮き上がりを防止することができる。
【0022】
また、上述した木質系床基材の収容凹部に、前記畳パネルを収容して畳床材とし、これを床下地面に敷設してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、畳パネルの浮き上がりがほとんどなく、畳フロアの美観を確保することができ、つまずいて転倒するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態に係る畳床材セットの模式的斜視図。
【図2】図1に示す畳床材セットの施工方法を説明するための模式的断面図であり(a)は、1つの木質系床基材の固定状態を示した図であり、(b)は、複数の木質系床基材を実部を介して連結して固定した状態を示した図であり、(c)は、木質系床基材の収容凹部に、畳パネルを収容する状態を示した図であり、(d)は、本実施形態に係る畳フロアを説明するための図。
【図3】図2(d)に示す畳フロアの上面図。
【図4】本発明の第二実施形態にかかる畳床材セットを説明するための模式的斜視図であり、(a)は、畳床材セットの模式的斜視図であり、(b)は、その畳床材の模式的斜視図。
【図5】第一及び第二実施形態に係る畳パネルの変形例を示した模式的断面図であり、(a)は、畳パネルの畳表の構造を改良した変形例を示した断面図であり、(b)は、(a)の畳パネルにさらに防虫シートを挿入した断面図であり、(c)は、(b)の畳パネルの製造方法を説明するための図。
【図6】第一及び第二実施形態に係る畳フロアの施工方法の変形例を示した模式的断面図であり、(a)は、木質系床基材に畳パネルを収容する前の断面図であり、(b)は、木質系床基材に畳パネルを収容した後の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面に基づき、本発明に係る畳床材セット及び畳フロアのいくつかの実施形態を説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る畳床材セットの模式的斜視図であり、図2は図1に示す畳床材セットの施工方法を説明するための模式的断面図であり(a)は、1つの木質系床基材の固定状態を示した図であり、(b)は、複数の木質系床基材を実部を介して連結して固定した状態を示した図であり、(c)は、木質系床基材の収容凹部に、畳パネルを収容する状態を示した図であり、(d)は、本実施形態に係る畳フロアを説明するための図であり、図3は、図2(d)に示す畳フロアの上面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態にかかる畳床材セット10は、畳パネル20と、木質系床基材30とを少なくとも含んでいる。畳パネル20は、長尺かつ矩形状であり、表面から順に畳表21と発泡樹脂材22とが積層された積層体となっている。畳表21は、いぐさを編み込んだシート状の部材であり、発泡樹脂材22と接合されている。
【0027】
このような畳パネル20は、例えば、畳表21と発泡樹脂材22とを準備し、これらを接着剤で接着することにより製造してもよく、後述するように、畳表21を成形型内に配置し、鋳型内に発泡樹脂を導入して、畳表21を発泡樹脂材22の成形時に一体化してもよい。この場合、畳表21の裏面側から発泡樹脂材の一部の発泡樹脂が接着して固まるので、畳表21と発泡樹脂材22との密着性を確保することができる。
【0028】
木質系床基材30は、合板からなる長尺状の基材であり、長手方向及び短手方向の周縁には雄実部35と雌実部36とが形成されている。さらに木質系床基材30は、畳パネル20の対向する周縁に嵌合するように、長手方向にのみ沿って枠部32が形成されている。すなわち、本実施形態における枠部32は、畳パネル20の対向する長手方向の周縁に嵌合するように、一方向に沿って並んで形成された一対の突出部からなる。このような枠部32を設けることにより、木質系床基材30の表面には、畳パネル20を収容する収容凹部31が形成される。
【0029】
さらに、この収容凹部31の底面には、アルミニウム箔の両面に粘着剤が設けられた粘着シート50が配置されている。ここでは、アルミニウム箔の両面に粘着剤が配置されているが、畳パネル側に粘着剤が設けられているのであれば、収容凹部の底面に接触する、アルミニウム箔の片面側のみ粘着剤を設けることになる。なお、ここでは、粘着シートを用いているが、収容凹部31の底面に直接、接着剤または粘着剤を塗布してもよい。
【0030】
このような木質系床基材30は、雄実部35及び雌実部36が形成された長尺状の合板(床材)を準備し、長手方向に沿って、枠部32及び収容凹部31が形成されるように、合板の表面を削り取る(刳り貫く)ことにより製造してもよい。また別の製造方法としては、雄実部35及び雌実部36が形成された上述した合板よりも薄い長尺状の合板を準備し、この表面に、収容凹部31が形成されるように、枠部32を合板の表面に固着してもよい。
【0031】
このような畳床材セット10を用いて、畳フロア1の施工を行う。具体的には、まず、図2(a)に示すように、木質系床基材30を床下地面Cに敷設し、木質系床基材30を床下地面Cに固定する。この際に、収容凹部31から木ネジまたは釘などの固定部材40を床下地面Cに対して垂直方向から、木質系床基材30に貫通させて、固定部材40を床下地面Cに固定する。これにより、木質系床基材30は、水平方向に余分な荷重が作用しないので、収容凹部31の底面は、平坦な面を保持することができる。なお、ここでは、床下地面Cは、リフォーム前のフローリング(木質系フロア)である。木質系床基材30を含む畳床材の厚みは、従来の畳の厚みよりも薄いので、リフォーム前のフローリング(木質系フロア)に直接施工することができる。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、短手方向及び長手方向に沿って形成された雄実部35及び雌実部36を介して、木質系床基材30同士を連結するように、床下地面Cに敷設し、これらを固定部材40で固定する。このときに、図3に示すように、周辺フロア60に合わせて木質系床基材30を床下地面に敷設した際に、長手方向に沿って木質系床基材30の双方の枠部32及び収容凹部31のそれぞれが、短手方向に沿った連結部分38を介して連続して形成される。
【0033】
次に、図2(c)及び図3に示すように、畳パネル20を枠部32に嵌合させて、畳パネル20を収容凹部31に収容する。このとき、隣接する木質系床基材30,30同士の短手方向に沿った連結部分38を覆うように、木質系床基材30の連続した収容凹部31に畳パネル20を収容する。このとき、畳パネル20は、収容凹部31の底面に配置された粘着シート50に張り付けられて固定される。なお、ここでは、粘着シート50は、収容凹部31底面に配置されているが、畳パネル20の裏面に配置されていてもよい。また、固定部材40で固定後に、別途、収容凹部31の底面に、粘着シート50を配置してもよい。
【0034】
このようにして、施工された畳フロア1は、図2(d)及び図3に示すように、木質系床基材30の短手方向に木質系床基材30,30同士が連結するように、木質系床基材30が床下地面Cに敷設して固定され、隣接する木質系床基材30,30同士の短手方向の連結部分38を覆うように、木質系床基材30の双方の収容凹部31に畳パネル20が収容される。
【0035】
これにより、畳パネルの短手方向に沿った継ぎ目と、木質系床基材の短手方向に沿った継ぎ目をずらすことができ、木質系床基材が浮き上がったとしても、畳パネルの浮き上がりを目立たなくすることができる。
【0036】
また、発泡樹脂材22が、クッション性ばかりでなく断熱性をも有するので、足に負担が少ないばかりでなく、足裏の体温が奪い難い畳フロア1を得ることができる。
【0037】
図4は、本発明の第二実施形態にかかる畳床材セットを説明するための模式的斜視図であり、(a)は、畳床材セットの模式的斜視図であり、(b)は、その畳床材の模式的斜視図である。第二実施形態に係る畳床材セットは、第一実施形態の畳床材セットに比べて、木質系床基材の構造が異なるのみであるので、他の部分同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0038】
図4(a)に示すように、第二実施形態に係る畳床材セット10Aの木質系床基材30Aは、枠部32Aは、畳パネル20の全周縁に嵌合するように形成されたロの字状の突出部からなり、これにより、木質系床基材30Aには、畳パネル20を収容する収容凹部31Aが形成されている。図2及び3に示す施工方法で、これらの畳床セット10Aを用いて、畳フロアを施工する。
【0039】
但し、本実施形態の場合には、図4(b)に示すように、木質系床基材30Aの収容凹部31Aに、畳パネル20を収容して畳床材1Aとし、この畳床材1Aを床下地面Cに敷設してもよい。また、取り扱い性を向上するために、畳床材1Aの状態で施工現場に畳床材セット10Aを持ち込んで、その後、畳パネル20と、木質系床基材30Aとに分解し、図2及び3に示す施工方法で、畳フロアを施工してもよい。
【0040】
図5は、第一及び第二実施形態に係る畳パネルの変形例を示した模式的断面図であり、(a)は、畳パネルの畳表の構造を改良した変形例を示した断面図であり、(b)は、(a)の畳パネルにさらに防虫シートを挿入した断面図であり、(c)は、(b)の畳パネルの製造方法を説明するための図である。
【0041】
図5(a)に示すように、畳パネル20Aの畳表21Aは、発泡樹脂材22の周縁を巻き込む巻き込み部21aが形成されており、この巻き込み部21aも発泡樹脂材22に接合されている。このような巻き込み部21aを設けることにより、畳フロアの使用時及び施工時において、畳表21Aの周縁のいぐさの編み込部分のほつれを抑えることができる。
【0042】
さらに、図5(b)に示すように、前記畳表21Aと発泡樹脂材22との間には、例えば布地に防虫剤が塗布された防虫シート23を挿入してもよい。このような防虫シートとしては、ホウ酸塩シート、ヒバシート、竹炭シートなどを挙げることができる。そして、このような畳パネル20Bは、図5(c)に示すようにして製造される。具体的には、上型71及び下型72内に、畳表21Aと防虫シート23とを配置し、イソシアネートと、発泡剤を含有したポリオールとを混合した混合液Pを型内に注入し、発泡ウレタン樹脂材(発泡樹脂材22)が成形される。これにより、畳表21A、防虫シート23、及び発泡樹脂材22を一体成形することができる。
【0043】
図6は、第一及び第二実施形態に係る畳フロアの施工方法の変形例を示した模式的断面図であり、(a)は、木質系床基材に畳パネルを収容する前の断面図であり、(b)は、木質系床基材に畳パネルを収容した後の断面図である。
【0044】
また、図6に示すように、畳パネルの施工時において、畳パネル20の周縁の見切りとなる部分を覆うように、断面が楔状の押さえ部材26を取り付けて、押さえ部材26と共に畳パネル20を収容凹部31に収容してもよい。押さえ部材26と粘着シート50により、畳パネル20の抜け防止を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0046】
例えば、第一及び第二実施形態では、畳パネル及び木質系床基材いずれも長尺形状としたが、こられは正方形状であってもよく、敷設すべき床下地面に応じた大きさ及び形状することが好ましい。また、第一実施形態では、長手方向に沿って枠部を形成したが、畳パネルを収容することができるのであれば、短手方向に沿って枠部を形成してもよい。また、床下地面が平坦であり、木質系床材が変形することなくこれを、敷設し固定することができるのであれば、第1の畳床材セットの木質系床基材に畳パネルを収容して畳床材として、これを床下地面に敷設し固定してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:畳フロア、1A:畳床材、10,10A:畳床材セット、20,20A,20B:畳パネル、21,21A:畳表、22:発泡樹脂材、23:防虫シート、26:押さえ部材、30,30A:木質系床基材、31,31A:収容凹部、32:枠部(一対の突出部)、32A:枠部(ロの字状の突出部)、35:雄実部、36:雌実部、38:連結部分、40:固定部材、50:粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に畳表が配置された矩形状の畳パネルと、
前記畳パネルの少なくとも周縁の一部に嵌合するように枠部を形成することにより、表面に前記畳パネルを収容する収容凹部が形成された木質系床基材と、
を少なくとも含むことを特徴とする畳床材セット。
【請求項2】
前記畳パネルは、前記畳表と発泡樹脂材とが積層された積層体であることを特徴とする請求項1に記載の畳床材セット。
【請求項3】
前記畳表と発泡樹脂材との間には、防虫シートが挿入されていることを特徴とする請求項2に記載の畳床材セット。
【請求項4】
前記枠部は、前記畳パネルの対向する周縁に嵌合するように、一方向に沿って並んで形成された一対の突出部からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の畳床材セット。
【請求項5】
前記枠部は、前記畳パネルの全周縁に嵌合するように形成された突出部からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の畳床材セット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の畳床材セットを用いた畳フロアの施工方法であって、
前記木質系床基材を床下地面に敷設し、該木質系床基材を床下地面に固定する工程と、
該固定した木質系床基材の収容凹部に、前記畳パネルを収容する工程と、を含むことを特徴とする畳フロアの施工方法。
【請求項7】
請求項4に記載の畳床材セットを用いた畳フロアの施工方法であって、
複数の木質系床基材の前記収容凹部が連続するように、前記木質系床基材を連結して床下地面に敷設し、該木質系床基材を床下地面に固定する工程と、
隣接する前記木質系床基材同士の連結部分を覆うように、前記木質系床基材同士の連続した収容凹部に前記畳パネルを収容する工程と、を含むことを特徴とする畳フロアの施工方法。
【請求項8】
前記木質系床基材を床下地面に固定する工程において、前記収容凹部から固定部材を前記木質系床基材に貫通させて、前記固定部材で前記木質系床基材を床下地面に固定することを特徴とする請求項6または7に記載の畳フロアの施工方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載に畳床材セットからなる畳床材であって、
前記木質系床基材の収容凹部に、前記畳パネルが収容されていることを特徴とする畳床材。
【請求項10】
請求項9に記載の畳床材を床下地面に敷設したことを特徴とする畳フロア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246909(P2011−246909A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119221(P2010−119221)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】