説明

癌の治療における併用療法

当該被験者に、治療有効量の治療用抗体及びアルキル化剤を投与することによって腫瘍を治療する方法を本明細書に開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2005年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/677,482号の有益性を主張し、その全容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[政府支援]
この発明は、研究資源一般臨床研究センタープログラム(National Center for Research Resources General Clinical Research Centers Program)、国立衛生研究所、及び米国癌協会からの助成金番号MO1-RR30、NS20023、CA11898、CA70164、CA42324、1P50CA108786-01、5P20CA96890、及びPDT-414の下で政府支援で実施された。政府はこの発明に対する特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、被験者における癌及び腫瘍の治療のための化学療法と組み合わせた抗体療法に関する。
【背景技術】
【0004】
Bignerらの米国特許第5,624,659号は、モノクローナル抗体81C6を用いた固形及び嚢胞性腫瘍を治療する方法を記載している。さらに、D. Bignerらの「Iodine-131-labeled Anti-tenascin Monoclonal Antibody 81C6 Treatment of Patients with Recurrent Malignant Gliomas: Phase I trial results」J. Clin. Oncol. 16: 2202-2212(1998)を参照。Rizzieriらの米国特許出願認識番号第10/008,062号(2002年12月12日に発行されたUS 2002/0187100 A1)は、リンパ腫の治療のための抗テネイシン(tenascin)モノクローナル抗体療法を記載している。さらに、D. RizzieriらのBlood 104, 642-648(2004);G. Akabaniらの「Dosimetry and Dose-response Relationships in Newly Diagnosed Patients Treated with Iodine-131-labeled Anti-tenascin Monoclonal Antibody Therapy」Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 46: 947-958(2000)を参照。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/677,482号
【特許文献2】米国特許第5,624,659号
【特許文献3】US 2002/0187100 A1
【特許文献4】米国特許第6,624,659号
【非特許文献1】D. Bignerらの「Iodine-131-labeled Anti-tenascin Monoclonal Antibody 81C6 Treatment of Patients with Recurrent Malignant Gliomas: Phase I trial results」J. Clin. Oncol. 16: 2202-2212(1998)
【非特許文献2】D. RizzieriらのBlood 104, 642-648(2004);G. Akabaniらの「Dosimetry and Dose-response Relationships in Newly Diagnosed Patients Treated with Iodine-131-labeled Anti-tenascin Monoclonal Antibody Therapy」Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 46: 947-958(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
治療用抗体を用いたヒトの癌の治療は、この難しい疾患に対する新しい手法である。米国において、リンパ腫の治療のための2つの抗CD20放射標識げっ歯類モノクローナル抗体が認可されており、1つはゼヴァリン(登録商標)という商標でIDEC Pharmaceuticals(San Diego, CA)によって生産されており、1つはベキサール(Bexxar)の名称でCorixa社(Seattle, WA)によって生産されている。それにも関わらず、癌を治療するためのさらなる方法、特に、特異性を増大させ且つそのような治療の非所望の副作用を減少させるのに役立つ方法に対する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の特徴点は、被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程、及びさらに前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程を含む癌を治療する方法に関する。
【0007】
一実施態様において、前記癌は固形腫瘍ベースの癌である。好ましい実施態様において、前記癌はリンパ腫である。
【0008】
別の好ましい実施態様において、前記癌は脳腫瘍である。さらに別の実施態様において、前記脳腫瘍は神経膠芽腫である。
【0009】
一実施態様において、前記固形腫瘍はテネイシンを発現している。
【0010】
一実施態様において、前記治療用抗体はテネイシンに特異的に結合する。
【0011】
一実施態様において、前記抗体はモノクローナル抗体81C6またはモノクローナル抗体81C6が結合するエピトープに結合する抗体である。好ましい実施態様において、前記治療用抗体はモノクローナル抗体81C6である。別の実施態様において、前記治療用抗体はマウス−ヒトキメラモノクローナル抗体81C6(ch81C6)である。さらに別の実施態様において、前記治療用抗体はげっ歯類モノクローナル抗体81C6(mu81C6)である。
【0012】
一実施態様において、前記治療用抗体は放射性核種に連結されている。別の実施態様において、前記放射性核種は、227Ac、211At、131Ba、77Br、109Cd、51Cr、67Cu、165Dy、155Eu、153Gd、198Au、166Ho、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、189Ir、191Ir、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、109Pd、32P、226Ra、186Re、188Re、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、89Sr、35S、177Ta、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、90Y、212Bi、119Sb、197Hg、97Ru、100Pd、101mRh、212Pb、64Cu、225Ac、213Bi、及び124Iからなる群から選択される。
【0013】
好ましい実施態様において、前記アルキル化剤はテモゾロミド(temozolomide)、あるいはその類似体、製薬上許容し得る塩、またはプロドラッグである。さらに別の実施態様において、前記テモゾロミドは、約50-300 mg/m2/日の一日量で、約3-7日間連続して一日量のサイクルで投与される。別の実施態様において、このサイクルは2-5週間おきに合計約10サイクルまで繰り返される。
【0014】
別の実施態様において、前記腫瘍の少なくとも一部は、前記治療用抗体の投与の前、後、または同時に外科的に除去される。
【0015】
一実施態様において、前記治療用抗体は前記腫瘍部位への脳内注入によって投与される。別の実施態様において、前記治療用抗体は前記腫瘍部位への単回脳内注入によって投与される。
【0016】
好ましい実施態様において、前記治療用抗体は約40-50グレイ(Gy)の用量で投与される。
【0017】
さらに別の実施態様において、前記治療方法は、前記被験者に前記脳腫瘍の部位への外部ビーム放射線療法を実施する工程を含む。好ましい実施態様において、外部ビーム放射線療法は、前記脳腫瘍部位へ約30-60グレイの総用量で実施される。
【0018】
好ましい実施態様において、前記治療用抗体はモノクローナル抗体81C6であり、且つ前記アルキル化剤はテモゾロミド、あるいはその類似体、製薬上許容し得る塩、またはプロドラッグである。
【0019】
この発明のさらなる特徴点は、必要性のある被験者において癌を治療する方法を実施するための医薬の調製のためのモノクローナル抗体の使用に関するものであって、前記被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程、及びさらに前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程を含む。
【0020】
この発明のさらなる特徴点は、必要性のある被験者において癌を治療する方法を実施するための医薬の調製のためのアルキル化剤の使用に関するものであって、前記被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程、及びさらに前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程を含む。
【0021】
本発明の前述の事項及び他の目的、並びに特徴点は、以下に示される本明細書において詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
用語「モノクローナル抗体81C6」、「抗体81C6」、または類似の用語は、前記げっ歯類モノクローナル抗体81C6(mu81C6)及び前記マウス−ヒトキメラ抗体81C6(ch81C6)の両方を含み、その両方は米国特許第6,624,659号中に記載されている。本明細書に引用されるこれと他のすべての米国特許、及び米国特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。そのようなモノクローナル抗体は既知の技術に従って作製される。
【0023】
本明細書で使用される用語「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを含むすべてのタイプの免疫グロブリンを表す。用語「免疫グロブリン」は、これらの免疫グロブリンのサブタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4等を含む。これらの免疫グロブリンのうち、IgM及びIgGが好ましく、IgGは特に好ましい。前記抗体は、(例えば)マウス、ラット、ウサギ、ウマ、またはヒトを含む任意の種由来のものであってよく、あるいはキメラ抗体であってよい。例えば、M. WalkerらのMolec. Immunol. 26, 403-11(1989)を参照。本明細書で使用される用語「抗体」は、標的抗原、例えばFab、F(ab’)2、及びFv断片に結合する能力を維持する抗体断片、並びにIgG以外の抗体から得られた相当する断片を含む。そのような断片もまた、既知の技術によって作製される。
【0024】
本明細書で使用される用語「ポリクローナル抗体」は、免疫化後に抗原に対して生成される抗血清中の複数の免疫グロブリンを表し、それは前記抗原に対する1つ以上のエピトープを認識且つ結合し得る。本発明を実施するために使用されたポリクローナル抗体は、既知の手法に従って、(例えば)マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、ロバ、ウマ、またはヒトを含む任意の種由来の適切な被験者を、当該標的に対するモノクローナル抗体が結合する抗原で免疫化し、前記動物から免疫血清を回収し、且つ前記免疫血清から当該ポリクローナル抗体を分離することによって作製される。
【0025】
本明細書で使用される用語「約」または「およそ」は、当業者により決定された特定の値に関して許容される誤差範囲内であることを意味し、これは値がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば「約」は、当技術分野において、実践当たり1以上の標準偏差内であることを意味し得る。あるいは「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、さらにより好ましくは1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、前記用語は、ある値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。例えば放射線療法の分野において、放射線吸収線量(RAD)を正確に測定することの特有の難しさにより、「約44グレイ」は44グレイ±20%(35.2-52.8グレイの範囲)を意味し得る。好ましくは、実際には、「約44グレイ」は44グレイ±10%(39.6-48.4グレイの範囲)を意味するが、このレベルの正確性は達成するのが難しいかもしれない。
【0026】
本明細書で使用される用語「製薬上許容され得る」は、動物またはヒトにおけるin vivoでの使用に生物学的または薬理学的に適合することを意味し、且つ好ましくは連邦または州政府の統制機関により承認されていること、あるいは動物、とりわけヒトにおける使用に関する米国薬局方、または他の一般に認められている薬局方中に記載されていることを意味する。
【0027】
本明細書中に記載される「放射性核種」は、腫瘍または癌細胞に治療用量の放射線を送達するのに適した任意の放射性核種であってよく、227Ac、211At、131Ba、77Br、109Cd、51Cr、67Cu、165Dy、155Eu、153Gd、198Au、166Ho、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、189Ir、191Ir、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、109Pd、32P、226Ra、186Re、188Re、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、89Sr、35S、177Ta、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、90Y、212Bi、119Sb、197Hg、97Ru、100Pd、101mRh、212Pb、64Cu、225Ac、213Bi、及び124Iを含むが、これに制限されない。
【0028】
「外部ビーム放射線療法」は、当該被験者の腫瘍の位置に高エネルギーX線ビームを送達することによって実施される。前記ビームは前記被験者の外部で生成され、当該腫瘍部位に標的化される。当該被験者の身体の内部に位置する放射能源はない。
【0029】
本明細書で使用される「治療上有効な量」は、状態、疾患、または症状を治療するために被験者に投与した場合に、治療(以下に記載される)に達成するのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、当該化合物、疾患及びその重症度、並びに治療されるべき被験者の年齢、体重、身体状態、及び反応性に依存して変化する。本発明によれば、一実施態様において、放射標識抗体の治療上有効な量は、種々の癌を治療するのに有効な量である。別の実施態様において、非標識抗体の治療上有効な量は、放射標識抗体の健康な非標的組織への結合を阻害するのに有効な量である。
【0030】
本明細書で使用される「治療する」は、疾患に悩むまたは前記疾患の発症の危険にさらされた被験者に有益性を与える任意のタイプの治療または予防を表し、前記被験者の状態の改善(例えば、1つ以上の症状において)、前記疾患の進行の遅延、症状の発症の遅延、または症状の進行の遅延等を含む。例えば、用語「治療」はさらに、症状の発症を防ぐための前記被験者の予防的治療を含む。本明細書で使用されるように、「治療」及び「予防」は、治癒または症状の完全な消滅を必ずしも含意するものではない。
【0031】
本明細書で使用される「治療有効量」は、癌に悩む被験者に、前記被験者の状態の改善(例えば、1つ以上の症状において)、当該疾患の進行の遅延等を含む所望の効果をもたらすのに十分な当該抗体の量を意味する。
【0032】
「被験者」または「必要性のある被験者」は、放射免疫療法(RIT)、化学免疫療法、細胞毒性免疫療法、または本発明に係るある他の治療方法を必要とするヒトまたはヒトでない哺乳動物である。
【0033】
「外科的に作り出された切除腔」(「SCRC」)は、未分化星状細胞腫(「GBM」)等の脳腫瘍を除去する間に外科的に作り出された脳内の空洞である。「周縁(margin)」は前記SCRCを取り囲む実質または脳組織の領域であり、当該SCRC/実質の境界面または前記SCRCの外縁からの距離で表現され得る。
【0034】
本明細書で使用される「関心のある領域」(「ROI」)は、前記SCRCの中または付近の組織の限定された領域である。ROIは前記SCRCの周縁(または外縁)に位置する領域であってよい。本明細書で使用される「実質」または「実質組織」は、機能的細胞から構成される組織からなる。実質細胞は、構造細胞または間葉組織よりも、例えばSCRC等の劣化環境に対して耐性がない。本明細書で使用されるSCRC「境界面」は、前記SCRCと周囲の健常組織の間の境界を表す。
【0035】
本明細書で使用される「滞留時間」は、放射性核種がどのくらい長く身体中に保持されるかについての測定結果である。「全身クリアランス速度」は総身体滞留時間である。
【0036】
本明細書で使用される「S値」は、ある供給源から放出する放射線由来の特定の標的領域への吸収線量を表す。S値は、当業者に既知の計算に従って、モンテカルロ法及びMIRDファントムを用いることによって導き出され得る。S値は、前記外科的に作り出された切除腔(SCRC)の大きさに依存し、約2cm3(約9.60E-3グレイ時間mCi-1(Gy hr mCi-1)のS値)以下から約60cm3(約2.34E-3グレイ時間mCi-1のS値)、またはそれ以上の範囲であってよい。
【0037】
本明細書で使用される「吸収線量」は、関心のある領域中、あるいは当該材料の質量単位あたりの他の材料中に吸収された(または「堆積した」)放射エネルギー(または放射活性)である。これは、被験者へ投与された放射活性の総量である「投与された」または「治療用」または「放射免疫療法」(RIT)の用量とは異なる。前記吸収線量は、投与され組織内に吸収された(または「堆積した」)放射エネルギー(または放射活性)の量のみを表す。あるいは、「吸収線量」は「放射線吸収線量」または「RAD」として知られている。当該吸収線量またはRIT用量を、本発明に記載の線量測定法を使用する前に決定してRIT用量を見積もる場合、前記吸収線量またはRADは、「規定の吸収線量」または「規定のRAD」と称される。前記規定のRADは、実験データに基づいた規定の最適RADであってよい。規定の最適RADは、特定の放射線療法剤の安全性と有効性を判定し得る実験的試行を含む、癌または疾患療法の分野において受け入れられている任意の方法によって決定されてよい。例えば、最適RADを、毒性及び被験者の観察された群における臨床結果に基づいて決定することができる。一実施態様において、当該規定の最適RADは約44グレイである。
【0038】
本明細書で使用される「放射免疫療法用量」(「RIT用量」)は、治療目的のために送達されるべきRITの用量である。治療的RIT用量は、規定の放射線吸収線量(RAD)に到達するように算出される。
【0039】
本明細書で使用される「標的化成分」は、すなわち、当該療法の意図される標的「の結合パートナー」と結合し得、且つかなりの量の放射標識(放射線療法用剤)、化学療法剤、細胞毒性剤、または当該技術分野において既知の他の治療剤を送達し得る任意の成分である。例えば、標的化成分は、当該標的が細胞受容体である場合には受容体リガンドであってよい。好ましくは、前記治療剤は抗体、例えば81C6モノクローナル抗体である。当該標的化成分が抗体であり、且つ当該治療剤が放射標識である場合、当該複合体は放射線免疫療法(RIT)用量と称されてよい
【0040】
本明細書で使用される「線量測定用量」は、将来投与されるべきRIT用量を算出するために用いられる少しの量(「治療量以下の」)である。多くの線量測定用量を徐々に増加させて投与し、その後、一連の用量応答分析を行い、規定の吸収線量に基づき所望のRIT用量を決定する。
【0041】
本明細書で使用される「細胞外間質成分」は、糖衣、細胞外マトリックス、及び基底層を含む細胞外(当該細胞空間または細胞表面とは対照的な)空間に特異的な化合物を表す。細胞外間質成分の例としては、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、テネイシン、エンタクチン、及びトロンボスポンジンを含むが、これに制限されない。当該細胞成分が腫瘍または癌細胞を含む場合、当該細胞外間質成分は「前記腫瘍の」細胞外間質成分である。細胞外間質成分中のテネイシンと結合するブロッキング抗体は、正常及び腫瘍状組織の両方の細胞外間質成分中のテネイシン分子に結合するであろう。
【0042】
本明細書で使用される「化学療法剤」は、メトトレキサート、ダウノマイシン、マイトマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン(vincristine)、エピルビシン、フルオロウラシル、ベラパミル、シクロホスファミド、シトシンアラビノサイド、アミノプテリン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、デモコルシン(democolcine)、エトポシド、ミトラマイシン、クロラムブシル、メルファラン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タモキシフェン、パクリタキセル、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン、カンプトテシン、アクチノマイシンD、及びシタラビンを含むが、これに制限されない。
【0043】
本明細書で使用される「細胞毒性剤」は、リシン(またはとりわけ、前記リシンのA鎖)、アクラシノマイシン、ジフテリア毒素、モネンシン、ベルカリンA、アブリン、ビンカアルカロイド、トリコテセン、及びシュードモナス外毒素Aを含むが、これに制限されない。
【0044】
本明細書で使用される「放射免疫療法」または「RIT」は、放射性核種(または放射標識)に接合させた抗体を用いる療法を表す。
【0045】
本明細書で使用される「グレイ」は、100ラドに等しい特定の放射線吸収線量に対する単位を表す。グレイ(Gy)はグレイ(Gray)の略字である。
【0046】
本明細書で使用される「化学免疫療法」は、化学療法剤に接合させた抗体を用いる療法を表す。
【0047】
本明細書で使用される「細胞毒性免疫療法」は、細胞毒性剤に接合させた抗体を用いる療法を表す。
【0048】
本明細書で使用される「治療用抗体」は、放射性核種(または「放射標識」)、化学療法剤、または細胞毒性剤に接合させた抗体である。前記治療用抗体を放射性核種(または放射標識)に接合させる場合、それはRIT剤またはRIT抗体として知られる。
【0049】
本明細書で使用される「アルキル化剤」は、細胞中に存在する条件下で、陰性基、例えば核酸にアルキル基(アルキル基は炭素と水素のみを含む化合物であり、一般式CnH2n+1、例えばメチル基(CH3)を有する)を付加する能力を有する化合物である。それらは、DNA二重らせん鎖中のグアニンヌクレオチドと架橋することによって腫瘍増殖を停止させる。これにより、前記DNA鎖は解かれず、分離することができなくなる。このことはDNAの複製に必要であるため、当該細胞はもはや分裂できない。癌細胞は通常、健常細胞よりも急速に分裂するため、それらはDNA損傷に対してより感受性が高い。アルキル化剤は、種々の腫瘍を治療するために臨床的に使用される。アルキル化剤の一例はテモゾロミドであり、本明細書における治療方法の対象である癌を含む種々の癌を治療するために使用することができる。本明細書で使用される「テモゾロミド」は、テモゾロミド、並びにそのすべての類似体、製薬上許容し得る塩、及びプロドラッグを表す。
【0050】
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、不活性(または有意に活性の低い)形態で投与される薬理学的薬剤である。投与されると、当該プロドラッグはin vivoである身体中で活性化合物に代謝される。
【0051】
1.被験者
本明細書に記載の方法による治療を必要とする被験者は、リンパ腫に悩む被験者、並びに例えば肺、大腸、乳房、脳、肝臓、前立腺、脾臓、筋肉、卵巣、膵臓、皮膚(黒色腫を含む)等の固形腫瘍または癌に悩む被験者を含む。
【0052】
本発明の方法によって治療されるべき被験者は、神経膠腫、線維肉腫、骨肉腫、黒色腫、ウィルムス腫瘍、大腸癌、乳癌及び肺癌、並びに扁平上皮癌を含む、テネイシンを発現している腫瘍に悩む被験者を特に含む。
【0053】
本発明によって治療されるべき被験者は、脳腫瘍または癌、例えば神経膠芽腫、特に未分化星状細胞腫、及び嚢胞性星状細胞腫等に悩む被験者をとりわけ含む。
【0054】
本発明は主に、男性及び女性被験者、並びに新生児、乳児、幼児、青年、成人、及び老人被験者を含むヒト被験者の治療に関するものであるが、本発明はさらに、獣医学的目的のために、並びに薬剤スクリーニング及び薬剤開発の目的のために、動物被験者、特に哺乳動物被験者、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、及びウマ等で実施されてもよい。
【0055】
2.抗体
癌及び腫瘍の細胞外間質成分に結合する抗体は既知であり、例えば米国特許第6,783,760号及び第6,749,853号中に記載されている。
【0056】
本発明を実施する際に使用される抗体は、テネイシンに結合するものであってよい。特に好ましい抗テネイシンモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体81C6(MAb 81C6)及びモノクローナル抗体81C6が結合するエピトープに結合する抗体(すなわち、モノクローナル抗体81C6と交差結合する、またはモノクローナル抗体81C6の結合を阻害する抗体)である。例えばヌードマウスの腹水、ホローファイバー培養、浮遊培養等の中において、任意の適切な技術によって抗体を作製することができる。前記モノクローナル抗体81C6は、一実施態様において、BALB/cマウスを神経膠原繊維酸性タンパク質(GFAP)で免疫化した後のハイブリドーマ融合体−既知であり前述のM. Bourdonら, Cancer Res. 43, 2796(1983)に記載されるような永久的ヒト神経膠腫株U-251 MGを発現している−から得られたげっ歯類IgG2bモノクローナル抗体である(mu81C6)。
【0057】
本発明を実施するために、Bigner及びZalutskyに対する米国特許第5,624,659号中に記載のマウス−ヒトキメラモノクローナル抗体81C6(ch81C6)、または前述のM. Bourdonらの中に記載のげっ歯類モノクローナル抗体81C6が特に好ましい。
【0058】
本発明における使用のための抗体は、解離定数約10-4-10-13の比較的高い結合親和性でテネイシンに特異的に結合する。本発明の実施態様において、当該抗体−テネイシン複合体の解離定数は、少なくとも10-4、好ましくは少なくとも10-6、より好ましくは少なくとも10-9である。
【0059】
本発明に記載の治療用抗体の投与と組み合わせて使用され得るブロッキング抗体は通常、任意の治療剤と連結または接合させず、一方、本発明を実施するために使用される治療用抗体は通常、治療剤と連結または接合させる。従って、ブロッキング抗体は、本明細書に記載の方法における癌を治療する際に、それ自体に治療的活性はない。
【0060】
療法(すなわち、癌と闘う方法における)のために使用される抗体は、ポリクローナル抗体、あるいはそれ自体がモノクローナル抗体または治療剤に連結されたモノクローナル抗体であってよい。そのような抗体を、時々、本明細書において治療用抗体として表す。
【0061】
モノクローナル抗体に従来的に連結させた任意の治療剤を使用することができ、放射性核種、細胞毒性剤、及び化学療法剤を含む(がこれに制限されない)。一般的に、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(R. Reisfeld及びS. Sell Eds. 1985)(Alan R. Liss社, N.Y.)。放射性核種、細胞毒性剤、及び化学療法剤は既知であり、米国特許第6,787,153号、第6,783,760号、第6,676,924号、第6,455,026号、及び第6,274,118号中に記載されている。
【0062】
米国特許第6,787,153号、第6,783,760号、第6,676,924号、第6,455,026号、及び第6,274,118号に記載のものを含むが、これに制限されない任意の適切な技術による直接的方法または間接的方法によって、治療剤を当該抗体に連結させることができる。当業者に明らかであるように、Iodogen法によってまたはN-スクシンイミジル-3-(トリ-n-ブチルスタニル)ベンゾエート(「ATE法」)を用いて、治療剤を当該抗体に連結または接合させることができる。例えば、M. Zalutsky及びA. Narula, Appl. Radiat. Isot. 38, 1051(1987)を参照。
【0063】
本明細書で使用されるモノクローナル抗体は、罹患した被験者において有用な免疫学的応答を誘発するのに必要な抗体の定常領域の部分を含むと解されるであろう。
【0064】
3.抗体製剤
当該ブロッキング抗体及び治療用抗体は、投与前に、通常、無毒性の製薬上許容し得るキャリア物質(例えば、通常の食塩水またはリン酸緩衝食塩水)とそれぞれ混合され、任意の医学的に適切な手法、例えば非経口投与(例えば注射)、例えば静脈内または動脈内注射等を用いることによって投与される。
【0065】
前述のブロッキング抗体及び治療用抗体化合物を、投与のために、既知の技術に従って製薬的キャリアで配合することができる。例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy(9th Ed. 1995)を参照。本発明に記載の製剤の製造において、当該活性化合物(生理学的に許容し得るその塩を含む)を、典型的に、とりわけ許容し得るキャリアと混合する。当然、前記キャリアは当該製剤中の任意の他の成分と適合し得るという意味において許容し得なければならず、且つ当該被験者に有害であってはならない。前記キャリアは液体であってよく、好ましくは、当該活性化合物の0.01または0.5重量%から95または99重量%まで含むことができる単位投与量の製剤として、当該化合物と配合される。
【0066】
以下にさらに議論されるように、当該治療用抗体を、任意的に、本明細書に記載の疾患または症状の治療に有用な、他の異なる活性化合物(例えば、化学療法剤)と組み合わせて投与することができる。前記他の化合物を共に投与することができる。本明細書で使用されるように、用語「共に」は、組み合わせた効果をもたらすのに時間が十分に近いことを意味する(すわなち、共には同時にであってよく、あるいはそれは互いに前後を生じる2回以上の投与であってよい)。
【0067】
親投与に適切な本発明の製剤は、当該活性化合物の滅菌した水性及び非水性の注入液を含み、その配合物は、好ましくは意図される受給者の血液と等張性である。これらの配合物は、抗酸化剤、緩衝剤、制菌剤、及び当該製剤に意図される受給者の血液との等張性を与える溶質を含んでよい。
【0068】
ブロッキング及び治療用抗体は、滅菌された無菌容器中に凍結乾燥させた形態で提供されてよく、あるいは製薬上許容し得るキャリア、例えば滅菌発熱物質フリーの水または滅菌発熱物質フリーの生理食塩水等と組み合わせて製剤の状態で提供されてよい。
【0069】
4.腫瘍、癌、及び腫瘍性組織の例
本発明に従って治療され得る腫瘍、癌、及び腫瘍性組織の例は、悪性疾患、例えば、乳癌;骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫、及び他の肉腫;白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)及び他の血液癌;脊髄形成異常、骨髄増殖性疾患;洞腫瘍;卵巣癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、及び他の尿生殖器系の癌;大腸癌、食道癌、胃癌、及び他の胃腸管系の癌;肺癌;骨髄腫;膵臓癌;肝臓癌;腎臓癌、内分泌癌;皮膚癌;並びに脳腫瘍または中枢及び末梢神経系腫瘍等、神経膠腫及び神経芽腫を含む悪性腫瘍または良性腫瘍を含むが、これに制限されない。
【0070】
5.線量測定試験
いくつかの実施態様において、投与される治療用抗体の量は、治療用量の投与前に線量測定試験によって決定される。例えば、前記切除腔の大きさを決定することによって、前記切除腔の大きさと線量測定による放射療法(「RIT」)用量を投与した後の複数の時点での関心のある領域から検出された放射線に基づいて滞留時間を決定することによって、並びに前記滞留時間、前記切除腔の大きさ、及び規定の吸収線量(例えば、いくつかの実施態様における実験データに基づいた最適な吸収線量の約44グレイ)に基づいて投与される治療的RIT用量を算出することによって、被験者における切除腔を取り囲む関心のある領域に対する線量測定による概算方法を実施することができる。
【0071】
前記線量測定方法は、関心のある領域からの放射線を検出するために全身シンチグラフィーを実施する工程を含んでよい(例えば、前記シンチグラフィーは、線量測定によるRIT用量を投与するのと実質的に同時である一回目、一回目に続いて約24時間後である二回目、並びに一回目に続いて約48時間後である三回目に実施される)。
【0072】
前記線量測定方法は、当該切除腔の大きさを測定するために磁気共鳴画像法を実施する工程を含んでよい。
【0073】
いくつかの実施態様において、関心のある領域は、当該切除腔の周縁から約1または2センチメートルまでの実質の領域である。
【0074】
投与される治療的RIT用量を、例えば以下の一般式に基づいて算出することができる。
【数1】

[式中、DSCRCは規定の吸収線量であり、S(B2-cm←SCRC)は当該切除腔の大きさに基づいて概算されたグレイ時間mCi-1のS値であり、且つτSCRCは当該切除腔滞留時間である。]
【0075】
6.抗体投与
当該ブロッキング抗体及び治療用抗体を、任意の医学的に適切な手法、例えば通常の静脈内または動脈内投与、脳脊髄液中への注入によって投与することができる。ある場合には、皮内、腔内、クモ膜下腔内投与、あるいは当該腫瘍へのまたは当該腫瘍に供給している動脈への直接投与が有利である。
【0076】
当該ブロッキング抗体の投与量は、他の中でも、当該被験者の状態、治療される癌の特定の分類または種類、投与の経路、使用される治療剤の性質、及び当該特定の治療剤に対する当該腫瘍の感受性に依存する。例えば、前記投与量は、典型的に、被験者体重キログラムあたり約1-10マイクログラムである。罹患した集団内のいくつかの個体において、いくらかの有益な効果をもたらすのに有効であるならば、当該抗体の具体的な投与量は重大ではない。通常、当該投与量は、被験者体重キログラムあたり約0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、または50マイクログラム位少量で、あるいはより少量で、及び被験者体重キログラムあたり約5、10、20、50、75、または100マイクログラム位多量で、あるいはさらに多量でよい。
【0077】
当該治療用抗体の投与量は、同様に、他の中でも、当該被験者の状態、治療される癌の特定の分類または種類、投与の経路、使用される治療剤の性質、及び当該特定の治療剤に対する当該腫瘍の感受性に依存する。例えば、前記投与量は、典型的に、被験者体重キログラムあたり約1-10マイクログラムである。罹患した集団内のいくつかの個体において、いくらかの有益な効果をもたらすのに有効であるならば、当該抗体の具体的な投与量は重大ではない。通常、当該投与量は、被験者体重キログラムあたり約0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、または50マイクログラム位少量で、あるいはより少量で、及び被験者体重キログラムあたり約5、10、20、50、75、または100マイクログラム位多量で、あるいはさらに多量でよい。
【0078】
別の例において、当該治療剤が131Iである場合、当該被験者への投与量は、典型的に10 mCiから100、300、またはさらに500 mCiである。別に明記されていれば、当該治療剤が131Iである場合、当該被験者への投与量は、典型的に5,000ラド(50グレイ)から100,000ラド(1000グレイ)である(好ましくは、少なくとも13,000ラド(130グレイ)またはさらに少なくとも50,000ラド(500グレイ))。他の放射性核種の用量は、典型的に、たとえ放射線量が異なり得るとしても、殺腫瘍性の用量が前述の131Iに対する範囲に等しくなるように選択される。例えば、100ミリキュリーの131Iによって送達される量と等量の放射線量を腫瘍へ送達するために、ほんの数ミリキュリーの211Atが必要とされる。
【0079】
当該治療用抗体を、静脈内注射及び当該腫瘍中への注入を含む任意の適切な方法によって投与することができる。当該腫瘍またはその一部が外科的に除去されている場合、当該抗体を、直接注入またはあらかじめ移植された貯蔵物を通して、当該腫瘍部位内(特に、当該腫瘍部位の閉鎖腔または「切除腔」内)に投与することができる。
【0080】
好ましい実施態様において、当該治療用抗体を、前述の線量測定試験によって好ましく決定された用量を用いて、30-60グレイ、好ましくは40-50グレイ、より好ましくは40-48グレイ、さらに好ましくは44グレイの用量で投与する。
【0081】
7.アルキル化剤
本発明を実施するのに有用なアルキル化剤は、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソ尿素(BCNU)及びテトラジン誘導体、特に[3H]イミダゾ[5,1-d]1,2,3,5-テトラジン-4-オン誘導体、例えば、テモゾロミド、並びにその製薬上許容し得る塩及びプロドラッグを含むその類似体を含むが、これに制限されない。
【0082】
本発明を実施するのに有用なアルキル化剤の例は、特に一般式:
【化1】

の[3H]-イミダゾ-[5,1-d]-1,2,3,5-テトラジン-4-オンアルキル化剤である。
[式中、R1は水素原子、あるいは6個までの炭素原子を含む直鎖若しくは分枝鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を表し、そのような各基は、ハロゲン(すなわち、臭素、ヨウ素、または好ましくは、塩素若しくはフッ素)原子、4個までの炭素原子を含む直鎖若しくは分枝鎖アルコキシ、(例えばメトキシ)、アルキルチオ、アルキルスリヒニル、またはアルキルスルフォニル基から選択される1〜3個の置換基、並びに任意的に置換されたフェニル基によって置換される。あるいは、R1はシクロアルキル基を表し、且つR2は窒素原子、あるいは4個までの炭素原子をそれぞれ含む直鎖若しくは分枝鎖アルキル及びアルケニル基、並びにシクロアルキル基から選択される1つまたは2つの基を有し得るカルバモイル基、例えばメチルカルバモイル若しくはジメチルカルバモイル基を表す。前記記号R1が2つまたは3つのハロゲン元素によって置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を表す場合、前記ハロゲン元素は同一または異なってよい。前記記号R1が1つ、2つ、または3つの任意的に置換されたフェニル基によって置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を表す場合、前記フェニル基上の任意の置換体は、例えば4個までの炭素原子を含むアルコキシ及びアルキル基(例えば、メトキシ及び/またはメチル基)並びにニトロ基から選択されてよく、前記記号R1は例えばベンジル若しくはp-メトキシベンジル基を表し得る。記号R1及びR2の定義内のシクロアルキル基は、3-8個、好ましくは6個の炭素原子を含む。]
当該化合物は、塩またはプロドラッグとして、特にR1がHである場合にはアルカリ金属塩として提供され得る。米国特許第5,260,291号を参照。
【0083】
カプセル錠のような5 mg、20 mg、100 mg、及び250 mgの経口投与形態のテモゾロミドは、Schering社、Kenilworth NJ 07033 USAからTEMODAR(登録商標)として商業的に入手可能である。
【0084】
好ましい実施態様において、前記アルキル化剤は、3、4、5、6、または7日間連続して、毎日のサイクルで投与される。適切な一日量は、1回の投与量あたり50、100、または150 mg/m2から200、250、300 mg/m2までであってよい。このサイクルを、例えば2週間、3週間、4週間、または5週間おきに、合計6、8、または10サイクルまで繰返すことができる。アルキル化剤の最初のサイクルにおける最初の用量を、任意の適切な時点で投与することができる。いくつかの実施態様において、アルキル化剤の最初の用量を、当該治療用抗体の投与の2または4週間前まで投与し、いくつかの実施態様において、アルキル化剤の最初の用量を、当該治療用抗体の投与後少なくとも2、4、または6週間投与する。別の実施態様において、前記剤を当該抗体療法と同時に投与することができる。外部ビーム放射線療法等のさらなる療法的治療を当該被験者へさらに適用する場合に、さらなる投与計画を含むことができる。
【0085】
8.外部ビーム放射線療法
任意的にではあるがいくつかの実施態様において、好ましくは、当該被験者はさらに外部ビーム放射線療法を受ける。例えば、外部ビーム放射線療法は、神経膠芽腫等の脳腫瘍に対して特に好ましい。外部ビーム放射線療法は既知であり、既知の技術に従って実施され得る。医療用直線加速器及びコバルト60外部ビームユニットを含む任意の適切な方法によって、当該ビームを生成することができる。当該被験者内の標的領域が異なる方向から放射されるように、前記被験者の周りを回転するガントリー中に放射線供給源を装備する。照射前に、当該治療は、典型的に、当該放射線ビームをシュミレーションし且つ医療従事者が当該ビーム療法を設計することを可能にするアルゴリズムを用いたコンピューターで計画される。本発明を実施するために使用することができる外部ビーム療法の多様な変型は、当業者に容易に明らかである。例えば、米国特許第6,882,702号、第6,879,659号、第6,865,253号、第6,863,704号、第6,826,254号、第6,792,074号、第6,714,620号、及び第5,528,650号を参照。
【0086】
外部ビーム放射線療法は、好ましくは、既知の技術に従って、当該治療用抗体の投与の好ましくは2-4週間後に開始する一連のセッションで投与される。例えば、前記外部ビーム放射線療法は、合計の所望量(例えば、30または40グレイ、50または60グレイまで)が投与されるまで、4、5、6、または7週間の期間にわたり、1週間に3、4、5、6、または7日、0.5または1グレイ、2または3グレイまでの一日量で投与されることができる。
【0087】
送達された用量は、当該腫瘍の周りの正常な組織の周縁(例えば、全方向に1、2、または3cmの周縁)を含む領域、あるいは当該腫瘍部位の周りの前記腫瘍またはその一部を以前に外科的に除去した部分までであってよい。
【0088】
外部ビーム放射線療を使用する場合、当該被験者は、前述のものとは異なる、当該放射線療法の過程の間はある程度より低い用量で、アルキル化剤投与のさらなる計画を受けることができる。例えば、当該被験者は当該外部ビーム放射線療の過程の間、1回の投与量あたり25または50 mg/m2から100または125 mg/m2までの量の一日量のアルキル化剤を投与されてよい。
【実施例】
【0089】
本発明は、制限の目的ではなく本発明の例示として提供される、以下の実施例の参照によってよりよく理解されるであろう。
【0090】
<実施例1:81C6の作製>
げっ歯類モノクローナル抗体81C6の作製は既知である。例えば、M. Bourdonら, Cancer Res. 43, 2796(1983)を参照。モノクローナル抗体81C6を、ヌードマウスの腹水、ホローファイバー培養、浮遊培養等の中において、任意の適切な技術によって抗体を作製することができる。
【0091】
一実施態様において、免疫グロブリンを含むヌードマウスの腹水を、125000×gで45分間、超遠心する。上清を0.22ミリスタック(Millipore社)フィルターによってフィルター滅菌する。10カラム容量の4MグアニジンHClをカラムに流すことによって滅菌したプロテインAセファロースカラムを通すことによって、免疫グロブリンを腹水から精製する。10カラム容量のTris-NaCl緩衝液(0.9% NaCl中に10mM Tris、pH 8.0)で前記カラムをすすいだ後、腹水を前記プロテインAカラムに通す。前記カラムをpH 8.0のTris-NaCl緩衝液ですすぎ、pH 3.0のグリシンHCl緩衝液(0.55Mグリシン、0.85% NaCl、及び10mM HCl)で結合した免疫グロブリンを溶出する。画分を回収し、直ちに0.5 mLの1M Tris緩衝液pH 8.0で中和する。吸光度を流動分光光度計中で280nmで読み取り、免疫グロブリンを含む画分をプールする。プールした免疫グロブリンの精製度を、HPLC TSK-3000カラムを用いたゲルろ過によって調べ、次いで分子量50,000を遮断する透析チューブ中で、20容量の75mM Tris酢酸緩衝液(pH 6.0)に対してオーバーナイトで透析する。40ミクロンサイズのポリエチレンイミン(PEI)をJT Baker社からバルクで入手し、適切なサイズのカラムを、結合する予定の免疫グロブリンの量に対して充填する。理想の条件下で、1gの乾燥PEIまたはABxは200 mgの免疫グロブリンに結合する。ステンレススチールカラムを充填前に4時間210℃で過熱し、任意のエンドトキシンを除去する。PEIカラムを10カラム容量の4Mグアニジンを流すことによって滅菌する。次いで、カラムを20-30カラム容量の水及び75mM Tris酢酸緩衝液(pH 6.0)を流すことによって平衡化する。280ナノメーター(nm)の吸光度のベースラインがゼロに戻るまで、前記カラムを平衡化緩衝液ですすぐ。前記PEIカラムからの結合した抗体の溶出は、0%-100%の2M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 6.8)の60分間の直線勾配をかけることによって達成され、1 mLの画分を回収する。溶出液の吸光度を280nmでモニターする。免疫グロブリンを含む試験管をまとめ、115mMリン酸緩衝液pH 7.4に対して徹底的に透析する。抗体をActiClean Etoxカラム(Sterogene社, Carlsbad, CA)に通すことによってエンドトキシンを除去し、次いで115’mMリン酸緩衝液pH 7.4に対して透析する。透析後、タンパク質濃度を測定し、Rx用量アンプル用に15-16 mg/mL、及び用量定量試験用に5 mg/mL/アンプルに調整する。0.22ミクロンのMilliporeフィルターに通してバイアルに溶液を直接注入することによって、滅菌した且つ発熱物質フリーのバイアルへ分取する。フィルター処理後にタンパク質濃度を測定して、フィルター処理の間にタンパク質の損失がないことを確認する。当該バッチに関して実施された品質管理は、エンドトキシンに対する無菌、リムルスアメーバ細胞溶解物(LAL)アッセイ、131I標識及び非標識mu81C6の両方に対するSuper TSK 3000カラムを用いたゲルろ過HPLC、並びにPAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)である。131I標識mu81C6の免疫活性画分を、Lindmoらの「Determination of Immunoreactive Fraction of Radiolabeled Monoclonal Antibodies by Linear Extrapolation to Binding at Infinite Antigen Excess」、J. Immunol. Methods 72: 77-89(1994)に従ったLindmo法によって調べる。
【0092】
<実施例2:131I標識81C6の作製>
およそ1000 mCi/mLの規定濃度の0.1N水酸化ナトリウム溶液中のヨウ化ナトリウム131IをPerkin Elmer Life Sciences社(Boston, MA)から購入する。81C6抗体を前述のように調製する。すべての手順を、炭フィルターを通して外側に100%通気するBaker垂直層フローフード中で実施する。無菌技術を初めから終わりまで使用する。放射活性のすべての測定をCapintec社製(Ramsey, NJ)用量キャリブレーターを用いて行う。前記抗体の2 mg分取物を、それぞれが内側表面で乾燥した10μgのiodogen(カップリング試薬)を有する、複数の1 mLガラスバイアル中で10分間インキュベーションする。各バイアルはさらに、pH 7.2-7.4で総容量0.250 mL中に、0.05Mリン酸緩衝食塩水pH 7.2-7.4(PBS)、及び25 mCiの131I(およそ25μLの131I溶液)を含む。次いで、前記バイアルの内容物をプールし、前記バイアルを0.15 mLのPBSで2回すすぎ、15 mLの滅菌プラスチックチューブ中へプールする。当該樹脂中の非特異的タンパク質の結合部位を飽和するために、0.100 mLの5%ヒト血清アルブミンUSPで前処理し、PBSで溶出したSephadex G-25(Sigma社, St. Louis, MO)で精製する。前記カラムから20本の0.5 mL画分を滅菌3 mLプラスチック培養チューブ中に回収する。81C6抗体含有画分に相当するピークを伴う最大量の131Iを含む分画チューブの内容物を、3.5インチの棘状の針を付加した使い捨ての10cc滅菌プラスチックシリンジ中に吸い出し、別の15 mLプラスチック培養チューブにプールする。次いで、前記画分チューブのそれぞれを、PBS中の1%ヒト血清アルブミンUSP、pH 7.2-7.4で2回すすぐ。二回目のすすぎの後、前記ヒト血清アルブミン溶液を、前記プールした画分と混合し、すべての画分を10ccシリンジ中に吸い出す。最終容量は典型的に、3-5 mLである。前記棘状の針を、20ゲージの針に付加した滅菌Millipore 0.22ミクロン膜フィルター(Millex GV;Millipore社)に交換し、且つ当該溶液を滅菌10 mL空バイアル(最終バイアル)に注入すること
によって滅菌する。前記バイアル中の抗体81C6タンパク質の量を、まず特異的活性(SA)を見積もり、且つプールした活性画分中の反応に添加したタンパク質の100%回収率を推定することによって見積もる。次いで、最終バイアル中の測定した活性(mCiで)を前記SAで割り、前記バイアル中のタンパク質の総量に対する値を算出する。対象用量(subject dose)中の抗体タンパク質の総量を規定する。当該バイアル中の総活性(mCi)を対象用量活性(mCi)で割ることによって、次いでこの比率に規定されたタンパク質の総mgを掛けることによって、当該バイアル中に必要とされるタンパク質の総量の推定量を算出する。当該バイアル中に必要とされるタンパク質の総量から、当該バイアル中にすでにあるタンパク質の量を引くことによって、当該バイアルに添加される必要のある非放射性「コールドな」抗体81C6の推定量を出す。当該最終産物は、131I(mCi)並びに0.05M PBS及びおよそ0.5%ヒト血清アルブミンUSP中の抗体81C6タンパク質(mg)の規定された活性を有する。細菌性エンドトキシンに対するUSP滅菌試験、LEL試験、放射性核種純度試験、HPLCによる放射化学的純度試験、及び放射免疫活性試験を実施する。すべてのすべての品質管理(QC)を完了した後、対象用量を10ccまたは20ccの使い捨て滅菌プラスチックシリンジ中に吸い上げ、前記シリンジを滅菌シリンジキャップで密閉し、適切にラベルを貼って証明し、鉛で遮蔽して、当該被験者への投与のために核医学(Nuclear Medicine)へ送る。
【0093】
<実施例3:未分化星状細胞腫(GBM)の治療のための131I-81C6-テモゾロミド併用療法>
[投与の経路]
131I-81C6を、腫瘍の切除時に置かれた頭蓋内切除腔の留置Rickhamカテーテルを通して、未分化星状細胞腫の外科的切除によって生じた嚢胞性空洞中に投与することができる。他の投与経路も可能であると、当業者に理解されるであろう。
【0094】
[治療の対象]
治療に適した被験者は、新しく診断された立証された組織学的診断、及び以前に治療されていないテント上未分化星状細胞腫(GBM)を有する被験者である。腫瘍性細胞のテネイシンとの反応性を、ポリクローナルラビット抗体または前記モノクローナルマウス抗体のいずれかで立証することができる。外科的切除以外の任意の療法を受けている被験者は適当でないかもしれない。任意的に131I-81C6-テモゾロミド併用療法と組み合わせて実施され得る他の療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、またはGBMを治療するために用いられる任意の他の実験的療法を含んでよい。
【0095】
当該被験者は、外科的切除の候補者であり得る。この場合、コントラスト増強CTまたは磁気共鳴画像法(MRI)を、手術後72時間以内に撮るべきである。先の外科的切除と131I-81C6投与との間には、少なくとも2週間の間隔が必要である。
【0096】
以下のベースラインの血液値:ヘモグロビン量、好中球の絶対数、血小板の数、クレアチニン量、ビリルビン量、及び血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ量を131I-81C6投与前に測定すべきである。これらの血液成分に対する一定のベースラインの血液値は、131I-81C6投与が開始する前に規定される必要がある。
【0097】
さらに、99mTc-DTPAフロー試験を用いて、当該SCRC中のRickhamカテーテルの適切な位置、及び前記SCRCと当該CSF空間との間の連絡の不足を立証することができる。また、線量測定試験を実施することができる。線量測定は、線量の正確な測定値を表す。問題の用量が放射活性用量である場合、線量測定は組織中の放射エネルギー量の正確な測定値を表す。これは、疾患または癌のために被験者を治療するために放射線を使用する際に特に重要である。従って、過剰の放射線を使用することは当該被験者に非常に有害であり、一方、少なすぎると治療として有効でない。線量測定は、安全且つ有効なRIT用量(投与される放射活性の量)の正確な測定を提供する。
【0098】
とりわけリンパ腫を含むGBM以外の癌に罹患した被験者を、本明細書に開示される方法に従って治療することができると、当業者によって理解されるであろう。
【0099】
[治療方法]
好ましくは、治療は131I-81C6投与で始まる。使用される81C6抗体は、ヒト、マウス、または任意の適切な種由来のものであってよく、且つキメラ抗体であってよいと、当業者によって理解されるであろう。さらに、テネイシンに結合する81C6以外の抗体を使用することができる。さらに、テネイシンを認識するもの以外の抗体を、本発明に係る方法に従って使用することができると、当業者によって理解されるであろう。好ましくは、使用される抗体は131Iで標識されたものである。しかし、227Ac、211At、131Ba、77Br、109Cd、51Cr、67Cu、165Dy、155Eu、153Gd、198Au、166Ho、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、189Ir、191Ir、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、109Pd、32P、226Ra、186Re、188Re、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、89Sr、35S、177Ta、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、90Y、212Bi、119Sb、197Hg、97Ru、100Pd、101mRh、212Pb、64Cu、225Ac、213Bi、及び124Iを含むが、これに制限されない他の放射性核種を使用することができる。さらに、使用される抗体を、とりわけ化学療法剤を含む他の適切な治療剤と連結させることができる。さらに、使用される抗体を、1つ以上の治療剤と連結させることができる。
【0100】
[外部ビーム放射線療法(XRT)投与]
任意的に、被験者は治療の一部として外部ビーム放射線療法を受けるであろう。好ましくは、外部ビーム放射線療法は、131I-81C6抗体投与のおよそ4週後に行われる。しかし、本発明に記載の療法の異なる状況のタイミングは、治療される被験者及び癌に従って変化し得ると、当業者によって理解されるであろう。
【0101】
[テモゾロミド投与]
テモゾロミドを、医療従事者によって決定される適切な時点で投与することができる。好ましくは、それは、外部ビーム放射線療法の完了のおよそ4週後に開始され投与される。被験者は、28日おきの5日間連続して、6-28日までのサイクルの間、約150 mg/m2/日の用法でテモゾロミド投与を開始することができる。任意の起因性のグレード3または4の毒性なく、1回の投与量あたり150 mg/m2のテモゾロミドに耐える被験者は、テモゾロミド用量を1回の投与量あたり200 mg/m2に増加してよい。
【0102】
テモゾロミド治療の開始前に測定されるべき基準は、WBC数、ANC数、血小板の数、SGOT及びビリルビン測定を含む十分な肝機能、並びにクレアチニン量及び/またはクレアチニンクリアランスを含む十分な腎機能を含む。
【0103】
テモゾロミド投与量は、治療を受ける各被験者におけるテモゾロミド毒性の程度に従って変化し得る。例えば、テモゾロミド用量を、以下の表1に示されるように調節することができる。
【表1】

【0104】
<実施例4:初期及び転移性脳腫瘍を新規に診断された患者の治療における、外科的に生じた嚢胞性切除腔周辺へ44グレイの標的とされたブースト照射用量を送達するために投与された、131-ヨウ素標識抗テネイシン・げっ歯類モノクローナル抗体81C6の第二相試験の結果>
新規に診断されたまたは再発性の悪性神経膠腫のいずれかの患者の外科的に生じた切除腔(SCRC)内に投与された、「固定された」用量の131I標識抗テネイシンモノクローナル抗体81C6(131I-81C6)を取り入れた先行治験は、生存の促進及び許容し得る毒性を伴った。特に、新規に診断された神経膠腫の患者の外科的に生じた切除腔(SCRC)内に投与された、「固定した」用量の131I-81C6を取り入れた以前実施された第一相及び第二相治験は、それぞれ80週及び79週の生存期間中央値(median survival)を報告した。
【0105】
これらの試験で治療された患者の線量測定分析により、当該SCRCへの131I-81C6による「標的とされた」44グレイのブーストの送達は、「固定された」用法と比較して、より低い毒性比率と全体的結果の改善の可能性を伴い得ることが予測される。本試験は、新規に診断された神経膠腫の患者における、当該SCRC周辺への「標的とされた」44グレイのブーストを達成するための、一服の131I-81C6抗体を投与することの効率性と毒性を評価するために設計された。
【0106】
[材料と方法]
適格基準は、新規に診断され且つ以前治療されていない悪性神経膠腫の成人、全切除総量、切除腔とCSF空間との間の連絡不足、60%を超えるKPS、並びに十分な骨髄機能、腎機能、及び肝機能を含む。およそ0.5 mCiの131I-81C6を用いた前処理的線量測定試験を実施して、それぞれ個々の患者における44グレイの「標的とされた」ブーストを達成するために必要とされる131I-81C6の治療用量を決定した。治療用量の131I-81C6の後、すべての患者は従来の外部ビーム放射線療法及び全身化学療法を受けた。GBMの15人、AA/AO(AA=未分化星状細胞腫;AO=未分化乏突起膠腫)の6人を含む、21人の患者が治療された。これらのうち、20人はテモゾロミドとの併用療法を受けた。年齢中央値は49歳(24-70歳の範囲)であり、76%が男性であった。投与された131I-81C6の用量中央値は62 mCiであった(25-150 mCiの範囲)。
【0107】
[結果]
20人の患者は、当該SCRC周辺への44グレイ(±10%)ブーストをうまく達成した。毒性は、前記患者の15%におけるグレード3の可逆性の血液学的毒性に限られた。グレード4の毒性の発症は何も生じず、且つ遅延した神経毒性の発症は何も記録されていない。62.7週の追跡調査中央値に関して、新規に診断されたGBMの患者に対する生存期間中央値は93.9週である。このことは、新規に診断された悪性神経膠腫の患者を含む第二相試験において以前報告された生存期間中央値の約15%増加を表す。前記AA/AO患者に対する生存期間中央値は得られていない。44グレイの「標的とされた」ブーストを達成するための131I-81C6の投与は実現可能であり、且つ生存の促進を伴う。
【0108】
本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態によって範囲が制限されるべきではない。実際、本明細書に記載したもの以外の本発明の様々な変更形態は、前述の記載及び添付の図面から当業者には明らかになるはずである。このような変更形態は、添付の特許請求の範囲内に入ると考えられる。
【0109】
すべての値は近似値であり、記載のために与えられることはさらに理解されよう。
【0110】
特許、特許出願、刊行物、製品に関する記載、及びプロトコールを本出願中に引用し、その開示はあらゆる目的でその全容が参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要性のある被験者における癌の治療方法であって、:
(a)前記被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程;及び
(b)前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記癌が固形腫瘍ベースの癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記癌がリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が脳腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脳腫瘍が神経膠芽腫である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固形腫瘍がテネイシンを発現している、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記治療用抗体がテネイシンと特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記治療用抗体がモノクローナル抗体81C6である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記治療用抗体がマウス−ヒトキメラモノクローナル抗体81C6(ch81C6)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記治療用抗体がげっ歯類モノクローナル抗体81C6(mu81C6)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記治療用抗体が放射性核種に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキル化剤がテモゾロミド、あるいはその類似体、製薬上許容し得る塩、またはプロドラッグである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍の少なくとも一部が前記投与工程(a)の前に外科的に除去されている、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記治療用抗体が前記腫瘍部位への脳内注入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記治療用抗体が前記腫瘍部位への単回脳内注入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記治療用抗体が約40-50グレイの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記テモゾロミドが経口的に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記テモゾロミドが、約50-300 mg/m2/日の一日量で、約3-7日間連続して一日量のサイクルで投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記サイクルが2-5週間おきに合計約10サイクルまで繰り返される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(c)前記被験者に前記脳腫瘍部位への外部ビーム放射線療法を実施する工程;
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記外部ビーム放射線療法が前記脳腫瘍部位へ約30-60グレイの総用量で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体がモノクローナル抗体81C6またはモノクローナル抗体81C6が結合するエピトープに結合する抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記放射性核種が、227Ac、211At、131Ba、77Br、109Cd、51Cr、67Cu、165Dy、155Eu、153Gd、198Au、166Ho、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、189Ir、191Ir、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、109Pd、32P、226Ra、186Re、188Re、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、89Sr、35S、177Ta、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、90Y、212Bi、119Sb、197Hg、97Ru、100Pd、101mRh、212Pb、64Cu、225Ac、213Bi、及び124Iからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記治療用抗体がモノクローナル抗体81C6であり、且つ前記アルキル化剤がテモゾロミド、あるいはその類似体、製薬上許容し得る塩、またはプロドラッグである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
(a)被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程;及び
(b)前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程;
を含む、必要性のある被験者における癌の治療方法を実施するための医薬の調製のためのモノクローナル抗体の使用。
【請求項26】
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法に従って、必要性のある被験者における癌の治療方法を実施するための医薬の調製のためのモノクローナル抗体の使用。
【請求項27】
(a)被験者に治療有効量の治療用抗体を投与する工程;及び
(b)前記被験者に治療有効量のアルキル化剤を投与する工程;
を含む、必要性のある被験者における癌の治療方法を実施するための医薬の調製のためのアルキル化剤の使用。
【請求項28】
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法に従って、必要性のある被験者における癌の治療方法を実施するための医薬の調製のためのアルキル化剤の使用。

【公表番号】特表2008−540429(P2008−540429A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510133(P2008−510133)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016825
【国際公開番号】WO2006/119285
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】