説明

発光装置

【課題】 大きな荷重や衝撃に耐えることができるとともに、耐候性及びデザイン性に優れ、商業施設や建築構造物のインテリアやエクステリアなどに利用できるようにした発光装置を提供する。
【解決手段】 可撓性を有するフィルム基板(10)にはLEDチップ(11)を搭載するとともにLEDチップへの通電回路(11A)を形成し、フィルム基板をゴム弾性及び耐熱性を有する樹脂膜(12)内に封入し、樹脂膜をガラス板(13)によって両側から挟持する。ガラス板に強化ガラスを用いることができる。LEDチップ及び通電回路はフィルム基板の表裏両面に設けることができる。LEDチップには赤色、青色、緑色の光を発する3種類のLEDを1チップに組み込んだタイプのLEDチップを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関し、特に大きな荷重や衝撃に耐えることができるとともに、耐候性及びデザイン性に優れ、商業施設や建築構造物のインテリアやエクステリアなどに利用できるようにした装置に関する。
【0002】
最近の電子技術の飛躍的発展に伴い、高輝度LEDが実用化され、照明装置や発光装置に採用される傾向にある。
【0003】
例えば、ガラス基板上にLEDを配置し、これを覆うように導光板を形成し、導光板内に蛍光体を分散し、その上に散乱板を形成するようにした液晶ディスプレイなどのバックライト用発光装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、LEDを搭載したフィルム基板をPETなどの一対のシートの間に挟持して構成され、陳列棚などに磁着させ、陳列した商品を照明するようにした照明装置も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184921号公報
【特許文献2】特開2010−80089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、大都市においては、高層ビルディングや商業施設などに優れたデザイン性が求められており、高輝度LEDを活用したエクステリアやインテリアが考えられている。
【0007】
しかし、特許文献1記載の発光装置では、その構造上、大きな荷重や衝撃に耐えることができず、パソコンやゲーム機のディスプレイなど、荷重や衝撃が加わらないような用途に限定されてしまう。
【0008】
また、特許文献2記載の照明装置では、荷重を受ける構造にはなっていないので、使用できる用途が陳列棚などの照明に限定されてしまう。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、大きな荷重や衝撃に耐えることができるとともに、耐候性及びデザイン性に優れ、商業施設や建築構造物のインテリアやエクステリアなどに利用できるようにした発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る発光装置は、可撓性フィルム基板にはLEDチップが搭載されるとともにLEDチップへの通電回路が形成され、該フィルム基板がゴム弾性及び耐熱性を有する樹脂膜内に封入され、該樹脂膜がガラス板によって表裏両側から挟持されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴1つは可撓性フィルム基板にLEDチップを搭載し通電回路を形成するようにした点にある。これにより、荷重や衝撃が加わったときにフィルム基板が変形して荷重や衝撃を緩和するので、LEDチップの破損のおそれを少なくできる。
【0012】
また、本発明の第2の特徴はLEDチップを搭載したフィルム基板をゴム弾性を有する樹脂膜内に封入するようにした点にある。これにより、荷重や衝撃が加わったときに樹脂膜が弾性変形して荷重や衝撃を緩和するので、LEDチップやフィルム基板に加わる荷重や衝撃を小さくでき、LEDチップやフィルム基板の破損のおそれをさらに少なくできる。
【0013】
本発明の第3の特徴は樹脂膜をガラス板で挟持するようにした点にある。これにより、荷重や衝撃はガラス板によって分散されて樹脂膜に伝わるので、LEDチップやフィルム基板に加わる荷重や衝撃は小さく、LEDチップやフィルム基板の破損のおそれをなお一層少なくできる。
【0014】
その結果、大きな荷重や衝撃に耐えることができ、例えば歩道の誘導表示パネルなどに利用することができる高強度の発光装置を提供することができる。
【0015】
また、発光装置が太陽光や冷気に曝されると、ガラス基板が熱膨張し又は熱収縮するが、熱膨張や熱収縮に起因する応力は樹脂膜が緩和し、LEDチップやフィルム基板にほとんど作用せず、装置の信頼性は高い。
【0016】
さらに、発光装置が風雨に曝されて内部に雨水が侵入すると、発光装置の劣化が懸念されるが、ガラス板で樹脂膜を挟持し、樹脂膜内にLEDチップを搭載し通電回路を形成したフィルム基板を内蔵しているので、雨水が侵入することはなく、装置の信頼性は高い。
【0017】
その結果、耐候性に優れ、発光壁面や発光棚など、商業施設や建築構造物のインテリアやエクステリアなどの多種多様な用途に利用できるようにした発光装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴はフィルム基板、樹脂膜及びガラスを用いるようにした点にある。これにより、上述の優れた耐候性と相まって本発明の発光装置をガラス商品に用いることができ、デザイン性に優れた各種ガラス商品を提供することができる。
【0019】
特に、フィルム基板の表裏両面にLEDチップ及び通電回路を形成するようにすると、必要に応じて表裏面の両方を照明することができ、用途を拡げることができる。
【0020】
また、LEDチップに、赤色、青色、緑色の光を発する3種類のLEDを1チップに組み込んだ、いわゆる3in1タイプのLEDチップを用いると、赤色LED、青色LED、緑色LEDの電流値をコントロールすることによって発光色を自由にコントロールすることができ、雰囲気に応じた最適な照明をすることができる。
【0021】
フィルム基板は通電回路を印刷形成でき、可撓性を有するフィルム基板であればよく、例えば帝人デュポンフィルム株式会社製の超柔軟配線板(商品名:PENフィルム基板)を採用することができる。
【0022】
樹脂膜はゴム弾性を有し、LEDの発熱に耐える樹脂材料で製作されていればよい。
【0023】
ガラス板はは透明又は各種加工ガラスを用いることができ、用途に応じて強化ガラスを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る発光装置の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】上記実施形態の構造を示す断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】第2の実施形態を示す構成図である。
【図5】第3の実施形態の構造を示す構成図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る発光装置の好ましい実施形態を示し、1例として誘導表示パネルに適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。図において、フィルム基板10には薄膜(例えば、厚さ25μm)の超柔軟配線板が用いられ、フィルム基板10の表面には薄膜(例えば、厚さ35μm)の銅配線11Aがプリント形成されるとともに、複数のLEDチップ11が搭載され、LEDチップ11は銅配線11Aによって通電されて発光されるようになっている。
【0026】
フィルム基板10は樹脂膜12内に封入され、樹脂膜12はゴム弾性と、高温(例えば、130°Cまで)の耐熱性とを有する合成樹脂材料、例えばスチレン系やオレフィン系などの材料を用いて所定の厚さ(例えば、厚さ2mm)に製作されている。また、樹脂膜12の表裏両側には透明なガラス板13が貼り付けられ、ガラス板13には所定の厚さ(例えば、厚さ5mm)の強化ガラスが用いられている。
【0027】
以上のような本例の発光装置によれば、荷重や衝撃をガラス板13及び樹脂膜12が緩和し、さらにフィルム基板10が変形することによって荷重や衝撃を吸収するので、配線11AやLEDチップ11の破損のおそれを少なくでき、例えば誘導表示パネルに利用できる高強度の発光装置を製作することができる。
【0028】
ここで、35μmの銅配線の場合、1mm幅、1m長で、抵抗値は0.25Ωが実測された。そこで、LED電流が20mAの場合、銅配線の幅は0.02mmとなる。つまり、銅配線のパターンは直近でないと目立たない。
【0029】
図4は第2の実施形態の1例を示す。本例ではLEDチップ11に、赤色LED11R、青色LED11B、緑色LED11Gを1チップに組み込んだ3in1タイプのLEDチップを採用しており、赤色LED11R、青色LED11B、緑色LED11Gの電流値をコントロールすることによって発光色を任意にコントロールすることができる。
【0030】
図5及び図6は第3の実施形態の1例を示す。本例ではフィルム基板12の表裏両面に複数のLEDチップ11を搭載するとともに、LEDチップ11に通電するための通電回路11Aを形成している。
【0031】
これにより、発光装置の表面だけでなく、裏面についても照明を行うことができ、発光棚、発光壁、デコレーションショーウインドウなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 フィルム基板
11 LEDチップ
11A 銅配線
12 樹脂膜
13 ガラス板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルム基板(10)にはLEDチップ(11)が搭載されるとともにLEDチップ(11)への通電回路(11A)が形成され、該フィルム基板(10)がゴム弾性及び耐熱性を有する樹脂膜(12)内に封入され、該樹脂膜(12)が透明又は各種加工ガラス板(13)によって表裏の両側から挟持されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
上記ガラス板(13)には強化ガラスが用いられている請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
上記LEDチップ(11)及び通電回路(11A)が上記フィルム基板(12)の表裏両面に設けられている請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
上記LEDチップ(11)が赤色、青色、緑色の光を発する3種類のLED(11R、11B、11G)を1チップに組み込んだタイプのLEDチップである請求項1記載の発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16406(P2013−16406A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149688(P2011−149688)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(592091596)帝人エンジニアリング株式会社 (21)
【出願人】(391015786)三芝硝材株式会社 (7)
【出願人】(591051162)新光電装株式会社 (10)
【Fターム(参考)】