説明

発光釣竿

【課題】本発明の課題は、糸絡みの不安の無い、竿内部に発光体内蔵型の釣竿でありながら、発光体への長い配線をすることも無く、且つ、二次的な発光体も必要でなく、且つ、安価で簡単に構成できる発光釣竿を提供することである。
【解決手段】細長円筒状のリチウム電池等の電源に(長い配線無く)接続したLED(発光ダイオード)等の発光体の光を受けるために光ファイバーを付設し、釣り竿の先端竿の略先端部を透明、又は半透明にした透光窓を設け、光ファイバーを差し入れたときに、先端が透光窓に届くような光ファイバーの長さとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜釣りに使用して釣魚の引きの視認が容易な発光釣竿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、夜釣りの場合に、釣魚の引きを視認して、引きにあわせて釣り上げるタイミングを知るために、光る釣竿がいくつか提案されてきた。その例として、夜光物質を竿の穂先に塗布や貼り付けたもの、簡易な電源により発光素子が発光するものに分類される。この内、後者には、発光素子としてLEDを用いたもの、エレクトロルミネッセンス素子を用いたもの、小型電球などの光源を備えたもの、更に光源からの光を受けて、更に発光する素子を竿先端に付加したものなどがある。又、別の分け方として、発光体を竿の内側に備えたものや、竿の外側に備えたものがある。特許文献でこれらの例を振り返ってみると、いかのようである。先ず、発光体を竿の外側に設置したものとして、特許文献1、特許文献2、
特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6がある。図2は、このような発光体が竿の外側に設置した竿を示す図である。先端竿201の先端部に発光体202と電源203が付設してある。電源203は、他のところに設置して、発光体202まで配線により電源を供給している場合もある。発光体を竿の外側に設置したものは、概して、糸が絡みやすい、海水での腐食が起こり易い欠点がある。特に特許文献4、特許文献5、特許文献6では、電源から発光体までの電気配線を特別に引き回すのを避けて、竿の表面が導電性になる対策を施している。これは、導電部が傷に弱い欠点がある。これらに対して、発光体が竿の内側にあるものは、発光体の竿内部への配置が難しいが、特許文献7、特許文献8、特許文献9に示す提案がある。図3は、発光体を竿の内側に配置した従来品を示す図である。先ず、図の3−A部のように、特許文献7では、発光体が先端竿301の略中央に発光体302を配置し、電源303を先端竿301の接ぎ穂端側に設置して、電源303から発光体302へ配した配線304により、給電したものである。配線を引き回すには、硬い管に入れるとかの対策をしないと、奥まで入らないので、細い先端部まで発光体を入れるのは難しい欠点がある。これの欠点を避けるものとして、図の3−B部のように、特許文献8では、先端竿301の接ぎ穂端側には、電源303と接続した発光体302が設置してあり、長い配線は回避してある。このままでは、発光する場所が竿の先端から遠くなって具合がわるいので、別に竿の先端に蛍光体のような発光体302による光を受けて二次的に発光する二次発光体305を付設してある。この様な構成は、製造が容易になる反面、別に二次発光体305が余分に必要な欠点がある。特許文献9では、竿内部に付設する発光体としてエレクトロルミネッセンス素子を使用したものであるが、素子及び電源が高価になる欠点がある。
【0003】
【特許文献1】特開H10−210914
【特許文献2】特開H10−113111
【特許文献3】特開H10−23843
【特許文献4】特開H08−214734
【特許文献5】特開H08−107738
【特許文献6】特開H07−23678
【特許文献7】特開H09−252684
【特許文献8】特開2000−125706
【特許文献9】特開2001−299155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような事情から、解決しようとする課題は、糸絡みの不安の無い、竿内部に発光体内蔵型の釣竿でありながら、発光体への長い配線をすることも無く、且つ、二次的な発光体も必要でなく、且つ、安価で簡単に構成できる発光釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための手段は、細長円筒状のリチウム電池等の電源に(長い配線無く)接続したLED(発光ダイオード)等の発光体の光を受けるために光ファイバーを付設し、釣り竿の先端竿の略先端部を透明、又は半透明にした透光窓を設け、光ファイバーを差し入れたときに、先端が透光窓に届くような光ファイバーの長さとしたものである。以下、請求項に沿って説明する。
【0006】
請求項1記載の発明は、発光釣竿であって、透明又は半透明で光を透過する透光窓を有する釣用の先端竿と、発光体と、前記発光体の発する光を入光するように受光先端が配置され、且つ前記光を前記先端竿の穂先側に導くための光ファイバーと、前記発光体に接続し発光させるための電源を供給する電池と、を少なくとも有する釣竿あって、前記発光体と前記電池を前記先端竿の穂先側でない先端に設置したときに、前記光ファイバーの先端が前記透光窓のある部位に配置される長さに設定されていることを特徴とする。これにより、安価で製作の容易な発光釣竿を提供できる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光釣竿において、前記発光体は発光ダイオードであることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発光釣竿において、前記光ファイバーの直径は、0.5mm以上であることを特徴とする。これにより、製作時の光ファイバーの挿入が容易になる。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の発光釣竿において、前記透光窓のある部位側の前記光ファイバーの先端を斜めにカットしたことを特徴とする。
これにより、透光窓方向に有効に光を出すことが出来る。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の発光釣竿において、前記発光体の発する光を入光するように前記光ファイバーの受光先端を配置するために、前記光ファイバーと前記発光体を把持するホルダーは、前記ホルダーに挿入する前記光ファイバー及び前記発光体の各々の直径に対応した形状を有することを特徴とする。これにより、ホルダーにより発光体の発する光が、有効に光ファイバーに伝えることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成されているので、本発明による発光釣竿では、糸絡みの心配が無く、発光体、或いは発光部の位置あわせなど製造上容易で、且つ安価な数少ない素子で構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明による発光釣竿は、発光体とこの発する光を入光するように受光先端を配置した光ファイバーと、発光体に接続し、発光させる電源を供給する電池とが、中空の先端竿の内側に挿入され、少なくとも中空の先端竿の穂先から中央のいずれかの部位に、透明又は半透明の光を透過する透光窓を有し、発光体と電池を先端竿に挿入配置したときに、光ファイバーの先端が透光窓のある部位に配置される長さに設定されている。以下、実施例を用い説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明による発光釣り竿の一実施態様を示す図である。1−Aにおいて、カーボンやグラスファイバー、ポリエステルなどの合成樹脂で形成された中空の先端竿101には、LED(発光ダイオード)などの発光体102とこれに電源を供給するリチウム電池などの電池103と、発光体102の発する光を受光して導く光ファイバー104が挿入されている。穂先から中央のいずれかの部位に、透明又は半透明の光を透過する透光窓105を有していて、先端竿101の発光体102と電池103が先端竿の端に配置されたときに、光ファイバーの先端が透光窓105のある部位に配置される長さに設定されている。
【0014】
図1の1−Bにおいては、先端竿101に挿入される発光体、電池、光ファイバーの部分を拡大して示している。ここでは、使い易い筒状の電池103の例であるが、電池の陽極、陰極が、ピン又は突起状の第1の電極103Aと筒の表面である第2の電極103Bとなっている。この電池103を差し込む電池ハウジング106には、第1の電極103Aと筒の表面である第2の電極103Bに対応するようにくぼみの中に第3の電極106Aと
第4の電極106Bを有し、これらの電極は、発光体102の第5の電極102Aと第6の電極102Bに繋がっている。従って、電池103を図の向きに電池ハウジング106に挿入すると発光体に電源が供給され発光する。電池103の向きを逆に(ピン又は突起状の第1の電極103Aを外側に向けて)挿入すると、第1の電極103Aが接続されないので発光はしない。いわば、スイッチの役割を果す。勿論、スイッチを別につけても良い。不使用時は、このような電池103の向きに差し込んでおけばよい。光ファイバー104と発光体102は、ホルダー107に把持されている。即ち、把持状態では、発光体102の光が、光ファイバー104の受光端に入るような配置になっている。又、この例では、光ファイバー104の穂先に近い側の先端を斜めにカットすることで、有効に光を透光窓105から発散させることも可能である。尚、ホルダー107の形状は、光ファイバー104が挿入される側は、光ファイバー104の直径に対応し、発光体102が挿入される側は、発光体102の直径に対応したものになっている。
【0015】
以上のようであるので、本発明の発光釣り竿では、発光体等が竿の内側に内蔵されるので、糸絡みの心配が無く、外部に露出していないので、海水塩分の悪影響が少なく、傷に強いという特徴を有することは勿論、従来品のような発光体の位置あわせの精度を損なう恐れのあるような発光体と電池間の長い配線もなく、発光体は、竿の穂先から遠い側の先端側に配置してよいので製造が容易で、更に、従来品のようなコストアップになる第二の発光部を設ける必要が無く、透光窓の位置まで伸びる長さの光ファイバーにより、先端竿の任意の位置で光を得ることができる。光ファイバーをあまり曲がらない程度の硬さを有する太さ、例えば、5mmφ以上、好ましくは1mmφとすれば、電池と発光体部を挿入しただけで、光ファイバーの先端が透光窓部に自己整合的に配置され、中空の狭い穴の中での面倒な位置合わせが不要なので、製作が容易である。尚、透光窓は先端竿の全面であっても構わないことは勿論である。尚、光ファイバーは、中空の狭い穴の中では、穴の壁が誘導路になって、容易に挿入が可能となる利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上の様に、本発明による発光釣り竿は、製造上容易で安価であり、先端竿の任意の位置に光る位置を設定できるので、竿のしなりを最もよく捉える発光釣竿を提供でき、産業上大きな利用性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による発光釣り竿の一実施態様を示す図である。
【図2】発光体を竿の外側に設置した従来の竿を示す図である。
【図3】発光体を竿の内側に配置した従来の竿を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
101、201、301 先端竿
102、202、302 発光体
102A 第5の電極
102B 第6の電極
103、203、303 電池
103A 第1の電極
103B 第2の電極
104 光ファイバー
105 透光窓
106 電池ハウジング
106A 第3の電極
106B 第4の電極
107 ホルダー
304 配線
305 二次発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明で光を透過する透光窓を有する釣用の先端竿と、発光体と、前記発光体の発する光を入光するように受光先端が配置され、且つ前記光を前記先端竿の穂先側に導くための光ファイバーと、前記発光体に接続し発光させるための電源を供給する電池と、を少なくとも有する釣竿あって、前記発光体と前記電池を前記先端竿の穂先側でない先端に設置したときに、前記光ファイバーの先端が前記透光窓のある部位に配置される長さに設定されていることを特徴とする発光釣竿。
【請求項2】
前記発光体は発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の発光釣竿。
【請求項3】
前記光ファイバーの直径は、0.5mm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光釣竿。
【請求項4】
前記透光窓のある部位側の前記光ファイバーの先端を斜めにカットしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の発光釣竿。
【請求項5】
前記発光体の発する光を入光するように前記光ファイバーの受光先端を配置するために、前記光ファイバーと前記発光体を把持するホルダーは、前記ホルダーに挿入する前記光ファイバー及び前記発光体の各々の直径に対応した形状を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の発光釣竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−97461(P2007−97461A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290182(P2005−290182)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【Fターム(参考)】