説明

発泡装置

【課題】発泡性飲料の充填容器に対する流体の注入タイミングを広い範囲とできる発泡装置の提供。
【解決手段】発泡性飲料の充填後に第1搬送路10および第2搬送路20を経てキャッピング装置30に搬送される容器1に流体を注入し発泡させる。容器1に流体を注入する注入ノズル40、注入ノズル40を支持するアーム45、第1搬送路10に沿うガイド部材50、アーム45を回動可能に支持しガイド部材50によりガイドされ第1搬送路10に沿い移動可能な可動ブロック60、可動ブロック60をガイド部材50に固定する第1固定部、アーム45の方向を固定するようアーム45を可動ブロック60に固定する第2固定部70を備える。ガイド部材50に対する可動ブロック60の位置およびアーム45の方向を調整することにより、注入ノズル40を第1搬送路10および第2搬送路20における任意の位置に位置決めすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性の飲料が充填された後にキャッピング装置に搬送される容器に流体を注入して該飲料を発泡させる発泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の発泡性の飲料のパッケージング工程では、容器に飲料を充填した後に、容器に高圧の水等の流体を注入して飲料を発泡させて、これにより生じる炭酸ガスによって容器上部の空寸部に存在する空気を追い出し、その後に容器をキャッピングする。
【0003】
特許文献1は、びん等の操作装置に関するものであり、同文献には、搬送装置の運転速度に応じて注入ノズルが位置決めされること、および、その位置決めが注入ノズルを支持している支持アームの旋回によってなされることが記載されている。
【特許文献1】特開昭60−13689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器への流体の注入タイミングが早すぎると、キャッピングまでに飲料が過剰に発泡して溢れ出てしまい、入味不良が生じうる。逆に、容器への流体の注入タイミングが遅すぎると、キャッピングまでの発泡が足りず、容器上部の空寸部に空気が残存したままでキャッピングがなされうる。
【0005】
種々の形状や容積を有する容器が使用され、種々の飲料が製品化される現状において、特許文献1のように円弧状の搬送路(支持アームの旋回軌道)の一部においてのみ注入ノズルの位置を調整することができる構成では、流体の注入タイミングを適正に調整することが難しくなっている。
【0006】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、発泡性の飲料が充填された容器に対する流体の注入タイミング(注入ノズルの位置)をより広い範囲で調整することができる発泡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの側面は、発泡性の飲料が充填された後に直線状の第1搬送路およびそれに続く円弧状の第2搬送路を経てキャッピング装置に搬送される容器に流体を注入して該飲料を発泡させる発泡装置に係り、前記発泡装置は、容器に流体を注入する注入ノズルと、前記注入ノズルを支持するアームと、前記第1搬送路に沿って配置されたガイド部材と、前記アームを回動可能に支持するとともに前記ガイド部材によってガイドされて前記第1搬送路に沿って移動可能な可動ブロックと、前記可動ブロックを前記ガイド部材に固定する第1固定部と、前記アームの方向が固定されるように前記アームを前記可動ブロックに固定する第2固定部とを備え、前記ガイド部材に対する前記可動ブロックの位置および前記アームの方向を調整することによって、前記注入ノズルを前記第1搬送路および前記第2搬送路の上における任意の位置に位置決めすることができる。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記発泡装置は、前記注入ノズルが前記第1搬送路の上に位置決めされるときに前記アームの方向を所定方向にロックするロック機構を更に備えることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記ガイド部材は、第1ガイド溝と第2ガイド溝とを有し、前記第1ガイド溝は、前記第1搬送路に沿った直線溝と、前記直線溝から連続するとともに前記第2搬送路の曲率中心と同心の円弧溝とを含み、前記第2ガイド溝は、前記直線溝に平行で前記曲率中心を含むように延び、前記可動ブロックは、前記第1ガイド溝に係合する第1係合部と、前記第2ガイド溝に係合する第2係合部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、発泡性の飲料が充填された容器に対する流体の注入タイミング(注入ノズルの位置)をより広い範囲で調整することができる発泡装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の好適な実施形態の発泡装置が設置されるべき処理装置の概略構成を示す平面図である。図2は、本発明の好適な実施形態の発泡装置の1つの状態を示す平面図である。図3は、本発明の好適な実施形態の発泡装置の他の状態を示す平面図である。図4は、図2の状態における発泡装置の一部の構成を示す斜視図である。図5は、図3の状態における発泡装置の一部の構成を示す斜視図である。図6は、図3の状態における発泡装置の一部の構成を示す断面図である。
【0013】
処理装置は、発泡性の飲料が充填された後に直線状の第1搬送路10およびそれに続く円弧状の第2搬送路20を経て容器1をキャッピング装置30に搬送し、キャッピング装置30によって容器1をキャッピングする。第1搬送路10の下流部分には、タイミングスクリュー12が配置されている。第2搬送路20には、スターホイール22が配置されている。容器1は、タイミングスクリュー12によって間隔およびタイミングが調整されながらスターホイール22に渡される。
【0014】
スターホール22は、矢印Aに示すように回転しながら、円弧状の第2搬送路20を通して容器1をキャッピング装置30に対して搬送する。キャッピング装置30は、矢印Bに示すように容器1を公転させながら該容器1をキャッピングする(即ち、容器1にキャップを付ける)。キャッピング装置30によってキャッピングされた容器1は、矢印Cに示すように下流側の装置に送られる。
【0015】
発泡装置は、発泡性の飲料が充填された後に直線状の第1搬送路10およびそれに続く円弧状の第2搬送路20を経てキャッピング装置30に搬送される容器1に流体(例えば、水等の液体、炭酸ガス等の気体)を注入して該飲料を発泡させる。発泡装置は、容器1に流体を注入する注入ノズル40と、注入ノズル40を支持するアーム45と、第1搬送路10に沿って配置されたガイド部材50と、アーム45を回動可能に支持するとともにガイド部材50によってガイドされて第1搬送路10に沿って移動可能な可動ブロック60とを備えている。発泡装置はまた、可動ブロック60をガイド部材50に固定する第1固定部80と、アーム45の方向が固定されるようにアーム45を可動ブロック60に固定する第2固定部70とを備える。
【0016】
第1固定部80は、例えば、可動ブロック60に取り付けられた雄ネジ82と、該雄ネジ82に取り付けられるナット84とによって構成されうるが、他の如何なる構造で構成されてもよい。可動ブロック60とガイド部材50との間には、滑り防止用の樹脂プレート(不図示)が配置されてもよい。
【0017】
アーム45は、その根元部分にアームピボット46を有しうる。第2固定部70は、例えば、アームピボット46に形成された貫通孔を貫通する雄ネジと、可動ブロック60に形成された雌ネジとによって構成されうるが、他の如何なる構造で構成されてもよい。アームピボット46と可動ブロック60との間には、滑り防止用の樹脂プレート47が配置されてもよい。
【0018】
ガイド部材50に対する可動ブロック60の位置およびアーム45の方向を調整することによって、注入ノズル40を第1搬送路10および第2搬送路20の上における任意の位置に位置決めすることができる。位置決めは、第1固定部80による可動ブロック60の固定と第2固定部70によるアーム45の固定を解除した状態でなさうる。このように、注入ノズル40を第1搬送路10および第2搬送路20の上における任意の位置に対する位置決めを可能にすることにより、発泡性の飲料が充填された容器1に対する流体の注入タイミング(注入ノズルの位置)をより広い範囲で調整することができる。
【0019】
発泡装置は、注入ノズル40が第1搬送路10の上に位置決めされるときにアーム45の方向を所定方向(典型的には、ガイド部材50の長手方向に直交する方向)にロックするロック機構90を更に備えることが好ましい。ロック機構90は、例えば、アーム45に形成された孔を貫通するように当該孔に挿入されるロックピン92と、可動ブロック60に形成されたロック溝94とによって構成されうる。ロック溝94にロックピン92が係合することにより、アーム45の方向が所定方向にロックされる。
【0020】
ガイド部材50は、第1ガイド溝54と第2ガイド溝52とを有しうる。第1ガイド溝54は、第1搬送路10に沿った直線溝54aと、直線溝54aから連続するとともに円弧状の第2搬送路20の曲率中心と同心の円弧溝54bとを含む。第2ガイド溝52は、直線溝54aに平行で前記曲率中心を含むように延びる。可動ブロック60は、第1ガイド溝54に係合する第1係合部64と、第2ガイド溝52に係合する第2係合部62とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態の発泡装置が設置されるべき処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の発泡装置の1つの状態を示す平面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の発泡装置の他の状態を示す平面図である。
【図4】図2の状態における発泡装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図5】図3の状態における発泡装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図6】図3の状態における発泡装置の一部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
10 第1搬送路
12 タイミングスクリュー
20 第2搬送路
22 スターホール
30 キャッピング装置
40 注入ノズル
45 アーム
50 ガイド部材
52 第2ガイド溝
54 第1ガイド溝
60 可動ブロック
70 第2固定部
80 第1固定部
90 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性の飲料が充填された後に直線状の第1搬送路およびそれに続く円弧状の第2搬送路を経てキャッピング装置に搬送される容器に流体を注入して該飲料を発泡させる発泡装置であって、
容器に流体を注入する注入ノズルと、
前記注入ノズルを支持するアームと、
前記第1搬送路に沿って配置されたガイド部材と、
前記アームを回動可能に支持するとともに前記ガイド部材によってガイドされて前記第1搬送路に沿って移動可能な可動ブロックと、
前記可動ブロックを前記ガイド部材に固定する第1固定部と、
前記アームの方向が固定されるように前記アームを前記可動ブロックに固定する第2固定部とを備え、
前記ガイド部材に対する前記可動ブロックの位置および前記アームの方向を調整することによって、前記注入ノズルを前記第1搬送路および前記第2搬送路の上における任意の位置に位置決めすることができる、
ことを特徴とする発泡装置。
【請求項2】
前記注入ノズルが前記第1搬送路の上に位置決めされるときに前記アームの方向を所定方向にロックするロック機構を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の発泡装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、第1ガイド溝と第2ガイド溝とを有し、前記第1ガイド溝は、前記第1搬送路に沿った直線溝と、前記直線溝から連続するとともに前記第2搬送路の曲率中心と同心の円弧溝とを含み、前記第2ガイド溝は、前記直線溝に平行で前記曲率中心を含むように延び、
前記可動ブロックは、前記第1ガイド溝に係合する第1係合部と、前記第2ガイド溝に係合する第2係合部とを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−47288(P2010−47288A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213163(P2008−213163)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】