皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具、並びに皮膚洗浄素材の製造方法
【課題】皮膚の新陳代謝による表皮の角質や皮脂汚れは、適度に除去することにより皮下にある健全な皮膚に入れ替わる。しかし日常の生活や入浴時の洗浄だけでは、なかなか除去できないのが現実である。この角質や皮脂汚れを強制的に除去する為の用具は、種類多く商品化されているが、全てが硬い材料の摩擦による、研磨方式である。しかし角質の皮下には健全な皮膚があり、この健全な皮膚まで擦り傷を負わす事故が多く、美肌目的の研磨洗浄は危険とまで言われている。この美肌目的の研磨洗浄を安全にかつ衛生的な使用を可能にすることを課題とするものである。
【解決手段】このような課題を解決するために、健全な皮膚を傷つけない軟質高分子材料の表面に多くの微細な端面角を有する構造にした。
【解決手段】このような課題を解決するために、健全な皮膚を傷つけない軟質高分子材料の表面に多くの微細な端面角を有する構造にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、健全な皮膚を傷つけることなく、角質化した皮膚や老廃物等を皮膚から除去するための皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
皮膚は常に新陳代謝により、新しい皮膚が作られ古い皮膚は皮膚の表面で角質化する。当該角質化した皮膚は自然に又は人為的に取り除くことによって新しい皮膚の形成を促進することができる。しかし角質化した皮膚が蓄積すると象皮化して硬くなり、健全な皮膚の再生の妨げにもなる。
【０００３】
通常、入浴時に洗浄する事によって当該角質化した皮膚を除去することが行われている。一般的に体を洗うために綿または化学繊維製のタオルが使用されるが、皮膚表面に付着する汚れや皮脂汚を取ることはできても角質化した皮膚を効果的に取り除くことは困難であった。特に化学繊維製タオルなどで強く擦ると、角質化した皮膚が除去されるだけでなく、健全な皮膚まで擦り傷を負う危険性があった。
【０００４】
また当該角質化した皮膚を除去するための用具として古くから軽石、近年では金属製の専用ヤスリ(例えば特許文献１参照)、セラミック細粒などを固着させた研磨用具(例えば特許文献２参照)などが使用されてきた。しかし、これらの用具は硬くて鋭利な部分で角質を削り取る方法であるため、化学繊維製タオルと同様に、健全な皮膚まで削り傷を負わす危険性があった。
【０００５】
さらには、指の間や乳幼児の皮膚などの場合には薄くて摩擦に対する抵抗力が弱いため、これらの従来の用具を使用することが敬遠され、その替わりに皮膚に傷を負わさず効果的に洗浄できる素材の開発が待たれていた。
【０００６】
【特許文献１】特開２００１−２０４６４９号公報
【特許文献２】特開２００４−１０５７４４号公報
【０００７】
そこで、これらの課題を解決するために、硬くて鋭利な部分で角質を削るのではなく、皮膚を傷つけない程度の軟性を有し、入浴により膨潤して軟化した角質かした皮膚を効果的に削り取る用具を実現する為に、鉱石又は金属及び硬質樹脂などを破砕した細粒を成形側表面に固着させた成形型に軟質高分子材料を流し込んで硬化させ、破砕細粒の形状をそのまま写し取った面を有する成形体を皮膚洗浄素材として作成した。このような形状にすると、破砕細粒が複雑に入り組んだ凹凸部とその端面角部が軟化した角質を効果的に削り取り角質下の健全な皮膚を傷つけないことによって課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、角質化した皮膚の効率的な除去と健全な皮膚の保護効果を有し、使用による磨耗が少なく衛生的な使用を可能にすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、このような課題を解決するために、皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具、並びに皮膚洗浄素材の製造方法としてなされたもので、皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具に係る請求項１記載の発明は、破砕形状を有する鉱石、金属、合成樹脂などの硬質材料の細粒を基材面上に分散して固着することによって形成した凸部パターンを、軟質高分子材料を用いて凹部パターンとして転写した面を有する成形体であることを特徴とする。
【００１０】
当該凹部パターンを有する成形体は、鋭利な角度や細かい面を有する微細な形状を有しており、この面が複雑な形状をしている皮膚表面にからみつき、皮膚と相互作用で癒着することによって効率的に汚れや角質を除去する作用がある。
【００１１】
なお、凸部パターンを形成するための細粒は、その原料を圧搾して破砕形状を有する細粒に成形するため、前記に列記したような破砕形状に破壊されやすい硬質な材料が好ましいのである。
【００１２】
さらに、請求項２記載の発明は、前記凹部パターンが平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする。
【００１３】
このような形状にする事によって、手足、指、顔面、関節、その他複雑な面形状を有する人体表面に除去作用を有する面を効率的に接触させることができるという作用を有している。
【００１４】
さらに、請求項３記載の発明は、前記軟質高分子材料が、シリコンゴム、ウレタンゴムの少なくとも１種以上を含有する合成ゴムであることを特徴とする。
【００１５】
これらの合成ゴムを母材にすることによって、凹部パターンの成形体表面が角質化した皮膚に効率的に接着するとともに、耐薬品性、耐候性などが優れているために効果が長期的に持続する。
【００１６】
また、用いる軟質高分子材料は、健全な皮膚まで傷を負わさない硬度の材料を選択することによって角質化した皮膚を安全に削り取ることが可能となり、さらに微細な端面角を多く有する形状にすることによって細かい汚れや角質化した皮膚を効率的に除去することが可能となる。
【００１７】
さらに、請求項４記載の発明は、前記軟質高分子材料が、化学繊維又は高分子材料を原料とするスポンジ及び軽石により作られた他の皮膚洗浄素材と複合的に貼りあわされたことを特徴とする。
【００１８】
これらの形状にすることによって、使用環境や条件に合わせて皮膚洗浄効果を発揮することが可能になる。
【００１９】
皮膚洗浄素材の製造方法に係る請求項５記載の発明は、破砕形状を有する鉱石、金属、硬質樹脂などの硬質な細粒を表面に固着させて凸部パターンを形成した成形型に、軟質高分子材料を流し込んで硬化させた後に軟質高分子材料のみを引き剥がすことによって、前記凸部パターンを凹部パターンとして転写させた成形体であることを特徴とする。
【００２０】
流動性と柔軟性に富む軟質高分子材料の作用によって複雑な形状をなした成形型でも離型の際に成形型に接着せずに容易に取り離すことができるという効果がある。
【００２１】
軟質高分子材料は、転写性能が高くて離型の際には容易に取り離せるシリコンゴムやウレタンゴムなどの合成ゴムが好ましい。
【００２２】
さらに、請求項６記載の発明は、前記成形型の内面が平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする。
【００２３】
このように成形型の内面を予め平面、曲面、あるいは連続する波形に形成した物を用いると、複雑な使用箇所にあわせた削り用具の形状を容易に成形することが可能になる。
【発明の効果】
【００２４】
以上のように、本発明は、鉱石又は金属及び合成樹脂などの硬質材料を破砕した細粒を積層固着させた成形型を用いて軟質高分子材料を転写成形することにより、正常な皮膚を傷つけることなく安全に、汚れや角質化した皮膚を効果的に削り取る用具の素材を得ることができる。
【００２５】
さらに、用具の素材が有する耐摩耗性により長期の使用による磨耗などの劣化が少なく、かつ用具素材の深部まで汚れが入り込まないため容易に洗浄ができ、耐熱性が高いため煮沸滅菌ができ衛生的であるなど、多大な効果を得ることが可能になる。
【００２６】
さらに、本発明の皮膚洗浄素材は、汚れや角質化した皮膚を削り取る目的以外に、口腔の舌表面の老廃物除去にも優れており、過敏な舌表面組織を傷つけることなく老廃物のみを除去することができる。
【００２７】
さらに、美顔用の化粧料の除去にも適用することができ、過敏な顔肌を傷つけることなく化粧料のみを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。
【００２９】
（実施形態１）
本実施形態は、健全な皮膚に傷を付けることなく、汚れや角質化した皮膚を効果的に削り取る用具、即ち手足関節部分や手足指間の角質化した皮膚の除去、あるいは全身美肌を目的とした皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具、並びに皮膚洗浄素材の製造方法の実施形態である。
【００３０】
用具に使用する皮膚洗浄素材の製造方法として、角質を削り取る用具の研磨部、即ち凹部パターンを平面状の基材１１に硬質材料を０．１ｍｍから０．５ｍｍまでの大きさに粉砕した硬質細粒１２を積層固着させた型に軟質高分子材料を流して硬化させ、硬質細粒が複雑に入り込んだ形状を転写して成形体２６を形成する。
【００３１】
軟質高分子材料として、成形時の流動性が良く、硬化した後に成形体２６を型から取り出す際に容易に離型するシリコンゴム１３を用いる。また、シリコンゴム１３は引張り強度が高く、柔軟性があるために複雑に入り込んだ形状の凹部に入り込んだものでも破壊することなく離型することができる。
【００３２】
以上のシリコンゴム軟質高分子材料は耐熱温度が２００℃と高く、熱湯や高温の水蒸気で滅菌処理することができるため、衛生面でも安心して使用することができる。
【００３３】
硬質細粒１２の積層部は、成形型の基材１１に熱反応型接着剤などで強固に固着し、シリコンゴム１３を離型する際に基材１１から脱離することがないように加工している。
【００３４】
上記製造方法によって製造された皮膚洗浄素材は、硬質細粒１２によって転写されたシリコンゴム１３には、硬質細粒１２の端面、即ち凸部パターンが転写されて凹部パターンを形成しているため、端面角２４および開口部２５が多く形成されている。
【００３５】
硬質細粒１２によって転写された成形体２６は端面角２４とその周囲の面は角質の削り作用を行い、開口部２５は削られた角質が一時的に取り込まれ、つぎに押し付けられて擦る際には押し出されるように排出されるため、角質を削る作用において削りを邪魔する緩衝材的な作用を及ぼすことがない。
【００３６】
また、転写により突起した成形体２６の端面角２４はシリコンゴム特有の柔軟性により、洗浄の際の押し付けによって皮膚形状に沿って馴染むため、健全な皮膚まで傷つけるほどの硬度は有していない。
【００３７】
一方では、シリコンゴムの弾性により端面角２４による、角質を削る機能は保持しているので、本発明では健全な皮膚に傷を負わすことなく効果的に汚れ洗浄や角質を削ることができる。
【００３８】
さらに、積層された硬質細粒１２の形状を転写した皮膚洗浄素材を使用する体の部位に合わせて平面形状、あるいは曲面にすることでより使い易くなり、効果的な皮膚洗浄が可能になる。
【００３９】
さらに、単なる平面や曲面ではなく、連続する波型形状面にすることにより、小さな力でも強い押し圧効果が得られて皮膚洗浄効果が増す。さらには削られた角質分に排出がより容易になり、相乗的に皮膚洗浄効果が発生する。
【００４０】
さらに、本実施例の皮膚洗浄素材は、平面形状の任意の位置に開口部を設けても良い。この構造にすると、本皮膚洗浄素材で体の面を洗浄する際に、当該開口部を介して洗浄除去された物質が排出されやすくなる効果がある。
【００４１】
（実施形態２）
本実施形態は、美顔用の化粧料除去、頭皮の余剰皮脂分の除去、外耳孔の汚れ除去などの、美顔および美容を目的とした皮膚の浄化を主な目的とした用具とその製造方法の実施形態である。
【００４２】
本実施形態の用具の製造方法および製造した用具の表面形状は上記実施形態１と同様であるためにここでは説明を省略する。
【００４３】
本実施例の用具表面に形成した凸部パターンによって、角質化した不要な皮膚と共に、その周囲に近接する余剰の皮脂、あるいは化粧料や塗布剤も除去するものである。
【００４４】
使用の便のため、用具自身の厚みや大きさが実施形態１の用具と比べて薄く、柔軟に形成されている。
【００４５】
特に、頭皮の洗浄用用具の場合には、手指を用いて用具を頭皮に圧着させて摩擦することによって使用するため、指サックの形状をした本体の外側に凸部パターンを形成している。
【００４６】
さらに、指サックの形状をした本体の場合は、頭皮に接触させる面のみに凸部パターンを形成し、その他の部分あるいは任意の位置に開口部を設けても良い。
【００４７】
（実施形態３）
本実施形態は、口腔舌面の老廃物除去のための用具とその製造方法の実施形態である。
【００４８】
本実施形態の皮膚洗浄素材の製造方法および製造した皮膚洗浄素材の表面形状は上記実施形態１又は２と同様であるためにここでは説明を省略する。
【００４９】
本実施形態の用具は、口腔内などの体内内部の浄化を行うものであり、使用の便のため、凸部パターンを形成した素材を硬質な支持棒あるいは導入スケールなどの先端部に貼り付けた形状をしている。
【００５０】
さらに、素材をはり付けるための前記支持棒の先端部は、Ｔ字型、Ｏ字型、Ｕ字型、その他任意の形状を有していても良い。要は、口腔舌面を洗浄しやすい形状であれば任意の形状に整形しても良いのである。
【００５１】
（その他実施形態）
上記実施形態の他に本実施形態の皮膚洗浄用具は、皮膚が軟弱な乳幼児や高齢者の全身洗浄用の用具としても使用が可能である。
【００５２】
さらに、全身皮膚マッサージ用の用具としても提供することができる。
【実施例】
【００５３】
以下、本発明の実施例について説明する。
【００５４】
（実施例１）
本実施例は、全身および手足関節部分や手足指間の、汚れや皮膚老廃化した角質除去を目的とした、皮膚洗浄用具の一つとして平面状に成形した用具に関するものである。
【００５５】
本実施例では、市販の粗仕上げ用サンドペーパー（６０番）を、水平で平滑な面に研磨面を上にして設置し、外周形を決める目的の形枠をサンドペーパーの上に置き、信越化学工業株式会社製ＫＥ−１３１０ＳＴ型二液硬化反応型シリコンゴムを厚さ５ｍｍに調整して流し込んだ。
【００５６】
続いて２時間の硬化反応が完了したところで型枠を取り外し、サンドペーパーとシリコンゴムの両端を引き離すことによって両者を分離し、凸部パターンとしてのサンドペーパー研磨部を、凹部パターンとしてそのまま転写した板状のシリコンゴム成形体を得ることができた。
【００５７】
本実施例の効果を調べるため専門家の評価を受けた結果、従来の金属性ヤスリや軽石の研磨効果と比べると、角質を削り取る作用性は低いが、使用中でも皮膚の痛さは全く感じず、健全な皮膚を傷つけたりすることが無いことが判明した。
【００５８】
また、角質除去は短時間に一回の操作で除去するより、常に使用することで角質を蓄積しないことが最善であり、このためには本発明品は、スポンジ感覚で使用することができ、角質も効果的に削りとることができるので、多数の皮膚洗浄製品の中でも効果と安全性が高い商品であるとの評価を得た。
【００５９】
（実施例２）
本実施例は、主に踵部など比較的厚い角質削り用具の一つとしての長楕円柱形状に成形したものである。
【００６０】
本実施例では、市販の粗仕上げ用サンドペーパーを使い、削り目を内側にして幅３０ｍｍ×厚み５ｍｍ×長さ１００ｍｍの長楕円状の筒上にして、一方の端末には樹脂板で密栓した。
【００６１】
この筒状の型に二液型シリコンゴムを流し込み、２時間の硬化反応が完了したところで、シリコンゴムを型から取り出した。サンドペーパーとシリコンゴムの型式は実施例１と同じである。
【００６２】
シリコンゴムの成形仕上がり品は、サンドペーパーの継目を切り開いて取り出した。この際、サンドペーパーの研磨部へのシリコンゴムの接着による残留は一切なく、容易に取り出すことができた。量産時には金属または樹脂製の割り型で成形すると型からの取り出しは可能である。
【００６３】
なお、実施例１と同様に専門家の評価を受けた結果、実施例１と同様の評価を得ることができた。
【００６４】
（実施例３）
本実施例は、美顔用の化粧料除去を目的とした用具の一つとして成形したものである。
【００６５】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムを、容易に手の指間で保持できるように、厚みを２ｍｍに成形し、１辺が８ｃｍの三角形状に裁断した。
【００６６】
本実施例の用具を用いて、使用後の化粧品を落す目的で専用のオイルと一緒に磨ると通常では堅牢な化粧料も容易に落ちることが確認された。
【００６７】
(実施例４)
本実施例は、頭皮の洗浄用具の一つとして成形されたものである。
【００６８】
本実施例では、手の指が差し入れることができる、指サック形状及び手袋形状に成形された指部表面に、実施例２で得られた研磨部を持つシリコンゴムの小さな突起部を設けた。
【００６９】
本実施例の用具を用いて、洗剤を使った洗髪時に頭皮を磨ると、通常では落ち難い皮脂汚れや老廃化した頭皮も容易に落ちることが確認された。
【００７０】
(実施例５)
本実施例は、外耳孔周の汚れをとる用具の一つとして成形されたものである。
【００７１】
本実施例では、実施例２と同じ手法で作成し、研磨部を持った直径５ｍｍの半球形と円柱状の成形体を作成した。
【００７２】
本実施例の用具を用いて、外耳孔に挿入して回しながら磨ると、孔周辺に付着した汚れが効果的に取れ、シリコンゴムの軟性によって必要以上の力が加わらないので、痛さを感じないことや、シリコンゴムに付着した汚れは、ティシュペーパーで拭くと、容易に取れることが確認された。
【００７３】
（実施例６）
本実施例は、口腔舌面の老廃物除去のための用具の一つとして成形したものである。
【００７４】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムを、縦３ｃｍ幅１ｃｍに裁断した小片に成形し、歯ブラシ本体の刷毛部にあたる箇所に貼り付け、口腔舌表面の汚れ落し用具を作成した。
【００７５】
本実施例の用具を用いて口腔舌表面を磨ると、非常に軟弱な舌組織を傷つけることなく汚れが容易に落ちることが確認され、効果的に口腔舌表面の汚れ落し用具が得られた。
【００７６】
(実施例７)
本実施例は、特に皮膚が軟弱な乳幼児や高齢者の、全身洗浄用具の一つとして成形されたものである。
【００７７】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムで、８ｃｍ×４ｃｍの小判形状を２枚使用して、其々の板状シリコンゴムの研磨部を外側にして、外周部を接合封止して中に空気を注入した風船状の用具を作成した。
【００７８】
本実施例の用具を用いて、軟弱な皮膚の高齢者の肌を洗浄すると、用具の中に封入された空気による緩衝効果と、シリコンゴムの軟性の相乗効果によって、特に軟弱な皮膚を傷つけることなく、老廃化した皮膚を落すことが確認された。
【００７９】
さらに、実施例１乃至７の用具を継続して二ヶ月以上毎日使用した後、表面の状態を観察した結果、ほとんど凹部パターン形状の変化は認められず、耐摩耗性に優れていることも確認できた。
【産業上の利用可能性】
【００８０】
本発明の皮膚洗浄素材は、前述の実施例で示した成人用の通常の角質化した皮膚の除去目的以外に、安全でかつ清潔であることから乳幼児や高齢者の体洗浄にも適している。
【００８１】
さらに、正常な皮膚を傷つけることなく角質化した皮膚以外にも不要物の除去が可能であることから、洗髪用器具、美顔用具、洗顔用具などの他、皮膚疾患者に対する皮膚洗浄用器具としても幅広く適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００８２】
【図１】一実施例としての皮膚洗浄素材の製造方法の概略図
【図２】一実施例としての皮膚洗浄素材の概略図
【符号の説明】
【００８３】
１１ 基材
１２ 硬質細粒
１３ シリコンゴム
２４ 端面角
２５ 開口部
２６ 成形体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、健全な皮膚を傷つけることなく、角質化した皮膚や老廃物等を皮膚から除去するための皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
皮膚は常に新陳代謝により、新しい皮膚が作られ古い皮膚は皮膚の表面で角質化する。当該角質化した皮膚は自然に又は人為的に取り除くことによって新しい皮膚の形成を促進することができる。しかし角質化した皮膚が蓄積すると象皮化して硬くなり、健全な皮膚の再生の妨げにもなる。
【０００３】
通常、入浴時に洗浄する事によって当該角質化した皮膚を除去することが行われている。一般的に体を洗うために綿または化学繊維製のタオルが使用されるが、皮膚表面に付着する汚れや皮脂汚を取ることはできても角質化した皮膚を効果的に取り除くことは困難であった。特に化学繊維製タオルなどで強く擦ると、角質化した皮膚が除去されるだけでなく、健全な皮膚まで擦り傷を負う危険性があった。
【０００４】
また当該角質化した皮膚を除去するための用具として古くから軽石、近年では金属製の専用ヤスリ(例えば特許文献１参照)、セラミック細粒などを固着させた研磨用具(例えば特許文献２参照)などが使用されてきた。しかし、これらの用具は硬くて鋭利な部分で角質を削り取る方法であるため、化学繊維製タオルと同様に、健全な皮膚まで削り傷を負わす危険性があった。
【０００５】
さらには、指の間や乳幼児の皮膚などの場合には薄くて摩擦に対する抵抗力が弱いため、これらの従来の用具を使用することが敬遠され、その替わりに皮膚に傷を負わさず効果的に洗浄できる素材の開発が待たれていた。
【０００６】
【特許文献１】特開２００１−２０４６４９号公報
【特許文献２】特開２００４−１０５７４４号公報
【０００７】
そこで、これらの課題を解決するために、硬くて鋭利な部分で角質を削るのではなく、皮膚を傷つけない程度の軟性を有し、入浴により膨潤して軟化した角質かした皮膚を効果的に削り取る用具を実現する為に、鉱石又は金属及び硬質樹脂などを破砕した細粒を成形側表面に固着させた成形型に軟質高分子材料を流し込んで硬化させ、破砕細粒の形状をそのまま写し取った面を有する成形体を皮膚洗浄素材として作成した。このような形状にすると、破砕細粒が複雑に入り組んだ凹凸部とその端面角部が軟化した角質を効果的に削り取り角質下の健全な皮膚を傷つけないことによって課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、角質化した皮膚の効率的な除去と健全な皮膚の保護効果を有し、使用による磨耗が少なく衛生的な使用を可能にすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、このような課題を解決するために、皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具、並びに皮膚洗浄素材の製造方法としてなされたもので、皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具に係る請求項１記載の発明は、破砕形状を有する鉱石、金属、合成樹脂などの硬質材料の細粒を基材面上に分散して固着することによって形成した凸部パターンを、軟質高分子材料を用いて凹部パターンとして転写した面を有する成形体であることを特徴とする。
【００１０】
当該凹部パターンを有する成形体は、鋭利な角度や細かい面を有する微細な形状を有しており、この面が複雑な形状をしている皮膚表面にからみつき、皮膚と相互作用で癒着することによって効率的に汚れや角質を除去する作用がある。
【００１１】
なお、凸部パターンを形成するための細粒は、その原料を圧搾して破砕形状を有する細粒に成形するため、前記に列記したような破砕形状に破壊されやすい硬質な材料が好ましいのである。
【００１２】
さらに、請求項２記載の発明は、前記凹部パターンが平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする。
【００１３】
このような形状にする事によって、手足、指、顔面、関節、その他複雑な面形状を有する人体表面に除去作用を有する面を効率的に接触させることができるという作用を有している。
【００１４】
さらに、請求項３記載の発明は、前記軟質高分子材料が、シリコンゴム、ウレタンゴムの少なくとも１種以上を含有する合成ゴムであることを特徴とする。
【００１５】
これらの合成ゴムを母材にすることによって、凹部パターンの成形体表面が角質化した皮膚に効率的に接着するとともに、耐薬品性、耐候性などが優れているために効果が長期的に持続する。
【００１６】
また、用いる軟質高分子材料は、健全な皮膚まで傷を負わさない硬度の材料を選択することによって角質化した皮膚を安全に削り取ることが可能となり、さらに微細な端面角を多く有する形状にすることによって細かい汚れや角質化した皮膚を効率的に除去することが可能となる。
【００１７】
さらに、請求項４記載の発明は、前記軟質高分子材料が、化学繊維又は高分子材料を原料とするスポンジ及び軽石により作られた他の皮膚洗浄素材と複合的に貼りあわされたことを特徴とする。
【００１８】
これらの形状にすることによって、使用環境や条件に合わせて皮膚洗浄効果を発揮することが可能になる。
【００１９】
皮膚洗浄素材の製造方法に係る請求項５記載の発明は、破砕形状を有する鉱石、金属、硬質樹脂などの硬質な細粒を表面に固着させて凸部パターンを形成した成形型に、軟質高分子材料を流し込んで硬化させた後に軟質高分子材料のみを引き剥がすことによって、前記凸部パターンを凹部パターンとして転写させた成形体であることを特徴とする。
【００２０】
流動性と柔軟性に富む軟質高分子材料の作用によって複雑な形状をなした成形型でも離型の際に成形型に接着せずに容易に取り離すことができるという効果がある。
【００２１】
軟質高分子材料は、転写性能が高くて離型の際には容易に取り離せるシリコンゴムやウレタンゴムなどの合成ゴムが好ましい。
【００２２】
さらに、請求項６記載の発明は、前記成形型の内面が平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする。
【００２３】
このように成形型の内面を予め平面、曲面、あるいは連続する波形に形成した物を用いると、複雑な使用箇所にあわせた削り用具の形状を容易に成形することが可能になる。
【発明の効果】
【００２４】
以上のように、本発明は、鉱石又は金属及び合成樹脂などの硬質材料を破砕した細粒を積層固着させた成形型を用いて軟質高分子材料を転写成形することにより、正常な皮膚を傷つけることなく安全に、汚れや角質化した皮膚を効果的に削り取る用具の素材を得ることができる。
【００２５】
さらに、用具の素材が有する耐摩耗性により長期の使用による磨耗などの劣化が少なく、かつ用具素材の深部まで汚れが入り込まないため容易に洗浄ができ、耐熱性が高いため煮沸滅菌ができ衛生的であるなど、多大な効果を得ることが可能になる。
【００２６】
さらに、本発明の皮膚洗浄素材は、汚れや角質化した皮膚を削り取る目的以外に、口腔の舌表面の老廃物除去にも優れており、過敏な舌表面組織を傷つけることなく老廃物のみを除去することができる。
【００２７】
さらに、美顔用の化粧料の除去にも適用することができ、過敏な顔肌を傷つけることなく化粧料のみを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。
【００２９】
（実施形態１）
本実施形態は、健全な皮膚に傷を付けることなく、汚れや角質化した皮膚を効果的に削り取る用具、即ち手足関節部分や手足指間の角質化した皮膚の除去、あるいは全身美肌を目的とした皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具、並びに皮膚洗浄素材の製造方法の実施形態である。
【００３０】
用具に使用する皮膚洗浄素材の製造方法として、角質を削り取る用具の研磨部、即ち凹部パターンを平面状の基材１１に硬質材料を０．１ｍｍから０．５ｍｍまでの大きさに粉砕した硬質細粒１２を積層固着させた型に軟質高分子材料を流して硬化させ、硬質細粒が複雑に入り込んだ形状を転写して成形体２６を形成する。
【００３１】
軟質高分子材料として、成形時の流動性が良く、硬化した後に成形体２６を型から取り出す際に容易に離型するシリコンゴム１３を用いる。また、シリコンゴム１３は引張り強度が高く、柔軟性があるために複雑に入り込んだ形状の凹部に入り込んだものでも破壊することなく離型することができる。
【００３２】
以上のシリコンゴム軟質高分子材料は耐熱温度が２００℃と高く、熱湯や高温の水蒸気で滅菌処理することができるため、衛生面でも安心して使用することができる。
【００３３】
硬質細粒１２の積層部は、成形型の基材１１に熱反応型接着剤などで強固に固着し、シリコンゴム１３を離型する際に基材１１から脱離することがないように加工している。
【００３４】
上記製造方法によって製造された皮膚洗浄素材は、硬質細粒１２によって転写されたシリコンゴム１３には、硬質細粒１２の端面、即ち凸部パターンが転写されて凹部パターンを形成しているため、端面角２４および開口部２５が多く形成されている。
【００３５】
硬質細粒１２によって転写された成形体２６は端面角２４とその周囲の面は角質の削り作用を行い、開口部２５は削られた角質が一時的に取り込まれ、つぎに押し付けられて擦る際には押し出されるように排出されるため、角質を削る作用において削りを邪魔する緩衝材的な作用を及ぼすことがない。
【００３６】
また、転写により突起した成形体２６の端面角２４はシリコンゴム特有の柔軟性により、洗浄の際の押し付けによって皮膚形状に沿って馴染むため、健全な皮膚まで傷つけるほどの硬度は有していない。
【００３７】
一方では、シリコンゴムの弾性により端面角２４による、角質を削る機能は保持しているので、本発明では健全な皮膚に傷を負わすことなく効果的に汚れ洗浄や角質を削ることができる。
【００３８】
さらに、積層された硬質細粒１２の形状を転写した皮膚洗浄素材を使用する体の部位に合わせて平面形状、あるいは曲面にすることでより使い易くなり、効果的な皮膚洗浄が可能になる。
【００３９】
さらに、単なる平面や曲面ではなく、連続する波型形状面にすることにより、小さな力でも強い押し圧効果が得られて皮膚洗浄効果が増す。さらには削られた角質分に排出がより容易になり、相乗的に皮膚洗浄効果が発生する。
【００４０】
さらに、本実施例の皮膚洗浄素材は、平面形状の任意の位置に開口部を設けても良い。この構造にすると、本皮膚洗浄素材で体の面を洗浄する際に、当該開口部を介して洗浄除去された物質が排出されやすくなる効果がある。
【００４１】
（実施形態２）
本実施形態は、美顔用の化粧料除去、頭皮の余剰皮脂分の除去、外耳孔の汚れ除去などの、美顔および美容を目的とした皮膚の浄化を主な目的とした用具とその製造方法の実施形態である。
【００４２】
本実施形態の用具の製造方法および製造した用具の表面形状は上記実施形態１と同様であるためにここでは説明を省略する。
【００４３】
本実施例の用具表面に形成した凸部パターンによって、角質化した不要な皮膚と共に、その周囲に近接する余剰の皮脂、あるいは化粧料や塗布剤も除去するものである。
【００４４】
使用の便のため、用具自身の厚みや大きさが実施形態１の用具と比べて薄く、柔軟に形成されている。
【００４５】
特に、頭皮の洗浄用用具の場合には、手指を用いて用具を頭皮に圧着させて摩擦することによって使用するため、指サックの形状をした本体の外側に凸部パターンを形成している。
【００４６】
さらに、指サックの形状をした本体の場合は、頭皮に接触させる面のみに凸部パターンを形成し、その他の部分あるいは任意の位置に開口部を設けても良い。
【００４７】
（実施形態３）
本実施形態は、口腔舌面の老廃物除去のための用具とその製造方法の実施形態である。
【００４８】
本実施形態の皮膚洗浄素材の製造方法および製造した皮膚洗浄素材の表面形状は上記実施形態１又は２と同様であるためにここでは説明を省略する。
【００４９】
本実施形態の用具は、口腔内などの体内内部の浄化を行うものであり、使用の便のため、凸部パターンを形成した素材を硬質な支持棒あるいは導入スケールなどの先端部に貼り付けた形状をしている。
【００５０】
さらに、素材をはり付けるための前記支持棒の先端部は、Ｔ字型、Ｏ字型、Ｕ字型、その他任意の形状を有していても良い。要は、口腔舌面を洗浄しやすい形状であれば任意の形状に整形しても良いのである。
【００５１】
（その他実施形態）
上記実施形態の他に本実施形態の皮膚洗浄用具は、皮膚が軟弱な乳幼児や高齢者の全身洗浄用の用具としても使用が可能である。
【００５２】
さらに、全身皮膚マッサージ用の用具としても提供することができる。
【実施例】
【００５３】
以下、本発明の実施例について説明する。
【００５４】
（実施例１）
本実施例は、全身および手足関節部分や手足指間の、汚れや皮膚老廃化した角質除去を目的とした、皮膚洗浄用具の一つとして平面状に成形した用具に関するものである。
【００５５】
本実施例では、市販の粗仕上げ用サンドペーパー（６０番）を、水平で平滑な面に研磨面を上にして設置し、外周形を決める目的の形枠をサンドペーパーの上に置き、信越化学工業株式会社製ＫＥ−１３１０ＳＴ型二液硬化反応型シリコンゴムを厚さ５ｍｍに調整して流し込んだ。
【００５６】
続いて２時間の硬化反応が完了したところで型枠を取り外し、サンドペーパーとシリコンゴムの両端を引き離すことによって両者を分離し、凸部パターンとしてのサンドペーパー研磨部を、凹部パターンとしてそのまま転写した板状のシリコンゴム成形体を得ることができた。
【００５７】
本実施例の効果を調べるため専門家の評価を受けた結果、従来の金属性ヤスリや軽石の研磨効果と比べると、角質を削り取る作用性は低いが、使用中でも皮膚の痛さは全く感じず、健全な皮膚を傷つけたりすることが無いことが判明した。
【００５８】
また、角質除去は短時間に一回の操作で除去するより、常に使用することで角質を蓄積しないことが最善であり、このためには本発明品は、スポンジ感覚で使用することができ、角質も効果的に削りとることができるので、多数の皮膚洗浄製品の中でも効果と安全性が高い商品であるとの評価を得た。
【００５９】
（実施例２）
本実施例は、主に踵部など比較的厚い角質削り用具の一つとしての長楕円柱形状に成形したものである。
【００６０】
本実施例では、市販の粗仕上げ用サンドペーパーを使い、削り目を内側にして幅３０ｍｍ×厚み５ｍｍ×長さ１００ｍｍの長楕円状の筒上にして、一方の端末には樹脂板で密栓した。
【００６１】
この筒状の型に二液型シリコンゴムを流し込み、２時間の硬化反応が完了したところで、シリコンゴムを型から取り出した。サンドペーパーとシリコンゴムの型式は実施例１と同じである。
【００６２】
シリコンゴムの成形仕上がり品は、サンドペーパーの継目を切り開いて取り出した。この際、サンドペーパーの研磨部へのシリコンゴムの接着による残留は一切なく、容易に取り出すことができた。量産時には金属または樹脂製の割り型で成形すると型からの取り出しは可能である。
【００６３】
なお、実施例１と同様に専門家の評価を受けた結果、実施例１と同様の評価を得ることができた。
【００６４】
（実施例３）
本実施例は、美顔用の化粧料除去を目的とした用具の一つとして成形したものである。
【００６５】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムを、容易に手の指間で保持できるように、厚みを２ｍｍに成形し、１辺が８ｃｍの三角形状に裁断した。
【００６６】
本実施例の用具を用いて、使用後の化粧品を落す目的で専用のオイルと一緒に磨ると通常では堅牢な化粧料も容易に落ちることが確認された。
【００６７】
(実施例４)
本実施例は、頭皮の洗浄用具の一つとして成形されたものである。
【００６８】
本実施例では、手の指が差し入れることができる、指サック形状及び手袋形状に成形された指部表面に、実施例２で得られた研磨部を持つシリコンゴムの小さな突起部を設けた。
【００６９】
本実施例の用具を用いて、洗剤を使った洗髪時に頭皮を磨ると、通常では落ち難い皮脂汚れや老廃化した頭皮も容易に落ちることが確認された。
【００７０】
(実施例５)
本実施例は、外耳孔周の汚れをとる用具の一つとして成形されたものである。
【００７１】
本実施例では、実施例２と同じ手法で作成し、研磨部を持った直径５ｍｍの半球形と円柱状の成形体を作成した。
【００７２】
本実施例の用具を用いて、外耳孔に挿入して回しながら磨ると、孔周辺に付着した汚れが効果的に取れ、シリコンゴムの軟性によって必要以上の力が加わらないので、痛さを感じないことや、シリコンゴムに付着した汚れは、ティシュペーパーで拭くと、容易に取れることが確認された。
【００７３】
（実施例６）
本実施例は、口腔舌面の老廃物除去のための用具の一つとして成形したものである。
【００７４】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムを、縦３ｃｍ幅１ｃｍに裁断した小片に成形し、歯ブラシ本体の刷毛部にあたる箇所に貼り付け、口腔舌表面の汚れ落し用具を作成した。
【００７５】
本実施例の用具を用いて口腔舌表面を磨ると、非常に軟弱な舌組織を傷つけることなく汚れが容易に落ちることが確認され、効果的に口腔舌表面の汚れ落し用具が得られた。
【００７６】
(実施例７)
本実施例は、特に皮膚が軟弱な乳幼児や高齢者の、全身洗浄用具の一つとして成形されたものである。
【００７７】
本実施例では、実施例１で得られた研磨部を持った板状のシリコンゴムで、８ｃｍ×４ｃｍの小判形状を２枚使用して、其々の板状シリコンゴムの研磨部を外側にして、外周部を接合封止して中に空気を注入した風船状の用具を作成した。
【００７８】
本実施例の用具を用いて、軟弱な皮膚の高齢者の肌を洗浄すると、用具の中に封入された空気による緩衝効果と、シリコンゴムの軟性の相乗効果によって、特に軟弱な皮膚を傷つけることなく、老廃化した皮膚を落すことが確認された。
【００７９】
さらに、実施例１乃至７の用具を継続して二ヶ月以上毎日使用した後、表面の状態を観察した結果、ほとんど凹部パターン形状の変化は認められず、耐摩耗性に優れていることも確認できた。
【産業上の利用可能性】
【００８０】
本発明の皮膚洗浄素材は、前述の実施例で示した成人用の通常の角質化した皮膚の除去目的以外に、安全でかつ清潔であることから乳幼児や高齢者の体洗浄にも適している。
【００８１】
さらに、正常な皮膚を傷つけることなく角質化した皮膚以外にも不要物の除去が可能であることから、洗髪用器具、美顔用具、洗顔用具などの他、皮膚疾患者に対する皮膚洗浄用器具としても幅広く適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００８２】
【図１】一実施例としての皮膚洗浄素材の製造方法の概略図
【図２】一実施例としての皮膚洗浄素材の概略図
【符号の説明】
【００８３】
１１ 基材
１２ 硬質細粒
１３ シリコンゴム
２４ 端面角
２５ 開口部
２６ 成形体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
破砕形状を有する鉱石、金属、合成樹脂などの硬質材料の細粒を基材面上に分散して固着することによって形成した凸部パターンを、軟質高分子材料を塗布して凹部パターンとして転写した面を有する皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項２】
前記凹部パターンが平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする請求項１に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項３】
前記軟質高分子材料が、シリコンゴム、ウレタンゴムの少なくとも１種以上を含有する合成ゴムであることを特徴とする請求項１又は２に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項４】
前記軟質高分子材料が、化学繊維又は高分子材料を原料とするスポンジ及び軽石により作られた他の皮膚洗浄素材と複合的に貼りあわされたことを特徴とする請求項１乃至３に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項５】
破砕形状を有する鉱石、金属、硬質樹脂などの硬質な細粒を表面に固着させて凸部パターンを形成した成形型に、軟質高分子材料を流し込んで硬化させた後に軟質高分子材料のみを引き剥がすことによって、前記凸部パターンを凹部パターンとして転写させる皮膚洗浄素材の製造方法。
【請求項６】
前記成形型の内面が平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする請求項５に記載の皮膚洗浄素材の製造方法。
【請求項１】
破砕形状を有する鉱石、金属、合成樹脂などの硬質材料の細粒を基材面上に分散して固着することによって形成した凸部パターンを、軟質高分子材料を塗布して凹部パターンとして転写した面を有する皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項２】
前記凹部パターンが平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする請求項１に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項３】
前記軟質高分子材料が、シリコンゴム、ウレタンゴムの少なくとも１種以上を含有する合成ゴムであることを特徴とする請求項１又は２に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項４】
前記軟質高分子材料が、化学繊維又は高分子材料を原料とするスポンジ及び軽石により作られた他の皮膚洗浄素材と複合的に貼りあわされたことを特徴とする請求項１乃至３に記載の皮膚洗浄素材および皮膚洗浄用具。
【請求項５】
破砕形状を有する鉱石、金属、硬質樹脂などの硬質な細粒を表面に固着させて凸部パターンを形成した成形型に、軟質高分子材料を流し込んで硬化させた後に軟質高分子材料のみを引き剥がすことによって、前記凸部パターンを凹部パターンとして転写させる皮膚洗浄素材の製造方法。
【請求項６】
前記成形型の内面が平面、曲面、あるいは連続する波形であることを特徴とする請求項５に記載の皮膚洗浄素材の製造方法。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００７−６１４６６（Ｐ２００７−６１４６６Ａ）
【公開日】平成１９年３月１５日（２００７．３．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２５３１５４（Ｐ２００５−２５３１５４）
【出願日】平成１７年９月１日（２００５．９．１）
【出願人】（３０２０６２８０５）
【出願人】（３０５０４３７６６）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年３月１５日（２００７．３．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月１日（２００５．９．１）
【出願人】（３０２０６２８０５）
【出願人】（３０５０４３７６６）
【Ｆターム（参考）】
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