説明

皮膚貼付積層体

【課題】 温熱付与体の発熱終了後に、温熱付与体のみを簡便に剥がし取ることができる皮膚貼付積層体を提供すること。
【解決手段】 基材層21と、該基材層の一面側に形成されて皮膚に直接貼付するための皮膚粘着剤層22とを有する皮膚貼付体20と、発熱剤11と、該発熱剤を収容する発熱剤収容層12とを有する温熱付与体10と、を備え、前記温熱付与体10の一面側の発熱剤収容層12と前記皮膚貼付体20の前記基材層21の他面側とが、易剥離性接着層30を介して接着されて形成されることを特徴とする皮膚貼付積層体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体を含む、皮膚に貼付する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経皮鎮痛消炎外用絆創膏を患部の皮膚に貼り温める場合、絆創膏の薬剤塗布面の裏側に使い捨てカイロをあらかじめ接着した構成が提案されている(特許文献1参照)。
また、使い捨て足用カイロの加温効果に加え、冷え性の症状改善効果を狙い、使い捨て足用カイロにつぼを刺激する突起を付け加え、さらにその突起に磁石を用いた構成が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、カイロの温熱と貼薬の温熱刺激との相乗効果を図るため、発熱材を袋体内に封入して形成された使い捨てカイロの袋体の表又は裏面に接着層を設け、更に漢方薬剤等の貼薬剤をシートに展延すると共に、その貼薬剤の表面に剥離シートを貼着して貼薬を形成し、且つその貼薬のシートを使い捨てカイロの接着層に貼着したことを特徴とする使い捨てカイロと一体とした貼薬の構成が提案され(特許文献3参照)、さらに、長時間使用可能な貼薬剤の場合には、使い捨てカイロの発熱効果がなくなった時に使い捨てカイロから貼薬を剥離し、その貼薬に新しい使い捨てカイロを貼着することにより再び使用することが開示されている(同文献の段落0009参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−200450号公報
【特許文献2】特開2006−26370号公報
【特許文献3】特開平10−201787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1と2の使い捨てカイロは、薬剤塗布面と使い捨てカイロを接着したり、カイロ自体に隆起物を作るなど、使い捨てカイロとそれ以外の治療作用に供する部分とが分離できる構成とはなっておらず、使い捨てカイロの発熱効果がなくなった時には、使い捨てカイロ以外の治療作用に供する部分も使い捨てる必要があった。
【0005】
また、特許文献3の貼薬は、使い捨てカイロの発熱効果がなくなった時に使い捨てカイロから貼薬を剥離し、その貼薬に新しい使い捨てカイロを貼着することにより再び使用できることとなっているが、貼薬剤を展延するシートを皮膚から剥がすことなく、使い捨てカイロのみを剥がすことができず、シートを皮膚から剥がした上でカイロをシートから剥がし取る必要があった。しかし、2度目以降の貼付はそのシートの貼着力が弱くなり剥がれやすくなるために、使い捨てカイロである発熱体のみをいかに簡便に剥がし取り、それ以外の治療作用に供する部分を肌に残すかが問題となっていた。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、発熱剤を含む温熱付与体と皮膚に貼付することによって機能する部分を含む皮膚貼付体とを備え、温熱付与体の発熱終了後に、温熱付与体のみを簡便に剥がし取ることができる皮膚貼付積層体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のある観点によれば、基材層とこの基材層の一面側に形成されて皮膚に直接貼付するための皮膚粘着剤層とを有する皮膚貼付体と、発熱剤とこの発熱剤を収容する発熱剤収容層とを有する温熱付与体と、を備え、前記温熱付与体の一面側の発熱剤収容層と前記皮膚貼付体の前記基材層の他面側とが、易剥離性接着層を介して接着されて形成されることを特徴とする皮膚貼付積層体が提供される。
この構成によれば、温熱付与体の発熱効果が消失した後は、皮膚に貼付することによって機能する皮膚粘着剤層を含む皮膚貼付体を皮膚に貼り付けたまま、温熱付与体を剥がし取ることができる。
【0008】
また、前記温熱付与体の前記一面側の前記発熱剤収容層は非通気層であり、前記温熱付与体の他面側の発熱剤収容層は通気層であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、温熱付与体の、皮膚貼付体の基材層と接着する側の発熱剤収容層が非通気層であることにより、皮膚貼付体における易剥離層面側に通気性(空気の通り道)を持たせる必要がないため、温熱付与体と皮膚貼付体とをより接着性を高めることができる。
【0009】
また、前記温熱付与体の前記一面側と他面側の発熱剤収容層は通気層であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、温熱付与体の両面に通気性を持たせることにより、より発熱剤へ空気を送ることが可能となり、早く温めることができる。
【0010】
また、前記温熱付与体における前記一面側の前記発熱剤収容層は外側に耐熱層をさらに備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、温熱付与体が発する熱が易剥離性接着層の接着力に与える影響を小さくすることができる。
【0011】
また、前記易剥離性接着層は、前記温熱付与体の前記一面側の前記発熱剤収容層と前記皮膚貼付体の前記基材層の前記他面側との間に、部分的に形成されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、接着力の調整を容易に行うことができる。
【0012】
また、前記易剥離性接着層は、イージーピールコート剤により形成されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、柔軟に易剥離性接着層を形成することができる。
【0013】
また、前記温熱付与体の前記通気層は、多孔質フィルム及び不織布を有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、通気性を保持しつつ発熱剤を収容し、肌触りのよい皮膚貼付積層体を提供できる。
【0014】
また、前記皮膚貼付体の皮膚粘着剤層の前記基材層に対向する面側に剥離自在の剥離シートをさらに備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、皮膚に貼付する際に剥離シートを皮膚粘着剤層から剥離することができ、使い勝手のよい皮膚貼付積層体を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温熱付与体の発熱効果が消失した後は、皮膚に貼付することによって機能する皮膚粘着剤層を含む皮膚貼付体を皮膚に貼り付けたまま、温熱付与体を剥がし取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】皮膚貼付積層体の第1実施形態を示した断面図。
【図2】皮膚貼付積層体の第2実施形態を示した断面図。
【図3】皮膚貼付積層体の第2実施形態における、易剥離性接着層のパターンのバリエーションを示した図。(A)は、皮膚貼付体20Aの断面図。(B)は、易剥離性接着層を一面に形成したパターン。(C)は、易剥離性接着層をストライプ状に形成したパターン。(D)は、易剥離性接着層を概ね六角形に形成したパターン。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら、本発明の各実施形態に係る皮膚貼付積層体について説明する。
<第1実施形態>
図1は、皮膚貼付積層体の第1実施形態を示した断面図である。図1に示すように、皮膚貼付積層体1は、温熱付与体10、皮膚貼付体20、及び易剥離性接着層30から構成されている。
【0018】
温熱付与体10は、2つの発熱剤収容層12が発熱剤11を両側から扁平状に収容するように形成されてなり、本実施形態では、各発熱剤収容層12は、発熱剤11を空気に暴露し酸化発熱させるための通気層13として形成されている。温熱付与体の両面に通気性を持たせることにより、より発熱剤へ空気を送ることが可能となり、早く温めることができる。但し、他面(易剥離層面)側は、空気が発熱剤へ供給されるよう前記易剥離性接着剤層の形成に工夫が必要となる(詳細は、後述する)。
【0019】
皮膚貼付体20は、皮膚貼付体20の基層として機能する基材層21と、その基材層21の下面に、薬効成分を含む薬剤や治療を施す固形物などを有する皮膚に貼付することによって機能する皮膚粘着剤層22を備え、さらに、皮膚粘着剤層22の下面に皮膚粘着剤層22から剥離自在な剥離シート23を備える。
【0020】
易剥離性接着層30は、皮膚貼付体20の基材層21と温熱付与体10の一方の通気層13との間に位置し、皮膚貼付体20と温熱付与体10とを接着する。このようにして、温熱付与体10と皮膚貼付体20と易剥離性接着層30とが一体化して皮膚貼付積層体1を形成している。
【0021】
皮膚貼付積層体1の使用者は、使用の際、発熱剤11が酸化発熱しないように通常密封された袋(図示せず)に入っている皮膚貼付積層体1を袋から取り出し、皮膚貼付積層体1から剥離シート23を剥がし取り、使用者の患部の皮膚に貼付する。発熱剤11は袋を破り酸素に触れた時点から発熱が始まっており、通気層13の通気孔(図示せず)の数を多くすることで酸素に暴露する速度を早めることにより、または、発熱剤11に含まれる水分量を減らすことにより、素早く温熱効果を発揮することが可能となる。この結果、使用者においては、皮膚に貼る時点ではすでに温かくなっているのでひんやり感がなくなり、さらに、すぐに温かくなったと実感することができる。
【0022】
しかし、温熱付与体10の発熱効果は数時間持続するだけであるが、皮膚粘着剤層22の効能は通常温熱付与体10の発熱効果の持続時間より長いので、温熱付与体10の発熱効果が消失した後は、温熱付与体10は皮膚貼付体20より通常厚いので、それを皮膚に貼付したままにしておくことは、使用者にとって煩わしいものである。そこで、温熱付与体10と皮膚貼付体20は、易剥離性接着層30により易剥離性を持って接着されているので、使用者は、容易に皮膚貼付体20を皮膚に貼付したまま、温熱付与体10のみを剥がし取ることができ、依然効能がある皮膚貼付体20を貼り続けておくことが可能となる。
【0023】
以下、さらに詳細に説明する。
皮膚貼付積層体1は、温熱付与体10として使い捨てカイロを用い、また皮膚粘着剤層22として粘着性を有する経皮吸収剤などを薬剤として使用したプラスター剤を用いている。
【0024】
使い捨てカイロの温熱付与体10は、通気性のある多孔質フィルム131と不織布132からなる通気層13が、発熱剤11を両側から封入している。発熱剤11は、例えば鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭、塩類等が混合された混合粉体で、酸素と反応して発熱するものである。尚、発熱剤として、混合粉体をシート状に成形したり、シート状物に混合粉体を保持させたものを用いることもできる。通気層13の多孔質フィルム131は、多数の通気孔(図示せず)が穿孔されている。もちろん、これに限定されるものではなく、内部の発熱剤11に酸素を供給できるよう少なくともその一部分が通気性を有すればよい。また、通気層13の不織布132は本質的に通気性を有することは言うまでもない。不織布132を備えたのは、使用者の肌触り・触感などを良くし使用感を高めるためであるが、通気性を有すれば、他の編織布などの素材であってもよい。
【0025】
皮膚貼付体20は、編織布または不織布などの柔軟性を有する素材、又はポリウレタンなどのような高分子化合物からなる基材層21と、その基材層21の下面に経皮鎮痛剤や湿布剤などの薬効成分を含む粘着性組成物からなる皮膚粘着剤層22を備えたプラスター剤である。この皮膚粘着剤層22は、経皮鎮痛消炎外用絆創膏、漢方貼薬、膏薬、湿布薬、血行促進剤などの貼薬を形成し、おおよそ肩こり、腰痛、筋肉痛などの治癒のために皮膚に貼って使用されるすべてのものである。また、温熱効果により本来の効果が高められるスキンケア剤を含むものであってもよい。例えば、脱毛クリームの場合は、温熱効果により毛穴が開くことにより、脱毛がより効果的に行える。
【0026】
易剥離性接着層30は、使い捨てカイロの温熱付与体10の一方の通気層13である不織布132と、プラスター剤の皮膚貼付体20の基材層21とを接着している。この易剥離性接着層30を、仮に、アクリル系粘着剤などを用いた場合には、使い捨てカイロの温熱付与体10の熱や経時的な要素により両者間の粘着力が影響を受ける結果、使い捨てカイロの温熱付与体10は不用意には剥がれ落ちることなく、かつ、不要になった場合にはそれのみを剥がし取ることができるような粘着力を制御することが困難である。一方、易剥離性を有する接着剤を用いて両者を接着すれば、接着力が安定しているので、熱の影響や経時的変化を考慮する必要がなくなる。
【0027】
易剥離性を有する接着剤は、例えば、硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などによる易剥離剤が使用できるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態では、かかる易剥離剤を温熱付与体10の通気層13である不織布132にまず塗布し、その後皮膚貼付体20と接着することにより、皮膚貼付積層体1を形成しているが、これに限定されるものではない。また、易剥離性接着層30を、イージーピールコート剤を用いて、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、凸版印刷方式などの印刷方式により形成してもよい。これによると、易剥離性接着層30を容易に様々なパターンに形成できる(詳しくは後述する)。
【0028】
粘着性を有する経皮吸収剤などを薬剤として使用したプラスター剤である皮膚貼付体20の皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力と、易剥離性接着層30の接着力及びその易剥離性との関係は、以下のように実現する。
【0029】
まず、易剥離性接着層30が、使用中などに不用意に脱落しないためには、易剥離性接着層30の剥離試験における接着力が少なくとも0.2ニュートン/25mm程度は必要である。一方、易剥離性の観点からは、この接着力は、皮膚貼付体20の皮膚粘着剤層22の皮膚に対する粘着力よりは小さくする必要ある。もし逆であると、使い捨てカイロの温熱付与体10を剥がし取る時に、一緒に皮膚貼付体20も剥がれてしまうからである。発明者の実験によれば、使い捨てカイロの温熱付与体10のみを容易に剥がし取ることができるようにするためには、易剥離性接着層30の接着力と皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力の差が約0.8ニュートン/25mm必要である。したがって、皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力は、少なくとも約1.0ニュートン/25mmとなる。
【0030】
好ましくは、易剥離性接着層30の接着力は0.2ニュートン/25mmより大きく、かつ、易剥離性接着層30の接着力と皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力の差がより大きくすると、使い捨てカイロの温熱付与体10がより剥がれ落ちることがなく、かつ、粘着力の差が広がるために、より容易に使い捨てカイロの温熱付与体10を剥がし取ることができる。例えば、皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力を約1.7ニュートン/25mmとする場合には、易剥離性接着層30の接着力は約0.3ニュートン/25mmとすることができ、また、皮膚粘着剤層22の皮膚との粘着力を約3.0ニュートン/25mmとする場合には、易剥離性接着層30の接着力は約0.4ニュートン/25mmとすることができる。
【0031】
易剥離性接着層30のこのような易剥離性接着力は、上述の易剥離剤にワックス類を混合して易剥離性を調整してもよいし、また、易剥離性接着層30の接着面の面積や形を変化させることにより易剥離性を調整してもよい(詳しくは、後述する)。
【0032】
<第2実施形態>
図2は、皮膚貼付積層体の第2実施形態を示した断面図である。上記実施形態と重複した説明は省略する。
皮膚貼付積層体1Aは、温熱付与体10A、皮膚貼付体20A、及び易剥離性接着層30Aから構成されている点は上記実施形態と同じである。
【0033】
温熱付与体10Aは、2つの発熱剤収容層12Aが発熱剤11Aを両側から扁平状に収容するように形成されてなり、本実施形態では、一の発熱剤収容層12Aは、発熱剤11Aを空気に暴露し酸化発熱させるための通気層13Aとして、他の発熱剤収容層12Aは、空気を通さない非通気層14Aとして形成されている。皮膚貼付体20Aの基材層21Aと接着する面を非通気層とすることにより、皮膚貼付体20Aにおける易剥離層面側に通気性(空気の通り道)を持たせる必要がないため、温熱付与体10Aと皮膚貼付体20Aとをより接着性を高めることができる。
【0034】
通気層13Aは、上記実施形態と同様、通気性のある多孔質フィルム131Aと不織布132Aからなる。発熱剤11Aを空気へ暴露するため、また、皮膚貼付積層体1Aを皮膚に貼付した際、柔らかい肌触り・触感を確保するためである。
【0035】
皮膚貼付体20Aの基材層21Aと接着する非通気層14Aは、ポリエチレンフィルム層(PE層)141Aと耐熱層142Aからなる。もちろん、非通気層14Aを形成するためには、PE層141Aだけであってもよい。また、耐熱層142Aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの耐熱性、強靭性のある素材で形成される。このように、発熱剤11Aと易剥離性接着層30Aとの間に耐熱層142Aを備えることにより、温熱付与体10Aが発する熱が易剥離性接着層30Aの接着力に与える影響を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、非通気層の素材としてポリエチレンフィルムを、耐熱層の素材としてポリエチレンテレフタレートを使用したが、これに限定されるものではない。他に、ポリブチレンテレフタレートやナイロンなどが使用できる。
【0036】
皮膚貼付体20Aは、上記実施形態と同様、基材層21Aと、その基材層21の下面に皮膚粘着剤層22Aを備え、さらに、皮膚粘着剤層22Aの下面に剥離シート23Aを備える。
【0037】
易剥離性接着層30Aは、皮膚貼付体20Aの基材層21Aと温熱付与体10Aの非通気層14Aとの間に位置し、皮膚貼付体20Aと温熱付与体10Aとを接着し、温熱付与体10Aと皮膚貼付体20Aと易剥離性接着層30Aとが一体化して皮膚貼付積層体1Aを形成している。
【0038】
皮膚貼付積層体1Aは、発熱剤11Aが酸化発熱しないように密封された袋(図示せず)に入っていてもよいし、片面が非通気層14Aを形成しているので、皮膚貼付積層体1Aを袋に入れることなく、もう一方の片面の通気層13Aを通して発熱剤11Aが酸素に触れないように、通気層13Aを密閉するシート(図示せず)を設けても良い。いずれにしても、皮膚貼付積層体1Aの使用者は、使用の際、密封された袋に入っている皮膚貼付積層体1Aを袋から取り出すか、通気層13Aを密閉するシートと剥離シート23Aを剥がし取り、使用者の患部の皮膚に貼付する。
その後、温熱付与体10Aの発熱効果が消失した後は、温熱付与体10Aと皮膚貼付体20Aは、易剥離性接着層30Aにより易剥離性を持って接着されているので、使用者は、容易に皮膚貼付体20Aを皮膚に貼付したまま、温熱付与体10Aのみを剥がし取ることができ、依然効能がある皮膚貼付体20Aを貼り続けておくことが可能となる。
【0039】
本実施形態では、易剥離剤を皮膚貼付体20の基材層21Aにまず塗布し、その後非通気層14Aである耐熱層142Aと接着することにより、皮膚貼付積層体1Aを形成しているが、これに限定されるものではない。
【0040】
図3は、皮膚貼付積層体の第2実施形態における、易剥離性接着層のパターンのバリエーションを示した図である。(A)は、皮膚貼付体20Aの断面図であり、(B)は、(A)の断面図に対応した易剥離性接着層30Aを一面に形成したパターンである。一方、(C)は、ストライプ状に易剥離性接着層30Bを形成したパターンであり、易剥離性接着層30Bの接着面積を変化させることにより、接着力の制御を容易に行うことができる。即ち、同じ易剥離剤を用いる場合であっても、易剥離性接着層30Bを部分的に形成することにより、易剥離性接着層30Bの接着力を制御でき、例えば、易剥離性接着層30Bの接着面積を1/2にすれば、易剥離性接着層30Bの接着力も1/2にすることできる。又は、温熱付与体10Aの両面に通気を持たせる場合、図面(C)のようにストライプ状に易剥離性接着剤層を設けることにより、他面(易剥離層面)側にも、空気が発熱剤へ供給可能となる。
【0041】
また、(D)は、概ね六角形状に易剥離性接着層30Cを形成したパターンであり、易剥離性接着層30Cの形を変化させることにより、接着力の制御を行うことができる。即ち、例えば使用者が温熱付与体10Aの短辺を摘まんで長手方向に引き剥がす際、最初に引き剥がされる易剥離性接着層の部分が、易剥離性接着層30Aのように直線をなしていると引き剥がしにくいが、易剥離性接着層30Cのように最初に引き剥がされる易剥離性接着層の部分に多角形の頂点のような突出部があると引き剥がし易くなる。そうすると、温熱付与体10Aが不用意に脱落しないように易剥離性接着層の接着力を高めても、引き剥がすきっかけがあることにより、容易に温熱付与体10Aを引き剥がすことが可能となる。
【0042】
なお、上記ではストライプ状や概ね六角形状の易剥離性接着層を述べたが、接着力の制御や、引き剥がす際のきっかけを与える形状であれば、どのような形状やパターンであってもよい。このような易剥離性接着層30の形状やパターンは、上述のように、イージーピールコート剤を用いて、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、凸版印刷方式などの印刷方式を用いれば、容易に形成できる。
また、温熱付与体10Aの不織布132A上に、引き剥がすきっかけがある部分を示す目印を設け、使用者がその位置をわかりやすくすることにより、温熱付与体10Aをより引き剥がしやすくすることができる。
【0043】
なお、皮膚貼付積層体の平面視形状は、上記では、概ね長方形として述べたが、これに限定されない。円、楕円、略多角形のいずれであっても良く、不必要に剥がれないようにするため、略多角形である場合には角が角丸となった角張らない形状が好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 皮膚貼付積層体
1A 皮膚貼付積層体
10 温熱付与体
10A 温熱付与体
11 発熱剤
11A 発熱剤
12 発熱剤収容層
12A 発熱剤収容層
13 通気層
13A 通気層
131 多孔質フィルム層
131A 多孔質フィルム層
132 不織布
132A 不織布
14A 非通気層
141A ポリエチレンフィルム層
142A 耐熱層
20 皮膚貼付体
20A 皮膚貼付体
21 基材層
21A 基材層
22 皮膚粘着剤層
22A 皮膚粘着剤層
23 剥離シート
23A 剥離シート
30 易剥離性接着層
30A 易剥離性接着層
30B 易剥離性接着層
30C 易剥離性接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、該基材層の一面側に形成されて皮膚に直接貼付するための皮膚粘着剤層とを有する皮膚貼付体と、
発熱剤と、該発熱剤を収容する発熱剤収容層とを有する温熱付与体と、を備え、
前記温熱付与体の一面側の発熱剤収容層と前記皮膚貼付体の前記基材層の他面側とが、易剥離性接着層を介して接着されて形成されることを特徴とする皮膚貼付積層体。
【請求項2】
前記温熱付与体の前記一面側の前記発熱剤収容層は非通気層であり、前記温熱付与体の他面側の発熱剤収容層は通気層であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚貼付積層体。
【請求項3】
前記温熱付与体の前記一面側と他面側の前記発熱剤収容層は通気層であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚貼付積層体。
【請求項4】
前記温熱付与体における前記一面側の前記発熱剤収容層は外側に耐熱層をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の皮膚貼付積層体。
【請求項5】
前記易剥離性接着層は、前記温熱付与体の前記一面側の前記発熱剤収容層と前記皮膚貼付体の前記基材層の前記他面側との間に、部分的に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の皮膚貼付積層体。
【請求項6】
前記易剥離性接着層は、イージーピールコート剤により形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の皮膚貼付積層体。
【請求項7】
前記温熱付与体の前記通気層は、多孔質フィルム及び不織布を有することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の皮膚貼付積層体。
【請求項8】
前記皮膚貼付体の前記皮膚粘着剤層の、前記基材層に対向する面側に剥離自在の剥離シートをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の皮膚貼付積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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