説明

監視カメラシステム

【目的】 監視カメラシステムにおいてカメラの異常が発生した場合にはセンター装置に即座に通報する。
【構成】 状態監視部21は各カメラ2の状態を監視し、異常がある場合には異常信号を出力する。状態監視部21から異常信号が出力されると通報部22はどのカメラに異常が発生したかを示すデータを生成して通信回線6を介してセンター装置7に通報する。また、通報部22は定期的な定時通報により各カメラ2の状態を示すデータをセンター装置7に対して通報する。更に、通報部22は、センサ4がアラーム信号を出力した場合には、即座にどのセンサがアラーム信号を出力したかを示すデータを生成して、このデータと画像信号をセンター装置7に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、監視カメラシステムに係り、特に監視カメラの異常をセンター装置に通報する監視カメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オフィス内等の所定のエリアを監視する監視カメラ(以下、単にカメラと称す)を備える監視カメラシステムが知られている。その概略の構成例を図6に示す。
【0003】図6において、画像通報装置1には、CCD等から成る3台のカメラ21 ,22 ,23 がそれぞれケーブル3によって接続され、且つ3台の熱線センサ41 ,42 ,43 がそれぞれ信号線5によって接続されている。勿論、画像通報装置1には3台以上のカメラ及び熱線センサを接続することが可能ではあるが、ここではカメラと熱線センサは3台接続されているものとする。また、画像通報装置1には、カメラや熱線センサに限らず火災感知器や窓が破られたことを検知するための窓用センサ等種々のセンサを接続することが可能ではあるが、ここでは理解を容易にするためにカメラと熱線センサが接続されているものとする。
【0004】カメラ21 ,22 ,23 は常時動作しており、それぞれ監視エリア内を撮像した画像信号をケーブル3を介して画像通報装置1に送出している。また、熱線センサ41 ,42 ,43 は熱線を発する移動体を検知すると侵入者ありを示すアラーム信号を信号線5を介して画像通報装置1に出力するものである。
【0005】また、画像通報装置1は、例えばISDN回線等の通常のデータばかりでなく、画像信号をも伝送できる通信回線6を介してセンター装置7に接続されている。なお、センター装置7は警備会社等に設置されているものである。また、センター装置7には通常複数の画像通報装置が接続されるが、図6においては理解を容易にするためにセンター装置7には一つの画像通報装置1のみが接続されているものとしている。
【0006】さて、図6に示すような構成においては、通常、カメラ21 と熱線センサ41、カメラ22 と熱線センサ42 、カメラ23 と熱線センサ43 はそれぞれ対になって所定の箇所に設置されており、且つ熱線センサ41 ,42 ,43 の警戒エリアは、それぞれ、カメラ21 ,22 ,23 の監視エリア内あるいはその近傍に設定されている。
【0007】そして、画像通報装置1は、カメラ21 ,22 ,23 から送出される画像信号を全てセンター装置1に伝送するのではなく、アラーム信号を出力した熱線センサと対をなしているカメラの画像信号のみをセンター装置7に伝送する。例えばいま、熱線センサ41 がアラーム信号を出力したとすると、画像通報装置1はこのアラーム信号と、当該熱線センサ41 と対をなしているカメラ21 からの画像信号とを通信回線6を介してセンター装置7に伝送する。これによって、センター装置7のモニタ8にはカメラ21 で撮像された画像が表示されるので、センター装置7側では侵入者の様子を観察することができる。
【0008】また、図7は他の監視カメラシステムの構成例を示す図である。なお、図7において図6と同等の構成要素については同一の符号を付す。
【0009】図6においてはカメラと熱線センサとは別体になされているが、図7に示す構成は、CCD等から成る撮像部と熱線センサとが一つの筐体に収納されてカメラとなされている点で異なっている。即ち、カメラ21 は撮像部91 と熱線センサ41 とを備えている。カメラ22 ,23 についても同様である。また、各カメラ21 ,22 ,23 において熱線センサの警戒エリアが撮像部の監視エリア内あるいはその近傍に設定されていることは当然である。
【0010】そして、カメラ21 は、熱線センサ41 がアラーム信号を出力した場合にのみ撮像部91 が撮像して得た画像信号をケーブル3を介して画像通報装置1に送出する。またこのとき熱線センサ41 はアラーム信号を信号線10を介して画像通報装置1に出力する。カメラ22 ,23 についても同様である。
【0011】そしていま、カメラ21 からアラーム信号と画像信号を受けると画像通報装置1は、このアラーム信号と画像信号とを通信回線6を介してセンター装置7に伝送する。これによって、センター装置7のモニタ8にはカメラ21 で撮像された画像が表示されるので、センター装置7側では侵入者の様子を観察することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような監視カメラシステムにおいては、侵入者によって、カメラが遮蔽物によって目隠しされたり、カメラに向けて強い光が当てられたり、あるいはカメラのレンズにスプレーが噴射されたりしてカメラの視野が遮られる場合がある。また、侵入者によってケーブル3が切断される場合も考えられる。
【0013】このような場合には画像信号がセンター装置に伝送されなかったり、伝送されたとしても侵入者の様子を観察することができなかったりするが、従来の監視カメラシステムにおいてはこのような事態に対処する有効な手段は提案されていなかった。
【0014】本発明は、上記の課題を解決するものであって、監視カメラシステムにおいてカメラの異常が発生した場合にはセンター装置に通報することができる監視カメラシステムを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の監視カメラシステムは、監視カメラと、監視カメラの状態を監視する状態監視手段と、監視カメラの監視エリア内またはその近傍の異常の有無を検知するセンサと、状態監視手段から監視カメラに異常が発生したことを示す信号を受けた場合には監視カメラ異常を示す情報を通信回線を介してセンター装置に通報し、センサが異常を検知したときには当該センサに対応する監視カメラからの画像信号を通信回線を介してセンター装置に伝送する画像通報装置とを備えることを特徴とする。
【0016】
【作用及び発明の効果】画像通報装置は、センサが異常を検知したときには当該センサに対応する監視カメラからの画像信号をセンター装置に伝送するが、また状態監視手段から監視カメラに異常が発生したことを示す信号を受けた場合には監視カメラ異常を示す情報をセンター装置に通報する。
【0017】従って、センター装置側では監視カメラに異常が生じた場合には即座に確認することができるので、迅速に監視カメラの異常を回復することが可能となり、その結果、侵入者があった場合等監視エリア内またはその近傍に異常があった場合には監視カメラの画像信号を確実にセンター装置に伝送することができ、以て監視カメラシステムの信頼性を大きく向上させることができる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。図1は本発明に係る監視カメラシステムの一実施例の構成を示す図であり、図中、20は画像通報装置、21は状態監視部、22は通報部を示す。なお、図6と同等な構成要素については同一の符号を付す。また以下においてはカメラあるいは熱線センサを総称する場合には添え字を省略して「カメラ2」、「熱線センサ4」と記すことにする。
【0019】図1において、カメラ21 ,22 ,23 は常時動作しており、それぞれ監視エリア内を撮像した画像信号をケーブル3を介して画像通報装置1に送出していること、及びカメラ21 と熱線センサ41 、カメラ22 と熱線センサ42 、カメラ23 と熱線センサ43 はそれぞれ対になって所定の箇所に設置されており、且つ熱線センサ41 ,42 ,43 の警戒エリアは、それぞれ、カメラ21 ,22 ,23 の監視エリア内あるいはその近傍に設定されていることは図6に示す構成と同じである。
【0020】さて、画像通報装置20は状態監視部21、通報部22を備える。状態監視部21は、カメラ2に異常が生じているか否かを監視し、異常を検知した場合には通報部22に対して異常信号を出力するものであるが、ここではカメラ2が遮蔽物によって目隠しされり、強い光が当てられたり、あるいはレンズにスプレーが噴射されたりして視野が遮られた場合、及びケーブル3が切断された場合をカメラ異常として検知するものとする。
【0021】なお、状態監視部21はカメラ21 ,22 ,23 に対してそれぞれ設けてもよく、また一つの状態監視部により時分割で3つのカメラ21 ,22 ,23 を監視してもよいが、ここでは理解を容易にするために前者のようにカメラ21 ,22,23 に対してそれぞれ状態監視部を設けるものとする。
【0022】状態監視部21について具体的に説明すると次のようである。一般にカメラにより得られる通常の画像は輝度変化が多いものであるが、視野が遮られた場合に得られる画像は輝度変動の少ない平坦あるいは均一なものとなるのが一般的である。つまり、カメラ2から出力される画像信号の周波数成分は、通常の場合は高周波成分を多く含むが、視野が遮られた場合には高周波成分が非常に少なくなると考えられる。これは、また、通常の場合には画像信号のレベル変化は激しいが、視野が遮られた場合には画像信号のレベル変化は少ないものと考えてもよいことを意味する。従って、このような周波数成分の相違あるいはレベル変化の相違を利用することによって、視野が遮られたか否かを検知することがでいることは明かである。
【0023】そこで、状態監視部21は、視野が遮られたことを検知する手段としては例えば図2に示すような構成を備えればよいことが分かる。図2において、30はフーリエ変換手段(以下、FFTと称す)、31は基準パターン、32は比較器を示す。
【0024】カメラ2からの時系列の画像信号はFFT30により周波数領域の信号に変換され、更に所定の周波数以上の周波数成分のみ抽出されて比較器32に入力される。基準パターン31には、カメラ2により通常観察される画像の画像信号を周波数領域の信号に変換し、その信号から抽出した所定の周波数以上の周波数成分のパターンが記憶されている。
【0025】そして比較器32は、FFT30から出力される周波数成分のパターンを基準パターン31と比較し、これら二つのパターンの類似度が所定の範囲を越える場合には視野が遮られたとして異常信号を出力する。
【0026】なお、基準パターン31を作成するについては、通常状態時に、例えば無人の場合、人間が移動している場合等のいくつかの状況下において画像を撮像し、それを周波数領域の信号に変換し、所定の周波数以上の成分について平均をとるようにすればよい。
【0027】また、視野が遮られたことを検知する手段としては図3に示すように構成することも可能である。図3においては、画像信号を微分回路40で微分し、比較器41により基準値以上の振幅を有するパルスのみを抽出する。そして、比較器41で抽出されたパルスの数をカウンタ42でカウントし、そのカウント値を比較器43において基準のカウント数と比較する。そして、カウンタ42のカウント値が基準のカウント値以下である場合には、視野が遮られたとして異常信号を出力する。
【0028】即ち、視野が遮られた場合には画像信号は平坦なレベル変化が少ないものとなるので、カウント値の基準値として適宜の値を設定しておくことによって、視野が遮られたか否かを検知することができるのである。
【0029】なお、カウンタ42によるパルスカウントは、例えば1画面単位で行えばよいものである。また、基準のカウント値の設定の仕方としては、例えば、カメラ2の視野を適当な回数遮ってカウント値を求め、更にそれらの平均カウント値を求め、また、いろいろな状況下における通常の画像の平均カウント値を求め、それら二つの平均カウント値の中間の値に設定すればよい。
【0030】また、ケーブル3が切断されたか否かを検知するための構成としては、例えば図4に示すように、画像信号から同期信号を分離する同期分離回路50と、同期分離回路50の出力信号中に同期信号があるか否かを検出し、同期信号がない場合には異常信号を出力する同期信号51を備えればよい。
【0031】従って、状態監視部21には、図2に示す構成と図4に示す構成あるいは図3に示す構成と図4に示す構成を備えればよく、これによってカメラ2の視野が遮られた場合またはケーブル3が切断された場合には異常信号が出力されることになる。
【0032】以上、状態監視部21について説明したが、次に通報部22について説明する。通報部22は、状態監視部21から異常信号を受けた場合には、即座にどのカメラに異常が発生したかを示すデータを生成して通信回線6を介してセンター装置7に通報する。これによってセンター装置7側ではどのカメラが異常であるのかを明確に把握することができる。
【0033】また、通報部22は定期的にセンター装置7に対して定時通報を行う。即ち、通報部22には定時通報を行う時刻または時間間隔が設定されており、定時通報を行う時刻が到来すると、通報部22は、状態監視部22から異常信号が出力されているか否かを検知して、どの状態監視部22からも異常信号が出力されていない場合にはカメラ異常なしを示すデータを生成してセンター装置7に通報し、異常信号が出力されている場合にはどのカメラに異常が発生したかを示すデータを生成してセンター装置7に通報する。なおこのときには通報部22はカメラ2に関するデータだけでなくその他の機器異常に関するデータも通報するが、本発明の本質とは関係ないので説明を省略する。
【0034】この定時通報を受けることによって、センター装置7側では、カメラ2の異常の有無、通信回線6が正常であること、及び画像通報装置1が正常に動作していることを確認することができる。
【0035】更に、通報部22は、センサ4がアラーム信号を出力した場合には、即座にどのセンサがアラーム信号を出力したかを示すデータを生成して、このデータ及び当該センサ4と対をなすカメラ2からの画像信号を通信回線6を介してセンター装置7に伝送する。これによって、センター装置7のモニタ8には当該カメラ2で撮像された画像が表示されるので、センター装置7側では侵入者の様子を観察することができる。
【0036】以上、本発明の一実施例について説明したが、次に図5を参照して他の実施例について説明する。なお、図1、図7と同等な構成要素については同一の符号を付す。また、カメラ2において熱線センサ4の警戒エリアが撮像部9の監視エリア内あるいはその近傍に設定されていることは図7に示すものと同様である。
【0037】図5において、撮像部9からの画像信号は常時状態監視部21に入力されているが、画像通報装置1への送出は熱線センサ4がアラーム信号を出力した場合にのみ行われる。
【0038】状態監視部21は上述した実施例と同じであり、異常信号は信号線15を介して画像通報装置1の通報部22に送られる。
【0039】通報部22の動作は上述した実施例と同じである。即ち、状態監視部21から異常信号を受けた場合には、即座にどのカメラに異常が発生したかを示すデータを生成して通信回線6を介してセンター装置7に通報する。これによってセンター装置7側ではどのカメラが異常であるのかを明確に把握することができる。
【0040】また、通報部22は定期的にセンター装置7に対して定時通報を行う。即ち、通報部22には定時通報を行う時刻または時間間隔が設定されており、定時通報を行う時刻が到来すると、通報部22は、状態監視部22から異常信号が出力されているか否かを検知して、どの状態監視部22からも異常信号が出力されていない場合にはカメラ異常なしを示すデータを生成してセンター装置7に通報し、異常信号が出力されている場合にはどのカメラに異常が発生したかを示すデータを生成してセンター装置7に通報する。なおこのときには通報部22はカメラ2に関するデータだけでなくその他の機器異常に関するデータも通報するが、本発明の本質とは関係ないので説明を省略する。
【0041】この定時通報を受けることによって、センター装置7側では、カメラ2の異常の有無、通信回線6が正常であること、及び画像通報装置1が正常に動作していることを確認することができる。
【0042】更に、通報部22は、センサ4がアラーム信号を出力した場合には、即座にどのセンサがアラーム信号を出力したかを示すデータを生成して、このデータ及び当該センサ4と対をなすカメラ2からの画像信号を通信回線6を介してセンター装置7に伝送する。これによって、センター装置7のモニタ8には当該カメラ2で撮像された画像が表示されるので、センター装置7側では侵入者の様子を観察することができる。
【0043】以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施例においては画像通報装置1には3台のカメラが接続されているものとしたが、3台以上のカメラを接続することが可能であることは当然である。
【0044】また、上記実施例では画像通報装置1にはカメラと熱線センサが接続されているものとしたが、カメラや熱線センサに限らず火災感知器や窓用センサ等種々のセンサを接続することが可能ではある。
【0045】また更に、上記実施例ではカメラは熱線センサと組み合わされているが、他のセンサと組み合わせることも可能である。例えばカメラを窓用センサと組み合わせ、窓用センサがアラーム信号を出力したときに当該窓を撮像するカメラからの画像信号をセンター装置に伝送するようにすることもできるものである。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】 状態監視部の一構成例を示す図である。
【図3】 状態監視部の他の構成例を示す図である。
【図4】 状態監視部の更に他の構成例を示す図である。
【図5】 本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【図6】 従来の監視カメラシステムの一構成例を示す図である。
【図7】 従来の監視カメラシステムの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…画像通報装置、2…カメラ、3…ケーブル、4…熱線センサ、5…信号線、6…通信回線、7…センター装置、8…モニタ、9…撮像部、10…信号線、20…画像通報装置、21…状態監視部、22…通報部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】監視カメラと、監視カメラの状態を監視する状態監視手段と、監視カメラの監視エリア内またはその近傍の異常の有無を検知するセンサと、状態監視手段から監視カメラに異常が発生したことを示す信号を受けた場合には監視カメラ異常を示す情報を通信回線を介してセンター装置に通報し、センサが異常を検知したときには当該センサに対応する監視カメラからの画像信号を通信回線を介してセンター装置に伝送する画像通報装置とを備えることを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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