説明

監視カメラ装置

【課題】撮像画像中の被写体に対してマスク画像を設定したとき、監視カメラをパン動作及びチルト動作したときの撮像画像を上下反転することにより同一画像となる撮像画像中の被写体に対しても、マスク画像が自動的に設定でき、該マスク画像を重畳して表示できる監視カメラ装置を提供する。
【解決手段】マスク画像Aが設定されると、自動的にその反転マスク画像B,Cのマスク平面座標図上の座標が算出され、該座標に基づいて設定される反転マスク画像位置がメモリに記憶される。監視カメラ2の画角内にマスク画像A若しくは反転マスク画像B,Cが存在するか否かを、監視カメラ2のズーム値、パン角度及びチルト角度、記憶されたマスク画像A、反転マスク画像B,Cのマスク平面座標図上の座標等に基づいて判定し、存在する場合は撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視カメラ装置において、パン角度及びチルト角度が180度以上あり且つ画像反転機能を備えるものは、図5に示すように基準位置(パン角度及びチルト角度がともに0度)の撮像画像と、該基準位置からそれぞれ180度パン動作及びチルト動作するとともに画像を上下左右反転させた場合の撮像画像は、同一となる。
【0003】
しかしながら、マスク画像を設定する場合の絶対座標上では、上記基準位置(パン角度及びチルト角度がともに0度)と180度パン動作及びチルト動作した位置とは相違する。このため、同一被写体に対してはそれぞれの位置において絶対座標上でマスク画像を設定する必要があった。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、解決しようとする問題点は、パン/チルト及びズーミング制御される監視カメラの撮像画像をモニタに表示し、チルト角度が基準位置から所定角度以上の場合は、撮像画像を上下左右反転させて表示するとともに、カメラ画角内で任意の箇所にマスク画像を重畳することができる監視カメラ装置において、撮像画像中の被写体に対してマスク画像を設定したとき、監視カメラをパン動作及びチルト動作したときの撮像画像を上下反転することにより同一画像となる撮像画像中の被写体に対しても、マスク画像が自動的に設定できるとともに該マスク画像を重畳して表示できる監視カメラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の監視カメラ装置は、パン/チルト及びズーミング制御される監視カメラの撮像画像をモニタに表示し、チルト角度が基準位置から所定角度以上の場合は、撮像画像を上下左右反転させて表示するとともに、カメラ画角内で任意の箇所にマスク画像を重畳することができる監視カメラ装置において、図1(a)に示すように前記監視カメラのパン角検出手段と、前記監視カメラのチルト角度検出手段と、前記監視カメラのズーム値を検出するズーム値検出手段と、前記モニタに表示された撮像画像上の所定位置にマスク画像を設定するマスク画像設定手段と、設定されたマスク画像のマスク平面座標図上の座標を記憶するマスク座標記憶手段と、前記マスク平面座標図上の座標に対して、プラス・マイナス180度の反転パン角度における反転マスク画像の座標、及びプラス・マイナス180度の反転チルト角度における反転マスク画像の座標をそれぞれ演算して記憶する反転マスク座標記憶手段と、前記検出されたパン角度、チルト角度及びズーム値に基づいて、監視カメラの画角内に前記マスク画像若しくは反転マスク画像が存在するか否かを判定する判定手段と、該判定手段の判定により、監視カメラの画角内にマスク画像若しくは反転マスク画像が存在する場合は、撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示する画像表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の監視カメラ装置は、請求項1に記載の構成において、図1(b)に示すように、撮像画像に重畳させる際の前記マスク画像及び反転マスク画像の色彩を任意に設定できる色彩設定手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の監視カメラ装置によれば、マスク画像設定手段によりモニタに表示された撮像画像上の所定位置にマスク画像を設定すると、マスク座標記憶手段により設定されたマスク画像のマスク平面座標図上の座標が記憶される。反転マスク座標記憶手段は、記憶されたパン角度及びチルト角度に対してそれぞれ、プラス・マイナス180度の反転パン角度及び反転チルト角度におけるマスク平面座標図上の反転マスク画像の座標をそれぞれ演算して記憶する。そして、判定手段が検出されたパン角度、チルト角度及びズーム値に基づいて、監視カメラの画角内に前記マスク画像若しくは反転マスク画像が存在するか否かを判定し、存在する場合は画像表示制御手段が、撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示する。従って、撮像画像中の被写体に対してマスク画像を設定したとき、監視カメラをパン動作及びチルト動作したときの撮像画像を上下反転することにより同一画像となる撮像画像中の被写体に対しても、マスク画像が自動的に設定できるとともに該マスク画像を重畳して表示できる監視カメラ装置を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の監視カメラ装置によれば、撮像画像に重畳させる際の前記マスク画像及び反転マスク画像の色彩を任意に設定できるから、撮像画像に対してマスク画像及び反転マスク画像を際立たせる色彩として、該マスク画像及び反転マスク画像の視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
撮像画像中の被写体に対してマスク画像を設定したとき、監視カメラをパン動作及びチルト動作したときの撮像画像を上下反転することにより同一画像となる撮像画像中の被写体に対しても、マスク画像が自動的に設定できるとともに該マスク画像を重畳して表示できる監視カメラ装置を提供するという目的を、マスク平面座標図上の座標として記憶したマスク画像若しくは反転マスク画像が、監視カメラの撮像画像内に存在するか否かを判定し、存在する場合は該撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示することにより実現した。また、撮像画像に重畳させる際のマスク画像及び反転マスク画像の色彩を任意に設定して、該マスク画像及び反転マスク画像の視認性を高めることもできる。
【実施例】
【0010】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本実施例に係る監視カメラ装置1の概略構成を示したブロック図である。監視カメラ装置1は、監視カメラ2、監視カメラ2をステッピングモータによりパン動作させるパン機構3、同じく監視カメラ2をステッピングモータによりチルト動作させるチルト機構4及びズーミング機構5を備えている。パン機構3によりパン方向には、360度のエンドレスの回転が可能であり、チルト機構4によりチルト方向には、0〜180度の回転が可能となっている。監視カメラ2は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという。)6、不揮発性メモリ7及びOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)IC回路8等から構成されている。監視ビデオカメラ2により撮像された画像は、NTSC等のコンポジットのビデオ信号に変換されてモニタ9に表示される。
【0011】
上記マイコン6は、操作ボード10から入力されるパン/チルトコマンドに基づいて、パン機構3及びチルト機構4に対する制御信号を出力する。OSDIC回路8は、監視カメラ2の撮像画像に設定されたマスク画像を重畳する回路である。 また、マイコン6は、監視カメラ2のズーミング機構5を制御してレンズのズーム値を検出する。また、監視カメラ2の基準位置からのパン角度及び基準位置からのチルト角度をそれぞれステッピングモータのステップ角により検出する。これにより、監視カメラ2がどの位置を撮像しているかが分かる。操作ボード10を操作してOSDIC回路8により、マスク画像をモニタ9に表示される撮像画像中に重畳させ、その位置及び面積を指定する。これにより、マスク画像はマイコン6により、マスク平面座標上の座標としてメモリに記憶される。また、操作ボード10を操作して、撮像画像に重畳させる際のマスク画像及び後述する反転マスク画像の色彩を任意に設定することができる。
【0012】
監視カメラ2は、パン動作及びチルト動作の組み合わせにより、カメラ位置が図3に示すように半球の軌道上を移動する。これによれば、例えばカメラ位置(パン角度30度、チルト角度0度)とカメラ位置(パン角度210度、チルト角度180度)は、同一である。同様に、パン角度0度、チルト角度180度のカメラ位置と、パン角度180度、チルト角度0度のカメラ位置も同一である。このように、同一カメラ位置がパン角度及びチルト角度の組み合わせで少なくとも2箇所存在する。従って、マスク画像の設定は、各カメラ位置に於いて格別に設定する必要がある。
【0013】
メモリに記憶されるマスク画像位置を横軸をパン角度、縦軸をチルト角度とするマスク平面座標図上で表示する。図4に示すように、設定マスク画像Aは例えば長方形であって、その左辺(以下、leftと表示する。)の座標はパン角度150度、右辺(以下、rightと表示する。)の座標はパン角度180度、下辺(以下、downと表示する。)の座標はチルト角度0度、上辺(以下、upと表示する。)の座標はチルト角度10度とする。
【0014】
上記のように設定されるマスク画像Aに対しては、マスク平面座標図上で同一位置となるいわゆる反転マスク画像が3箇所存在する。この反転マスク画像の座標は以下のように算出される。反転マスク画像Bのleftの座標はパン角度−30度(150−180度)、rightの座標はパン角度0度(180−180度)、downの座標はチルト角度170度(180−10度(反転表示のためマスク画像Aのup座標を引く))、upの座標はチルト角度180度(180−0度(反転表示のためマスク画像Aのdown座標を引く))となる。
【0015】
また、反転マスク画像Cのleftの座標はパン角度330度(マスク画像Aのleft座標+180度)、rightの座標はパン角度360度(マスク画像Aのright座標+180度)、downの座標はチルト角度170度(180−10度(反転表示のためマスク画像Aのup座標を引く))、upの座標はチルト角度180度(180−0度(反転表示のためマスク画像Aのdown座標を引く))となる。
【0016】
従って、マスク画像Aが平面座標図上で任意に設定された場合、自動的にその対称位置である反転マスク画像B,Cのマスク平面座標図上の座標が上記のように算出することができる。そして、該座標に基づいて設定される反転マスク画像位置がメモリに記憶される。
尚、設定されたマスク画像に対する反転マスク画像は通常2箇所であるが、パン角度が0度、180度及び360度付近では、上記のように3箇所存在する。
【0017】
操作ボード10を操作すると、マイコン6は所定の制御プログラムを実行して以下の処理を行なう。パン機構及びチルト機構を制御して監視カメラ2の位置を移動させる。これに伴う撮像画像の変化に対応させてマスク画像の表示位置を移動させ、所定の被写体に対するマスク処理がずれないように制御してモニタ9に表示する。チルト角度が90度以上になると、監視カメラ2の撮像画像は、上下左右反転するため、一旦メモリに記憶された撮像画像のデータの読み出しを上下左右反転させることにより、モニタ9には正常な向きの画像を表示する。この際に、監視カメラ2の画角内にマスク画像A若しくは反転マスク画像B,Cが存在するか否かを、監視カメラ2のズーム値、パン角度及びチルト角度、記憶されたマスク画像A、反転マスク画像B,Cのマスク平面座標図上の座標等に基づいて判定し、存在する場合は、撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示するる。
【0018】
上記実施例の監視カメラ装置1は、撮像画像中の被写体に対してマスク画像を設定したとき、監視カメラをパン動作及びチルト動作したときの撮像画像を上下反転することにより同一画像となる撮像画像中の被写体に対しても、マスク画像が自動的に設定できるとともに該マスク画像を重畳して表示することができる。また、操作ボード10を操作して、撮像画像に重畳させる際のマスク画像及び反転マスク画像の色彩を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】クレームに対応したブロック図である。
【図2】監視カメラ装置の概略の構成を示したブロック図である。
【図3】監視カメラのパン動作及びチルト動作を示した説明図である。
【図4】マスク平面座標図である。
【図5】監視カメラの撮像形態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 監視カメラ装置
2 レンズ装置
3 パン機構
4 チルト機構
5 ズーミング機構
6 マイコン
9 モニタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン/チルト及びズーミング制御される監視カメラの撮像画像をモニタに表示し、チルト角度が基準位置から所定角度以上の場合は、撮像画像を上下左右反転させて表示するとともに、カメラ画角内で任意の箇所にマスク画像を重畳することができる監視カメラ装置において、
前記監視カメラのパン角検出手段と、
前記監視カメラのチルト角度検出手段と、
前記監視カメラのズーム値を検出するズーム値検出手段と、
前記モニタに表示された撮像画像上の所定位置にマスク画像を設定するマスク画像設定手段と、
設定されたマスク画像のマスク平面座標図上の座標を記憶するマスク座標記憶手段と、
前記マスク平面座標図上の座標に対して、プラス・マイナス180度の反転パン角度における反転マスク画像の座標、及びプラス・マイナス180度の反転チルト角度における反転マスク画像の座標をそれぞれ演算して記憶する反転マスク座標記憶手段と、
前記検出されたパン角度、チルト角度及びズーム値に基づいて、監視カメラの画角内に前記マスク画像若しくは反転マスク画像が存在するか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定により、監視カメラの画角内にマスク画像若しくは反転マスク画像が存在する場合は、撮像画像にマスク画像若しくは反転マスク画像を重畳させて表示する画像表示制御手段と
を備えたことを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】
撮像画像に重畳させる際の前記マスク画像及び反転マスク画像の色彩を任意に設定できる色彩設定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−86714(P2006−86714A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268363(P2004−268363)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】