説明

真空ポンプ、その運転制御装置及び運転制御方法

【課題】本発明は、半導体製造装置からの指示に応じて真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長する真空ポンプ、その運転制御装置及び運転制御方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプにおいて、前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、生成物対策運転を制御する運転制御部を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ制御装置に係り、特に、半導体製造装置等のチャンバを真空に排気するために用いられる真空ポンプを運転制御する真空ポンプ、その運転制御装置及び運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置では、半導体製造工程で使用されるガスをチャンバから排気し、チャンバ内に真空環境を作り出すために真空ポンプが使用されている。このような真空ポンプとしては、ルーツ型やスクリュー型のポンプロータを備えた容積式タイプの真空ポンプが知られている。
【0003】
一般に、容積式の真空ポンプは、ケーシング内に配置された一対のポンプロータと、このポンプロータを回転駆動するためのモータとを備えている。一対のポンプロータ間及びポンプロータとケーシングの内面との間には微小なクリアランスが形成されており、ポンプロータはケーシングに非接触で回転するように構成されている。そして、一対のポンプロータが同期しつつ互いに反対方向に回転することにより、ケーシング内の気体が吸入側から吐出側に移送され、吸入口に接続されるチャンバ等から気体が排気される。
【0004】
半導体製造工程に使用されるガスには、ガスの温度が低下すると固形化あるいは液状化する成分が含まれているものがある。通常、上述した真空ポンプは、ガスを移送する過程で圧縮熱が発生するため、運転中の真空ポンプはある程度高温となっている。従って、真空ポンプが高温を維持している間は、上記真空ポンプを用いて上述した成分を含むガスを排気した場合でもガスの成分が固形化または液状化せず、良好な真空排気が行われる。
【0005】
しかしながら、真空ポンプの運転を停止し、真空ポンプの温度が徐々に低下すると、ガス中に含まれる成分が固形化あるいは液状化し、ポンプロータやケーシングの間の隙間等に堆積してしまう(以下、この固形化、液状化した成分を生成物という)。このため、生成物がポンプロータの回転を妨げ、モータの起動トルクではポンプロータを回転させることができずに真空ポンプの再起動に失敗するという問題が生じていた。また、このような状態では、真空ポンプの再起動ができないだけでなく、モータに過剰な負荷が掛かってモータが加熱するおそれがあり、真空ポンプの運転が阻害されるという問題も生じさせていた。
【0006】
上述した真空ポンプ内の生成物の堆積により真空ポンプの運転が阻害される問題に対応するものとして、例えば、特許文献1の真空ポンプが提案されている。この真空ポンプでは、所定のパターンに沿って回転するポンプロータによって生成物を除去して、正常に起動することを可能にしている。また、特許文献2の真空ポンプでは、運転停止時に所定タイミングパターンに沿ってポンプロータを回転させた後に停止して生成物を除去して、正常に起動することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−138047号公報
【特許文献2】特開2009−97349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したターボ真空ポンプでは、生成物をかき落とす運転をポンプ側が単体で行っており、半導体製造装置の半導体製造工程は考慮されていない。このため、真空ポンプの生成物をかき落とす運転が半導体製造装置の半導体製造工程を妨げるおそれがある。真空ポンプ側の生成物をかき落とす運転を実行するタイミングは、半導体製造装置側の半導体製造工程との間で調整することが望ましい。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体製造装置からの指示に応じて真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長する真空ポンプ、その運転制御装置及び運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプにおいて、前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、生成物対策運転を制御する運転制御部を備えることを特徴とする。この真空ポンプによれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、前記運転制御部は、前記真空ポンプの運転状態を検出し、当該真空ポンプの運転状態により前記生成物対策運転時期を判定し、当該生成物対策運転時期に前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合に前記生成物対策運転を制御してもよい。この真空ポンプによれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの運転/停止を繰り返す運転シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプによれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの停止シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプによれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの起動シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプによれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプは、前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの停止シーケンス及び起動シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプの運転制御装置によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御装置は、半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御装置において、前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、前記真空ポンプの生成物対策運転を制御する運転制御部を備えることを特徴とする。この真空ポンプの運転制御装置によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御方法において、前記半導体製造装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、生成物対策運転シーケンスに従って前記真空ポンプの生成物対策運転を制御することを特徴とする。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御方法において、前記真空ポンプの運転状態を検出し、前記真空ポンプの運転状態により前記真空ポンプの生成物対策運転時期を判定し、前記生成物対策運転時期に前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合に、生成物対策運転シーケンスに従って前記真空ポンプの生成物対策運転を制御することを特徴とする。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの運転/停止を繰り返してもよい。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの停止シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0021】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの起動シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0022】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの停止シーケンス及び起動シーケンスを実行してもよい。この真空ポンプの運転制御方法によれば、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を効果的に排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの運転制御方法は、前記真空ポンプの生成物対策運転に移行する前に、前記半導体装置と前記真空ポンプとの間の排気経路に配置された電磁弁を閉じることが望ましい。この真空ポンプの運転制御方法によれば、真空ポンプの生成物対策運転中に半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、半導体製造装置からの指示に応じて真空ポンプ内に堆積した生成物を排除する生成物対策運転を実行し、半導体製造装置の半導体製造工程を妨げることなく真空ポンプ内に堆積した生成物を排除して、真空ポンプのメンテナンス期間を延長し、真空ポンプの寿命を延長することを可能にする真空ポンプ、その運転制御装置及び運転制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る運転制御装置を用いる半導体製造装置と真空ポンプとを含む概略構成を示す図である。
【図2】図1の真空ポンプとして用いるルーツ型真空ポンプの構成を示す断面図である。
【図3】図2のII−II線断面図である。
【図4】図1の真空ポンプとして用いるスクリュー型真空ポンプの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る真空ポンプのモータを駆動するモータ駆動回路の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る真空ポンプのモータを駆動するモータ駆動回路の構成例を示す図である。
【図7】図1の半導体製造装置及び運転制御装置において実行される生成物対策運転に関わる動作概要を示すタイミングチャートである。
【図8】図1の半導体製造装置内の制御装置において実行される真空ポンプに対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図9】図1の運転制御装置内の運転制御部において実行される生成物対策運転に対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図10】図9の生成物対策運転において実行される停止シーケンスの具体例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置内の制御装置において実行される真空ポンプに対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る運転制御装置内の運転制御部において実行される生成物対策運転に対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態では、半導体製造装置のチャンバ内のガスを排気するために使用される容積式の真空ポンプの運転制御装置及び運転制御方法について説明するが、本発明に係る運転制御装置及び運転制御方法を適用する真空ポンプはこれに限定されない。また、真空ポンプにより真空排気される半導体製造装置は、エッチング装置やCVD装置等である。
【0027】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態では、本発明に係る運転制御装置を用いる容積式の真空ポンプとして、ルーツ型真空ポンプとスクリュー型真空ポンプの構成を例示する。
【0028】
<全体構成>
図1は、本発明に係る運転制御装置を用いる半導体製造装置と真空ポンプとを含む概略構成を示す図である。図1において、半導体製造装置100は、例えば、エッチング装置、CVD装置等の上述したガスを用いて半導体製造工程を行う装置であり、この装置は特に限定されない。半導体製造装置100は、チャンバ(図示せず)内のガスが真空ポンプ120により排気される。半導体製造装置100と真空ポンプ120との間の排気経路111には電磁弁110が設けられている。この電磁弁110は、半導体製造装置100内の制御装置105から出力される開/閉信号S1により開閉動作が制御される。半導体製造装置100内の制御装置105は、自身の半導体製造装置100の半導体製造工程に係る各種動作を制御し、この半導体製造工程に関わる真空ポンプ120の各種運転状態を要求する信号S2を運転制御装置140に出力して真空ポンプ120の運転状態を制御させるとともに、開/閉信号S1を電磁弁110に出力して電磁弁110の開閉動作を制御する。
【0029】
モータ130は、運転制御装置140から出力される運転制御信号S4により真空ポンプ120の回転軸(図示せず)を回転駆動して、その回転軸の起動、停止、回転数及び回転方向等の動作を実行する。
【0030】
運転制御装置140は、半導体製造装置100内の制御装置105から出力される真空ポンプ120の運転に関わる各種運転信号に応じた運転制御信号S4をモータ130に出力して真空ポンプ120の運転状態を制御する運転制御部150を備える。本発明に係る第1の実施形態では、運転制御装置140の運転制御部150は、半導体製造装置100内の制御装置105から出力される生成物対策運転要求信号S2に応じて生成物対策運転を実施する運転制御信号S4をモータ130に出力して、後述する生成物対策運転を真空ポンプ120に実行させることに特徴がある。運転制御装置140の運転制御部150は、真空ポンプ120の生成物対策運転中に生成物対策状態信号S3を半導体製造装置100内の制御装置105に出力する。また、運転制御装置140の運転制御部150は、真空ポンプ120の温度、モータ130の電流、回転数、電力等を検出する運転状態検出信号S5を入力し、この運転状態検出信号S5と所定の基準値(例えば、温度、電流、回転数、電力に各々対応する基準値等)とを比較して、真空ポンプ120における生成物対策運転の運転状態等を制御する。さらに、運転制御部150は、真空ポンプ120の通常運転、生成物対策運転等に対応する各種運転シーケンスを記憶する記憶部(図示せず)を有してもよい。
【0031】
<真空ポンプの構成>
次に、真空ポンプ120としてルーツ型真空ポンプを用いた場合の構成例を図2及び図3に示す。図2は、ルーツ型真空ポンプ120の構成を示す断面図である。図3は、図2のII−II線断面図である。
【0032】
図2及び図3において、ケーシング1内に一対のポンプロータを構成するルーツロータ2、2が配設されている。各ルーツロータ2は両端部近傍で軸受3、3によって支持されている。ルーツロータ2、2は2軸ブラシレス直流モータM(図1のモータ130に対応)によって回転駆動されるようになっている。なお、直流モータロータは、どちらかのルーツロータ軸2に取り付けられていてもよい。また、直流モータは、誘導電動機でもよい。
【0033】
図2において、ルーツロータ2の軸端2aには、モータロータ5Aが固定されている。モータロータ5Aの外周側には樹脂キャン7を介して1個のモータステータ6が配設されている。モータステータ6はモータフレーム9に収容されている。モータフレーム9にはモータドライバ10が固定されている。なお、図2では、2つのルーツロータ2、2のうち一方のルーツロータ2の構成を示しているが、他方のルーツロータ2も同様の構成を有する。一対のルーツロータ2、2間及びケーシング1の内面との間には微小な隙間が形成されており、各ルーツロータ2、2は僅かなクリアランスCを保って非接触で回転するようになっている。
【0034】
上記構成のルーツ型真空ポンプ120において、モータMを駆動して一対のルーツロータ2、2を回転することにより、吸気口(図示せず)から吸入されたガスが各ルーツロータ2、2に従って排気側に移送され、排気口(図示せず)から排気される。
【0035】
図2において、ルーツ型真空ポンプ120のモータMとケーシング1は、配線L1,L2を介して運転制御装置140と接続される。配線L1はモータMの電流、回転数、電力等を検出するための配線であり、配線L2はケーシング1の温度等を検出するための配線である。
【0036】
次に、真空ポンプ120としてスクリュー型真空ポンプを用いた場合の構成例を図4に示す。図4は、スクリュー型真空ポンプ120の構成を示す断面図である。
【0037】
図4において、スクリュー型真空ポンプ120は、モータ部20とポンプ部21で構成され、モータ部20はDCブラシレスモータであり、ポンプ部21は一対のスクリューロータを同期反転させ、気体を移送する真空ポンプであり、容積移送式の2軸スクリューポンプである。
【0038】
図4において、ポンプケーシング30の内部には、2本の回転軸31a、31bが平行に配置され、それぞれの回転軸31a、31bは軸受33により支持されている。回転軸31aには右ねじのスクリューロータ32aが、また回転軸31bには左ねじのスクリューロータ32bが各々固定されている。スクリューロータ32a、32bとケーシング30の内面との間には流体流路36が形成され、この流体流路36の上流側端部に吸気口21aが設けられている。スクリューロータ32a、32bは僅かなクリアランスCを保って非接触で相互に反転し、吸気口21aから吸込まれた気体を排気口21bに移送するようになっている。なお、スクリューロータ32a、32bとして、ピッチ線上でのみ接触する軸断面形状を有する一対のスクリューロータを用いてもよい。
【0039】
回転軸31a、31bの吸気側の軸端には、それぞれ同一の構成を有する一対のマグネットロータ34、34が配置され、ブラシレスDCモータとして回転軸31a、31bを反転駆動するとともに、回転軸31a、31bの同期反転を確保している。
【0040】
図4において、スクリュー型真空ポンプ120のモータ部20とケーシング30は、配線L1,L2を介して運転制御装置140と接続される。配線L1はモータ部20の電流、回転数、電力等を検出するための配線であり、配線L2はケーシング30の温度等を検出するための配線である。
【0041】
図1の半導体製造装置100と排気経路111及び電磁弁110を介して図2に示したルーツ型真空ポンプ120の吸気口、又は、図4に示したスクリュー型真空ポンプ120の吸気口を接続し、吸入側から排気側にガスが連続して移送されることにより、吸気口に接続された半導体製造装置100のチャンバ(図示せず)内のガスが真空排気される。
【0042】
なお、本発明に係る第1の実施形態では、真空ポンプ120として、上述したルーツ型真空ポンプとスクリュー型真空ポンプを用いる例を示したが、これらの真空ポンプに限定するものではなく、例えば、他の形式のドライ真空ポンプ、又は、ロータリーポンプ等に対しても本発明の運転制御装置を用いることは可能である。
【0043】
<モータ駆動回路の構成>
次に、図1の運転制御装置140により制御されるモータ駆動回路の構成例について図5及び図6を参照して説明する。
【0044】
まず、図5に示すモータ駆動回路の構成例を参照して説明する。図5において、モータ駆動回路200は、3相電源201と、漏電遮断器(ELB)202と、電磁接触器203と、サーマルプロテクタ204とを備えている。3相電源201は漏電遮断器(ELB)202を介して電磁接触器203に接続され、電磁接触器203はサーマルプロテクタ204を介してモータ130に接続されている。また、電磁接触器203には、ポンプロータ211(図2のルーツロータ2のうちの一つ、又は、図4のスクリューロータ32a、32bのうちの一つ)の回転及び停止動作を制御する運転制御装置140が接続されている。なお、漏電遮断器(ELB)202に代えて、サーキットブレーカ(CB)を用いてもよい。
【0045】
運転制御装置140には真空ポンプ120の運転停止スイッチ(図示せず)が接続されており、運転中にこの運転停止スイッチが操作されると、運転制御装置140から電磁接触器203に停止命令が送信されるようになっている。電磁接触器203は停止命令を受けて動作し、3相電源201からモータ130に供給されている3相電力を遮断する。こりによりモータ130は停止し、真空ポンプ120が停止する。なお、サーマルプロテクタ204は、モータ130に過負荷が掛かった場合に動作し、3相電源201からモータ130に供給されている3相電力を遮断して真空ポンプ120の運転を停止させるようになっている。これにより、モータ130の過負荷や過熱が防止される。
【0046】
次に、図6に示すモータ駆動回路の構成例を参照して説明する。なお、図6に示すモータ駆動回路220おいて、図5に示した構成と同一の構成部分には同一符号を付している。図6において、モータ駆動回路220は、3相電源201と、漏電遮断器(ELB)202と、周波数変換器221とを備えている。3相電源201は漏電遮断器(ELB)202を介して周波数変換器221に接続され、周波数変換器221はモータ130に接続されている。周波数変換器221は、整流器222と、モータ130を回転させる電流波形を生成するパワートランジスタ部223と、周波数変換器221を制御する周波数変換制御部224とを備えている。また、周波数変換器221には、ポンプロータ211(図2のルーツロータ2のうちの一つ、又は、図4のスクリューロータ32a、32bのうちの一つ)の回転及び停止動作を制御する運転制御装置140が接続されている。
【0047】
なお、本発明に係る第1の実施形態では、モータ駆動回路の構成として図5及び図6に示す構成例を示したが、これらの回路構成に限定されるものではなく、他の回路構成を用いてもよい。
【0048】
<半導体製造装置及び運転制御装置の動作例>
次に、図1に示した半導体製造装置100及び運転制御装置140において実行される上述の生成物対策運転に関わる動作について図7〜図9を参照して説明する。
【0049】
まず、半導体製造装置100及び運転制御装置140において実行される生成物対策運転を含む動作概要について図7に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0050】
図7において、「半導体製造装置運転状態」は図1の半導体製造装置100の運転状態を示し、「排気を伴うプロセス中」は真空ポンプ120によるチャンバ内のガスの真空排気を伴う半導体製造工程を示し、「排気を伴わないプロセス中」は真空ポンプ120によるチャンバ内のガスの真空排気を伴わない半導体製造工程を示す。図7において、「電磁弁状態」は図1の電磁弁110の開閉状態を示し、「真空ポンプ運転中/停止中」は図1の真空ポンプ120が運転中か停止中(なお、低回転数で真空ポンプ120を運転するアイドリング運転を含めてもよい)か、を示す。また、図7において、「生成物対策指令」は図1の半導体製造装置100内の制御装置105から運転制御装置140に対して出力される上述の生成物対策運転要求信号S2の出力の有無を示し、「生成物対策状態」は図1の真空ポンプ120において実行中の運転状態に応じて運転制御装置140から半導体製造装置100内の制御装置105に出力される上述の生成物対策状態信号S3の有無を示す。
【0051】
図7に示すタイミングチャートでは、図1の半導体製造装置100と、電磁弁110と、真空ポンプ120と、運転制御装置140における各動作が図中に示す期間T1→T2→T3の順に推移する例を示している。まず、期間T1において、半導体製造装置100は排気を伴うプロセス中であり、電磁弁110は開状態である。この時、半導体製造装置100内の制御装置105から運転制御装置140に対して通常運転指令信号S2が出力されていて、運転制御装置140は真空ポンプ120を通常運転状態になるように制御している。そして、運転制御装置140から半導体製造装置100内の制御装置105に対して真空ポンプ120が通常運転中であることを示すポンプ通常運転中信号S3が出力される。
【0052】
次いで、半導体製造装置100は、排気を伴うプロセスが終了し、排気を伴わないプロセスに移行すると(期間T1から期間T2に移行)、半導体製造装置100は電磁弁110を閉状態とする。この時、半導体製造装置100内の制御装置105から運転制御装置140に対して生成物対策指令信号S2が出力される。運転制御装置140は真空ポンプ120を通常運転状態から生成物対策運転状態に移行するように制御する。そして、運転制御装置140から半導体製造装置100内の制御装置105に対して真空ポンプ120が生成物対策運転中であることを示す生成物対策状態信号S3が出力される。
【0053】
次いで、運転制御装置140は真空ポンプ120の生成物対策運転が終了したことを確認すると、真空ポンプ120を生成物対策運転状態から通常運転状態に移行するように制御し、生成物対策状態信号S3の出力を停止して、ポンプ通常運転中(生成物対策終了)信号S3を半導体製造装置100内の制御装置105に対して出力する。半導体製造装置100内の制御装置105は、ポンプ通常運転中(生成物対策終了)信号S3の入力を確認すると、電磁弁110を開状態として、排気を伴うプロセスに移行する(期間T2から期間T3に移行)。
【0054】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る運転制御装置140では、半導体製造装置100から排気を伴わないプロセス中に出力される生成物対策指令信号S2に応じて真空ポンプ120を生成物対策運転状態に移行する運転制御が行われる。
【0055】
次に、上述の図7を用いて説明した概要動作において、半導体製造装置100内の制御装置105において実行される真空ポンプ120に対する制御処理の具体例について図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0056】
図8において、制御装置105は、自身の半導体製造工程が排気プロセスを伴うプロセス中であるかを確認する(ステップS101)。自身の半導体製造工程が排気プロセスを伴うプロセス中でない場合、すなわち、排気プロセスを伴わないプロセス中である場合(ステップS101:NO)、制御装置105は、閉信号S1を電磁弁110に出力して電磁弁110を閉じ(ステップS102)、続いて、生成物対策指令信号S2を運転制御装置140に出力する(ステップS103)。この生成物対策指令信号S2の出力により運転制御装置140側で行われる制御動作については、後述する図9の説明において補足する。
【0057】
次いで、制御装置105は、次の半導体製造工程の準備開始中か否かを確認し(ステップS104)、次の半導体製造工程の準備開始中である場合は(ステップS104:YES)、生成物対策指令停止信号S2を運転制御装置140に対して出力する(ステップS105)。また、次の半導体製造工程の準備開始中でない場合(ステップS104:NO)、制御装置105はステップS106に移行して、運転制御装置140から生成物対策状態信号S3を受信しているかを確認する。運転制御装置140から生成物対策状態信号S3を受信している場合は(ステップS106:YES)、ステップS104に戻る。
【0058】
また、運転制御装置140から生成物対策状態信号S3を受信していない場合(ステップS106:NO)、制御装置105はステップS107に移行して、運転制御装置140からポンププロセス可能状態信号S3を受信しているかを確認する。運転制御装置140からポンププロセス可能状態信号S3を受信している場合(ステップS107:YES)、制御装置105は開信号を電磁弁10に出力して電磁弁110を開状態として(ステップS108)、ステップS101に戻る。
【0059】
次に、上述の図7を用いて説明した概要動作において、運転制御装置140内の運転制御部150において実行される真空ポンプ120の生成物対策運転に対する制御処理の具体例について図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0060】
図9において、運転制御部150は、半導体製造装置100内の制御装置105から生成物対策指令信号S2を受信しているかを確認する(ステップS201)。制御装置105から生成物対策指令信号S2を受信している場合(ステップS201:YES)、運転制御部150は記憶部(図示せず)に記憶する生成物対策運転の運転シーケンス等に従って真空ポンプ120の停止シーケンスを実行し(ステップS202)、続いて、真空ポンプ120の起動シーケンスを実行する(ステップS203)。
【0061】
ここで、真空ポンプ120の停止シーケンスの具体例について、図10を参照して説明する。図10は運転制御部150において実行される停止制御パターンの一例を示す図である。
【0062】
運転制御部150の記憶部(図示せず)には、図10に示すような停止制御パターン(真空ポンプ120を停止制御するためのタイミングパターン)が記憶されているものとする。運転制御部150は、生成物対策指令信号S2を受信して停止シーケンスを起動すると、運転制御部150に内蔵されるタイマー(図示せず)を利用して、図10に示す停止制御パターンに従って真空ポンプ120のON、OFF、すなわち、ポンプ停止開始から時間t1が経過するまで真空ポンプ120をOFF、時間t1が経過したら時間t2が経過するまで真空ポンプ120をONにする動作を繰り返すポンプ停止制御パターンを実行する。これにより真空ポンプ120のポンプロータ(図2のルーツロータ2、2、又は、図4のスクリューロータ32a、32b)の回転と停止を繰り返し実行させる。この場合、例えば、停止、正転の順にポンプロータが駆動されるようにタイマーのパターンが設定されている。一対のポンプロータが正方向へ回転すると、一対のポンプロータのうち一方はある方向(例えば、右回り)に回転し、他方は反対方向(例えば、左回り)に回転する。
【0063】
上記のように、真空ポンプ120の停止シーケンスにより、ポンプロータを停止させた後、一旦運転して再度ポンプロータを回転させることにより、ポンプロータ(図2のルーツロータ2、2、又は、図4のスクリューロータ32a、32b)とケーシング(図2のケーシング1、又は、図4のケーシング30)との間等に真空ポンプ120の温度低下とともに析出する生成物に対し、ポンプロータの力を加えることができる。その結果、収縮に伴う生成物の噛み込みを防止することができるとともに、生成物を除去するので、真空ポンプ120の起動をスムーズに行うことが可能になる。
【0064】
次いで、真空ポンプ120の起動シーケンスの具体例について説明する。
【0065】
運転制御部150の記憶部(図示せず)には、起動制御パターン(真空ポンプ120を起動制御するためのタイミングパターン)が記憶されているものとする。運転制御部150は、上記停止シーケンスが終了すると、運転制御部150に内蔵されるタイマー(図示せず)を利用して、正転、停止、正転の順にポンプロータ(図2のルーツロータ2、2、又は、図4のスクリューロータ32a、32b)を駆動するように制御する。一対のポンプロータが正方向へ回転すると、一対のポンプロータのうち一方はある方向(例えば、右回り)に回転し、他方は反対方向(例えば、左回り)に回転する。
【0066】
このように、真空ポンプ120の起動シーケンスにより、ポンプロータを回転させた後、一旦停止し、再度ポンプロータを回転させることにより、ポンプロータ(図2のルーツロータ2、2、又は、図4のスクリューロータ32a、32b)とケーシング(図2のケーシング1、又は、図4のケーシング30)との間等に堆積した生成物にポンプロータの力を加えることができる。その結果、例えば、固形化した生成物を脆くすることができ、真空ポンプ120を起動させることが可能になる。
【0067】
ステップS202の停止シーケンス及びステップS203の起動シーケンスが終了すると、運転制御部150は、半導体製造装置100の制御装置105から生成物対策停止指令信号S2を受信しているかを確認する(ステップS204)。生成物対策停止指令信号S2を受信していない場合(ステップS204:NO)、運転制御部150はステップS205に移行して、生成物対策運転の継続を判定する。運転制御部150は、生成物対策運転を継続すると判定した場合は(ステップS205:YES)、ステップS202に戻り、生成物対策運転を継続しないと判定した場合は(ステップS205:NO)、真空ポンプ120の生成物対策運転を停止してステップS206に移行する。なお、生成物対策運転の継続の判定基準は、例えば、予めプログラムされた回数分の生成物対策運転を実施しているか、もしくは半導体製造装置100の制御装置105から生成物対策停止指令信号S2を受信しているか等としてもよい。
【0068】
また、ステップS204において、生成物対策停止指令信号S2を受信している場合(ステップS204:YES)、運転制御部150は真空ポンプ120の生成物対策運転を停止してステップS206に移行する。ステップS206において、運転制御部150は真空ポンプ120がポンププロセス可能状態(通常運転可能状態)であるかを判定する。ポンププロセス可能状態(通常運転可能状態)であると判定した場合(ステップS206:YES)、運転制御部150はステップS207に移行して、ポンププロセス可能状態信号S3を半導体製造装置100の制御装置105に出力し、生成物対策運転に対する制御処理を終了する。なお、ポンププロセス可能状態の判定基準は、例えば、真空ポンプ120の回転数が定格回転数に上昇したこと等としてもよい。
【0069】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る運転制御装置140では、半導体製造装置100からの生成物対策指令に応じて真空ポンプ120の生成物対策運転(停止シーケンス及び起動シーケンス等)を実行するようにした。また、半導体製造装置100は、真空ポンプ120の生成物対策運転中は真空ポンプ120との間に配置された電磁弁10を閉じるようにした。したがって、半導体製造装置において排気プロセスを伴わない半導体製造工程を実行中、真空ポンプ120内に生成物が堆積していたとき、または、定期的に、運転期間中でも真空ポンプ120のケーシングとポンプロータとの間等に堆積した生成物を吐き出す運転を実行することができ、半導体製造工程中の真空ポンプ120の無駄な運転を減少させることができるとともに、真空ポンプ120のオーバーホール期間を延長させることが可能になる。また、真空ポンプ120の生成物対策運転中は、電磁弁110が閉じられているため、生成物対策運転が半導体製造装置100の半導体製造工程を妨げることを防止するこが可能になる。さらに、第1の実施形態に係る運転制御装置140は、自身のポンププロセス可能状態(通常運転可能状態)信号S3を半導体製造装置100内の制御装置105に出力し、半導体製造装置100内の制御装置105はポンププロセス可能状態信号S3の受信を確認してから電磁弁110を開けるため、生成物対策運転終了前に電磁弁110を開けてしまうといったことを確実に防止することができ、真空ポンプ120の信頼性を向上させることができる。さらに、半導体製造装置100内の制御装置105は、次工程プロセス準備を開始する場合は、直ちに生成物対策停止指令信号S2を運転制御装置140に対して出力し、上述のポンププロセス可能状態(通常運転可能状態)信号S3の受信を確認してから、次工程プロセスへ移行する動作(電磁弁110を開ける動作)を実行するため、半導体製造工程の信頼性も向上させることができる。
【0070】
なお、上記第1の実施形態では、真空ポンプ120の生成物対策運転として、真空ポンプ120の停止と運転を繰り返す停止シーケンスと起動シーケンスを実行する場合を説明したが、これらの運転シーケンスに限るものではなく、例えば、真空ポンプ120の回転数を低回転に落とすアイドリング運転シーケンスを実行するようにしてもよい。このアイドリング運転シーケンスでは、例えば、半導体製造装置100から生成物対策指令信号S2を受信した後、真空ポンプ120の回転数を徐々に落として所望のアイドリング状態に移行し、所定期間アイドリング運転を継続した後、徐々に通常の回転数に上昇させるといった運転シーケンス等を実行するようにしてもよい。このようなアイドリング運転シーケンスを実行することにより、半導体製造装置100が排気を伴うプロセスに移行する際に、真空ポンプ120を直ちに通常運転状態に復帰させることが可能になる。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る運転制御装置では、真空ポンプのケーシングの温度、モータの電流、回転数、電力等を検出し、真空ポンプのメンテナンス条件を判定した後、上記第1の実施形態の図9及び図10において示した各制御処理を実行することに特徴がある。なお、第2の実施形態に係る運転制御装置、半導体製造装置、真空ポンプの各構成は、上記第1の実施形態において説明した構成と同様であるため、その図示及び構成説明は省略する。このため、第2の実施形態では、半導体製造装置100の制御装置105において実行される真空ポンプ120に対する制御処理の具体例と、運転制御装置140内の運転制御部150において実行される真空ポンプ120の生成物対策運転に対する制御処理の具体例について図11及び図12に示すフローチャートを参照して説明する。
する。
【0072】
図11は第2の実施形態に係る半導体製造装置100の制御装置105において実行される真空ポンプ120に対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。なお、図11において、上述の図8に示したフローチャート内のステップと同一のステップには同一のステップ番号を付しており、その動作説明は省略する。
【0073】
図11において、半導体製造装置100の制御装置105は、運転制御装置140からメンテ信号S3を受信しているかを確認する(ステップS301)。運転制御装置140からメンテ信号S3を受信している場合(ステップS301:YES)、制御装置105はステップS101以降の処理を実行する。
【0074】
図12は第2の実施形態に係る運転制御装置140内の運転制御部150において実行される真空ポンプ120の生成物対策運転に対する制御処理の具体例を示すフローチャートである。なお、図12において、上述の図9に示したフローチャート内のステップと同一のステップには同一のステップ番号を付しており、その動作説明は省略する。
【0075】
図12において、運転制御装置140内の運転制御部150は、真空ポンプ120のケーシング(図2のケーシング1、又は、図4のケーシング30)の温度、モータ(図2のモータM、又は、図4のモータ部20)の電流、回転数、電力等を検出し、これらの検出値と運転制御部150に予め記憶されたメンテナンス条件の基準値とを比較し、当該真空ポンプ120がメンテナンス時期にあるかを判定する(ステップS401)。真空ポンプ120がメンテナンス時期にあると判定した場合はメンテナンス信号S3を半導体製造装置100の制御装置105に出力して(ステップS401:YES)、運転制御部150はステップS201以降の処理を実行する。
【0076】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る運転制御装置140では、真空ポンプのメンテナンス時期を判定してから、生成物対策運転を実行するようにしたため、真空ポンプの生成物対策運転を更に効率良く行うことができ、真空ポンプのオーバーホール期間を更に延長させることが可能になる。なお、真空ポンプ120のメンテナンス時期の判定は、上述したケーシングの温度、モータの電流、回転数、電力等の検出値に限定するものではない。例えば、真空ポンプ120のケーシング内に生成物の堆積状態を検出するセンサを設け、このセンサの検出信号によりメンテナンス時期を判定するようにしてもよい。また、真空ポンプ120の運転状態により経時的に変化する振動モードを検出してメンテナンス時期の判定基準としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
100…半導体製造装置、110…電磁弁、120…真空ポンプ、130…モータ、140…運転制御装置、150…運転制御部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプにおいて、
前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、生成物対策運転を制御する運転制御部を備えることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
前記運転制御部は、前記真空ポンプの運転状態を検出し、当該真空ポンプの運転状態により前記生成物対策運転時期を判定し、当該生成物対策運転時期に前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合に前記生成物対策運転を制御することを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの運転/停止を繰り返す運転シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの停止シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの起動シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記運転制御部は、前記生成物対策運転として前記真空ポンプの停止シーケンス及び起動シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御装置において、
前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、前記真空ポンプの生成物対策運転を制御する運転制御部を備えることを特徴とする真空ポンプの運転制御装置。
【請求項8】
半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御方法において、
前記半導体製造装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合、生成物対策運転シーケンスに従って前記真空ポンプの生成物対策運転を制御することを特徴とする真空ポンプの運転制御方法。
【請求項9】
半導体製造装置のチャンバ内を排気する真空ポンプの運転状態を制御する真空ポンプの運転制御方法において、
前記真空ポンプの運転状態を検出し、
前記真空ポンプの運転状態により前記真空ポンプの生成物対策運転時期を判定し、
前記生成物対策運転時期に前記半導体制御装置から前記チャンバの排気を伴わないプロセスであることを示す信号を受信した場合に、生成物対策運転シーケンスに従って前記真空ポンプの生成物対策運転を制御することを特徴とする真空ポンプの運転制御方法。
【請求項10】
前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの運転/停止を繰り返すことを特徴とする請求項8又は9に記載の真空ポンプの運転制御方法。
【請求項11】
前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの停止シーケンスを実行することを特徴とする請求項8又は9に記載の真空ポンプの運転制御方法。
【請求項12】
前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの起動シーケンスを実行することを特徴とする請求項8又は9に記載の真空ポンプの運転制御方法。
【請求項13】
前記生成物対策運転シーケンスは、前記真空ポンプの停止シーケンス及び起動シーケンスを実行することを特徴とする請求項8又は9に記載の真空ポンプの運転制御方法。
【請求項14】
前記真空ポンプの生成物対策運転に移行する前に、前記半導体装置と前記真空ポンプとの間の排気経路に配置された電磁弁を閉じることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の真空ポンプの運転制御方法。


【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−12954(P2012−12954A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147665(P2010−147665)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】