説明

着用物品

【課題】レギンスやスパッツを着用しているように見せることのできるタイツを提供する。
【解決手段】ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性のあるタイツ10Aにおいて、タイツ10Aが、第1の色に着色されてウエスト部11からレッグ部13における所定の第1位置13aまでの第1染色部分15と、第1の色と異なる第2の色に着色されてレッグ部13における第1位置13aからフット部14までの第2染色部分16とを有し、第1の色が黒色であって第2の色がベージュ色であるように、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編された着用物品に関し、さらに詳細には、編みが細かく薄手のパンティストッキング等を含んだタイツのような伸縮性のある着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
タイツは、ニット編地などの伸縮性を持たせた生地で縫製されたフィット性の高いズボン類であり、他方、パンティストッキングは、ナイロン糸とポリウレタン糸を主な材料として使い、タイツより編み目が細かく薄手のものである点で、タイツと区別されているが、両者とも着用者のつま先まで覆っている。これに対し、スパッツは、タイツの足先部分即ちフット部がない形状をしたものであり、欧米ではカルソンまたはレギンス等とも呼ばれている。
【0003】
この明細書では、このようなタイツおよびパンティストッキングを含む意味として、以下、着用物品と称する。ところで、スパッツやレギンスは、一般的には色や柄が付いているものであり、若い女性を中心に非常に好まれて着用されている。しかし、スパッツやレギンスは、パンティ部からレッグ部(脚部)の脛(スネ)部までで、前述したようにフット部が無い。従って、スパッツやレギンスを着用した場合、レッグ部における脛部の一部からフット部全体までが素肌になる。そのため、直接肌を出すことに抵抗のある人などは、スパッツの下にパンティストッキングあるいはストッキングを着用する人もいる。また、このように部分的に素肌になるスパッツやレギンスを冬季に着用すると、素肌の部分が寒く、そのため防寒の点から、スパッツやレギンスの下にパンティストッキングあるいはストッキングを着用する人もいる。
【0004】
さらに、部分的に素肌になる場合としては、オーバーニーレングスソックスやハイソックス、或いはレッグウォーマーなどを着用するときである。例えば、オーバーニーレングスソックスは、その丈が膝よりやや上まであるので、太ももは素肌のままとなる。そのため、このようなオーバーニーレングスソックスを着用する場合にも、直接肌を出すことに抵抗のある人や冬季の着用時に寒さを避けたい人などはパンティストッキングを着用した上にオーバーニーレングスソックスを着用している。
【0005】
しかしながら、パンティストッキングあるいはストッキングを着用した上にスパッツやレギンス、またはオーバーニーレングスソックスやハイソックスなどを重ね着すると、二重に着用した部分の厚さが厚くなるため軽装感がなくなって身体を動かしづらいという問題があり、また、着用中に気温が高くなると、厚着をしているのと同じであるため汗をかき、不快に感じることさえある、という問題があった。
【0006】
ところで、パンティストッキング、ストッキング、厚手のタイツなどに関する従来の技術として、特許文献1に開示された考案が知られている。この特許文献1に開示された考案は、パンティストッキング、ストッキング、厚手のタイツを含むタイツ類に関するもので、レッグ部の膝上からフット部の爪先までの範囲で、その一部を他の部分と異なる柄や編み地にしたものである。具体的に特許文献1に開示された考案では、ストッキングやパンティストッキングなどのタイツ類において、レッグ部の膝上からフット部の爪先までの範囲で、少なくともふくらはぎ下部から足首にわたる部分に部分的に柄編み部分並びに生地の厚みに変化を設け、この柄編み部分以外は無地編み部分としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3044071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1に開示のタイツ類を着用すれば、素肌になる部分は無いが、素足にスパッツやレギンスを着用しているようにはとても見えないし、またオーバーニーレングスソックスを着用しているようにも見えない。なぜならば、特許文献1に開示された考案のタイツ類は、従来、ソックスの丈が、足先から膝下までまたは膝上までであるため、足の運動やくつとソックスの摩擦などによりソックスがずり落ちやすい、という問題があり、この問題を解決するためにパンティストッキングやストッキングなどにおける少なくともふくらはぎ下部から足首にわたる部分に部分的に柄編み部分を設け、この柄編み部分以外は無地編みとすることにより、一見するとソックスを着用しているかのように見せるために創作されたものであるからである。
【0009】
従って、特許文献1に開示のタイツ類では、ウエスト部からフット部の爪先部まであるタイツやパンティストッキングなどを着用しながらも、素足にレギンスやスパッツ、あるいはオーバーニーレングスソックスやレッグウォーマーを着用しているように見せることはできない。
【0010】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであり、ウエスト部からフット部の爪先まであるタイツやパンティストッキングなどを着用しているにもかかわらず、素足にレギンスやスパッツを着用しているように見せることができ、あるいはオーバーニーレングスソックスやハイソックス、レッグウォーマーなどを着用しているように見せることのできる着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための第1の発明は、ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品であり、その特徴とするところは、着用物品が、第1の色に着色され、ウエスト部からレッグ部の所定の第1位置までの第1染色域と、第1の色と異なる第2の色に着色され、レッグ部の第1位置からフット部までの第2染色域とを有し、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いことにある。
【0012】
第1の発明に係る着用物品の一実施態様としては、第1染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色域が無着色の糸で製編され、無着色の糸で製編された第2染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている。
【0013】
第1の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲にあり、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にある。
【0014】
第1の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、ウエスト部とパンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にあり、レッグ部における第1染色域が、70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と、30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する。
【0015】
前記課題を解決するための第2の発明は、ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品であり、その特徴とするところは、着用物品が、第1の色に着色され、ウエスト部からレッグ部の所定の第1位置までの第1染色と、第1の色と異なる第2の色に着色され、レッグ部の第1位置からフット部までの第2染色と、フット部に形成されて第2の色と異なる第3の色に着色された第3染色域とを有し、第1および第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いことにある。
【0016】
第2の発明に係る着用物品の一実施態様としては、第1および第3染色が第1および第3の色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色が無着色の糸で製編され、無着色の糸で製編された第2染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている。
【0017】
第2の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲、第3染色域を製編している糸の太さが50〜90デニールの範囲にある。
【0018】
第2の発明に係る着用物品の一実施態様としては、ウエスト部とパンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲、第3染色域を製編している糸の太さが50〜90デニールの範囲にあり、レッグ部における第1染色域が、70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と、30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する。
【0019】
前記課題を解決するための第3の発明は、ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品であり、その特徴とするところは、着用物品が、第1の色に着色され、レッグ部の所定の第2位置からフット部までの第4染色と、第1の色と異なる第2の色に着色され、ウエスト部からレッグ部の第2位置までの第5染色域とを有し、第1の色の濃度が第2の色のそれより濃いことにある。
【0020】
第3の発明に係る着用物品の一実施態様としては、第4染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第5染色域が無着色の糸で製編され、無着色の糸で製編された第5染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている。
【0021】
第3の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第4染色を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲にあり、第5染色域を製編している糸の太さが20〜50デニールの範囲にある。
【0022】
第3の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第5染色域におけるパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部を除く第2位置までの第4染色域がパンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている。
【0023】
前記課題を解決するための第4の発明は、ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品であり、その特徴とするところは、着用物品が、第2の色に着色され、レッグ部のフット部の側の所定の第1位置からフット部までの第6染色域と、第2の色に着色され、ウエスト部からレッグ部の所定の第2位置までの第7染色域と、第2の色と異なる第1の色に着色され、レッグ部の第1位置から第2位置までの間の第8染色域とを有し、第1の色の濃度が第2の色のそれより濃いことにある。
【0024】
第4の発明に係る着用物品の一実施態様としては、第8染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第6染色域および第7染色域が無着色の糸で製編され、無着色の糸で製編された第6染色域および第7染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に前記第2の色の染料に浸けることにより着色されている。
【0025】
第4の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第8染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲にあり、第6染色域および第7染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にある。
【0026】
第4の発明に係る着用物品の他の一実施態様としては、第7染色域におけるパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部を除く第2位置までの第7染色域がパンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている。
【0027】
第1〜第4の発明に係る着用物品の一実施態様としては、第2の色がベージュ色であり、第1の色がベージュ色より濃い色である。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明にかかる着用物品によれば、ウエスト部からレッグ部の第1位置までの第1染色域が第1の色に着色され、それ以外の部分、即ちレッグ部の第1位置よりフット部全体までの第2染色域が第1の色と異なる第2の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いから、例えば、第2の色を肌色であるベージュ色若しくはそれに近い色にし、第1の色を黒色またはそれに近い色にすることにより、レッグ部の第1位置からフット部全体までを素肌が露出しているように見せることができる。この着用物品は、スパッツやレギンスを着用しているように見えることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもスパッツやレギンス感覚で着用することができる。
【0029】
第1染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色域が無着色の糸で製編され、第2染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている着用物品は、着用物品において第2染色域を容易に作ることができるから、着用物品を短時間に大量に生産することができるとともに、着用物品を廉価に生産することができる。
【0030】
第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にある着用物品は、第2染色域の生地が薄く形成されるから、第2染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、着用書の肌が第2染色域において透きとおって見え、タイツを着用しているにもかかわらず、レギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0031】
ウエスト部とパンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にあり、レッグ部における第1染色域が70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する着用物品は、第2染色域の生地が薄く形成されるから、着用書の肌が第2染色域において透きとおって見え、第2染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、タイツを着用しているにもかかわらず、レギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。この着用物品は、レッグ部における第1染色域が高デニール部分と低デニール部分とを有するから、レッグ部において外見の変化を付けることができ、ファッション性に富み、見端の優れたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0032】
第2の発明にかかる着用物品によれば、ウエスト部からレッグ部の第1位置までの第1染色域が第1の色に着色され、それ以外の部分、即ちレッグ部の第1位置よりフット部全体までの第2染色域が第1の色と異なる第2の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いから、例えば、第2の色を肌色であるベージュ色若しくはそれに近い色にし、第1の色を黒色またはそれに近い色にすることにより、レッグ部の第1位置からフット部全体までを素肌が露出しているように見せることができる。この着用物品は、スパッツやレギンスを着用しているように見えることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもスパッツやレギンス感覚で着用することができる。この着用物品は、第2の色と異なる第3の色に着色された第3染色域がフット部に形成され、第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いから、フット部において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0033】
第1および第3染色域が記第1および第3の色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色域が無着色の糸で製編され、第2染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている着用物品は、着用物品において第2染色域を容易に作ることができるから、着用物品を短時間に大量に生産することができるとともに、着用物品を廉価に生産することができる。
【0034】
第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲、第3染色域を製編している糸の太さが50〜90デニールの範囲にある着用物品は、第2染色域の生地が薄く形成されるから、第2染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、着用書の肌が第2染色域において透きとおって見え、タイツを着用しているにもかかわらず、レギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。この着用物品は、第3染色域が第2染色域よりも生地が厚く形成されるから、フット部において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0035】
ウエスト部とパンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲、第2染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲、第3染色域を製編している糸の太さが50〜90デニールの範囲にあり、レッグ部における第1染色域が70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する着用物品は、第2染色域の生地が薄く形成されるから、着用書の肌が第2染色域において透きとおって見え、第2染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、タイツを着用しているにもかかわらず、レギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。着用物品は、第3染色域が第2染色域よりも厚く形成されるから、フット部において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。この着用物品は、レッグ部における第1染色域が高デニール部分と低デニール部分とを有するから、レッグ部において外見の変化を付けることができ、ファッション性に富み、見端の優れたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0036】
第3の発明にかかる着用物品によれば、レッグ部における所定の第2位置よりフット部までの第4染色域が第1の色に着色され、それ以外、即ちレッグ部の第2位置よりウエスト部までの第5染色域が第1の色と異なる第2の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれより濃いから、例えば、第2の色を肌色であるベージュ色若しくはそれに近い色にし、第1の色を黒色またはそれに近い色にすることにより、レッグ部の第2位置よりウエスト部までを素肌が露出しているように見せることができる。この着用物品は、素肌を直接露出させることなくあたかも素足にオーバーニーレングスソックスやハイソックスを着用しているかのように見せることができることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもオーバーニーレングスソックスやハイソックスなどを軽装感覚で着用することができる。
【0037】
第4染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第5染色域が無着色の糸で製編され、第5染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている着用物品は、着用物品において第5染色域を容易に作ることができるから、着用物品を短時間に大量に生産することができるとともに、着用物品を廉価に生産することができる。
【0038】
第4染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲にあり、第5染色域を製編している糸の太さが20〜50デニールの範囲にある着用物品は、第5染色域の生地が薄く形成されるから、第5染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、着用書の肌が第5染色域において透きとおって見え、タイツを着用しているにもかかわらず、素足にオーバーニーレングスソックスやハイソックスを着用しているように見せることができる。
【0039】
第5染色域におけるパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部を除く第2位置までの第5染色域がパンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている着用物品は、第5染色域においてパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編されているから、着用者の腰部分やヒップ部分が他の部分よりも強めに締め付けられ、着用感が非常に高くなり、着用物品の不用意なずれ下がりを防ぐことができるとともに、着用者の腰部分やヒップ部分の冷えを防止することができる。
【0040】
第4の発明にかかる着用物品によれば、第1位置からフット部までの第6染色域とウエスト部からレッグ部の第2位置までの第7染色域とが第2の色に着色され、それ以外、即ちレッグ部の第1位置から第2位置までの間の第8染色域が第2の色と異なる第1の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃いから、例えば、第2の色を肌色であるベージュ色若しくはそれに近い色にし、第1の色を黒色またはそれに近い色にすることにより、ウエスト部からレッグ部の第2位置までの第7染色域およびレッグ部の第1位置からフット部までの第6染色域とを素肌が露出しているように見せることができる。この着用物品は、素肌を直接露出させることなくあたかも素足にレッグウォーマーを着用しているかのように見せることができることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもレッグウォーマーを軽装感覚で着用することができる。
【0041】
第8染色域が第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、第6染色域および第7染色域が無着色の糸で製編され、第6染色域および第7染色域がウエスト部からフット部まで一体に形成された後に第2の色の染料に浸けることにより着色されている着用物品は、着用物品において第6染色域や第7染色域を容易に作ることができるから、かかる着用物品を短時間に大量に生産することができるとともに、着用物品を廉価に生産することができる。
【0042】
第8染色域を製編している糸の太さが70〜90デニールの範囲にあり、第6染色域および第7染色域を製編している糸の太さが20〜40デニールの範囲にある着用物品は、第6染色域および第7染色域の生地が薄く形成されるから、第6染色域および第7染色域をベージュ色のような淡い色にすることにより、着用書の肌が第6染色域および第7染色域において透きとおって見え、タイツを着用しているにもかかわらず、素足にレッグウォーマーを着用しているように見せることができる。
【0043】
第7染色域におけるパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部を除く第2位置までの第7染色域がパンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている着用物品は、第7染色域においてパンティ部が40〜50デニールの太さの糸で製編されているから、着用者の腰部分やヒップ部分が他の部分よりも強めに締め付けられ、着用感が非常に高くなり、着用物品の不用意なずれ下がりを防ぐことができるとともに、着用者の腰部分やヒップ部分の冷えを防止することができる。
【0044】
第1〜第4の発明に係る着用物品によれば、第2の色がベージュ色であり、第1の色がベージュ色より濃い色であるから、タイツを着用しているにもかかわらずスパッツやレギンスを着用しているように見せることができ、あるいは、素足にオーバーニーレングスソックスを着用しているように見せることができ、または、レッグウォーマーを着用しているように見せることができることから、素肌を直接露出させたくない着用者にも、スパッツやレギンス感覚、オーバーニーレングスソックス感覚、レッグウォーマー感覚で着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の側面図。
【図2】タイツを製造する際に半製品の一部を染めている状態を示す概略構成説明図。
【図3】第2実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図4】着用状態で示す図3のタイツ(着用物品)の斜視図。
【図5】第2実施形態の他の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図6】第2実施形態の他の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図7】第3実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図8】第3実施形態の他の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図9】第3実施形態の他の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図10】第4実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の平面図。
【図11】第5実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の側面図。
【図12】第6実施形態の一例を示すタイツ(着用物品)の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面を参照しつつ、タイツを例として本発明の着用物品の詳細を説明する。なお、図1は、第1実施形態の一例を示すタイツ10A(着用物品)の側面図であり、図2は、タイツ10Aを製造する際に半製品の一部を染めている状態を示す概略構成説明図である。図1に示すタイツ10Aは、請求項1に記載された第1の発明に対応する実施形態である。
【0047】
タイツ10Aは、着用者がそれを着用したときの、着用者の腰部分を包被するウエスト部11と、着用者のヒップ部分を包被するパンティ部12と、着用者の脚部分を包被するレッグ部13と、着用者のフット部分を包被するフット部14とを有する。タイツ10Aは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。ここで、製編とは、編み立てることを意味する。
【0048】
タイツ10Aは、ウエスト部11からレッグ部13における所定の第1位置13aまでの第1染色域15と、レッグ部13における第1位置13aからフット部14までの第2染色域16とを有する。第1実施形態に係るタイツ10Aの第1位置13aは、フット部14より僅かに膝側に位置し、ふくらはぎより下、即ちフット部14寄りに位置している。なお、第1位置13aが第1実施形態によって限定されるものではなく、第1位置13aが少なくとも着用者の膝からくるぶしまでの間に位置すればよい(図3〜図10に示すタイツも同様)。
【0049】
第1染色域15は第1の色に着色され、第2染色域16は第1の色と異なる第2の色に着色されている。第1の色と第2の色とは濃度に差があり、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。第1実施形態に係るタイツ10Aでは、第1染色域15が黒色に染色され、第2染色域16がベージュ色、即ち肌色に染色されている。この濃度差は、大きければ大きいほど好ましい。第1実施形態では、第1の色を黒色とし、第2の色をベージュ色としたが、第1の色および第2の色をそれらの色に限定するものではなく、第1の色を例えば濃い緑色や濃紺色、あるいはこれら以外の色とすることもできる。第2の色については、この発明の目的からベージュ色とすることが好ましいが、第2の色についてもベージュ色に限定するものではなく、第1の色より濃度が淡い色であれば何色であってもよい(図3〜図10に示すタイツも同様)。
【0050】
タイツ10Aの第1染色域15は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。第2染色部分16は、無着色の糸で製編されている。タイツ10Aは、第2染色域16を無着色の白色糸で製編した後、連続して第1染色域15を先染め糸で製編してタイツの半製品17を作り、図2に示すように、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することにより着色する。その際、第1の色、即ち黒色で先染めされた糸により製編された第1染色域15は、第2の色、即ちベージュ色より濃度が濃いことからベージュ色の染料18に浸されてもその色には染まらず、黒色のままである。このように第1の色と第2の色との濃度差が大きいと、第2の色が先染糸で製編された第1染色域15を着色してしまうことはない。これにより、無着色の白色糸で製編された部分だけがベージュ色に着色されて第2染色域16となる。
【0051】
ただし、無着色の白色糸で第2染色域16を製編した後、連続して第1染色域15を先染め糸で製編して半製品17を作る、と説明したが、これは本発明を分かりやすく説明するためであり、実際には、半製品17は、以下のような従来方法により作られる。すなわち、この半製品17を製造する方法は、従来のパンティストッキングやタイツを製造する方法とほぼ同じであるので簡単に説明すると、第2染色域16に相当する部分を無着色の白色糸で製編し、連続して第1染色域15に相当する部分を黒色(第1の色)に先染めされた糸により製編して筒状編地を作り、この筒状編地を2本準備し、これら筒状編地のそれぞれについて、フット部14となる閉鎖端とは反対側の開口端の一箇所に長手方向に沿って所定長さの切り込みを入れ、次いで、この切り込みを開いた部分を縫合により連結することによってタイツ10Aの半製品17が作られる。
【0052】
第1染色域15を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する無着色の糸には、20〜40デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。第1染色域15を製編する先染め糸や第2染色域16を製編する無着色糸としては、ポリウレタンを芯にナイロンを巻き付けたり、ナイロンの上にさらに別の糸を巻き付けた二重構造糸(コアヤーン)などを使用することができる。
【0053】
第1実施形態に係るタイツ10Aにおいて、第2染色域16を製編する糸の太さを20〜40デニール、好ましくは20〜30デニールとする理由は、第2染色域16が第1染色域15に比べて生地が非常に薄くなり、着用物品を着用者が着用すると、第2染色域16において着用者の肌が透き通って見えることから、第2染色域16がベージュ色であることと相まって一層素肌であるように見せることができるからである。また、第1染色域15を製編する糸の太さを70〜90デニール、好ましくは、70〜80デニールとする理由は、第1染色域15の生地が第2染色域16に比べて厚く、第1染色域15と第2染色域16との濃淡の差を大きくすることができ、タイツ10Aを着用者が着用したときに、より一層素足にレギンスやスパッツを着用しているように見えるからである。
【0054】
タイツ10A(着用物品)は、ウエスト部11からレッグ部13の第1位置13aまでの第1染色域15が第1の色に着色され、レッグ部13の第1位置13aよりフット部14全体までの第2染色域16が第2の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃く、第2の色を肌色であるベージュ色にし、第1の色を黒色にすることにより、レッグ部13の第1位置13aからフット部14全体までを素肌が露出しているように見せることができる。タイツ10Aは、スパッツやレギンスを着用しているように見えることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもスパッツやレギンス感覚で着用することができる。
【0055】
タイツ10Aは、第1染色域15が黒色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色域16が無着色の糸で製編され、第2染色域16がウエスト部11からフット部14まで一体に形成された後にベージュ色の染料に浸けることにより着色されるから、第2染色域16を容易に作ることができ、タイツ10Aを短時間に大量に生産することができるとともに、タイツ10Aを廉価に生産することができる。
【0056】
図3は、第2実施形態の一例を示すタイツ10B(着用物品)の平面図であり、図4は、着用状態で示す図3のタイツ10B(着用物品)の斜視図である。図3に示すタイツ10Bは、請求項4に記載された第1の発明に対応する実施形態である。以下、図3,4に基づいて本発明の第2実施形態に係るタイツ10Bの詳細を説明する。なお、図3に示すタイツ10Bにおいて、図1に示すタイツ10Aを構成する部分と同一若しくは相当する部分には同一の参照符号を付けてその説明を省略する。
【0057】
タイツ10Bは、図1のそれと同様に、ウエスト部11、パンティ部12、レッグ部13、フット部14を有する。タイツ10Bは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。タイツ10Bは、ウエスト部11からレッグ部13における所定の第1位置13aまでの第1染色域15と、レッグ部13における第1位置13aからフット部14までの第2染色域16とを有する。
【0058】
第1染色域15は第1の色に着色され、第2染色域16は第1の色と異なる第2の色に着色されている。第1の色と第2の色とは濃度に差があり、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。タイツ10Bでは、第1染色域15が黒色に染色され、第2染色域16がベージュ色に染色されている。レッグ部13における第1染色域15は、高デニール部分20と、高デニール部分20よりも細い糸で製編された低デニール部分21とを有する。第1染色域15では、高デニール部分20と低デニール部分21とがレッグ部13の長さ方向へ交互に並んでいる。
【0059】
タイツ10Bの第1染色域15は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。第2染色部分16は、無着色の糸で製編されている。タイツ10Bは、タイツ10Aと同様に、第2染色域16を無着色の白色糸で製編した後、連続して第1染色域15の高デニール部分20と低デニール部分21とを先染め糸で製編してタイツの半製品17を作り、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することにより着色する(図2援用)。半製品17の製造方法は、図1のタイツ10Aのそれと同一であるから、その説明は省略する。
【0060】
ウエスト部11とパンティ部12とにおける第1染色域15を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する無着色の糸には、20〜40デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。レッグ部13における第1染色域15の高デニール部分20を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。レッグ部13における第1染色域15の低デニール部分21を製編する先染め糸には、30〜50デニールの太さの糸、好ましくは、30〜40デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する糸の太さを前記範囲とする理由は、図1のタイツ10Aのそれと同一である。なお、レッグ部13における第1染色域15に高デニール部分20と低デニール部分21とを設けることにより、第1染色域15に生地の厚い部分と薄い部分とが形成される。
【0061】
このタイツ10Bは、図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。タイツ10Bは、レッグ部13における第1染色域15が高デニール部分20と低デニール部分21とを有するから、レッグ部13において外見の変化を付けることができ、図4に示すように、ファッション性に富み、見端の優れたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0062】
図5は、第2実施形態の他の一例を示すタイツ10C(着用物品)の平面図であり、図6は、第2実施形態の他の一例を示すタイツ10D(着用物品)の平面図である。図5,6に示すタイツ10C,10Dは、請求項4に記載された第1の発明に対応する実施形態である。
【0063】
図5のタイツ10Cが図3のそれと異なるところは、レッグ部13における第1染色域15の高デニール部分20と低デニール部分21とが着用者の膝より上の片方のレッグ部13の第1染色域15に作られている点にあり、その他の構成は図3のタイツ10Bと同一である。タイツ10Cにおける高デニール部分20と低デニール部分21とは、レッグ部13の長さ方向へ交互に並んでいる。ウエスト部11とパンティ部12とにおける第1染色域15を製編する先染め糸の太さや第2染色域16を製編する無着色の糸の太さ、高デニール部分20を製編する先染め糸の太さ、低デニール部分21を製編する先染め糸の太さは、図3のタイツ10Bのそれらと同一である。
【0064】
図6のタイツ10Dが図3のそれと異なるところは、レッグ部13における第1染色域15の高デニール部分20と低デニール部分21とが着用者の膝から下の第1染色域15に作られている点、高デニール部分20の長さ方向の幅と低デニール部分21の長さ方向の幅とが着用者の膝から下に向かうにつれて次第に小さくなっている点にあり、その他の構成は図3のタイツ10Bと同一である。タイツ10Dにおける高デニール部分20と低デニール部分21とは、レッグ部13の長さ方向へ交互に並んでいる。ウエスト部11とパンティ部12とにおける第1染色域15を製編する先染め糸の太さや第2染色域16を製編する無着色の糸の太さ、高デニール部分20を製編する先染め糸の太さ、低デニール部分21を製編する先染め糸の太さは、図3のタイツ10Bのそれらと同一である。
【0065】
図5のタイツ10Cや図6のタイツ10Dは、図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。タイツ10C,10Dは、レッグ部13における第1染色域15が高デニール部分20と低デニール部分21とを有するから、レッグ部13において外見の変化を付けることができ、ファッション性に富み、見端の優れたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0066】
図7は、第3実施形態の一例を示すタイツ10E(着用物品)の平面図である。図7に示すタイツ10Eは、請求項5に記載された第2の発明に対応する実施形態である。以下、図7に基づいて本発明の第3実施形態に係るタイツ10Eの詳細を説明する。なお、図7に示すタイツ10Eにおいて、図1に示すタイツ10Aを構成する部分と同一若しくは相当する部分には同一の参照符号を付けてその説明を省略する。
【0067】
タイツ10Eは、図1のそれと同様に、ウエスト部11、パンティ部12、レッグ部13、フット部14を有する。タイツ10Eは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。タイツ10Eは、ウエスト部11からレッグ部13における所定の第1位置13aまでの第1染色域15と、レッグ部13における第1位置13aからフット部14までの第2染色域16と、フット部14に形成された第3染色域22とを有する。
【0068】
第1染色域15は第1の色に着色され、第2染色域16は第1の色と異なる第2の色に着色され、第3染色域22は第2の色と異なる第3の色に着色されている。第1および第3の色と第2の色とは濃度に差があり、第1および第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。タイツ10Eでは、第1染色域15と第3染色域22とが黒色に染色され、第2染色域16がベージュ色に染色されている。第3染色域22は、フット部14の中央に形成され、タイツ10Eの長さ方向と交差する幅方向へ延びている。なお、第1染色域15の色と第3染色域22の色とが同一の黒色であるが、それら域15,22が異なる色であってもよい。
【0069】
タイツ10Eの第1染色域15は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色部分16は、無着色の糸で製編されている。第3染色域22は、第3の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。タイツ10Eは、第2染色域16を無着色の白色糸で製編するとともに、第3染色域22を先染め糸で製編した後、連続して第1染色域15を先染め糸で製編してタイツの半製品17を作り、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することにより着色する(図2援用)。半製品17の製造方法は、図1のタイツ10Aのそれと同一であるから、その説明は省略する。
【0070】
第1染色域15を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する無着色の糸には、20〜40デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。第3染色域22を製編する先染め糸には、50〜90デニールの太さの糸、好ましくは、50〜70デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する糸の太さを前記範囲とする理由は、図1のタイツ10Aのそれと同一である。なお、フット部14に第3染色域22を設けることにより、フット部14に第2染色域16よりも生地の厚い部分が形成される。
【0071】
このタイツ10Eは、図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。タイツ10Eは、第2の色(ベージュ色)と異なる第3の色(黒色)に着色された第3染色域22がフット部14に形成され、第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃く、第3染色域22が第2染色域16よりも生地が厚く形成されるから、フット部14において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0072】
図8は、第3実施形態の他の一例を示すタイツ10F(着用物品)の平面図であり、図9は、第3実施形態の他の一例を示すタイツ10G(着用物品)の平面図である。図8,9に示すタイツ10F,10Gは、請求項5に記載された第2の発明に対応する実施形態である。
【0073】
図8のタイツ10Fが図7のそれと異なるところは、フット部14に形成された複数の第3染色域22がフット部14の長さ方向へ所定の間隔で並んでいる点にあり、その他の構成は図7のタイツ10Eと同一である。フット部14では、第2染色域16と第3染色域22とがフット部14の長さ方向へ交互に並んでいる。第1染色域15を製編する先染め糸の太さや第2染色域16を製編する無着色の糸の太さ、第3染色域22を製編する先染め糸の太さは、図7のタイツ10Eのそれらと同一である。
【0074】
図9のタイツ10Gが図7のそれと異なるところは、フット部14に形成された複数の第3染色域22がフット部14の長さ方向へ所定の間隔で並んでいる点、第3染色域22がフット部14の長さ方向へ延びている点にあり、その他の構成は図7のタイツ10Eと同一である。フット部14では、第2染色域16と第3染色域22とがフット部14の長さ方向へ交互に並ぶとともに、第3染色域22がフット部14の幅方向中央部において長さ方向へ直状に延びている。第1染色域15を製編する先染め糸の太さや第2染色域16を製編する無着色の糸の太さ、第3染色域22を製編する先染め糸の太さは、図7のタイツ10Eのそれらと同一である。
【0075】
図8のタイツ10Fや図9のタイツ10Gは、図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。タイツ10F,10Gは、第2の色(ベージュ色)と異なる第3の色(黒色)に着色された第3染色域22がフット部14に形成され、第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃く、第3染色域22が第2染色域16よりも生地が厚く形成されるから、フット部14において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0076】
図10は、第4実施形態の一例を示すタイツ10H(着用物品)の平面図である。図10に示すタイツ10Hは、請求項8に記載された第2の発明に対応する実施形態である。以下、図10に基づいて本発明の第4実施形態に係るタイツ10Hの詳細を説明する。なお、図10に示すタイツ10Hにおいて、図1に示すタイツ10Aを構成する部分と同一若しくは相当する部分には同一の参照符号を付けてその説明を省略する。
【0077】
タイツ10Hは、図1のそれと同様に、ウエスト部11、パンティ部12、レッグ部13、フット部14を有する。タイツ10Hは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。タイツ10Hは、ウエスト部11からレッグ部13における所定の第1位置13aまでの第1染色域15と、レッグ部13における第1位置13aからフット部14までの第2染色域16と、フット部14に形成された複数の第3染色域22とを有する。
【0078】
第1染色域15は第1の色に着色され、第2染色域16は第1の色と異なる第2の色に着色され、第3染色域22は第2の色と異なる第3の色に着色されている。第1および第3の色と第2の色とは濃度に差があり、第1および第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。タイツ10Hでは、第1染色域15と第3染色域22とが黒色に染色され、第2染色域16がベージュ色に染色されている。
【0079】
レッグ部13における第1染色域15は、高デニール部分20と、高デニール部分20よりも細い糸で製編された低デニール部分21とを有する。第1染色域15では、高デニール部分20と低デニール部分21とがレッグ部13の長さ方向へ交互に並んでいる。それら第3染色域22は、フット部14の長さ方向へ所定の間隔で並んでいる。フット部14では、第2染色域16と第3染色域22とがフット部14の長さ方向へ交互に並んでいる。なお、第1染色域15の色と第3染色域22の色とが同一の黒色であるが、それら域15,22が異なる色であってもよい。
【0080】
タイツ10Hの第1染色域15は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編され、第2染色部分16は、無着色の糸で製編されている。第3染色域22は、第3の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。タイツ10Hは、第2染色域16を無着色の白色糸で製編するとともに、第3染色域22を先染め糸で製編した後、連続して第1染色域15を先染め糸で製編してタイツの半製品17を作り、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することにより着色する(図2援用)。半製品17の製造方法は、図1のタイツ10Aのそれと同一であるから、その説明は省略する。
【0081】
第1染色域15を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第2染色域16を製編する無着色の糸には、20〜40デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。第3染色域22を製編する先染め糸には、50〜90デニールの太さの糸、好ましくは、50〜70デニールの太さの糸が用いられている。レッグ部13における第1染色域15の高デニール部分20を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。レッグ部13における第1染色域15の低デニール部分21を製編する先染め糸には、30〜50デニールの太さの糸、好ましくは、30〜40デニールの太さの糸が用いられている。
【0082】
第2染色域16を製編する糸の太さを前記範囲とする理由は、図1のタイツ10Aのそれと同一である。なお、レッグ部13における第1染色域15に高デニール部分20と低デニール部分21とを設けることにより、第1染色域15に生地の厚い部分と薄い部分とが形成される。フット部14に第3染色域22を設けることにより、フット部14に第2染色域16よりも生地の厚い部分が形成される。
【0083】
このタイツ10Hは、図1のそれが有する効果に加え、以下の効果を有する。タイツ10Hは、レッグ部13における第1染色域15が高デニール部分20と低デニール部分21とを有するから、レッグ部13において外見の変化を付けることができ(図4援用)、ファッション性に富み、見端の優れたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。また、第2の色(ベージュ色)と異なる第3の色(黒色)に着色された第3染色域22がフット部14に形成され、第3の色の濃度が第2の色のそれよりも濃く、第3染色域22が第2染色域16よりも生地が厚く形成されるから、フット部14において履物を履いているように見せることができ、履物を履いたレギンスやスパッツを着用しているように見せることができる。
【0084】
図11は、第5実施形態の一例を示すタイツ10I(着用物品)の平面図である。図11に示すタイツ10Iは、請求項9に記載された第3の発明に対応する実施形態である。以下、図11に基づいて本発明の第5実施形態に係るタイツ10Iの詳細を説明する。タイツ10Iは、ウエスト部11、パンティ部12、レッグ部13、フット部14を有する。タイツ10Iは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。
【0085】
タイツ10Iは、レッグ部13の所定の第2位置13bからフット部14までの第4染色域23と、ウエスト部11からレッグ部13の第2位置13bまでの第5染色域24とを有する。第5実施形態に係るタイツ10Iの第2位置13bは、パンティ部12より着用者の膝側であって、膝より10〜15cm上、即ちパンティ部12寄りに位置している。なお、第2位置13bが第5実施形態によって限定されるものではなく、第2位置13bが少なくとも着用者の膝から股下までの間に位置すればよい。
【0086】
第4染色域23は第1の色に着色され、第5染色域24は第1の色と異なる第2の色に着色されている。第1の色と第2の色とは濃度に差があり、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。第5実施形態に係るタイツ10Iでは、第4染色域23が黒色に染色され、第5染色域24がベージュ色即ち肌色に染色されている。この濃度差は、大きければ大きいほど好ましい。第5実施形態では、第1の色を黒色とし、第2の色をベージュ色としたが、第1の色および第2の色をそれらの色に限定するものではなく、第1の色を例えば濃い緑色や濃紺色、あるいはこれら以外の色とすることもできる。第2の色については、この発明の目的からベージュ色とすることが好ましいが、第2の色についてもベージュ色に限定するものではなく、第1の色より濃度が淡い色であれば何色であってもよい。
【0087】
タイツ10Iの第4染色域23は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。第5染色域24は、無着色の糸で製編されている。タイツ10Iは、先染め糸で第4染色域23を製編した後、連続して第5染色域24を無着色の白色糸で製編して作られる。実際には、第1実施形態に係るタイツ10Aと同様に、第4染色域23に相当する部分を先染め糸で製編した後、第5染色域24を無着色の糸で製編して筒状編地を作り、2本の筒状編地を連結してタイツの半製品17を作る。次いで、第1実施形態で第2染色域16をベージュ色に着色する方法と同一方法により、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することによって第5染色域24を着色する。その際、第1の色(黒色)で先染めされた糸により製編された第4染色域23は、第2の色(ベージュ色)よりも濃度が濃いことからベージュ色の染料18に浸されてもその色には染まらず、黒色のままである。このように第1の色と第2の色との濃度差が大きいと、第2の色が先染糸で製編された第4染色域23を着色してしまうことはない。これにより、無着色の白色糸で製編された部分だけがベージュ色に着色されて第5染色域24となる。
【0088】
第4染色域23を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第5染色域24を製編する無着色の糸には、20〜50デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。第4染色域23を製編する先染め糸や第5染色域24を製編する無着色糸としては、ポリウレタンを芯にナイロンを巻き付けたり、ナイロンの上にさらに別の糸を巻き付けた二重構造糸(コアヤーン)などを使用することができる。
【0089】
第5実施形態に係るタイツ10Iにおいて、第5染色域24を製編する糸の太さを20〜50デニール、好ましくは20〜30デニールとする理由は、第5染色域24が第4染色域23に比べて生地が非常に薄くなり、タイツ10Iを着用者が着用すると、第5染色域24において着用者の肌が透き通って見え、第5染色域24をベージュ色のような淡い色にすることにより、タイツ10Iを着用しているにもかかわらず、素足にオーバーニーレングスソックスやハイソックスを着用しているように見せることができるからである。また、第4染色域23を製編する先染め糸の太さを70〜90デニール、好ましくは、70〜80デニールとする理由は、第4染色域23の生地が第5染色域24に比べて厚く、第4染色域23と第5染色域24との濃淡の差を大きくすることができ、タイツ10Iを着用者が着用したときに、より一層素足にオーバーニーレングスソックスやハイソックスを着用しているように見せることができるからである。
【0090】
さらに、タイツ10Iでは、第5染色域24におけるパンティ部12が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部12を除く第2位置13bまでの第5染色域24がパンティ部12を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている。第5染色域24における糸のデニールをこのようにすることにより、着用者の腰部分やヒップ部分が他の部分よりも強めに締め付けられ、着用感が非常に高くなり、タイツ10Iの不用意なずれ下がりを防ぐことができるとともに、着用者の腰部分やヒップ部分の冷えを防止することができる。
【0091】
タイツ10I(着用物品)は、レッグ部13における所定の第2位置13bよりフット部14までの第4染色域23が第1の色に着色され、レッグ部13の第2位置13bよりウエスト部11までの第5染色域24が第2の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれより濃く、第2の色を肌色であるベージュ色にし、第1の色を黒色にすることにより、レッグ部13の第2位置13bよりウエスト部11までにおいて素肌が露出しているように見せることができる。タイツ10Iは、素肌を直接露出させることなくあたかも素足にオーバーニーレングスソックスやハイソックスを着用しているかのように見せることができることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもオーバーニーレングスソックスやハイソックスなどを軽装感覚で着用することができる。
【0092】
タイツ10Iは、第4染色域23が黒色に予め染色された先染め糸で製編され、第5染色域24が無着色の糸で製編され、第5染色域24がウエスト部11からフット部14まで一体に形成された後にベージュ色の染料に浸けることにより着色されるから、第5染色域24を容易に作ることができ、タイツ10Iを短時間に大量に生産することができるとともに、タイツ10Iを廉価に生産することができる。
【0093】
図12は、第6実施形態の一例を示すタイツ10J(着用物品)の平面図である。図12に示すタイツ10Jは、請求項13に記載された第4の発明に対応する実施形態である。以下、図12に基づいて本発明の第6実施形態に係るタイツ10Jの詳細を説明する。タイツ10Jは、ウエスト部11、パンティ部12、レッグ部13、フット部14を有する。タイツ10Jは、伸縮性を有し、ウエスト部11からパンティ部12とレッグ部13とを介してフット部14までが一体に製編され、着用者のウエストから下肢全域を包被する。
【0094】
タイツ10Jは、フット部14からレッグ部13の所定の第1位置13aまでの第6染色域25と、ウエスト部11からレッグ部13の所定の第2位置13bまでの第7染色域26と、レッグ部13の第1位置13aから第2位置13bまでの間の第8染色域27とを有する。第6実施形態に係るタイツ10Jの第1位置13aは、フット部14より僅かに膝側に位置し、ふくらはぎより下、即ちフット部14寄りに位置している。なお、第1位置13aが第6実施形態によって限定されるものではなく、第1位置13aが少なくとも着用者の膝からくるぶしまでの間に位置すればよい。第6実施形態に係るタイツ10Jの第2位置13bは、パンティ部12より着用者の膝側であって、膝より10〜15cm上、即ちパンティ部12寄りに位置している。なお、第2位置13bが第6実施形態によって限定されるものではなく、第2位置13bが少なくとも着用者の膝から股下までの間に位置すればよい。
【0095】
第8染色域27は第1の色に着色され、第6染色域25および第7染色域26は第1の色と異なる第2の色に着色されている。第1の色と第2の色とは濃度に差があり、第1の色の濃度が第2の色のそれよりも濃い。第6実施形態に係るタイツ10Jでは、第8染色域27が黒色に染色され、第6染色域25および第7染色域26がベージュ色即ち肌色に染色されている。この濃度差は、大きければ大きい程好ましい。第6実施形態では、第1の色を黒色とし、第2の色をベージュ色としたが、第1の色および第2の色をそれらの色に限定するものではなく、第1の色を例えば濃い緑色や濃紺色、あるいはこれら以外の色とすることもできる。第2の色については、この発明の目的からベージュ色とすることが好ましいが、第2の色についてもベージュ色に限定するものではなく、第1の色より濃度が淡い色であれば何色であってもよい。
【0096】
タイツ10Jの第8染色域27は、第1の色である黒色に予め染色された先染め糸で製編されている。第6染色域25および第7染色域26は、無着色の糸で製編されている。タイツ10Jは、第6染色域25に相当する部分を無着色の白色糸で製編し、連続して第8染色域27に相当する部分を先染め糸で製編した後、さらに連続して第7染色域26に相当する部分を無着色の白色糸で製編して筒状編地を作り、2本の筒状編地を連結してタイツの半製品17を作り、第2の色であるベージュ色の染料18を入れた容器19の中にこの半製品17全体を浸漬することにより着色する(図2援用)。その際、第1の色(黒色)で先染めされた糸により製編された第8染色域27は、第2の色(ベージュ色)よりも濃度が濃いことからベージュ色の染料18に浸されてもその色には染まらず、黒色のままである。このように第1の色と第2の色との濃度差が大きいと、第2の色が先染糸で製編された第8染色域27を着色してしまうことはない。これにより、無着色の白色糸で製編された部分だけがベージュ色に着色されて第6染色域25および第7染色域26となる。
【0097】
第8染色域27を製編する先染め糸には、70〜90デニールの太さの糸、好ましくは、70〜80デニールの太さの糸が用いられている。第6染色域25および第7染色域26を製編する無着色の糸には、20〜40デニールの太さの糸、好ましくは、20〜30デニールの太さの糸が用いられている。第8染色域27を製編する先染め糸や第6染色域25および第7染色域26を製編する無着色糸としては、ポリウレタンを芯にナイロンを巻き付けたり、ナイロンの上にさらに別の糸を巻き付けた二重構造糸(コアヤーン)などを使用することができる。
【0098】
第6実施形態に係るタイツ10Jにおいて、第6染色域25および第7染色域26を製編する糸の太さを20〜40デニール、好ましくは20〜30デニールとする理由は、第6染色域25および第7染色域26が第8染色域27に比べて生地が非常に薄くなり、タイツ10Jを着用者が着用すると、第6染色域25および第7染色域26において着用者の肌が透き通って見え、第6染色域25および第7染色域26をベージュ色のような淡い色にすることにより、タイツ10Iを着用しているにもかかわらず、レッグウォーマーを着用しているように見せることができるからである。
【0099】
また、第8染色域27を製編する先染め糸の太さを70〜90デニール、好ましくは、70〜80デニールとする理由は、第8染色域27の生地が第6染色域25および第7染色域26に比べて厚く、第8染色域27と第6染色域25および第7染色域26との濃淡の差を大きくすることができ、タイツ10Iを着用者が着用したときに、より一層レッグウォーマーを着用しているように見せることができるからである。
【0100】
さらに、タイツ10Jでは、第7染色域26におけるパンティ部12が40〜50デニールの太さの糸で製編され、パンティ部12を除く第2位置13bまでの第7染色域26がパンティ部12を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている。第7染色域26における糸のデニールをこのようにすることにより、着用者の腰部分やヒップ部分が他の部分よりも強めに締め付けられ、着用感が非常に高くなり、タイツ10Jの不用意なずれ下がりを防ぐことができるとともに、着用者の腰部分やヒップ部分の冷えを防止することができる。
【0101】
タイツ10J(着用物品)は、フット部14からレッグ部13の所定の第1位置13aまでの第6染色域25が第2の色に着色され、ウエスト部11からレッグ部13の所定の第2位置13bまでの第7染色域26が第2の色に着色されているとともに、レッグ部13の第1位置13aから第2位置13bまでの間の第8染色域27が第1の色に着色され、第1の色の濃度が第2の色のそれより濃く、第2の色を肌色であるベージュ色にし、第1の色を黒色にすることにより、フット部14からレッグ部13の所定の第1位置13aまでとウエスト部11からレッグ部13の所定の第2位置13bまでとにおいて素肌が露出しているように見せることができる。タイツ10Jは、素肌を直接露出させることなくあたかも素足にレッグウォーマーを着用しているかのように見せることができることから、素肌を直接露出させたくない着用者にもレッグウォーマーなどを軽装感覚で着用することができる。
【0102】
タイツ10Jは、第8染色域27が黒色に予め染色された先染め糸で製編され、第6染色域25および第7染色域26が無着色の糸で製編され、第6染色域25および第7染色域26がウエスト部11からフット部14まで一体に形成された後にベージュ色の染料に浸けることにより着色されるから、第6染色域25および第7染色域26を容易に作ることができ、タイツ10Jを短時間に大量に生産することができるとともに、タイツ10Jを廉価に生産することができる。
【符号の説明】
【0103】
10A タイツ(着用物品)
10B タイツ(着用物品)
10C タイツ(着用物品)
10D タイツ(着用物品)
10E タイツ(着用物品)
10F タイツ(着用物品)
10G タイツ(着用物品)
10H タイツ(着用物品)
10I タイツ(着用物品)
10J タイツ(着用物品)
11 ウエスト部
12 パンティ部
13 レッグ部
13a 第1位置
13b 第2位置
14 フット部
15 第1染色域
16 第2染色域
17 タイツの半製品
18 ベージュ色(第2の色)の染料
20 高デニール部分
21 低デニール部分
22 第3染色域
23 第4染色域
24 第5染色域
26 第6染色域
27 第7染色域
28 第8染色域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品において、
前記着用物品が、第1の色に着色され、前記ウエスト部から前記レッグ部の所定の第1位置までの第1染色域と、前記第1の色と異なる第2の色に着色され、前記レッグ部の第1位置から前記フット部までの第2染色域とを有し、前記第1の色の濃度が、前記第2の色のそれよりも濃いことを特徴とする着用物品。
【請求項2】
前記第1染色域が、前記第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、前記第2染色域が、無着色の糸で製編され、前記無着色の糸で製編された第2染色域が、前記ウエスト部から前記フット部まで一体に形成された後に前記第2の色の染料に浸けることにより着色されている請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記第1染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲にあり、前記第2染色域を製編している糸の太さが、20〜40デニールの範囲にある請求項1または請求項2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記ウエスト部と前記パンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲、前記第2染色域を製編している糸の太さが、20〜40デニールの範囲にあり、前記レッグ部における第1染色域が、70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と、30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する請求項1または請求項2に記載の着用物品。
【請求項5】
ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品において、
前記着用物品が、第1の色に着色され、前記ウエスト部から前記レッグ部の所定の第1位置までの第1染色域と、前記第1の色と異なる第2の色に着色され、前記レッグ部の第1位置から前記フット部までの第2染色域と、前記フット部に形成されて前記第2の色と異なる第3の色に着色された第3染色域とを有し、前記第1および第3の色の濃度が、前記第2の色のそれよりも濃いことを特徴とする着用物品。
【請求項6】
前記第1および第3染色域が、前記第1および第3の色に予め染色された先染め糸で製編され、前記第2染色域が、無着色の糸で製編され、前記無着色の糸で製編された第2染色域が、前記ウエスト部から前記フット部まで一体に形成された後に前記第2の色の染料に浸けることにより着色されている請求項5に記載の着用物品。
【請求項7】
前記第1染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲、前記第2染色域を製編している糸の太さが、20〜40デニールの範囲、前記第3染色域を製編している糸の太さが、50〜90デニールの範囲にある請求項5または請求項6に記載の着用物品。
【請求項8】
前記ウエスト部と前記パンティ部とにおける第1染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲、前記第2染色域を製編している糸の太さが、20〜40デニールの範囲、前記第3染色域を製編している糸の太さが、50〜90デニールの範囲にあり、前記レッグ部における第1染色域が、70〜90デニールの範囲の太さの糸で製編された高デニール部分と、30〜50デニールの範囲の太さの糸で製編された低デニール部分とを有する請求項5または請求項6に記載の着用物品。
【請求項9】
ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品において、
前記着用物品が、第1の色に着色され、前記レッグ部の所定の第2位置から前記フット部までの第4染色域と、前記第1の色と異なる第2の色に着色され、前記ウエスト部から前記レッグ部の第2位置までの第5染色域とを有し、前記第1の色の濃度が、前記第2の色のそれより濃いことを特徴とする着用物品。
【請求項10】
前記第4染色域が、前記第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、前記第5染色域が、無着色の糸で製編され、前記無着色の糸で製編された第5染色域が、前記ウエスト部から前記フット部まで一体に形成された後に前記第2の色の染料に浸けることにより着色されている請求項9に記載の着用物品。
【請求項11】
前記第4染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲にあり、前記第5染色域を製編している糸の太さが、20〜50デニールの範囲にある請求項9または10に記載の着用物品。
【請求項12】
前記第5染色域における前記パンティ部が、40〜50デニールの太さの糸で製編され、前記パンティ部を除く前記第2位置までの第5染色域が、前記パンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている請求項11に記載の着用物品。
【請求項13】
ウエスト部からパンティ部とレッグ部とを介してフット部までが一体に製編されて着用者のウエストから下肢全域を包被する伸縮性の着用物品において、
前記着用物品が、第2の色に着色され、前記レッグ部の前記フット部の側の所定の第1位置から前記フット部までの第6染色域と、前記第2の色に着色され、前記ウエスト部から前記レッグ部の所定の第2位置までの第7染色域と、前記第2の色と異なる第1の色に着色され、前記レッグ部の前記第1位置から前記第2位置までの間の第8染色域とを有し、前記第1の色の濃度が、前記第2の色のそれより濃いことを特徴とする着用物品。
【請求項14】
前記第8染色域が、前記第1の色に予め染色された先染め糸で製編され、前記第6染色域および前記第7染色域が、無着色の糸で製編され、前記無着色の糸で製編された第6染色域および第7染色域が、前記ウエスト部から前記フット部まで一体に形成された後に前記第2の色の染料に浸けることにより着色されている請求項13に記載の着用物品。
【請求項15】
前記第8染色域を製編している糸の太さが、70〜90デニールの範囲にあり、前記第6染色域および前記第7染色域を製編している糸の太さが、20〜40デニールの範囲にある請求項13または14に記載の着用物品。
【請求項16】
前記第7染色域における前記パンティ部が、40〜50デニールの太さの糸で製編され、前記パンティ部を除く前記第2位置までの第7染色域が、前記パンティ部を製編している糸の太さより細い20〜39デニールの太さの糸によって製編されている請求項15に記載の着用物品。
【請求項17】
前記第2の色が、ベージュ色であり、前記第1の色が、前記ベージュ色より濃い色である請求項1ないし請求項16いずれかに記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−157677(P2011−157677A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1758(P2011−1758)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(399110155)株式会社ゴートレイド (2)
【Fターム(参考)】