説明

知育玩具

【課題】遊びながら創造力等の知的認識能力を高めることができる知育玩具を提供する。
【解決手段】知育玩具1は、複数の柱体被取付孔部5を有するベース体6を備える。複数の柱体被取付孔部5の中から選択した柱体被取付孔部5に柱体8を脱着可能に取り付ける。柱体8は複数の玉搬送体被取付孔部7を有する。複数の玉搬送体被取付孔部7の中から選択した玉搬送体被取付孔部7に玉搬送体9を脱着可能に取り付ける。知育玩具1は、玉3が当たると音を発生するとともに起上り体30が起上るゴール手段31を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力を高めることができる知育玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、玉を用いた玩具として、複数の玉と、多角形の盤で、中央に凹部を設けて周縁部を高くし、該周縁部の複数の箇所から、側方および先端で前記周縁部と間隔を設けてなる突堤部を左廻りまたは右廻りに突出させ、前記間隔を前記玉の通路とし、前記中央の凹部に前記玉の一部分が嵌合する穴を複数個設けてなるゲーム盤とを備え、複数人が同時に前記玉の通路を選び、該通路から前記玉を転ばして前記穴に入れるのを競う玉入れゲーム玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−102088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の玉入れゲーム玩具のように、幼児や子供等の使用者が玉の通路を選んで玉を転ばして穴に入れるのを競う玩具では、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力を高めることができない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力を高めることができる知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の知育玩具は、複数の柱体被取付部を有するベース体と、前記複数の柱体被取付部の中から選択された柱体被取付部に脱着可能に取り付けられ、複数の玉搬送体被取付部を有する複数の柱体と、前記複数の玉搬送体被取付部の中から選択された玉搬送体被取付部に脱着可能に取り付けられ、玉を搬送する複数の玉搬送体とを備えるものである。
【0006】
請求項2記載の知育玩具は、請求項1記載の知育玩具において、柱体は、ベース体の柱体被取付部に垂直方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられるものである。
【0007】
請求項3記載の知育玩具は、請求項1または2記載の知育玩具において、玉搬送体は、柱体の玉搬送体被取付部に水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられるものである。
【0008】
請求項4記載の知育玩具は、請求項1記載の知育玩具において、玉搬送体は、柱体の玉搬送体被取付部に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられ、レール支持部を有する支持部材と、前記レール支持部に長手方向に沿ってスライド調節可能に取り付けられ、玉を搬送する長手状のレール部材とを有するものである。
【0009】
請求項5記載の知育玩具は、請求項1ないし4のいずれか一記載の知育玩具において、玉が当たると音を発生するとともに起上り体が起上るゴール手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、柱体を取り付ける柱体被取付部の選択や玉搬送体を取り付ける玉搬送体被取付部の選択等により、玉の搬送コースを変更できるため、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力を高めることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、柱体がベース体の柱体被取付部に垂直方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられるため、玉の搬送コースの自由度が増し、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力をより一層高めることができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、玉搬送体が柱体の玉搬送体被取付部に水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられるため、玉の搬送コースの自由度が増し、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力をより一層高めることができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、玉搬送体が、柱体の玉搬送体被取付部に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられレール支持部を有する支持部材と、レール支持部に長手方向に沿ってスライド調節可能に取り付けられ玉を搬送する長手状のレール部材とを有するため、玉の搬送コースの自由度が更に増し、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力をより一層効果的に高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、玉が当たると音を発生するとともに起上り体が起上るゴール手段を備えるため、興趣性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の知育玩具の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図3において、1は知育玩具(組立て知育玩具)で、この知育玩具1は、幼児や子供等の使用者が自らの考えにより組み立てて作り上げた搬送コース2でビー球或いは鉄玉等の玉3を転がして遊ぶものである。
【0017】
知育玩具1は、複数の柱体被取付部である柱体被取付孔部5を有する台座等のベース体6と、複数の柱体被取付孔部5の中から選択された柱体被取付孔部5に脱着可能でかつ垂直方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられ複数の玉搬送体被取付部である玉搬送体被取付孔部7を有する複数(例えば4つ)の柱体8と、複数の玉搬送体被取付孔部7の中から選択された玉搬送体被取付孔部7に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられ玉3をその玉3の自重を利用して転がしながら搬送する複数(例えば4つ)のシュート体である玉搬送体9とを備えている。
【0018】
ベース体6は、樹脂或いは木材等にて略正方形板状に一体に形成され、このベース体6には、略円形状の複数の柱体被取付孔部5が上下面に貫通して形成されている。複数の柱体被取付孔部5は、互いに等間隔をおいてベース体6の縦横方向に並んで位置する。
【0019】
柱体8は、樹脂或いは木材等にて長手状に一体に形成され、この柱体8には、略円形状の複数の玉搬送体被取付孔部7が前後面に貫通して形成されている。複数の玉搬送体被取付孔部7は、互いに間隔をおいて柱体8の長手方向に並んで位置する。また、柱体8は、長手方向両端部に略円柱状の取付部である取付軸部10を有し、この取付軸部10がベース体6の柱体被取付孔部5に脱着可能で垂直方向軸線を中心として回動調節可能に嵌合される。
【0020】
玉搬送体9は、柱体8の玉搬送体被取付孔部7に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられレール支持部12を有する支持部材11と、レール支持部12に長手方向である搬送方向に沿ってスライド調節可能でかつ脱着可能に取り付けられ玉3を搬送する長手状のレール部材13とを有している。
【0021】
支持部材11は、樹脂或いは木材等にて一体に形成されたピン15と、樹脂或いは木材等にて一体に形成されピン15の溝16にこの溝16に沿ってスライド調節可能でかつ脱着可能に取り付けられるプレート17とにて構成されている。
【0022】
ピン15は、柱体8の玉搬送体被取付孔部7に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に嵌合される軸部18と、この軸部18の端部に一体に設けられた略円板状の頭部19とを有している。ピン15の軸部18には、プレート17をスライド調節可能に支持する溝16が軸部18の軸方向に沿って形成されている。
【0023】
プレート17は、レール部材13をスライド調節可能で傾斜姿勢に支持するレール支持部12を構成するもので、略正方形状の本体板部21と、この本体板部21の中央から下方に向って突出する突出板部22とを有している。プレート17の突出板部22がピン15の軸部18の溝16にこの溝16に沿ってスライド調節可能でかつ脱着可能に嵌合される。
【0024】
レール部材13は、樹脂或いは木材等にて長手状で断面略コ字状に一体に形成されている。レール部材13は、略矩形状の底板部23と、底板部23の幅方向両端部から上方に向って突出する一対の側板部24と、底板部23の幅方向両端部から下方に向って突出する一対の突出板部25とを有している。そして、レール部材13の一対の突出板部25間にプレート17の本体板部21がスライド調節可能でかつ脱着可能に嵌合される。なお、これら複数本のレール部材13によって1つの搬送コース2が構成される。
【0025】
また、知育玩具1は、搬送コース2の終点位置に配設され、玉搬送体9の傾斜姿勢のレール部材13の搬送終端部から搬出される玉3が当たると音を発生するとともに旗等の起上り体30が起上るユニット状のゴール手段(ゴールスイッチ)31を備えている。
【0026】
ゴール手段31は、図4ないし図6に示すように、ゴール本体32と、ゴール本体32に装着される略半球状の蓋体33と、ゴール本体32に水平方向軸線を中心として回動可能に設けられその回動により起上る略棒状の起上り体30と、起上り体30を回動させて起上らせる付勢手段であるばね34と、ゴール本体32にロック位置およびロック解除位置間で移動可能に設けられロック位置にある状態時に係合部35が起上り体30の係合受部36と係合して起上り体30がばね34の付勢力で起上るのを規制する玉当接体37とを有している。
【0027】
ゴール本体32には電池収容部(図示せず)が形成され、この電池収容部に電池が収容されている。また、ゴール本体32には起上り体30が起上った際にこの起上り体30の突部38にて押されてオンするスイッチ39が設けられている。蓋体33には長孔41が形成され、この長孔41に沿って起上り体30が回動する。また、蓋体33には、スイッチ39がオンした際に予め設定された音を一定時間、例えば10〜20秒間、発生するスピーカ40と対向する部分に複数の孔42が形成されている。
【0028】
そして、搬送コース2の搬送終端に位置する玉搬送体9から搬出される玉3がゴール手段31の玉当接体37の玉当接板部43に当接し、玉当接体37がその玉3に押されてロック位置からロック解除位置に移動すると、玉当接体37の係合部35と起上り体30の係合受部36との係合が解除され、起上り体30がばね34の付勢力により回動して起上る。起上り体30が起上ると、スイッチ39が起上り体30の突部38にて押されてオンし、スピーカ40から予め設定された音が一定時間発生する。
【0029】
次に、上記知育玩具1を用いて遊ぶ場合について説明する。
【0030】
幼児や子供等の使用者は、ベース体6の複数の柱体被取付孔部5の中から選択した所望の柱体被取付孔部5に柱体8の取付軸部10を嵌め込み、柱体8の複数の玉搬送体被取付孔部7の中から選択した所望の玉搬送体被取付孔部7にピン15の軸部18を嵌め込み、ピン15の軸部18の溝16にプレート17の突出板部22を嵌め込み、プレート17の本体板部21にレール部材13をこのレール部材13の一対の突出板部25で本体板部21を挟持するように取り付ける。
【0031】
そして、例えば柱体8をベース体6に対して垂直方向軸線を中心として回動調節することによりレール部材13の向きが変更可能であり、ピン15を柱体8に対して水平方向軸線を中心として回動調節することによりレール部材13の水平方向に対する傾斜角度が変更可能であり、プレート17をピン15の溝16に対して水平方向にスライド調節することによりレール部材13の水平方向位置の微調整が可能である。
【0032】
こうして各部材を組み立てて自分の好みの搬送コース2を作り上げ、玉3を搬送コース2の搬送始端部に供給すると、玉3はその自重によって玉搬送体9のレール部材13の底板部23上を転がり落ちる。
【0033】
そして、搬送コース2の搬送終端部から玉3が搬出されると、玉3は、ゴール手段31の玉当接体37に当接して玉当接体37を押し、その結果、玉当接体37がロック位置からロック解除位置に移動し、起上り体30がばね34の付勢力で起上る。また、起上り体30が起上ると、スイッチ39が起上り体30の突部38にて押されてオンし、スピーカ40から予め設定された音が一定時間発生する。
【0034】
このような知育玩具1によれば、柱体8の取付軸部10を取り付ける柱体被取付孔部5の選択、玉搬送体9のピン15の軸部18を取り付ける玉搬送体被取付孔部7の選択、玉搬送体9のレール部材13の向きや傾斜角度の調節等により、玉3の搬送コース2を自分の好きなように自由に変更設定できるため、幼児や子供等の使用者の創造力等の知的認識能力を確実に高めることができる。
【0035】
しかも、玉3が搬送コース2の途中で止まることなく搬送コース2上を最後までうまく転がり落ちた場合には、ゴール手段31の起上り体30が起上るとともに、スピーカ40から予め設定された音が一定時間発生するため、幼児や子供等の使用者は、うまくいった達成感を味わうことができ、興趣性が良好である。
【0036】
なお、玉搬送体9のレール部材13は、断面略コ字状に形成されたものには限定されず、例えば図7に示すように、本体板部51の上面側に断面略半円状の搬送溝部52が略ジグザグ状に形成されたもの等でもよい。
【0037】
また、玉搬送体9は、ピン15およびプレート17からなる支持部材11と、この支持部材11とは別体のレール部材13とを有するものには限定されず、支持部材11とレール部材13とを一体に形成したもの等でもよく、またピン15とプレート17とを一体化したもの等でもよい。
【0038】
さらに、柱体8を取り付ける柱体被取付部は、柱体8の取付軸部10と嵌合する柱体被取付孔部5には限定されず、例えば柱体8の孔部と嵌合する柱体被取付突部等でもよい。
【0039】
また、玉搬送体9を取り付ける玉搬送体被取付部は、支持部材11のピン15の軸部18と嵌合する玉搬送体被取付孔部7には限定されず、例えば支持部材11の孔部と嵌合する玉搬送体被取付突部等でもよい。
【0040】
さらに、搬送コース2の自由度増大のために、大きさや形状が異なる複数種のベース体、柱体および玉搬送体を用いたり、ベース体、柱体および玉搬送体に脱着可能な各種部材を用いたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る知育玩具を示す斜視図である。
【図2】同上知育玩具の一部の分解斜視図である。
【図3】同上知育玩具の一部の分解正面図である。
【図4】同上知育玩具のゴール手段の斜視図である。
【図5】同上ゴール手段の起上り体および玉当接体を示す斜視図である。
【図6】同上ゴール手段の起上り体および玉当接体を示す起上り状態時の斜視図である。
【図7】同上知育玩具のレール部材の変形例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 知育玩具
3 玉
5 柱体被取付部である柱体被取付孔部
6 ベース体
7 玉搬送体被取付部である玉搬送体被取付孔部
8 柱体
9 玉搬送体
11 支持部材
12 レール支持部
13 レール部材
30 起上り体
31 ゴール手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱体被取付部を有するベース体と、
前記複数の柱体被取付部の中から選択された柱体被取付部に脱着可能に取り付けられ、複数の玉搬送体被取付部を有する複数の柱体と、
前記複数の玉搬送体被取付部の中から選択された玉搬送体被取付部に脱着可能に取り付けられ、玉を搬送する複数の玉搬送体と
を備えることを特徴とする知育玩具。
【請求項2】
柱体は、ベース体の柱体被取付部に垂直方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の知育玩具。
【請求項3】
玉搬送体は、柱体の玉搬送体被取付部に水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1または2記載の知育玩具。
【請求項4】
玉搬送体は、
柱体の玉搬送体被取付部に脱着可能でかつ水平方向軸線を中心として回動調節可能に取り付けられ、レール支持部を有する支持部材と、
前記レール支持部に長手方向に沿ってスライド調節可能に取り付けられ、玉を搬送する長手状のレール部材とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の知育玩具。
【請求項5】
玉が当たると音を発生するとともに起上り体が起上るゴール手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の知育玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−5910(P2008−5910A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176957(P2006−176957)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000102108)イワヤ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】