説明

短鎖オリゴフラクトースを含むコンパニオンアニマル用組成物

【課題】コンパニオンアニマルの胃腸の健康を改善する。
【解決手段】組成物の約0.01重量%〜約0.2重量%の短鎖オリゴフラクトース含むコンパニオンアニマル用組成物であり、該短鎖オリゴフラクトースは、1−ケストース、ニストース、及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む。更に開示されたのは、コンパニオンアニマルの胃腸の健康を増強する、又はコンパニオンアニマルの糞便の糞便臭を改善する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短鎖オリゴフラクトースの具体的に定義された濃度を含むコンパニオンアニマル用組成物、並びにこうした組成物をコンパニオンアニマルに使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
胃腸の健康障害をもたらす様々な問題がコンパニオンアニマルにおいても起こり得る。例えば、小腸細菌の異常増殖(IBO)が、ヒト、並びにイヌ、ネコ、及びウマのようなコンパニオンアニマルにおいて起こることは、以前から記載されている。これは、運動不足、フードの保持、胃液酸度の減少、又は胃のバイパス手術により起こる場合がある。IBOはまた特発性である場合がある。IBOに冒されたコンパニオンアニマルは、下痢及び体重減少のような重い小腸の疾病を伴う臨床的徴候を有する場合がある。現在、幾つかの療法は、手術を通じて、又はテトラサイクリン若しくはチロシンのような様々な抗生物質を投与することを通じて、細菌の異常増殖の原因を取り除くことを伴う場合がある。
【0003】
発酵性繊維を含有する組成物の投与は、IBOの治療及び他の胃腸の健康の問題に有用である場合があることが、以前から記載されている。例えば、ラインハルト(Reinhart)の米国特許第5,776,524号(1998年)を参照のこと。一般に、発酵性繊維は哺乳類により消化されないが、ビフィドバクテリウム属のような腸内細菌種によって代謝されることができる。しかしながら、すべての腸内細菌が発酵性繊維を代謝できるわけではない。特に、サルモネラ属、大腸菌及びクロストリジウム属のような細菌は、こうした繊維をいかなる有意の程度にも処理することができない。この優先的な消化性は、部類として発酵性繊維に当てはまり、コンパニオンアニマルの小腸内の全体的細菌フローラを改善するために使用できる。発酵性繊維は、乳酸菌及びビフィドバクテリウム属のような「良い」細菌にのみ食物を与えるので、サルモネラ属、大腸菌及びクロストリジウム属のような有害な細菌の量は、食物供給源の減少のために低下する可能性がある。そのため、有益な細菌種のための好ましい食物供給源を提供することにより、発酵性繊維により補われた食餌は「悪い」細菌の量を減らしながら「良い」腸内細菌を増加させることができる。
【0004】
米国特許第5,776,524号は、胃腸の健康の改善について、様々な相対的に高濃度での、様々なフラクトオリゴ糖の使用について記載している。この特許に記載される組成物は、障害が起きた胃腸の健康に関連する問題を処理するための、治療的に有効な手段を提供する。しかしながら、米国特許第5,952,033号において認められているように、ユーカヌバ(EUKANUBA)の商標として市販されるもの(短鎖フラクトオリゴ糖)のような特定の高品質フードにおいて使用されてきたフラクトオリゴ糖は非常に高価であり、及びそのためこうした構成成分の使用はこうした高級フードに限定されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、米国特許第5,776,524号に記載される組成物が提供する利益をなお実現しながら、本明細書で定義されるような、より低濃度の特定のフラクトオリゴ糖が使用されてもよいということは、本発明の発明者達による驚くべき及び胸の躍る発見である。本明細書で記載される最小濃度では、治療的利益を提供することが予期されなかったであろうことから、これは予期せぬ利益である。本発明のこれらの及びその他の利益が本明細書に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物の約0.01重量%〜約0.2重量%の短鎖オリゴフラクトースを含むコンパニオンアニマル用組成物を対象とし、該短鎖オリゴフラクトースは、1−ケストース、ニストース、及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む。本発明は、コンパニオンアニマルの胃腸の健康を増強する、又はコンパニオンアニマルの糞便の糞便臭を改善する方法を包含する、こうした組成物を使用する様々な方法を更に対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
例えば刊行物及び特許を含む様々な文書が、本開示を通して引用される。このようなすべての文書は参考として本明細書に組み込まれる。
【0008】
百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準として計算される。
【0009】
本明細書で参照するのは、本発明で使用する様々な成分を含む構成要素の商品名である。本発明者らは本明細書において、特定の商品名の物質により限定することを目的としていない。商品名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる名称又は参照番号で異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられて使用されてもよい。
【0010】
本発明の記載において、様々な実施形態及び/又は個々の構成要素が開示される。当業者には明らかであるが、これらの実施形態及び構成要素のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい実施となり得る。
【0011】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないずれかの構成要素を含んでもよいし、いずれかの構成要素から本質的に成ってもよいし、又はいずれかの構成要素から成ってもよい。
【0012】
本発明の様々な実施形態及び個々の構成要素を説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び構成要素のあらゆる組み合わせが可能であると共に、本発明の好ましい実施となり得る。
【0013】
(本発明のコンパニオンアニマル用組成物)
本発明のコンパニオンアニマル用組成物は、組成物の約0.01重量%〜約0.2重量%の短鎖オリゴフラクトース含む組成物であり、該短鎖オリゴフラクトースは、1−ケストース、ニストース、及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む。
【0014】
短鎖オリゴフラクトースは、広い一群のフラクトオリゴ糖内の繊維の部類である。フラクトオリゴ糖(fructooliogosaccharides)は、バナナ、大麦、ニンニク、ハチミツ、タマネギ、ライ麦、ブラウンシュガー、トマト、アスパラガス、チョウセンアザミ、小麦、ヤーコン、又はチコリーが挙げられる多様な果物又は野菜に見出せる天然起源の化合物である。一般に、フラクトオリゴ糖は、例えばチコリーの根として、長鎖オリゴフラクトース(例えば、イヌリン)として、又は短鎖オリゴフラクトースとして提供されてもよい。フラクトオリゴ糖は、本明細書で記載されるもののような植物から抽出できるが、それらはまた、スクロースのフルクトース単位へのフルクトース単位(類)のB−(2−1)−グリコシド結合により、1、2、又は3個のフルクトース単位をスクロース分子に加えることにより、人工的に形成することができる。
【0015】
そのようなものとして、短鎖オリゴフラクトースは当業者に周知である。短鎖オリゴフラクトースは、少なくとも1つの1−ケストース(GFと略される)、ニストース(GF)、及び1F−β−フラクトフラノシルニストース(GF)を含む。好ましい実施形態では、短鎖オリゴフラクトースは、短鎖オリゴフラクトースの約25重量%〜約45重量%の1−ケストース、約25重量%〜約45重量%のニストース、及び約1重量%〜約20重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストース、あるいは短鎖オリゴフラクトースの約30重量%〜約40重量%の1−ケストース、約50重量%〜約60重量%のニストース、及び約5重量%〜約15重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む。例として、短鎖オリゴフラクトースは、ゴールデン・テクノロジーズ・カンパニー社(Golden Technologies Company,Incorporated)から商標名ニュートラフローラ(NUTRAFLORA)(これは、すべて短鎖オリゴフラクトースの約35重量%の1−ケストース、55重量%のニストース及び10重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む短鎖オリゴフラクトースである)として市販されている。
【0016】
本明細書の実施形態では、短鎖オリゴフラクトース、又は組成物に包含されるいずれかの他の発酵性繊維(簡単にするために、まとめて発酵性繊維と呼ばれる、短鎖オリゴフラクトースに追加する発酵性繊維及び他の繊維供給源の更なる論議については以下を参照のこと)は、特定の有機物消失百分率を示す場合がある。この任意の実施形態では、発酵性繊維は、大腸菌により生体外で24時間にわたって発酵される時、約15%〜約60%の有機物消失(OMD)を有してもよい。即ち、初めに存在した総有機物の約15%〜約50%は、大腸菌により発酵され変換される。繊維の有機物消失は、あるいは約20%〜約50%、あるいは約30%〜約40%である。
【0017】
したがって、生体外OMD百分率は以下のように計算されることができる:
(1−((OM残留物−OMブランク)/初めのOM))×100
ここで、OM残留物は24時間の発酵の後に回収された有機物であり、OMブランクは対応するブランク管(即ち、媒質及び希釈された糞便を含有するが、基質は含有しない管)中で回収された有機物であり、初めのOMは発酵前に管の中に設置された有機物である。手順の更なる詳細は、サンボルド(Sunvold)らの畜産学誌(J.Anim.Sci.)、73巻、1099〜1109(1995年)に見出される。
【0018】
本発明のコンパニオンアニマル用組成物は、組成物の約0.01重量%〜約0.2重量%の短鎖オリゴフラクトースを含む。あるいは、組成物は、組成物の約0.05重量%〜約0.19重量%の短鎖オリゴフラクトースを含んでもよい。更にあるいは、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約0.18重量%の短鎖オリゴフラクトースを含んでもよい。より更には、組成物は、すべて組成物の重量で、約5重量%〜約18重量%の短鎖オリゴフラクトース、又は約10重量%〜約16重量%の短鎖オリゴフラクトースを含んでもよい。
【0019】
本明細書の特に好ましい実施形態では、組成物はイヌリン及び/又はチコリー(一般的にはチコリーの根とも呼ばれる)を実質的に含まない。本明細書で使用する時、物質に関して「実質的に含まない」とは、組成物が、すべて組成物の重量で約0.1重量%未満の言及した物質、より好ましくは約0.05重量%未満の言及した物質、更により好ましくは約0.01重量%未満の言及した物質、更により好ましくは約0.005重量%未満の言及した物質を含むことを意味する。
【0020】
任意に、本明細書の組成物は、乾燥組成物(例えば、キブル)、半生(semi-moist)組成物、湿った組成物、又はこれらのいずれかの混合物のようなフード組成物であってもよい。あるいは又は更には、組成物は、グレービー、飲用水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、噛み物、トリーツ(例えばビスケット)、又はいずれかの他の供給形態のようなサプリメントである。
【0021】
その上、好ましい実施形態では、組成物は栄養的にバランスがとれている。本明細書で使用する時、コンパニオンアニマル用の組成物に関して用語「栄養的にバランスがとれている」とは、組成物が、コンパニオンアニマルの栄養学分野の第一人者の推奨に基づいた適切な量及び割合で、生命を維持するために必要な既知の栄養素を有することを意味する。
【0022】
本明細書の組成物は、任意に1つ以上の更なる構成成分を含んでもよい。他の構成成分は、本明細書で使用される組成物に包含されるのに有益であるが、本発明の目的には任意である。例えば、記載したように、フード組成物は、好ましくは栄養的にバランスがとれている。1つの実施形態では、フード組成物は、乾物を基準として、フード組成物の約20重量%〜約50重量%の粗タンパク質、あるいは約20重量%〜約40重量%の粗タンパク質、又はあるいは約20重量%〜約35重量%の粗タンパク質を含んでもよい。粗タンパク質物質は、大豆、綿種子、及び落花生のような植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン、及び肉タンパク質のような動物性タンパク質を含んでもよい。本明細書で有用な肉タンパク質の非限定例には、牛肉、豚肉、子羊肉、鶏肉、魚、野菜、及びこれらの混合物から成る群から選択されるタンパク質供給源が挙げられる。
【0023】
更に、組成物は、乾物を基準として、フード組成物の約5重量%〜約40重量%の脂肪、あるいは約10重量%〜約35重量%の脂肪を含んでもよい。
【0024】
本発明の組成物は、炭水化物供給源を更に含んでもよい。米、トウモロコシ、ミロ、サトウモロコシ、大麦、アルファルファ、小麦などのようなグレイン又はシリアルは、実例となる供給源である。
【0025】
組成物はまた、乾燥乳清及び他の乳製品副産物のような他の物質をまた含有してもよい。
【0026】
組成物は、短鎖オリゴフラクトースに追加して繊維供給源を更に含んでもよい。多様な可溶性又は不溶性繊維が使用されてもよく、これは当業者に周知である。1つの実施形態では、繊維供給源の少なくとも一部が、ビートパルプ(甜菜から)、アラビアゴム、タルハガム(gum talha)、オオバコ、コメヌカ、イナゴマメガム(carob bean gum)、シトラスパルプ(citrus pulp)、ペクチン、短鎖オリゴフラクトースに追加してフラクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0027】
1つの実施形態では、追加の繊維供給源は、発酵性繊維を含む。発酵性繊維は哺乳類により消化されないが、ビフィドバクテリウム属のような腸内細菌種によって代謝される場合がある。しかしながら、すべての腸内細菌が発酵性繊維を代謝できるわけではない。特に、サルモネラ属、大腸菌及びクロストリジウム属のような細菌は、こうした繊維をいかなる有意の程度にも処理することができない。この優先的な消化性は、部類として発酵性繊維に当てはまり、コンパニオンアニマルの小腸内の全体的細菌フローラを改善するために使用できる。発酵性繊維は、乳酸菌及びビフィドバクテリウム属のような「良い」細菌にのみ食物を与えるので、サルモネラ属、大腸菌及びクロストリジウム属のような有害な細菌の量は、食物供給源の減少のために低下する可能性がある。そのため、有益な細菌種のための好ましい食物供給源を提供することにより、発酵性繊維により補われた食餌は「悪い」細菌の量を減らしながら「良い」腸内細菌を増加させることができる。
【0028】
短鎖フラクトオリゴ糖に追加してビートパルプ及びフラクトオリゴ糖は、本明細書に使用するのに特に好ましい発酵性繊維である。追加のフラクトオリゴ糖は、例えばチコリーの根として、又は長鎖オリゴフラクトース(例えば、イヌリン)として提供されてもよい。1つの例では、短鎖フラクトオリゴ糖及びイヌリンの混合物は、プレバイオ1(PREBIO1)、又は市販のラフティロース(RAFTILOSE)とラフティライン(RAFTILINE)との混合物であることができる。
【0029】
組成物は、任意に、組成物の約0.001重量%〜約30重量%、あるいは約0.01重量%〜約20重量%、又はあるいは約1重量%〜約16重量%の総食物繊維を含んでもよい。
【0030】
(本発明の方法)
本発明の方法は、本発明の組成物をコンパニオンアニマルに経口投与し(即ち摂食を通じて)、コンパニオンアニマルの胃腸の健康の改善及び/又は糞便の糞便臭の改善を規定どおりにもたらすことを含む。本明細書の1つの実施形態では、胃腸の健康の増強は、以下の利益の1つ以上を含む。胃腸炎症性疾患、炎症性腸疾患、下痢若しくは軟便の症状の治療的緩和若しくは予防、さもなければ糞便の質の改善、下痢若しくは軟便に関連する体重減少、小腸の細菌異常増殖の治療、又は有害細菌と比較した有益細菌の濃度の改善及び/若しくは病原菌の低減を含む細菌濃度の操作。その上、コンパニオンアニマルの糞便の糞便臭の改善についての補助的利益には、哺乳類系への発癌性物質の作用を直接的又は間接的のいずれかで促進することが知られている腐敗性物質の除去が含まれる。そのため、前発癌性物質又は作用を減らすこと、具体的には癌の危険性を低減させることは、本明細書において有用な利益である。これらの利益を対象とする分析の様々な方法が、本明細書の以下に記載されている。
【0031】
本明細書で使用する時、コンパニオンアニマルに関して用語「経口投与する」とは、本明細書の1つ以上の組成物を動物が摂取すること、又は動物に与えるようにヒトが指示されること、若しくはヒトが実際に与えることを意味する。組成物を与えるようにヒトが指示される場合には、こうした指示は、組成物の使用が言及された利益、例えば改善した胃腸の健康の利益をもたらす可能性がある及び/又はもたらすことになることを、ヒトに指導し及び/又はヒトに知らせるものであってもよい。例えば、こうした指示は、口頭指示(例えば、獣医、若しくは他の保健専門家からの口頭指導を通じて)、ラジオ若しくはテレビ媒体(即ち、広告)、又は書面での指示(例えば、獣医、若しくは他の保健専門家からの書面での指示(例えば、手書きメモ)、専門販売員若しくは組織からの書面での指示(例えば、広告用チラシ、パンフレット、若しくは他の教育用品を通じて)、文字媒体(例えば、インターネット、電子メール、若しくは他のコンピュータ関連媒体)を通じて)、及び/又は、組成物に関連した包装(例えば、組成物を入れる容器上に存在するラベル)であってもよい。本明細書で使用する時、「書面の」とは、言葉、絵、記号、及び/又はその他の視覚的記述子によることを意味する。こうした情報は、本明細書で使用される実際の言葉、例えば「胃腸」、「コンパニオン」、又は「使用に適合された」を使用する必要はなく、むしろ同じ又は同様の意味を伝える言葉、絵、記号などの使用が、本発明の範囲内で考えられる。
【0032】
本明細書に記載される組成物は、通常の栄養所要量へのサプリメントとして使用されてもよいし、又はコンパニオンアニマルのための主食としの機能を果たしてもよい(及びそのようなものとして、サプリメント又はフードは、栄養的にバランスのとれたものであってもよい)。投与は、必要なとき又は望ましいときを基準としたものであってもよく、例えば、月1回、週1回、又は毎日(1日に複数回を包含する)であってもよい。通常の栄養所要量へのサプリメントとして使用される時、組成物はコンパニオンアニマルに直接投与されてもよいし、ないしは別の方法でコンパニオンアニマル用フードに接触又は混合されてもよい。コンパニオンアニマル用フードとして使用される時、投与は当業者に周知である。使用される組成物の量は多様な要因に依存してもよく、それには動物の胃腸の健康の質、動物の飼い主又は組成物を投与する他の人により決定されるような動物の嗜好、コンパニオンアニマル用フードの質、及びコンパニオンアニマルの大きさ又は品種が挙げられる。
【0033】
(分析方法)
本発明の組成物は、コンパニオンアニマルの胃腸の健康を増強する又はコンパニオンアニマルの糞便の糞便臭を改善するために使用されてもよい。こうした増強又は改善を実証する様々な方法が当業者に周知である。例として、以下に、使用されてもよい特定の方法の実例を挙げる。これらの方法は本発明の範囲を限定することを目的としていない。
【0034】
胃腸の健康を増強する方法
コンパニオンアニマルの胃腸の健康の増強を測定する方法は、当業者に周知である。こうした測定の実行の具体例は、米国特許第5,952,033号に説明されており、これは糞便臭の測定に関して上述の一般的方法に従うが、糞便中の短鎖脂肪酸の濃度がガスクロマトグラフにより測定されるという修正を伴う。結果は、試験フードの投与が対照フードの投与と比較して短鎖脂肪酸濃度の増加をもたらすことを示し、これが胃腸の健康の改善に貢献すると考えられている。
【0035】
更に又はあるいは、本明細書の組成物は、小腸内の有害な細菌の量を減らすそれらの能力により測定されてもよい(小腸細菌の異常増殖、即ちIBOの治療としても参照される)。こうした方法は、ラインハルト(Reinhart)の米国特許第5,776,524号(1998年)に記載されている。
【0036】
更に又はあるいは、当業者が認識するように、糞便物質の質もまた胃腸の健康を示す場合がある。コンパニオンアニマルの下痢を含む胃腸の感染症の治療又は予防は、大便の得点を使用して測定されてもよい。大便の得点は以下の指針並びに本発明による組成物の投与前及び後を比較した対照及び試験グループに従って毎日記録されてもよい。
得点:5 極めて乾燥している
この大便は硬く表面にくっつかない。大便は押すと転がる。大便はつまみ上げる時にへこまない。大便は、多くの場合、1つの完全な単位としてではなく、個々の大便の集まりとして排便される。大便は、集められた後、もとの形状を維持する。
得点:4 しっかりしている(理想的大便)
この大便は、しっかりしていて、良い形状であり、また円筒形である。この大便は、つまみ上げる時に容易に壊れない。この大便は、表面及び手袋上に残留物を残す場合がある。この大便は、多くの場合、1単位として排便される。大便は、集められた後、もとの形状を維持する。
得点:3 柔らかい、形状を有する
この大便は柔らかいが、明確な形状がある。この大便は容易に壊れ、表面及び手袋上に間違いなく残留物を残す。この大便は、多くの場合、集められた後もとの形状を失う。この大便は、多くの場合、別の得点と共に存在するが、完全な大便のサンプルを構成することができる。
得点:2 柔らかい、形状がない
この大便は柔らかく、円筒形状を有さない。多くの場合「2」に関連する形状は、「牛肉のパティー」の形状である。この大便は、集められた時もとの形状を失い、表面及び手袋上に間違いなく残留物を残す。この大便の得点は、多くの場合、別の得点と共に存在するが、完全な大便のサンプルを構成することができる。この大便のサンプルは、数インチ(5〜15センチ)の領域上に広がる場合がある。
得点:1 液体
この大便の得点は常に液体を象徴し、粒子状物質が存在しても又は存在しなくてもよい。この大便は、多くの場合、1つの完全な単位としてではなく、積み重なりの集まりとして排便される。粘膜が多くの場合この大便のサンプルと共に存在する。この大便のサンプルは集めるのが非常に困難であり、残留物が表面及び手袋上に常に残される。この大便のサンプルは、数インチ(5〜15センチ)の領域上に広がる場合がある。
【0037】
加えて、大便中の血液、大便中の異物又は大便中の粘膜を含む他の観察結果もまた記録される。
【0038】
更に、コンパニオンアニマルにおける胃腸の健康の増強は、コンパニオンアニマルの微生物生態系を改善することを含んでもよい。コンパニオンアニマルの微生物生態系を改善することは、好ましくは、コンパニオンアニマルの糞便中の病原菌の濃度を下げることを含む。コンパニオンアニマルの糞便中に存在する病原菌の濃度は、当業者に既知の標準平板菌数測定法を用いて計数してもよい。より好ましくは、病原菌は、クロストリジウム属、エシェリキア属、サルモネラ属、バクテロイデス属(Bacteriodes)及びこれらの混合物から成る群から選択される。病原菌の適した菌株の非限定例には、バクテロイデス・フラギリス、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ディフィシレ、大腸菌、サルモネラ・ティフィムリウム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
コンパニオンアニマルの糞便の糞便臭の改善:コンパニオンアニマルの糞便の糞便臭の改善を測定する方法は、当業者に周知である。こうした測定の実行の具体例は、米国特許第5,952,033号に説明されており、これは一般に、定義された数のイヌを使用して試験を行うように指導する。対照フードが提供されるが、その際対照フードは市販の乾燥ドッグフード(これは栄養上バランスがとれている)であり、これは短鎖オリゴフラクトースを欠いている。試験フードが提供されるが、これは、本明細書に記載されるように、フードの約0.01重量%〜約0.2重量%の短鎖オリゴフラクトースを含むことを除いて対照フードに一致する。半数のイヌに対照フードが与えられ、残りの半数に試験フードが与えられる。糞便サンプルが各イヌから集められ、30℃で2時間加熱され、放出される化合物がテナックス管又は同等なものに捕集される。捕集された化合物は、ガスクロマトグラフ上で脱着される。硫化ジメチル、二硫化ジメチル、及び三硫化ジメチルが、対照及び試験フードの各々について測定される。結果は、不快な臭いを生じると考えられている硫化ジメチル、二硫化ジメチル及び三硫化ジメチルの濃度の低下により評価される時に、試験フードの投与が、対照フードの投与と比較して、改善された糞便臭を結果としてもたらすことを示す。
【0040】
(製造方法)
現在記載される組成物は、当業者に周知の方法により製造される。例えば、本発明の組成物は、すべての構成成分を単独で又は適した組み合わせで一緒に混合することにより調製されてもよく、及び水中では規定通りに、すべての成分が可溶化されるか、分散されるか、ないしは別の方法で混合されるまで、適切に機械的に攪拌される。押出成形のような特定のプロセス(例えば、キブルを形成するために)が使用される場合、こうしたプロセスは当該技術分野において周知である。
【実施例】
【0041】
次のものは従来の方法を使用して調製した本発明の組成物の非限定実施例である。以下の実施例は本発明を説明するために提供され、いかなる方法においても本発明の範囲を限定することを目的としない。
【0042】
(実施例1)
おおよその指示量で次の構成成分を有する2つのキブル組成物が、当該技術分野において標準である方法を用いて調製され、及びイヌに与えられ、各々が胃腸の健康の改善及び糞便の臭いの改善を結果としてもたらす。
【表1】

*ビタミン及びミネラルには、ビタミンE、β−カロチン及びビタミンA、酸化亜鉛、アスコルビン酸、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンD、葉酸が挙げられる。
【0043】
(実施例2)
実験は、コンパニオンアニマルの餌中の短鎖オリゴフラクトースの有効な包含濃度を決定するために設計される。
【0044】
クロスオーバー・デザインにおいて、健康な成犬(n=57)が、次の実験手順の1又は2を受けるために無作為に選ばれる。1)21日間の0%の短鎖オリゴフラクトースを有するユーカヌバ・アダルト・メンテナンス(EUKANUBA Adult Maintenance)(EAM)の餌の後に、28日間の0.15重量%の短鎖オリゴフラクトースを包含するEAM(n=29)、又は2)21日間の0.25重量%の短鎖オリゴフラクトースを包含するEAM(n=28)。新鮮な糞便サンプルが収集され、及び従来の微生物学的平板技術により、乳酸菌、大腸菌、真正細菌、及びバクテロイデス属(Bacteriodes)の数が数えられる。
【0045】
0.15%又は0.25%で与えられた短鎖オリゴフラクトースは各々、短鎖オリゴフラクトースの14日間及び28日間の給餌後、バクテロイデス属(Bacteriodes)の糞便濃度を減少する(基準と比較して、各々P<0.05)。更に、0.15%又は0.25%で与えられた短鎖オリゴフラクトースは各々、短鎖オリゴフラクトースの14日間の給餌後、乳酸菌の糞便濃度を増加する(基準と比較して、各々P<0.05)。糞便の大腸菌の減少傾向が、両濃度について28日間の給餌後に認められる。両濃度の給餌について、改善された糞便臭の実証がまた、14日間の給餌後でさえも明らかである。
【0046】
これは、減少された濃度の短鎖オリゴフラクトースが、コンパニオンアニマルの胃腸の健康を改善するために又は糞便の糞便臭を改善するために、驚くべきことに有用であることを実証する。これは今や、短鎖オリゴフラクトースを、より低価格で、新しい革新的なコンパニオンアニマル用組成物中に配合する能力を提供し、関連する費用の削減は、以前に予期したより広範囲に及ぶ短鎖オリゴフラクトースの使用を提供する。
【0047】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
本発明の特定の実施形態を説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパニオンアニマル用組成物であって、該組成物の0.01重量%〜0.2重量%の短鎖オリゴフラクトースを特徴とし、該短鎖オリゴフラクトースが、1−ケストース、ニストース及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む、コンパニオンアニマル用組成物。
【請求項2】
前記短鎖オリゴフラクトースが、該短鎖オリゴフラクトースの30重量%〜40重量%の1−ケストース、50重量%〜60重量%のニストース及び5重量%〜15重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む、請求項1に記載のコンパニオンアニマル用組成物。
【請求項3】
牛肉、豚肉、子羊肉、鶏肉、魚、野菜及びこれらの混合物からなる群から選択されるタンパク質供給源を更に含む、請求項1又は2に記載のコンパニオンアニマル用組成物。
【請求項4】
前記短鎖オリゴフラクトースに追加して繊維供給源を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンパニオンアニマル用組成物。
【請求項5】
前記繊維供給源の少なくとも一部が、ビートパルプ、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、コメヌカ、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴフラクトースに追加したフラクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項4に記載のコンパニオンアニマル用組成物。
【請求項6】
乾燥した組成物、半生の組成物、湿った組成物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンパニオンアニマル用組成物であって、該組成物が栄養的にバランスがとれている、コンパニオンアニマル用組成物。
【請求項7】
コンパニオンアニマルの胃腸の健康を改善すること、コンパニオンアニマルの糞便の糞便臭を改善すること及びこれらの組み合わせからなる群から選択される方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンパニオンアニマル用組成物を前記コンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項8】
前記コンパニオンアニマルが、イヌ、ネコ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。

【公開番号】特開2011−152149(P2011−152149A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86363(P2011−86363)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2006−542681(P2006−542681)の分割
【原出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(595056859)ザ・アイムス・カンパニー (52)
【氏名又は名称原語表記】The Iams Company
【Fターム(参考)】