石保持ユニット及び土木構築物
【課題】所定大きさ以上の石を保持する場合であっても、その角部周囲の他の石保持ユニットに対して的確且つ容易に連結できる石保持ユニットを提供する。
【解決手段】基盤の角部に、帯状の連結板27を取付け、その連結板27を、基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばし、その連結板27の先端部を、他の石保持ユニット1における連結板27の先端部に対する連結部とする。これにより、当該石保持ユニット1を施工面28に多数敷設して、所定大きさ以上の大きな自然石4に基づき隣り合う石保持ユニット1間の隙間が狭く且つ深くなるとしても、連結板27の先端部が、作業し得る一定の高さを確保する。
【解決手段】基盤の角部に、帯状の連結板27を取付け、その連結板27を、基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばし、その連結板27の先端部を、他の石保持ユニット1における連結板27の先端部に対する連結部とする。これにより、当該石保持ユニット1を施工面28に多数敷設して、所定大きさ以上の大きな自然石4に基づき隣り合う石保持ユニット1間の隙間が狭く且つ深くなるとしても、連結板27の先端部が、作業し得る一定の高さを確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石が保持された石保持ユニット及び石保持ユニットを用いた土木構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、護岸等の土木構築物の施工においては、複数の石保持ユニット(土木構築物用ユニット)が用いられる傾向にある。この各石保持ユニットは、一般に、基盤としての網状片の一面に300mm程度の径の石を固定手段を介して取付けたものとなっており、この複数の石保持ユニットを施工面上に敷設することにより、本来の護岸機能を確保できることは勿論、周囲の自然景観に調和させることができると共に自然への回帰を促進することができることになる。
【0003】
このような石保持ユニットを組み立てる(製造する)方法としては、具体的には、特許文献1に示すように、網状片上に一旦、複数の石を載置し、次に、その各石毎に石を持ち上げて、その石の載置個所に固定手段としての接着剤を塗布或いは載置(この場合には、所定形状に自己保持できる性状を有するもの)し、その後、その接着剤の上に石を降ろして、その石を接着剤を介して網状片に取付ける方法や、特許文献2に示すように、複数の石を敷き並べて、その石の上に網状片を被せ、次に、その網状片の網目を利用しつつ、固定手段としての座板、アンカー等を用いて石を網状片に取付け、その後、その石が一体化された網状片を反転させる方法が採られている。
【特許文献1】特開平9−273131号公報
【特許文献2】特開2000−27153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近時、上記石保持ユニットにおいて、それに用いられる石として、一般的な大きさである300mm程度の径を超えるもの(例えば径が500〜800mm程度で、重量が300kgを超えるもの)が求められる場合があり、そのような場合には、前者に係る方法を採用するときには、石が大きく且つ重いことから、その石を持ち上げるときに困難性(作業者が持ち上げようとするときには持ち上げることができず、起重機等を利用するときにはその作業負担が増えることになること)を伴うことになり、石の取付けは容易ではなくなる。また、後者に係る方法においては、石を敷き並べるところまではできても、石が大きくて重いことに基づき、石が一体化された網状片を反転させるときには、その反転作業が負担となるばかりか、その際に、網状片が変形してしまうおそれがある。
また、上述の石保持ユニットを施工面に多数敷設した場合、所定大きさ以上の大きな石に基づき、隣り合う石保持ユニット間の隙間が狭く且つ深くなり、隣り合う石保持ユニット同士の連結が問題となる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、所定大きさ以上の石を保持する場合であっても、その角部周囲の他の石保持ユニットに対して的確且つ容易に連結できる石保持ユニットを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記石保持ユニットを用いた土木構築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1の発明)にあっては、
所定大きさ以上の石を基盤上に保持する石保持ユニットであって、
前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、
前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、
前記連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2の記載の通りとなる。
【0007】
上記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項3の発明)にあっては、
施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、
前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、
前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されている、
ことを特徴とする土木構築物とした構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、連結板が、基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされていることから、当該石保持ユニットを施工面に多数敷設して、所定大きさ以上の大きな石に基づき隣り合う石保持ユニット間の隙間が狭く且つ深くなるとしても、連結板の先端部が作業し得る一定の高さを確保することになり、各石保持ユニットを、その角部周囲の石保持ユニットに対して的確且つ容易に連結できることになる。
しかも、各石保持ユニットを、角部において互いに連結することから、少ない数の連結具を用いて石保持ユニット同士を効果的に連結できることになる。
【0009】
請求項2の発明によれば、連結板が、前記基盤に沿いつつ、該基盤の内側から該基盤の略対角線方向外方に延ばされて該基盤角部における石の下部から現れるように延ばされる第1連結板と、該第1連結板に前記石の下部から現れる部分において回動可能に連結され前記基盤の外方に向かうに従って上方に延びる第2連結板と、を備え、前記第2連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされていることから、所定大きさ以上の重い石の荷重を第2連結板が受けることがなくなり、その第2連結板を第1連結板に対して相対的に回動させて、連結すべき石保持ユニットにおいて、第2連結板の先端部同士の位置決めを簡単に行うことができることになる。このため、石保持ユニット同士の連結作業を一層容易にすることができることになる。
【0010】
請求項3の発明によれば、施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されていることから、前記請求項1に係る石保持ユニットを用いて土木構築物を構築できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図10は第1実施形態を示す。その図1において、符号1は、根固工、床止工、落差工、水制工、護岸等を目的として、施工面(河床、法面等)に敷設される第1実施形態に係る石保持ユニット1を示す。この石保持ユニット1は、互いに隣り合うように施工面(必要な場合には吸い出し防止シートを介して施工面上に敷設)上に多数敷設され、その各隣り合う石保持ユニット1を互いに連結具(シャックル等)2を用いて連結することにより、土木構築物としての護床15が構築されることになっている。
尚、図1においては、石保持ユニット1同士の連結を見やすくするために、石保持ユニット1同士の間隔が広めに示されているが、実際には、図17に示すように、その間隔は狭いものとなっている。
【0013】
前記各石保持ユニット1は、護床、護岸等の保護機能、周囲の自然景観に調和させること、自然への回帰を促進すること等を目的として、図1に示すように、石保持具3に、所定大きさ以上の石としての自然石4が保持されるものとなっている。
【0014】
前記石保持具3は、図2に示すように、基盤16を備えている。この基盤16は、本実施形態においては、所定間隔毎に配設される一群の帯材5と、所定間隔毎に配設されて該一群の帯材5に対して交差された状態とされる他群の帯材6とにより格子状に形成されている。この基盤16においては、一群の帯材5と他群の帯材6とは、その両板面が重なるように配設されており、その両群の帯材5,6の各交差部(重なった部分)は、ボルト7とナット8とにより固定されている。本実施形態においては、一群及び他群の帯材5,6として、ステンレス、鉄等の金属製のものが、それぞれ3つずつ用いられ、その各帯材5(6)としては、ステンレスの場合には、厚さ3mm、幅60mm程度のものが好ましく、鉄の場合には、厚さ5mm、幅60mm程度のものが好ましい。これにより、格子状をなす基盤16は、周縁部の一辺L1が1900mm〜2400mm前後とされた正方形状に形作られ、隣り合う帯材間の間隔L2は600mm前後に設定されている。
この基盤16における各帯材5(6)の端部には、図2に示すように、孔9がそれぞれ形成されている。この各孔9には、シャックル等の前記連結具2が取付けられることになっており(図2においては図示略)、この連結具2を用いることにより、石保持ユニット1の搬送、石保持ユニット1同士の連結が行われることになっている(図1,図6参照)。
【0015】
前記石保持具3は、図2に示すように、前記一群及び他群の帯材5,6の各交差部11において、自然石4に対する連結プレートとして、帯状部材10を備えている。帯状部材10としては、一定長さを有するステンレス、鉄等の金属製のものが用いられており、その帯状部材10の延び方向略中央部は、各交差部11において、重なり合う前記帯材5,6間に挟持されていると共に、該両帯材5,6を連結するための前記ボルト7等を利用することにより(帯状部材10にもボルト7を貫通状態とする)該両帯材5,6に固定されている(基盤16に対する連結部を示す)。この各帯状部材10は、作業者の力をもって、適宜、変形(塑性変形)させることができると共に、変形させた場合には、その変形させた状態を維持できる性質を備えており、各帯状部材10の両端側(各端側)は、各交差部11を中心として起立変形させることができることになっている。この帯状部材10の各端部10aには、連結するための連結要素として孔12がそれぞれ形成されている。この各孔12の径は、後述の取付けアンカーが挿入できる程度の大きさに設定されている。
尚、本実施形態においては、帯状部材10の延び方向略中央部が、各交差部11において、帯材5,6間に挟持された状態で固定されているが、帯状部材1の延び方向略中央部を、各交差部11の上部(帯材6)又は下部(帯材5)に取付けてもよい。また、各帯状部材10の各端部10aに関しては、角部の面取りを施して、その角部を丸く仕上げておくことが好ましい。
【0016】
前記自然石4は、図1,図5に示すように、所定大きさ以上のものが用いられ、それが前記基盤16上の各交差部11にそれぞれ設けられている。この自然石4としては、玉石、割石等、種々のものが用いられ、その所定大きさ以上のものとしては、作業者が人力では容易に持ち上げることができない大きさのものが用いられており、この自然石が所定大きさ以上であることに伴い、重量の観点からも作業者が人力では容易に持ち上げることができないものが対象となっている。具体的には、最大径が、300mmを超えて、500〜800mm程度のもの(好ましくは600mm程度のもの)、重量としては、300〜500kg程度のものが対象となり、基盤16を含む当該石保持ユニット1全体の重量は、1t〜5tの範囲で所望の重量が確保されることになっている。この各自然石4には、図6に示すように、下部において一対の取付け穴13が形成されている。この一対の取付け穴13は、前記帯状部材10の各端部の孔12に対応して形成されており、その両取付け穴13は、自然石4において対向対置されている。
【0017】
前記石保持具3による自然石4の保持は、前記各交差部11上の自然石4に対する各帯状部材10の両端部10aの連結により行われている。具体的には、帯状部材10における各端部10aの孔12に取付けアンカー14が挿通された状態で、該取付けアンカー14が前記自然石4の取付け孔13に打ち込まれており、その取付けアンカー14により各帯状部材10の各端部10aが自然石4に対して連結されている。この取付けアンカー14には、既知のどのようなものも使用することができ、本実施形態においては、この取付けアンカー14を取付け孔13に打ち込むことにより、取付け孔13内壁と取付けアンカー14との間で強固な摩擦保持関係が得られることになっている。
【0018】
前記石保持具3による自然石4の保持においては、各帯状部材10は、その板面が自然石4の下部表面にできるだけ沿いつつ、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHまでの範囲で起立されている。各帯状部材10の板面を自然石4の下部表面にできるだけ沿わせるのは、帯状部材10を自然石4の表面から突出しないようにして、使用時において、流れてくるゴミ等を引っ掛けないようにするためである。帯状部材10を、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHまでの範囲で起立させるのは、このようにすれば、上側から当該石保持ユニット1を見た場合でも、帯状部材10を自然石4によって見えにくくすることができ、周囲の自然景観との調和を図る観点から好ましいからである。勿論、作業性(立ちながらの作業)を、より優先するときには、帯状部材10を、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHを超えて上方に延ばすことになる。
【0019】
このような石保持ユニット1は、次のようにして組み立てられる。
先ず、図3に示すように、作業面(例えば現場の土面)上で格子状の基盤16を組み立てる。自然石4を載置すべきベースを確保すると共に、各帯状部材10の取付け対象を確保するためである。
具体的には、一群の帯材5を所定間隔毎に作業面上に配置すると共に、他群の帯材6を、その一群の帯材5の上に所定間隔毎に交差させた状態で配置し、その一群の帯材5と他群の帯材6との各交差部11において、帯状部材10を上下の帯材5,6間に挟持されるように配置する。そしてその上で、上記各交差部11(帯材5と6)を、ボルト7とナット8とを利用することにより一体化する。
【0020】
勿論、このような基盤16を工場において組み立て、それを施工現場に搬送してもよく、その場合には、上述のような工程が施工現場において行われることは省かれる。この基盤16の搬送に際しては、各帯状部材10が格子状の基盤16に沿うようになっていることから、搬送に際して、基盤16を積み重ねて同時に多数のものを搬送することができ、搬送性を高めることができることになる。しかも、取り扱いも容易となる。
【0021】
次に、図2に示すように、基盤16の各交差部11における帯状部材10の両端側を、その延び方向略中央部を中心として起立変形させる。自然石4を受け入れ可能状態として、自然石4の取付け作業を容易にするためである。この場合、帯状部材10の両端部10a間の間隔を、入れるべき(取付けるべき)自然石4の最大径(載置時の水平方向における最大径)よりもやや小さめにしておけば、その帯状部材10の両端部10a間に自然石4を入れる際に、その両端部10aを外方に押しやることから、その反発力(ばね力)によりその両端部10aを自然石4表面に沿わせることができ(図4仮想線参照)、この観点から、作業性を向上させることができることになる。一方、帯状部材10の両端部10a間の間隔を、入れるべき(取付けるべき)自然石4の最大径(載置時の水平方向における最大径)よりもやや大きめにしておけば、その帯状部材10の両端部10a間に自然石4が入れ易くなり、この観点から作業性を向上させることができることになる。勿論、帯状部材10の両端部10aを自然石4の最大径よりもやや大きくする一方、その帯状部材10の両端部(先端部)10aよりも下方側部分において、上記反発力を得るようにしてもよい。
尚、この帯状部材10の両端側を、その延び方向略中央部を中心として起立変形させる工程に関しては、工場において行い、それを施工現場に搬送してもよく、その場合には、上述のような工程が施工現場において行われることは省かれる。
【0022】
次に、図4、図7に示すように、前記基盤16における交差部11に自然石4を載置させる。自然石4を、交差部11において、該交差部11に取付けられた帯状部材10に連結するためである。
この交差部11に自然石4を載置させるに際しては、各交差部11のいくつか或いは全部に自然石4を載置してもよいし、一つの交差部11に自然石4を載置して後述の連結作業とを終える毎に行うようにしてもよい。
また、上記交差部11への自然石4の載置に際しては、自然石4が重く且つ大きいことから、自然石4にワイヤー等を掛けて、クレーン等の起重機によりその自然石4を持ち上げ搬送することが行われるが、自然石4の上部に吊り上げ用の金具を着脱可能に取付け、その金具にクレーン等のフックを引っ掛けることにより、その自然石4を持ち上げ搬送してもよい。自然石4にワイヤー等を掛けることが一般的に高度な技能を有することから、高度な技能を有しない作業者においても自然石4の搬送作業を行えるようにするためである。
【0023】
次に、図8に示すように、帯状部材10の板面を自然石4の下部表面にできるだけ沿わせるようにしつつ、帯状部材10の孔9をドリル工具17のドリル17aの案内孔として、自然石4に取付け穴13を形成する。取付けアンカー14による取付けを所望のものとすべく、取付け穴13を所定位置に的確且つ容易に形成するためである。この場合、作業に際して、帯状部材10の板面を自然石4の表面にできるだけ沿わせるようにするのは、帯状部材を10の各端部10aを自然石4に取付けアンカー14により連結したとき、帯状部材が10が自然石4表面にできるだけ沿った状態で保持されるようにして、当該石保持ユニット1の完成後において、帯状部材10が、使用時においてゴミ等を引っ掛けないようにするためである。
【0024】
次に、図9に示すように、取付けアンカー14を、帯状部材10における各端部の孔9に通した状態で取付け穴13にハンマー等26を利用して打ち込む。帯状部材10の各端部を自然石4に連結して、該自然石4を格子状の基盤16に保持するためである。
【0025】
そして、このような交差部11への自然石4の載置、自然石4における取付け穴13の形成、取付けアンカー14の取付けを、各交差部11において順次、行い、当該石保持ユニット1を得る。
【0026】
この後、図10に示すように、基盤16の周縁部(各帯材の端部)に連結具(シャックル等)2を取付け、その各連結具2に吊り上げ搬送具18のフック19をそれぞれ引っ掛け、その吊り上げ搬送具18を介して石保持ユニット1をクレーン等20により持ち上げ、その石保持ユニット1を施工面の所定個所に搬送する。
【0027】
したがって、このような組立方法によれば、自然石4が大きく重いものでも、作業者が立ちながら連結作業を行うことによって、その自然石4を基盤16に確実且つ容易に連結できることになり、作業性を向上させることができることになる。
【0028】
図11、図12は第2実施形態、図13は第3実施形態、図14〜図16は第4実施形態、図17〜図20は第5実施形態、第21〜図22は第6実施形態、図23は第7実施形態、図24、図25は第8実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図11、図12に示す第2実施形態は、所定大きさ以上の自然石4(大きな自然石4)を1個だけ保持できる石保持具3を用いて、その石保持具3にその所定大きさ以上の自然石4を1個だけ保持するようにした石保持ユニット1を示す。すなわち、この石保持具3は、前記第1実施形態に係る石保持具3における自然石4の1個分に相当するものであり、具体的には、石保持具3は、基盤16を備え、その基盤16は、2つの帯材5,6を十字状に重ねて配置することにより形成され、その帯材5,6の交差部11において該両帯材5,6に帯状部材10が挟持されている。この帯材5(6)と帯状部材10との一体化には、前記第1実施形態同様、ボルト7とナット8とが利用され、この石保持具3に対する自然石4の取付けも、同じく(前記第1実施形態同様)、帯状部材10の各端部10aが取付けアンカー14を用いて自然石4に連結されている。そして使用に際しては、帯材5,6における各端部の孔9にシャックル等の連結具2が取付けられ、そのような石保持ユニット1は、必要な数だけ、各石保持ユニット1の連結具2を介して連結され、施工面に敷設される。
尚、図12においては、石保持ユニット1同士の連結を見やすくするために、石保持ユニット1同士の間隔が広めに示されているが、実際には、その間隔は、もっと狭くされている。
【0030】
したがって、このような石保持ユニット1を用いれば、小河川で護床等のために必要な自然石4の数が少なくてもよいような場合にも、その数だけのものを用意することができ、施工において、的確に対応することができることになる。
【0031】
図13に示す第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、十字状に配置された帯材5,6(石保持具3)を取付けアンカー14により直接、自然石4に取付けるようになっており、具体的には、自然石4の上面略中央部に取付け穴13が形成されている一方、各帯材5,6には、その両端部に孔9が形成されているだけでなく、その各帯材5,6の延び方向中央部にも孔21が形成されていて、組立においては、自然石4の上部に、帯材5,6を十字状に配置し、各帯材の孔21、自然石4の取付け穴13に取付けアンカー14が打ち込まれることになっている。
この後、この1個の自然石4を保持した石保持ユニット1は、ひっくり返されて、使用状態の態様とされ、その石保持ユニット1は、その使用状態の態様をもって、前記実施形態同様、施工面の所定個所に搬送される。
【0032】
図14〜図16に示す第4実施形態においては、この実施形態に係る石保持ユニット1は、3個の自然石4を一体化すべく、3個の自然石4が寄せ集められて、その自然石4の隣り合うもの同士が、その側面において、連結プレート22を介して連結されている。また、この各自然石4の上部には、引っ掛け孔24を有する吊り上げ金具23がそれぞれ着脱可能に取付けられており、その各自然石4の吊り上げ金具23の引っ掛け孔24に吊り上げ手段のフック19を引っ掛けることにより、その石保持ユニット1は、クレーン等20を用いて施工面の所定個所に吊り上げ搬送される。石保持ユニット1が所定個所に搬送された後は、各自然石4の吊り上げ金具23から、吊り上げ手段のフック19が外されるだけでなく、吊り上げ金具23自体も外されて、その吊り上げ金具23に基づきケガをしないようにされる。
この場合、吊り上げ金具23を自然石4に着脱可能に取付ける手段としては、種々のものがあるが、本実施形態においては、自然石4に取付け穴13を形成し、その取付け穴13にインサートナット(図示略)を埋設固定し、そのインサートナットとボルト25とにより前記吊り上げ金具23を自然石4に着脱可能に取付けることが行われる。
【0033】
第17〜図20に示す第5実施形態は、施工面28に敷設された略正方形状の石保持ユニット1同士の連結を容易にした内容を示している。
すなわち、各石保持ユニット1は、その四隅の各角部(各隅部)における交差部11において、帯材5,6、帯状部材10と共に、帯状の連結板27を連結しており、この各連結板27は、本実施形態においては、第1連結板27aと第2連結板27bとにより構成されている。第1連結板27aは、その一端部が交差部11にボルト7とナット8とを利用して連結され、その第1連結板27aの他端側は、その交差部11から、略水平状態を維持しつつ、石保持ユニット1の対角線方向外方側へと延び、その第1連結板27aの他端部は、当該交差部11に配置される自然石4の荷重を直接受けることがない位置、すなわちその自然石4の径方向外方側位置に至ることになっている。第2連結板27bは、その一端部が第1連結板27aの他端部にボルト29等を利用して回動可能に連結されている。この第2連結板27bは、石保持ユニット1の外方側に向かうに従って上方に延びるように傾斜され、その後、その第2連結板27bの他端部(先端部)は、略水平方向に折り返され、その他端部には、第2連結板27bの延び方向に延びる長孔30が形成されている。
【0034】
これにより、このような石保持ユニット1を施工面28に多数敷設した場合には、各石保持ユニット1角部の自然石4が区画する空間31において、その各石保持ユニット1の第2連結板27bの他端部が、施工面28から一定高さをもって位置され(図17,図18参照)、その各第2連結板27bの他端部は、自然石4の荷重の影響を受けることなく、第1連結板27aに対する相対的な回動調整をもって簡単に互いに重なることになる。この各第2連結板27bの他端部の重なり合いにより、その各第2連結板27b他端部の長孔30が貫通孔32(図20参照)を形成することになり、その貫通孔32にシャックル等の連結具33が通されてその各他端部が一体的に連結されることになる。この各第2連結板27bの他端部を重ね合わせるに際しては、第1連結板27aが片持ち状態で石保持ユニット1の交差部11に連結されて、連結板27にある程度のばね性を確保できることから、そのばね力に抗して、各第2連結板27bを順次、撓ませることにより、その各他端部を簡単に重ね合わせることができ、その各第2連結板27bの他端部の重ね合わせ状態においては、各第2連結板27bの他端部の板面は、各連結板27のばね力に基づき密に当接することになる。
【0035】
したがって、施工面28に多数の石保持ユニット1を敷設した場合には、その各石保持ユニット1に使用される自然石4が所定大きさ以上の大きなものであることに基づき石保持ユニット1同士間の隙間が狭い状態で深くなり、作業者は石保持ユニット1同士の連結作業を行いにくくなるが、各連結板27の第2連結板27bが立ち上がって連結部分の高さを確保し、作業者の連結作業を容易にすることから、石保持ユニット1において、所定大きさ以上の大きな自然石4が用いられるとしても、各石保持ユニット1同士を連結することができることになる。
また、この連結作業に際しては、本実施形態では、連結板が第1,第2の連結板27a、27bで構成され、第2連結板27bが所定大きさ以上の重い自然石4の荷重を受けることがないことから、その第2連結板27bを第1連結板27aに対して容易に回動させて、連結すべき各第2連結板27bの他端部を簡単に重ね合わせることができることになる。
【0036】
さらに、各石保持ユニット1(基盤16)の各角部が、隣り合う別の石保持ユニット1の角部に連結されて、ほぼ、各石保持ユニットの四隅部が他の石保持ユニット1に連結できることから、石保持ユニット1同士の連結に対する強度(信頼性)を効果的に確保でき、各石保持ユニット1の帯材5(6)の各端部同士を連結する場合(図1参照)に比して、連結具2(33)の使用数を減らすことができると共に、その連結具を使用する作業負担を軽減できることになる。
【0037】
図21、図22に示す第6実施形態は、前記第1実施形態に係る石保持ユニット1(以下、この実施形態においてこの石保持ユニットについて符号1aを使用する)と前記第2実施形態に係る石保持ユニット1(以下、この実施形態においてこの石保持ユニットについて符号1bを使用する)とを組み合わせて、自然石4を多段に積んだ石保持ユニット1を示している。
すなわち、この実施形態にあっては、石保持ユニット1aにおける4つの自然石4毎に、その中央部において石保持ユニット1bを配置し、その石保持ユニット1bにおける帯材5(6)の端部を、アンカー34等を用いて固定するものとなっている。
【0038】
この製造に際しては、先ず、石保持ユニット1aを用意し、その石保持ユニット1aにおける4つの自然石4の中央部に石保持具3をそれぞれ配置する(本実施形態では2つ)。次に、その石保持具2における各帯材5(6)の端部の孔9をドリルの案内孔として利用して、石保持ユニット1aにおける4つの各自然石4に取付け穴(図示略)を形成する。次に、各自然石4の取付け穴に帯材5(6)における各端部の孔9を介してアンカー34を打ち込み、各自然石4と石保持具3(帯材5,6)の各端部とを連結する。この後、その各石保持具3の交差部11に、クレーン等を用いて自然石4を配置し、その自然石4を、帯状部材10、取付けアンカー14等を用いて、前記各実施形態と同様の手法により、石保持具3に連結する。これにより、自然石4を多段に積んだ石保持ユニット1を簡単に組み立てることができることになる。
【0039】
図23に示す第7実施形態には、各帯状部材10として、姿勢状態非保持性部材を用いて形成したものが示されている。この姿勢状態非保持性部材は、素材として、自己の性質に基づいて姿勢状態を保持できないか又は姿勢状態保持力が極めて弱い性質を有しているが、基本的に引っ張り強度が強く、想定する大きな引っ張り荷重が作用しても、切れたり、伸びて細くならないように設定されている。本実施形態においては、この姿勢状態非保持性部材としては、ポリエステル繊維等の合成繊維等を織って形成した布材が用いられており、この布材からなる帯状部材10は、幅、厚みに関し、幅30mm〜100mm、厚み2〜10mm程度とされている。そして、帯状部材10に一層、高い強度が要求されるときには、必要に応じて、上記布材を複数枚重ねて一体化(接着、縫製等により一体化)したものを、帯状部材10として使用したり、布材の織り方として、引っ張り荷重が作用したとき等に布材が伸びて細くならないような方法が適宜、取り入れられることになっている。また、この帯状部材10に用いられる布材としては、それを構成する繊維自体が高い耐摩耗性を有していることが好ましいが、布材自体或いはその布材を構成する繊維に耐摩耗性被覆層を形成することにより帯状部材10の耐摩耗性を高めることも行われる。
【0040】
このような帯状部材10も、図23に示すように、前記各実施形態同様、その延び方向略中央部が帯材5、6の交差部11に連結され、その帯状部材10の両端部が、その各端部に形成される孔12、自然石4の取付け孔13、取付けアンカー14を利用することにより、自然石4に連結される(図23においては、仮想線で1つの自然石を連結する場合のみを図示し、他の個所での自然石4の連結に関しては省略)。この場合、布材からなる帯状部材10が、その姿勢状態非保持性に基づき、その延び方向略中央部よりも延び方向外側部分がわずかな作業者の力で自由に姿勢を変更できることになり(取り扱い性の向上)、帯状部材10を自然石4の表面に沿わせつつ連結する作業を簡単に行うことができることになる。
しかも、帯状部材10が、その姿勢状態非保持性に基づき、自然石4の表面に馴染むように沿うことになることから、帯状部材10がゴミ等を引っ掛けることを、より確実に防止できると共に、自然石4に対する帯状部材10の保持力を高めることができることになる。この場合、特に自然石に対する帯状部材10の保持力を高める観点から、帯状部材10の幅をなるべく拡げることが好ましい。自然石4に対する帯状部材4の接触面積が増大し、その接触面積が増大した帯状部材10が、自然石4の移動を規制しようとして働くからである。
尚、この第7実施形態においては、図23に示すように、帯材5,6により基盤16を格子状に形成したものに適用して説明したが、その他の基盤、例えば、図11に示すように、帯材5,6により基盤16を十字状に形成したもの等に適用してもよいことは勿論のことである。
【0041】
上記第7実施形態の変形例として、自然石4に対する連結部を、帯状部材10の両端部に限らず、その帯状部材10の両端部を含む帯状部材10(板面)略全体としてもよい。帯状部材10の姿勢状態非保持性に基づき、自然石4表面に対する帯状部材10の接触面の面積が格段に増大することになり、その接触面に接着剤を塗布することとすれば、自然石4に対する帯状部材10の保持力を十分に確保できることになるからである。
【0042】
図24、図25に示す第8実施形態は、第1実施形態の変形例を示すものであり、この第8実施形態においては、自然石4の基盤16外への転動防止と、格子状の基盤16の変形抑制とを高めた内容が示されている。
すなわち、基盤16の周囲に位置する各交差部11よりも基盤16内方側において、帯状部材10が、その各交差部11近傍位置における帯材5と6とに留め具(ボルト、ナット等)101により連結されており、各交差部11付近において、帯材5と帯材6と帯状部材10とにより平面視三角形からなる連結構造102が形成されている(図24参照)。一方、自然石4は、基盤16への載置の際、その下面中央部が交差部11の上に位置し、自然石4の重心が交差部11上方に位置することになり、この自然石4が帯状部材10の両端部10aにより連結されたときには(図25においては、取付けアンカー14は図示略)、その自然石4と帯状部材10との連結部は、交差部11(ボルト7)から基盤16内方側に偏位して位置することになる(図24、図25参照)。このため、このような構造においては、自然石4に外力が作用して自然石4を基盤16の外側に転動させようとしても、その動きを効果的に抑制できることになっている。
【0043】
また、帯材5と帯材6と帯状部材10とにより形成される平面視三角形の各連結構造102は、帯材5と6との直角配置関係を補強することになり、格子状の基盤16の変形を抑制することになる。特にこの場合、基盤16における四隅部の直角構造が補強されれば、変形抑制に効果的であることから、少なくとも基盤16の四隅部に位置する帯状部材10に対して上記配置構造を適用することが好ましい。また、本実施形態においては、自然石4を基盤16の外側に転動しようとすることを抑制することだけを目的とせず、連結構造102をもって帯材5,6の直角配置関係をも補強することとしていることから、帯状部材10としては、起立変形可能としつつも、ある程度期待できる強度(剛性)を有する金属製部材が好ましい。
尚、本実施形態においては、帯状部材10を、その各交差部11近傍位置における帯材5、6の各上面に留め具101により連結することになっているが、帯状部材10を、その各交差部11近傍位置における帯材5、6の各下面、或いは帯材5の上面(又は下面)と帯材6の下面(上面)とに連結する等、適宜の態様で連結することができる。
【0044】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)石として、自然石4に代えて擬石を用いること。
(2)帯状部材10の各端部を石に取付けるに際しては、取付けアンカー14に代えて、他の手段として、接着剤や、ボルト、ナット(一方を石に埋め込む)等を用いること。
(3)第4実施形態に係る吊り上げ金具23を、第1実施形態等において、自然石4に着脱可能に取付けて、それを利用することにより、自然石4を基盤16の交差部11に搬送するために使用すること。
(4)石保持ユニット1を平面的に見た場合に、基盤を、石4に覆われるようにして、基盤を見えにくくしたり、隣り合う石保持ユニット1との連結の作業性をも考慮して、基盤16を、石4から若干、突出して見えるようにすること。
(5)第4実施形態において、連結プレート22に代えて、各自然石4に取付け具を設け、その各取付け具間をチェーンや複数のシャックルにより連結すること。
(6)第5実施形態において、連結板として、第1、第2連結板を一体化したものを用いること。
(7)第1実施形態において、石保持ユニット1同士を連結するための連結具を、全ての帯材5(6)の端部に使用することなく、間引いて用いること。
(8)基盤16として、格子状のものに限らず、平板状のもの等、種々のものを用いること。
(9)魚類に対してストレスを与えないように帯状部材10及び基盤16の表面に茶色や黒色等の色彩を施すこと。
(10)自然石4が長くて大きいため、その自然石4が基盤16の複数の交差部11を跨ぐように配置される場合、その1個の自然石4に対して、複数の交差部11における帯状部材10の端部10aをそれぞれ連結すること。
(11)帯状部材10の各端部10aに孔12を、その帯状部材10の延び方向に所定間隔をあけるようにして複数(例えば2つ)設け、各端部10aを、その各端部10aにおける複数の孔12、その各孔12からそれぞれ打ち込む取付けアンカー14等により、自然石4に連結すること。これにより、自然石4に対する連結部である帯状部材10の両端部を中心として、自然石4が回転しようとすることを、帯状部材10の各端部10aに孔12を1つ設ける場合に比して、確実に防止できることになる。
(12)帯状部材10を連結すべき自然石4が想定していたものよりも大きい場合に、帯状部材10の各端部10aにつなぎプレート(金属製、布製等)を連結して、帯状部材10の長さを延長し、その帯状部材10の構成要素となるつなぎプレートを自然石4に連結すること。
(13)帯状部材10を、その延び方向内方側部分において金属製とする一方、その延び方向両側部分を布製とすること。これにより、帯状部材10における金属製部分が起立塑性変形可能であることを、自然石4の下部表面に略沿わせることに利用でき、帯状部材10の布製部分が取り扱い容易であることを、自然石4に対する連結作業に利用できることになる。
(14)第5実施形態(図17〜図20)における石保持ユニット1同士の連結構造(連結板27)を、各石保持ユニット1の角部以外、例えば、石保持ユニット1における各辺部の延び方向略中央部に連結構造(連結板27)を設けること。
(15)石保持ユニット1同士を連結するに際して、石保持ユニット1における基盤16を構成する帯材5(6)の一部のものを延長し、それを隣り合う石保持ユニット1の帯材5(6)と重ね、その重なった帯材5(6)の互いの孔9に対してシャックル等の連結具を通すこと(連結すること)。例えば、石保持ユニット1における各辺部の延び方向略中央部に位置する帯材5(6)を延長して上記連結を行うこと。
(16)第7実施形態において、塑性変形可能な金属線材を、布材からなる帯状部材10に組み込み、布材からなる帯状部材10を起立塑性変形可能とすること。
(17)石保持具3に保持された各自然石4間に介在物を介在させて、各自然石4の基盤16内側への姿勢変更を規制し、これにより、基盤16が内側に変形すること(吊り上げ時に撓むこと)を抑制する一方、その状態(各自然石4が介在物を介して一体化した状態)を維持すべく、石保持ユニット1の周囲を構成する複数の自然石4の周囲に対して樹脂シート(エチレン樹脂、EVA樹脂等)を巻くこと。これにより、石保持ユニット1を吊り上げ搬送するとしても、基盤16が大きく撓むことが抑制されることになり、石保持ユニット1の吊り上げ搬送性を向上させることができることになる。この場合、複数の自然石4の周囲を巻く樹脂シートの巻き数は、樹脂シートの強度、性質等を考慮して、適宜決められるが、2〜3重巻きが好ましい。
【0045】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態に係る石保持ユニットを用いた土木構築物(護床)を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る石保持具を示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係る石保持具の搬送時(組立前)の態様を示す斜視図。
【図4】石保持具に対する自然石の取付けを説明する説明図。
【図5】石保持具に自然石が取付けられた状態を示す図。
【図6】自然石に対する帯状部材の端部の取付けを説明する説明図。
【図7】基盤交差部への自然石の搬送を示す工程を示す図。
【図8】自然石に対する取付け穴の形成工程を示す図。
【図9】自然石に対する帯状部材端部の取付け工程を示す図。
【図10】石保持ユニットの搬送工程を示す図。
【図11】第2実施形態に係る石保持ユニットの組立を説明する説明図。
【図12】第2実施形態に係る石保持ユニットの使用状態を示す図。
【図13】第3実施形態に係る石保持ユニットの組立を説明する説明図。
【図14】第4実施形態に係る石保持ユニットを示す平面図。
【図15】図14の側面図。
【図16】第4実施形態に係る石保持ユニットの搬送状態を説明する説明図。
【図17】第5実施形態に係る石保持ユニットを施工面に敷設した状態を示す平面図。
【図18】第5実施形態に係る石保持ユニット同士の連結を説明する説明図。
【図19】第5実施形態に係る石保持ユニット同士の連結に用いられる連結板を示す斜視図。
【図20】第5実施形態に係る石保持ユニットにおける連結板他端部の連結を説明する平面図。
【図21】第6実施形態に係る石保持ユニットを示す平面図。
【図22】第6実施形態に係る石保持ユニットを示す正面図。
【図23】第7実施形態に係る石保持具を示す斜視図。
【図24】第8実施形態に係る石保持具を示す部分拡大平面図。
【図25】第8実施形態に係る石保持具が自然石を取付けている状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1 石保持ユニット
4 自然石(石)
5 帯材
6 帯材
15 護床(土木構築物)
16 基盤
27 連結板
27a 第1連結板
27a 第2連結板
【技術分野】
【0001】
本発明は、石が保持された石保持ユニット及び石保持ユニットを用いた土木構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、護岸等の土木構築物の施工においては、複数の石保持ユニット(土木構築物用ユニット)が用いられる傾向にある。この各石保持ユニットは、一般に、基盤としての網状片の一面に300mm程度の径の石を固定手段を介して取付けたものとなっており、この複数の石保持ユニットを施工面上に敷設することにより、本来の護岸機能を確保できることは勿論、周囲の自然景観に調和させることができると共に自然への回帰を促進することができることになる。
【0003】
このような石保持ユニットを組み立てる(製造する)方法としては、具体的には、特許文献1に示すように、網状片上に一旦、複数の石を載置し、次に、その各石毎に石を持ち上げて、その石の載置個所に固定手段としての接着剤を塗布或いは載置(この場合には、所定形状に自己保持できる性状を有するもの)し、その後、その接着剤の上に石を降ろして、その石を接着剤を介して網状片に取付ける方法や、特許文献2に示すように、複数の石を敷き並べて、その石の上に網状片を被せ、次に、その網状片の網目を利用しつつ、固定手段としての座板、アンカー等を用いて石を網状片に取付け、その後、その石が一体化された網状片を反転させる方法が採られている。
【特許文献1】特開平9−273131号公報
【特許文献2】特開2000−27153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近時、上記石保持ユニットにおいて、それに用いられる石として、一般的な大きさである300mm程度の径を超えるもの(例えば径が500〜800mm程度で、重量が300kgを超えるもの)が求められる場合があり、そのような場合には、前者に係る方法を採用するときには、石が大きく且つ重いことから、その石を持ち上げるときに困難性(作業者が持ち上げようとするときには持ち上げることができず、起重機等を利用するときにはその作業負担が増えることになること)を伴うことになり、石の取付けは容易ではなくなる。また、後者に係る方法においては、石を敷き並べるところまではできても、石が大きくて重いことに基づき、石が一体化された網状片を反転させるときには、その反転作業が負担となるばかりか、その際に、網状片が変形してしまうおそれがある。
また、上述の石保持ユニットを施工面に多数敷設した場合、所定大きさ以上の大きな石に基づき、隣り合う石保持ユニット間の隙間が狭く且つ深くなり、隣り合う石保持ユニット同士の連結が問題となる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、所定大きさ以上の石を保持する場合であっても、その角部周囲の他の石保持ユニットに対して的確且つ容易に連結できる石保持ユニットを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記石保持ユニットを用いた土木構築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1の発明)にあっては、
所定大きさ以上の石を基盤上に保持する石保持ユニットであって、
前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、
前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、
前記連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2の記載の通りとなる。
【0007】
上記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項3の発明)にあっては、
施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、
前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、
前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されている、
ことを特徴とする土木構築物とした構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、連結板が、基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされていることから、当該石保持ユニットを施工面に多数敷設して、所定大きさ以上の大きな石に基づき隣り合う石保持ユニット間の隙間が狭く且つ深くなるとしても、連結板の先端部が作業し得る一定の高さを確保することになり、各石保持ユニットを、その角部周囲の石保持ユニットに対して的確且つ容易に連結できることになる。
しかも、各石保持ユニットを、角部において互いに連結することから、少ない数の連結具を用いて石保持ユニット同士を効果的に連結できることになる。
【0009】
請求項2の発明によれば、連結板が、前記基盤に沿いつつ、該基盤の内側から該基盤の略対角線方向外方に延ばされて該基盤角部における石の下部から現れるように延ばされる第1連結板と、該第1連結板に前記石の下部から現れる部分において回動可能に連結され前記基盤の外方に向かうに従って上方に延びる第2連結板と、を備え、前記第2連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされていることから、所定大きさ以上の重い石の荷重を第2連結板が受けることがなくなり、その第2連結板を第1連結板に対して相対的に回動させて、連結すべき石保持ユニットにおいて、第2連結板の先端部同士の位置決めを簡単に行うことができることになる。このため、石保持ユニット同士の連結作業を一層容易にすることができることになる。
【0010】
請求項3の発明によれば、施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されていることから、前記請求項1に係る石保持ユニットを用いて土木構築物を構築できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図10は第1実施形態を示す。その図1において、符号1は、根固工、床止工、落差工、水制工、護岸等を目的として、施工面(河床、法面等)に敷設される第1実施形態に係る石保持ユニット1を示す。この石保持ユニット1は、互いに隣り合うように施工面(必要な場合には吸い出し防止シートを介して施工面上に敷設)上に多数敷設され、その各隣り合う石保持ユニット1を互いに連結具(シャックル等)2を用いて連結することにより、土木構築物としての護床15が構築されることになっている。
尚、図1においては、石保持ユニット1同士の連結を見やすくするために、石保持ユニット1同士の間隔が広めに示されているが、実際には、図17に示すように、その間隔は狭いものとなっている。
【0013】
前記各石保持ユニット1は、護床、護岸等の保護機能、周囲の自然景観に調和させること、自然への回帰を促進すること等を目的として、図1に示すように、石保持具3に、所定大きさ以上の石としての自然石4が保持されるものとなっている。
【0014】
前記石保持具3は、図2に示すように、基盤16を備えている。この基盤16は、本実施形態においては、所定間隔毎に配設される一群の帯材5と、所定間隔毎に配設されて該一群の帯材5に対して交差された状態とされる他群の帯材6とにより格子状に形成されている。この基盤16においては、一群の帯材5と他群の帯材6とは、その両板面が重なるように配設されており、その両群の帯材5,6の各交差部(重なった部分)は、ボルト7とナット8とにより固定されている。本実施形態においては、一群及び他群の帯材5,6として、ステンレス、鉄等の金属製のものが、それぞれ3つずつ用いられ、その各帯材5(6)としては、ステンレスの場合には、厚さ3mm、幅60mm程度のものが好ましく、鉄の場合には、厚さ5mm、幅60mm程度のものが好ましい。これにより、格子状をなす基盤16は、周縁部の一辺L1が1900mm〜2400mm前後とされた正方形状に形作られ、隣り合う帯材間の間隔L2は600mm前後に設定されている。
この基盤16における各帯材5(6)の端部には、図2に示すように、孔9がそれぞれ形成されている。この各孔9には、シャックル等の前記連結具2が取付けられることになっており(図2においては図示略)、この連結具2を用いることにより、石保持ユニット1の搬送、石保持ユニット1同士の連結が行われることになっている(図1,図6参照)。
【0015】
前記石保持具3は、図2に示すように、前記一群及び他群の帯材5,6の各交差部11において、自然石4に対する連結プレートとして、帯状部材10を備えている。帯状部材10としては、一定長さを有するステンレス、鉄等の金属製のものが用いられており、その帯状部材10の延び方向略中央部は、各交差部11において、重なり合う前記帯材5,6間に挟持されていると共に、該両帯材5,6を連結するための前記ボルト7等を利用することにより(帯状部材10にもボルト7を貫通状態とする)該両帯材5,6に固定されている(基盤16に対する連結部を示す)。この各帯状部材10は、作業者の力をもって、適宜、変形(塑性変形)させることができると共に、変形させた場合には、その変形させた状態を維持できる性質を備えており、各帯状部材10の両端側(各端側)は、各交差部11を中心として起立変形させることができることになっている。この帯状部材10の各端部10aには、連結するための連結要素として孔12がそれぞれ形成されている。この各孔12の径は、後述の取付けアンカーが挿入できる程度の大きさに設定されている。
尚、本実施形態においては、帯状部材10の延び方向略中央部が、各交差部11において、帯材5,6間に挟持された状態で固定されているが、帯状部材1の延び方向略中央部を、各交差部11の上部(帯材6)又は下部(帯材5)に取付けてもよい。また、各帯状部材10の各端部10aに関しては、角部の面取りを施して、その角部を丸く仕上げておくことが好ましい。
【0016】
前記自然石4は、図1,図5に示すように、所定大きさ以上のものが用いられ、それが前記基盤16上の各交差部11にそれぞれ設けられている。この自然石4としては、玉石、割石等、種々のものが用いられ、その所定大きさ以上のものとしては、作業者が人力では容易に持ち上げることができない大きさのものが用いられており、この自然石が所定大きさ以上であることに伴い、重量の観点からも作業者が人力では容易に持ち上げることができないものが対象となっている。具体的には、最大径が、300mmを超えて、500〜800mm程度のもの(好ましくは600mm程度のもの)、重量としては、300〜500kg程度のものが対象となり、基盤16を含む当該石保持ユニット1全体の重量は、1t〜5tの範囲で所望の重量が確保されることになっている。この各自然石4には、図6に示すように、下部において一対の取付け穴13が形成されている。この一対の取付け穴13は、前記帯状部材10の各端部の孔12に対応して形成されており、その両取付け穴13は、自然石4において対向対置されている。
【0017】
前記石保持具3による自然石4の保持は、前記各交差部11上の自然石4に対する各帯状部材10の両端部10aの連結により行われている。具体的には、帯状部材10における各端部10aの孔12に取付けアンカー14が挿通された状態で、該取付けアンカー14が前記自然石4の取付け孔13に打ち込まれており、その取付けアンカー14により各帯状部材10の各端部10aが自然石4に対して連結されている。この取付けアンカー14には、既知のどのようなものも使用することができ、本実施形態においては、この取付けアンカー14を取付け孔13に打ち込むことにより、取付け孔13内壁と取付けアンカー14との間で強固な摩擦保持関係が得られることになっている。
【0018】
前記石保持具3による自然石4の保持においては、各帯状部材10は、その板面が自然石4の下部表面にできるだけ沿いつつ、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHまでの範囲で起立されている。各帯状部材10の板面を自然石4の下部表面にできるだけ沿わせるのは、帯状部材10を自然石4の表面から突出しないようにして、使用時において、流れてくるゴミ等を引っ掛けないようにするためである。帯状部材10を、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHまでの範囲で起立させるのは、このようにすれば、上側から当該石保持ユニット1を見た場合でも、帯状部材10を自然石4によって見えにくくすることができ、周囲の自然景観との調和を図る観点から好ましいからである。勿論、作業性(立ちながらの作業)を、より優先するときには、帯状部材10を、自然石4の水平方向における最大径Dが存在する高さHを超えて上方に延ばすことになる。
【0019】
このような石保持ユニット1は、次のようにして組み立てられる。
先ず、図3に示すように、作業面(例えば現場の土面)上で格子状の基盤16を組み立てる。自然石4を載置すべきベースを確保すると共に、各帯状部材10の取付け対象を確保するためである。
具体的には、一群の帯材5を所定間隔毎に作業面上に配置すると共に、他群の帯材6を、その一群の帯材5の上に所定間隔毎に交差させた状態で配置し、その一群の帯材5と他群の帯材6との各交差部11において、帯状部材10を上下の帯材5,6間に挟持されるように配置する。そしてその上で、上記各交差部11(帯材5と6)を、ボルト7とナット8とを利用することにより一体化する。
【0020】
勿論、このような基盤16を工場において組み立て、それを施工現場に搬送してもよく、その場合には、上述のような工程が施工現場において行われることは省かれる。この基盤16の搬送に際しては、各帯状部材10が格子状の基盤16に沿うようになっていることから、搬送に際して、基盤16を積み重ねて同時に多数のものを搬送することができ、搬送性を高めることができることになる。しかも、取り扱いも容易となる。
【0021】
次に、図2に示すように、基盤16の各交差部11における帯状部材10の両端側を、その延び方向略中央部を中心として起立変形させる。自然石4を受け入れ可能状態として、自然石4の取付け作業を容易にするためである。この場合、帯状部材10の両端部10a間の間隔を、入れるべき(取付けるべき)自然石4の最大径(載置時の水平方向における最大径)よりもやや小さめにしておけば、その帯状部材10の両端部10a間に自然石4を入れる際に、その両端部10aを外方に押しやることから、その反発力(ばね力)によりその両端部10aを自然石4表面に沿わせることができ(図4仮想線参照)、この観点から、作業性を向上させることができることになる。一方、帯状部材10の両端部10a間の間隔を、入れるべき(取付けるべき)自然石4の最大径(載置時の水平方向における最大径)よりもやや大きめにしておけば、その帯状部材10の両端部10a間に自然石4が入れ易くなり、この観点から作業性を向上させることができることになる。勿論、帯状部材10の両端部10aを自然石4の最大径よりもやや大きくする一方、その帯状部材10の両端部(先端部)10aよりも下方側部分において、上記反発力を得るようにしてもよい。
尚、この帯状部材10の両端側を、その延び方向略中央部を中心として起立変形させる工程に関しては、工場において行い、それを施工現場に搬送してもよく、その場合には、上述のような工程が施工現場において行われることは省かれる。
【0022】
次に、図4、図7に示すように、前記基盤16における交差部11に自然石4を載置させる。自然石4を、交差部11において、該交差部11に取付けられた帯状部材10に連結するためである。
この交差部11に自然石4を載置させるに際しては、各交差部11のいくつか或いは全部に自然石4を載置してもよいし、一つの交差部11に自然石4を載置して後述の連結作業とを終える毎に行うようにしてもよい。
また、上記交差部11への自然石4の載置に際しては、自然石4が重く且つ大きいことから、自然石4にワイヤー等を掛けて、クレーン等の起重機によりその自然石4を持ち上げ搬送することが行われるが、自然石4の上部に吊り上げ用の金具を着脱可能に取付け、その金具にクレーン等のフックを引っ掛けることにより、その自然石4を持ち上げ搬送してもよい。自然石4にワイヤー等を掛けることが一般的に高度な技能を有することから、高度な技能を有しない作業者においても自然石4の搬送作業を行えるようにするためである。
【0023】
次に、図8に示すように、帯状部材10の板面を自然石4の下部表面にできるだけ沿わせるようにしつつ、帯状部材10の孔9をドリル工具17のドリル17aの案内孔として、自然石4に取付け穴13を形成する。取付けアンカー14による取付けを所望のものとすべく、取付け穴13を所定位置に的確且つ容易に形成するためである。この場合、作業に際して、帯状部材10の板面を自然石4の表面にできるだけ沿わせるようにするのは、帯状部材を10の各端部10aを自然石4に取付けアンカー14により連結したとき、帯状部材が10が自然石4表面にできるだけ沿った状態で保持されるようにして、当該石保持ユニット1の完成後において、帯状部材10が、使用時においてゴミ等を引っ掛けないようにするためである。
【0024】
次に、図9に示すように、取付けアンカー14を、帯状部材10における各端部の孔9に通した状態で取付け穴13にハンマー等26を利用して打ち込む。帯状部材10の各端部を自然石4に連結して、該自然石4を格子状の基盤16に保持するためである。
【0025】
そして、このような交差部11への自然石4の載置、自然石4における取付け穴13の形成、取付けアンカー14の取付けを、各交差部11において順次、行い、当該石保持ユニット1を得る。
【0026】
この後、図10に示すように、基盤16の周縁部(各帯材の端部)に連結具(シャックル等)2を取付け、その各連結具2に吊り上げ搬送具18のフック19をそれぞれ引っ掛け、その吊り上げ搬送具18を介して石保持ユニット1をクレーン等20により持ち上げ、その石保持ユニット1を施工面の所定個所に搬送する。
【0027】
したがって、このような組立方法によれば、自然石4が大きく重いものでも、作業者が立ちながら連結作業を行うことによって、その自然石4を基盤16に確実且つ容易に連結できることになり、作業性を向上させることができることになる。
【0028】
図11、図12は第2実施形態、図13は第3実施形態、図14〜図16は第4実施形態、図17〜図20は第5実施形態、第21〜図22は第6実施形態、図23は第7実施形態、図24、図25は第8実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図11、図12に示す第2実施形態は、所定大きさ以上の自然石4(大きな自然石4)を1個だけ保持できる石保持具3を用いて、その石保持具3にその所定大きさ以上の自然石4を1個だけ保持するようにした石保持ユニット1を示す。すなわち、この石保持具3は、前記第1実施形態に係る石保持具3における自然石4の1個分に相当するものであり、具体的には、石保持具3は、基盤16を備え、その基盤16は、2つの帯材5,6を十字状に重ねて配置することにより形成され、その帯材5,6の交差部11において該両帯材5,6に帯状部材10が挟持されている。この帯材5(6)と帯状部材10との一体化には、前記第1実施形態同様、ボルト7とナット8とが利用され、この石保持具3に対する自然石4の取付けも、同じく(前記第1実施形態同様)、帯状部材10の各端部10aが取付けアンカー14を用いて自然石4に連結されている。そして使用に際しては、帯材5,6における各端部の孔9にシャックル等の連結具2が取付けられ、そのような石保持ユニット1は、必要な数だけ、各石保持ユニット1の連結具2を介して連結され、施工面に敷設される。
尚、図12においては、石保持ユニット1同士の連結を見やすくするために、石保持ユニット1同士の間隔が広めに示されているが、実際には、その間隔は、もっと狭くされている。
【0030】
したがって、このような石保持ユニット1を用いれば、小河川で護床等のために必要な自然石4の数が少なくてもよいような場合にも、その数だけのものを用意することができ、施工において、的確に対応することができることになる。
【0031】
図13に示す第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、十字状に配置された帯材5,6(石保持具3)を取付けアンカー14により直接、自然石4に取付けるようになっており、具体的には、自然石4の上面略中央部に取付け穴13が形成されている一方、各帯材5,6には、その両端部に孔9が形成されているだけでなく、その各帯材5,6の延び方向中央部にも孔21が形成されていて、組立においては、自然石4の上部に、帯材5,6を十字状に配置し、各帯材の孔21、自然石4の取付け穴13に取付けアンカー14が打ち込まれることになっている。
この後、この1個の自然石4を保持した石保持ユニット1は、ひっくり返されて、使用状態の態様とされ、その石保持ユニット1は、その使用状態の態様をもって、前記実施形態同様、施工面の所定個所に搬送される。
【0032】
図14〜図16に示す第4実施形態においては、この実施形態に係る石保持ユニット1は、3個の自然石4を一体化すべく、3個の自然石4が寄せ集められて、その自然石4の隣り合うもの同士が、その側面において、連結プレート22を介して連結されている。また、この各自然石4の上部には、引っ掛け孔24を有する吊り上げ金具23がそれぞれ着脱可能に取付けられており、その各自然石4の吊り上げ金具23の引っ掛け孔24に吊り上げ手段のフック19を引っ掛けることにより、その石保持ユニット1は、クレーン等20を用いて施工面の所定個所に吊り上げ搬送される。石保持ユニット1が所定個所に搬送された後は、各自然石4の吊り上げ金具23から、吊り上げ手段のフック19が外されるだけでなく、吊り上げ金具23自体も外されて、その吊り上げ金具23に基づきケガをしないようにされる。
この場合、吊り上げ金具23を自然石4に着脱可能に取付ける手段としては、種々のものがあるが、本実施形態においては、自然石4に取付け穴13を形成し、その取付け穴13にインサートナット(図示略)を埋設固定し、そのインサートナットとボルト25とにより前記吊り上げ金具23を自然石4に着脱可能に取付けることが行われる。
【0033】
第17〜図20に示す第5実施形態は、施工面28に敷設された略正方形状の石保持ユニット1同士の連結を容易にした内容を示している。
すなわち、各石保持ユニット1は、その四隅の各角部(各隅部)における交差部11において、帯材5,6、帯状部材10と共に、帯状の連結板27を連結しており、この各連結板27は、本実施形態においては、第1連結板27aと第2連結板27bとにより構成されている。第1連結板27aは、その一端部が交差部11にボルト7とナット8とを利用して連結され、その第1連結板27aの他端側は、その交差部11から、略水平状態を維持しつつ、石保持ユニット1の対角線方向外方側へと延び、その第1連結板27aの他端部は、当該交差部11に配置される自然石4の荷重を直接受けることがない位置、すなわちその自然石4の径方向外方側位置に至ることになっている。第2連結板27bは、その一端部が第1連結板27aの他端部にボルト29等を利用して回動可能に連結されている。この第2連結板27bは、石保持ユニット1の外方側に向かうに従って上方に延びるように傾斜され、その後、その第2連結板27bの他端部(先端部)は、略水平方向に折り返され、その他端部には、第2連結板27bの延び方向に延びる長孔30が形成されている。
【0034】
これにより、このような石保持ユニット1を施工面28に多数敷設した場合には、各石保持ユニット1角部の自然石4が区画する空間31において、その各石保持ユニット1の第2連結板27bの他端部が、施工面28から一定高さをもって位置され(図17,図18参照)、その各第2連結板27bの他端部は、自然石4の荷重の影響を受けることなく、第1連結板27aに対する相対的な回動調整をもって簡単に互いに重なることになる。この各第2連結板27bの他端部の重なり合いにより、その各第2連結板27b他端部の長孔30が貫通孔32(図20参照)を形成することになり、その貫通孔32にシャックル等の連結具33が通されてその各他端部が一体的に連結されることになる。この各第2連結板27bの他端部を重ね合わせるに際しては、第1連結板27aが片持ち状態で石保持ユニット1の交差部11に連結されて、連結板27にある程度のばね性を確保できることから、そのばね力に抗して、各第2連結板27bを順次、撓ませることにより、その各他端部を簡単に重ね合わせることができ、その各第2連結板27bの他端部の重ね合わせ状態においては、各第2連結板27bの他端部の板面は、各連結板27のばね力に基づき密に当接することになる。
【0035】
したがって、施工面28に多数の石保持ユニット1を敷設した場合には、その各石保持ユニット1に使用される自然石4が所定大きさ以上の大きなものであることに基づき石保持ユニット1同士間の隙間が狭い状態で深くなり、作業者は石保持ユニット1同士の連結作業を行いにくくなるが、各連結板27の第2連結板27bが立ち上がって連結部分の高さを確保し、作業者の連結作業を容易にすることから、石保持ユニット1において、所定大きさ以上の大きな自然石4が用いられるとしても、各石保持ユニット1同士を連結することができることになる。
また、この連結作業に際しては、本実施形態では、連結板が第1,第2の連結板27a、27bで構成され、第2連結板27bが所定大きさ以上の重い自然石4の荷重を受けることがないことから、その第2連結板27bを第1連結板27aに対して容易に回動させて、連結すべき各第2連結板27bの他端部を簡単に重ね合わせることができることになる。
【0036】
さらに、各石保持ユニット1(基盤16)の各角部が、隣り合う別の石保持ユニット1の角部に連結されて、ほぼ、各石保持ユニットの四隅部が他の石保持ユニット1に連結できることから、石保持ユニット1同士の連結に対する強度(信頼性)を効果的に確保でき、各石保持ユニット1の帯材5(6)の各端部同士を連結する場合(図1参照)に比して、連結具2(33)の使用数を減らすことができると共に、その連結具を使用する作業負担を軽減できることになる。
【0037】
図21、図22に示す第6実施形態は、前記第1実施形態に係る石保持ユニット1(以下、この実施形態においてこの石保持ユニットについて符号1aを使用する)と前記第2実施形態に係る石保持ユニット1(以下、この実施形態においてこの石保持ユニットについて符号1bを使用する)とを組み合わせて、自然石4を多段に積んだ石保持ユニット1を示している。
すなわち、この実施形態にあっては、石保持ユニット1aにおける4つの自然石4毎に、その中央部において石保持ユニット1bを配置し、その石保持ユニット1bにおける帯材5(6)の端部を、アンカー34等を用いて固定するものとなっている。
【0038】
この製造に際しては、先ず、石保持ユニット1aを用意し、その石保持ユニット1aにおける4つの自然石4の中央部に石保持具3をそれぞれ配置する(本実施形態では2つ)。次に、その石保持具2における各帯材5(6)の端部の孔9をドリルの案内孔として利用して、石保持ユニット1aにおける4つの各自然石4に取付け穴(図示略)を形成する。次に、各自然石4の取付け穴に帯材5(6)における各端部の孔9を介してアンカー34を打ち込み、各自然石4と石保持具3(帯材5,6)の各端部とを連結する。この後、その各石保持具3の交差部11に、クレーン等を用いて自然石4を配置し、その自然石4を、帯状部材10、取付けアンカー14等を用いて、前記各実施形態と同様の手法により、石保持具3に連結する。これにより、自然石4を多段に積んだ石保持ユニット1を簡単に組み立てることができることになる。
【0039】
図23に示す第7実施形態には、各帯状部材10として、姿勢状態非保持性部材を用いて形成したものが示されている。この姿勢状態非保持性部材は、素材として、自己の性質に基づいて姿勢状態を保持できないか又は姿勢状態保持力が極めて弱い性質を有しているが、基本的に引っ張り強度が強く、想定する大きな引っ張り荷重が作用しても、切れたり、伸びて細くならないように設定されている。本実施形態においては、この姿勢状態非保持性部材としては、ポリエステル繊維等の合成繊維等を織って形成した布材が用いられており、この布材からなる帯状部材10は、幅、厚みに関し、幅30mm〜100mm、厚み2〜10mm程度とされている。そして、帯状部材10に一層、高い強度が要求されるときには、必要に応じて、上記布材を複数枚重ねて一体化(接着、縫製等により一体化)したものを、帯状部材10として使用したり、布材の織り方として、引っ張り荷重が作用したとき等に布材が伸びて細くならないような方法が適宜、取り入れられることになっている。また、この帯状部材10に用いられる布材としては、それを構成する繊維自体が高い耐摩耗性を有していることが好ましいが、布材自体或いはその布材を構成する繊維に耐摩耗性被覆層を形成することにより帯状部材10の耐摩耗性を高めることも行われる。
【0040】
このような帯状部材10も、図23に示すように、前記各実施形態同様、その延び方向略中央部が帯材5、6の交差部11に連結され、その帯状部材10の両端部が、その各端部に形成される孔12、自然石4の取付け孔13、取付けアンカー14を利用することにより、自然石4に連結される(図23においては、仮想線で1つの自然石を連結する場合のみを図示し、他の個所での自然石4の連結に関しては省略)。この場合、布材からなる帯状部材10が、その姿勢状態非保持性に基づき、その延び方向略中央部よりも延び方向外側部分がわずかな作業者の力で自由に姿勢を変更できることになり(取り扱い性の向上)、帯状部材10を自然石4の表面に沿わせつつ連結する作業を簡単に行うことができることになる。
しかも、帯状部材10が、その姿勢状態非保持性に基づき、自然石4の表面に馴染むように沿うことになることから、帯状部材10がゴミ等を引っ掛けることを、より確実に防止できると共に、自然石4に対する帯状部材10の保持力を高めることができることになる。この場合、特に自然石に対する帯状部材10の保持力を高める観点から、帯状部材10の幅をなるべく拡げることが好ましい。自然石4に対する帯状部材4の接触面積が増大し、その接触面積が増大した帯状部材10が、自然石4の移動を規制しようとして働くからである。
尚、この第7実施形態においては、図23に示すように、帯材5,6により基盤16を格子状に形成したものに適用して説明したが、その他の基盤、例えば、図11に示すように、帯材5,6により基盤16を十字状に形成したもの等に適用してもよいことは勿論のことである。
【0041】
上記第7実施形態の変形例として、自然石4に対する連結部を、帯状部材10の両端部に限らず、その帯状部材10の両端部を含む帯状部材10(板面)略全体としてもよい。帯状部材10の姿勢状態非保持性に基づき、自然石4表面に対する帯状部材10の接触面の面積が格段に増大することになり、その接触面に接着剤を塗布することとすれば、自然石4に対する帯状部材10の保持力を十分に確保できることになるからである。
【0042】
図24、図25に示す第8実施形態は、第1実施形態の変形例を示すものであり、この第8実施形態においては、自然石4の基盤16外への転動防止と、格子状の基盤16の変形抑制とを高めた内容が示されている。
すなわち、基盤16の周囲に位置する各交差部11よりも基盤16内方側において、帯状部材10が、その各交差部11近傍位置における帯材5と6とに留め具(ボルト、ナット等)101により連結されており、各交差部11付近において、帯材5と帯材6と帯状部材10とにより平面視三角形からなる連結構造102が形成されている(図24参照)。一方、自然石4は、基盤16への載置の際、その下面中央部が交差部11の上に位置し、自然石4の重心が交差部11上方に位置することになり、この自然石4が帯状部材10の両端部10aにより連結されたときには(図25においては、取付けアンカー14は図示略)、その自然石4と帯状部材10との連結部は、交差部11(ボルト7)から基盤16内方側に偏位して位置することになる(図24、図25参照)。このため、このような構造においては、自然石4に外力が作用して自然石4を基盤16の外側に転動させようとしても、その動きを効果的に抑制できることになっている。
【0043】
また、帯材5と帯材6と帯状部材10とにより形成される平面視三角形の各連結構造102は、帯材5と6との直角配置関係を補強することになり、格子状の基盤16の変形を抑制することになる。特にこの場合、基盤16における四隅部の直角構造が補強されれば、変形抑制に効果的であることから、少なくとも基盤16の四隅部に位置する帯状部材10に対して上記配置構造を適用することが好ましい。また、本実施形態においては、自然石4を基盤16の外側に転動しようとすることを抑制することだけを目的とせず、連結構造102をもって帯材5,6の直角配置関係をも補強することとしていることから、帯状部材10としては、起立変形可能としつつも、ある程度期待できる強度(剛性)を有する金属製部材が好ましい。
尚、本実施形態においては、帯状部材10を、その各交差部11近傍位置における帯材5、6の各上面に留め具101により連結することになっているが、帯状部材10を、その各交差部11近傍位置における帯材5、6の各下面、或いは帯材5の上面(又は下面)と帯材6の下面(上面)とに連結する等、適宜の態様で連結することができる。
【0044】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)石として、自然石4に代えて擬石を用いること。
(2)帯状部材10の各端部を石に取付けるに際しては、取付けアンカー14に代えて、他の手段として、接着剤や、ボルト、ナット(一方を石に埋め込む)等を用いること。
(3)第4実施形態に係る吊り上げ金具23を、第1実施形態等において、自然石4に着脱可能に取付けて、それを利用することにより、自然石4を基盤16の交差部11に搬送するために使用すること。
(4)石保持ユニット1を平面的に見た場合に、基盤を、石4に覆われるようにして、基盤を見えにくくしたり、隣り合う石保持ユニット1との連結の作業性をも考慮して、基盤16を、石4から若干、突出して見えるようにすること。
(5)第4実施形態において、連結プレート22に代えて、各自然石4に取付け具を設け、その各取付け具間をチェーンや複数のシャックルにより連結すること。
(6)第5実施形態において、連結板として、第1、第2連結板を一体化したものを用いること。
(7)第1実施形態において、石保持ユニット1同士を連結するための連結具を、全ての帯材5(6)の端部に使用することなく、間引いて用いること。
(8)基盤16として、格子状のものに限らず、平板状のもの等、種々のものを用いること。
(9)魚類に対してストレスを与えないように帯状部材10及び基盤16の表面に茶色や黒色等の色彩を施すこと。
(10)自然石4が長くて大きいため、その自然石4が基盤16の複数の交差部11を跨ぐように配置される場合、その1個の自然石4に対して、複数の交差部11における帯状部材10の端部10aをそれぞれ連結すること。
(11)帯状部材10の各端部10aに孔12を、その帯状部材10の延び方向に所定間隔をあけるようにして複数(例えば2つ)設け、各端部10aを、その各端部10aにおける複数の孔12、その各孔12からそれぞれ打ち込む取付けアンカー14等により、自然石4に連結すること。これにより、自然石4に対する連結部である帯状部材10の両端部を中心として、自然石4が回転しようとすることを、帯状部材10の各端部10aに孔12を1つ設ける場合に比して、確実に防止できることになる。
(12)帯状部材10を連結すべき自然石4が想定していたものよりも大きい場合に、帯状部材10の各端部10aにつなぎプレート(金属製、布製等)を連結して、帯状部材10の長さを延長し、その帯状部材10の構成要素となるつなぎプレートを自然石4に連結すること。
(13)帯状部材10を、その延び方向内方側部分において金属製とする一方、その延び方向両側部分を布製とすること。これにより、帯状部材10における金属製部分が起立塑性変形可能であることを、自然石4の下部表面に略沿わせることに利用でき、帯状部材10の布製部分が取り扱い容易であることを、自然石4に対する連結作業に利用できることになる。
(14)第5実施形態(図17〜図20)における石保持ユニット1同士の連結構造(連結板27)を、各石保持ユニット1の角部以外、例えば、石保持ユニット1における各辺部の延び方向略中央部に連結構造(連結板27)を設けること。
(15)石保持ユニット1同士を連結するに際して、石保持ユニット1における基盤16を構成する帯材5(6)の一部のものを延長し、それを隣り合う石保持ユニット1の帯材5(6)と重ね、その重なった帯材5(6)の互いの孔9に対してシャックル等の連結具を通すこと(連結すること)。例えば、石保持ユニット1における各辺部の延び方向略中央部に位置する帯材5(6)を延長して上記連結を行うこと。
(16)第7実施形態において、塑性変形可能な金属線材を、布材からなる帯状部材10に組み込み、布材からなる帯状部材10を起立塑性変形可能とすること。
(17)石保持具3に保持された各自然石4間に介在物を介在させて、各自然石4の基盤16内側への姿勢変更を規制し、これにより、基盤16が内側に変形すること(吊り上げ時に撓むこと)を抑制する一方、その状態(各自然石4が介在物を介して一体化した状態)を維持すべく、石保持ユニット1の周囲を構成する複数の自然石4の周囲に対して樹脂シート(エチレン樹脂、EVA樹脂等)を巻くこと。これにより、石保持ユニット1を吊り上げ搬送するとしても、基盤16が大きく撓むことが抑制されることになり、石保持ユニット1の吊り上げ搬送性を向上させることができることになる。この場合、複数の自然石4の周囲を巻く樹脂シートの巻き数は、樹脂シートの強度、性質等を考慮して、適宜決められるが、2〜3重巻きが好ましい。
【0045】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態に係る石保持ユニットを用いた土木構築物(護床)を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る石保持具を示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係る石保持具の搬送時(組立前)の態様を示す斜視図。
【図4】石保持具に対する自然石の取付けを説明する説明図。
【図5】石保持具に自然石が取付けられた状態を示す図。
【図6】自然石に対する帯状部材の端部の取付けを説明する説明図。
【図7】基盤交差部への自然石の搬送を示す工程を示す図。
【図8】自然石に対する取付け穴の形成工程を示す図。
【図9】自然石に対する帯状部材端部の取付け工程を示す図。
【図10】石保持ユニットの搬送工程を示す図。
【図11】第2実施形態に係る石保持ユニットの組立を説明する説明図。
【図12】第2実施形態に係る石保持ユニットの使用状態を示す図。
【図13】第3実施形態に係る石保持ユニットの組立を説明する説明図。
【図14】第4実施形態に係る石保持ユニットを示す平面図。
【図15】図14の側面図。
【図16】第4実施形態に係る石保持ユニットの搬送状態を説明する説明図。
【図17】第5実施形態に係る石保持ユニットを施工面に敷設した状態を示す平面図。
【図18】第5実施形態に係る石保持ユニット同士の連結を説明する説明図。
【図19】第5実施形態に係る石保持ユニット同士の連結に用いられる連結板を示す斜視図。
【図20】第5実施形態に係る石保持ユニットにおける連結板他端部の連結を説明する平面図。
【図21】第6実施形態に係る石保持ユニットを示す平面図。
【図22】第6実施形態に係る石保持ユニットを示す正面図。
【図23】第7実施形態に係る石保持具を示す斜視図。
【図24】第8実施形態に係る石保持具を示す部分拡大平面図。
【図25】第8実施形態に係る石保持具が自然石を取付けている状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1 石保持ユニット
4 自然石(石)
5 帯材
6 帯材
15 護床(土木構築物)
16 基盤
27 連結板
27a 第1連結板
27a 第2連結板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定大きさ以上の石を基盤上に保持する石保持ユニットであって、
前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、
前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、
前記連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている、
ことを特徴とする石保持ユニット。
【請求項2】
請求項2において、
前記連結板が、前記基盤に沿いつつ、該基盤の内側から該基盤の略対角線方向外方に延ばされて該基盤角部における石の下部から現れるように延ばされる第1連結板と、該第1連結板に前記石の下部から現れる部分において回動可能に連結され前記基盤の外方に向かうに従って上方に延びる第2連結板と、を備え、
前記第2連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている、
ことを特徴とする石保持ユニット。
【請求項3】
施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、
前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、
前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項1】
所定大きさ以上の石を基盤上に保持する石保持ユニットであって、
前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、
前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされ、
前記連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている、
ことを特徴とする石保持ユニット。
【請求項2】
請求項2において、
前記連結板が、前記基盤に沿いつつ、該基盤の内側から該基盤の略対角線方向外方に延ばされて該基盤角部における石の下部から現れるように延ばされる第1連結板と、該第1連結板に前記石の下部から現れる部分において回動可能に連結され前記基盤の外方に向かうに従って上方に延びる第2連結板と、を備え、
前記第2連結板の先端部が、他の石保持ユニットにおける連結板の先端部に対する連結部とされている、
ことを特徴とする石保持ユニット。
【請求項3】
施工面に多数の石保持ユニットが敷設され、
前記各石保持ユニットは、所定大きさ以上の石が基盤上に保持されるものであって、前記基盤の角部に、帯状の連結板が取付けられ、前記連結板が、前記基盤の外方に向かうに従って上方に向かうように延ばされるものとされ、
前記各石保持ユニットは、該各石保持ユニットの角部において、他の石保持ユニットに対して、前記連結板の先端部同士をもって連結されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−19497(P2009−19497A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236618(P2008−236618)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2004−117114(P2004−117114)の分割
【原出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【出願人】(301015864)株式会社環境工学研究所 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2004−117114(P2004−117114)の分割
【原出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【出願人】(301015864)株式会社環境工学研究所 (18)
【Fターム(参考)】
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