石油ストーブ芯

【課題】 消火動作時の消火時間を短縮することができる石油ストーブ芯を提供する。
【解決手段】
内側繊維17と外側繊維18とからなる繊維部12の内部に組み込まれるガラス繊維の中芯13を上下共に折り曲げ、折り曲げた一方を中芯の先端部13aとなるように設け、折り曲げた他方を中芯の後端部13bとなるように設けたので、中芯13の先端部13aが燃焼時の炎により変形して内側繊維17及び外側繊維18への押しつけが不十分になっても、中芯13の後端部13bが内側繊維17を芯案内内筒2に強く押しつけ、外側繊維18を芯案内外筒3に強く押しつけるので、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒4下方から空気が供給されず、消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維で構成された石油ストーブ芯の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、芯昇降式の石油ストーブは、芯案内筒を構成する芯案内内筒と芯案内外筒との間で芯を昇降し、両案内筒上端よりガラス繊維などで構成された芯を突出させ、この芯に点火することにより、芯から灯油を気化させ、燃焼筒内で完全燃焼させるものである。
【0003】
石油ストーブ芯は、普通、ガラス繊維など耐熱性のある繊維でできた上部耐熱部と、灯油を吸上げる目的で綿布や不織布でできた吸上げ部とが縫製などで接合されて作られる。
また、芯の寸法安定性や形状保持のため、耐熱部にはガラスなどで出来た中芯が埋め込まれ、芯の耐熱部と吸上げ部との繋ぎ目の外周には樹脂補強した繊維織物できたテープが張られている。
【0004】
一般に、芯案内内筒上部には、消火時の消火促進(未燃ガスの瞬時燃焼)を図るため、空気が出入りできるようにスリット状の隙間が設けられている。
この内筒スリットは1mm以下のスリットで、燃焼時は芯上端がこのスリットより上方まで出ており、吸上げた灯油の一部がこのスリットに到達し、毛細管現象などで、灯油が内筒スリットに入り込み易く、内筒スリットの一部または全部に灯油が充満することがある。
内筒スリットに灯油が部分的にでも充満すると、空気の通りが悪くなり、不完全燃焼となり、異臭が発生したり、消火時には消火時間が掛かったりする。
【0005】
そこで、石油ストーブ芯にアルミニウムなど金属箔を編み込む構成が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
石油ストーブ芯に金属箔を編み込むことにより、芯案内筒上部の水平方向に設けられた内筒スリットに到達する灯油量は、金属箔が壁となって流れを抑えることと、芯案内筒周辺の温度が上がり灯油が蒸発して減少するので、灯油が内筒スリットに留まることがなくなり、異臭が発生する現象を防止することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される技術においては、消火するために石油ストーブ芯を降下させても、石油ストーブ芯に編み込まれた金属箔の温度は高い状態であるため消火時間が長くかかるという問題が生じていた。
【0007】
そこで、本出願人は先に下記の特許文献2にて、筒状をした芯案内内筒と芯案内外筒の間で、昇降可能であって繊維で構成され上部略全周に金属箔が組み込まれた石油ストーブ芯において、前記金属箔に芯案内内筒側あるいは芯案内外筒側に突起する突起部を設け、その金属箔の突起部をバーリング孔で構成した石油ストーブ芯を提供した。
【0008】
しかしながら、特許文献2に示される技術においては、アルミニウム箔等の金属箔にバーリング孔を所定の間隔で複数形成しているが、バーリング孔の部分では、バーリング孔の芯案内内筒側への突起部が、石油ストーブ芯の繊維部を芯案内内筒側へ膨らませ、繊維部と芯案内外筒の隙間をなくすことができるが、バーリング孔ととなりのバーリング孔との中間部分は、バーリング孔の芯案内内筒側への突起部が、石油ストーブ芯の繊維部を芯案内内筒側へ膨らませることがなく、繊維部と芯案内外筒の隙間をなくすことができない状態となる。
【0009】
そこで石油ストーブ芯の全周に於いて、均一に繊維部と芯案内外筒の隙間をなくすためにバーリング孔とそのとなりのバーリング孔との間隔を狭めて、バーリング孔をより多く形成しようとすると、バーリング孔を形成する加工時やバーリング孔形成後の金属箔の取り扱いの際、金属箔が引き裂かれることとなるため、バーリング孔とバーリング孔との間隔を所定の間隔より狭くすることができず、石油ストーブ芯の全周に於いて、均一に繊維部と芯案内外筒の隙間をなくすことが難しかった。
【0010】
そのため、消火動作時に芯が消火時の位置まで下降した時、芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に引き込まれる未燃焼ガスのうち、内筒スリット付近の未燃焼ガスは内筒スリットを通して供給される空気により消火促進されて早期燃焼するものの、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスは、繊維部と芯案内外筒の隙間からの空気の供給を完全に抑えることができずに供給されてしまうため、燃焼状態が起こり、それが燃焼し終わるまで完全に消火できなかった。
【0011】
そこで、本出願人は更に下記の特許文献3にて、繊維部の内部に組み込まれるガラス繊維からなる中芯を、ガラス繊維を折り曲げたその折り曲げ部分が中芯の先端部となるように設けると共に、その先端部が繊維部の先端よりも低い位置となるように繊維部の内部に組み込まれた石油ストーブ芯を提供した。
【0012】
それにより中芯の先端部によって繊維部の内側繊維と外側繊維とが外側に向かって広がるようになり、芯の全周で内側繊維が芯案内内筒に押しつけられ、外側繊維が芯案内外筒に押しつけられるので、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒下方から空気が供給されずに燃焼しないので、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−140455号公報
【特許文献2】特開2007−101091号公報
【特許文献3】特開2011−220565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところでこの従来のものでは、石油ストーブ芯の先端部分は燃焼により潰れてしまったり、又石油ストーブの組み立ての際の取り扱いで潰れてしまったりすることがあり、それにより中芯の折り曲げ部分が変形して、芯の全周での内側繊維の芯案内内筒への押しつけや、外側繊維の芯案内外筒への押しつけが不十分になり、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒下方から空気が供給されて燃焼してしまい、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、内側繊維と外側繊維とからなる繊維部と、該繊維部の内部に組み込まれる中芯とからなる耐熱部を有する石油ストーブ芯に於いて、前記中芯はガラス繊維を上下共に折り曲げ、折り曲げた一方を中芯の先端部となるように設けると共に、折り曲げた他方を中芯の後端部となるように設けたものである。
【0016】
また、請求項2では、前記中芯の先端部の折り曲げを後端部の折り曲げよりも大きく形成したものである。
【0017】
また、請求項3では、前記中芯の先端部及び後端部は、編糸と編糸との間に位置するように繊維部の内部に組み込まれたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明の請求項1によれば、内側繊維と外側繊維とからなる繊維部と、該繊維部の内部に組み込まれる中芯とからなる耐熱部を有する石油ストーブ芯に於いて、前記中芯はガラス繊維を上下共に折り曲げ、折り曲げた一方を中芯の先端部となるように設けると共に、折り曲げた他方を中芯の後端部となるように設けたので、中芯の先端部が燃焼時の炎により変形して、内側繊維の芯案内内筒への押しつけ及び外側繊維の芯案内外筒への押しつけが不十分になって隙間が発生しても、中芯の後端部が内側繊維を芯案内内筒に強く押しつけると共に、外側繊維を芯案内外筒に強く押しつけるので、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒下方から空気が供給されずに燃焼しないので、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0019】
また、請求項2によれば、中芯の先端部の折り曲げを後端部の折り曲げよりも大きく形成したので、先端部が燃焼の炎にさらされて変形しても、内側繊維を芯案内内筒に充分押しつけると共に、外側繊維を芯案内外筒に充分押しつけることができ、燃焼により先端部が変形しても芯案内筒下方からの空気の供給を完全に遮断し、消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0020】
また、請求項3によれば、前記中芯の先端部及び後端部は、編糸と編糸との間に位置するように繊維部の内部に組み込まれたので、編糸により先端部及び後端部の膨らみが潰れることがなく、中芯の先端部及び後端部で内側繊維を芯案内内筒に強く押しつけると共に、外側繊維を芯案内外筒に強く押しつけるので、内筒スリット付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒下方から空気が供給されずに燃焼しないので、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態の石油ストーブの要部の半裁断面図。
【図2】(a)(b)は同石油ストーブ芯の平面図、及び部分破断側面図。
【図3】(a)は同上の芯の部分平面図、(b)は側面図。
【図4】同上の芯の編み方式の場合の部分断面図。
【図5】同上の消火動作により芯が下降した状態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の石油ストーブ芯の一実施形態を図面に基づき説明する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図5は、本発明が実施される石油ストーブの各部構成を示す。
図1は、石油ストーブ芯5(以下、芯という)が上昇した状態を示す。
灯芯式石油ストーブの燃焼部1は、芯案内内筒2と芯案内外筒3とから成る芯案内筒4と、これら芯案内内筒2と芯案内外筒3との間に案内されて昇降可能で灯油を吸い上げる筒状の芯5と、芯案内筒4の上部に配置された燃焼筒受部6及び6’に載置され、耐熱ガラス筒7a、外炎筒7b、内炎筒7dを有する燃焼筒7等とを備え、前記外炎筒7bと内炎筒7dとの間は燃焼室7cとなっている。
又、前記芯案内内筒2の上方であって、芯内筒天板8の外周部フランジ9と水平面周状に隔てて設置された燃焼筒受部6’の外周部フランジ10との間に内筒スリット11が設けられている。
【0023】
前記内筒スリット11が有ることにより、消火時に芯5が下降したとき芯5の上端が内筒スリット11よりも下方に下がり、この内筒スリット11を通して内周から芯案内筒4内に空気が供給され、消火促進(未燃ガスの早期燃焼)を図ることができる。
芯5は、後述の耐熱部5Aに相当する部材として、ガラス繊維等から成る繊維部12と、ガラス繊維の織物テープ等で成る中芯13とを備える。
14は燃焼筒受部6’の外周部フランジ10と芯内筒天板8の外周部フランジ9とを固定するネジ、15は後述する芯5の切り欠き下端を示す。
【0024】
図2及び図3は、本発明が実施される芯5の構成を示す。
図2及び図3(a)(b)に示すように、芯5は、ガラス繊維等から成る耐熱部5Aと、不織布等から成る吸い上げ部5Bとから構成され、両者の接合部5Cは千鳥状に縫い合わせており、その接合部5Cの上下領域を樹脂加工テープ16でカバーしている。
【0025】
耐熱部5Aにおいて、中芯13の先端(図3に中芯13の先端部を13aで示す)は、芯先端5D(繊維部12の先端)よりも少し低い位置までとし、又繊維部12は、内側繊維17と外側繊維18の2層から成り、糸19で編む(又は縫う)ことにより、中芯13を内部に組み込み一体化している。
【0026】
前記中芯13はガラス繊維の織物テープ等を上方及び下方を折り曲げ、その上方の折り曲げ部分が中芯13の先端部13aとなり、又下方の折り曲げ部分が中芯13の後端部13bとなっており、前記先端部13a及び後端部13bは膨らんだ形状となって繊維部12の内側繊維17と外側繊維18とを内部から外側に向かって押し出すように繊維部12内に組み込まれているものである。
又本実施例では、中芯13の先端部13aは燃焼時の炎により変形する可能性があるので、後端部13bよりも膨らみを大きく形成しているものである。
又本実施例では、中芯13は、芯5の厚さの中心よりも内側に偏らせているものである。
【0027】
図4は、本発明が実施される芯が編み方式により構成されている場合の断面を示したもので、同図において、内側繊維17と外側繊維18とは、いずれも複数の繊維を束ねた繊維束(径糸群)で成り、1列1本の編糸19により外側がニードル側となって編むことにより形成されている。
前記編糸19は矢印方向に進み、19’部分では、糸がループを形成していて2本通っており、編糸19は、繊維束を束ねながらループ状に進み、編物を作るものである。
【0028】
図5は消火動作により芯5が下降した状態を示す要部断面図で、消火動作時に芯5が消火時の位置まで下降した時、芯案内内筒2と芯案内外筒3との間の空間に引き込まれる未燃焼ガスのうち、内筒スリット11付近の未燃焼ガスは内筒スリット11を通して供給される空気により消火促進され、内筒スリット11付近よりも下側の空間の未燃焼ガスは、中芯13の先端部13aにより繊維部12の内側繊維17と外側繊維18とが外側に向かって広がるようになり、芯5の全周で内側繊維17が芯案内内筒2に押しつけられ、外側繊維18が芯案内外筒3に押しつけられることにより、内筒スリット11付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒4下方から空気が供給されずに燃焼しないので、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0029】
また、中芯13の先端部13aが燃焼時の炎により変形して、内側繊維17の芯案内内筒2への押しつけ及び外側繊維18の芯案内外筒3への押しつけが不十分になって隙間が発生しても、中芯13の後端部13bが内側繊維17を芯案内内筒2に強く押しつけると共に、外側繊維18を芯案内外筒3に強く押しつけるので、内筒スリット11付近よりも下側の空間の未燃焼ガスに芯案内筒4下方から空気が供給されずに燃焼しないので、結果として消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0030】
また、中芯13の先端部13aが繊維部12の先端よりも低い位置となるように繊維部12の内部に組み込まれていることで、中芯13の先端部13aの膨らんだ部分が繊維部12の先端よりも低い位置となり、それにより繊維部12の内側繊維17と外側繊維18とを内部から外側に向かってより押し出すこととなり、内側繊維17を芯案内内筒2により強く押しつけると共に、外側繊維18を芯案内外筒3により強く押しつけ、芯案内筒4下方からの空気の供給を完全に遮断し、消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0031】
また、中芯13の先端部13aの膨らみを後端部13bの膨らみより大きく設けたことにより、先端部13aが燃焼の炎にさらされて変形しても、内側繊維17を芯案内内筒2に充分押しつけると共に、外側繊維18を芯案内外筒3に充分押しつけることができ、燃焼により先端部13aが変形しても芯案内筒4下方からの空気の供給を完全に遮断し、消火動作時の消火時間を短縮させることができるものである。
【0032】
尚、本実施例では中芯13を上下共に折り曲げて先端部13aと後端部13bを形成しているがこれに限定されず、例えば中芯13をつなぎ目のないパイプ状にして先端部13aと後端部13bを形成してもよいものである。
【符号の説明】
【0033】
5 石油ストーブ芯
12 繊維部
13 中芯
13a 先端部
13b 後端部
17 内側繊維
18 外側繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側繊維と外側繊維とからなる繊維部と、該繊維部の内部に組み込まれる中芯とからなる耐熱部を有する石油ストーブ芯に於いて、前記中芯はガラス繊維を上下共に折り曲げ、折り曲げた一方を中芯の先端部となるように設けると共に、折り曲げた他方を中芯の後端部となるように設けたことを特徴とする石油ストーブ芯。
【請求項2】
前記中芯の先端部の折り曲げを後端部の折り曲げよりも大きく形成したことを特徴とする請求項1記載の石油ストーブ芯。
【請求項3】
前記中芯の先端部及び後端部は、編糸と編糸との間に位置するように繊維部の内部に組み込まれたことを特徴とする請求項2記載の石油ストーブ芯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−108705(P2013−108705A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255685(P2011−255685)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)