説明

研摩材

【課題】炭化ケイ素などの硬度の高い難削材に対しても極めて高い研摩速度を実現できる研摩材を提供する。
【解決手段】本発明は、二酸化マンガンを砥粒とする研摩材において、二酸化マンガンは、λ型結晶構造を有するλ型二酸化マンガンとγ型結晶構造を有するγ型二酸化マンガンとを含み、λ型二酸化マンガンとγ型二酸化マンガンとのそれぞれのX線回折によるメインピークの強度比(γ/λ)が0.1〜20の範囲内であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化マンガンを砥粒とする研摩材に関し、特に炭化ケイ素等の硬度の高い材料から形成された研摩対象を容易に研摩することができる研摩材または研摩スラリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二酸化マンガンを用いて半導体基板や光学材料を研摩することが知られている。例えば、特許文献1ではγ型の電解二酸化マンガンが望ましいことが提案されている。また特許文献2ではM−xMn4(0<X≦1)のスピネル型の二酸化マンガン(この二酸化マンガンを一般にはλ型結晶構造の二酸化マンガンと称する)を有する研摩材が望ましいことが提案されている。そして、この特許文献2では、λ型結晶構造のみからなる二酸化マンガンが得られたことをX線回折パターンで示しており、このような研摩材がCuを構成材料とする研摩対象に有効であることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−60415号公報
【特許文献2】特開2002−270548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、パワーエレクトロニクス半導体や白色LEDの基板材料などに、炭化ケイ素(SiC)を用いることが注目されている。この炭化ケイ素は、硬度が非常に高く、効率的に研摩することが難しいものである。例えば、優れた研摩特性を有する二酸化ケイ素(SiO)を砥粒とする研摩材により、炭化ケイ素を研摩する試みが行われるが、研摩速度があまり大きくなく、面精度についても十分に満足できるものでない。そのため、炭化ケイ素のような高硬度の材料を、素早く研摩でき、高い面精度を実現できる研摩技術が強く求められている。
【0005】
また、従来から知られている二酸化マンガンを砥粒とする研摩材(或いは研摩スラリー)では、二酸化ケイ素と酸化剤からなる研摩材に比べて研摩速度が高いことは知られているが、特に炭化ケイ素のような硬度の極めて高い材料を研摩するにはその研摩速度がやや低く、研摩処理に数十から数時間を要するという指摘がされてきた。
【0006】
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、炭化ケイ素のような高硬度の材料からなる研摩対象を、高速で研摩処理し、高い面精度を実現できる、二酸化マンガンを砥粒とする研摩材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、二酸化マンガンの結晶構造の違いによる研摩特性を鋭意検討することにより、λ型結晶構造を有するλ型二酸化マンガンとγ型結晶構造を有するγ型二酸化マンガンとが所定の範囲で混在した二酸化マンガンを用いて研摩すると、高硬度の材料に対しても高い研摩速度を発揮することを見出し、本発明を想到するに至った。
【0008】
本発明は、二酸化マンガンを砥粒とする研摩材において、二酸化マンガンは、λ型結晶構造を有するλ型二酸化マンガンとγ型結晶構造を有するγ型二酸化マンガンとを含み、λ型二酸化マンガンとγ型二酸化マンガンとのそれぞれのX線回折によるメインピークの強度比(γ/λ)が0.1〜20の範囲内であることを特徴とする。
【0009】
本発明における2つの結晶構造を有する二酸化マンガンの混在状態は、研摩材をX線回折測定することで容易に確認することができる。γ型結晶構造を有するγ型二酸化マンガンは、Cu−Kα線を照射したX線回折の場合、22°に強い回折ピーク(101)が検出される。またλ型結晶構造を有するλ型二酸化マンガンは、同X線回折条件で、19°に強い回折ピーク(111)が検出される。そして、この2つのメインピークの強度比により、γ型二酸化マンガンとλ型二酸化マンガンの混在の度合いを確認することができる。本発明に係る研摩材は、このメインピークの強度比、即ち、γ型二酸化マンガンのメインピーク強度/λ型二酸化マンガンのメインピーク強度(以下、γ/λと略す)が、0.1〜20の範囲内にある。このような研摩材であると、炭化ケイ素のような高硬度の研摩対象であっても、高い研摩速度を実現することができる。
【0010】
本発明に係る研摩材が、炭化ケイ素のような高硬度の研摩対象に対しても高い研摩速度を実現できる理由は次のような理由と推測している。本発明の研摩材は、γ型とλ型との2つの結晶構造を有する二酸化マンガンが混在するものであるが、一般的にλ型結晶構造の二酸化マンガンよりもγ型結晶構造の二酸化マンガンの方が安定であり、λ型二酸化マンガンは不安定な状態となっている。研摩現象は、加圧と定盤の回転というエネルギー負荷状態を生じて行うものであり、不安定なλ型二酸化マンガンは研摩現象により反応性を増し、炭化ケイ素などの研摩対象を酸化する作用とそれを除去する作用を促進すると予想される。そして、本発明の研摩材のように、所定範囲の比率でλ型とγ型の二酸化マンガンが混在していることにより、砥粒全体の結晶構造状態は不安定であるため、研摩時の反応性が高くなり、研摩速度が向上するものと考えられる。
【0011】
本発明に係る研摩材は、X線回折から測定されたシェラー法による結晶子径が100Å以上であることが好ましい。結晶子径が100Å未満であると、結晶性が悪いために砥粒硬度が得られず十分な研摩速度が得られない場合がある。結晶子径の上限値は特に制限されないが、1000Åが測定上限である。また、本発明に係る研摩材は、砥粒の平均粒径がD50で0.1〜1μmであることが好ましい。そして、本発明に係る研摩材は、BET比表面積が10〜100m/gであることが好ましい。
【0012】
本発明に係る研摩材は、マンガン酸リチウム(LiMn)或いはマンガン酸亜鉛(ZnMn)を酸処理することにより製造することができる。具体的には、マンガン酸リチウム(LiMn)或いはマンガン酸亜鉛(ZnMn)を高濃度の酸を用いて処理することにより、リチウム(Li)或いは亜鉛(Zn)を溶出させて、本発明に係る研摩材を構成する二酸化マンガンの砥粒を製造することができる。この酸処理の条件としては、温度60℃以上、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上に加温した酸溶液を用いることが重要であり、これによってリチウム(Li)或いは亜鉛(Zn)の溶出が十分に進行し、λ型二酸化マンガンを得ることができる。室温で酸処理を実施した場合は、リチウム(Li)或いは亜鉛(Zn)の溶出が十分に起こらず、所望のλ型二酸化マンガンは得られない。また、酸の種類は特に制限はないが、硝酸が好ましい。酸処理は、例えば次のような条件で行うことが好ましい。酸濃度0.01〜10Nの酸溶液中にマンガン酸リチウム(LiMn)或いはマンガン酸亜鉛(ZnMn)を1〜30wt%となるように添加し、60〜100℃の温度で、10分から10時間処理を行う。酸処理後、酸上澄みを除去し、純水を用いたデンカンテーション洗浄か、或いはリパルプ洗浄により、粒子から酸不純物を取り除き、ろ過したケーキを大気中で40〜150℃で乾燥して、λ型の二酸化マンガンを得ることができる。
【0013】
本発明に係る研摩材を、マンガン酸リチウム(LiMn)を用いて製造した場合、研摩材にはリチウムが残存するため、その研摩材のリチウム含有量を制御することが好ましい。具体的には、研摩材に含有されるリチウムが、研摩材中のマンガンに対して、そのモル比(リチウム/マンガン)が0.1以上0.5未満であることが好ましい。このリチウム含有量は、研摩材を塩酸と過酸化水素との混合溶液で溶解してICP分析することでリチウムとマンガンの量を分析して、化学組成(LiMn)Oにより、そのモル比を算出できる。本発明者らの試験結果から、リチウム/マンガンのモル比は0.1〜0.5未満の範囲、望ましくは0.1〜0.3、さらに望ましくは0.16〜0.30の場合が研摩速度が高くなることを見出した。リチウム/マンガンのモル比が0.1の場合、Li0.2Mn2.0の化学組成を、また、リチウム/マンガンのモル比が0.4の場合とは、Li0.8Mn2.0の化学組成を取り得ることを意味する。このような状態を安定的に存在させるためには、研摩スラリーの溶液のpHは3よりも大きく、望ましくはpH5よりも大きく、pH7よりも大きいことがさらに望ましい。この研摩スラリーのpH調整には、硫酸、硝酸、塩酸などの鉱酸水溶液や酢酸やプロピオン酸などの水に可溶な有機酸、およびアルカリ金属水酸化物の水溶液やアンモニア水または炭酸塩水溶液を用いることができる。
【0014】
本発明に係る研摩材は、研摩スラリーとする場合、スラリーpHがpH4より大きい水溶液に研摩材を分散させることが好ましい。pHが3以下であると、研磨材は凝集して分散困難となりハンドリングが悪くなるのみならず、研磨面の平滑性が得られ難くなる。
【0015】
本発明に係る研摩材或いは研摩スラリーは、研摩対象が炭化ケイ素、サファイヤ、窒化ガリウムであるときに特に有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、炭化ケイ素などの硬度の高い難削材に対しても極めて高い研摩速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1〜7及び比較例1で作製された二酸化マンガンのX線回折図。
【図2】実施例1〜7及び比較例1で作製された二酸化マンガンのX線回折ピークの強度比と研摩速度の相関図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における実施形態について、実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0019】
実施例1:この実施例1では、マンガン酸リチウム(LiMn)を用いて二酸化マンガンの砥粒を製造した場合について説明する。まず、60%硝酸(和光純薬社製)を純水で希釈し、濃度0.1NのHNO溶液3.5Lを準備した。そして、この溶液を95℃に加温し、LiMn(LMO)粉末70gを加えて120分間攪拌した。その後、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまでデカンテーション洗浄した。
【0020】
その後、攪拌した溶液を純水で洗浄終了後、減圧濾過により固液分離を行い、ケーキを得た。このケーキを大気中60℃で12時間乾燥し、水分を除去した。このようにして得られた乾燥粉末を乳鉢で解砕し、次いで目開き75μmのメッシュで分級し、二酸化マンガンの砥粒を得た。
【0021】
この得られた砥粒に対して、X線回折測定を行った結果を図1に示す。図1から明らかなように、MnO粒子は、γ相とλ相の混在した粉末であった。γ相とλ相のメインピーク強度比〔γ(101)/λ(111)〕は、0.1であった。
【0022】
X線回折測定は、以下の手順で行った。装置は、「RINT−TTRIII」((株)リガク製)を用いた。本装置専用の粉末X線回折用のガラスホルダーに、実施例1で得た粉末を充填し、粉末X線回折測定を行った。測定条件は次のとおりである。そして、本測定で得られた回折パターンのγ相とλ相のメインピーク強度比を算出した。また、結晶子サイズは、λ相(111)のピークから算出した。但し、比較例1についてはλ相が確認できなかったため、γ相(101)のピークから算出した。
・測定範囲 2θ(CuKα/deg.)=5〜80°
・管電圧=50kV
・管電流=300mA
・サンプリング角=0.02°
・走査速度=4°/min.
【0023】
また、この砥粒について、ICPによる組成分析を行った。その結果を表1に示す。そして、この砥粒について粒度分布、BET比表面積の測定を行った。その結果を表2に示す。各測定条件は次のようにした。
【0024】
ICP組成分析:ICPによる組成分析には、SIIナノテクノロジー社製のICP発光分析装置「SPS−3000」を用いた。
【0025】
粒度分布の測定:粒度分布の測定には、堀場製作所社製「LA−920」を用い、レーザー回折法で求めた。表2には、測定結果のDmin、D50、Dmaxを記載した。
【0026】
BET比表面積:BET比表面積は、島津製作所社製の「フローソーブ2300」を用い、窒素吸着法で求めた。測定粉末量は、約0.3gとし、脱気条件は120℃で10分間とした。
【0027】
さらに、実施例1の二酸化マンガンの砥粒について、その研摩特性を調査した。研摩特性は、炭化ケイ素を研摩処理することで、その研摩速度と表面精度を調べた。その結果を表2に示す。
【0028】
研摩試験に用いた研摩スラリーは次のようにして調整した。実施例1の二酸化マンガンの砥粒の粉末28gと140gの純水とを混合し、混合液を容積500mLの密閉容器に入れた。この密閉容器に直径0.8mmのジルコニアビーズ1000gも入れ、ペイントシェイカーによって10分間粉砕した。粉砕終了後、スラリーとジルコニアビーズを分離し、更にスラリー側に純水を添加して固形分濃度4wt%の研摩スラリーを得た。この研摩スラリーに含まれる砥粒のレーザー回折法による粒度分布を表1に示す。
【0029】
研摩試験は、以下の手順で行った。研摩対象は、直径2インチのラッピングされた4H−SiC基板(研摩前の表面粗さRaは25nm)を用いた。研摩装置は、(株)エム・エー・ティ社製の片面研摩機である「MAT−BC15」を用いた。定盤に取り付ける研摩パットとしては、ニッタ・ハース(株)製のSUBA#600を用いた。研摩パットの回転数は60rpm、外周部速度は7163cm/minに設定し、キャリア回転数は60rpm、外周部速度は961cm/minに設定した。また、研摩時の荷重は、200gf/cmに設定し、研摩スラリーの供給量は500mL/minに設定した。研摩時間は3時間とした。尚、研摩スラリーのpHは4であった。
【0030】
研摩試験の評価は、以下のように行った。研摩前後の表面粗さRa(JIS B0601)は、原子間力顕微鏡「Dimention3100」(Digital Instruments社製)により該基板の表面を測定し、同社のソフトウエア「Nanoscope V」を用いて測定結果を解析することで求めた。測定条件は、測定範囲=1μm×1μm、測定点512×512ポイント、スキャンレート=1Hzとした。また、研摩前後の基板の質量差とSiCの密度(3.10g/cm)とから研摩速度(μm/h)を算出した。研摩特性の結果を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
実施例2:実施例2として、濃度0.5NのHNO溶液を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例1と同様の操作を行った。この実施例2についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例2の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0034】
実施例3:実施例3として、濃度1NのHNO溶液を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例1と同様の操作を行った。この実施例3についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例3の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0035】
実施例4:実施例4として、濃度5NのHNO溶液を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例1と同様の操作を行った。この実施例4についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例4の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0036】
実施例5:実施例5として、マンガン酸リチウムに変えてマンガン酸亜鉛(ZnMn)を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この実施例5は、ZnMn粉末70gを用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行った。この実施例4についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例4の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0037】
実施例6:実施例6として、実施例5における硝酸溶液を、濃度1NのHNO溶液を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例5と同様の操作を行った。この実施例6についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例6の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0038】
実施例7:実施例7として、実施例5における硝酸溶液を、濃度10NのHNO溶液を用いて、二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例5と同様の操作を行った。この実施例7についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この実施例7の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0039】
比較例1:比較として、γ相単相の二酸化マンガン粉の砥粒を作製した。この比較例1では、濃度10NのHNO溶液を用いて、実施例1と同様相をして二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例1と同様の操作を行った。比較例1についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この比較例1の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0040】
比較例2:別の比較として、この比較例2では、濃度0.19NのHNO溶液を用いて室温で処理した以外は、実施例1と同様の処理をして二酸化マンガンの砥粒を作製した。この硝酸濃度以外の条件については、すべて実施例1と同様の操作を行った。比較例2についてのX線回折測定結果を図1に示す。また、この比較例2の砥粒組成分析の結果を表1に、粒度分布、BET比表面積の測定結果と研摩特性を表2に示す。
【0041】
図2には、表2に示したメインピーク強度比(γ/λ)と研摩速度との関係のグラフを示す。実施例1〜4の場合、実施例5〜7の場合も、γ/λが0.1〜20の範囲であると、比較例1、2よりも高い研摩速度を実現できることが判明した。これに対して、γ相単体の二酸化マンガンの砥粒(比較例1)は研摩面の面精度は良好であるが、研摩速度はかなり低い結果であった。また、メインピーク強度比(γ/λ)が0.0であった比較例2は、実施例に比べかなり多い量のリチウムが残存した二酸化マンガンの砥粒であったが、研摩面の面精度は良好であるが、研摩速度は実施例の半分ほどの速度しか実現できないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、パワーエレクトロニクス半導体や白色LEDの基板材料などに使用される、高硬度の炭化ケイ素(SiC)を、効率的に研摩すること可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化マンガンを砥粒とする研摩材において、
二酸化マンガンは、λ型結晶構造を有するλ型二酸化マンガンとγ型結晶構造を有するγ型二酸化マンガンとを含み、
λ型二酸化マンガンとγ型二酸化マンガンとのそれぞれのX線回折によるメインピークの強度比(γ/λ)が0.1〜20の範囲内であることを特徴とする研摩材。
【請求項2】
X線回折から測定されたシェラー法による結晶子径が100Å以上である請求項1に記載の研摩材。
【請求項3】
研摩材中にリチウムが含まれ、当該リチウムが、研摩材中のマンガンに対して、そのモル比(リチウム/マンガン)が0.1以上0.5未満である請求項1または請求項2に記載の研摩材。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の研摩材を、pHがpH4より大きい水溶液に分散させたことを特徴とする研摩スラリー。
【請求項5】
研摩対象が炭化ケイ素である請求項1〜3記載の研摩材。
【請求項6】
研摩対象が炭化ケイ素である請求項4記載の研摩スラリー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−82048(P2013−82048A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224972(P2011−224972)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】