説明

研磨液組成物

【課題】本発明は、生産性を損なうことなく、基板の表面粗さ(中心線平均粗さ)、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減が可能な研磨液組成物、及びこれを用いた基板の製造方法、並びに、基板の研磨方法を提供する。
【解決手段】本発明の研磨液組成物は、平均粒子径が45nm以下のコロイダルシリカ粒子(A成分)と、シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)50〜2000ppmと、重量平均分子量Mwが50000以下の、アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)120〜1000ppmと、水(D成分)とを含み、25℃におけるpHが1.8以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨液組成物、及びこれを用いた基板の製造方法並びに基板の研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスクドライブは小型化及び大容量化が進む傾向にあるため、磁気ディスクの単位記録面積を縮小し、1枚あたりの記録容量を大きくすることにより、この傾向に対応している。単位記録面積が小さくなると磁気信号が弱くなる。検出感度を上げるため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くすることが必要であり、ヘッドの低浮上化に応じて、表面の粗さ、微小うねり、ロールオフ、スクラッチ数等の基板に対する要求特性は年々厳しくなってきている。このような要求に対し、研磨粒子であるシリカ粒子の粒径分布を工夫した研磨液組成物や高分子化合物を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1には、特定の粒径分布を持つコロイダルシリカ粒子を用いた研磨液組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、コロイダルシリカ粒子の粒径を小さくし、その粒径分布をシャープにすることにより、メモリーハードディスク用基板の表面粗さを低減できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、スルホン酸基を有する重合体を含有するガラス基板用研磨液組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、スルホン酸基を有する重合体等の助剤を添加することにより、ガラス基板の表面粗さや基板汚れを改善できることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、特定の砥粒を用いた磁気ディスク基板用の研磨液組成物が開示されており、この研磨液組成物によれば、砥粒の分布・形状を制御することにより、生産性を損なうことなく(許容できない研磨速度の低下を伴うことなく)、研磨後の基板のスクラッチ数の低減及び表面粗さの最大値(AFM−RMax)の低減を実現できる旨記載されている。
【0006】
一方、特許文献4には、重量平均分子量100万〜1000万のポリアクリル酸とβ−シクロデキストリンとコロイダルシリカ粒子とを含有する化学的機械的研磨用スラリーが開示されており、このスラリーによれば、スクラッチ数の低減が可能であることが記載されている。
【0007】
特許文献5には、シリカ、酸化剤、防食材、酸、界面活性剤及び包接化合物を含みpHが5未満である、半導体回路のバリア層と層間絶縁膜の化学的機械的研磨に用いられる研磨液が開示されており、この研磨液について、シリカの凝集を抑制でき、保存安定性に優れることが開示されている。特許文献5には、包接化合物の一例としてβ−シクロデキストリンが挙げられており、包接化合物が保存安定性の向上に寄与することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−204151号公報
【特許文献2】特開2006−167817号公報
【特許文献3】特開2010−170650号公報
【特許文献4】特開2009−158810号公報
【特許文献5】特開2009−302255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のとおり、従来、基板の表面粗さの低減は、助剤の添加、又は砥粒の小粒径化によって行われていたが、これらの方法によって基板の表面粗さを低減する場合、研磨速度が低下、即ち、生産性が低下する場合があることが懸念されていた。そのため、砥粒の小粒径化を行う場合は、砥粒の粒径分布・形状を制御することで研磨速度の低下を抑制していた。しかし、研磨速度を低下させずに基板の表面粗さの低減を可能とする技術は今だ見出されていない。基板の表面粗さの更なる低減だけでなく、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減も望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、生産性を損なうことなく、基板の表面粗さ(中心線平均粗さ)、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減が可能な研磨液組成物、及びこれを用いた基板の製造方法並びに基板の研磨方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の研磨液組成物は、平均粒子径が45nm以下のコロイダルシリカ粒子(以下、A成分とも呼ぶ。)と、シクロデキストリン骨格を有する化合物(以下、B成分とも呼ぶ。)50〜2000ppmと、重量平均分子量Mwが50000以下の、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下、C成分とも呼ぶ。)120〜1000ppmと、水(以下、D成分とも呼ぶ。)と、を含み、25℃におけるpHが1.8以下である。
【0012】
本発明の基板の製造方法は、本発明の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む。
【0013】
本発明の基板の研磨方法は、本発明の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生産性を損なうことなく、基板の表面粗さ(中心線平均粗さ)、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減が可能な研磨液組成物、及びこれを用いた基板の製造方法、並びに基板の研磨方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
アニオン性基を有する水溶性高分子は、研磨パッド―被研磨基板間の摩擦及び振動を低減するように作用し、基板の表面粗さの低減に寄与することが知られている。しかし、一般的に基板の表面粗さと研磨速度の関係はトレードオフの関係にあり、アニオン性基を有する水溶性高分子の研磨液組成物への添加は、研磨速度の低下、即ち生産性の悪化を伴う。
【0016】
一方で、コロイダルシリカ粒子と相互作用する官能基の代表例としてヒドロキシル基が挙げられる。しかし、ヒドロキシル基を有する化合物を助剤として研磨液組成物に添加しても、研磨速度の低下は起こらないが、基板の表面粗さ等の低減効果についてもほとんど影響は確認されない。
【0017】
本発明は、特定の粒子径のコロシダルシリカ(A成分)を含む研磨液組成物において、ヒドロキシル基を有する特定の化合物と、アニオン性基を有する特定の水溶性高分子とを、両成分の濃度が各々所定の範囲内の値となるように併存させ、且つ、研磨液組成物のpHを所定の範囲内の値に設定することにより、アニオン性基を有する水溶性高分子を添加しても、研磨速度を維持したまま、基板の表面粗さのみならず、スクラッチ数、及びパーティクル数が低減した基板を形成できるという知見に基づく。
【0018】
具体的には、本発明では、基板の表面粗さの低減に寄与することが知られているアニオン性基を有する水溶性高分子のうち、重量平均分子量が50000以下のアニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)を選択して、その濃度を120〜1000ppmとし、基板の表面粗さの低減に寄与しないヒドロキシル基を有する特定の化合物のうち、シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)を選択して、その濃度を50〜2000ppmとし、C成分とB成分とを各々上記の濃度範囲で併用し、且つ、研磨液組成物の25℃におけるpHを1.8以下とする。これにより、本発明では、C成分が単独添加されB成分を含まない研磨液組成物と、ほぼ同等の研磨速度で研磨でき、且つ、C成分が単独添加されB成分を含まない研磨液組成物よりも基板の表面粗さのみならず、スクラッチ数、及びパーティクル数を顕著に低減できる。
【0019】
[シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)]
本発明の研磨液組成物に含まれるシクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)は、アニオン性基を有する水溶性高分子との併存下、コロイダルシリカ粒子表面に吸着して、基板の表面粗さの低減に寄与するものと推察される。シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)は、シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン、修飾シクロデキストリン等のシクロデキストリン誘導体等を含む。
【0020】
シクロデキストリンは、数分子数のD−グルコース分子がα(1→4)グルコシド結合によって結合し、環状構造をとった環状オリゴ糖の一種であり、D−グルコース分子が、6個結合したα−シクロデキストリン、7個結合したβ−シクロデキストリン、8個結合したγ−シクロデキストリンが挙げられる。
【0021】
修飾シクロデキストリンとは、シクロデキストリン上に存在する水酸基の一部又は全部が化学修飾されたものであり、修飾シクロデキストリンとしては、例えば、ヒドロキシメチルシクロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、ヒドロキシブチルシクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン、トリメチルシクロデキストリン、ジエチルシクロデキストリン、トリエチルシクロデキストリン、トリアセチルシクロデキストリン、ジアセチルシクロデキストリン、アセチルシクロデキストリン、カルボキシメチルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0022】
分岐シクロデキストリンは、シクロデキストリンに、グルコース、マルトース、セロビオーズ、ラクトース、ショ糖、ガラクトース、グルコサミン等の単糖類や2糖類などの水溶性物質を分岐付加ないし結合させたものである。分岐シクロデキストリンとしては、例えば、シクロデキストリンにマルトースを結合させたマルトシルシクロデキストリンや、シクロデキストリンにグルコースを結合させたグリコシルシクロデキストリン等の、糖骨格を側鎖に有するシクロデキストリン誘導体が挙げられる。
【0023】
これらのシクロデキストリン骨格を有する化合物の中でも、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、1〜3糖の糖骨格を側鎖に有する分岐シクロデキストリン、及び炭素数2〜8の脂肪酸とのエステルを1〜8個有する修飾シクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、1〜3糖の糖骨格を側鎖に有する分岐シクロデキストリン、及び炭素数2〜8の脂肪酸とのエステルを1〜8個有する修飾シクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物がより好ましい。具体的には、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、アセチルシクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、アセチルシクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物がより好ましく、更に入手容易性を考慮すると、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、γ−シクロデキストリンがより好ましい。
【0024】
本発明の研磨液組成物におけるシクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)の含有量は、研磨速度維持、及び基板の表面粗さの低減の観点から、50ppm以上であり、100ppm以上が好ましく、200ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらにより好ましく、400ppm以上がさらにより好ましい。基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、2000ppm以下であり、1000ppm以下が好ましく、800ppmがより好ましく、700ppmがさらに好ましく、600ppmがさらにより好ましい。したがって、本発明の研磨液組成物におけるシクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)の含有量は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、50〜2000ppmであり、好ましくは100〜1000ppm、より好ましくは100〜800ppm、さらに好ましくは200〜800ppm、さらにより好ましくは300〜800ppm、さらにより好ましくは400〜800ppm、さらにより好ましくは400〜700ppm、さらにより好ましくは400〜600ppmである。
【0025】
[アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)]
本発明の研磨液組成物は、重量平均分子量Mwが50000以下の、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下、アニオン性水溶性高分子ともいう。)を含有する。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。アニオン性水溶性高分子は、研磨時に、研磨パッド―被研磨基板間の摩擦及び振動を低減するように作用し、研磨パッドの開孔部からのコロイダルシリカ粒子の凝集体の脱落を防止して、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減するものと推定される。
【0026】
アニオン性水溶性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられる。これらの内、アニオン性水溶性高分子は、スクラッチ数の低減の観点から、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有していると好ましい。尚、これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取ってもよい。
【0027】
カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するアニオン性水溶性高分子としては、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位及びスルホン酸基を有する単量体由来の構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有する(共)重合体又はその塩が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アニオン性水溶性高分子には、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位、及び/又は、スルホン酸基を有する単量体由来の構成単位が、それぞれ、2種類以上含まれてもよい。
【0028】
(アニオン性水溶性高分子(1))
上記したアニオン性水溶性高分子の中でも、本発明の研磨剤組成物に含まれるアニオン性水溶性高分子としては、研磨速度を維持したまま、基板の表面粗さ及びスクラッチ数を低減する観点から、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体又はその塩が好ましい(以下、アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)のうち、「下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体又はその塩」を、アニオン性水溶性高分子(1)と略称する場合がある)。
【0029】
【化1】

【0030】
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム基又は有機アンモニウム基である。
【0031】
上記一般式(1)で表される構成単位を有する(メタ)アクリル酸系(共)重合体及びその塩としては、(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及びそれらの塩が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体である。アニオン性水溶性高分子(1)は、これらの(共)重合体の1種類からなるものでもよいが、2種類以上を含むものでもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
【0032】
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位とスルホン酸基含有単量体由来の構成単位とを含む共重合体をいう。(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、スルホン酸基含有単量体に由来する構成単位を、2種以上含んでいてもよい。
【0033】
前記スルホン酸基含有単量体としては、スクラッチ数の低減の観点から、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましく、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸がより好ましい。なお、本発明において、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を指す。
【0034】
前記(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、本発明の効果を奏する範囲内で、スルホン酸基含有単量体及び(メタ)アクリル酸以外の単量体に由来する構成単位成分を含有していてもよい。
【0035】
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体又はその塩の各々を構成する全構成単位中に占めるスルホン酸基含有単量体由来の構成単位の含有率は、スクラッチ数の低減の観点から、3〜97モル%が好ましく、より好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜30モル%である。尚、ここで、「(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体又はその塩」に、スルホン酸基を含む(メタ)アクリル酸系単量体に由来の構成単位が含まれる場合、当該スルホン酸基を含む(メタ)アクリル酸系単量体は、スルホン酸基含有単量体として数える。また、本明細書において、前記アニオン性水溶性高分子(1)を構成する全構成単位中に占めるある構成単位の含有量(モル%)として、合成条件によっては、前記アニオン性水溶性高分子(1)の合成の全工程で反応槽に仕込まれた全構成単位を導入するための化合物中に占める前記反応槽に仕込まれた該構成単位を導入するための化合物量(モル%)を使用してもよい。
【0036】
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体又はその塩の各々を構成する全構成単位中に占める(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有率は、スクラッチ数の低減の観点から、3〜97モル%が好ましく、より好ましくは50〜95モル%、さらに好ましくは70〜90モル%である。
【0037】
好ましい(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体としては、スクラッチ数の低減の観点から、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体等が好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体がより好ましい。
【0038】
(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体は、本発明の効果を奏する範囲内で、(メタ)アクリル酸及びスルホン酸基含有単量体以外の単量体に由来する構成単位成分を含有していてもよいが、スクラッチ数の低減の観点から、(メタ)アクリル酸/スルホン酸共重合体を構成する全構成単位中に占める、(メタ)アクリル酸及びスルホン酸基含有単量体以外の単量体に由来する構成単位成分の含有率は、実質的に0モル%が好ましく、0モル%がより好ましい。
【0039】
(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位とマレイン酸由来の構成単位とを含む共重合体をいう。
【0040】
(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体は、本発明の効果を奏する範囲内で、マレイン酸及び(メタ)アクリル酸以外の単量体に由来する構成単位成分を含有していてもよいが、スクラッチ数の低減の観点から、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体を構成する全構成単位中に占める、マレイン酸及び(メタ)アクリル酸以外の単量体に由来する構成単位成分の含有率は、実質的に0モル%が好ましく、0モル%がより好ましい。
【0041】
(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体を構成する全構成単位中に占めるマレイン酸由来の構成単位の含有率は、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは5〜95モル%、より好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜40モル%、さらにより好ましくは20〜40モル%である。
【0042】
また、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体を構成する全構成単位中に占める(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有率は、スクラッチ数の低減の観点から、好ましくは5〜95モル%、より好ましくは50〜95モル%、さらに好ましくは60〜90モル%、さらにより好ましくは60〜80モル%である。
【0043】
前記(共)重合体は、公知の方法、例えば、(社)日本化学会編集、新実験化学講座14(有機化合物の合成と反応III、1773頁、1978年)などに記載された方法により得られる。
【0044】
(アニオン性水溶性高分子(2))
本発明の研磨剤組成物に含まれるアニオン性水溶性高分子は、スルホン酸基を有し、且つ、その主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を有していると好ましい(以下、アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)のうち、「スルホン酸基を有し、且つ、その主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を有しているアニオン性水溶性高分子」を、アニオン性水溶性高分子(2)と略称する場合がある)。このようなアニオン性水溶性高分子(2)を用いた場合、主鎖及び側鎖の芳香族環が研磨パッドに適度な吸着力で吸着し、アニオン性水溶性高分子(2)のスルホン酸基が研磨パッド表面に水和層を形成する結果、研磨中の、研磨パッド―被研磨基板間の摩擦及び振動が抑制されて、基板の表面粗さ及びスクラッチ数が低減されるものと推定される。但し、本発明は、このメカニズムに限定されない。尚、「主鎖」とは、アニオン性水溶性高分子(2)において、モノマー単位が結合して形成される直鎖構造のうち最も長い部分をいい、「側鎖」とは、前記直鎖から枝分かれしている部分をいう。また、「スルホン酸基」は、塩の形態も含むものとする。
【0045】
前記アニオン性水溶性高分子(2)は、例えば、後述するスルホン酸基を有する化合物と、アニオン性水溶性高分子(2)の主鎖及び側鎖の双方に芳香族環を導入しうる化合物とを、ホルムアルデヒド存在下で付加縮合法等の公知の手段で重合することにより製造できる。耐加水分解性の向上及び酸性の研磨剤組成物中でのアニオン性水溶性高分子(2)の保存安定性の向上の観点から、アニオン性水溶性高分子(2)は付加縮合法により製造されると好ましい。したがって、前記アニオン性水溶性高分子(2)の好ましい形態として、繰り返し単位の主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を持つ構成単位とスルホン酸基を有する構成単位とを有するアニオン性水溶性高分子(2)が挙げられる。
【0046】
前記アニオン性水溶性高分子(2)の主鎖及び側鎖の双方に芳香族環を導入しうる化合物としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、2,3―ジヒドロキシナフタレン、9,10−アントラセンジオール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。これらの中でも、酸性の研磨剤組成物中におけるアニオン性水溶性高分子(2)の水への溶解性向上の観点、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンが好ましく、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンがより好ましく、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンがさらに好ましく、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)がさらに好ましい。
【0047】
前記スルホン酸基を有する化合物としては、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸、8−ヒドロキシ−5−キノリンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸等のアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸等のメラミン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変性リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸などの芳香族アミノスルホン酸系化合物及びそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、酸性の研磨剤組成物中におけるアニオン性水溶性高分子(2)の水への溶解性の向上、アニオン性水溶性高分子(2)の保存安定性の向上、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減の観点から、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸、8−ヒドロキシ−5−キノリンスルホン酸及びそれらの塩が好ましく、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩がより好ましく、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸及びその塩がさらに好ましい。
【0048】
[構成単位A]
前記アニオン性水溶性高分子(2)は、研磨パッドへの効率的な吸着を促進し、研磨パッド―被研磨基板間の摩擦および振動を低減し、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減の観点から、主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を持つ構成単位として、下記一般式(2)で表される構成単位A(以下、単に「構成単位A」ともいう)を有すると好ましい。前記構成単位Aは、前述の主鎖及び側鎖の双方に芳香族環を導入しうる化合物を用いることにより、アニオン性水溶性高分子(2)中に導入できる。
【0049】
【化2】

【0050】
一般式(2)中、Yは、結合手、−CH2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−、又は、
【化3】

であり、R1及びR2は、同一でも又は異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又は−OM1であり、M1はアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオン及び水素原子からなる群から選択される。
【0051】
一般式(2)中、Yは、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、−CH2−、−S−、−SO2−、又は−C(CH32−が好ましく、−CH2−、−S−、又は−SO2−がより好ましく、−S−又は−SO2−がさらに好ましく、−SO2−がさらにより好ましい。
【0052】
式(2)中、R1及びR2は、同一でも又は異なっていてもよく、工業的生産の容易さの観点から、各々、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又は−OM1が好ましく、研磨液組成物の泡立ち抑制の観点から、水素原子、−OM1又はアルコキシ基がより好ましく、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、アルコキシ基又は−OM1がさらに好ましく、−OM1がさらにより好ましい。また、R1及びR2の置換位置は、特に限定されないが、工業的生産性の観点から、4,4’−位に置換基を有することが好ましい。また、M1は上述のとおり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオン及び水素原子からなる群から選択される。有機カチオンとしては、アンモニウムや、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアルキルアンモニウムが挙げられる。これらの中でも、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、アルカリ金属、アンモニウム又は水素原子が好ましく、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は水素原子がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。すなわち、R1及びR2は、−OH基が好ましい。
【0053】
前記アニオン性水溶性高分子(2)を構成する全構成単位中に占める構成単位Aの含有量は、研磨液組成物の泡立ち抑制、並びに基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、5〜70モル%が好ましく、5〜60モル%がより好ましく、5〜50モル%がさらに好ましく、10〜45モル%がさらにより好ましく、10〜40モル%がさらにより好ましく、15〜40モル%がさらにより好ましく、15〜25モル%がさらにより好ましい。
【0054】
[構成単位B]
前記アニオン性水溶性高分子(2)は、酸性の研磨液組成物中におけるアニオン性水溶性高分子(2)の水への溶解性向上、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、下記一般式(3)で表される構成単位B(以下、単に「構成単位B」ともいう)も含むと好ましい。前記構成単位Bは、前述のスルホン酸基を有する化合物を用いることにより、アニオン性水溶性高分子(2)中に導入できる。
【0055】
【化4】

【0056】
式(3)中、R3は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又は−OM3であり、M2及びM3は、同一でも又は異なっていてもよく、各々、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオン及び水素原子からなる群から選択される。
【0057】
式(3)中、R3は、酸性の研磨液組成物中でのアニオン性水溶性高分子(2)の保存安定性を向上させる観点、研磨液組成物の泡立ち抑制の観点、並びに、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は−OM3が好ましく、水素原子、アルコキシ基、又は−OM3がより好ましく、アルコキシ基又は−OM3がさらに好ましく、−OM3がさらにより好ましい。R3の置換位置は、特に限定されないが、共重合体製造時の反応性を向上させる観点から、スルホン基に対してパラ位にあることが好ましい。M2及びM3はそれぞれ独立して、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機カチオン及び水素原子からなる群から選択される。有機カチオンとしては、アンモニウムや、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアルキルアンモニウムが挙げられる。これらの中でも、酸性の研磨液組成物におけるアニオン性水溶性高分子(2)の水への溶解性の向上、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、M2及びM3はそれぞれ、アルカリ金属、アンモニウム又は水素原子が好ましく、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は水素原子がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。すなわち、R3として、−OH基が好ましい。
【0058】
アニオン性水溶性高分子(2)を構成する全構成単位中に占める構成単位Bの含有量は、酸性の研磨液組成物におけるアニオン性水溶性高分子(2)の水への溶解性向上の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点、及び研磨速度を向上させる観点から、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜95モル%、さらに好ましくは50〜95モル%、さらにより好ましくは55〜90モル%、さらにより好ましくは60〜90モル%、さらにより好ましくは60〜85モル%、さらにより好ましくは75〜85モル%である。
【0059】
[その他の構成単位]
アニオン性水溶性高分子(2)は、前記構成単位A及びB以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。前記アニオン性水溶性高分子(2)を構成する全構成単位中に占めるその他の構成単位の含有率は、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、0〜30モル%が好ましく、0〜20モル%がより好ましく、0〜10モル%がさらに好ましく、0〜5モル%がさらにより好ましく、実質的に0モル%がさらにより好ましく、0モル%がさらにより好ましい。
【0060】
前記アニオン性水溶性高分子(2)を構成する全構成単位中における構成単位Aと構成単位Bのモル比率(構成単位A/構成単位B)は、研磨速度の低下抑制、研磨液組成物の泡立ち抑制、並びに、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、70/30〜5/95が好ましく、60/40〜5/95がより好ましく、50/50〜5/95がさらに好ましく、45/55〜10/90がさらにより好ましく、40/60〜10/90がさらにより好ましく、25/75〜15/85がよりいっそう好ましい。なお、構成単位Aと構成単位Bの配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0061】
尚、本明細書において、前記アニオン性水溶性高分子を構成するある2つの構成単位の構成比(モル比)として、合成条件によっては、前記アニオン性水溶性高分子の合成の全工程で反応槽に仕込まれた該2つの構成単位を導入するための化合物量比(モル比)を使用してもよい。
【0062】
本発明の研磨液組成物に含まれるアニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)は、前記アニオン性水溶性高分子(1)及び前記アニオン性水溶性高分子(2)のうちの一方または双方からなっていてもよいが、前記アニオン性水溶性高分子(1)、前記アニオン性水溶性高分子(2)、及び後述するアニオン性水溶性高分子(1)及びアニオン性水溶性高分子(2)以外のアニオン性水溶性高分子からなる群から選ばれる1種又は複数種の水溶性高分子を含んでいてもよい。アニオン性水溶性高分子(1)及びアニオン性水溶性高分子(2)以外のアニオン性水溶性高分子としては、スルホン基、カルボン酸基等のアニオン性基を有するモノマーと、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等との重合体が挙げられる。アニオン性水溶性高分子(1)及びアニオン性水溶性高分子(2)以外のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するアニオン性水溶性高分子の好ましい一例としては、スクラッチ数の低減の観点から、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が挙げられ、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。スチレン/スチレンスルホン酸共重合体を構成する、スチレンに由来する構成単位と、スチレンスルホン酸に由来する構成単位のモル比率(スチレンに由来する構成単位/スチレンスルホン酸に由来する構成単位)は、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、70/30〜5/95が好ましく、60/40〜5/95がより好ましく、50/50〜5/95がさらに好ましく、45/55〜10/90がさらにより好ましく、40/60〜10/90がさらにより好ましく、25/75〜15/85がよりいっそう好ましい。
【0063】
アニオン性水溶性高分子が塩の形態である場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属の中では、基板の表面粗さ及びスクラッチ数の低減の観点から、ナトリウム及びカリウムがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの対イオンの中でも、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンが好ましく、すなわち、アニオン性水溶性高分子は、アンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩であると好ましい。
【0064】
アニオン性水溶性高分子(C成分)の重量平均分子量は、生産性を損なうことなく、研磨速度維持の観点、研磨後の基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、50000以下であり、1000〜50000が好ましく、1000〜40000がより好ましく、1000〜20000さらに好ましく、2000〜20000がさらにより好ましく、2000〜19000がさらにより好ましく、2000〜18000がさらにより好ましい。該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の条件で測定した値とする。
【0065】
本発明の研磨液組成物におけるアニオン性水溶性高分子(C成分)の含有量は、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及び、パーティクル数の低減の観点から、120ppm以上であり、180ppm以上が好ましく、200ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらに好ましく、400ppm以上がさらにより好ましい。研磨速度維持、及び、基板の表面粗さの低減の観点から、1000ppm以下であり、900ppm以下が好ましく、800ppmがより好ましく、700ppmがさらに好ましく、600ppmがさらにより好ましい。したがって、本発明の研磨液組成物におけるアニオン性水溶性高分子の含有量は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、120ppm〜1000ppmであり、好ましくは180ppm〜900ppm、より好ましくは200ppm〜900ppm、さらに好ましくは300〜800ppm、さらにより好ましくは300〜700ppm、さらにより好ましくは400〜700ppm、さらにより好ましくは400〜600ppmである。
【0066】
本発明の研磨液組成物中における、シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)の濃度とアニオン性水溶性高分子(C成分)の濃度の合計は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、好ましくは250ppm以上であり、より好ましくは500ppm以上、さらに好ましくは800ppm以上であり、研磨速度向上の観点から、3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1200ppm以下である。よって、研磨液組成物中における、B成分の濃度とC成分の濃度の合計は、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点と、研磨速度向上の観点から、好ましくは250〜3000ppmであり、より好ましくは500〜2000ppm、さらに好ましくは500〜1200ppm、さらにより好ましくは800〜1200ppmである。
【0067】
本発明の研磨液組成物中における、シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)とアニオン性水溶性高分子(C成分)との濃度比[シクロデキストリン骨格を有する化合物の濃度(重量%)/アニオン性水溶性高分子の濃度(重量%)]は、研磨速度維持、及び、基板の表面粗さ、スクラッチ数及びパーティクル数を低減する観点からは、好ましくは85/15〜5/95であり、より好ましくは80/20〜10/90、さらに好ましくは70/30〜30/70、さらにより好ましくは70/30〜40/60、さらにより好ましくは60/40〜40/60である。又、基板表面のスクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点からは、好ましくは85/15〜5/95であり、より好ましくは80/20〜5/95、さらに好ましくは70/30〜10/90、さらにより好ましくは60/40〜10/90、さらにより好ましくは50/50〜10/90である。
【0068】
[コロシダルシリカ(A成分)]
本発明の研磨液組成物に含まれる平均粒子径が45nm以下のコロシダルシリカは、ケイ酸水溶液から生成させる公知の製造方法等により得られたものでもよい。コロシダルシリカの使用形態としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。
【0069】
コロシダルシリカの平均粒子径は、動的光散乱法により測定される散乱強度分布に基づく平均粒子径をいい、特に言及のない場合、コロシダルシリカの平均粒子径とは、動的光散乱法において検出角90度で測定される散乱強度分布に基づく平均粒子径をいう。本発明におけるコロシダルシリカの平均粒子径は、具体的には実施例に記載の方法により得ることができる。
【0070】
本発明のコロイダルシリカ粒子の平均粒子径は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、45nm以下であり、好ましくは1〜45nm、より好ましくは1〜40nm、さらに好ましくは5〜37nm、さらにより好ましくは10〜35nm、さらにより好ましくは20〜30nm、さらにより好ましくは20〜25nmである。
【0071】
本発明のコロイダルシリカ粒子のCV値とは、動的光散乱法において散乱強度分布に基づく標準偏差を平均粒子径で除して100を掛けた変動係数の値であって、本明細書では特に、検出角90度(側方散乱)で測定されるCV値をCV90、検出角30度(前方散乱)で測定されるCV値をCV30という。コロイダルシリカ粒子のCV値は、具体的には実施例に記載の方法により得ることができる。
【0072】
本発明のコロイダルシリカ粒子のCV90は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、パーティクル数を低減する観点、及びコロイダルシリカ粒子の生産性向上の観点から、好ましくは1〜35%、より好ましくは5〜34%、さらに好ましくは10〜33%である。
【0073】
コロイダルシリカ粒子のΔCV値は、研磨速度維持の観点、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜5%である。ここで、コロイダルシリカ粒子のΔCV値とは、CV30とCV90との差(CV30−CV90)であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0074】
コロイダルシリカ粒子のΔCV値の調整方法としては、研磨液組成物に、平均粒子径が50〜200nmのコロイダルシリカ凝集物(非球状コロイダルシリカ)が含まれないようにする下記の方法が挙げられる。
A)研磨液組成物のろ過による方法
B)コロイダルシリカ粒子製造時の工程管理による方法
【0075】
上記A)では、例えば、遠心分離や精密フィルターろ過(特開2006‐102829及び特開2006‐136996)により、平均粒子径が50〜200nmのコロイダルシリカ凝集体を研磨液組成物から除去することでΔCVを低減できる。
【0076】
上記B)では、公知の球状コロイダルシリカ粒子製造プロセスにおいて、局部的に非球状コロイダルシリカが生成する条件に成り難いように温度、pH、ケイ酸/アルカリ比等の工程管理を行うことで、ΔCVを小さく調整することができる。
【0077】
本発明の研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ粒子の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、さらにより好ましくは4重量%以上であり、また、基板の表面粗さ、スクラッチ数及びパーティクル数の低減の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは7重量%以下である。すなわち、上記コロイダルシリカ粒子の含有量は、研磨速度を向上と、基板の表面粗さ、スクラッチ数及びパーティクル数の低減の観点から、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜13重量%、さらにより好ましくは4〜10重量%、さらにより好ましくは4〜7重量%である。
【0078】
本発明の研磨液組成物中における、コロイダルシリカ粒子(A成分)とアニオン性水溶性高分子(C成分)との濃度比[コロイダルシリカ粒子の濃度(重量%)/アニオン性水溶性高分子の濃度(重量%)]は、研磨速度の向上、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、好ましくは5〜1500、より好ましくは10〜1000、さらに好ましくは50〜500、さらにより好ましくは25〜500、さらにより好ましくは25〜300である。
【0079】
[水]
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。基板表面の清浄性の向上の観点から、イオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、好ましくは60〜99.4重量%、より好ましくは70〜98.9重量%である。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を適宜配合してもよい。
【0080】
[酸]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、酸を含有すると好ましい。本発明において、酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、基板表面のスクラッチ数、パーティクル数及びうねり低減の観点、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、無機酸、有機ホスホン酸が好ましい。無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸が好ましく、リン酸、硫酸がより好ましく、硫酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がより好ましい。
【0081】
前記酸は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度の向上及び基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、スクラッチ数の低減、酸化剤の安定性向上及び廃液処理性向上の観点から、リン酸、硫酸、及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。
【0082】
前記酸の塩を用いる場合の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨後の基板表面のスクラッチ数の低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
【0083】
研磨液組成物中における前記酸及び/又はその塩の含有量は、研磨速度向上、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、酸に換算して、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%であり、さらにより好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0084】
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、酸化剤を含有していると好ましい。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
【0085】
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
【0086】
基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.3重量%以上であり、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減する観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.7重量%以下である。従って、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減しつつ、研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%、さらに好ましくは0.3〜0.7重量%である。
【0088】
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。但し、本発明の研磨液組成物は、他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数の低減効果を発揮し得る。さらに、本発明の研磨液組成物は、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
【0089】
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨速度の向上の観点から、1.8以下であり、好ましくは1.75以下、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下である。また、基板の腐食抑制の観点から、0.2以上が好ましく、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは1.0以上である。したがって、研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上と、基板の腐食抑制の観点から、好ましくは0.2〜1.8、より好ましくは0.5〜1.8、さらに好ましくは0.6〜1.75、さらにより好ましくは0.7〜1.7、さらにより好ましくは1.0〜1.5である。ここで、25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。
【0090】
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、水と、コロイダルシリカ粒子(A成分)と、シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)と、アニオン性水溶性高分子(C成分)と、さらに所望により、酸及び/又はその塩と、酸化剤と、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、コロイダルシリカ粒子は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、使用時の範囲であるが、研磨液組成物は濃縮された状態で提供されてもよい。
【0091】
本発明の研磨液組成物は、精密部品用基板の製造に好適に使用できる。例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の磁気ディスク基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板などの精密部品用基板の研磨に適しており、とりわけ、磁気ディスク基板の研磨に適している。半導体基板の製造においては、シリコンウエハ(ベアウエハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において本発明の研磨液組成物を用いることができる。
【0092】
[基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、基板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む基板の製造方法である。これにより、高い研磨速度で、研磨後の基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数が低減された基板を提供できる。本発明の製造方法は、磁気ディスク基板の製造方法に適しており、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む基板の製造方法であり、好ましくは磁気ディスク基板の製造方法であり、より好ましくは垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
【0093】
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤及び/又は被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
【0094】
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液組成物を再利用する循環研磨においても、本発明の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
【0095】
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用できるが、研磨速度の向上の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
【0096】
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、スクラッチ数の低減及びパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液組成物の保持性向上の観点から、気孔で研磨液組成物を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
【0097】
[研磨荷重]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、さらに好ましくは7.5kPa以上である。これにより、研磨速度の低下を抑制できるため、生産性の向上が可能となる。尚、本発明の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は、研磨荷重は、好ましくは20kPa以下、より好ましくは18kPa以下、さらに好ましくは16kPa以下である。これにより、スクラッチの発生を抑制することができる。したがって、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程において研磨圧力は、好ましくは5.9〜20kPa、より好ましくは6.9〜18kPa、さらに好ましくは7.5〜16kPaである。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行える。
【0098】
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ数の低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.03〜15mL/分で、より好ましくは0.05〜10mL/分、さらに好ましくは0.06〜1mL/分、さらにより好ましくは0.07〜0.5mL/分である。
【0099】
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
【0100】
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、本発明は、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板、ガラス基板に好適に使用され、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、アルミノシリケートガラス基板により適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板にさらに適している。アルミノシリケートガラス基板には、結晶構造を有しているもの、化学強化処理を施したものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
【0101】
また、本発明によれば、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数が低減された基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される磁気ディスク基板、とりわけ垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
【0102】
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよいが、中でも、本発明は、ディスク状の被研磨基板に適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
【0103】
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、高い研磨速度で、研磨後の基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数が低減された基板を提供できる。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
【実施例】
【0104】
[実施例1〜20及び比較例1〜13]
実施例1〜20及び比較例1〜13の研磨液組成物を調製して、被研磨基板の研磨を行い、研磨速度、研磨後の基板の表面粗さ、スクラッチ数及びパーティクル数の評価を行った。使用した研磨液組成物の組成及び調製方法、各パラメーターの測定方法、研磨条件(研磨方法)及び評価方法は以下のとおりである。
【0105】
1.研磨液組成物の調製
下記表1に示すコロイダルシリカ粒子と、下記表2に示すアニオン性水溶性高分子と、シクロデキストリン骨格を有する化合物又はその比較化合物(糖類)と、硫酸と、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシア・ジャパン製)と、過酸化水素水(濃度:35重量%)とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、実施例1〜20及び比較例1〜13の研磨液組成物を調製した。実施例1〜20及び比較例1〜13の研磨液組成物中におけるコロイダルシリカ粒子、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ、5重量%、0.1重量%、0.5重量%である。アニオン性水溶性高分子と、シクロデキストリン骨格を有する化合物又はその比較化合物(糖類)の含有量は、下記表3及び表4に示す。又、硫酸を適宜添加して、下記表3及び表4に示す所定のpHとした。残余はイオン交換水である。下記表3及び表4に示された、シクロデキストリン骨格を有する化合物又はその比較化合物(糖類)の詳細は下記のとおりである。
【0106】
α−シクロデキストリン(和光純薬工業社製試薬)
β−シクロデキストリン(和光純薬工業社製試薬)
γ−シクロデキストリン(和光純薬工業社製試薬)
マルトシルシクロデキストリン((株)シクロケム社製)
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン((株)シクロケム社製)
アセチルシクロデキストリン((株)シクロケム社製)
グルコース(和光純薬工業社製試薬)
フクルトース(和光純薬工業社製試薬)
トレハロース(和光純薬工業社製試薬)
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【0109】
〔アニオン性水溶性高分子(Mw)の重量平均分子量の測定方法〕
アニオン性水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0ml/min
試料サイズ:2mg/ml
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
【0110】
[コロイダルシリカ粒子の平均粒子径、CV90、ΔCV値の測定方法]
〔平均粒子径〕
研磨液組成物の調製に用いたコロイダルシリカ粒子と、硫酸と、HEDPと、過酸化水素水とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製した。標準試料中におけるコロイダルシリカ粒子、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ5重量%、0.5重量%、0.1重量%、0.5重量%とした。この標準試料を動的光散乱装置(大塚電子社製DLS-6500)により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒子径(体積中位径)を求め、コロイダルシリカ粒子の平均粒子径とした。
【0111】
〔CV90、ΔCV値〕
上記と同様の試料、測定装置を用いて、検出核90°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV90)及び検出角30°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV30)を測定し、CV30からCV90を引いた値を求め、ΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time: 4(μm)
Correlation Channel: 256(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time: 10(μm)
Correlation Channel: 1024(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
【0112】
2.研磨方法
前記のように調製した実施例及び比較例の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。研磨された基板の、表面粗さ、スクラッチ数、パーティクル数、研磨速度を以下に示す条件で測定又は算出し、評価を行った。
【0113】
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
【0114】
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均気孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:4分間
投入基板枚数:10枚
リンス条件:荷重=2.8kPa、時間=20秒、
イオン交換水供給量=1400ml/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:1.008mL/分)
【0115】
[スクラッチ数の測定方法]
被研磨基板を研磨・洗浄・乾燥した後、下記に示す方法で基板上に残留したスクラッチ数を測定した。
測定機器:Candela Instruments社製、OSA6100
評価:研磨試験機に投入した10枚の基板のうち、無作為に4枚を選択し、回転速度10000rpmで回転中の各基板にレーザーを照射してスクラッチ数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を、下記表3及び表4に示す。
【0116】
〔残留パーティクル数の測定方法〕
被研磨基板を研磨・洗浄・乾燥した後、下記に示す方法で基板上に残留したパーティクル数を測定した。
測定機器:Candela Instruments社製、OSA6100
評価:前述の研磨方法により研磨した基板10枚のうち、無作為に4枚を選択し、回転速度10000rpmで回転中の各基板にレーザーを照射して突起欠陥を測定した。その4枚の基板の各々両面にある突起欠陥数(個)の合計を8で除して、基板面当たりのパーティクル数として算出した。その結果を、下記表3及び表4に示す。
【0117】
[研磨速度の測定方法]
研磨前後の各基板の重さを重量計(Sartorius社製「BP-210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を、下記表3及び表4に示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.99g/cm3として算出)
【0118】
[基板の表面粗さの測定方法]
AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて、以下に示す条件にて各基板の内周縁と外周縁との中央部分について表裏1箇所ずつ測定して中心線平均粗さRaを得、4枚(表裏合わせて計8面)の平均値を基板の表面粗さ(Ra)とした。その結果を下記表3及び表4に示す。
(AFMの測定条件)
Mode: Non−Contact
Area: 1×1μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: NCH−10V
【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
上記表3及び表4に示すとおり、実施例の研磨剤組成物は比較例の研磨剤組成物に比べて、高い研磨速度を維持しつつ、基板の表面粗さ、スクラッチ数、及びパーティクル数を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が45nm以下のコロイダルシリカ粒子(A成分)と、
シクロデキストリン骨格を有する化合物(B成分)50〜2000ppmと、
重量平均分子量Mwが50000以下の、アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)120〜1000ppmと、
水(D成分)と、を含み、
25℃におけるpHが1.8以下である研磨液組成物。
【請求項2】
前記B成分と前記C成分の重量比(B成分/C成分)が、85/15〜5/95である請求項1に記載の研磨液組成物。
【請求項3】
前記B成分が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、1〜3糖の糖骨格を側鎖に有する分岐シクロデキストリン、及び炭素数2〜8の脂肪酸とのエステルを1〜8個有する修飾シクロデキストリンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
【請求項4】
前記アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)が、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体又はその塩である、請求項1〜3のいずれかの項に記載の研磨液組成物。
【化1】

(前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
【請求項5】
前記アニオン性基を有する水溶性高分子(C成分)が、下記一般式(2)で表わされ、繰り返し単位の主鎖及び側鎖のそれぞれに芳香族環を持つ、構成単位Aを含む、請求項1〜3のいずれかの項に記載の研磨液組成物。
【化2】


[前記一般式(2)中、Yは、結合手、−CH2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−、又は、
【化3】

であり、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又は−OMであり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、有機カチオン及び水素原子からなる群から選択される。]
【請求項6】
前記コロイダルシリカ粒子の、動的光散乱法において検出角90度で測定される平均粒子径が1〜40nmであり、
前記コロイダルシリカ粒子の、動的光散乱法において検出角90度で測定される標準偏差を前記平均粒子径で除して100を掛けた変動係数(CV)の値(CV90)が1〜35%であり、
前記コロイダルシリカ粒子の、動的光散乱法において検出角30度で測定される標準偏差を前記平均粒子径で除して100を掛けた変動係数(CV)の値(CV30)と前記CV90との差(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%である、請求項1〜5のいずれかの項に記載の研磨液組成物。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかの項に記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する工程を含む、基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6いずれかの項に記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨する、基板の研磨方法。

【公開番号】特開2013−94906(P2013−94906A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240558(P2011−240558)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】