説明

硬化性組成物

【課題】可撓性、成形性等が改善された硬化性組成物を提供する。
【解決手段】式(A)で表される1,2ポリブタジエン繰返し単位75〜100モル%および1,4ポリブタジエン繰返し単位25〜0モル%からなり且つ数平均分子量が500〜10000であるブタジエンホモポリマーをエポキシ化して得られる式(B)で表される繰返し単位を有するエポキシ化ポリブタジエンと、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた可撓性を示す硬化物を得るための硬化性組成物に関する。より詳細には、本発明は、耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性などに優れたエポキシ樹脂硬化物に可撓性を付与でき且つ成形性等が改善された硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂の硬化物は、エポキシ樹脂を含有する硬化性組成物に、熱、光、圧力等を作用させて、該組成物を硬化させることによって得ることができる。該組成物には、用途に応じて硬化促進剤、変成剤、充填剤などが添加される。エポキシ樹脂の硬化物は、優れた耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性、種々の基材に対する優れた接着性、電気特性、環境を選ばない作業性などの特長を持っているので、エポキシ樹脂を含む硬化性組成物は、接着剤、塗料、電気・電子材料、複合材料、フレキソ印刷版材料などの分野において広く用いられている。
【0003】
このような硬化性組成物として、特許文献1には、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤とを含有するものが開示されている。該エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、末端エポキシ変性ブタジエン、ダイマー酸変性エポキシ樹脂などが開示されている。また、硬化促進剤として2−ウンデシルイミダゾールが記載されている。末端エポキシ変性ブタジエンの具体例として、α,ω−ポリブタジエンジカルボン酸とビスフェノール型エポキシ樹脂とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ポリブタジエン(日本曹達社製;EPB−13)が開示されている。
【0004】
特許文献2には、炭素−炭素不飽和二重結合を有するエポキシ系樹脂と、硬化剤としてのイミダゾール化合物とを含有する組成物が開示されている。炭素−炭素不飽和二重結合を有するエポキシ系樹脂として、ポリブタジエン単位を有するエポキシ樹脂が開示されている。特許文献2には、他の成分として炭素−炭素不飽和二重結合を有さないエポキシ系樹脂を含有させることができると記述されているが、具体的に炭素−炭素不飽和二重結合を有さないエポキシ系樹脂を他の成分として含有させた組成物は示されていない。
【0005】
特許文献3には、可撓性エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機化合物とを含有する熱硬化性樹脂組成物が開示されている。可撓性エポキシ樹脂の例として、共役ジエン化合物を主体とする重合体における炭素−炭素不飽和二重結合をエポキシ化したものが開示され、その具体例として式(E)で表される末端エポキシ変性ブタジエンが段落[0033]に示されている。また、硬化剤の例の一つとしてイミダゾール化合物が記載されている。
【0006】
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−34747号公報
【特許文献2】特開2006−241252号公報
【特許文献3】特開2005−97497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献に記載の硬化性組成物は、エポキシ樹脂の硬化物に可撓性を付与できるが、耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性などが劣化しやすく、さらに成形性等に劣ることがあった。
そこで、本発明は、耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性などに優れたエポキシ樹脂硬化物に可撓性を付与でき且つ成形性等が改善された硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、式(A)で表される繰返し単位および式(B)で表される繰返し単位を有してなるエポキシ化ポリブタジエンと、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する組成物は、耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性などに優れたエポキシ樹脂硬化物に可撓性を付与でき且つ成形性等が改善されることを見出した。本発明は、この知見に基づいて更に検討したことによって完成するに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は以下の態様を含む。
〈1〉 式(A)で表される繰返し単位および式(B)で表される繰返し単位を有してなるエポキシ化ポリブタジエンと、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。
【0011】
【化2】

【0012】
〈2〉 前記のエポキシ化ポリブタジエンは、全繰返し単位のうちに、式(C)で表される繰返し単位が0〜25モル%含まれ、且つ式(B)および式(D)で表される繰返し単位が1〜90モル%含まれる、前記〈1〉に記載の硬化性組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
〈3〉 前記のエポキシ化ポリブタジエンは、式(A)で表される繰返し単位75〜100モル%および式(C)で表される繰返し単位25〜0モル%からなり且つ数平均分子量が500〜10000であるブタジエンホモポリマーをエポキシ化して得られたものである、前記〈1〉または〈2〉に記載の硬化性組成物。
〈4〉 エポキシ樹脂が、脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルの樹脂、ブロム化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、エポキシ化植物油樹脂、エポキシクレゾールノボラック、エポキシフェノールノボラック、及びα−オレフィン エポキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〈1〉〜〈3〉のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
〈5〉 硬化剤がイミダゾール化合物である、前記〈1〉〜〈4〉のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の硬化性組成物は、耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性などに優れたエポキシ樹脂硬化物に可撓性を付与でき且つ成形性等が改善されたものである。本発明の硬化性組成物は、接着剤、塗料、電気・電子材料、複合材料、フレキソ印刷版材料などに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1および3並びに比較例1で得られた硬化物の貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E")を示す図。
【図2】実施例1および3並びに比較例1で得られた硬化物の貯蔵弾性率(E')と損失正接(tan-δ)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、下記に説明するエポキシ化ポリブタジエンを含有するものである。
【0018】
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂は、常温では液状、半固形状または固形状等であって、常温下又は加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質である。この物質が後述する硬化剤、触媒または熱等の作用によって硬化反応や架橋反応等の化学反応を起こして、不溶不融の硬化樹脂となる。
【0019】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、硬化性組成物で一般に使用されているものである。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのエポキシ樹脂は、十分に精製されたもので、イオン性不純物が少ないものが好ましい。例えば、遊離Naイオン、遊離Clイオンはそれぞれ500ppm以下であることが好ましい。
【0020】
これらエポキシ樹脂のうち、本発明では、脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルの樹脂、ブロム化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、エポキシ化植物油樹脂、エポキシクレゾールノボラック、エポキシフェノールノボラック、及びα−オレフィン エポキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0021】
〔硬化剤〕
本発明に用いられる硬化剤は、特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂用硬化剤である。例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成される化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンジアミド及びそれらの誘導体が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤とともに、アセチルアセトン鉄等の樹脂硬化触媒を用いてもよい。
【0022】
アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン化合物;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミンが挙げられる。
【0023】
アミン化合物から合成される化合物としては、アミン化合物とカルボン酸とから合成される化合物、すなわちポリアミノアミド化合物;アミン化合物とマレイミド化合物とから合成される化合物、すなわちポリアミノイミド化合物;アミン化合物とケトン化合物とから合成される化合物、すなわちケチミン化合物;等が挙げられる。その他に、アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素化合物、チオ尿素化合物、アルデヒド化合物、フェノール化合物またはアクリル系化合物とから合成される化合物が挙げられる。
【0024】
3級アミン化合物としては、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1等が挙げられる。
【0025】
イミダゾール化合物としては、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
【0026】
ヒドラジド化合物としては、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0027】
メラミン化合物としては、2,4−ジアミノ6−ビニル−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0028】
酸無水物としては、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物等が挙げられる。
【0029】
フェノール化合物としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール等が挙げられる。
【0030】
熱潜在性カチオン重合触媒としては、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ゼンジルスルホニウム塩等からなるイオン性熱潜在性カチオン重合触媒; N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステル等からなる非イオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
【0031】
光潜在性カチオン重合触媒としては、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩及び芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、並びに鉄−アレン錯体、チタノセン錯体及びアリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体等からなるイオン性光潜在性カチオン重合開始剤; ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等からなる非イオン性光潜在性カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0032】
これら硬化剤のうち、本発明では、可撓性付与効果が高いという観点から、イミダゾール化合物が好ましい。
【0033】
〔エポキシ化ポリブタジエン〕
本発明に用いられるエポキシ化ポリブタジエンは、式(A)で表される繰返し単位および式(B)で表される繰返し単位を有してなるものである。
【0034】
【化4】

【0035】
該エポキシ化ポリブタジエンは、全繰返し単位のうちに、式(C)で表される繰返し単位が0〜25モル%含まれ、且つ式(B)および式(D)で表される繰返し単位が1〜90モル%含まれるものであることが好ましい。
該エポキシ化ポリブタジエンは、エポキシ当量が好ましくは180〜250g/eqである。なお、このエポキシ当量は、オキシラン酸素濃度から換算して求める。該エポキシ化ポリブタジエンは、オキシラン酸素濃度が、好ましくは6.4〜9.0%である。
【0036】
【化5】

【0037】
本発明に好ましく用いられるエポキシ化ポリブタジエンは、式(A)で表される繰返し単位75〜100モル%および式(C)で表される繰返し単位25〜0モル%からなるブタジエンホモポリマーをエポキシ化することによって得られる。
エポキシ化ポリブタジエンの製造に用いられるブタジエンホモポリマーは、数平均分子量が500〜10000であることが好ましい。
【0038】
エポキシ化ポリブタジエンの製造に用いられるブタジエンホモポリマーは、その製法によって特に制限されないが、ブタジエンモノマーをリビング重合する方法で得られるホモポリマーが好ましい。
リビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩等の存在下でアニオン重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法;原子移動ラジカル重合(ATRP)法等が挙げられる。
【0039】
本発明では、これらリビング重合法のうち、ナトリウム分散体を重合開始剤として用いるアニオン重合法(ナトリウム重合法と呼ぶことがある。)は、式(A)で表される繰返し単位の割合が多いブタジエンホモポリマーを容易に得ることができるので好ましい。なお、ナトリウム分散体は、不活性媒体中に平均粒径が数μmの微細なナトリウム粒子を分散させてなるものである。
エポキシ化ポリブタジエンの製造に用いられるブタジエンホモポリマーとして、市販品を用いてもよい。例えば、NISSO−PBのBシリーズ(日本曹達社製)が挙げられる。
【0040】
ブタジエンホモポリマーのエポキシ化は、炭素−炭素不飽和二重結合に酸素原子を付加させる反応によって行うことができる。この反応は公知のものである。例えば、エーテル、クロロホルム、アセトン、ジオキサン、酢酸などの溶媒中で、ブタジエンホモポリマーに、過酢酸、過安息香酸、過モノフタル酸などの有機過酸や;過酸化水素;オゾン;ヒドロパーオキシドなどを作用させることによってエポキシ化を行うことができる。このエポキシ化反応は、通常、0〜150℃の温度範囲で行われる。
【0041】
本発明の硬化性組成物における硬化剤の量は、エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部である。上記の範囲からはずれた場合、硬化反応が不充分となり信頼性が低下する傾向がある。
【0042】
本発明の硬化性組成物におけるエポキシ化ポリブタジエンの量は、エポキシ樹脂とエポキシ化ポリブタジエンとの合計量100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部である。エポキシ化ポリブタジエンの量がこの範囲にあると硬化性に優れる。
【0043】
本発明の硬化性組成物には前述のもの以外に、必要に応じて、熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、紫外線吸収剤、可塑剤、有機溶剤、希釈剤、増量剤、充填剤、補強剤、染料・顔料、難燃化剤、増粘剤、界面活性剤、ワックス、離型剤などの添加剤を配合することができる。
【0044】
本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とエポキシ化ポリブタジエンと必要に応じて配合される添加剤とを、混合することによって得られる。混合に際して、必要に応じて溶媒を用いてもよい。充填剤等の不溶解物を配合する場合には、エポキシ樹脂と硬化剤とエポキシ化ポリブタジエンとを混合した後に、充填剤等を混合し分散させることが望ましい。充填剤を最後に混合することにより、充填剤を均一にかつ微細に分散させることができる。
混合手段は特に限定されない。例えば、遊星式撹拌装置、押出機、ホモジナイザー、メカノケミカル撹拌機、2本ロール、バンバリーミキサー等が好適に用いられる。
【0045】
本発明の硬化性組成物の調製において必要に応じて用いられる有機溶媒及びその量は特に限定されず、エポキシ樹脂、硬化剤、エポキシ化ポリブタジエンおよび必要に応じて配合される添加剤に応じて適宜設定し得る。有機溶媒は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、30〜1000質量部である。
【0046】
硬化性組成物を熱処理することによって、エポキシ樹脂硬化物を得ることができる。該熱処理は、例えば、50℃〜250℃で15分間〜50時間、好ましくは60℃〜200℃で2時間〜24時間で行うことができる。
【実施例】
【0047】
次に、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0048】
(硬化物の特性評価)
バイブロン型動的粘弾性測定装置(DDV−25FP;エー・アンド・ディー社製)を用いて、周波数35Hz、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30〜250℃、チャック間距離50mmの条件で、60mm×5mm×1.5mmの試験片に引張負荷を掛けて動的粘弾性を測定した。
【0049】
実施例1〜3および比較例1
数平均分子量が1100であるブタジエンホモポリマーをエポキシ化して、エポキシ当量206.19g/eq;式(A)で表される繰り返し単位が67モル%、式(B)で表される繰り返し単位が26モル%、式(C)で表される繰り返し単位が7モル%を含有するエポキシ化ポリブタジエンJP−100を得た。
200mlのポリカップに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−128;エポキシ当量188g/eq、分子量342;東都化成社製)、前記で得られたエポキシ化ポリブタジエンJP−100、および2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化学社製)を表1に示す処方で混合し、ミキサーにて攪拌した。真空ポンプで脱泡することで、硬化性組成物を得た。
予熱された型枠に硬化性組成物を流延した。それを、60℃で4時間、次いで150℃で4時間、送風式乾燥機中で加熱した。室温まで放冷し、型枠を外すことによって厚さ1.5mmの板状硬化物を得た。特性評価の結果を表1、図1および図2に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
エポキシ樹脂および硬化剤からなる組成物に、式(A)で表される繰返し単位および式(B)で表される繰返し単位を少なくとも有してなるエポキシ化ポリブタジエンを添加することによって、100℃における貯蔵弾性率が低下し、可撓性が付与されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

式(A)で表される繰返し単位および式(B)で表される繰返し単位を有してなるエポキシ化ポリブタジエンと、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。
【請求項2】

前記のエポキシ化ポリブタジエンは、全繰返し単位のうちに、式(C)で表される繰返し単位が0〜25モル%含まれ、且つ式(B)および式(D)で表される繰返し単位が1〜90モル%含まれる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記のエポキシ化ポリブタジエンは、式(A)で表される繰返し単位75〜100モル%および式(C)で表される繰返し単位25〜0モル%からなり且つ数平均分子量が500〜10000であるブタジエンホモポリマーをエポキシ化して得られたものである、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂が、脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルの樹脂、ブロム化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの樹脂、エポキシ化植物油樹脂、エポキシクレゾールノボラック、エポキシフェノールノボラック、及びα−オレフィン エポキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
硬化剤がイミダゾール化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−137092(P2011−137092A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298109(P2009−298109)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】