磁気反転表示装置
【目的】 表示板1を左右逆にして装着することを防止し、所望の反転動作を得ることのできる磁気反転表示装置を簡単な構成で安価に提供する。
【構成】 反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板1と、表示板1の両端部に設けてある永久磁石2,3と、両永久磁石2,3の外側にそれぞれ設けてある回転支軸4,5と、両永久磁石2,3とそれぞれ対向する位置に両永久磁石2,3と磁気的に作用して表示板1を反転させる電磁石装置7とからなる磁気反転表示装置において、両回転支軸4,5は、その軸部4c,5cの径が互いに異なっている。
【構成】 反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板1と、表示板1の両端部に設けてある永久磁石2,3と、両永久磁石2,3の外側にそれぞれ設けてある回転支軸4,5と、両永久磁石2,3とそれぞれ対向する位置に両永久磁石2,3と磁気的に作用して表示板1を反転させる電磁石装置7とからなる磁気反転表示装置において、両回転支軸4,5は、その軸部4c,5cの径が互いに異なっている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示板を電磁石装置によって反転駆動させて所望の表示を行なうことのできる磁気反転表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】支持ケースに反転可能に支持されている表示板の両端部に永久磁石を設け、この永久磁石に対して磁気的吸引・反発力を加えて表示板を反転駆動する磁気反転表示装置が公知である(例えば特開昭56−62287号,特公昭63−35987号,特公平3−39316号など)。この磁気反転表示装置を複数個並設して、文字や記号などの表示を行なう。
【0003】このような従来の磁気反転表示装置においては、表示板の両端部に回転支軸や支持ピン等の中間部材を介して、支持ケースに表示板を反転可能に支持させてあり、この中間部材は左右とも同一形状をなしている、すなわち左右対称形であるのが一般である。また、表示板の両端部にそれぞれ設けてある永久磁石は、一方の磁極線と、他方の磁極線とが互いに対称の関係にあり、2つの永久磁石どうしを対向させたときに、その磁極線の傾きが一致するようにそれぞれ着磁されているのが一般である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁気反転表示装置においては、支持ケースに表示板を反転可能に支持するための中間部材が左右対称形であるため、支持ケースに対して表示板を左右逆にして装着するおそれがある。支持ケースに対して表示板を左右逆にして装着すると、表示板の両端部にそれぞれ設けてある永久磁石の磁極線の傾きが逆になってしまうため、所望の反転動作が得られないといった問題がある。
【0005】本発明の目的は、表示板を左右逆にして装着することを防止し、所望の反転動作を得ることのできる磁気反転表示装置を簡単な構成で安価に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板と、上記表示板の両端部に設けてある第1および第2の永久磁石と、上記両永久磁石の外側にそれぞれ設けてある回転支軸と、上記両永久磁石とそれぞれ対向する位置に上記両永久磁石と磁気的に作用して上記表示板を反転させる電磁石装置とからなる磁気反転表示装置において、上記両回転支軸は、その軸部の径が互いに異なっていることを特徴とする。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0008】図1に示すように、その平面形状が略8角形をなし、アルミ材,プラスチック等の非磁性材料からなる薄肉の表示板1の両端部には、その中心部に係合穴部1a,1aを有する1対の突片1b,1bが一体的に形成してある。表示板1は、その表面1cが蛍光色等の明色に、裏面1dが光を反射しない暗色にそれぞれ着色されている。
【0009】表示板1の各突片1b,1bには、この表示板1と共に回転する第1および第2の円形永久磁石2,3、およびこの表示板1と共に回転しかつ表示板1を後述する支持ケースに対して反転可能に支持するための第1および第2の回転支軸4,5がそれぞれ係合するようになっている。
【0010】図1,2に示すように、第1および第2の円形永久磁石2,3は、プラスチックと磁石粉粒とを配合し成形したプラッチック磁石であって略円柱状をなし、その外周面がN極およびS極の2極に着磁されている。以下、このN極およびS極を結ぶ直線をそれぞれ磁極中心線21,31とよぶ。
【0011】第1の円形永久磁石2の磁極中心線21と、第2の円形永久磁石3の磁極中心線31とは互いに対称の関係にあり、図1に示すように、第1および第2の円形永久磁石2,3どうしを対向させたときに、その磁極中心線21,31の傾きが一致するようにそれぞれ着磁されている。
【0012】円形永久磁石2,3には、その軸方向中心より偏位した部分(図2下寄り)に、その対向面側からみて略T字状をなすように取付孔2a,3a(上側)および装着孔2b,3b(下側)が連設して設けてある。取付孔2a,3a側には表示板1が、装着孔2b,3b側には回転支軸4,5がそれぞれ取り付けられるようになっている。円形永久磁石2,3の取付孔2a,3aの内壁上側には、表示板1の板面と直交する方向に突出しかつ表示板1の突片1b,1bに形成してある係合穴部1a,1aと係合する係合突部2c,3cが形成してある。円形永久磁石2,3の装着孔2b,3bの内壁下側には、回転支軸4,5のスナップ片4b,5bの先端部が係合する係合凹部2d,3dが形成してある。
【0013】図1,3に示すように、第1および第2の回転支軸4,5の内側には、押え片4a,5aおよびスナップ片4b,5bが間隔をあけて二股状に形成してある。このように、両者4a,4bおよび5a,5bとを間隔をあけて二股状に形成することによって、両者間にバネ性(可撓性)を持たせてある。
【0014】回転支軸4,5の外側には、後述する支持ケース6に穿設してある支持孔6c,6dに係合する円柱状の軸部4c,5cが形成してある。ここで、第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cはその外径を互いに異ならせてあり、本実施例では、軸部4cの外径は軸部5cの外径の2倍としてある。軸部4c,5cの基部には、後述する支持ケース6から立設する支持アーム6a,6bの内面と当接する円形のつば部4d,5dが形成してある。
【0015】係合穴部1aと係合突部2c(3c)とを係合させた状態(図2に示す状態)で、装着孔2b(3b)の外側から回転支軸4(5)を挿入すると、その押え片4a(5a)とスナップ片4b(5b)とが互いに内方へ撓みながら装着孔2b(3b)内部を進入してゆく。回転支軸4(5)の押え片4a(5a)が表示板1の裏面1dおよび係合突部2c(3c)の下面に当接すると共に、スナップ片4b(5b)の先端部が円形永久磁石2(3)の係合凹部2d(3d)に係合することによって、表示板1の係合穴部1aと円形永久磁石2,3との係合が離脱不能に保持される(図3)。
【0016】円形永久磁石2(3)から表示板1を取り外すときは、回転支軸4(5)のスナップ片4b(5b)を持ち上げて係合凹部2d(3d)との係合を離脱し、円形永久磁石2(3)から回転支軸4(5)を外側へ引き出せば表示板1の係合穴部1aと円形永久磁石2,3との係合が離脱可能となり、円形永久磁石2(3)から表示板1を取り外すことができる。
【0017】このような構成であるため、表示板1、永久磁石2,3および回転支軸4,5を互いに接着または圧入固着により結合することなく、簡単に組立,分解することができる。
【0018】図4,5に示すように、上ケース61および下ケース62からなる支持ケース6には、所定の間隔をあけて支持アーム6a,6bが立設しており、各支持アーム6a,6bには、円形の支持孔6c,6dが穿設してある。ここで、支持孔6c,6dは第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cにそれぞれ対応するようになっている。すなわち、支持孔6cの内径aは支持孔6dの内径bの2倍としてある。
【0019】図4に示すように、支持孔6c,6dに、回転支軸4,5の軸部4c,5cを挿通させることによって、図5に示す磁気反転表示装置の1単位(ユニット)が完成する。
【0020】なお上記したように、第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cの外径を異ならせてあるため、大径の軸部4cが小径の支持孔6dには挿入不能となっている。したがって、支持孔6c,6dに、回転支軸4,5を左右逆にして装着することはできず、表示板1の左右を逆にして支持ケース6に装着するおそれがない。
【0021】支持ケース6の内部には電磁石装置7が内蔵されており、その構成について説明する。図5に示すように、その上端が円形永久磁石2,3と所定の間隔をあけて対向するように、ヨーク8,8が直立している。ヨーク8,8の下端部は、支持ケース6内のコイル鉄芯9に圧入固着してあり、このコイル鉄芯9には、コイルボビン10を介してコイル11が巻回されており、全体として電磁石装置7を構成している。
【0022】図4,5,8に示すように、支持アーム6bの近傍には、表示板1の表示状態を保持するためのストッパ片6eが立設してある。このストッパ片6eには、表示板1の表面1cが表示された状態で、その表示面(表面1c)が視認方向に対して垂直となるように表示板1を係止する第1の係止部6fと、表示板1が反転されその裏面1dが表示された状態で、その表示面(裏面1d)が視認方向に対して垂直からある角度だけ偏位した状態で表示板1を係止する第2の係止部6gが形成してある。これらの第1および第2の係止部6f,6gは、表示板1の各反転駆動時に、表示板1のハンチングを防止する働きをも有する。
【0023】ところで、従来の技術では、前述したように、表示板がストッパ片から浮いた状態で停止した状態となってしまうことがあるが、このような不具合を解決するために、本発明では、図1,8〜10に示すように、円形永久磁石2,3の外周にそれぞれ1対の凸部2e,2eおよび3e,3eを突設してある。
【0024】凸部2e,2eおよび3e,3eは、図1に示すように、円形永久磁石2,3の軸方向厚さと同じ長さを有しかつ円形永久磁石2,3の中心を挟んで対称位置にあり、後述する着磁方法により、円形永久磁石2,3の磁極(N極, S極)と対応する位置に設けてある。凸部2e,2eおよび3e,3eどうしを結ぶ直線(磁極中心線21,31)は、円形永久磁石2,3に取り付けた表示板1の板面と直交する線に対し角度dだけ偏位している。
【0025】このように外周に1対の凸部2e,2eおよび3e,3eを形成することによって、図10に示すように、ヨーク7の先端と円形永久磁石2,3の外周面との距離eに対し、ヨーク8の先端と凸部2e,3eとの距離fの方が小さくなり、磁気的吸引力は距離の2乗に反比例するので、図8,10に示す状態(表示板1の表面1cを表示する状態)では、円形永久磁石3に図8R>8,10の時計方向(右回り)の回転力が作用することになる。その結果、図8に示すように、円形永久磁石2(3)と一体の表示板1の裏面1dが、ストッパ片6eの第1の係止部6fに確実に当接し、表示板1の表面1cが表示された状態で、その表示面(表面1c)が視認方向に対して確実に垂直となる。
【0026】また、図9に示すように、表示板1が反転した場合にも同様にヨーク8の先端と円形永久磁石2,3の外周面との距離に対し、ヨーク8の先端と凸部2e,3eとの距離の方が小さくなり、磁気的吸引力は距離に反比例するので、図9の状態(表示板1の裏面1dが表示された状態)では、円形永久磁石3に反時計方向(左回り)の回転力が作用することになる。その結果、図9に示すように、円形永久磁石2(3)と一体の表示板1の裏面1dが、ストッパ片6eの第2の係止部6gに確実に当接する。
【0027】なお円形永久磁石2,3の外周に形成した1対の凸部2e,3eの形状は、図1に示した形状に限らず、円形永久磁石2,3の中心を挟んで対称位置に設けてあり、凸部2e,2eおよび3e,3eどうしを結ぶ直線は、円形永久磁石2,3に取付けた表示板1の表示面と直交する線に対し所定の角度だけ偏位しているという条件を満たすものであればよく、図11に示すように円形永久磁石2,3の軸方向厚さよりも短い長さを有するものであってもよい。
【0028】図12は他の実施例を示すものであり、図3R>3に示した回転支軸4(5)の軸部4c(5c)に代えて、凹状をなす軸部41c(51c)を設け、支持ケース6の支持アーム6a(6b)の支持孔6c(6d)に代えて、凸状をなす支持軸部61c(61d)を設けて構成してある。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、凹状をなす軸部41cと51cとの内径を互いに異ならせることによって、回転支軸41,51を左右逆にして装着することを防止することができる。
【0029】図13はさらに他の実施例を示すものであり、図2に示した表示板1の係合穴部1aに代えて係合突部101aを設け、円形永久磁石2(3)の係合突部2c(3c)に代えて係合穴部21c(31c)を設けて構成してある。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、回転支軸4(5)の押え片4a(5a)が表示板101の裏面101dに当接すると共に、スナップ片4b(5b)の先端部が円形永久磁石21(31)の係合凹部21d(31d)に係合することによって、表示板101の係合突部101aと円形永久磁石21(31)との係合が離脱不能に保持される。
【0030】図14はさらに他の実施例を示すものであり、図1,2に示した円形永久磁石2(3)の装着孔2b(3b)の係合凹部2d(3d)を省略することによってその下面をフラットにした装着孔21b(31b)となっており、回転支軸42(52)のスナップ片42b(52b)は円形永久磁石22(32)の厚みよりも長いものとなっている。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、装着孔21b(31b)の外側から装着される回転支軸42(52)のスナップ片42b(52b)の先端は、装着孔21b(31b)を貫通して内側に突出し、円形永久磁石22(32)の内壁面に係止することによって、表示板1と円形永久磁石22(32)とを離脱不能に保持することができる。
【0031】なお図示していないが、円形永久磁石2(3)に連設してある取付孔2a(3a)および装着孔2b(3b)は、側面からみて略T字状に形成してある必要はなく、同幅にて形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、表示板の両端部に位置する回転支軸の軸部の径を互いに異ならせてあるため、表示板を左右逆にして装着することを防止することができるので、所望の反転動作を得ることのできる磁気反転表示装置を簡単な構成で安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表示板,永久磁石および回転支軸の取付けを示す展開斜視図である。
【図2】表示板と永久磁石の取付けを示す要部拡大断面図である。
【図3】永久磁石と回転支軸の取付けを示す要部拡大断面図である。
【図4】表示板の支持ケースへの取付けを示す斜視図である。
【図5】磁気反転表示装置の断面図である。
【図6】凸部の無い永久磁石を用いた場合の表示状態を示す要部断面図である。
【図7】図6の拡大図である。
【図8】凸部の有る永久磁石を用いた場合の表示状態を示す要部断面図である。
【図9】凸部の有る永久磁石を用いた場合の他の表示状態を示す要部断面図である。
【図10】図8の拡大図である。
【図11】永久磁石の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】回転支軸の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図13】表示板と永久磁石の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図14】回転支軸と永久磁石の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 表示板
1c 表面
1d 裏面
2,3 永久磁石
4,5 回転支軸
4c,5c 軸部
7 電磁石装置
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示板を電磁石装置によって反転駆動させて所望の表示を行なうことのできる磁気反転表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】支持ケースに反転可能に支持されている表示板の両端部に永久磁石を設け、この永久磁石に対して磁気的吸引・反発力を加えて表示板を反転駆動する磁気反転表示装置が公知である(例えば特開昭56−62287号,特公昭63−35987号,特公平3−39316号など)。この磁気反転表示装置を複数個並設して、文字や記号などの表示を行なう。
【0003】このような従来の磁気反転表示装置においては、表示板の両端部に回転支軸や支持ピン等の中間部材を介して、支持ケースに表示板を反転可能に支持させてあり、この中間部材は左右とも同一形状をなしている、すなわち左右対称形であるのが一般である。また、表示板の両端部にそれぞれ設けてある永久磁石は、一方の磁極線と、他方の磁極線とが互いに対称の関係にあり、2つの永久磁石どうしを対向させたときに、その磁極線の傾きが一致するようにそれぞれ着磁されているのが一般である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁気反転表示装置においては、支持ケースに表示板を反転可能に支持するための中間部材が左右対称形であるため、支持ケースに対して表示板を左右逆にして装着するおそれがある。支持ケースに対して表示板を左右逆にして装着すると、表示板の両端部にそれぞれ設けてある永久磁石の磁極線の傾きが逆になってしまうため、所望の反転動作が得られないといった問題がある。
【0005】本発明の目的は、表示板を左右逆にして装着することを防止し、所望の反転動作を得ることのできる磁気反転表示装置を簡単な構成で安価に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板と、上記表示板の両端部に設けてある第1および第2の永久磁石と、上記両永久磁石の外側にそれぞれ設けてある回転支軸と、上記両永久磁石とそれぞれ対向する位置に上記両永久磁石と磁気的に作用して上記表示板を反転させる電磁石装置とからなる磁気反転表示装置において、上記両回転支軸は、その軸部の径が互いに異なっていることを特徴とする。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0008】図1に示すように、その平面形状が略8角形をなし、アルミ材,プラスチック等の非磁性材料からなる薄肉の表示板1の両端部には、その中心部に係合穴部1a,1aを有する1対の突片1b,1bが一体的に形成してある。表示板1は、その表面1cが蛍光色等の明色に、裏面1dが光を反射しない暗色にそれぞれ着色されている。
【0009】表示板1の各突片1b,1bには、この表示板1と共に回転する第1および第2の円形永久磁石2,3、およびこの表示板1と共に回転しかつ表示板1を後述する支持ケースに対して反転可能に支持するための第1および第2の回転支軸4,5がそれぞれ係合するようになっている。
【0010】図1,2に示すように、第1および第2の円形永久磁石2,3は、プラスチックと磁石粉粒とを配合し成形したプラッチック磁石であって略円柱状をなし、その外周面がN極およびS極の2極に着磁されている。以下、このN極およびS極を結ぶ直線をそれぞれ磁極中心線21,31とよぶ。
【0011】第1の円形永久磁石2の磁極中心線21と、第2の円形永久磁石3の磁極中心線31とは互いに対称の関係にあり、図1に示すように、第1および第2の円形永久磁石2,3どうしを対向させたときに、その磁極中心線21,31の傾きが一致するようにそれぞれ着磁されている。
【0012】円形永久磁石2,3には、その軸方向中心より偏位した部分(図2下寄り)に、その対向面側からみて略T字状をなすように取付孔2a,3a(上側)および装着孔2b,3b(下側)が連設して設けてある。取付孔2a,3a側には表示板1が、装着孔2b,3b側には回転支軸4,5がそれぞれ取り付けられるようになっている。円形永久磁石2,3の取付孔2a,3aの内壁上側には、表示板1の板面と直交する方向に突出しかつ表示板1の突片1b,1bに形成してある係合穴部1a,1aと係合する係合突部2c,3cが形成してある。円形永久磁石2,3の装着孔2b,3bの内壁下側には、回転支軸4,5のスナップ片4b,5bの先端部が係合する係合凹部2d,3dが形成してある。
【0013】図1,3に示すように、第1および第2の回転支軸4,5の内側には、押え片4a,5aおよびスナップ片4b,5bが間隔をあけて二股状に形成してある。このように、両者4a,4bおよび5a,5bとを間隔をあけて二股状に形成することによって、両者間にバネ性(可撓性)を持たせてある。
【0014】回転支軸4,5の外側には、後述する支持ケース6に穿設してある支持孔6c,6dに係合する円柱状の軸部4c,5cが形成してある。ここで、第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cはその外径を互いに異ならせてあり、本実施例では、軸部4cの外径は軸部5cの外径の2倍としてある。軸部4c,5cの基部には、後述する支持ケース6から立設する支持アーム6a,6bの内面と当接する円形のつば部4d,5dが形成してある。
【0015】係合穴部1aと係合突部2c(3c)とを係合させた状態(図2に示す状態)で、装着孔2b(3b)の外側から回転支軸4(5)を挿入すると、その押え片4a(5a)とスナップ片4b(5b)とが互いに内方へ撓みながら装着孔2b(3b)内部を進入してゆく。回転支軸4(5)の押え片4a(5a)が表示板1の裏面1dおよび係合突部2c(3c)の下面に当接すると共に、スナップ片4b(5b)の先端部が円形永久磁石2(3)の係合凹部2d(3d)に係合することによって、表示板1の係合穴部1aと円形永久磁石2,3との係合が離脱不能に保持される(図3)。
【0016】円形永久磁石2(3)から表示板1を取り外すときは、回転支軸4(5)のスナップ片4b(5b)を持ち上げて係合凹部2d(3d)との係合を離脱し、円形永久磁石2(3)から回転支軸4(5)を外側へ引き出せば表示板1の係合穴部1aと円形永久磁石2,3との係合が離脱可能となり、円形永久磁石2(3)から表示板1を取り外すことができる。
【0017】このような構成であるため、表示板1、永久磁石2,3および回転支軸4,5を互いに接着または圧入固着により結合することなく、簡単に組立,分解することができる。
【0018】図4,5に示すように、上ケース61および下ケース62からなる支持ケース6には、所定の間隔をあけて支持アーム6a,6bが立設しており、各支持アーム6a,6bには、円形の支持孔6c,6dが穿設してある。ここで、支持孔6c,6dは第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cにそれぞれ対応するようになっている。すなわち、支持孔6cの内径aは支持孔6dの内径bの2倍としてある。
【0019】図4に示すように、支持孔6c,6dに、回転支軸4,5の軸部4c,5cを挿通させることによって、図5に示す磁気反転表示装置の1単位(ユニット)が完成する。
【0020】なお上記したように、第1および第2の回転支軸4,5の軸部4c,5cの外径を異ならせてあるため、大径の軸部4cが小径の支持孔6dには挿入不能となっている。したがって、支持孔6c,6dに、回転支軸4,5を左右逆にして装着することはできず、表示板1の左右を逆にして支持ケース6に装着するおそれがない。
【0021】支持ケース6の内部には電磁石装置7が内蔵されており、その構成について説明する。図5に示すように、その上端が円形永久磁石2,3と所定の間隔をあけて対向するように、ヨーク8,8が直立している。ヨーク8,8の下端部は、支持ケース6内のコイル鉄芯9に圧入固着してあり、このコイル鉄芯9には、コイルボビン10を介してコイル11が巻回されており、全体として電磁石装置7を構成している。
【0022】図4,5,8に示すように、支持アーム6bの近傍には、表示板1の表示状態を保持するためのストッパ片6eが立設してある。このストッパ片6eには、表示板1の表面1cが表示された状態で、その表示面(表面1c)が視認方向に対して垂直となるように表示板1を係止する第1の係止部6fと、表示板1が反転されその裏面1dが表示された状態で、その表示面(裏面1d)が視認方向に対して垂直からある角度だけ偏位した状態で表示板1を係止する第2の係止部6gが形成してある。これらの第1および第2の係止部6f,6gは、表示板1の各反転駆動時に、表示板1のハンチングを防止する働きをも有する。
【0023】ところで、従来の技術では、前述したように、表示板がストッパ片から浮いた状態で停止した状態となってしまうことがあるが、このような不具合を解決するために、本発明では、図1,8〜10に示すように、円形永久磁石2,3の外周にそれぞれ1対の凸部2e,2eおよび3e,3eを突設してある。
【0024】凸部2e,2eおよび3e,3eは、図1に示すように、円形永久磁石2,3の軸方向厚さと同じ長さを有しかつ円形永久磁石2,3の中心を挟んで対称位置にあり、後述する着磁方法により、円形永久磁石2,3の磁極(N極, S極)と対応する位置に設けてある。凸部2e,2eおよび3e,3eどうしを結ぶ直線(磁極中心線21,31)は、円形永久磁石2,3に取り付けた表示板1の板面と直交する線に対し角度dだけ偏位している。
【0025】このように外周に1対の凸部2e,2eおよび3e,3eを形成することによって、図10に示すように、ヨーク7の先端と円形永久磁石2,3の外周面との距離eに対し、ヨーク8の先端と凸部2e,3eとの距離fの方が小さくなり、磁気的吸引力は距離の2乗に反比例するので、図8,10に示す状態(表示板1の表面1cを表示する状態)では、円形永久磁石3に図8R>8,10の時計方向(右回り)の回転力が作用することになる。その結果、図8に示すように、円形永久磁石2(3)と一体の表示板1の裏面1dが、ストッパ片6eの第1の係止部6fに確実に当接し、表示板1の表面1cが表示された状態で、その表示面(表面1c)が視認方向に対して確実に垂直となる。
【0026】また、図9に示すように、表示板1が反転した場合にも同様にヨーク8の先端と円形永久磁石2,3の外周面との距離に対し、ヨーク8の先端と凸部2e,3eとの距離の方が小さくなり、磁気的吸引力は距離に反比例するので、図9の状態(表示板1の裏面1dが表示された状態)では、円形永久磁石3に反時計方向(左回り)の回転力が作用することになる。その結果、図9に示すように、円形永久磁石2(3)と一体の表示板1の裏面1dが、ストッパ片6eの第2の係止部6gに確実に当接する。
【0027】なお円形永久磁石2,3の外周に形成した1対の凸部2e,3eの形状は、図1に示した形状に限らず、円形永久磁石2,3の中心を挟んで対称位置に設けてあり、凸部2e,2eおよび3e,3eどうしを結ぶ直線は、円形永久磁石2,3に取付けた表示板1の表示面と直交する線に対し所定の角度だけ偏位しているという条件を満たすものであればよく、図11に示すように円形永久磁石2,3の軸方向厚さよりも短い長さを有するものであってもよい。
【0028】図12は他の実施例を示すものであり、図3R>3に示した回転支軸4(5)の軸部4c(5c)に代えて、凹状をなす軸部41c(51c)を設け、支持ケース6の支持アーム6a(6b)の支持孔6c(6d)に代えて、凸状をなす支持軸部61c(61d)を設けて構成してある。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、凹状をなす軸部41cと51cとの内径を互いに異ならせることによって、回転支軸41,51を左右逆にして装着することを防止することができる。
【0029】図13はさらに他の実施例を示すものであり、図2に示した表示板1の係合穴部1aに代えて係合突部101aを設け、円形永久磁石2(3)の係合突部2c(3c)に代えて係合穴部21c(31c)を設けて構成してある。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、回転支軸4(5)の押え片4a(5a)が表示板101の裏面101dに当接すると共に、スナップ片4b(5b)の先端部が円形永久磁石21(31)の係合凹部21d(31d)に係合することによって、表示板101の係合突部101aと円形永久磁石21(31)との係合が離脱不能に保持される。
【0030】図14はさらに他の実施例を示すものであり、図1,2に示した円形永久磁石2(3)の装着孔2b(3b)の係合凹部2d(3d)を省略することによってその下面をフラットにした装着孔21b(31b)となっており、回転支軸42(52)のスナップ片42b(52b)は円形永久磁石22(32)の厚みよりも長いものとなっている。その他の構成は第1の実施例と実質的に同一である。この場合、装着孔21b(31b)の外側から装着される回転支軸42(52)のスナップ片42b(52b)の先端は、装着孔21b(31b)を貫通して内側に突出し、円形永久磁石22(32)の内壁面に係止することによって、表示板1と円形永久磁石22(32)とを離脱不能に保持することができる。
【0031】なお図示していないが、円形永久磁石2(3)に連設してある取付孔2a(3a)および装着孔2b(3b)は、側面からみて略T字状に形成してある必要はなく、同幅にて形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、表示板の両端部に位置する回転支軸の軸部の径を互いに異ならせてあるため、表示板を左右逆にして装着することを防止することができるので、所望の反転動作を得ることのできる磁気反転表示装置を簡単な構成で安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表示板,永久磁石および回転支軸の取付けを示す展開斜視図である。
【図2】表示板と永久磁石の取付けを示す要部拡大断面図である。
【図3】永久磁石と回転支軸の取付けを示す要部拡大断面図である。
【図4】表示板の支持ケースへの取付けを示す斜視図である。
【図5】磁気反転表示装置の断面図である。
【図6】凸部の無い永久磁石を用いた場合の表示状態を示す要部断面図である。
【図7】図6の拡大図である。
【図8】凸部の有る永久磁石を用いた場合の表示状態を示す要部断面図である。
【図9】凸部の有る永久磁石を用いた場合の他の表示状態を示す要部断面図である。
【図10】図8の拡大図である。
【図11】永久磁石の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】回転支軸の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図13】表示板と永久磁石の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図14】回転支軸と永久磁石の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 表示板
1c 表面
1d 裏面
2,3 永久磁石
4,5 回転支軸
4c,5c 軸部
7 電磁石装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板と、上記表示板の両端部に設けてある第1および第2の永久磁石と、上記両永久磁石の外側にそれぞれ設けてある回転支軸と、上記両永久磁石とそれぞれ対向する位置に上記両永久磁石と磁気的に作用して上記表示板を反転させる電磁石装置とからなる磁気反転表示装置において、上記両回転支軸は、その軸部の径が互いに異なっていることを特徴とする磁気反転表示装置。
【請求項1】 反転可能に支持され表面と裏面で色が異なっている表示板と、上記表示板の両端部に設けてある第1および第2の永久磁石と、上記両永久磁石の外側にそれぞれ設けてある回転支軸と、上記両永久磁石とそれぞれ対向する位置に上記両永久磁石と磁気的に作用して上記表示板を反転させる電磁石装置とからなる磁気反転表示装置において、上記両回転支軸は、その軸部の径が互いに異なっていることを特徴とする磁気反転表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図14】
【公開番号】特開平8−44305
【公開日】平成8年(1996)2月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−176943
【出願日】平成6年(1994)7月28日
【出願人】(000002381)株式会社精工舎 (8)
【公開日】平成8年(1996)2月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)7月28日
【出願人】(000002381)株式会社精工舎 (8)
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