説明

移動体用経路案内表示装置

【課題】広告画面の作成に専門知識を要することなく、広告画面にリンクした精度の高い経路案内を可能にする技術を提供する。
【解決手段】一部に操作要素を含む広告画面情報が複数記録された記録媒体18と、地図情報を記憶する地図情報記憶部22とを備え、制御部21は、記録媒体18に記録された複数の広告画面情報のうち、選択された広告画面情報を読み取って表示部23に表示すると共に、選択された広告画面情報に含まれる操作要素の操作が検知されると、当該操作要素に関連づけられた目的地情報から地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から目的地までの地図情報を生成して表示部23に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告画面情報の一部に関連づけて自動設定される目的地情報に従い経路案内表示を行う、特に、車両に用いて好適な、移動体用経路案内表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の進歩に伴うインターネットや携帯電話の普及により、集客を目的とした広告情報の配信が盛んに行われ、活用されるようになった。又、これを実現するための通信インフラも整備され、これを用いたビジネスモデルやシステムについても多数特許出願されている。
【0003】
例えば、インターネットで提供される広告画面に含まれる「経路設定(GO)ボタン」をクリックすることにより、目的地を自動設定してナビゲーションを行う技術が知られている(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
特許文献1に開示された技術によれば、広告主は、広告看板を設置することなく広告及び集客が可能であり、又、利用者は、目的地設定を行うこと無く自動で経路案内が行われるため、目的地設定操作のための手間を省くことができる。
【0004】
また、広告配信についてのノウハウを持たない広告主でも簡単な手続きで広告を配信できるように、通信事業者が、広告主から広告情報を受信し、必要なデータ形式にフォーマット変換してデータ配信業者に送信するビジネスモデル、及びその実現方法も知られている(例えば、特許文献2(図1)参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、HTML(Hyper Text Markup Language)形式で作成された広告画面の「GOボタン」をクリックすることにより、サーバが保持する地図データに基づき経路案内が行われるのに対し、車両の移動に伴ない時々刻々と変化する利用者の現在地との関係についての情報が無い。
精度の高い経路案内を行なうためには、サーバが有する地図情報と車載機器が有する地図情報との間の連携が必要である。
又、広告主は、広告画面を作成するにあたり、HTMLタグに関する専門知識を要する。従って、広告画面は誰でも作成できるものではないといった課題も有する。
【0006】
又、特許文献2に開示された技術によれば、広告主はHTMLタグに関する専門知識は不要であるが、通信事業者に広告画面情報の作成業務を委託するため、コストアップとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−333455公報
【特許文献2】特開2004−287300公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、広告画面情報の作成に専門知識を要することなく、広告画面情報にリンクした精度の高い経路案内を可能にする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、一部に操作要素を含む広告画面情報が複数記録された記録媒体と、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、広告画面情報及び地図情報を表示するための表示部と、記録媒体に記録された複数の広告画面情報のうち選択された広告画面情報を読み取って表示部に表示する制御部と、を備え、制御部は、選択された広告画面情報に含まれる操作要素が操作されたことを検知したときに、操作要素に関連づけられた目的地情報から地図情報記憶部に記憶された地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から目的地までの地図情報を生成し、この地図情報を前記表示部に表示させるように制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の移動体用経路案内表示装置において、記録媒体に記録される広告画面情報は、ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置により、操作要素を含む広告画面のファイル容量が予め規定された標準形式に基づき作成されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、制御部は、選択された広告画面情報に含まれる操作要素の操作が検知されると、操作要素に関連づけられた目的地情報から地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から目的地までの地図情報を生成して表示部に表示する。
このように、広告画面情報に含まれる操作要素に関連付けられた目的地情報に基づき、自身で持つ地図情報に従う経路探索を行ない、その経路案内を行なうため、サーバが有する地図情報に基づく経路案内と比較して、現在地から自動設定された目的地まで精度の高い経路案内が可能になる。
【0012】
請求項2に係る発明では、記録媒体に記録される広告画面情報は、ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置により作成される。ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置として、例えば、パワーポイント(登録商標)等、広く流通し、標準的に使用されている米国マイクロソフト社提供のOffice2007がインストールされたパソコンを用いて広告画面情報を作成することにより、作成言語に関する専門知識が不要になる。
又、操作要素を含む広告画面のファイル容量が予め規定された標準形式に基づき作成することで、HTMLタグを使用し、配置やサイズ等、形式にとらわれず自由に作成する場合に比較して、広告画面情報の作成に必要なメモリ容量を抑制することができるといった効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る移動体用経路案内表示装置に広告画面情報をインストールするまでの処理手順を工程毎に模式的に示した図である。
【図2】広告画面情報作成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】広告画面情報を作成する処理手順をフローチャートで示した図である。
【図4】広告画面情報作成装置が生成する画面の遷移例を示した図である。
【図5】本発明の実施例に係る移動体用経路案内表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例に係る移動体用経路案内表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例に係る移動体用経路案内表示装置が生成する画面の遷移例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、広告画面情報の作成処理の流れから説明する。
【0016】
広告画面情報は、例えば、パワーポイント(登録商標)等の「Office2007」がアプリケーションソフトウエアとしてインストールされたWindows(登録商標)をOS(Operating System)として搭載する広告画面情報作成装置10(以下、単に作成装置10という)により作成される。
作成装置10で作成された広告画面情報は、例えば、SD(登録商標)メモリカードを記録媒体として、カーナビゲーション機能を有する車載装置のプラットホームとなるWindows(登録商標) AutomotiveをOSとして搭載した移動体用経路案内表示装置20(以下、単に車載装置20という)にインストールされる。
【0017】
図1において、広告主は、第1工程S11で、使い慣れたアプリケーションソフトウエア(ここでは、パワーポイント(登録商標))を作成装置10上で実行することにより、識別子がPPTXである広告画面情報を作成する。ここでは、広告画面情報の作成をより容易化するため、あるいは後述するようにファイル容量を抑制するために、テキスト、グラフィックス、画像等の文書の各構成メディアのサイズ、及び配置が固定されたテンプレートを使用するものとする。尚、テンプレートの詳細については後述する。
【0018】
次に、広告主は、第2工程S12で、文書変換ツールであるPPT2XML(eXtensible Markup Language)を使用することで文書ファイルの変換を行なう。PPT2XMLにより、車載装置20で操作可能な、AUI(Automotive User Interface)XMLテキストデータと、テンプレートに埋め込まれた画像データとが出力される。このため、作成装置10とはプラットホームが異なる車載装置20で、作成装置10により作成されたパワーポイント(登録商標)の広告画面情報を扱うことができるようになる。
【0019】
次に、広告主は、第3工程S13で、文書変換により生成されたAUIXMLと画像を、車両GUI(Graphical User Interface)の開発ツールであるAUITK(Automotive User Interface Tool Kit)を用いたコンパイルを行う。尚、これら一連のコンパイルは、作成装置10にインストールされたプログラムを実行するだけなので、専門知識が無くても容易に実行できる。
このコンパイルにより、作成装置10で作成された広告画面情報は、プラットホームの異なる車載装置20の画面上でレイアウト表示可能なスキンファイル(.skn)に変換される。そして、このスキンファイルを記録媒体であるSD(登録商標)メモリカードに記録する。
【0020】
最後に、第4工程S14で、広告主又はサービス仲介業者(例えば、レンタカー業者)がSD(登録商標)メモリカードに記録されたスキンファイルを車載装置20にインストールする。
この操作により、車載装置20に作成装置10で作成された広告画面情報を表示することができる。そして、ドライバが車載装置20に表示された広告画面情報に含まれる操作要素(ボタンアイコン)をクリック操作することにより、そのボタンアイコンにハイパーリンクで設定された目的地(広告先)が経路案内プログラムに引き渡される。その結果、ドライバは、目的地の設定操作無しに広告案内先の経路探索を実行でき、現在地から目的地までの精度の高い経路案内が可能になる。
【0021】
このため、作成装置10には、広告画面情報を作成するパワーポイント(登録商標)、エクセル(登録商標)、ワード(登録商標)等のOffice2007(登録商標)アプリケーションソフトウエアの他に、PPT2XML、スキンファイル作成のためのAUITK、スキンファイルをSD(登録商標)メモリカードに記録するカードドライバソフトウエア等を予めインストールし、或いは組み込んでおく必要がある。
【0022】
図2は、上述した広告画面情報を作成する作成装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、作成装置10は、制御部11と、主記憶部12と、描画・表示制御部13と、操作部14と、表示部15と、HDD(Hard Disc Drive)16と、メモリカード制御部17と、により構成される。
これらハードウエアブロック11〜17は、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成される双方向のシステムバス19に共通接続される。
【0023】
制御部11は、例えば、マイクロプロセッサを含み、このマイクロプロセッサは、主記憶部12に格納されたOSの下で、パワーポイント等のアプリケーションソフトウエアを実行してXML形式の広告画面情報を生成する機能を有する。
描画・表示制御部13は、制御部11により生成される広告画面情報を主記憶部12の一部領域に割り当てられた表示画面領域(VRAM:Video RAM)にビットマップ又はベクトル形式で描画すると共に、描画された広告画面情報を、表示部15の表示タイミングに同期して読み出し、表示部15の画面に表示する機能を有する。
【0024】
操作部14には、例えば、電源スイッチ、文字キー、数字キー、各種機能が割り当てられたファンクションキー等がマトリクス状に配置されており、これらスイッチやキーがユーザ(ここでは広告主)によって操作された場合に、その操作内容に応じた信号を生成し、これをユーザ指示として制御部11に供給する。
表示部15は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配置して構成される、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)を含む。表示部15は、描画・表示制御部13により制御され、制御部11により生成される広告画面情報を表示する。
【0025】
HDD16は、不揮発性の大容量記憶デバイスであり、主記憶部12に常駐しないプログラムや大量の各種データが格納される。
メモリカード制御部17は、作成装置10の不図示のカードスロットに実装されるSD(登録商標)メモリカード18と、システムバス19とのインタフェースを司る。具体的に、メモリカード制御部17は、制御部11からの要求に基づき、接続されるSD(登録商標)メモリカード18へのデータのリードライトを行う。ここでは、SD(登録商標)メモリカード18に、制御部11により生成される広告画面情報を記録する(書き込む)。
【0026】
尚、SD(登録商標)メモリカード18のファイル管理は、制御部11が有するFAT(File Allocation Table)に基づく。周知のように、SD(登録商標)メモリカード18は、内部にフラッシュメモリと専用コントローラが内蔵されており、CPRM(Content Protection Recordable Media)と呼ばれるセキュリティ機能を持つ。具体的には、SD(登録商標)メモリカード18内部の制御回路と接続機器である作成装置10との整合性が確認された場合にのみ、保護データ領域への書き込みが可能になる。この機能を使用すれば、SD(登録商標)メモリカード18に記録された広告画面情報のセキュリティを維持でき、著作権管理等が可能になる。
【0027】
次に、図3に示すフローチャートと、図4に示す画面遷移図を参照して、図2に示す作成装置10による広告画面情報の生成処理について詳細に説明する。
【0028】
広告主は、作成装置10を操作してパワーポイントを立ち上げた後、ステップS101でテンプレートの読み出しを行う。
テンプレートの読み出しにあたり、広告主が操作部14を操作することにより、制御部11がこれを検知して、主記憶部12の一部領域に格納されたテンプレートを読み出し、描画・表示制御部13を介して表示部15に表示する。このとき、制御部11は、ステップS102で、テンプレートを使用して作成されるPPTスライド毎に固有のID(画像管理ID)を採番し、この画像管理IDを作成されるPPTスライドに関連づけて主記憶部12の所定の領域に記憶しておく。画像管理IDは後述する画面遷移のハイパーリンク設定に用いる。
【0029】
表示部15に表示されるテンプレートの一例が図4(a)に示されている。
図4(a)によれば、テンプレートは、テキストボックス領域aと、画像ボックス領域bと、ボタンアイコン(操作要素)領域cとに領域分割され、割り当てられている。テキストボックス領域aには、広告主が操作部14を操作することにより入力されるテキストデータが、画像ボックス領域bには、広告主が操作部14を操作することにより取り込まれる写真等の画像が貼り付けられる。
【0030】
次に、広告主は、ステップS103で、表示部15に表示されるテンプレートを用い、操作部14を操作することによってPPTスライドの作成を開始する。
又、スライド作成にあたり、広告主は、後述するように領域毎に書式設定を行ない、書式設定後に広告情報を入力する。
【0031】
テキストボックス領域aは、サイズ及びレイアウトが固定であり、例えば、図4(b)に示されるように、縦書き/横書きの別、余白等の書式データが設定される。図示省略したが、画像ボックス領域bについても同様である。
又、ボタンアイコン領域cには、画面内における表示位置、サイズ、「次へ」、「戻り」、「目的地設定」等、貼り付けられるテキストが設定されると共に、クリックされたときの画面遷移先や目的地がハイパーリンクで関連付けられ設定定義される(ステップS104)。
【0032】
ここでは画面遷移先として画像管理IDが設定され、目的地として、例えば、図4(c)の楕円枠A内に示されるように、マップコード(登録商標)が設定される。
マップコード(登録商標)とは、全国をメッシュ分割し、各々のメッシュ、及びメッシュ内での相対位置を一律にコード表現したものである。尚、目的地として、マップコード以外に、車載装置20で目的地設定による経路探索が可能な、住所や、電話番号、緯度・経度等で代替してもよい。
【0033】
上述したボタンアイコンにハイパーリンクで関連付けられる画面遷移先と目的地が設定された後、広告主が、操作部14を操作することによってファイル保存指令を発すると、制御部11は、作成されたPPTスライドの保存形式であるPPTXファイルを生成した後、ステップS105で、車載装置20でそのPPTXファイルのファイル操作が可能となるようにAUIに準拠したXMLに文書変換を行う。
そして、ステップS106で、スキン定義後、生成されたスキンファイルを、メモリカード制御部17を介してSD(登録商標)メモリカード18に保存する。続いて、ステップS107で、SD(登録商標)メモリカード18による車載装置20へのインストールが実行される。尚、車載装置20へのインストールを通信により実行してもよい。この場合のスキンファイルは、後述する主記憶部212に記憶される。
【0034】
尚、上述した文書変換(S105)、スキン定義及びSD(登録商標)保存(S106)、車載装置20へのインストール(S107)の各操作ステップは、図1で説明した、工程S12、S13、S14のそれぞれの手順と対応するものであるため、詳細な説明を重複回避の意味で省略する。
【0035】
次に、広告画面情報がインストールされた後の車載装置20について説明する。
図5に示されるように、車載装置20は、制御部21と、地図情報記憶部22と、表示部23と、操作部24と、センサ部25と、により構成される。これらハードウエアブロック21〜25は、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成される双方向のシステムバス26に共通接続される。
【0036】
制御部21は、SD(登録商標)メモリカード18に記録された複数の広告画面情報のうち選択された広告画面情報を読み取って表示部23に表示する機能を有する。
又、制御部21は、選択された広告画面情報に含まれる操作要素の操作が検知されると、その操作要素に関連づけられた目的地情報から地図情報記憶部22に記憶された地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から目的地までの地図情報を生成して表示部23に表示する機能を合わせ持つ。
【0037】
このため、制御部21は、主制御部211と、主記憶部212と、描画・表示制御部213と、メモリカード制御部214とを含み構成される。
【0038】
主制御部211は、マイクロプロセッサを含み、SD(登録商標)メモリカード18に記録された広告画面情報を使用しながら、主記憶部212に格納された経路案内等、ナビゲーション用のアプリケーションソフトウエアを逐次読み出して実行することにより、制御部21が有する上記の機能を実行する。
即ち、主制御部211は、選択された広告画面情報に含まれる操作要素の操作が検知されると、その操作要素に関連づけられた目的地情報から地図情報記憶部22に記憶された地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から目的地までの地図情報を生成して表示部23に表示する制御部21としての機能を実現するために、システムバス26経由で接続される描画・表示制御部213、及びメモリカード制御部214のシーケンス制御を行う。
【0039】
描画・表示制御部213は、SD(登録商標)メモリカード18から読み出された広告画面情報を主記憶部212の一部領域に割り当てられるVRAM領域に描画すると共に、描画された広告画面情報を、表示部23の表示タイミングに同期して読み出し、表示部23に表示する機能を有する。
メモリカード制御部214は、車載装置20の不図示のカードスロットに実装されるSD(登録商標)メモリカード18と、システムバス26とのインタフェースを司る。具体的に、メモリカード制御部214は、主制御部211からの要求に基づき、接続されるSD(登録商標)メモリカード18へのデータのリードライトを行う。ここでは、SD(登録商標)メモリカード18から、作成装置10により作成された広告画面情報を取り込む(読み出し)。
【0040】
地図情報記憶部22には、地図情報が格納されている。ここに格納される地図情報は、地図の要素であるリンク(例えば、道路)とノード(交差点)からなり、全国の単位正方形に相当するメッシュの単位でファイルとして格納されているものとする。
尚、この地図情報は、大容量のHDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital versatile Disc)に格納されるものとする。
【0041】
表示部23は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配置して構成される、例えば、LCDや有機ELを含む。表示部23は、描画・表示制御部213により制御され、制御部21により生成される地図情報や経路案内情報の他に、SD(登録商標)メモリカード18から読み出された操作要素(ボタンアイコン)を含む広告画面情報を表示する。
操作部24は、例えば、電源スイッチ、文字キー、数字キー、各種機能が割り当てられたファンクションキー等がマトリクス状に配置されており、これらスイッチやキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に応じた信号を生成し、これをユーザ指示として制御部21に供給する。
【0042】
尚、ここでは、表示部23と、操作部24とが、それぞれ独立して存在するものとして説明したが、例えば、タッチパネルのように、表示と操作入力機能が一体化された入出力デバイスで代替しても良い。
【0043】
センサ部25は、GPS(Global Positioning System)センサ、ジャイロ、車速センサ等、車両の各部に実装されるセンサである。
ここで検知され生成される各種センサ信号はA/D(Analog/Digital)変換され、不図示の入出力ポート、システムバス26経由で、制御部21(主制御部211)に供給される。ここで得られる情報は、主制御部211が経路案内するときの車両の現在地判定条件として使用される。
【0044】
次に、図6に示すフローチャートと、図7に示す画面遷移図を参照して、図5に示す車載装置20による広告画面情報からの経路案内処理動作について詳細に説明する。
【0045】
まず、電源が投入されると、制御部21(主制御部211)は、ステップS201で、描画・表示制御部213を介し、表示部23にナビゲーション用のトップメニュー画面を表示する。このトップメニュー画面には、経路案内、施設案内等、通常のナビゲーション用メニューの他に、「広告閲覧メニュー」が含まれているものとする。
【0046】
ステップS202で、ドライバが操作部24を操作することにより広告閲覧メニューを選択したとする。これを検知した主制御部211は、ステップS203で、メモリカード制御部214を駆動してSD(登録商標)メモリカード18から選択された広告画面情報を読み出す。そして、主記憶部212の所定の領域に展開して記憶すると共に、ステップS204で、描画・表示制御部213を駆動して表示部23に広告に関するトップ画面を表示する。
【0047】
図7(a)に広告のトップメニューの画面構成例が示されている。
図7(a)によれば、表示部23に、景色を背景とした旅行案内画面が表示され、画面下部には、画面遷移を指示するために割り当てられた、ボタンアイコンd、e(「観光」、「宿泊」)が表示されている。
【0048】
ステップS205で、ドライバが操作部24を操作することにより、ボタンアイコンe(「宿泊」)がクリック操作されたとする。主制御部211はこれを検知して、ボタンアイコンeにハイパーリンク設定されてある画像管理IDに対応して記憶されているスライドを主記憶部212から読み出す。そして、ステップS206で、描画・表示制御部213を駆動して表示部23に次階層画面を表示する。ここに表示される次階層画面は、例えば、図7(b)に示す宿泊場所の案内画面である。
【0049】
図7(b)に示す案内画面には、画面下部に、画面遷移を指示するボタンアイコンf、g(「次へ」、「戻る」)が割り当てられ表示されている。
ここで、ステップS207で、ドライバが操作部24を操作することにより、ボタンアイコンg(「次へ」)がクリック操作されると、主制御部211がこれを検知する。そして、主制御部211は、ステップS208で、主記憶部212から、ボタンアイコンgにハイパーリンク設定された画像管理IDに対応して記憶されているスライドを読み出し、描画・表示制御部213を駆動して表示部23に表示する。ここに表示される画面は、例えば、図7(c)に示すホテル案内画面である。
【0050】
次に、主制御部211は、ステップS209で、ボタンアイコン(「戻る」)のクリック操作の有無を判定する。
ここで、ボタンアイコンf(「戻る」)のクリック操作があった場合には、ステップS206の先に展開された図7(b)に示す画面表示に戻り、クリック操作が無かった場合は、図7(c)に示すホテル案内画面を表示する。
【0051】
図7(c)に示すホテル案内画面によれば、テキストと画像によるホテル広告の他に、画面下部に、ボタンアイコンh、iが割り当てられ表示される。
ボタンアイコンhは「戻る」、ボタンアイコンiは「目的地設定」を示し、各ボタンアイコンh、iには、画面遷移先、目的地であるマップコード、のそれぞれがハイパーリンク設定されている。
【0052】
ここで、ボタンアイコンi(「目的地設定」)がドライバによりクリック操作されると、主制御部211は、ステップS210でこれを検知し、主記憶部212の所定の領域に割り当てられ記憶されている「経路案内プログラム」をコールする。
このコールに応答して主記憶部212内の「経路案内プログラム」が起動すると、主制御部211は、ステップS211で、ボタンアイコンi(「目的地設定」)にハイパーリンク設定されたマップコードを経路探索のための目的地として設定し、ステップS212で、経路探索処理を実行する。
【0053】
この経路探索処理を実行するにあたり、主制御部211は、センサ部25から取得されるセンサ信号により車両の現在地の測位演算を行なう。そして、測位演算により得られた現在地を起点とする目的地までの1以上の経路候補を、地図情報記憶部22に格納された地図情報から探索して経路情報を生成し、ここで生成した1以上の経路情報を候補として、描画・表示制御部213に転送する。
【0054】
これを受けて、描画・表示制御部213では、ステップS213で、主制御部211により生成される1以上の経路情報を、主記憶部212の一部領域に割り当てられ記憶されるVRAM領域に、例えばビットマップ形式で描画する。
続いて、表示部23の表示タイミングに同期して先に描画した1以上の経路候補情報をVRAMから読み出し、表示部23に表示する。そして、ドライバが操作部24を操作することによる1以上の経路情報の選択操作を経て、選択された経路情報を表示部23に表示する。又、このとき、表示の他に、音声等によって経路案内が行われ、ドライバを宿泊先である目的地に誘導する。
【0055】
以上説明のように、本発明の実施例に係る移動体用経路案内表示装置(車載装置20)によれば、広告画面情報作成装置(作成装置10)により作成された広告画面情報に含まれる操作要素(ボタンアイコン)に関連付けられた目的地情報に基づき、自身で持つ地図情報から経路探索を行ない、その経路案内を行なう。
従って、サーバが有する地図情報に基づく経路案内と比較して、車両の現在地から自動設定された目的地まで精度の高い経路案内が可能になる。
【0056】
又、本発明の実施例に係る請求項2に係る移動体用経路案内表示装置(車載装置20)によれば、SD(登録商標)メモリカード18等の記録媒体に記録される広告画面情報は、ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置(作成装置10)により作成される。
このため、ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置として、例えば、パワーポイント等、市場に広く流通し標準的に使用されている米国マイクロソフト社提供のOffice2007がインストールされた作成装置10を用いることで、広告画面情報を作成するときに必要であった言語に関する専門知識が不要になり、従って、Office2007の使用に馴染んだ誰もが広告画面情報を簡単に作成することができる。
【0057】
更に、操作要素を含む広告画面情報を作成するにあたり、この広告画面情報のファイル容量が予め規定されたテンプレート等の標準形式に基づき作成することで、HTMLタグを使用し、配置やサイズ等、形式にとらわれず自由に作成する場合に比較して、必要なメモリ容量を抑制することができるといった効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の移動体用経路案内表示装置は、ナビゲーション機能を有する車載装置20に限らず、携帯電話、航空機等、移動体の全てに適用が可能である。但し、地図情報は、サーバから取得することなく、内蔵する地図情報を使用することとする。このため、特に、携帯電話の場合には、SD(登録商標)メモリカード等、小型で比較的大容量のリムーバブル記録媒体に地図情報を保存しておくことが考えられる。
【符号の説明】
【0059】
10…広告画面情報作成装置(作成装置)、11…制御部、12…主記憶部、13…描画・表示制御部、14…操作部、15…表示部、16…HDD、17…メモリカード制御部、18…SD(登録商標)メモリカード、19…システムバス、20…移動体用経路案内表示装置(車載装置)、21…制御部、22…地図情報記憶部、23…表示部、24…操作部、25…センサ部、26…システムバス、211…主制御部、212…主記憶部、213…描画・表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に操作要素を含む広告画面情報が複数記録された記録媒体と、
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
前記広告画面情報及び前記地図情報を表示するための表示部と、
前記記録媒体に記録された前記複数の広告画面情報のうち選択された広告画面情報を読み取って前記表示部に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記選択された広告画面情報に含まれる前記操作要素が操作されたことを検知したときに、前記操作要素に関連づけられた目的地情報から前記地図情報記憶部に記憶された地図情報に基づく経路探索のための演算を行い、現在地から前記目的地までの地図情報を生成し、この地図情報を前記表示部に表示させるように制御する移動体用経路案内表示装置。
【請求項2】
前記記録媒体に記録される前記広告画面情報は、
ハイパーリンク機能を有する広告画面情報作成装置により、前記操作要素を含む広告画面のファイル容量が予め規定された標準形式に基づき作成されたものであることを特徴とする請求項1記載の移動体用経路案内表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−232078(P2011−232078A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100774(P2010−100774)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【出願人】(301001878)株式会社デジタルコミュニケーションズ (3)
【Fターム(参考)】