説明

移動広告用装置

【課題】実質的に天井面を宣伝・広告に利用きると共に、天井面を含めた全ての広告シートに目地や影が映し出されないようにして宣伝・広告を行えるようにした移動広告用装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台に取り付けられて使用する移動広告用装置であり、フレーム材を組み付けてなる骨格フレームと、フレーム材に沿って取り付けられて、骨格フレームにより形成される前方面、後方面、左右側面、及び天井面をそれぞれ塞ぐ広告シートと、骨格フレームの内側に収容され、かつ、広告シートに対向する面にそれぞれ反射パネルが取り付けられて、各広告シートと反射パネルとの間に所定の空間領域を形成せしめる架台と、架台の天井面側上面に設けられた支持部材を介して取り付けられて、天井面の広告シートを支える透明性の板材と、上記各空間領域にそれぞれ備え付けられて、広告シートを光らせることができる照明手段とを有する移動広告用装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の荷台に取り付けられて、道路を走行しながら宣伝・広告を行うことができる移動広告用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宣伝・広告の用途や要望が多種多様化するなかで、トラック、トレーラー、ピックアップ車等の車両の荷台を利用して、車両を走行させながら、通行人等に宣伝・広告を行う方法が検討されている。例えば特開2008-134,457号公報(特許文献1)には、海上運搬に用いられるコンテナ等を改造した骨格フレーム33の前面4a、左右側面4b,4c、上面(天井面)4d、及び後面4eに、広告シートをラッピングした透明又は半透明性の樹脂からなる透光性パネル21を取り付けて広告ボックス4を作製し、トレーラーの荷台に搭載して、広告ボックス4の内部に設けた蛍光灯23等の照明手段によって透光性パネル21を光らせることで、トレーラーを移動させながら宣伝・広告を行う装置が報告されている。そして、この特許文献1に記載の装置によれば、道路上にいる人たちのみならず、広告ボックス4の天井面にも透光性パネルが取り付けられていることから、ビル等の高い場所にいる人たちへの宣伝・広告も可能になるとする。
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載の装置に関し、トレーラーの荷台のサイズに対応するような一枚ものの樹脂製の透光性パネルは存在せず、存在したとしても極めて高価であり、実際には、ある程度の大きさを有したパネルを複数枚継ぎ足して使用するしかなく、そのため、特許文献1に記載されるような広告ボックスを作製すると、内部に設けた照明手段によって、透光性パネルには目地の部分が影のように現れて、意匠性を損ねてしまうことから、文字や絵柄等の広告内容に制限が生じてしまう。また、広告等が印刷された広告シートをラッピングした透光性パネルは、外気温度や紫外線等の影響によって透光性パネルに貼り付いてしまうおそれがあり、宣伝・広告が終了した広告シートを別の新たなものに取り替えようとすると、樹脂製の透光性パネルごと交換が必要になり、宣伝・広告費用が増大してしまうといった問題もある。更には、海上運搬用コンテナ等の側面を取り外すなどして得た骨格フレームでは、強度に問題があり、車両の荷台への積み降ろしの際に変形してしまうおそれがあり、特に、20フィート又は40フィートもある海上運搬用コンテナでは、コンテナの長さ方向(車両又は荷台の長さ方向)のねじれが生じる可能性が高いことから、天井面に透光性パネルを取り付けると、骨格フレームの歪みによって透光性パネルが破損したり、落下するおそれがある。そのため、実際に広告ボックスの天井面を宣伝・広告に利用しようとして、透光性パネルを取り付けるためには、骨格フレームの天井面に架設するような補強材が必要になり、すると今度は、この補強材が透光性パネルに影として映し出されてしまうことから、広告ボックスの天井面側は、宣伝・広告に利用され難いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-134,457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況のもと、本発明者等は、上記のような従来の問題を解消するために鋭意検討した結果、骨格フレームによって形成された前方面、後方面、左右側面、及び天井面をそれぞれ広告シートで塞ぎ、尚且つ、天井面側には、骨格フレームの内側に収容した架台に取り付けられた支持部材を介して、透明性の板材を据え付け、天井面の広告シートの自重を支えて広告シートの弛みを防ぐことで、天井面を実質的に宣伝・広告に利用することができるようになると共に、照明手段によって広告シートを内側から照らしても、目地や影が浮かび上がることもなく、広告シート全面を効率的に利用して宣伝・広告が行えるようになることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
したがって、本発明の目的は、実質的に天井面を宣伝・広告に利用することができるようになると共に、天井面を含めた全ての広告シートに目地や影が映し出されないようにして、それぞれの広告シートの全面を効率的に使って宣伝・広告を行えるようにした移動広告用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、車両の荷台に取り付けられて、移動しながら宣伝・広告を行うことができる移動広告用装置であって、荷台の長さ方向、幅方向、及び高さ方向に沿うように、それぞれフレーム材を組み付けてなる骨格フレームと、フレーム材に沿って取り付けられて、骨格フレームにより形成される前方面、後方面、左右側面、及び天井面をそれぞれ塞ぐ広告シートと、骨格フレームの内側に収容され、かつ、前方面、後方面、左右側面、及び天井面の広告シートに対向する面にそれぞれ反射パネルが取り付けられて、各広告シートと反射パネルとの間に所定の空間領域を形成せしめる架台と、架台の天井面側上面に設けられた支持部材を介して取り付けられて、天井面の広告シートを支える透明性の板材と、上記の各空間領域にそれぞれ備え付けられて、前方面、後方面、左右側面、及び天井面の各広告シートを光らせることができる照明手段とを有することを特徴とする移動広告用装置である。
【0008】
本発明の移動広告用装置は、図1に示されるように、車両1の荷台2に取り付けられるものである。このうち、移動広告用装置3を形成する骨格フレームは、直方体形状を形成するようにフレーム材が組み付けられてなるものであり、具体的には、図2に示されるように、骨格フレーム4は、少なくとも、荷台の長さ方向に沿うようにして、左右方向上下に位置する4つの長さ方向フレーム材4aと、荷台の幅方向に沿うようにして、前後方向上下に位置する4つの幅方向フレーム材4bと、荷台の高さ方向に沿うようにして、前後及び左右方向に位置する4つの高さ方向フレーム材4cとを有する。また、大型トラックのように車両の荷台が大きく(長く)なる場合には、長さ方向での直方体のねじれを防ぐ目的等から、4つの長さ方向フレーム材4aに対して、左右かつ上下に対向する2つをそれぞれX形状となるように連結するX型補強フレーム材4dを有するようにしてもよい。これにより、骨格フレーム4の変形やひずみを可及的に防ぐことができる。なお、骨格フレーム4を形成するフレーム材の材質等については特に制限はなく、例えば鋼材を用いることができ、また、フレーム材を用いる部位に応じて、その材質の種類やサイズ等を異なるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の移動広告用装置は、骨格フレームの内側に収容される架台を備える。この架台には、後述するように、骨格フレームによって形成された前方面、後方面、左右側面、及び天井面の平面領域を塞ぐ広告シートに対向するように、それぞれ反射パネルが取り付けられて、各広告シートと反射パネルとの間に所定の空間領域が形成されるようにする。架台5については、例えば、図2に示されるように、骨格フレーム4の幅方向に取り付けられた渡し材6を介して骨格フレーム4と一体になるように形成してもよく、骨格フレーム4とは別体に形成しておき、これらを組み付ける際に骨格フレーム4の内部に収容されるようにしてもよい。なお、架台5や渡し材6の材質等については特に制限はなく、一般的には鋼材を使用することができる。
【0010】
そして、架台5に反射パネル7を取り付けた様子を示すものが図3である。この反射パネル7は、広告シートとの間に形成される空間領域に備え付けられた照明手段からの光が効率的に広告シート側に到達するようにできるものであればよく、樹脂製のパネルを使用してもよく、アルミ等の金属製のパネルを使用してもよく、これらの複合材料からなるものなどを使用してもよい。なお、照明手段に電力供給を行う発電機や制御機器、更には宣伝・広告効果を高めるための音響スピーカー等については、反射パネルで囲った架台の内側に収容すれば、これらの影が広告シート側に映し出されることはない。また、音響設備を架台の内側に収容して、放送宣伝が同時に可能となるように放送宣伝室を形成するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の移動広告用装置は、架台5の天井面側上面に設けられた支持部材を介して取り付けられた透明性の板材を備えており、天井面に取り付けられる広告シートをこの板材で支えるようにする。このうち、支持部材は、例えば、図3に示されるように、架台5の上面略中央で荷台の長さ方向に沿って突出支柱8aを複数立設させて、これらの突出支柱8aにビーム材8bを架設したものである。また、支持部材8に取り付けられる透明性の板材は、天井面側の空間領域内に備え付けられた照明手段による光が、天井面の広告シート側に届くようなものであり、尚且つ、天井面に取り付けられた広告シートがその自重で弛んでしまわないように、広告シートを支えることができる程度の強度を有するものである。このような板材の材質について特に制限はないが、透明性、耐熱性、耐衝撃性、難燃性等に優れた物性を示すポリカーボネート製のものが好適に使用される。また、広告シートを支えるための強度を確保する観点から、透明性の板材について、好ましくは、図4に示されるように、荷台の長さ方向に交互に凹凸形状を有するような波板9で形成するのがよい。
【0012】
また、本発明の移動広告用装置は、骨格フレーム4によって形成される前方面、後方面、左右側面、及び天井面の各平面領域が、広告シートによって塞がれる。ここで、広告シートとしては、布製のものや樹脂製のものなどを使用することができ、雨や紫外線、外気温度等に対して耐久性を備えたものであるのがよく、また、宣伝・広告の内容を直接印刷したり、塗装したり、転写したり、或いは手書き等したりできるものであるのが好ましい。好適な広告シートとして、具体的には、FFシート(株式会社ルキオ製商品名LF02F)、ターポリンシート(株式会社ルキオ製商品名LT15MS)等を挙げることができる。骨格フレームによって形成された前方面、後方面、左右側面、及び天井面を塞ぐ広告シート10は、図4をはじめとして示されるように、それぞれの平面領域の大きさに合わせて、その端がフレーム材に沿って取り付けられるようにすればよい。広告シート10をフレーム材に取り付ける際の取付手段11については特に制限はなく、例えば広告シートの周縁部にはと目を設けておき、フレーム材に備え付けられた係止治具にワイヤーや紐等を介して取り付けるようにしてもよく、或いは係止治具をフック形状にしておき、広告シートのはと目を通して取り付けるようにしてもよく、更には広告シートに予め紐等を縫い合わせておき、フレーム材の係止治具に結びつけるようにしてもよい。
【0013】
骨格フレームによって形成される前方面を塞ぐ広告シート、後方面を塞ぐ広告シート、又はこれら両方については、骨格フレームとは別体の窓枠材にそれぞれ取り付け、広告シートと一体にした窓枠材をフレーム材に取り付けるようにしてもよい。この際、例えば、図5に示すように、幅方向フレーム材2bに蝶番等(図示外)を介して、広告シート10が張られた窓枠材12を取り付けるようにすれば、更には、はね上げ可能となるように窓枠材12にダンパー支柱(図示外)を取り付けるようにすれば、メンテナンスや組立て時の骨格フレーム内部での作業に好都合である。また、広告シートが張られた窓枠材12を骨格フレームに取り付ける際、これらの間にボルト等の締め調整具を取り付けて所定の隙間を設けるようにすることで、車両の走行時や強風に晒された場合などにおいて、骨格フレーム内側の内部圧力と外側の圧力とを等しくすることができて、シートに対するストレスが解消されて広告シートの変形を防ぐことができる。なお、骨格フレームによって形成された前方面の一部など、移動広告用装置が車両の荷台に搭載されると隠れてしまって宣伝・広告の機能をはたさないような部分については、広告シート以外のもので塞ぐようにしてもよいことは勿論である。
【0014】
そして、骨格フレームによって形成される前方面、後方面、左右側面、及び天井面に取り付けられた各広告シートと、架台に取り付けられた各反射パネルとの間に形成される空間領域には、それぞれ照明手段を備え付けるようにする。照明手段としては、内側から広告シートを照らして光らせることができるものであれば特に制限はなく、例えば蛍光灯、水銀灯、ネオン管、LEライト、LED、有機EL等を挙げることができる。なかでも、安価であって取扱いが簡便であることから、好適には蛍光灯を使用することができる。
【0015】
ここで、照明手段として蛍光灯を配置する場合について、以下でその一例を説明する。左右側面に取り付けられた広告シートと、これに対向する反射パネルとの間に形成される空間領域については、例えば図4に示したように、骨格フレームの高さ方向に沿うように、蛍光灯13を縦置き式にして反射パネル7に取り付けるようにする。これにより、広告シートの長手方向(骨格フレームの長さ方向)をムラなく均一に明るく光らせることができる。
【0016】
一方、天井面の広告シートと、これに対向する反射パネルとの間に形成される空間領域では、架台に取り付けられた支持部材が影となって映し出されないようにする。例えば、架台に立設された複数の突出支柱にビーム材を架設してなる場合、図6に示すように、ビーム材8bを挟んで左右両側に蛍光灯13を配置し、尚且つ、ビーム材に沿うようにして、長さ方向に所定の間隔で蛍光灯9を並べるようにするのがよい。このような蛍光灯の配置によれば、天井面の広告シートに映し出されるビーム材8bや突出支柱8aの影を消すことができる。この際、ビーム材8b及び突出支柱8aに、880シリーズ、930シリーズ(いずれもビューカル社製商品名)、住友3Mのスコッチカル等の艶消し白色シールを貼り付けたり、巻き付けたりすることで、照明手段からの光を吸収し、或いは拡散して、ビーム材等が影として映し出されないようにする効果をより一層高めることができる。
【0017】
また、前方面の広告シートとこれに対向する反射パネルとの間に形成される空間領域、及び後方面の広告シートとこれに対向する反射パネルとの間に形成される空間領域については、それぞれ広告シートを均一に光らせることができるようにすればよく、例えば、図8に示したような蛍光灯13の配置例を採用することができる。
【0018】
また、本発明の移動広告用装置は、図9に示されるように、フレーム材と広告シートとの継ぎ目を覆い隠すように、フレーム材に沿って化粧枠板14を取り付けるようにしてもよい。この化粧枠板14については、図10に示されるように、骨格フレームに取り付けられた広告シートを骨格フレームの内側方向(図10中の片矢印方向)に押し当てることができる押し当て部14aと、押し当て部14aによる広告シートの押圧量を調整できるテンション調節部14bとを備えるようにすれば、広告シートとフレーム材との取付部分を隠す装飾効果のみならず、骨格フレームに取り付けられた広告シートがたとえ弛んだ場合でも、押し当て部14aによる押圧量を調整することで、広告シートの皺を伸ばして外観をより美麗にせしめることができる。また、化粧枠板14については、骨格フレームの外側方向に展開可能となるように(図10中の両矢印方向)、蝶番15を介してフレーム材に取り付けられるようにすれば、フレーム材に対する広告シートの取り付け・取り外し作業がより簡単に行えるようになる。
【0019】
本発明の移動広告用装置は、トラック、トレーラー、ピックアップバン等をはじめ、各種車両の荷台に取り付けて、車両を走行させながら宣伝・広告を行うことができるが、ボルトやラッシングベルト等の固定具を使って着脱自在となるように、荷台に取り付けるようにしてもよい。また、車両から取り外した移動広告用装置は、車両で走行させて使用する以外にも、例えば、広場やイベント会場等に据えて、宣伝・広告を行うようにすることもでき、更には、明るく光って遠くからの視認性にも優れることから、災害時等の避難場所を示すマーキングとしての利用形態も可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、天井面を含めた全ての広告シートに目地や影が映し出されることがなく、それぞれの広告シートの全面を効率的に使って宣伝・広告を行うことができるようになり、特に、これまでの移動広告用装置では実質的に使用されていなかった天井面を利用することが可能になることから、走行する車両と同じ目線の通行人のみならず、ビル等の高い場所にいる人たちへの宣伝・広告を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の移動広告用装置の一実施形態を示す外観側面図である。
【図2】図2は、移動広告用装置を形成する骨格フレーム及び架台の様子を示す斜視説明図である。
【図3】図3は、架台に反射パネル及び支持部材が取り付けられた様子を示す斜視説明図である。
【図4】図4は、移動広告用装置の内部の様子を示す側面説明図である。
【図5】図5は、移動広告用装置をフレームオープン式にした様子を示す後方面(又は前方面)説明図である。
【図6】図6は、移動広告用装置の内部の様子を示す天井面説明図である。
【図7】図7は、天井面側に取り付けられる蛍光灯の様子を拡大して示す前方面説明図である。
【図8】図8は、移動広告用装置の内部の様子を示す後方面説明図である。
【図9】図9は、移動広告用装置の後方(又は前方)からの様子を示す後方面(又は前方面)説明図である。
【図10】図10は、化粧枠板の様子を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて、本発明の移動広告用装置の好適な実施の形態の一例を具体的に説明する。
【0023】
図1において、4軸低床エアーサスペンション付き大型貨物自動車1の荷台2に取り付けた本発明の移動広告用装置3が示されている。
この実施形態において、移動広告用装置3は、荷台2の長さ方向、幅方向、及び高さ方向に沿うように、それぞれフレーム材を組み付けてなる骨格フレーム4と、骨格フレーム4によって形成された前方面、後方面、左右側面、及び天井面の各平面領域をそれぞれ塞ぐ広告シート10と、上記の各広告シート10に対向する面にそれぞれ反射パネル7が取り付けられて、広告シート10と反射パネル7との間に所定の空間領域が形成されるように骨格フレーム4の内側に収容される架台5と、天井面の広告シートを内側から支える透明性の板材9と、各空間領域に備え付けられる照明手段13と、骨格フレーム4と広告シートとの継ぎ目部分を隠すように取り付けられた化粧枠板14とを有する。
【0024】
このうち、この骨格フレーム4は、図2に示すように、長さ9600mmの125mm角鋼材からなる4本の長さ方向フレーム材4aと、長さ3450mmの75mm角鋼材からなる4本の幅方向フレーム材4bと、長さ2600mmの75mm角鋼材からなる4本の高さ方向フレーム材4cと、125mm角鋼材からなると共に左右上下に斜めに対向する長さ方向フレーム材4a同士を連結するX型補強フレーム材4dとを有してなり、これを溶接して箱型形状のような外枠を形成する。X型補強フレーム材4dが取り付けられることで、例えばクレーンやフォークリフトでの積み降ろしによっても移動広告用装置3が変形したり歪んだりすることがない。
【0025】
また、架台5は、75mm角鋼材を溶接して組み付けられており、骨格フレーム4の幅方向に取り付けられた渡し材6を介して、骨格フレーム4と一体に形成される。そして、この架台5の前方面、左右側面、上面、及び後方面には、図3に示すように、反射パネルとしてウレタンの表面に艶有りアルミ素材を積層した白色アルミ製複合パネル(3M社製:国土交通省難燃個別認定RM-0023対象品)7がそれぞれ取り付けられており、更には、架台5の上面略中央には、架台5の幅方向の渡し材を介して突出支柱8aが立設されて、これにビーム材8bが架設される。
【0026】
そして、上記のように骨格フレーム4の内側に収容された架台5の左右側面の白色アルミ製複合パネル7には、図4に示されるように、照明手段として、骨格フレーム4の高さ方向に沿うように複数の蛍光灯(東芝ライテック社製:FHT41007N)13が所定の間隔で取り付けられる。一方、架台5の上面の白色アルミ製複合パネル7には、図6に示されるように、ビーム材8bを挟んで左右両側に位置し、尚且つ、ビーム材8bに沿うようにして、複数の蛍光灯13が所定の間隔で取り付けられる。ここでは、図7に示されるように、ビーム材8bを挟んで左右両側に取り付けられた蛍光灯13の中心間距離Lが86cmとなるようにする。これにより、白色アルミ製複合パネル7から高さh=23cm程度に位置するビーム材8bが、左右両側の蛍光灯13から発せられる光の交わる領域に含まれるようになって、天井面側の広告シート10にビーム材8bの影が映し出されないようにすることができる。また、ビーム材8bに艶消し白色シール(ビューカル(Viewcai)社製商品名880、930シリーズ等)を貼り付けるか或いは巻きつけておくことで、ビーム材8bの影を消す効果を一層高めることができる。他方、架台5の前方面及び後方面の白色アルミ製複合パネル7には、図8に示されるように、複数の蛍光灯13が取り付けられる。なお、白色アルミ製複合パネル7に取り付けた蛍光灯13に電力を供給するための発電機や各種制御機器等は、架台5の内側のスペースに収容すれば、これらが影となって広告シート10に映し出されることはない。
【0027】
また、架台5に取り付けられたビーム材8bを利用し、天井面に取り付けられる広告シート10を支えるための透明性の板材として、ポリカーボネート製の波板9が取り付けられる。この波板9は、ビーム材8bに沿って交互に凹凸形状が現れる形状を有することから、広告シート10の自重を支える上で強度に優れ、また、蛍光灯13から発せられた光を乱反射して広告シート10の全面を均一に明るくできる効果を奏する。
【0028】
そして、骨格フレーム4によって形成された前方面、後方面、左右側面、及び天井面の各平面領域を塞ぐように、広告シートとして予め宣伝・広告用の印刷が施されたFFシート(株式会社ルキオ社製商品名LF02F)10が、それぞれ取付手段11を介してフレーム材に取り付けられる。この実施形態においては、図8に示されるように、架台5の上面側に取り付けられた白色アルミ製複合パネル7とポリカーボネート製波板9との距離d1が30cmとなるように天井面側の空間領域を形成し、また、架台5の前方面、後方面、及び左右側面に取り付けられた白色アルミ製複合パネル7とFFシート10との距離d2が55cmとなるようにそれぞれ空間領域を形成した。そして、取付手段11としては、例えば図10に示すように、FFシート10の周縁部に沿って設けられたはと目(図示外)に挿通されるワイヤー11aを介して、フレーム材に備え付けた長さ19mmの手摺状をした丸棒型鋼材11bに取り付けられる。また、骨格フレーム4の前方面や後方面については、例えば図5に示すように、骨格フレームとは別体の窓枠材12にFFシート10を張り、この窓枠材12を方向フレーム材2bに蝶番(図示外)を介して取り付けるようにしてもよい。
【0029】
取り付けられたFFシート10と骨格フレーム4との継ぎ目には、その部分を覆い隠すように、フレーム材に沿ってアルミ製の化粧枠板14が取り付けられる。化粧枠板14は、図10に示されるように、フレーム材に溶接したL字板16を利用してボルト−ナット留めして取り付けることができるが、更に、この化粧枠板14の端部を内側に折り曲げて、広告シートを骨格フレームの内側方向(図10中の片矢印方向)に押し当てることができる押し当て部14aを設け、尚且つ、ボルト−ナットとL字板との間にゴム製の緩衝材17を入れ、ボルトの締め付け量に応じて、押し当て部14aによる広告シートの押圧量を調整することができるテンション調節部14bを設けるようにすれば、FFシート10の弛みを容易に解消することができる。また、化粧枠板14は、骨格フレームの外側方向に展開可能となるように(図10中の両矢印方向)、蝶番15を介してフレーム材に取り付けられるようにすれば、FFシート10の取り付け・取り外し作業をより簡単に行うことができる。
【0030】
そして、本発明の実施の形態に係る移動広告用装置3は、大型貨物自動車1の荷台2の四隅に合わせて搭載し、ツイストロックで固定することができるが、荷台2の側面に取り付けられたフックに対し、ラッシングベルトで確実に固定するようにしてもよい。また、移動広告用装置3の天井面側にアイボルトを取り付けて、クレーンでの搬送が可能になるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の移動広告用装置は、各種車両の荷台に取り付けて、車両を走行させながら宣伝・広告を行うものであるが、車両の荷台から取り外して、単独で宣伝・広告を行うようにして利用してもよい。また、宣伝・広告以外の用途、例えば災害時や夜間に自家発電装置を用いて避難場所等を示すマーキングとして利用することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:車両
2:荷台
3:移動広告用装置
4:骨格フレーム
4a:長さ方向フレーム材
4b:幅方向フレーム材
4c:高さ方向フレーム材
4d:X型補強フレーム材
5:架台
6:渡し材
7:反射パネル
8:支持部材
8a:突出支柱
8b:ビーム材
9:波板(透明性の板材)
10:広告シート
11:取付手段
11a:ワイヤー
11b:丸棒型鋼材
12:窓枠材
13:蛍光灯
14:化粧枠板
14a:押し当て部
14b:テンション調節部
15:蝶番
16:L字板
17:緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に取り付けられて、移動しながら宣伝・広告を行うことができる移動広告用装置であって、
荷台の長さ方向、幅方向、及び高さ方向に沿うように、それぞれフレーム材を組み付けてなる骨格フレームと、
フレーム材に沿って取り付けられて、骨格フレームにより形成される前方面、後方面、左右側面、及び天井面をそれぞれ塞ぐ広告シートと、
骨格フレームの内側に収容され、かつ、前方面、後方面、左右側面、及び天井面の広告シートに対向する面にそれぞれ反射パネルが取り付けられて、各広告シートと反射パネルとの間に所定の空間領域を形成せしめる架台と、
架台の天井面側上面に設けられた支持部材を介して取り付けられて、天井面の広告シートを支える透明性の板材と、
上記の各空間領域にそれぞれ備え付けられて、前方面、後方面、左右側面、及び天井面の各広告シートを光らせることができる照明手段とを有することを特徴とする移動広告用装置。
【請求項2】
フレーム材と広告シートとの継ぎ目を覆い隠すように、フレーム材に沿って取り付けられた化粧枠板を有し、尚且つ、この化粧枠板が、広告シートを骨格フレームの内側方向に押し当てる押し当て部と、押し当て部による広告シートの押圧量を調整できるテンション調節部とを備える請求項1に記載の移動広告用装置。
【請求項3】
化粧枠板が骨格フレームの外側方向に展開可能となるように、蝶番を介してフレーム材に取り付けられている請求項2に記載の移動広告用装置。
【請求項4】
骨格フレームが、荷台の長さ方向に沿った上下左右の4つのフレーム材をX形状となるように連結したX型補強フレーム材を有する請求項1〜3のいずれかに記載の移動広告用装置。
【請求項5】
支持部材が、架台の上面略中央で荷台の長さ方向に沿って立設された複数の突出支柱と、これらの突出支柱に架設されたビーム材とからなり、また、このビーム材を挟んで左右両側に位置するように、架台の上面にビーム材に沿って所定の間隔で蛍光灯を配置して天井面側の空間領域における照明手段としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の移動広告用装置。
【請求項6】
突出支柱及びビーム材には、それぞれ艶消し白色シールが巻き付けられている請求項5に記載の移動広告用装置。
【請求項7】
天井面の広告シートを支える透明性の板材が、荷台の長さ方向に交互に凹凸形状を有したポリカーボネート製の波板からなる請求項1〜6のいずれかに記載の移動広告用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−48274(P2011−48274A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198474(P2009−198474)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(509243698)株式会社フクフクサービス (1)
【Fターム(参考)】