説明

移動装置

【課題】圧電体振動子を使った移動装置において、移動する方向への摩擦抵抗を低減する移動装置を提供する。
【解決手段】移動装置は、圧電体振動子30と、圧電体振動子30を固定し磁性体で構成された固定台本体部50aとを有する固定部を備える。圧電体振動子30の振動により第1方向xに移動可能であり、第1方向xに垂直な第2方向yで圧電体振動子30を付勢し、第1〜第3磁石16a〜16cを有する移動部10を備える。移動部10と固定台本体部50aとの、第1方向x、第2方向yと垂直な第3方向zの距離は、第1〜第3磁石16a〜16cと固定台本体部50aとの間に発生する磁力と、移動部10と固定台本体部50aとの間に回転自在な状態で設けられた第1〜第3ボール15a〜15cとによって、一定に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電体振動子を使った移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電体振動子を使って、被駆動体を移動させる移動装置が提案されている。特許文献1は、シャフトを使って移動方向を制御する移動装置を開示する。
【特許文献1】特開平11−283303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の装置におけるシャフトは、移動する方向以外の方向には移動が制限(禁止)されるため、圧電体振動子を使った駆動において移動する方向以外に力が加わった場合に、この力が移動する方向への摩擦抵抗になるおそれがある。
【0004】
したがって本発明の目的は、圧電体振動子を使った移動装置において、移動する方向への摩擦抵抗を低減する移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る移動装置は、圧電体振動子と、圧電体振動子を固定し磁性体で構成された固定台本体部とを有する固定部と、圧電体振動子の振動により第1方向に移動可能であり、第1方向に垂直な第2方向で圧電体振動子を付勢し、磁石を有する移動部とを備え、移動部と固定台本体部との、第1、第2方向と垂直な第3方向の距離は、磁石と固定台本体部との間に発生する磁力と、移動部と固定台本体部との間に回転自在な状態で設けられたボールとによって、一定に保たれる。
【0006】
好ましくは、固定部と移動部の一方は、第1方向に延びるシャフトを有し、固定部と移動部の他方は、シャフトを、第1方向に摺動自在で、第2方向の移動を制限する状態で軸受けする軸受け部を有し、軸受け部の第3方向の内径は、シャフトの外径よりも大きく設定される。
【0007】
さらに好ましくは、軸受け部の第3方向の内径とシャフトの外形との差は、磁力とボールとによって決定される移動部と固定台本体部との距離の誤差の範囲以上に設定される。
【0008】
また、好ましくは、固定部と移動部の一方は、第3方向に延びるピンを有し、固定部と移動部の他方は、移動部の第1、第3方向の移動を制限しないで第2方向の移動を制限するガイド部を有する。
【0009】
また、好ましくは、磁力は、移動部を第1方向に移動するために、圧電体振動子を駆動した際に生じる第3方向にかかる力よりも大きい。
【0010】
また、好ましくは、移動部は、第1方向に延びる移動部側溝を有し、移動部側溝にボールが配置される。
【0011】
さらに好ましくは、固定台本体部は、第1方向に延びる固定部側溝を有し、固定部側溝にボールが配置される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、圧電体振動子を使った移動装置において、移動する方向への摩擦抵抗を低減する移動装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜4、9を用いて説明する。移動装置1は、移動部10を有する可動部と、圧電体振動子30、固定台50、及び圧電体振動子30を駆動する回路部(不図示)とを有する固定部とを備える。なお、方向を説明するために、移動装置1において移動部10の移動方向を第1方向x、第1方向xと直交する1方向を第2方向y、第1方向x、第2方向yと直交する方向を第3方向zとして説明する。
【0014】
移動部10は、第1、第2摩擦部材11、12、第1、第2突出部13、14、第1〜第3ボール15a〜15c、第1〜第3磁石16a〜16c、及び移動枠19とを有する。移動部10は、第1方向xに移動可能である。
【0015】
第1、第2摩擦部材11、12は、直方体形状で、第2方向yに垂直な平面の一方は、圧電体振動子30と接触し、圧電体振動子30の振動により移動枠19と共に第1方向xに移動可能であり、他方は移動枠19の内側に取り付けられる。
【0016】
移動枠19は、内側に第3方向zに垂直な矩形の孔を有する平板状の枠であり、かかる内側の矩形孔に第1、第2摩擦部材11、12が取り付けられ、圧電体振動子30が配置される。
【0017】
移動枠19は、移動枠梁部19a、移動枠支持部19b、及び移動枠用引っ張りコイルバネ19cから構成される。移動枠梁部19aは、一方の端部(図3上の右側)がピンで移動枠支持部19bに軸着され、他方の端部(図3上の左側)が移動枠用引っ張りコイルバネ19cの一方の端部に取り付けられる。移動枠用引っ張りコイルバネ19cの他方の端部は移動枠支持部19bに取り付けられる。移動枠用引っ張りコイルバネ19cの引っ張り張力により、移動枠梁部19aの他方の端部は移動枠支持部19bに近づくように付勢される。この付勢に基づいて、第1、第2摩擦部材11、12は、圧電体振動子30を第2方向yに与圧(付勢)する。
【0018】
第1実施形態では、ピンと引っ張りコイルバネを使ったカンチレバー構造の移動枠19を説明したが、ピンに代えて引っ張りコイルバネを使って、梁部と支持部の両端を引っ張りコイルバネで付勢する形態であってもよい(不図示)。
【0019】
第1、第2突出部13、14は、移動枠19から第2方向yに突出した部材で、第1方向xに延びるシャフト53を、第1、第2軸受け13b、14bを介して通す第1、第2貫通穴13a、14aを有する。
【0020】
第1、第2軸受け13b、14bは、第1、第2貫通穴13a、14aの中に圧入(軽圧入)されて取り付けられる含油軸受け部材などのすべり軸受け部材で、第3方向zに延びた長孔を有する。従って、第1、第2軸受け13b、14bは、第1方向xから見て、第2方向yの径(長穴の第2方向yの長さ)Bはシャフト53の外径φdと略同じ大きさで、第3方向zの径(長穴の第3方向zの長さ)Lはシャフト53の外径φdよりも大きい(図4参照)。
【0021】
第1〜第3ボール15a〜15cは、移動枠19と、固定台本体部50aとの間で回転自在な状態で、第3方向zで狭持されるボールで、移動枠19に設けられた第1方向xに延びるV字の第1〜第3移動部側溝17a〜17c内に夫々配置される。第1〜第3ボール15a〜15cは、第3方向zからみて三角形の頂点を構成する位置関係に配置される。
【0022】
第1〜第3磁石16a〜16bは、移動枠19の、固定台本体部50aと第3方向zで対向する側に取り付けられる。第1〜第3磁石16a〜16cは、磁性体で構成された固定台本体部50aとの間で、磁力を発生する。第1〜第3磁石16a〜16cと固定台本体部50aとの間の磁力による吸引力と、第3方向zで移動枠19と固定台本体部50aとの間に狭持された第1〜第3ボール15a〜15cとによって、移動枠19と固定台本体部50aとの間の第3方向zの距離が一定に保たれる(図9参照)。
【0023】
第1ボール15aは、第1、第2磁石16a、16bの間に配置され、これらは第2方向yに並べられる。第3磁石16cは、第2、第3ボール15b、15cの間に配置され、これらは第2方向yに並べられる。
【0024】
第1方向xのバランスを保つため、第1、第2磁石16a、16bと固定台本体部50aとの間に生じる磁力と、第3磁石16cと固定台本体部50aとの間に生じる磁力とが等しいことが望ましい。
【0025】
第1〜第3磁石16a〜16cと、固定台本体部50aとの間に生じる磁力は、小さい方が圧電体振動子30を駆動して移動枠19を第1方向xに移動させる際の摩擦抵抗が少なくて済むが、圧電体振動子30を駆動して移動枠19を第1方向xに移動させる際に生じる移動枠19を第3方向zで且つ固定台本体部50aから離れる方向に移動させる力よりも大きく設定されるのが望ましい。圧電体振動子30を駆動して移動枠19を第1方向xに移動させる際に生じる移動枠19を第3方向zで且つ固定台本体部50aから離れる方向に移動させる力は、実験により求められる。
【0026】
圧電体振動子30は、中空円柱形状の第1、第2圧電素子(圧電セラミックリング)31、32と、薄い金属の弾性板で構成されるシム34から構成され、シム34の両面には第1、第2圧電素子31、32が固着される(第2圧電素子32は、背面のため不図示)。
【0027】
第1、第2圧電素子31、32の第3方向zから見た表面には電極が設けられる。なお、電極は、第1圧電素子31、第2圧電素子32のいずれか一方にだけ取り付けられた形態であってもよいが、両方に取り付けられた方が、より強い駆動力を得ることが出来る。
【0028】
移動部10等の第1方向xの移動量は、電極に印加する交流電圧の時間幅を変化させることによって調整される(時分割制御)。但し、交流電圧の振幅を変化させるなど、他の方法であってもよい。
【0029】
シム34は、第1、第2圧電素子31、32を両面に固着した中空円柱形状のシム本体部34a、固定台本体部50aに支持される第1、第2、第3、第4支持部35a、35b、35c、35dを有する。シム本体部34aは、円柱形状の外壁部で、第1摩擦部材11の付勢力と、第1摩擦部材11の付勢力に対する第2摩擦部材12の反力によって第2方向yに付勢される。第1、第2、第3、第4支持部35a、35b、35c、35dは、シム本体部34aから突出した部分で、それぞれが有する孔に固定部材(不図示)が挿入されることによって固定台本体部50aに取り付けられる。これにより、シム34を含む圧電体振動子30は固定台50に固定されて移動しない。一方、圧電体振動子30の振動により移動部10は第1方向xに移動可能である。
【0030】
それぞれの電極に電圧が印加されない状態においては、第1、第2圧電素子31、32は変形を起こさず静止している。圧電体振動子30は、電圧が印加される部分が膨張または収縮する。
【0031】
各電極に交流電圧が印加されることにより、圧電体振動子30(第1、第2圧電素子31、32、及びシム34)は、膨張と収縮を繰り返す。圧電体振動子30の形状が変化すると、シム34のシム本体部34aの外壁部分の任意の一点は楕円運動を行うことができる。
【0032】
この楕円運動により、シム本体部34aの外壁部分を第2方向yに付勢した状態で接触する第1、第2摩擦部材11、12は、固定台50及び圧電体振動子30に対して第1方向xに移動せしめられ、これに伴って移動部10が第1方向xに移動せしめられる。具体的には、圧電体振動子30に半径方向の振動(縦振動)と、第1方向xの振動(横振動)を励起するように、電極に交流電圧を印加することにより、シム本体部34aの外壁部分で第1、第2摩擦部材11、12と接触する点において、楕円運動が行われ、これにより、第1、第2摩擦部材11、12は、固定台50及び圧電体振動子30に対して第1方向xに移動せしめられる。
【0033】
固定台50は、固定台本体部50a、移動部10を第1方向xに摺動自在に支持する第1、第2支持部51、52、シャフト53を有する。固定台本体部50aは磁性体である。シャフト53は、第1、第2支持部51、52の間に位置する第1、第2突出部13、14で、第1、第2軸受け13b、14bによって軸支され、両端が、第1、第2支持部51、52によって固定される。
【0034】
第1実施形態では、第1、第2軸受け13b、14bの第2方向yの径Bがシャフト53の外径φdと略同じ大きさにされるため、シャフト53によって、圧電体振動子30を駆動する際の、移動部10の第2方向yのがたつきを抑えることが可能になる。
【0035】
また、第1、第2軸受け13b、14bの第3方向zの径Lがシャフト53の外径φdよりも大きくされるため、シャフト53を第1、第2支持部51、52に取り付ける際に第3方向zの寸法誤差により、シャフト53から第3方向zで第1、第2軸受け13b、14bに力が加わり、この力が移動枠19の第1方向xへの移動に対する摩擦抵抗になることを軽減することが可能になる。
【0036】
具体的には、移動枠19と固定台本体部50aとの第3方向zの距離(移動枠19の第3方向zの位置)は、間に挟まれた第1〜第3ボール15a〜15c、及び第1〜第3移動部側溝17a〜17cによって決定される。移動枠19の第3方向zの位置が決定されると、第1、第2貫通穴13a、14a、及び第1、第2軸受け13b、14bの位置から、シャフト53が取り付けられる第3方向zの位置が決定される。
【0037】
シャフト53の第3方向zの位置は、固定台本体部50aに取り付けられた第1、第2支持部51、52がシャフト53を取り付ける位置によっても決定されるが、各部材の寸法誤差によって、これらの間で差が生じることが考えられる。第1、第2軸受け13b、14bの第3方向zの径Lをシャフト53の外径φdと同じ大きさの場合には、この差を解消するために、シャフト53を第1、第2軸受け13b、14に第3方向zに押しつけて取り付ける必要があり、シャフト53と第1、第2軸受け13b、14bとの間に摩擦が生じ、移動枠19の第1方向xの移動の摩擦抵抗になる。
【0038】
第1実施形態では、第1〜第3ボール15a〜15cなどによって決定されるシャフト53の第3方向zの位置と、第1、第2支持部51、52によって決定されるシャフト53の第3方向zの位置との間に誤差が生じた場合であっても、第1、第2軸受け13b、14bの第3方向zの径Lをシャフト53の外径φよりも大きくしており、誤差を吸収することが可能になり、シャフトと軸受け間の押しつけ力が移動枠19の第1方向xの移動の摩擦抵抗になることを抑えることが可能になる。
【0039】
従って、第3方向zの径(長穴の第3方向zの長さ)Lとシャフト53の外径φdとの差は、第1〜第3磁石16a〜16cと固定台本体部50aとの間の磁力と第1〜第3ボール15a〜15cとによって決定される移動枠19と固定台本体部50aとの第3方向zの距離の誤差の範囲以上または同程度に設定されるのが望ましい。
【0040】
また、移動枠19は、第1〜第3ボール15a〜15cによって、固定台本体部50a上に回転自在に保持されるため、シャフトなどの滑り部材によって移動自在に保持される形態に比べて、移動枠19の第1方向xの移動の摩擦抵抗を低くすることが可能になり、効率のよい移動、及び正確な移動制御が可能になる。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、シャフト53と軸受け(第1、第2軸受け13b、14b)による軸支によって、移動枠19が固定台本体部50aに対して、各部材の寸法誤差による摩擦抵抗を抑え且つ、第2方向yのがたつきを防止する形態を説明した。第2実施形態では、第3方向zに延びるピン(第1、第2移動部側ピン18a、18b)と、移動部10の第1方向x及び第3方向zの移動は制限しないで第2方向yの移動を制限(禁止)するガイド部(第1、第2ガイド部55a、55b)とによって、各部材の寸法誤差による摩擦抵抗を抑え且つ、第2方向yのがたつきを防止する点で異なる(図5参照)。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0042】
移動部10は、第1、第2摩擦部材11、12、第1〜第3ボール15a〜15c、第1〜第3磁石16a〜16c、第1、第2移動部側ピン18a、18b、及び移動枠19とを有する。移動部10は、第1方向xに移動可能である。
【0043】
第1、第2摩擦部材11、12、及び移動枠19の構成は、第1実施形態と同じである。
【0044】
移動枠19には、第3方向zで且つ固定台本体部50aがある側に突出した第1、第2移動部側ピン18a、18bが圧入により取り付けられる。第1、第2移動部側ピン18a、18bは、固定台本体部50aに固定された第1、第2ガイド部55a、55bに第1方向xに摺動自在で且つ第2方向yで挟まれる位置関係に配置される。
【0045】
第1〜第3ボール15a〜15c、第1〜第3磁石16a〜16bの構成は、第1実施形態と同じである。圧電体振動子30の構成は、第1実施形態と同じである。
【0046】
固定台50は、固定台本体部50a、第1、第2移動部側ピン18a、18bを第2方向yで挟む第1、第2ガイド部55a、55bを有する。固定台本体部50aは磁性体である。第1、第2ガイド部55a、55bの第1、第2移動部側ピン18a、18bを挟む部分は、第1、第2移動部側ピン18a、18bとの摩擦係数が小さくなるように、潤滑塗膜が塗布される。
【0047】
第2実施形態では、移動枠19に取り付けられた第1、第2移動部側ピン18a、18bが、第1、第2ガイド部55a、55bによって第2方向yに挟まれるため、移動枠19の第2方向yの移動が制限され、圧電体振動子30を駆動する際の、移動部10の第2方向yのがたつきを抑えることが可能になる。
【0048】
また、第1、第2移動部側ピン18a、18bは、第1、第2ガイド部55a、55bによって第3方向zへの移動は制限されない(第1、第2移動部側ピン18a、18bの第3方向zの位置は、第1、第2ガイド部55a、55bに影響されない)ため、移動枠19の第1方向xへの移動に対する摩擦抵抗になることを軽減することが可能になる。
【0049】
また、移動枠19は、第1〜第3ボール15a〜15cによって、固定台本体部50a上に回転自在に保持されるため、シャフトなどの滑り部材によって移動自在に保持される形態に比べて、移動枠19の第1方向xの移動の摩擦抵抗を低くすることが可能になり、効率のよい移動、及び正確な移動制御が可能になる点は第1実施形態と同じである。また、シャフトなどの滑り部材を使用する場合に生じる各部材の寸法誤差による摩擦抵抗は、第2実施形態では、ピンとガイド部の間の寸法誤差だけによるため、殆ど生じない。
【0050】
なお、第3方向zに延びるピンと、移動部10の第1方向x及び第3方向zの移動を制限しないで第2方向yの移動を制限するガイド部との形態は、図5の形態に限られない。
【0051】
例えば、移動枠19に取り付けられた第1、第2移動部側ピン18a、18b、固定台本体部50aに取り付けられた第1、第2ガイド部55a、55bに代えて、固定台本体部50aに取り付けられ第3方向zで且つ移動枠19側に突出した2対の第1、第2ピン部56a、56bが、それぞれ、移動枠19の第1方向xに平行な部分を第1方向xに摺動自在で且つ第2方向yで挟む形態であってもよい(図6参照)。
【0052】
また、移動枠19に取り付けられた第1、第2移動部側ピン18a、18b、固定台本体部50aに取り付けられた第1、第2ガイド部55a、55bに代えて、固定台本体部50aに取り付けられ第3方向zで且つ移動枠19側に突出した第1、第2固定部側ピン57a、57bが、それぞれ、移動枠19に設けられた第1方向xに延びる長穴を有する第1、第2ガイド枠19d、19eに、第1方向xに摺動自在で且つ第2方向yの移動が制限される状態で挿入される形態であってもよい(図7参照)。
【0053】
また、第3実施形態として、固定台本体部50aに第1方向xに延び、第3方向で第1〜第3移動部側溝17a〜17cに対向する位置関係にV字の第1〜第3固定部側溝58a〜58cを設け、第1〜第3ボール15a〜15cが配置されてもよい(図8、図10参照、第3固定部側溝58cは不図示)。この場合、3対の溝と固定部側溝によって、移動枠19の第2方向yの移動を制限でき、第2方向yのがたつきを抑えることが可能になる。この場合、ピンやシャフトは不要になり、摩擦はボールを介してのみ行われるため摩擦係数を少なくすることができ、より正確に移動制御を行うことが可能になると共に、より大きな駆動力で移動制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態における移動装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態における移動装置の第1方向で且つ上方からみた斜視図である。
【図3】第1実施形態における移動装置の上面部である。
【図4】第1実施形態における第1軸受けの構成図である。
【図5】第2実施形態における1番目の移動装置の斜視図である。
【図6】第2実施形態における2番目の移動装置の斜視図である。
【図7】第2実施形態における3番目の移動装置の斜視図である。
【図8】第3実施形態における移動装置の斜視図である。
【図9】第1実施形態における移動装置の第1移動部側溝、第1ボールの構成を示す第1方向xから見た図である。
【図10】第3実施形態における移動装置の第1移動部側溝、第1固定部側溝、第1ボールの構成を示す第1方向xから見た図である。
【符号の説明】
【0055】
1 移動装置
10 移動部
11、12 第1、第2摩擦部材
13、14 第1、第2突出部
13a、14a 第1、第2貫通穴
13b、14b 第1、第2軸受け
15a〜15c 第1〜第3ボール
16a〜16c 第1〜第3磁石
17a〜17c 第1〜第3移動部側溝
18a、18b 第1、第2移動部側ピン
19 移動枠
19a 移動枠梁部
19b 移動枠支持部
19c 移動枠用引っ張りコイルバネ
19d、19e 第1、第2ガイド枠
30 圧電体振動子
31、32 第1、第2圧電素子
34 シム
34a シム本体部
35a、35b、35c、35d 第1、第2、第3、第4支持部
50 固定台
50a 固定台本体部
51、52 第1、第2支持部
53 シャフト
55a、55b 第1、第2ガイド部
56a、56b 第1、第2ピン部
57a、57b 第1、第2固定部側ピン
58a〜58c 第1〜第3固定部側溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体振動子と、前記圧電体振動子を固定し磁性体で構成された固定台本体部とを有する固定部と、
前記圧電体振動子の振動により第1方向に移動可能であり、前記第1方向に垂直な第2方向で前記圧電体振動子を付勢し、磁石を有する移動部とを備え、
前記移動部と前記固定台本体部との、前記第1、第2方向と垂直な第3方向の距離は、前記磁石と前記固定台本体部との間に発生する磁力と、前記移動部と前記固定台本体部との間に回転自在な状態で設けられたボールとによって、一定に保たれることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記固定部と前記移動部の一方は、前記第1方向に延びるシャフトを有し、
前記固定部と前記移動部の他方は、前記シャフトを、前記第1方向に摺動自在で、前記第2方向の移動を制限する状態で軸受けする軸受け部を有し、
前記軸受け部の前記第3方向の内径は、前記シャフトの外径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記軸受け部の前記第3方向の内径と前記シャフトの外形との差は、前記磁力と前記ボールとによって決定される前記移動部と前記固定台本体部との距離の誤差の範囲以上に設定されることを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記固定部と前記移動部の一方は、前記第3方向に延びるピンを有し、
前記固定部と前記移動部の他方は、前記移動部の前記第1、第3方向の移動を制限しないで前記第2方向の移動を制限するガイド部を有することを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項5】
前記磁力は、前記移動部を前記第1方向に移動するために、前記圧電体振動子を駆動した際に生じる前記第3方向にかかる力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記第1方向に延びる移動部側溝を有し、前記移動部側溝に前記ボールが配置されることを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項7】
前記固定台本体部は、前記第1方向に延びる固定部側溝を有し、前記固定部側溝に前記ボールが配置されることを特徴とする請求項6に記載の移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−148425(P2008−148425A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331738(P2006−331738)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】