説明

移動足場

【課題】極力部品点数を少なくして所望高さの作業ステージを構築でき、しかも、専門知識を必要とすることなく誰でも簡単に組立と解体が行なえる移動足場を提供する。
【解決手段】四隅の位置に縦柱21を立設したベース部材2と、前記ベース部材2の縦柱21上に接続する中間枠部材3と、この中間枠部材3の上部に接続する作業床付手すり枠4と、対向する作業床付手すり枠4間に起立するよう取付ける手すり枠5とからなり、前記中間枠部材3が、二つの枠体をクロス状態に開くことができる折り畳み可能にし、この中間枠部材3に、クロス形状に開いた状態で枠体25間の配置となる梯子部材28が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、室内作業の足場として用いる組立て式の移動足場に関する。
【背景技術】
【0002】
作業床高さが2mを超える室内足場として、一般的にはローリングタワーやパンタグラフ式室内移動足場が使用されている。
【0003】
前者のローリングタワーは、両側の支柱を横架材で結合した枠体を対向配置し、対向する枠体を筋交いと横架材で結合して枠状体を組み、この枠状体を上方へ必要な高さだけ継ぎ足していくと共に、所定高さ位置にある横架材間に作業床を架設してステージとし、枠体の横桟を梯子として作業床への昇り降りを行なう構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、後者のパンタグラフ式室内移動足場は、起立状態で両側に対向させた支持枠を伸縮自在となるパンタグラフ機構で結合し、両支持枠の接近による折り畳みと離反を可能とし、離反させた両支持枠間の上端に手すり枠を取付けると共に、作業床を架設して組立てられ、梯子となる支持枠を利用して作業床への昇り降りを行なうようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−28030号公報
【特許文献2】特開平10−231617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のローリングタワーは、必要とする高さのステージを組立てることができるという利点はあるが、各構成部材が分離独立しているため、部品点数が多く組立て及び解体に手間と時間がかかるだけでなく、全体の重量が重く、コスト的に高く付くだけでなく、組立て解体に専門の知識が要求されるという問題がある。
【0006】
また、パンタグラフ式室内移動足場は、折り畳むことで嵩低くなり格納や輸送に便利で、組立てや解体が容易に行なえるが、ステージの高さは一定化した構造となり、作業条件の変化に対応することが困難となり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
更に、従来のローリングタワーやパンタグラフ式室内移動足場は、作業床への昇り降りが、枠体の横桟や支持枠を梯子として利用するため、昇り降り時は正面以外に保護するものが何もなく、昇り降りに恐怖を感じることになり、作業床が高い場合の墜落による事故の危険性もある。
【0008】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、極力部品点数を少なくして所望高さの作業ステージを構築することができ、しかも、全体が軽量コンパクトでコスト的にも安価となり、専門知識を必要とすることなく誰でも簡単に組立と解体が行なえる移動足場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明は、横桟材を結合して矩形枠状に組立てられ、四隅の位置に縦柱を立設すると共に下部四隅の位置にキャスターを設けたベース部材と、前記ベース部材の縦柱上に接続できると同時に、自身も上方に継足し接続することができる二本の縦柱を、前記ベース部材の対角位置にある縦柱と等しい間隔となるよう上下の横桟で結合して形成した枠体を二つ用い、この二つの枠体を上下の横桟の部分で互いに嵌め合わせてこの横桟の交差する中央部分を枢止結合し、両枠体の縦柱が重なる折り畳みから、ベース部材の対角位置にある二組の縦柱の対角線がなす角度に一致するクロス状態に開くことができるように形成され、前記ベース部材上に継ぎ足していくことができる中間枠部材と、クロス形状に開いた中間枠部材の両側に位置する縦柱上に起立するよう取り付け、中間枠部材上の両側に対向するよう配置する枠体に、この枠体に重なる起立状態から中間枠部材の上部に水平伏倒する起伏動自在の作業床を設けた作業床付手すり枠と、対向する作業床付手すり枠間に起立するよう取付ける手すり枠とからなり、前記中間枠部材が、一方枠体の上下横桟間に、この一方枠体に平行する格納状態から回動自在に取付けられ、ベース部材をクロス形状に開いた状態で他方枠体と結合することができる梯子部材を備えている構成を採用したものである。
【0010】
ここで、上記ベース部材は、四隅に配置した縦パイプを上部と下部の横桟材で結合し、前後方向の奥行きよりも横幅が少し広い矩形枠体に組立てられ、前記縦パイプを上下に貫通するジャッキ軸の下端にキャスターを取付けると共に、このキャスターよりも上部の位置に縦パイプの下端を受ける回転ねじ式のジャッキ部材を螺合し、ジャッキ部材の回動で高さの調整が可能になっていると共に、この各縦パイプには、アウトリガーが前後の方向に突出するよう固定され、横幅方向の両側で前後に位置する下位横桟材の間に内側横桟を架設し、この両内側横桟の両端部寄りの位置に縦柱を立設することにより、前記矩形枠体の内部で四隅の位置に合計四本の縦柱が配置されている。
【0011】
上記中間枠部材における枠体は、縦柱を結合する上下横桟間の両端部寄りの位置に縦桟を設け、一方枠体の両縦桟にそれぞれ梯子部材が回動自在に取り付けられ、中間枠部材をクロス状態に開いた状態で梯子部材を回動させ、先端の係止部材を他方枠体の対応する縦桟に対して係止すれば、中間枠部材の開いた状態が保持され、梯子部材での昇り降りができることになる。
【0012】
この中間枠部材は、例えば高さ寸法が500mmと1000mmの二種類を用意し、これを使い分けることにより、構築する移動足場の高さ設定を細かな範囲で行なえるようにすることができる。
【0013】
上記作業床付手すり枠は、枠体が下向きコ字状に形成され、その両側下端を、クロス形状に開いた中間枠部材の両側に位置する縦柱上に起立するよう接続することによって取り付けるようになっていると共に、作業床は枠体の両側下端部に、この枠体に重なる起立格納状態から水平に伏倒する起伏動自在になっている。
【0014】
上記手すり枠は、下向きのコ字状枠体が、両側に対向状態で起立する作業床付手すり枠間に納まるように形成され、コ字状枠体の中間に手すり横桟と下部に腰板が設けられ、両側に対向状態で起立する作業床付手すり枠に、フックとホルダーを用いて利用側を固定するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、四隅の位置に縦柱を立設すると共に下部四隅の位置にキャスターを設けたベース部材と、前記ベース部材の縦柱上に接続できると同時に、折り畳むことのできる中間枠部材と、中間枠部材上の両側に対向するよう配置する枠体に、この枠体に重なる起立状態から中間枠部材の上部に水平伏倒する起伏動自在の作業床を設けた作業床付手すり枠と、対向する作業床付手すり枠間に起立するよう取付ける手すり枠とで構成したので、ベース部材上に中間枠部材を接続し、この中間枠部材上に作業床付手すり枠と手すり枠を取付けるだけで移動足場を組立てることができ、組立てや解体が単純に上下にパイプを接続したり分離させるだけでよいので、専門知識を必要とすることなく誰でも簡単に組立と解体が行なえる。
【0016】
また、ベース部材と中間枠部材、中間枠部材上に取付ける作業床付手すり枠と手すり枠の組合わせであるので、移動足場を構成する部品の種類と点数を極力少なくすることができ、コスト的にも廉価なものとなる。
【0017】
更に、中間枠部材の接続数を増減したり、高さの異なる中間枠部材を組み合わせ使用することで、所望高さの作業ステージを構築することができ、しかも、中間枠部材は扁平に折り畳めるので、使用しないときに全体を嵩低く積み重ねることが可能になり、格納や運搬時に有利となる。
【0018】
更にまた、中間枠部材は、二つの枠体を上下の横桟の部分で互いに嵌め合わせてこの横桟の交差する中央部分を枢止結合してクロス状態に開くことができるように形成し、前記一方枠体の上下横桟間に、この一方枠体に平行する格納状態から回動自在に取付けられ、中間枠部材をクロス形状に開いた状態で他方枠体と結合する梯子部材を設けたので、作業ステージへの作業員の昇り降りが梯子部材を利用して行なえ、梯子部材はクロス状態に開いた枠体間に設けられていることで、梯子面の両側が枠体の一部で囲まれることになり、梯子部材を昇降する際の恐怖感を少なくすることができ、梯子部材を昇り降りする場合の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0020】
図1乃至図3のように、この発明の移動足場1を組立てるために用いる基本構成部材は、ベース部材2と中間枠部材3、中間枠部材3の上に取付ける作業床付手すり枠4と手すり枠5からなっている。
【0021】
上記ベース部材2は、四隅に起立配置した縦パイプ6を上部と下部のパイプ製の横桟材7と8で結合し、前後方向の奥行きよりも横幅が少し広い矩形の枠体に組立てられ、前記四隅の縦パイプ6をそれぞれ上下に貫通するジャッキ軸9の下端に移動用のキャスター10を取付けると共に、このキャスター10よりも上部の位置に縦パイプ6の下端を受ける回転ねじ式のジャッキ部材11を螺合し、ジャッキ部材11の回動で高さの調整が可能になっている。ここで、図3(b)の平面図において、移動足場1における前後方向とは、ベース部材2の幅が狭い方向を、横方向とは幅の広い方向をいう。
【0022】
上記各縦パイプ6には、前後の方向に突出するよう固定したアーム12の先端に、ハンドル13の操作によって接地部材14を上下に位置調整可能となるよう取付けたアウトリガー15が突設され、ベース部材2を床面に固定化することができるようになっている。
【0023】
上記ベース部材2の内部には、横幅方向の両側で前後の位置に、合計四本の角縦柱16が上下端を前後に位置する上横桟材7と下横桟材8に固定することによって配置され、前後に位置する角縦柱16間に横杆17が水平に架設されている。
【0024】
図3(a)のように、上記横杆17は、角縦柱16間に納まる長さを有し、その両端に、角縦柱16に対して外嵌するコ字状金具18を設け、角縦柱16に複数の取付け孔19を上下に所定の間隔で設け、コ字状金具18をピン20の抜き差しで所望の取付け孔19に固定することにより、ベース部材2の内部で両側に前後方向に沿う横杆17を架設するようになっている。
【0025】
この横杆17は、取付け孔19を選ぶことで、架設時の高さ位置を取付け孔19の間隔で上下に調整できると共に、横杆17の上面で前後両端部寄りの位置に、中間枠部材3を接続するための短い高さ寸法のパイプ製縦柱21が立設されている。
【0026】
上記のように、ベース部材2は、その内部四隅に中間枠部材3を接続するための縦柱21が合計四本配置され、例えば、この縦柱21の前後間隔は700mmに、横方向の間隔は1400mmに設定され、横杆17の架設高さを取付け孔19の間隔で選ぶことと、アウトリガー15による上下持ち上げ高さを調整することにより、縦柱21の配置高さを調整することができる。
【0027】
上記中間枠部材3は、図1乃至図7のように、上記ベース部材2の縦柱21上に接続できると同時に、自身も上方に継足し接続することができる二本の縦柱22を、前記ベース部材2の対角位置にある縦柱21と等しい間隔となるよう上下のパイプ製横桟23と24で結合して枠体25を組み、この枠体25を二つ用い、二つの枠体25、25を上下の横桟23、24の部分で互いに嵌め合わせてこの横桟23、24の交差する中央部分をピン26で枢止結合し、図7(b)のように、両枠体25、25の縦柱22が重なる折り畳みから、図7(a)のように、ベース部材2の対角位置にある二組の縦柱21の対角線がなす角度に一致するクロス状態に開くことができるように形成されている。
【0028】
上記中間枠部材3における枠体25、25は、縦柱22を結合する上下横桟23、24間の両端部寄りの位置にパイプ製の縦桟27、27を設け、一方枠体25の両縦桟27、27にはそれぞれ梯子部材28が、この一方枠体25に重なる収納状態から他方枠体25に向けて回動させることができるように取り付けられている。
【0029】
この梯子部材28は、図5のように、両側縦パイプ28a間に上下複数段の踏桟28bを設けて枠状梯子に形成され、一方側縁の上下端を上記縦桟27の上下端に一対のヒンジ金具29で平面的に回動するよう枢止され、中間枠部材3の両枠体25をクロス状態に開いた状態で梯子部材28を回動させ、先端の係止部材30を他方枠体25の対応する縦桟27に対して係止すれば、中間枠部材3の開いた状態が保持され、梯子部材28に対する昇り降りができることになる。
【0030】
上記中間枠部材3は、例えば縦柱22の高さ寸法が500mmと1000mmの二種類を用意し、これを使い分けたり組合わせることにより、構築する移動足場1の高さ設定を細かな範囲で行なえるようにすることができ、枠体25と25のクロス構造を採用することによって中間枠部材3は軽量化と強度のアップが図れることになる。
【0031】
また、中間枠部材3の梯子部材28は、クロス状態に開いた枠体25と25間に位置することで、梯子面の両側に枠体25と25の一部が存在して囲まれることになり、梯子部材28を昇降する際の恐怖感を少なくすることができ、梯子部材28を昇り降りする場合の安全性を向上させることができる。
【0032】
上記作業床付手すり枠4は、図8乃至図10のように、パイプ製のフレーム31が、その両側下端をクロス形状に開いた中間枠部材3の前後に位置する縦柱22上に接続することのできる下向きコ字状に形成され、中間枠部材3上の両側に対向起立するよう取り付け、作業床32はフレーム31の両側下端部に一端側を枢止し、このフレーム31に重なる起立格納状態から、中間枠部材3の上面に向けて水平に伏倒させることができる起伏動自在になっている。
【0033】
この作業床32は、中間枠部材3の横方向の半分を覆える平面的な大きさを有し、両側作業床付手すり枠4、4の作業床32を水平に伏倒させることで、中間枠部材3の上に、この中間枠部材3の前後幅と横幅に等しい床を形成することができ、一方の作業床32を跳ね上げて起立保持させれば、床面に作業員の昇降口を形成することができる。
【0034】
上記手すり枠5は、図8、図9、図11と図12に示すように、パイプ製の下向きのコ字状枠体33が、中間枠部材3の上部両側に対向状態で起立する作業床付手すり枠4間に納まるような幅に形成され、コ字状枠体33の中間に手すり横桟34と下部に腰板35が設けられ、中間枠部材3の前後で両側に対向状態で起立する作業床付手すり枠4の縦柱22間に配置され、この手すり枠5の両側に固定した上下のフック36を作業床付手すり枠4の両側に固定した上下のホルダー37に係止することにより、その両側を作業床付手すり枠4に固定し、水平に伏倒させた作業床32の上部四周辺を、作業床付手すり枠4のフレーム31と手すり枠5の枠体33で枠状に囲み、これによって作業床ステージを形成する。
【0035】
中間枠部材3の上部で前後に対向する配置となるこの手すり枠5の下部に設けた腰板35には、対向面側の下縁に、水平に伏倒させた作業床32の両側縁を係合支持する突条38が設けられ、作業床32にかかる荷重を支持するようになっている。
【0036】
ここで、ベース部材2の縦柱21に対する中間枠部材3の縦柱22の接続部分、中間枠部材3相互の継足しによる縦柱22同士の接続部分、この中間枠部材3の縦柱22に対する作業床付手すり枠4の接続部分は、鋼製パイプ同士の接続構造になる。
【0037】
図5(a)は、ベース部材2と中間枠部材3の縦柱21と22の接続機構を示し、中間枠部材3の縦柱22における下端に、ベース部材2の縦柱21の上端へ外嵌する錐形のキャップ39を固定し、両縦柱21と22の端部から適宜の位置にそれぞれ横孔40と41を設け、上記横孔40と41の中間位置で中間枠部材3の縦柱22を回転と軸方向の移動が自在となるよう水平に貫通する操作軸42に、上下の横孔40と41に対して抜き差し自在となる係合片43を端部に設けた接続杆45を固定し、前記操作軸42に接続杆45を常時縦柱22に接近させるためのスプリング46を設けた構造になっている。
【0038】
ベース部材2に中間枠部材3を接続するには、接続杆45が中間枠部材3の横孔41に係合片43が係合する上向きの状態で、中間枠部材3の縦柱22に設けたキャップ39をベース部材2の縦柱21の上端に被せ、中間枠部材3の縦柱22に設けた操作軸42を押し込んで接続杆45を縦柱22から離反させて接続杆45を下向きに半回転させ、操作軸42の押圧を解いて接続杆45の係合片43を縦柱21の横孔40に係合させれば、両縦柱21、22を上下に同軸心状の配置で結合することができ、また、解体時には、操作軸42を押し込んで接続杆45の係合片43を横孔40から抜き、接続杆45を上向きに回転させた状態で縦柱21と22を上下に分離すればよい。
【0039】
なお、中間枠部材3相互を継足すための縦柱22同士の接続は、上記したと同様、接続杆45と横孔41による接続機構を採用すればよく、中間枠部材3の縦柱22における上端部に横孔41を設けておけばよい。
【0040】
また、中間枠部材3の縦柱22に対する作業床付手すり枠4の接続機構は、図9と図10のように、作業床付手すり枠4のフレーム31の両側下端に、中間枠部材3の縦柱22へ挿入する係止金具47と、縦柱22の上端に載る鍔48とを設け、中間枠部材3の縦柱22に係止金具47の下端係合片49が嵌る係止孔50(図6に図示)を設けた構造になっている。
【0041】
上記係止金具47は、図9のように、中間枠部材3の縦柱22に対して作業床付手すり枠4を少し斜めにした状態で、縦柱22に挿入することができるよう側縁が傾斜し、作業床付手すり枠4を垂直に立てた時点で係合片49が係止孔50に係合して接続状態になる。
【0042】
このようにすると、作業床付手すり枠4を斜めに保持した状態で中間枠部材3への取付けや解体が行えることになり、作業が行ないやすくなるという利点がある。
【0043】
この発明の移動足場は、上記のような構成であり、その組み立てを行なうには、先ず、中間枠部材3の枠体25、25をクロス状に広げ、一方枠体25に格納してある梯子部材28を回転させ、他方枠体25の縦桟27に係止することで中間枠部材3の枠体25、25を固定化する。
【0044】
次に、ベース部材2をアウトリガー15の操作によって接地部材14で床面上に移動しないよう固定化した状態で、上記した中間枠部材3を持ち上げてベース部材2の上に臨ませ、この中間枠部材3の四方に位置する縦柱22の下端をベース部材2内の四隅に位置する縦柱21の上に載置する。
【0045】
このとき、接続機構の操作軸を押し込んだ状態で中間枠部材3のキャップ39を縦柱21の上端へ外嵌し、操作軸42の押圧を解いて接続杆45の係合片43を縦柱21の横孔40に係合させ、図5(a)のように、ベース部材2内の縦柱21上に中間枠部材3を接続する。
【0046】
このようにしてベース部材2の上に中間枠部材3を接続した状態で、この中間枠部材3の上に、必要に応じて別の中間枠部材3を接続機構で結合して継ぎ足すことにより、必要とする高さに組み上げるようにする。
【0047】
最上部に位置する中間枠部材3の上端で両側に作業床付手すり枠4を対向立設し、この作業床付手すり枠4間の前後に手すり枠5を取付け、作業床付手すり枠4に設けた作業床32を水平に倒せば、図1と図2のように、最上部に位置する中間枠部材3の上部が作業床ステージとなる移動足場1の組立が完成する。
【0048】
この移動足場1は、組立て後にアウトリガー15を床面から浮かせることで、キャスター10によって作業せんとする部分に移動させることができ、作業部分ではアウトリガー15を床面に接地させて固定化した状態で、作業者は中間枠部材3の梯子部材28を利用して、上記作業床ステージに対する昇り降りを行ない、作業床32上で建物の各種内装工事を行なうと共に、前記作業床ステージへの昇り降り時には、作業床ステージの片側作業床32を跳ね上げて起立させ、昇降口を確保するようにすればよい。
【0049】
また、作業後の解体は、先ず、作業床32を起立保持させて前後の手すり枠5を作業床付手すり枠4間から抜き取り、次に、両側の作業床付手すり枠4を中間枠部材3から抜き取り、中間枠部材3をベース部材2の縦柱21から取外して梯子部材28と両枠体25、25を折り畳むという、上記した組立て時と逆の順序で行なえばよく、解体後の折り畳んだ中間枠部材3と作業床付手すり枠4及び手すり枠5は、ベース部材2の上に載置し、このベース部材2を運搬台車として使用する。
【0050】
このように、移動足場1の組立ては、ベース部材2の縦柱21に対してクロス状態に開いた中間枠部材3を接続し、中間枠部材3の上に作業床付手すり枠4と手すり枠5を立設するだけでよく、また、解体は、組立ての逆手順で行なえるので、組立てや解体が単純に上下にパイプを接続したり分離させるだけでよく、専門知識を必要とすることなく誰でも簡単に組立と解体が行なえる。
【0051】
この発明の移動足場1は、それ単体で作業ステージとして使用できるが、この移動足場1を基本ステージとして複数用い、作業条件に合わせたレイアウトの発展形作業ステージを構築することができる。
【0052】
図13は、二台の移動足場1を長さ方向に連結して作業ステージを形成した例であり、隣接する移動足場1のステージにおける接続端部は、作業床付手すり枠4の使用を省き、これに代えて通行の邪魔にならない中間用柱部材51を、中間枠部材3における前後縦柱22の上に立設し、作業床の欠けた部分に別途用意した単独作業床52を敷設するようにする。
【0053】
上記中間用柱部材51は、図15(a)のように、その下端に作業床付手すり枠4と同様の鍔と係止金具が、また、上端と下部に手すり枠を結合するためのホルダーが設けられた金属製の縦パイプ53を二本用い、両縦パイプ53の下部の位置を腰板54により、クロス状に開いた中間枠部材3の前後の縦柱22に等しい間隔で結合して形成され、中間枠部材3上で作業床付手すり枠4を省いた部分に、この中間用柱部材51を立設し、手すり枠5の端部をこの中間柱部材51に結合する。
【0054】
また、単独作業床52は、図16に示すように、縦横の鋼材で組んだ枠体52aの上面にラス金網等の床材52bを張設し、前後手すり枠5と中間用柱部材51で囲まれた作業床欠落部分に納まるよう、移動足場1の長さ方向の略半分の大きさに形成され、前後手すり枠5と中間用柱部材51の腰板35と54に設けた突条38で周辺を支持することによって敷設する。
【0055】
このような移動足場1の接続において、隣接するベース部材2を結合するため、図3のように、横桟材7と8の上面にプレースピン55を立設しておき、隣接するベース部材2をプレースピン55に結合したプレース56で連結するようにしている。
【0056】
図14は、長さ方向を平行させた二台の移動足場1の間に、並列させた丁度二台の移動足場1分のスペースを設け、このスペースの部分に単独作業床52を敷設することにより作業ステージとした例であり、増設作業スペースの形成には、梁部材57と上記した手すり枠5及び単独作業床52が用いられる。
【0057】
上記梁部材57は、図15(b)のように、中間用柱部材51の腰板54と同様、下縁に突条38を備えた断面形状の帯板状に形成され、対向する作業床付手すり枠4の間に納まる長さを有し、その両端に作業床付手すり枠4のホルダー37に係止するフック58を設け、中間位置にフック58を係止するホルダー59が設けられている。
【0058】
長さ方向を平行させた二台の移動足場1において、手すり枠5を省いた部分に、即ち、中間枠部材3の長さ方向に位置する縦柱22の上に梁部材57を架設し、両側に平行する梁部材57間の中間に同じ梁部材57を架設し、隣接する作業床付手すり枠4の間に手すり枠5を取付け、増設作業スペースとなる部分に単独作業床52を敷設することによって作業ステージが構築できる。当然ながらこの場合も、隣接する移動足場1は、ベース部材2をプレース56で互いに結合するようにする。
【0059】
なお、発展形作業ステージの構築は、図示例のレイアウトに限るものではなく、上記のような中間用柱部材51、梁部材57、単独作業床52、プレース56等を用いることで、所望する平面的な大きさと形状の作業ステージを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明にかかる移動足場の組立て状態を示す正面図
【図2】この発明にかかる移動足場の組立て状態を示す側面図
【図3】(a)はベース部材における角縦柱と縦柱の構造を示す斜視図、(b)は移動足場のベース部材と中間枠部材の組み立て状態を示す平面図
【図4】中間枠部材とその上に作業床付手すり枠と手すり枠を取付けた状態を示す正面図
【図5】(a)はベース部材の縦柱と中間枠部材の縦柱を接続杆で接続した状態の縦断面図、(b)は中間枠部材と梯子部材の分解状態を示す斜視図
【図6】組み立てた中間枠部材のクロス状に開いた状態を示す斜視図
【図7】(a)は組み立てた中間枠部材のクロス状に開いた状態を示す平面図、(b)は折り畳み状態を示す平面図
【図8】作業床付手すり枠と手すり枠の関係を示す分解斜視図
【図9】中間枠部材に対する作業床付手すり枠と手すり枠の取付け手順を示す正面図
【図10】作業床付手すり枠の作業床を倒した状態を示す正面図、(b)は同側面図、(c)は作業床を起立させた状態を示す側面図
【図11】この発明にかかる移動足場の組立て状態を示す拡大した平面図
【図12】(a)は手すり枠の正面図、(b)は同側面図、(c)は同平面図
【図13】この発明にかかる二台の移動足場を長さ方向に連結して構築した作業ステージの平面図
【図14】この発明にかかる二台の移動足場間に単独作業床を配置して構築した作業ステージの平面図
【図15】(a)は中間用柱部材の斜視図、(b)は梁部材の斜視図
【図16】単独作業床の斜視図
【符号の説明】
【0061】
1 移動足場
2 ベース部材
3 中間枠部材
4 作業床付手すり枠
5 手すり枠
6 縦パイプ
7、8 横桟材
9 ジャッキ軸
10 キャスター
11 ジャッキ部材
12 アーム
13 ハンドル
14 接地部材
15 アウトリガー
16 角縦柱
17 横杆
18 コ字状金具
19 取付け孔
20 ピン
21 パイプ製縦柱
22 縦柱
23 横桟
24 横桟
25 枠体
26 ピン
27 縦桟
28 梯子部材
29 ヒンジ金具
30 係止部材
31 フレーム
32 作業床
33 コ字状枠体
34 手すり横桟
35 腰板
36 フック
37 ホルダー
38 突条
39 錐形のキャップ
40 横孔
41 横孔
42 操作軸
43 係合片
45 接続杆
46 スプリング
47 係止金具
48 鍔
49 下端係合片
50 係止孔
51 中間用柱部材
52 単独作業床
53 縦パイプ
54 腰板
55 ブレースピン
56 ブレース
57 梁部材
58 フック
59 ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横桟材を結合して矩形枠状に組立てられ、四隅の位置に縦柱を立設すると共に下部四隅の位置にキャスターを設けたベース部材と、
前記ベース部材の縦柱上に接続できると同時に、自身も上方に継足し接続することができる二本の縦柱を、前記ベース部材の対角位置にある縦柱と等しい間隔となるよう上下の横桟で結合して形成した枠体を二つ用い、この二つの枠体を上下の横桟の部分で互いに嵌め合わせてこの横桟の交差する中央部分を枢止結合し、両枠体の縦柱が重なる折り畳みから、ベース部材の対角位置にある二組の縦柱の対角線がなす角度に一致するクロス状態に開くことができるように形成され、前記ベース部材上に継ぎ足していくことができる中間枠部材と、
クロス形状に開いた中間枠部材の両側に位置する縦柱上に起立するよう取り付け、中間枠部材上の両側に対向するよう配置する枠体に、この枠体に重なる起立状態から中間枠部材の上部に水平伏倒する起伏動自在の作業床を設けた作業床付手すり枠と、
対向する作業床付手すり枠間に起立するよう取付ける手すり枠とからなり、
前記中間枠部材が、一方枠体の上下横桟間に、この一方枠体に平行する格納状態から回動自在に取付けられ、ベース部材をクロス形状に開いた状態で他方枠体と結合することができる梯子部材を備えている移動足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−13892(P2010−13892A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176893(P2008−176893)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(504294732)
【Fターム(参考)】