説明

移動農機

【課題】単一のアクセル操作部材によってエンジン回転数と無段変速機構の速比を変更制御すると共に、エンジンの高回転域での作業の安定化を図る。
【解決手段】エンジンを搭載する走行車と、エンジンの回転を変速操作するアクセル操作部材87と、エンジンからの回転を無段変速させて走行車の移動速度又は作業部の作業速度を変更する無段変速機構とを備え、アクセル操作部材87の操作量に基づいて無段変速機構の変速出力を制御するように構成した移動農機において、アクセル操作部材87の変速操作によって、エンジンの回転数が所定以上の高回転域にあるときには、無段変速機構の速比が初期設定された略一定の最高速値に保持されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば苗載台及び植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機などの移動農機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば田植機の作業速度の変更にあっては、エンジンで行うアクセル操作と、ミッションケースで行う主変速操作と、主変速の「植付」操作時に無段変速機構を作動させて行う副変速操作とがあり、植付作業中の植付作業速度の変更操作はアクセル操作と副変速操作の2系統によって通常行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述したような2系統による変速操作は操作が複雑で操作性が悪いという不都合がある。そこでアクセル操作と副変速操作とを1本化させて何れか一方で連動操作するようにした手段があるが、エンジンの回転を低速とさせる程無段変速機構の速比も比例的に低速側に変更させる構成の場合、エンジンの回転を低速とさせると植付作業速度が著しく低速となるなどして馬力不足状態となって、適正な植付作業が行えなくなる不都合があった。またエンジンの回転を高速とさせる程無段変速機構の速比も比例的に高速側に変更させる構成の場合、使用頻度の高いエンジンの高回転域で少しでもアクセル操作によってエンジン回転を変更すると、作業速度がその都度大きく変化するなどの不都合があった。
【0004】
また、機体旋回時などで機体の走行速度を低速とさせる必要のあるとき、このような連動構造の場合エンジンの回転も低速となって、エンジン出力による機体旋回力の充分な確保が行えないという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における移動農機は、エンジンを搭載する走行車と、前記エンジンの回転を変速操作するアクセル操作部材と、前記エンジンからの回転を無段変速させて走行車の移動速度又は作業部の作業速度を変更する無段変速機構とを備え、前記アクセル操作部材の操作量に基づいて前記無段変速機構の変速出力を制御するように構成した移動農機において、前記アクセル操作部材の変速操作によって、前記エンジンの回転数が所定以上の高回転域にあるときには、前記無段変速機構の速比が初期設定された略一定の最高速値に保持されるように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動農機において、前記無段変速機構の速比を変更する変速モータと、前記無段変速機構の速比を検出する速比センサと、前記アクセル操作部材の変速操作量を検出するアクセルセンサと、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサとを設け、前記アクセル操作部材の操作によって、前記エンジンの回転数を変更させ、且つ前記無段変速機構の速比を変更させるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンを搭載する走行車と、前記エンジンの回転を変速操作するアクセル操作部材と、前記エンジンからの回転を無段変速させて走行車の移動速度又は作業部の作業速度を変更する無段変速機構とを備え、前記アクセル操作部材の操作量に基づいて前記無段変速機構の変速出力を制御するように構成した移動農機において、前記アクセル操作部材の変速操作によって、前記エンジンの回転数が所定以上の高回転域にあるときには、前記無段変速機構の速比が初期設定された略一定の最高速値に保持されるように構成したものであるから、単一のアクセル操作部材によってエンジン回転数と無段変速機構の速比を変更して、操作性やフィーリング性(自動車感覚)を向上させると共に、エンジンの回転数が使用頻度の高い高回転域にあるときには、無段変速機構の速比を、初期設定された略一定の最高速側に確実に保って、作業速度の安定化を図って作業能率を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、前記無段変速機構の速比を変更する変速モータと、前記無段変速機構の速比を検出する速比センサと、前記アクセル操作部材の変速操作量を検出するアクセルセンサと、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサとを設け、前記アクセル操作部材の操作によって、前記エンジンの回転数を変更させ、且つ前記無段変速機構の速比を変更させるように構成したものであるから、エンジンの出力不足等を防止しながら、無段変速機構を増速制御又は減速制御できる。前記アクセル操作部材の増速又は減速操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】田植機の全体側面図。
【図2】田植機の全体平面図。
【図3】走行車体の側面説明図。
【図4】走行車体の平面説明図。
【図5】変速ケース部の側面説明図。
【図6】変速モータ部の側面説明図。
【図7】ミッションケースの駆動系の説明図。
【図8】アクセルペダル部の説明図。
【図9】制御回路図。
【図10】フローチャート。
【図11】モード線図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0011】
また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0012】
また、図中(29)は主変速レバー、(30)は副変速レバーでもある植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0013】
さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)…を一体固定させ、架台(37)…の上面に防振ゴム(38)…及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0014】
またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0015】
また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0016】
さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0017】
図7に示す如く、電動式変速モータ(電動シリンダ)(60)の操作でもって巻付け径を変化させて変速比を無段階に変更する入出力プーリ(61)(62)及びVベルト(63)で構成する副変速部であるベルト式無段変速機構(64)をベルト変速ケース(56)に内設させ、クラッチペダル(32)によって断続操作する多板摩擦形乾式クラッチ(65)を前記クラッチケース(55)に内設させ、ベルト変速ケース(56)の出力軸(66)をミッションケース(4)の入力軸(67)に前記クラッチ(65)を介して連結させて、前記変速モータ(60)でもって副変速である植付作業速度を変速するように構成している。
【0018】
また、前記入力軸(67)に走行変速ギヤ機構(68)を介して走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)に前後輪伝動軸(59)(70)を介して前記走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)を駆動すると共に、前記入力軸(67)にPTO変速ギヤ機構(71)及び植付クラッチ(72)を介してPTO軸(73)を連結させ、PTO軸(73)を介して植付部(15)を駆動し、また変速ケース(4)近くでPTO軸(73)出力をスプロケット(74)により分岐して施肥機(36)を駆動するように構成している。なお(75)は前記昇降シリンダ(28)を作動する油圧ポンプである。また前記変速モータ(60)に換え電磁操作式油圧シリンダを用いて無段変速機構(64)の速比を変更させても良い。
【0019】
図5、図6に示す如く、前記変速モータ(60)は左右車体フレーム(3)の後部内側に略平行で前低後高に一体連結させる左右サブフレーム(76)の左サブフレーム(76)に取付けるもので、左サブフレーム(76)の固定ブラケット(77)に枢支軸(78)を介し変速モータ(60)の基端を上下動自在に取付けると共に、前記無段変速機構(64)を内設する変速ケース(56)前面の変速レバー(79)に連結リンク(80)・引上げアーム(81)を介して変速モータ(60)のモータ軸(60a)を連結させ、変速モータ(60)の駆動によるモータ軸(60a)の伸縮動作でもって変速レバー(79)を操作して無段変速機構(64)を変速させ速比を変更するように構成している。
【0020】
前記引上げアーム(81)は左車体フレーム(3)上に横軸(82)を介し中間部を揺動自在に枢支させ、一端側を前記モータ軸(60a)に、他端側を前記リンク(80)にそれぞれ連結させて、変速モータ(60)からの変速操作出力を変速レバー(79)に伝えると共に、左車体フレーム(3)に取付板(83)などを介し固設するポテンショメータ式速比センサ(84)のセンサアーム(85)と、前記引上げアーム(81)の検出軸(86)とを係合連結させて、前記変速モータ(60)によって引上げアーム(81)を揺動させて無段変速機構(64)を変速操作するときの速比を速比センサ(84)で検出するように構成している。
【0021】
図4、図8に示す如く、前記右車体フレーム(3)より右外側でブレーキペダル(33)近傍にアクセル操作機材であるアクセルペダル(87)を配設して、該ペダル(87)のペダル軸(88)に固設するペダルアーム(89)と、エンジン(2)の燃料供給量制御を行うエンジン(2)のスロットル部(2a)とをアクセルワイヤ(90)を介し連動連結させると共に、ペダルアーム(89)先端に固設する検出軸(91)と右車体フレーム(3)側に固定するポテンショメータ式アクセルセンサ(92)のセンサアーム(93)とを係合連結させて、アクセルペダル(87)の踏込み操作量(エンジン回転数の増減速)をアクセルセンサ(92)でもって検出するように構成している。
【0022】
また、運転席(13)の下方足元部に配設する増速ペダル(94)に、該ペダル(94)の増速操作を検出する増速スイッチ(95)を設けて、前記無段変速機構(64)の最低速時にあって、増速ペダル(94)が増速操作(スイッチ(95)がオン)されるとき中間速まで無段変速機構(64)を増速させるように構成している。
【0023】
そして図9に示す如く、前記エンジン出力軸(52)の回転数を検出するピッチアップ型エンジン回転センサ(96)と、前記主クラッチペダル(32)の入切を検出する主クラッチスイッチ(97)と、前記植付クラッチ(72)の入切を検出する植付スイッチ(98)と、前記アクセルペダル(94)の操作に無段変速機構(64)を連動させる切換部材である連動スイッチ(99)と、前記植付レバー(30)による副変速位置を検出する変速位置センサ(100)と、前記速比及びアクセルセンサ(84)(92)と、増速スイッチ(95)と、各種作業条件に応じ無段変速機構(64)の速比モード(A)(B)(C)より1つを選択するモード選択スイッチ(101)とをコントローラ(102)に接続させると共に、前記変速モータ(60)にリレー回路(103)を介してコントローラ(102)を接続させて、ペダル(87)操作によってエンジン回転数を変更するとき無段変速機構(64)の速比もこれに応じて変更して、単一のペダル(87)操作でエンジン回転数と速比の同時の変更を行うように構成している。
【0024】
本実施例は上記の如く構成するものにして、図10のフローチャートに示す如く、主クラッチスイッチ(97)がオフ(主クラッチが入)で植付スイッチ(98)がオン(植付クラッチ(72)が入)の植付作業中にあって、連動スイッチ(99)がオンで、アクセルペダル(87)が踏込み操作されてエンジン回転数が増大するときには、前記アクセルセンサ(93)の検出出力(エンジン回転数)に基づいて、図11に示す如き標準モード(A)・速度優先モード(B)(速比を大とさせて速度を優先)・パワーモード(C)(速比を小とさせて車軸トルクを確保)のうちから選定された1つのモード(A)或いは(B)或いは(C)からアクセルセンサ(93)の出力(V)に応じた目標の速比(V1)が計算され、前記速比センサ(84)で検出される速比(V2)と目標速比(V1)との差(|V1−V2|)が不感帯(V0)以上のとき、この差(|V1−V2|)を不感帯(V0)に入れて|V1−V2|<V0とする変速モータ(60)の増減速制御が行われる。
【0025】
また、この場合アクセルセンサ(93)出力の一定低回転域及び高回転域である一定区間(a)(b)の速比は、最低速値(L)及び最高速値(H)を保持させるもので、例えばアクセルセンサ(93)出力の低回転側となるエンジン回転数の1700〜1900rpm間で速比を最低速値(L)に保持させることによって、エンジン(2)による植付作業速度の所定以上の低下を防止して、エンジン(2)低回転域での馬力不足状態を解消させ、低回転域でエンジン回転数がばらついた場合でも速比を最低速値(L)に確実に保持させて作業を安定させる。一方、アクセルセンサ(93)出力の高回転側となるエンジン回転数の3400〜3900rpm間で速比を最高速値(H)に保持させることによって、使用頻度の高いエンジン(2)の高回転域で作業中に作業速度が頻繁に減速するなどした不都合を解消させて、安定した作業速度を確保して作業の高能率化を図る。そしてアクセルセンサ(93)出力によるエンジン回転数の中間回転域(c)(c=1900〜3400rpm)にあっては、アクセルセンサ(93)出力に応じて速比を増速させて、アクセル操作に略比例させた作業速度感覚を得て作業操作性を良好とさせるものである。
【0026】
また、前記連動スイッチ(99)のオフ状態時には、前記植付レバー(30)の操作による変速位置センサ(100)の出力(V3)に対応する位置まで変速モータ(60)が駆動されて、植付レバー(30)で植付作業速度を適宜変速させての作業を行うものである。なお、前記植付レバー(30)は機械的手段によって植付クラッチ(72)の入切などを行うと共に、ポテンショメータなどを変速位置センサ(100)で植付レバー(30)の副変速位置を電気的に検出して植付作業速度を変速させるものである。
【0027】
さらに、植付スイッチ(98)がオフの非植付作業時(後進・旋回・路上走行など)或いは主クラッチスイッチ(97)がオンの機体の走行停止時には、アクセルペダル(87)のアクセル操作に関係なく速比を最低速値(L)に保って後進や旋回作業を安定良好なものとさせると共に、機体停止よりの急発進を防止する。
またさらに、圃場内や路上走行時の非植付作業中にあって、増速ペダル(94)が操作され増速スイッチ(95)がオンとなるときには、速比を中間速(M)まで増速させて、これら作業のスピーディ化を図る。
【0028】
なお、前述実施例においてはアクセルペダル(87)操作のみでエンジン回転数と無段変速機構(64)の速比の連動した変更制御を行う構成を示したが、図2に示す如きアクセルレバー(104)でも同様に可能とさせるものである。またベルト式無段変速機構(64)に換え油圧式無段変速機構(HST)など何れの無段変速機構を用いても良い。
【0029】
以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン(2)を搭載する走行車(1)と、エンジン(2)の回転を変速操作するアクセル操作部材(87)と、エンジン(2)からの回転を無段変速させて走行車の移動速度又は作業部の作業速度を変更する無段変速機構(64)とを備え、アクセル操作部材(87)の操作量に基づいて無段変速機構(64)の変速出力を制御するように構成した移動農機において、アクセル操作部材(87)の変速操作によって、エンジン(2)の回転数が所定以上の高回転域にあるときには、無段変速機構(64)の速比が初期設定された略一定の最高速値に保持されるように構成したものであるから、単一のアクセル操作部材(87)によってエンジン回転数と無段変速機構(64)の速比を変更して、操作性やフィーリング性(自動車感覚)を向上させると共に、エンジンの回転数が使用頻度の高い高回転域(b)にあるときには、無段変速機構(64)の速比を、初期設定された略一定の最高速側に確実に保って、作業速度の安定化を図って作業能率を向上させることができるものである。
【0030】
無段変速機構(64)の速比を変更する変速モータ(60)と、無段変速機構(64)の速比を検出する速比センサ(84)と、アクセル操作部材(87)の変速操作量を検出するアクセルセンサ(92)と、エンジン(2)の回転数を検出するエンジン回転センサ(96)とを設け、アクセル操作部材(87)の操作によって、エンジン(2)の回転数を変更させ、且つ無段変速機構(64)の速比を変更させるように構成したものであるから、エンジン(2)の出力不足等を防止しながら、無段変速機構(64)を増速制御又は減速制御できる。前記アクセル操作部材(87)の増速又は減速操作性を向上できる。
【符号の説明】
【0031】
(2) エンジン
(64) 無段変速機構
(87) アクセルペダル(アクセル操作部材)
(a)(b) (エンジンの)回転域
(L)(H) (速比の)最低速及び最高速値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載する走行車と、前記エンジンの回転を変速操作するアクセル操作部材と、前記エンジンからの回転を無段変速させて走行車の移動速度又は作業部の作業速度を変更する無段変速機構とを備え、前記アクセル操作部材の操作量に基づいて前記無段変速機構の変速出力を制御するように構成した移動農機において、
前記アクセル操作部材の変速操作によって、前記エンジンの回転数が所定以上の高回転域にあるときには、前記無段変速機構の速比が初期設定された略一定の最高速値に保持されるように構成したことを特徴とする移動農機。
【請求項2】
前記無段変速機構の速比を変更する変速モータと、前記無段変速機構の速比を検出する速比センサと、前記アクセル操作部材の変速操作量を検出するアクセルセンサと、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサとを設け、前記アクセル操作部材の操作によって、前記エンジンの回転数を変更させ、且つ前記無段変速機構の速比を変更させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の移動農機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−150554(P2009−150554A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32256(P2009−32256)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【分割の表示】特願平11−40724の分割
【原出願日】平成11年2月19日(1999.2.19)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】