説明

移植機

【課題】この発明は、苗移植作業効率を向上すると共に、狭い苗株間でも苗の移植が行なえる移植機を得ることを課題とする。
【解決手段】駆動走行車輪2を装備した機体に苗載台90と該苗載台90から苗Sを取出す苗取装置43と該苗取装置43によって取出された苗Sを受け取って上下方向に往復動して圃場に植付ける苗植付装置5を設けた移植機において、該苗取装置43に複数の苗取出爪41L、41Rを設けて苗載台90から同時に複数の苗Sを取出す構成とし、該複数の苗取出爪41L、41Rが取出した苗Sを各々収容する複数の苗収容部42S,42Sを機体前後方向に位置をずらせて設けると共に、該複数の苗収容部42S,42Sに収容された各苗Sを各々開放して圃場に植付ける複数の植付体42L、42Rを苗植付装置5に設けた移植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜苗等を圃場に植付ける移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種従来例としては、苗取装置にて苗載台に載置した苗トレイから苗を取出して苗植付装置に供給し、該苗植付装置が上下方向に往復動して圃場に苗を植付ける移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−261278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の移植機は、苗載台に載置した苗トレイから苗取装置が苗を1つ取出して苗植付装置に供給し、苗植付装置が上下方向に往復動して圃場に1つ苗を植付ける作動を繰り返して圃場に苗を植付ける。従って、苗植付装置が上下方向に1往復動して圃場に1つ苗を植付けるものであるから、苗移植作業効率に課題があると共に、苗株間を狭く設定することはできないものであった。そこで、この発明は、苗移植作業効率を向上すると共に、狭い苗株間でも苗の移植が行なえる移植機を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、駆動走行車輪2を装備した機体に苗載台90と該苗載台90から苗Sを取出す苗取装置43と該苗取装置43によって取出された苗Sを受け取って上下方向に往復動して圃場に植付ける苗植付装置5を設けた移植機において、該苗取装置43に複数の苗取出爪41L、41Rを設けて苗載台90から同時に複数の苗Sを取出す構成とし、該複数の苗取出爪41L、41Rが取出した苗Sを各々収容する複数の苗収容部42S,42Sを機体前後方向に位置をずらせて設けると共に、該複数の苗収容部42S,42Sに収容された各苗Sを各々開放して圃場に植付ける複数の植付体42L、42Rを苗植付装置5に設けた移植機とした。
【0006】
従って、駆動走行車輪2を装備した機体に苗載台90と該苗載台90から苗Sを取出す苗取装置43と該苗取装置43によって取出された苗Sを受け取って上下方向に往復動して圃場に植付ける苗植付装置5を設けた移植機において、該苗取装置43に複数の苗取出爪41L、41Rを設けて苗載台90から同時に複数の苗Sを取出す構成とし、該複数の苗取出爪41L、41Rが取出した苗Sを各々収容する複数の苗収容部42S,42Sを機体前後方向に位置をずらせて設けると共に、該複数の苗収容部42S,42Sに収容された各苗Sを各々開放して圃場に植付ける複数の植付体42L、42Rを苗植付装置5に設けた移植機としたので、苗取装置43の複数の苗取出爪41L、41Rが苗載台90から同時に取出した苗Sを機体前後方向に位置をずらせて設けた複数の苗収容部42S,42Sが受け取って各々収容し、該複数の苗収容部42S,42Sに収容された各苗Sを複数の植付体42L、42Rが各々開放して圃場に植付ける。
【0007】
請求項2に係る発明は、苗取装置43に2つの左右苗取出爪41L、41Rを設け、苗植付装置5に昇降リンク機構161によって上下方向に往復動する苗植付具42を設け、該苗植付具42に内部を左右に仕切って二つの苗収容部42S,42Sを形成する仕切り部材42Mと該仕切り部材42Mに接当する位置と左右外方側へ移動した位置とに移動する左外側植付体42L及び右外側植付体42Rを設けた請求項1記載の移植機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、苗取装置43に2つの左右苗取出爪41L、41Rを機体左右方向に並べて設け、苗植付装置5に昇降リンク機構161によって上下方向に往復動する苗植付具42を設け、該苗植付具42に内部を左右に仕切って二つの左右苗収容部42S,42Sを形成する仕切り部材42Mと該仕切り部材42Mに接当する位置と左右外方側へ移動した位置とに移動する左外側植付体42L及び右外側植付体42Rを設けたので、苗取装置43の2つの左右苗取出爪41L、41Rが苗載台90から同時に2つの苗Sを取出して、機体前後方向に位置をずらせて設けた左右苗収容部42S,42Sに各々供給し、該左右苗収容部42S,42Sに収容された各苗Sを左外側植付体42L及び右外側植付体42Rが各々開放して圃場に植付ける。
【0009】
請求項3記載の発明は、各植付体42L、42Rの下端位置を前後方向に位置調節自在に設けた請求項1または請求項2記載の移植機とした。
従って、請求項3記載の発明によると、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、各植付体42L、42Rの下端位置を前後方向に位置調節自在に設けたので、簡潔な構成で植付ける苗Sの株間を調節することができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、苗取装置43の各苗取出爪41L、41R上方位置に各々苗Sの茎葉部を受止める茎葉支持部47bを設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移植機とした。
【0011】
従って、請求項4記載の発明によると、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、各苗取出爪41L、41Rが苗載台90から苗Sを取出してから苗植付装置5に苗Sを供給するまでの間、茎葉支持部47bが苗Sの茎葉部を受止めて支持し、且つ、近傍の苗Sの茎葉部に絡み付くことを防止して、適切に苗Sを供給し、良好な苗Sの移植作業が行なえる。
【0012】
請求項5記載の発明は、苗取装置43の各苗取出爪41L、41Rの間隔を調節自在に構成した請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の移植機とした。
従って、請求項5記載の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、苗取装置43の各苗取出爪41L、41Rの間隔を調節自在に構成したので、ポット数が異なる苗トレイTを苗載台90に載置しても対応できて汎用性が増し、色々な苗トレイTで育苗した苗Sを各苗取出爪41L、41Rが取出すことができて適正に移植できる。
【0013】
請求項6記載の発明は、苗載台90に各苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出す苗トレイTのポット部P横一列の苗Sの茎葉を支える苗支持体303を高さ調節自在に設けた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の移植機とした。
【0014】
従って、請求項6記載の発明によると、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、苗載台90に各苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出す苗トレイTのポット部P横一列の苗Sの茎葉を支える苗支持体303を高さ調節自在に設けたので、各苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出すポット部P横一列の苗Sの茎葉の上部が苗支持体303にて支持され、苗Sは取出しに適正な姿勢で保持され、各苗取出爪41L、41Rが苗Sを適切に取出すことができて良好な移植作業が行なえる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、苗移植作業効率を向上すると共に、狭い苗株間でも苗の移植が行なえる移植機を得ることができ、課題を適切に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】葱苗移植機の全体側面図である。
【図2】葱苗移植機の全体平面図である。
【図3】走行部と植付部の連結部分の斜視図である。
【図4】センサ192部の斜視図である。
【図5】苗取装置43部の側面図である。
【図6】苗取装置43部の平面図である。
【図7】苗載台90の平面図である。
【図8】苗トレイ移動装置部の平面断面図である。
【図9】苗載台90の作用説明側面断面図である。
【図10】苗載台90の作用説明平面図である。
【図11】苗載台90の作用説明正面断面図である。
【図12】規制手段116の作用説明斜視図である。
【図13】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す側面断面図である。
【図14】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す平面断面展開図である。
【図15】横移動切換えレバー137部の平面図である。
【図16】油圧回路図である。
【図17】苗植付装置5への伝動図である。
【図18】苗植付装置5の駆動機構図である。
【図19】苗植付具42の作用説明用拡大側面図である。
【図20】苗植付具42の作用説明用拡大正面図である。
【図21】苗植付具42の作用説明用正断面図である。
【図22】苗植付具42の作用説明用正面図である。
【図23】予備苗載台36の作用説明用斜視図である。
【図24】予備苗載台36の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の一実施例として移植機の一例である葱苗移植機を図面に基づき詳細に説明する。この葱苗移植機1は、走行車輪2・3を有する走行部1aによって溝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイ内の葱のポット苗を溝U内に植付ける構成となっている。作業者は、溝U側方を歩きながら機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作する。以下、各部の構成について説明する。
【0018】
走行部1aは、走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。尚、11aは、燃料タンク11に燃料を入れる供給口を塞ぐ燃料キャップである。
【0019】
走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0020】
尚、エンジン9の後部に配置した走行部ミッションケース7は、その左側部からエンジン9の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン9の左側部と連結している。このケース部分にエンジン9の出力軸が入り込んで走行部ミッションケース7内の伝動機構(走行部系変速伝動部C1と作業部系変速伝動部C2)に動力が伝達する構成となっている。
【0021】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右走行伝動ケース16が一体に取り付けられ、その走行伝動ケースの先端部に駆動走行車輪である左右後輪2が軸支されている。また、エンジン9の下側に前後方向のピボット軸17aを中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に左右前輪支持ロッド18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッドの下端部に各々従動走行車輪である左右前輪3が軸支されている。
【0022】
走行部1aには機体に対し左右後輪2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が油圧バルブユニット20とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤杆22の左右両端部と、左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25とが、左右連結ロッド26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0023】
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ(図示せず)で制御して作動させられる。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0024】
植付部1bは、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が装着されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。また、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した前後フレーム34a、34bに、育苗トレイが載せられる予備苗載台36が取り付けられている。
【0025】
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該ケースの下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35…によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35…を外し、PTO取出部7aから入力軸31aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行える。
【0026】
側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0027】
苗供給装置4は、メイフレーム14の上方後方側に配置されており複数個のソイルブロック苗Sを縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを後側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の前方側に配置されていて左右苗取出爪41L、41Rによって前記苗トレイTから苗を各々一つずつ取出して苗植付装置5の苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
【0028】
尚、苗トレイTは、薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、葱のソイルブロック苗Sが育成されている。
【0029】
苗取装置43は、左右苗取出爪41L、41Rが各々装着された左右苗取具43L、43Rを左右に併設して具備すると共に、この左右苗取具43L、43Rを駆動させる苗取具駆動機構44を有する。左右苗取出爪41L、41Rは各々左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。苗取具駆動機構44は、左右苗取出爪41L、41Rを苗トレイTと苗植付具42との間で左右苗取出爪41L、41Rを姿勢変更しながら往復駆動させるもので、各々一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備している。
【0030】
苗取具駆動機構44は、メインフレーム14と植付部ミッションケース30との間に両端が固定された連結フレーム48に下端が溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50に取付支持されている。この伝動ケース50は、左右両側に突出する入力軸51と右側に突出する出力軸52とを備えており、入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と前記植付部ミッションケース30の右側に突出する駆動軸54の先端に設けた駆動スプロケット55との間に駆動チェーン56を設けて、エンジン9からの動力が伝達される。この入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と植付部ミッションケース30の駆動軸54の駆動スプロケット55と両スプロケット53・55の間に設けた駆動チェーン56にて、苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2が構成されている。そして、前記出力軸52は、歯車伝動機構を介して入力軸51に連動連結されており、この出力軸52によって苗トレイ移動装置40が駆動される。
【0031】
前記入力軸51の伝動ケース50の左側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
【0032】
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、左右苗取具43L、43Rの各々のパイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内の苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
【0033】
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65にピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計方向の回転により案内板69をピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
【0034】
左右苗取具43L、43Rの各々の爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
【0035】
支持具47の下端部には、押出リンク77がピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けたピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45・基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
【0036】
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
【0037】
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出して苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
【0038】
そして、支持具47の筒部47aには、苗取出爪41がポット部P内から取出した苗Sの茎葉部を受止める茎葉支持部47bの下端部がボルトにて固着されている。茎葉支持部47bは、苗取出爪41がポット部P内から取出した葱の苗Sの細長い茎葉部を受止める断面V字状の板体で形成されているので、苗取出爪41がポット部P内から葱の苗Sを取出す時から後述の苗植付具42に苗Sを案内供給する苗案内176に苗Sを離して落下供給するまでの間、茎葉支持部47bが葱の苗Sの細長い茎葉部を受止めて支持し、且つ、近傍の苗Sに絡み付くことを防止して、適切に葱の苗Sを苗案内176に落下供給し苗植付具42に苗Sは案内供給され、適切な葱の苗Sの移植が行なえる。
【0039】
尚、苗取出爪41が突出して苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
【0040】
この状態から、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
【0041】
その後、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
【0042】
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されている苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
【0043】
その後は、入力軸51の、図5の反時計方向の回転によって、図5に示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a・91bに左右方向移動自在に支持されている。この上案内レール91aは、メインフレーム14の後端に固着された横フレーム92と左右上連結体93にて連結支持されており、下案内レール91bは、第二植付伝動ケース32と支持体49と各々左右連結体94にて連結支持されている。そして、上下一対の案内レール91a・91bは、その左右端を左右縱フレーム95にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
【0044】
尚、左右苗取具43L、43Rの左右間隔を調節自在に構成すると、苗トレイ移動装置40に載置される苗トレイTのポット数が例えば128個の苗トレイでも200個の苗トレイでも対応できて汎用性が増し、色々な苗トレイTで育苗した苗Sを左右苗取具43L、43Rが取出すことができて適正に移植できる。
【0045】
また、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
【0046】
左右側板97間下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に矢示Aで示す方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。尚、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
【0047】
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイT(ポット数が128個の苗トレイと200個の苗トレイ)が装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
【0048】
ここで前記苗トレイTの横移動機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
【0049】
前記横移動軸105には、出力軸52から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aを経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。
【0050】
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によって苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に2ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている(左右苗取具43L、43Rの左右苗取出爪41L、41Rが苗トレイTから隣接する2ポット分ずつの苗Sを取出すので、2ポット分即ち2ピッチ苗載台90を横移動させる)。尚、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
【0051】
次に、苗トレイTの縦移動機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
【0052】
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
【0053】
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
【0054】
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
【0055】
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向後方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
【0056】
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9乃至図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
【0057】
前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
【0058】
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向後方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
【0059】
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向後方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
【0060】
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
【0061】
尚、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向後方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
【0062】
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段117によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
【0063】
尚、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
【0064】
また、苗載台90には、載置された苗トレイTから左右苗取具43L、43Rの左右苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出すポット部P横一列の苗Sの茎葉を支える苗支持装置300を設けている。苗支持装置300は、苗載台90の左右側板97に固定した左右基部筒体301L、301Rと該左右基部筒体301L、301R内に左右下端部を各々挿し込んで固定ボルト302L、302Rで上下位置を固定した杆体よりなる苗支持体303より構成されている。
【0065】
従って、苗トレイTの苗Sの茎葉の長さに合わせて苗支持体303の上下高さを調節して固定ボルト302L、302Rで固定して、該苗支持体303が苗トレイTの苗Sの茎葉上部を支持するようにする。すると、左右苗取具43L、43Rの左右苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出すポット部P横一列の苗Sの茎葉は、その上部が苗支持体303にて支持されるので、苗Sはポット部Pから直立した状態で保持され、左右苗取具43L、43Rの左右苗取出爪41L、41Rが苗Sを適切に取出すことができる。
【0066】
尚、苗支持装置300と同じものを該苗支持装置300の位置よりも苗載台90の苗トレイT縦移動方向上手側に1個若しくは複数個併設すれば、苗支持装置300の苗支持体303に掛かる苗Sの茎葉の重さによる付加が分散されて、更に、苗支持装置300の苗支持体303は左右苗取具43L、43Rの左右苗取出爪41L、41Rが苗Sを取出すポット部P横一列の苗Sの茎葉を適切に支持できて、更に良好な苗Sの取出しが行なわれ適切な葱移植作業が行なえる。
【0067】
ここで、入力軸51からの動力伝達機構及び苗トレイTの横移動機構の横移動量の切換え機構について説明する。図13乃至図15に示すように、入力軸51には欠歯歯車125がスプライン嵌合され、また、伝動ケース50内には、入力軸51及び出力軸52と平行に配置されて軸心廻りに回転自在に支持された中間軸126が設けられ、この中間軸126には、前記欠歯歯車125に噛合する伝動歯車127がスプライン嵌合されていて、入力軸51から中間軸126に間欠的に動力が伝達され、該中間軸126が間欠回転する。
【0068】
また、中間軸126には、軸心方向に間隔をおいて配置された第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129とが中間軸の軸心廻りに相対回転自在に外嵌され、一方、出力軸52には、第1横移動駆動歯車128に噛合する第1横移動従動歯車130と、第2横移動駆動歯車129に噛合する第2横移動従動歯車131とが一体回転自在に外嵌されている。
【0069】
また、中間軸126には、これら第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129との間にスプライン嵌合されていて、中間軸126と一体回転自在で且つ軸心方向移動自在とされたシフタ132が設けられている。このシフタ132には、第1横移動駆動歯車128に形成された第1噛合歯133に噛合する第1係合歯134が設けられると共に、第2横移動駆動歯車129に形成された第2噛合歯135に噛合する第2係合歯136が設けられている。
【0070】
従って、シフタ132を軸心方向に移動させて第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させると、第1横移動駆動歯車128、シフタ132、第1横移動従動歯車130を介して動力が伝達され、また、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させると、第2横移動駆動歯車129、シフタ132、第2横移動従動歯車131を介して動力が伝達されて、出力軸52が間欠回転され、前述したように、この出力軸52から横移動軸105に動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転される。
【0071】
そして、第1横移動駆動歯車128と第1横移動従動歯車130との回転比は、第2横移動駆動歯車129と第2横移動従動歯車131との回転比よりも大きくて、ポット部Pのピッチの異なる2種類の苗トレイTに対応して、該苗トレイTの横移動量が2段階に切換えられるようになっている。前記伝動ケース50の上面には、横送切換レバー137が配置されると共に、伝動ケース50には、該ケース50の上壁に形成された挿通孔138に上下軸廻りに回動自在に挿通された回動軸139が設けられ、この回動軸139の下端部には、シフタ132の周溝132aに挿入されるシフトピン140が固着されており、回動軸139の軸心廻りの回動動作によってシフトピン140が回動軸139の軸心廻りに揺動してシフタ132を中間軸126の軸心方向に移動させことができるようになっている。
【0072】
回動軸139の上部は挿通孔138から突出され、その突出部分の下部側に連動プレート141の一端側が一体回動するように嵌合され、この連動プレート141の他端側には係合ピン142が固定されている。回動軸139の突出部分の中間部には、カラー143が相対回動自在に外嵌され、回動軸139の突出部分の上部はネジ軸部144とされ、そのネジ軸部144に当板145及びワッシャ146が外嵌されると共に、ナット147が螺合されている。
【0073】
カラー143には前記横移動切換えレバー137が相対回動自在に外嵌され、この横移動切換えレバー137には、バネ受け部148が一体形成されている。また、カラー143の、横移動切換えレバー137と、連動プレート141及び当板145との間には、それぞれねじりコイルバネ149が外嵌されており、これらバネ149は互いに逆方向に捩じられていると共に該バネ149の一端部は係合ピン142に、他端部は横移動切換えレバー137のバネ受け部148に掛止されている。
【0074】
従って、横移動切換えレバー137を回動軸139の軸心廻りに回動操作するとバネ149を介して連動プレート141が同行回動し、回動軸139が回動され、シフタ132が中間軸126の軸心方向に移動されることとなり、横移動切換えレバー137を図15に実線で示す位置から仮想線で示す位置に、又は仮想線で示す位置から実線で示す位置に回動操作することで、苗トレイTの横移動量の切換えがなされるように構成されている。
【0075】
また、この苗トレイTの横移動量の切換え時において、第1係合歯134が第1噛合歯133に、又は第2係合歯136が第2噛合歯135に噛み合わないと、一方のバネ149がねじられて、回動軸139及び連動レバー125等が回動しなくても横移動切換えレバー137の回動操作が許容されるようになっており、この状態において、第1又は第2噛合歯133,135が第1又は第2係合歯134,136に噛み合う位置になると、前記ねじられた一方のバネ149の付勢力によって、回動軸139及び連動レバー125等が回動し、苗トレイTの横移動量の切換えが完了する。
【0076】
従って、苗トレイTの横移動量の切換え時にあっては、横移動切換えレバー137を操作するのに、第1又は第2係合歯134,136と第1又は第2噛合歯133,135とが噛み合うように各部のタイミングを合わせる必要がなく、横移動切換えレバー137を操作するだけで、バネチャージ機能により、切換えタイミングの合った位置で自動的に切換わるように構成され、苗トレイTの横移動量の切換えの容易化が図れている。
【0077】
伝動ケース50の上部には、ネジ孔150が形成されると共に、該ネジ孔150に螺合されるノブボルト151を備えており、横送切換レバー137には、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態と、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態とにおいて、前記ネジ孔150に一致する一対の挿通孔152が貫通形成されており、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態又は第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態で、ネジ孔150にノブボルト151を螺合させることによって、横送切換レバー137を固定できるようになっている。
【0078】
苗植付装置5の苗植付具42は、昇降リンク機構161によって昇降動し、開閉機構によって開閉動する。そして、機体を前進走行させながら苗植付具42を昇降動させて、苗植付具42の昇降軌跡上位側で閉じ状態の苗植付具42の内側に上方から苗を受入れ、苗植付具42の昇降軌跡下位側で苗植付具42を下方に開放するように開いて内側に受入れた苗を外側に放出して苗を圃場に植付ける構成としたものである。
【0079】
昇降リンク機構161は、走行部ミッションケース7内の前記作業部系変速伝動部C2を経た苗移植作業部駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する前記植付部ミッションケース30の上部に基部が固着された第一植付伝動ケース31及び該第一植付伝動ケース31の先端部に基部が固着された第二植付伝動ケース32に装着されている。そして、該第一植付伝動ケース31及び第二植付伝動ケース32内に昇降リンク機構161を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。
【0080】
なお、植付部ミッションケース30内に内装した伝動機構には、昇降リンク機構161及び苗植付具42をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で間欠的に停止させる間欠駆動機構Kと、昇降リンク機構161及び苗植付具42の昇降動を停止させるクラッチ機構CL1とを備える。
【0081】
間欠駆動機構Kは、苗植付具42を一サイクル植付け動作させて自動的に設定位置で停止させる一回転停止機構と、この一回転停止機構による苗植付具42を一サイクル植付け動作の開始操作を行う一回転開始機構を備えて、その一回転開始機構の作動タイミングが株間変更用変速部C3によって調節される構成として、この調節によって苗植付具42の停止間隔が調節されて苗植付株間が変更調節されるようになっている。また、一回転停止機構による苗植付具42の一サイクル植付け動作は、株間変更用変速部C3を経ないで伝動した動力によって駆動回転される構成としている。従って、株間変更用変速部C3によって苗植付株間が変更されても、機体前進速度に対する苗植付具42の昇降駆動速度は変更されず、苗植付具42は作業走行時において地面に対して設定した軌跡で昇降動するようになっている。
【0082】
そして、昇降リンク機構161は、苗植付具42の前側に設けた左右方向の連結軸162Fの左右二個所で回動自在に連結する第一昇降アーム163aと、苗植付具42の後側に設けた左右方向の連結軸162Bの左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム163bとを備える。そして、第一昇降アーム163aの下端部は、第一植付伝動ケース31の下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第一揺動アーム164aの先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム163bの下端部は、第二植付伝動ケース32の後部側下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第二揺動アーム164bの先端部と回動自在に連結する。また、第一昇降アーム163aの中間部は、第一植付伝動ケース31の右側部から突出し駆動回転する第一駆動軸165aに固定されて駆動回転する第一駆動アーム166aの先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム163bの中間部は、第二植付伝動ケース32の後部側右側部から突出し駆動回転する第二駆動軸165bに固定されて駆動回転する第二駆動アーム166bの先端部と回動自在に連結する。従って、第一駆動アーム166aと第二駆動アーム166bとが第一植付伝動ケース31及び該第一植付伝動ケース31内の伝動機構によって動力が伝達されて駆動回転すると、第一昇降アーム163aと第二昇降アーム163bが揺動しながら昇降動し、その結果、苗植付具42の下端部は機体に対して昇降動する。即ち、後述の苗植付具42の左外側植付体42Lの下端42L’と右外側植付体42Rの下端42R’が、各々軌跡L、L’を描いて昇降動する。そして、苗植付具42の後述のクチバシ状の左右外側植付体42L、42Rは、その昇降軌跡L、L’下端まで下降すると開き作動して苗植付具42内の苗を圃場の土壌に放出して植付ける。
【0083】
苗植付具42は、左右方向に開閉動作する左右一対の左外側植付体42Lと右外側植付体42Rを備えるとともに、該一対の左右外側植付体42L,42Rの間を左右に仕切る仕切り部材42Mとを備え、該仕切り部材42Mを平板で構成したものである。よって、この仕切り部材42Mは、苗植付具42内を左右に仕切って苗植付具42内に左右二つの苗収容部42S,42Sを形成する。左外側植付体42Lと右外側植付体42Rは、仕切り部材42Mに接当する位置と左右外方側へ移動した位置とに移動することにより、苗植付具42内の左右の苗収容部42S,42Sを下方に開閉する。また、前記仕切り部材42Mは、前記苗植付具42が閉じた状態で、前記一対の外側植付体42L,42Rとで左右両側から挟まれ、前記仕切り部材42Mの下端部が前記左右外側植付体42L,42Rの下端部から下方に突出するように設けたものである。
【0084】
尚、左右外側植付体42L,42Rは、各々基部に対して下部の苗収容部42S,42Sを形成する部位が分割構成されており、各々上下方向に長い円弧状長孔42Hを介してボルト42Bにて基部に固定された構成にしている。従って、左右外側植付体42L,42Rは、前後に回動調節して基部に固定できる構成、即ち、左外側植付体42Lの下端42L’と右外側植付体42Rの下端42R’との距離を5cmから10cmの間隔に調節して固定できる構成にしているので、植付ける苗Sの株間を5cmから10cmの間隔で調節できる。
【0085】
苗植付具42の上部には、内側に形成した上下開放した筒状の苗案内通路167S,167Sを有する苗案内体167を設けている。この苗案内体167は、その上方から落下する苗Sを苗案内通路167S,167Sを通過させて下方の苗植付具42の内側の苗収容部42S,42Sに案内する。また、苗植付具42内側の苗収容部42S,42Sの上方に続いて苗案内体167の苗案内通路167S,167Sが形成された状態となって、苗植付具42の内側底部で受け止められた苗が上下に長い苗の場合は、その苗の上部側を苗案内体167が囲う状態となって、苗は、苗植付具42内側の苗収容部42S,42Sとその上方に続く苗案内体167の苗案内通路167S,167S内とにわたって収容された状態となる。即ち、苗案内体167の苗案内通路167S,167Sは苗植付具42内の苗収容部42S,42Sの一部を兼ねているのである。
【0086】
本例の苗案内体167は、苗植付具42を上記のように苗収容部42S,42Sを左右に仕切った構成に対応して、苗案内体167の内側に左右に仕切る仕切り部材167bを設けて、左右に苗案内通路167S,167Sを形成している。また、苗案内体167の仕切り部材167bと苗植付具42の前記仕切り部材42Mとを連結又は一体形成するなどして一体的に構成している。更に、苗植付具42内側の左右の苗収容部42S,42Sの上方に続いて苗案内体167の左右の苗案内通路167S,167Sが形成された状態となっている。また、本例では、苗植付具42内側の苗収容部42S,42Sとその上方に続く苗案内体167の苗案内通路167S,167Sとを合わせた上下長を苗植付具42の昇降軌跡の上下長よりも長く形成している。
【0087】
苗植付具42の左外側植付体42Lと右外側植付体42Rのそれぞれの開閉回動支点となる前後方向の回動軸42d,42dを苗植付具42の上部左右両側方に設けるとともに、苗植付具42を昇降駆動する前後一対の昇降アーム163a,163bのそれぞれに苗植付具42を回動自在に連結する左右方向の連結軸162F,162Bを苗植付具42の上部前後両側方に設けた構成としている。従って、苗植付具42の前後で前後一対の昇降アーム163a,163bと連結して苗植付具42を適正な前後姿勢で昇降でき、しかも、苗植付具42を左右方向に開閉可能にできて、苗植付具42の前後姿勢の乱れによる苗の押し倒し等が生じ難くなり、且つ、苗植付具42の左右方向への開き作動によって苗植付具42の苗の引っかけも生じ難くなり、苗の植付け姿勢が一層良好になる。
【0088】
また、苗植付具42を昇降アーム163a,163bに連結する左右方向の前記連結軸162F,162Bと左外側植付体42Lと右外側植付体42Rの前後方向の回動軸42d,42dとを前記苗案内体167に支持させた構成としている。従って、苗案内体167を苗植付具42の支持部材として兼用できて、苗植付具42の構成簡易化及び軽量化が図れ、苗植付具42を一層適確に昇降駆動できて苗の植付け姿勢が一層良好になる。
【0089】
なお、左外側植付体42Lは、その上部前後両側が右方にアーム状にのびてその各先端部が右側の回動軸42dに回動自在に連結し、右外側植付体42Rは、その上部前後両側が左方にアーム状にのびてその各先端部が左側の回動軸42dに回動自在に連結する。そして、左外側植付体42Lの上部前後両側の右方にのびるアーム状部と右外側植付体42Rの上部前後両側の左方にのびるアーム状部とは、それぞれ左右の回動軸42d,42dの左右中央位置に設けた長孔に前後方向の軸部を有するナットを嵌めて連結し、左外側植付体42Lと右外側植付体42Rとは、一方側が他方側の動作に連動して回動し両者が同時に左右に開閉動作するようになっている。また、左外側植付体42Lと右外側植付体42Rとはスプリングにて苗植付具42を閉じる方向に互いに連結している。更に、第二昇降アーム163bの基部側部分に、左外側植付体42Lと右外側植付体42Rを開閉動作させるための開閉アーム168を回動自在に連結し、その開閉アーム168の先端部と左外側植付体42Lの上部後側から延びるアーム部とを連結ロッド169で連結している。開閉アーム168の中間部には、苗植付具42がその昇降軌跡下端まで下降したときに、第二昇降アーム163bを回動自在に連結している第二駆動アーム166bの先端部に固定の軸に固定したカム170と該カム170に開閉アーム168を圧接させるスプリングの作用によって開閉アーム168が上下に回動し、開閉アーム168が上方に回動すると左外側植付体42Lが右側の回動軸42d周りに上方回動し、これに連動して右外側植付体42Rが左側の回動軸42d周りに上方回動して、苗植付具42内側の左右の苗収容部42S,42Sが同時に開く。そして、苗植付具42が昇降軌跡上端に達する直前にカム170による開き作用から開放されて苗植付具42が閉じる。
【0090】
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠186に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、191はヘアピンであって、ロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
【0091】
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って溝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。192は溝上面を検出するセンサであって、該センサ192が上下回動すると、その回動をリンク機構193にて上下制御バルブ20aに伝え、センサ192の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、溝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、溝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0092】
また、上記センサ192はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、センサ192は溝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように溝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、溝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0093】
尚、油圧バルブユニット20内の左右傾斜制御バルブ20bは左右傾斜検出用の振り子200の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
【0094】
左右グリップ6aの下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネル202に、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204等が設けられている。図中の符号205は苗の植付間隔を調節する株間調節レバーである。
【0095】
次に、予備苗載台36の詳細構成について説明する。予備苗載台36は、下段苗載台36aと上段苗載台36bにて構成されている。
平面視でU字状の下段フレーム210の前後中央部に補強フレーム211を溶接固着して枠体フレームを構成し、前後中央部に設けた該補強フレーム211に支持アーム211aの基部を溶接固着し、該支持アーム211aを植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した前フレーム34a上部にボルトにて固定し、下段フレーム210の前後中央部は植付部ミッションケース30の上部で支持された構成となっている。また、U字状の下段フレーム210後端部の左右下面には、各々左右後部支持杆212L、212Rの上端部を溶接固着している。そして、該左右後部支持杆212L、212Rの下部を植付部ミッションケース30の上部に固定した後フレーム34bの左右支持パイプ213L、213Rに各々挿し込んで、固定ピン214で固定し、下段フレーム210の後部は植付部ミッションケース30の上部で支持された構成となっている。
【0096】
そして、下段フレーム210の前後中央部及び後端部の左右上面には、各々連結パイプ215の下端を溶接固着しており、平面視でU字状の上段フレーム216の前後中央部及び後端部の左右下面に各々上部フレーム支持杆217の上端部を溶接固着し、該各上部フレーム支持杆217の下部を下段フレーム210の連結パイプ215に各々挿し込んで、固定ピン218で固定し、下段フレーム210に支持された構成となっている。
【0097】
また、下段フレーム210及び上段フレーム216の左右両側には、後述の苗トレイ載置枠220を各々回動自在に支持する支持ピン221を有する前部支持アーム222Fと後部支持アーム222Bを設けている。
【0098】
苗トレイ載置枠220は、葱苗Sを育苗した苗トレイTを載置できるように杆体で枠組み構成されており、前記前部支持アーム222F又は後部支持アーム222B各々の支持ピン221に回動自在に支持される回動支持アーム223が設けられている。そして、苗トレイ載置枠220の該回動支持アーム223の貫通孔224を支持ピン221に挿通してRピン225で抜け止めして、4個の苗トレイ載置枠220が下段フレーム210に回動自在に支持され、同様に、4個の苗トレイ載置枠220が上段フレーム216に回動自在に支持されている。
【0099】
226は樹脂製の平板であって、各苗トレイ載置枠220の苗トレイTを載置する部位に配置され、苗トレイTの底面を受けて支持する構成となっている。よって、ポット数が異なる苗トレイT(例えばポット数が128個の苗トレイやポット数が200個の苗トレイ)を載置しても、苗トレイTの底面を受ける面が平板226であるから、苗トレイTのポット部P底面が平板226上をスムースに移動できて、苗トレイ載置枠220への苗トレイTの載置や取出しが容易に行なえて作業性が良い。
【0100】
一方、下段フレーム210及び上段フレーム216の左右両側に装着された左右の苗トレイ載置枠220は、その回動支持アーム223から互いに連結連動部材230、231を延設させて、片方の連結連動部材230に設けた連結ピン230aを他方の連結連動部材231に設けた長孔231aに係合させて、片方(左)の苗トレイ載置枠220の傾斜角度を調節すると、連携して他方(右)の苗トレイ載置枠220も同じ傾斜角度に調節される構成となっている。
【0101】
また、片方(左)の苗トレイ載置枠220の回動支持アーム223を回動自在に支持する支持ピン221を有する前部支持アーム222F及び後部支持アーム222Bには、下方に向けて下端がL字状になった固定部240aを有する固定棒240が設けられていると共に、片方(左)の苗トレイ載置枠220下面には段状の係合部241aを有する係合アーム241が回動自在に装着されており、固定棒240の固定部240aに係合アーム241の何れかの係合部241aを係合させることで、左右の苗トレイ載置枠220の傾斜角度を調節して固定できる構成となっている。尚、係合アーム241の先端には、作業者が指で摘む操作ピン242が設けられている。
【0102】
よって、作業者が指で操作ピン242を摘んで係合アーム241を回動させて、固定棒240の固定部240aから係合アーム241の係合部241aを離して、片方(左)の苗トレイ載置枠220の傾斜角度を調節すると連携して他方(右)の苗トレイ載置枠220も同じ傾斜角度に調節され、調節後に再び、固定棒240の固定部240aに係合アーム241の係合部241aを係合させると、傾斜調節した状態で左右の苗トレイ載置枠220は固定される。尚、左右の苗トレイ載置枠220の傾斜調節は、載置される苗トレイTの苗Sの茎葉長さに応じて調節する。また、苗移植作業時に、左右の苗トレイ載置枠220に載置された苗トレイTは、上段の苗トレイ載置枠220に載置されたものから取出し、下段の苗トレイ載置枠220に載置されたものを取出す時には、上段の苗トレイ載置枠220を下段の苗トレイ載置枠220から離れる上方に回動調節しておくと、容易に作業者は下段の苗トレイ載置枠220に載置された苗トレイTを取出すことができて作業性が良い。
【0103】
また、予備苗載台36の下段フレーム210及び上段フレーム216は平面視で前部が開放されたU字状フレームであって、その左右側方に苗トレイ載置枠220が配置された構成であるから、該前部が開放されたU字状フレームである下段フレーム210及び上段フレーム216の前部から作業者は容易に燃料キャップ11aを開けて燃料タンク11に燃料供給を行なえて作業性が良い。
【0104】
上記の葱苗移植機1にて野菜の苗を圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90に葱苗が育苗された苗トレイTを装填する。そして、作業者は機体の後部で操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って右後輪2の後方を歩きながら、メインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2が溝Uを跨いだ状態で機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから左右苗取出爪41L、41Rが苗を一つずつ取出して苗植付具42へ落下投入する。そして、苗植付具42が溝Uに苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部に覆土して鎮圧する。
【0105】
尚、上記実施例においては、苗取装置43の左右苗取出爪41L、41Rが、苗載台90に載置されて左右往復動する苗トレイTから葱苗Sを各々取出して苗植付具42の2つの苗収容部42S,42Sに各々供給し、苗植付具42の左外側植付体42Lと右外側植付体42Rが開いて苗を移植する構成としたが、苗取装置43の左右苗取出爪41L、41Rに代えて上下に併設した上下苗取出爪とし、苗載台90に載置されて左右往復動する苗トレイTから上下に隣接する葱苗Sを各々取出して苗植付具42の2つの苗収容部に各々供給し、苗植付具42の左外側植付体42Lと右外側植付体42Rが開いて苗を移植する構成としても良い。この場合は、苗植付具42の1回の上下作動に対して苗載台90は1ポット分だけ左右移動する構成とし、苗トレイTの横一列の苗を取り終えて苗トレイTを縦送りする場合は、2ポット分だけ縦方向に送る構成とする。
【0106】
また、苗取装置43に3つ以上の苗取出爪を併設して、苗載台90に載置されて左右往復動する苗トレイTから葱苗Sを各々取出して苗植付具42の3つ以上の苗収容部に各々供給し、該3つ以上の苗収容部に対応する3つ以上の苗植付具が開いて苗を移植する構成としても良い。
【0107】
また、上記実施例においては、溝に移植する作業例を示したが、平らな圃場や畝に苗を移植する場合も同様である。また、移植する苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、い草や花等の如何なる苗でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明にかかる移植機は、葱苗の他に野菜苗や花卉苗等の各種苗を植え付ける移植機に適用でき、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0109】
2 駆動走行車輪(後輪)
5 苗植付装置
41L 苗取出爪(左苗取出爪)
41R 苗取出爪(右苗取出爪)
42 苗植付具
42L 植付体(左外側植付体)
42M 仕切り部材
42R 植付体(右外側植付体)
42S 苗収容部
43 苗取装置
47b 茎葉支持部
90 苗載台
161 昇降リンク機構
303 苗支持体
P ポット部
S 苗
T 苗トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動走行車輪(2)を装備した機体に苗載台(90)と該苗載台(90)から苗(S)を取出す苗取装置(43)と該苗取装置(43)によって取出された苗(S)を受け取って上下方向に往復動して圃場に植付ける苗植付装置(5)を設けた移植機において、該苗取装置(43)に複数の苗取出爪(41L、41R)を設けて苗載台(90)から同時に複数の苗(S)を取出す構成とし、該複数の苗取出爪(41L、41R)が取出した苗(S)を各々収容する複数の苗収容部(42S,42S)を機体前後方向に位置をずらせて設けると共に、該複数の苗収容部(42S,42S)に収容された各苗(S)を各々開放して圃場に植付ける複数の植付体(42L、42R)を苗植付装置(5)に設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
苗取装置(43)に2つの左右苗取出爪(41L、41R)を設け、苗植付装置(5)に昇降リンク機構(161)によって上下方向に往復動する苗植付具(42)を設け、該苗植付具(42)に内部を左右に仕切って二つの苗収容部(42S,42S)を形成する仕切り部材(42M)と該仕切り部材(42M)に接当する位置と左右外方側へ移動した位置とに移動する左外側植付体(42L)及び右外側植付体(42R)を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
各植付体(42L、42R)の下端位置を前後方向に位置調節自在に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の移植機。
【請求項4】
苗取装置(43)の各苗取出爪(41L、41R)上方位置に各々苗(S)の茎葉部を受止める茎葉支持部(47b)を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項5】
苗取装置(43)の各苗取出爪(41L、41R)の間隔を調節自在に構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項6】
苗載台(90)に各苗取出爪(41L、41R)が苗(S)を取出す苗トレイ(T)のポット部(P)横一列の苗(S)の茎葉を支える苗支持体(303)を高さ調節自在に設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の移植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2013−110979(P2013−110979A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257707(P2011−257707)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】