説明

移設式室内高床工法とその構造

【課題】 居室内の床面に一段と高い床面を簡単に移設に設置できる高床構造を提供する。
【解決手段】 居室内の床面1に複数設定した単位移設面のうちから決めた使用区画内に単位移設面と同形の単位高床パネル2を用いて該単位高床パネル2を必要枚数配置し、その単位高床パネル2の周囲を単位壁パネル3と室内の壁面4で設定した高さに支持して室内の単位移設面に高床面5を形成する。
そして、各単位パネル2、3及び室内の壁面4及び床面1には、それぞれの当接部分に結合と分離が可能となる各相互連結手段X、各室内連結手段Y及び各待受連結手段Zを設け、また前記単位壁パネル3と外形を同形の外枠としたドアユニット7と階段ユニット8を各相互連結手段Xで着脱可能に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の室内の床面上に、その床面より一段と高い床面を任意の場所に移設を可能とする移設式の室内高床工法とその構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納空間をより多く確保するために上階と下階の間に、小屋裏収納、床下収納、天井裏収納と呼ばれる中間階を設け、住宅内部に使用床面を増加させようとした建築構造が提案されている。
その中の一つである特許文献1では、住宅内部の床面を増加させるための中間階の設計において、天井高1.4mを基準とし、下階の床面積から中間階の収納面積を設定することで建物も設計を容易化しようとしている。
また、特許文献2には、床の一部を移動させるという発想は開示されていり、居住空間と床下空間とを床構造体を介して区画し、その床構造体上は出入するための出入口を開設し、その出入口には移動床をレールを介して往復移動に設けて出入口を開閉できるようにするとともにその移動床上に載せたベッドもレールで往復移動させることができようにした介護用の床構造体が提案されている。
この床構造体では、その移動床を水平移動させれば出入口が開閉し、その出入口を開いた状態にしておけば移動床上のベッドに横たわる病人に対して、床下空間に腰を屈めずに立ったままで介護する人が介護作業を行うことが可能となり、腰の負担を軽減し楽に介護を行うことができる利点がある。
【特許文献1】特開2003−166355
【特許文献2】特開2001−173141
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、家族数の減少などで使われていた空間が不用となったときに、その中間階を撤去して天井高さを高くしようとしても中間階が建物の強度計算に含まれている建築構造体なのでその中間階を撤去することは極めて困難である。
したがって実際上、中間階の撤去や別の場所への移設といった構造設計を変更するようなことは殆どできず、たとえ無理に撤去しようとしてもそのような改造のコストは極めて高くなり、まして、そのような中間階を別の好みの場所への移設したくても簡単にはできないといった難点があった。
また、上記特許文献2の床構造体の移動床では、下部に空間を形成した床面をレールで水平に移動させることが容易にできても、予め相当な床下空間が確保されなければできない構造であり、さらに床下空間自体の位置は変えたいと思ってもできるものではなかった。
【0004】
そこで本発明は、家族構成の変化や室内の模様替えをしたい場合などに、室内においてその室内の床面の上に、その床面より一段と高い床面を任意の場所に建物の柱梁などの強度的な建築構造を変えずに簡単に設置及び移設することが可能となり、そのことによって、新たな生活空間を形成したり、使用していた空間を別の場所に移動できるようにし、その移設により生じた空間を物品の収納空間として使用したり、またその上に書斎や寝室などとして多様な新たな目的の空間に簡単に変更することが可能となる居室内の移設式室内高床工法とその工法による構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の移設式室内高床工法は、相互に連結させるために当接する辺縁部分を共通の単位長さとした単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分に相互に結合と分離とを可能とする相互連結手段を設け、居室内の壁面及び床面に連結させるために当接する前記各単位パネル及び単位ユニットの各辺縁部分に居室の床面及び壁面に設けた待受連結手段に対して結合と分離とを可能とする室内連結手段を備えた高床セットを予め製作しておく。
設計時において、居室内の床面に前記単位高床パネルと同じ単位長さで囲われた単位移設面の複数から成る予定移設面と前記単位高床パネルの設置高さを決める。
そして、居室内の床面の前記各単位移設面の周囲とその周囲にある壁面の前記単位高床パネルの設置高さ部位とに前記高床セットの前記室内連結手段に対応して結合と分離とを可能とする待受連結手段の装着位置を決める。
さらに前記高床セットの各単位パネル及び各単位ユニットの使用数量を決める。
【0006】
施工時において、設計された所定の居室内の床面及び壁面の位置に前記待受連結手段を取着する。
予定移設面内の所望の各単位移設面に前記高床セット中の必要数量の前記各単位パネルと前記各単位ユニットを配置し、それらの各当接部分及び居室内の床面及び壁面との各当接部分を前記相互連結手段と室内連結手段とで固定し、前記予定移設面内に前記階段ユニットから昇降できる高床面を形成する。
その後、固定されている前記各パネル及び各ユニットの前記相互連結手段と前記室内連結手段を分離又は結合させることによって、所望する前記予定移設面内のいずれかの各単位移設面上に住宅を傷付けることとなく簡単に高床面が移設できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記移設式室内高床工法を用いた移設式室内高床構造である。
その構造は、当接する辺縁部分を共通の単位長さとした単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分に相互に結合と分離とを可能とする相互連結手段を設けるとともに居室内の壁面及び床面との各当接部分に室内連結手段を設けて成る高床セットを居室内の床面の前記単位高床パネルと同じ単位長さで囲われた単位移設面の複数から成る予定移設面内に所要数量配置する。
そして、前記単位高床パネルを相互に連結して相互連結手段で固定するとともにその高床セットを前記室内連結手段で居室の床面及び壁面に設けた前記待受連結手段に結合させて該高床セットの全体を居室内に固定し、住宅を傷付けることとなく簡単に高床面が移設できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記構造において、居室内の天井が傾斜天井であって、居室内の床面のうち、単位高床パネル上の高床面からの平均天井高さを約80cm以上に確保することが可能で且つ前記居室内の床面より約50cm以上高い設定位置に単位高床パネルを固定することが可能となる範囲内の床面に限定して、前記予定移設面を設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記各構造において、相互連結手段、室内連結手段及び待受連結手段にそれぞれ取着穴を有し、該各取着穴にそれぞれ被着可能な被覆金具を備え、不使用中の前記取着穴に前記被覆金具を被着することで前記室内壁面、床面、及び各パネルの前記各取着穴を覆って表面をフラット状にできるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記各構造において、居室内の壁面及び床面の待受連結手段の裏面に補強部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の移設式室内高床工法及びその構造は上記構成なので、家族構成の変化などのより室内の模様替えをしたい場合などには、その室内の床面の予定移設面上に、その床面より一段と高い高床面を所望の場所に建物の柱梁などの耐力構造を変えずに、単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分を結合及び分離可能な各相互連結手段と各室内連結手段によって結合させたり分離させることによって簡単に移設を行うことが可能となる。
その移設の際に、建築に関する専門的な知識のない者であっても、住宅構造には全く傷を付けずに、前記待受連結手段のある予定移設面内であれば前記各単位パネル及び単位ユニットからなる高床セットごと室内のどこにでも自由にいつでも移設が可能となる。
そして、単位高床パネル下に形成される収納空間は各種物品の収納が可能となり、また前記単位高床パネル上の高床面上には書斎や寝室などとして多様用途の生活空間に変更させて居室内の空間を有効に活用することが可能となる。
また、床面や壁面の各当接部分に設けられた取着穴には、被覆金具を被着させれば、その穴を隠すことができ、床面や壁面を凹凸のない平面状態にしてゴミが入ったりするのを防止し見栄も良くすることが可能となる。
【0012】
また、新築時に予め前記各単位パネルや各単位ユニットに当接される居室内の壁面及び床面の待受連結手段の裏面に補強部材を設けておけば、壁及び床の構造体として高床セットの各部材を支持するの必要な強度を確保でき、前記各単位高床パネル及び単位壁パネルなどを床面や壁面に強固に固定させることが可能となる。
【0013】
さらに、居室内の天井が傾斜天井の場合には、居室内の床面のうち、単位高床パネル上の高床面からの平均天井高さを約80cm以上に確保し且つ前記居室内の床面より約50cm以上高い設定位置に単位高床パネルを固定することが可能となる範囲内の床面に限定した予定移設面を設定することで、利用用途に制限なく居住に使用する生活空間として幅広く多様な用途に活用が可能となる。
なお、前記単位高床パネル及び単位壁パネルを1単位の整数倍に連結可能に高床セットとしてまとまったセットとして管理することも可能で、そうすれば移設希望時にそのような高床セット毎にまとめて移設することが可能になる便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の形態を以下の実施例により説明する。
本発明の移設室内高床工法は、相互に連結させるために当接する辺縁部分を共通の単位長さとした単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分に相互に結合と分離とを可能とする相互連結手段を設け、居室内の壁面及び床面に連結させるために当接する前記各単位パネル及び単位ユニットの各辺縁部分に居室の床面及び壁面に設けた待受連結手段に対して結合と分離とを可能とする室内連結手段を備えた高床セットを予め製作しておく。
設計時において、居室内の床面に前記単位高床パネルと同じ単位長さで囲われた単位移設面の複数から成る予定移設面と前記単位高床パネルの設置高さを決める。
そして、居室内の床面の前記各単位移設面の周囲とその周囲にある壁面の前記単位高床パネルの設置高さ部位とに前記高床セットの前記室内連結手段に対応して結合と分離とを可能とする待受連結手段の装着位置を決める。
さらに前記高床セットの各単位パネル及び各単位ユニットの使用数量を決める。
【0015】
施工時において、設計された所定の居室内の床面及び壁面の位置に前記待受連結手段を取着する。
予定移設面内の所望の各単位移設面に前記高床セット中の必要数量の前記各単位パネルと前記各単位ユニットを配置し、それらの各当接部分及び居室内の床面及び壁面との各当接部分を前記相互連結手段と室内連結手段とで固定し、前記予定移設面内に前記階段ユニットから昇降できる高床面を形成する。
その後、固定されている前記各パネル及び各ユニットの前記相互連結手段と前記室内連結手段を分離又は結合させる。
このように、所望する前記予定移設面内のいずれかの各単位移設面上に住宅を傷付けることとなく簡単に高床面が移設できるようにする。
【0016】
次に、上記移設式室内高床工法で施工される移設室内高床構造を説明する。
その構造は、図1の(イ)に示すように、居室内の床面1に単位長さLで囲う単位移設面M1、M2、M3、M4、M5の複数から成る予定移設面Mを設定する。
そして、前記各単位移設面M1、M2、M3、M4、M5の周囲には該単位移設面M1、M2、M3、M4、M5と同じ単位長さLでそれぞれ同一の高さH(図3に示す)に形成したに単位壁パネル3、単位開口ユニット6及びドアユニット7を直立に固定可能とする。
前記単位開口ユニット6はドアを装着したドアユニット7を使用する。
そして、前記単位壁パネル3の上端部には前記単位移設面M1、M2と同形に形成した単位高床パネル2を水平に固定できるように、前記各単位パネル2、3同士及び各単位パネル2、3と前記各単位ユニット6、7並びに該単位パネル2、3及び単位ユニット6、7の高床セットでのそれぞれの当接部分の固定と、その高床セットに繋がる室内の壁面4及び床面1のそれぞれの当接部分との各部分が結合と分離を可能とするために、図5に示すように、前記高床セット同士では相互連結手段Xを、またその高床セットと壁面及び床面では高床セット側には室内連結手段Yを、さらに居室内の壁面及び床面側には前記室内連結手段Yに対応する待受連結手段Zを設ける。
【0017】
前記前記室内連結手段Yに対応する待受連結手段Zは、例えば、図5に示すように、前記室内壁面、床面、及び各パネルの各当接部分にはボルト孔を設けてそのボルト孔にボルトを螺着して各部を連結して固定する方法など各種態様が可能である。
また、例えば図7に示すように、床面や壁面と前記各単位パネル及び各単位ユニットとの各当接部分に接続金具19を用いれば、床面や壁面と前記単位高床パネル2及び単位壁パネル3同士などを固定し易くなり、このような接続金具19に許容範囲の接続孔を設けるなどの態様によって各固定部から位置が多少ずれていても確実に床面や壁面に各パネルを固定できるようにすることもできる。
また、待受連結手段Zは壁面では、図6に示すように、補強部材9を横に掛け渡し、その室内側表面に掛けて置ける溝を設け、その溝の開口下部に金属プレートを上に少し突出させて設ければ、前記各単位高床パネルの端部をその溝に刺すように嵌めこんで、各単位高床パネルの端部に設けた金属プレートを掛けるための溝に、その金属プレート落とし込めば壁面に前記単位高床パネル2の片辺を設定高さに簡単に固定でき、また簡単に外すことも可能となる。
【0018】
そして、その複数の単位移設面M1、M2、M3、M4、M5のうちから任意の使用区画A(単位移設面M1を選択)を決める。
次に、例えば図1の(ロ)に示すように、その決めた使用区画A内に単位移設面M1と同形の単位長さLの単位高床パネル2を一枚配置する。
また、該単位高床パネル2の下には、図3に示すように、同じ単位長さLでそれぞれ同一の高さHに形成した単位壁パネル3とドアユニット7を必要枚数配置し、それらを前記室内連結手段Yとこれに対応する待受連結手段Zを介して連結固定する。こうして前記使用区画A上に高床面5が形成され、その高床面5の下には収納空間Sが形成される。
前記ドアユニット7部分には単にドアを付けずに開口させただけの開口ユニット6を交換することもできる。
【0019】
そして、図5に示すように、前記高床面5の高さに応じて登り易いステップ数の階段ユニット8を前記単位壁パネル3に着脱可能とする相互連結手段Yを設けて該単位壁パネル3に該階段ユニット8を連結させる。
前記各単位パネル2、3及び該単位パネル2、3に繋がる室内の壁面4及び床面1には、それぞれの当接する部分に結合と分離が可能となる待受連結手段Zを設けることで、前記各単位パネル2、4と前記開口ユニット6の居室内での結合と分離による組み立てと解体とが容易に可能となる。
【0020】
また、上記図1の(ロ)では使用区画Aに一つの単位移設面M1を選択したが、使用区画Aの単位移設面M1の高床面5が不要となった場合には、そこで使用していた単位高床パネル2、単位壁パネル3、ドアユニット7及び階段ユニット8を居室内の床面及び壁面に設けた待受連結手段Zから室内連結手段Yを外して取り払って別の単位移設面M2に持って行って設置し直せば良い。
なお、前記使用区画は、図2の(イ)に示すように、単位移設面M1、M2、M3、M4、M5から複数選んで設定できるようにし、例えば、図2の(ロ)に示すように、二つの使用区画A、Bを選んだ場合には前記単位高床パネル2は2枚組みで配置することもできる。
【0021】
また、本発明では家族構成の変化によって使用区画Aは設定した予定移設面M内において、変更することが自由に且つ容易にできる。
そこで、3人の子供がいる家族の構成が変化した場合に、その変化に応じて高床面5を移設する場合を例にして図4で説明する。
先ず、1居室内の床面を3人の子供室と使用し、使用区画を、図4の(イ)に示すように、4面の単位移設面を設定する。その中の3面を高床面5としてベッド用空間とする。この3面の各高床面5は単位高床パネル2を2枚づつ用いる。そしてその上にベッド22が各一台置けるようにすることで3人の子供の寝室とし使用する。
【0022】
次に、子供の一人が独立して出て行った後は、図4の(ロ)に示すように、ベッド用空間を一台取り外し2面の高床面5を2人の子供用として使用する。なお、図4の(イ)の場合と同様に高床面5を設置していない床面に勉強机23と椅子24を置いた状態を示している。その高床面5の下の収納空間に各人の衣類などなどを収めることもできる。
次に、子供は独立していなくなった後は、図4の(ハ)に示すように、主人のみの書斎室としてベッド用空間とした2面を使用して広い高床面5を設置して使用する。その高床面5の上には机23と椅子24を置き、その下の収納空間には、書物、資料などが収められる。このように使用区画の配置は必要に応じて容易に取り外したり移設したりすることが可能となる。
このように年代とともに居室は使用する人の数などが変遷して行くので、本発明では、上記のようにその使用する人に合わせた配置換えが、前記単位高床パネル2、単位壁パネル3、ドアユニット7(単位開口ユニット6)及び単位階段ユニット8の取り外しと組み立てで施工業者でなくても容易にできるので居住空間を有効に利用しやすくなる。
【0023】
前記各単位パネル2、3及び各単位ユニット6、7、8の組み立ては、図5に示すように、前記高床面5下に形成された空間Sへの出入りが可能となるように、居室内に面する移設面に単位開口ユニット6(ドアユニット7)を配置し、その開口ユニット6の配置位置を除く居室内に面する移設面に前記階段ユニット8を設置する。
それらの前記単位高床パネル2と単位壁パネル3と単位開口ユニット6(ドアユニット7)は結合と分離が容易に可能となる相互連結手段Yによって組み立てられ、前記単位階段ユニット8は前記単位壁パネル3との相互連結手段Yで前記単位壁パネル3に固定される。
【0024】
前記相互連結手段Yは、図5に示すように、前記室内壁面4及び床面1に設けた各単位パネル2、3とを、ドライバーなどの通常に使用されている工具で容易に外したり組み立てたりすることができるようにボルト、ナット、ネジ、ピンなどで結合と分離が可能となるようにすると良い。
また例えば、図5に示すように、前記待受連結手段Zは前記室内壁面4及び床面1の雌ネジを埋め込んだ取着穴9を設け、この取着穴10に各単位パネル2、3に設けた室内連結手段Xのボルト孔を重ね合わせてボルトを差し込んで固定できるようにすることもできる。
このように居室内の壁面4及び床面1の各当接部分に設けた取着穴10は、図8の(イ)と(ロ)に示すように、その取着穴10に羅着可能な被覆金具11で蓋をする(図8の(ロ))ことによって不使用中の取着穴9を覆って表面をフラット状にすることができ、こうすれば、その穴を隠してその孔にゴミが入るのを防止でき、壁や床の表面の見栄も損なわないようにすることが可能となる。
【0025】
また、前記単位移設面M2の位置によっては前記各単位パネル2、3を固定するに必要な下地として充分に強度が得られない部分が含まれてくることがあり、その場合には室内の壁面4及び床面1の前記待受連結手段Zがある各当接部分の裏面に前記補強部材9を設ければ良い。
【0026】
また、居室内の上部が片流れ天井のように傾斜天井であった場合には、居住用の室内として建築基準法に適合させるために、図3に示すように、その天井Tが傾斜した居室内の床面1のうち、前記単位高床パネル2上の高床面5からの平均天井高さhを約80cm以上に確保するとともに前記居室内の床面1より約50cm以上高い設定位置に前記単位高床パネル2を固定すべきであり、この範囲内に限定して前記予定移設面Mを設定する。
このようにすれば、居住者の実生活において、高床面5上の生活空間とその高床面5下のものを納める収納空間Sが、そこで生活する人が窮屈な思いをせずに支障なく行動できるので好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は室内空間の利用構造であり、室内空間が存在する場所であれば住宅以外にも事務所や倉庫などの室内にも用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の居室内の床面に(イ)が予定移設面を複数設定した状態、(ロ)が使用区画の一つに高床面を設置した状態を示す各模式的平面図である。
【図2】別の居室内の床面に(イ)が予定移設面を複数設定した状態、(ロ)は使用区画の二つに高床面を設置した状態を示す各模式的平面図である。
【図3】傾斜天井の場合での高さ設定を示す縦断側面図である。
【図4】家族構成の変化にとる変遷を示し、居室内の床面に(イ)が3人の子供室として、(ロ)が2人の子供室として、(ハ)が主人の書斎室として使用している状態を示す各模式的平面図である。
【図5】高床面を設置した状態を示す縦断斜視図である。
【図6】室内壁面のパネルとの当接部分を示す要部の縦断斜視図である。
【図7】床面のパネルとの当接部分を示す要部の縦断斜視図である。
【図8】床面の取着穴にイ)が被覆金具の装着前の状態を、(ロ)が被覆金具で取着穴を隠した状態を示す要部の各縦断側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 居室内の床面
2 単位高床パネル
3 単位壁パネル
4 居室内の壁面
5 高床面
6 開口ユニット
7 ドアユニット
8 階段ユニット
9 補強部材
10 取着穴
11 被覆金具
S 収納空間
X 相互連結手段
Y 室内連結手段
Z 待受連結手段
T 天井
h 高床面からの平均天井高
L 単位長さ
M 予定移設面
M1、M2、M3、・・・ 単位移設面
A 使用区画
B 使用区画
H 単位壁パネルの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に連結させるために当接する辺縁部分を共通の単位長さとした単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分に相互に結合と分離とを可能とする相互連結手段を設け、居室内の壁面及び床面に連結させるために当接する前記各単位パネル及び単位ユニットの各辺縁部分に居室の床面及び壁面に設けた待受連結手段に対して結合と分離とを可能とする室内連結手段を備えた高床セットを予め製作しておき、
設計時において、居室内の床面に前記単位高床パネルと同じ単位長さで囲われた単位移設面の複数から成る予定移設面と前記単位高床パネルの設置高さを決め、居室内の床面の前記各単位移設面の周囲とその周囲にある壁面の前記単位高床パネルの設置高さ部位とに前記高床セットの前記室内連結手段に対応して結合と分離とを可能とする待受連結手段の装着位置を決め、前記高床セットの各単位パネル及び各単位ユニットの使用数量を決め、
施工時において、設計された所定の居室内の床面及び壁面の位置に前記待受連結手段を取着し、
予定移設面内の所望の各単位移設面に前記高床セット中の必要数量の前記各単位パネルと前記各単位ユニットを配置し、それらの各当接部分及び居室内の床面及び壁面との各当接部分を前記相互連結手段と室内連結手段とで固定し、前記予定移設面内に前記階段ユニットから昇降できる高床面を形成し、
その後、固定されている前記各パネル及び各ユニットの前記相互連結手段と前記室内連結手段を分離又は結合させることによって、所望する前記予定移設面内のいずれかの各単位移設面上に住宅を傷付けることとなく簡単に高床面が移設できるようにしたことを特徴とする移設式室内高床工法。
【請求項2】
請求項1に記載の移設式室内高床工法を用いた移設式室内高床構造であって、
当接する辺縁部分を共通の単位長さとした単位高床パネル、単位壁パネル、単位開口ユニット及び単位階段ユニットの各当接部分に相互に結合と分離とを可能とする相互連結手段を設けるとともに居室内の壁面及び床面との各当接部分に室内連結手段を設けて成る高床セットを居室内の床面の前記単位高床パネルと同じ単位長さで囲われた単位移設面の複数から成る予定移設面内に所要数量配置して、前記単位高床パネルを相互に連結して相互連結手段で固定するとともにその高床セットを前記室内連結手段で居室の床面及び壁面に設けた前記待受連結手段に結合させて該高床セットの全体を居室内に固定して成り、住宅を傷付けることとなく簡単に高床面が移設できるようにしたことを特徴とする移設式室内高床構造。
【請求項3】
居室内の天井が傾斜天井であって、居室内の床面のうち、単位高床パネル上の高床面からの平均天井高さを約80cm以上に確保することが可能で且つ前記居室内の床面より約50cm以上高い設定位置に単位高床パネルを固定することが可能となる範囲内の床面に限定して、前記予定移設面を設定したことを特徴とする請求項2に記載の移設式室内高床構造。
【請求項4】
相互連結手段、室内連結手段及び待受連結手段にそれぞれ取着穴を有し、該各取着穴にそれぞれ被着可能な被覆金具を備え、不使用中の前記取着穴に前記被覆金具を被着することで前記室内壁面、床面、及び各パネルの前記各取着穴を覆って表面をフラット状にできるようにしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の移設式室内高床構造。
【請求項5】
居室内の壁面及び床面の待受連結手段の裏面に補強部材を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の移設式室内高床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−144489(P2008−144489A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333917(P2006−333917)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(599020324)トヨタウッドユーホーム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】