説明

穀物調製設備

【課題】
玄米出荷及び精白米出荷を簡単な操作で行うことを課題とする。また、玄米を一時保管して精白米出荷を行うことを課題とする。
【解決手段】
籾摺機1と、精米機2と、米選機3を設け、籾摺機1で籾摺した玄米を精米機2で精米し、次いで精米機2で精米した精白米を米選機3で小米と整粒を選別処理する籾摺精米工程を行う籾摺精米スイッチ64と、籾摺機1で籾摺りした玄米を米選機3で小米と整粒を選別処理する籾摺米選工程を行う籾摺米選スイッチ65と、該籾摺米選工程で処理された玄米を貯留する玄米貯留タンク4と、該玄米貯留タンク4の玄米を精米機2で精米する玄米精米工程を行う玄米精米スイッチ66とを設け、籾摺精米スイッチ64と籾摺米選スイッチ65と玄米精米スイッチ66の入切情報により、籾摺機1、精米機2、米選機3を駆動制御する制御部60を設けたこと特徴とする穀物調製設備とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した籾を玄米又は精白米に調製する穀物調製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、籾摺部、風力選別部、粒径選別部、石抜選別部、精米部、砕米選別部及び色彩選別部を相互に隣接させて上下左右前後に配置した状態で1つの機枠に設置すると共に、前記籾摺部、風力選別部、粒径選別部、石抜選別部、精米部、砕米選別部及び色彩選別部の間の3つ以上を自然流下式の穀物搬送樋で連結し、かつ、前記機枠をカバーで覆って一体化したことを特徴とする穀物調製装置について開示されている。また、この特許文献1には精米部の前工程に玄米を精米部と色彩選別部とに切り換えて搬送する切換部を設けていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−200066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、運転スイッチと切換部のスイッチとが別になっており、誤操作するおそれがある。
本発明は、玄米出荷及び精白米出荷を簡単な操作で行うことを課題とする。また、玄米を一時保管して精白米出荷を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じる。
請求項1記載の発明は、籾摺機と、精米機と、米選機を設け、籾摺機で籾摺した玄米を精米機で精米し、次いで精米機で精米した精白米を米選機で小米と整粒を選別処理する籾摺精米工程を行う籾摺精米スイッチと、籾摺機で籾摺りした玄米を米選機で小米と整粒を選別処理する籾摺米選工程を行う籾摺米選スイッチと、該籾摺米選工程で処理された玄米を貯留する玄米貯留タンクと、該玄米貯留タンクの玄米を精米機で精米する玄米精米工程を行う玄米精米スイッチとを設け、籾摺精米スイッチと籾摺米選スイッチと玄米精米スイッチの入切情報により、籾摺機、精米機、米選機を駆動制御する制御部を設けたこと特徴とする穀物調製設備とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、籾摺機で籾摺処理された玄米を米選機又は精米機に案内するための第一切換弁を設け、精米機で処理された精白米を米選機又は精白米貯留タンクに案内するための第二切換弁を設け、米選機で米選処理された穀物を精白米貯留タンク又は玄米貯留タンクに案内するための第三切換弁を設け、玄米貯留タンクの排出側には玄米を精米機又は玄米出荷部へ案内する第四切換弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の穀物調製設備とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、籾摺機には籾と玄米とを選別する選別装置を設け、該選別装置には取り出す玄米の量を調節する籾玄米仕切板を設け、籾玄米仕切板は米選機の選別能率に応じて玄米の取り出し量を調節することを特徴とする請求項1又は請求項2いずれか記載の穀物調製設備とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、籾摺精米工程、籾摺米選工程、玄米精米工程それぞれを単一のスイッチで行えるため操作が簡単である。
また、第一切換弁から第四切換弁により、前記各工程を共通の籾摺機、精米機、米選機で行うことができる。
【0009】
さらに、米選機の選別能率に応じて玄米の取り出し量を調節することができるので、安定した籾摺精米工程、籾摺米選工程を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】籾摺精米設備を示す図
【図2】フローチャート
【図3】揺動選別板の斜視図
【図4】ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の穀物調製設備について説明する。
収穫して乾燥した籾を籾摺りして玄米とする籾摺機1と、玄米を精米する精米機2と、小米を除去する米選機3と、玄米を貯留する玄米貯留タンク4と、精白米を貯留する精白米貯留タンク5を設けている。
【0012】
籾摺機1の玄米取出用昇降機10の排出口から玄米移送筒11を設け、玄米移送筒11には、米選機3の投入ホッパ13又は精米機2の投入ホッパ12に玄米を案内するための第一切換弁20を設けている。
【0013】
精米機2の精白米排出口15から精白米移送筒16を設け、精白米移送筒16には精白米を精白米貯留タンク5又は米選機3の投入ホッパ13に精白米を案内するための第二切換弁21を設けている。
【0014】
米選機3の選別米排出口17から選別米移送筒18を設け、選別米移送筒18には選別米を精白米貯留タンク5又は玄米貯留タンク4に案内するための第三切換弁22を設けている。
【0015】
玄米貯留タンク4には玄米を排出する玄米排出バルブ24を設け、精白米貯留タンク5には精白米を排出する精白米排出バルブ25を設け、玄米貯留タンク4の排出口側には玄米を精米機2の投入ホッパ12側に移送する第二玄米移送筒19側か、玄米を出荷するかを切り換える第四切換弁23を設けている。
【0016】
この実施の形態の玄米貯留タンク4は、玄米を玄米昇降機26で揚穀して貯留する構成とし、精白米貯留タンク5は、精白米を精白米昇降機27で揚穀して貯留する構成である。
【0017】
この実施の形態の玄米移送筒11、精白米移送筒16、選別米移送筒18、第二玄米移送筒19はコンベア(図示しない)を用いた移送装置を想定しているが、場合によっては米が流下する筒、あるいは空気搬送する筒いずれでも適宜選択しても良い。
【0018】
籾摺機1について説明する。
籾を貯留する籾ホッパ30と籾摺りする脱ぷ機31、籾殻を風選する風選ファン32、籾と玄米とを比重選別する多段の揺動選別板34、揺動選別板34で選別した玄米を取り出す玄米取出用昇降機10とを備えている。この実施の形態の脱ぷ機31はインペラ式による籾に衝撃を与えて脱ぷするタイプであるが、それぞれ逆回転する一対のロール間を籾が通過することで脱ぷするロール式の脱ぷ機でも良い。多段の揺動選別板34のそれぞれの選別面は籾が分布する籾領域Mと、籾と玄米の混合米が分布する混合米領域Kと、玄米が分布する玄米領域Gとに分かれ、各領域の穀物は、揺動選別板34の排出側に設ける玄米仕切板35と籾仕切板36とで分けて取り出される。
【0019】
脱ぷ機31と風選ファン32と揺動選別板34と玄米取出用昇降機10は共通の籾摺機駆動モータ37で駆動する構成としている。
混合米領域Kと玄米領域Gとを仕切る玄米仕切板は玄米仕切板駆動モータ38と、玄米仕切板駆動モータ38で回転する玄米仕切板移動軸39の作用により揺動選別板34の排出側を横移動することで、玄米領域Gから取り出す玄米量を調節している。すなわち、玄米仕切板35を混合米領域K側に移動させるほど多くの量の玄米を取り出すことができ、混合米領域Kから離れるほど取り出せる玄米の量が少なくなる。そのため、玄米仕切板35は、取り出す玄米に籾が混じらない程度に多くの玄米を取り出せる位置、すなわち、混合米領域Kと玄米領域Gとの境界線あたりに位置させるのである。最上段の揺動選別板34の上面には、籾と玄米とを判別する光式の籾玄米判別センサ40を設けている。この籾玄米判別センサ40は混合米領域Kと玄米領域Gとの境界線を判別するためのセンサである。
【0020】
米選機3について説明する。
縦長姿勢の機体内に、小米が通過する多数の選別孔fを形成する選別筒41と、選別筒41内にあって、米選機3の投入ホッパ13に投入された穀物を上方に移送する移送螺旋42を、それぞれ、米選機駆動モータ43で縦軸芯周りに回転する構成としている。選別孔fを通過した小米は小米排出口44から排出され、選別孔fを通過しないで移送螺旋42で上部まで移送された整粒(選別米)は選別米排出口45から排出される。
【0021】
精米機2について説明する。
機体内の精白室50内の精白ロール(図示せず)を設け、精白ロールを精米機駆動モータ53で回転駆動させると共に、精白室50の精白米排出口51には精白度を設定する圧迫板52を設け、圧迫板52は圧迫板駆動モータ53で駆動し、精白室50内を所望の精白度にする公知の構成である。精米機2の投入ホッパ12の玄米を精白室50に供給すると、精白ロール(図示せず)と圧迫板の作用で玄米から糠を剥離して精白米にする。
【0022】
次に、穀物調製設備の制御部の構成について説明する。
中央制御部60は、籾摺機1の制御部61と精米機2の制御部62と米選機3の制御部63、それぞれと相互に入出力する構成としている。また、中央制御部60には籾摺精米スイッチ64と籾摺米選スイッチ65と玄米精米スイッチ66のON・OFF情報が入力されると共に、第一切換弁20と第二切換弁21と第三切換弁22と第四切換弁23への切換情報、及び精白米昇降機27・玄米昇降機26・精白米排出バルブ25・玄米排出バルブ24への駆動・停止情報が出力される。
【0023】
籾摺機1の制御部61は籾摺機1を単独で駆動・停止を行う籾摺機入切スイッチ67による入り切り情報が入力されると共に、玄米仕切板モータ38や籾摺機駆動モータ37の駆動・停止情報が出力される。分搗きから無洗米までの所望の精白度を設定する精白度選択スイッチ68の設定情報や精米機2を単独で駆動・停止を行う精米機入切スイッチ69による入り切り情報が入力されると共に、圧迫板駆動モータ53や精米機駆動モータ52の駆動・停止情報が出力される。また、米選機3の制御部63は米選機3を単独で駆動・停止を行う籾摺機入切スイッチ70による入り切り情報や計量器71の計量情報が入力されると共に、米選機駆動モータ43の駆動・停止情報が出力される。
【0024】
次に、穀物調製設備の各工程について説明する。
籾を精白米にして出荷する籾摺精米工程について説明する。
中央操作盤60の籾摺精米スイッチ64を操作すると、籾摺機1、精米機2、米選機3と、第一切換弁20と第二切換弁21と第三切換弁22等がそれぞれ駆動を開始する。
【0025】
籾摺機1の脱ぷ機31で、投入ホッパ30の籾が脱ぷされ、次いで、風選ファン32で籾殻が除去され、次いで、揺動選別板34で籾と玄米とに選別される。玄米仕切板35で仕切られて取り出された玄米は玄米取出用昇降機10で取り出される(S1)。
【0026】
玄米取出用昇降機10から玄米移送筒11を移送される玄米は、第一切換弁20により移送方向を精米機2の投入ホッパ12側に案内される。精米機2の投入ホッパ12内の玄米は順次、精白室50で精白処理されて精白米排出口51から排出される(S3)。
【0027】
精白米排出口51から精白米移送筒16を移送される玄米は、米選機3まで移送され、米選機3で小米や砕米を選別される(S5)。そして選別米排出口17を経て選別米移送筒18を移送されるが、第三切換弁22により精白米は精白米昇降機27を経て精白米貯留タンク5に貯留される(S6)。そして、精白米バルブ25で繰り出され、フレキシブルコンテナ(図示せず)等に袋詰めされて出荷される(S7)。
【0028】
籾を籾摺処理して玄米保管又は玄米出荷する籾摺米選工程の場合について説明する。
中央操作盤60の籾摺米選スイッチを操作すると、籾摺機1、米選機3と、第一切換弁20と第三切換弁21等がそれぞれ駆動を開始する。
【0029】
籾摺機1の脱ぷ機31で、投入ホッパ30の籾が脱ぷ機31で脱ぷされ、次いで、風選ファン32で籾殻が除去され、次いで、揺動選別板34で籾と玄米とに選別される。玄米仕切板35で仕切られて取り出された玄米は玄米取出用昇降機10で取り出される(S1)。
【0030】
玄米取出用昇降機10から玄米移送筒11を移送される玄米は、第一切換弁20により移送方向を米選機3側に案内され、米選機3の投入ホッパ13に投入される。玄米は移送螺旋42で上方へ移送されながら、小米が選別筒41の選別孔fから通過し、整粒の玄米が選別米排出口17から排出される(S9)。選別米排出口17から排出された玄米は選別米移送筒18を移送されるが、第三切換弁22により玄米は玄米昇降機26を経て玄米貯留タンク4に貯留される(S10)。そして、玄米バルブ24で繰り出され、第四切換弁23で出荷部側に案内され(S15)、フレキシブルコンテナ(図示せず)等に袋詰めされて出荷される(S16)。あるいは、玄米バルブ24を停止した状態で玄米貯留タンク4に保管しても良い。
【0031】
玄米貯留タンク4に保管した玄米を精米して出荷する玄米精米工程について説明する。
中央操作盤60の玄米精米スイッチ66を操作すると、精米機2と第二切換弁21と第四切換弁23と精白米昇降機27がそれぞれ駆動を開始する。
【0032】
玄米貯留タンク4から排出された玄米は第二玄米案内筒19を移送され、第四切換弁23により精米機2の投入ホッパ12側へ案内され、精米機2で精米され、精白米排出口51から排出される(S13)。精白米は精白米移送筒16を移送され、第三切換弁21により精白米昇降機27に案内され、精白米貯留タンク5に貯留される。そして、精白米バルブ25で繰り出されてフレキシブルコンテナ等の出荷用の容器に収容して出荷される(S7)。
【0033】
籾摺精米工程及び籾摺米選工程において、米選機3の選別能率は米の性状によっては変動する。すなわち、小米の割合が多いと整粒の量がその分目減りする。そのため、米選機3に計量器71を設け、米選機3の整粒量を計量し、該計量状態に応じて玄米仕切板35を駆動し、籾摺機1から取り出す玄米量を調節するよう制御する構成としている。この構成により安定した籾摺米選工程を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 籾摺機
2 精米機
3 米選機
4 玄米貯留タンク
5 精白米貯留タンク
20 第一切換弁
21 第二切換弁
22 第三切換弁
23 第四切換弁
34 選別装置(揺動選別板)
35 玄米仕切板
60 制御部(中央制御部)
64 籾摺精米スイッチ
65 籾摺米選スイッチ
66 玄米精米スイッチ
71 計量器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺機と、精米機と、米選機を設け、
籾摺機で籾摺した玄米を精米機で精米し、次いで精米機で精米した精白米を米選機で小米と整粒を選別処理する籾摺精米工程を行う籾摺精米スイッチと、
籾摺機で籾摺りした玄米を米選機で小米と整粒を選別処理する籾摺米選工程を行う籾摺米選スイッチと、
該籾摺米選工程で処理された玄米を貯留する玄米貯留タンクと、
該玄米貯留タンクの玄米を精米機で精米する玄米精米工程を行う玄米精米スイッチとを設け、籾摺精米スイッチと籾摺米選スイッチと玄米精米スイッチの入切情報により、籾摺機、精米機、米選機を駆動制御する制御部を設けたこと特徴とする穀物調製設備。
【請求項2】
籾摺機で籾摺処理された玄米を米選機又は精米機に案内するための第一切換弁を設け、精米機で処理された精白米を米選機又は精白米貯留タンクに案内するための第二切換弁を設け、米選機で米選処理された穀物を精白米貯留タンク又は玄米貯留タンクに案内するための第三切換弁を設け、玄米貯留タンクの排出側には玄米を精米機又は玄米出荷部へ案内する第四切換弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の穀物調製設備。
【請求項3】
籾摺機には籾と玄米とを選別する選別装置を設け、該選別装置には取り出す玄米の量を調節する籾玄米仕切板を設け、籾玄米仕切板は米選機の選別能率に応じて玄米の取り出し量を調節することを特徴とする請求項1又は請求項2いずれか記載の穀物調製設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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