説明

穀物調製設備

【課題】
精米設備の設置面積を大きくすることなく、設置場所にかかわらず利用者が糠を取り出しやすくすることを課題とする。
【解決手段】
建屋(10)を仕切壁(11)で利用者が操作する操作室(12)と、機械室(13)とに仕切り、機械室(13)側の左右側壁(21,22)にそれぞれ開閉扉(20,23)を設け、機械室(13)内には精米機(5)と、一方の開閉扉(20)と対向する位置に上下方向に伸びる囲い板(18)で覆う糠収容室(19)とを設け、糠収容室(19)内には精米機(5)で精米処理して発生した糠と糠を搬送した空気とを分離するサイクロン(9)を設け、糠収容室(19)内と糠収容室(19)外を通気可能な通気口を設け、他方の開閉扉(23)を機械室(13)内のメンテナンス用スペース(26)への出入り用とすることを特徴とする精米設備とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物調製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建屋外部に独立した糠小屋を備える精米設備が記載されている。特許文献2には建屋内に糠室を設ける精米設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−32882号公報
【特許文献2】特開昭61−254259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、設置面積が広くなり、設置可能場所が少なくなるという欠点がある。特許文献2では、操作室から糠を取り出せるという利便性があるものの操作室内に糠や塵埃が散乱し、利用者の作業環境が低下するという欠点が生じる。
【0005】
本発明は、精米設備の設置面積を大きくすることなく、設置場所にかかわらず利用者が糠を取り出しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じる。
請求項1記載の発明は、建屋内に精米機を設け、建屋側壁には建屋内外を出入りする開閉扉を設け、建屋内の開閉扉と対向する位置に上下方向に伸びる囲い板で覆う糠収容室を設け、糠収容室内には精米機で精米処理して発生した糠と糠を搬送した空気とを分離するサイクロンを設け、糠収容室内と糠収容室外を通気可能な通気口を設けたことを特徴とする精米設備とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、囲い板の設置位置を移動可能に構成すべく、囲い板を建屋内で位置固定する固定具を着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、囲い板の下部には移動車輪を設けたことを特徴とする請求項2記載の精米設備とする。
請求項4記載の発明は、囲い板の上端と建屋の天井とを離間し、開放状態としたことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の精米設備。
【0009】
請求項5記載の発明は、建屋を仕切壁で利用者が操作する操作室と、精米機と糠収容室とを設ける機械室とに仕切り、機械室側の左右側壁にそれぞれ開閉扉を設け、一方の開閉扉を糠収容室への出入り用とし、他方の開閉扉を機械室内のメンテナンス用スペースへの出入り用とすることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、建屋内に糠収容室を設けることができ、精米設備の設置面積を大きくすることなく、また設置場所にかかわらず利用者が糠を取り出しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】精米設備の作業工程図
【図2】精米設備の平面図
【図3】糠収容室を説明する斜視図
【図4】平面から見た糠収容室を説明する図
【図5】操作室からみた正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の精米設備について、以下説明する。
まず、精米設備の装置各部について作業工程図に基づいて説明する。
精米設備の装置各部を作業工程順に説明する。
【0013】
玄米を投入する投入ホッパ1と、投入ホッパ1内の玄米を揚穀する第一昇降機2と、石抜機3と、石抜機3で石抜きされた玄米を揚穀する第二昇降機4と、精米機5と、精米機5で精米処理された精白米を貯留する白米タンク7とを備える。そして、精米機5の精米処理により発生した糠を吸引及び搬送する糠搬送ファン8と、糠を空気搬送する糠搬送筒6と、空気搬送された糠と空気とを分離するサイクロン9とを設けている。糠搬送筒6の途中には切換弁27を設け、第二糠搬送筒28を経て客室から糠を取り出す糠取り出し室29の第二サイクロン30を設けている。
【0014】
次に平面から見た精米設備内部の配置について説明する。
建屋10内を仕切壁11で前後に仕切り、前側を操作室12、後側を機械室13とする。操作室12側の仕切壁11には投入ホッパ1用の袋置き台14と、操作盤15と白米タンク7の取出口7aと、糠取り出し扉44とを設け、操作室12の前側には利用者が出入りする第一開閉扉16を設けている。
【0015】
機械室13の前側には石抜機3と精米機5とを設け、機械室13の後側には糠搬送空気を上方、糠を下方に排出するサイクロン9を設け、サイクロン9の周囲を囲い板18で囲み、サイクロン9を上部位置に設ける糠収容室19を形成している。糠収容室19と対向する位置には利用者が糠収容室19に出入りするための第二開閉扉20を設けている。第二開閉扉20は機械室13の左右一方の側壁21に設けられ、左右他方の側壁22には管理者が機械室13内に出入りする第三開閉扉23を設けている。
【0016】
建屋10は箱型とし、第二開閉扉20と第三開閉扉は左右対称位置に設けている。
本実施の形態の精米設備は石抜機3及び精米機5の後端と建屋10の後壁24との間にスペース25を設け、該スペース25の左右一側を糠収容室19とし、左右他側を管理者のメンテナンス用スペース26としている。
【0017】
次に糠収容室19の構成について以下説明する。
平面視コの字型の囲い板18の長手の開放面を第二開閉扉20と対向する位置に設け、囲い板18の上部にはサイクロン支持固定プレート38を設け、サイクロン9を吊り下げ支持する構成である。また、囲い板18の下端部には底板31を設け、底板31の下方には移動車輪32を設けている。
【0018】
囲い板18の上端部を開放状態とし、囲い板18の上端部と建屋10の天井33とを設定距離L離間する構成とし、機械室13と糠収容室19とを通気可能に構成する。囲い板18の他の実施の形態として、囲い板18を天井33まで延ばして糠収容室19と機械室19を略完全に遮蔽し、一部に通気孔(図示せず)を形成して機械室13内と通気する構成でも良い。なお、前記通気孔(図示せず)に空気を通過し、糠を通過させないフィルタ(図示せず)を設けて糠を機械室13内に入り込まない構成としても良い。
【0019】
また、囲い板18は囲い板固定部材34を介して機械室13の側壁21側に支持固定する構成とし、本実施の形態では囲い板18と囲い板固定部材34とにより、第二開閉扉20を開けても利用者が機械室13内に入り込めないように糠収容室19と機械室13とを遮蔽する構成である。
【0020】
囲い板固定部材34は着脱可能なボルト等の固定具35で機械室13の側壁21に固定される。また、囲い板18は着脱可能なボルト等の固定具36を囲い板18の外側に取付けられる固定具用プレート39を貫通させて建屋10の床37側に固定される。そして、囲い板18の開放側の端部にフランジ18aを形成し、囲い板固定部材34のフランジ34aと面位置を合わせる。移動車輪32と略同じ高さ分の台40を床37上に載置し、糠収容室19の底板31との高さ位置を同一にする。
【0021】
この実施の形態の趣旨を以下説明する。
糠収容室19の上部は機械室13と通気可能な開放部を設けると共に、それ以外は、利用者が機械室13内に入り込めないように遮蔽する構成としている。糠収容室19内を密閉状態にすると、糠搬送ファン8による糠の搬送空気により糠収容室19内が負圧になり、サイクロン17内での搬送空気と糠との分離性能が低下するため、糠収容室19から糠の搬送空気を逃がす必要がある。そのため、囲い板18の上端部と建屋の天井とを設定距離L離間し、機械室13と糠収容室19とを通気可能に構成している。また、糠収容室19を固定するにあたっては、メンテナンス用スペース26側から固定具35,36を着脱する構成とし、糠収容室19側からは固定具35,36を着脱できないようにするものである。
【0022】
管理者が機械室13内にメンテナンス等で出入りするときには第三開閉扉23を利用する。すなわち、第三開閉扉23からメンテナンス用スペース26に入り込み、後ろ側から石抜機3や精米機5をメンテナンスしたり、囲い板18の着脱をするようにする。
【0023】
この精米設備の利用法として操作室12を出入りする第一開閉扉16と、糠収容室19を出入りする第二開閉扉20は利用者が任意に出入りできるように常時開錠しておき、機械室13に出入りする第三開閉扉23は管理者のみが出入りできるように常時施錠している。
【0024】
利用者は第一開閉扉16から操作室12内に入り、投入ホッパ1に持参玄米を投入し、操作盤15の料金投入口41に料金を投入すると共に、精白度選択スイッチ42で精白度を設定して精米運転を行い、白米タンク7の取出し口7aから精白米を取り出す。糠取り出しスイッチ43を操作しないと、精米機5で発生した糠は囲い板18を貫通する糠搬送筒6を空気搬送され、サイクロン9で糠と搬送空気に分離され、搬送空気は天井側に排出され、糠は糠収容室19に落下して堆積する。精米運転中に糠取り出しスイッチ43を操作すると切換弁27が切り替わり糠が第二糠搬送筒28から第二サイクロン30を経て糠取り出し室29まで搬送し、利用者は糠取り出し室扉44を開けて持参した袋で持参玄米の糠を採集する。持参玄米を持たないで糠のみを所望する利用者は第二開閉扉20を開けて糠収容室19から糠を採集する。
【0025】
囲い板18は移動車輪32で機械室13内の後部のスペース25を移動することを可能としており、前述の長手の開放面を第三開閉扉23側に向けるように移動し、囲い板固定部材34を介して第三開閉扉23近傍の側壁22側に固定具35,36で固定すると第三開閉扉23が利用者の糠収容室19出入り用の開閉扉となり、第二開閉扉20が管理者が機械室13内のメンテナンス用スペース26に出入りする開閉扉となる。このように構成することで精米設備の建屋10の設置場所に応じて糠収容室19の位置を管理者が任意に設定できる。また、機械室13の後部のスペース25のいずれか左右側一方をメンテナンス用スペース26とし、左右側他方を糠収容室19とするため、狭いスペースを有効に利用でき、精米設備全体の設置面積を小さくすることができる。また、囲い板18の上端を天井33と離間し、移動車輪32で移動できる構成のため、管理者が円滑に囲い板18を任意の向きに移動し易くすることができる。
【0026】
糠収容室19は第二開閉扉20又は第三開閉扉23のいずれかに設置することができるが、本実施の形態のように持参玄米の糠を操作室12側へ取り出せる構成においては、精米機5に近い側の開閉扉、すなわち第二開閉扉20側に設けたほうが糠搬送筒6及び第二糠搬送筒28の長さを短くでき、レイアウトしやすい。
【符号の説明】
【0027】
5 精米機
6 糠搬送筒
8 糠搬送ファン
9 サイクロン
10 建屋
11 仕切壁
12 操作室
13 機械室
16 第一開閉扉
18 囲い板
19 糠収容室
20 第二開閉扉
21,22 機械室の側壁
23 第三開閉扉
32 移動車輪
33 天井
35 囲い板固定部材用の固定具
36 囲い板用の固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内に精米機を設け、建屋側壁には建屋内外を出入りする開閉扉を設け、建屋内の開閉扉と対向する位置に上下方向に伸びる囲い板で覆う糠収容室を設け、糠収容室内には精米機で精米処理して発生した糠と糠を搬送した空気とを分離するサイクロンを設け、糠収容室内と糠収容室外を通気可能な通気口を設けたことを特徴とする精米設備。
【請求項2】
囲い板の設置位置を移動可能に構成すべく、囲い板を建屋内で位置固定する固定具を着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の精米設備。
【請求項3】
囲い板の下部には移動車輪を設けたことを特徴とする請求項2記載の精米設備。
【請求項4】
囲い板の上端と建屋の天井とを離間し、開放状態としたことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の精米設備。
【請求項5】
建屋を仕切壁で利用者が操作する操作室と、精米機と糠収容室とを設ける機械室とに仕切り、機械室側の左右側壁にそれぞれ開閉扉を設け、一方の開閉扉を糠収容室への出入り用とし、他方の開閉扉を機械室内のメンテナンス用スペースへの出入り用とすることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか記載の精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−94698(P2013−94698A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237422(P2011−237422)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】