説明

穀粒選別機

【課題】粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、設置スペースを削減することができる小型の穀粒選別機を提供する。
【解決手段】穀粒中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などを除去する第一選別網筒10と、第一選別網筒10により除去して得られた残りの穀粒中から整粒よりも粒径がやや小さい中間粒を除去する第二選別網筒11とを一体的に連設した選別網筒部3を傾斜配置する一方、選別網筒部3内には回転可能な攪拌部材4を配設し、さらに、選別網筒部3の第二選別網筒11側の開口端11aには、第一選別網筒10及び第二選別網筒11により選別された粒径の大きい整粒を揚穀して機外に排出する揚穀部6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米粒等の穀粒を比較的大径の穀粒とやや小さい中径の穀粒とその他の屑粒等の三段階に連続的にかつ効率よく選別するとともに、各穀粒をスムーズに処理することができる三段選別機が知られている(特許文献1参照)。この構成を述べると、網目サイズがd1(1.85mm)の選別網体を用いた第1の縦型選別機Aと、網目サイズがd2(1.70mm)の選別網体を用いた第2の縦型選別機Cと、第1の縦型選別機Aと第2の縦型選別機Cとを連結する揚穀機Bとから構成され、第1の縦型選別機Aにおいて最初の選別を行い、次いで穀粒を揚穀機Bに送り込むとともに、揚穀して第2の縦型選別機Cに供給し、比較的大径の穀粒と、大径の穀粒よりやや小さい中径の穀粒と、それ以下の屑粒等の三段階に、連続して効率良く選別することができ、さらに、三段階に区分された穀粒はその穀粒中に混在する異物が分離除去されて各区分の穀粒の品質を向上させ、かつ、適宜計量袋詰めするなど穀粒をスムーズに処理できるといった作用・効果がある。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の選別機にあっては、第1の縦型選別機Aと、第2の縦型選別機Cと、揚穀機Bとから構成される大掛かりな機構となっており、導入コストが高価となり、かつ、広い設置スペースが必要となる、といった問題点があった。
【0004】
一方、縦型選別機から排出される屑粒の中から、比較的粒の大きめな中径の穀粒を抽出する小型の穀粒選別機も知られている(特許文献2乃至4)。
【0005】
しかしながら、この小型の穀粒選別機にあっては、縦型の穀粒選別計量機の屑粒排出樋に小型の横型穀粒選別機の原料供給部を接続するため、少なくとも縦型と横型の2台の選別機が必要であって導入コストが高価となる問題があり、また、広い設置スペースも必要となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4049918号公報
【特許文献2】特開2007−296483号公報
【特許文献3】特開2009−095732号公報
【特許文献4】特開2009−178679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、設置スペースを削減することができる小型の穀粒選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、穀粒中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などを除去する第一選別網筒と、該第一選別網筒により除去して得られた残りの穀粒中から整粒よりも粒径がやや小さい中間粒を除去する第二選別網筒とを一体的に連設した選別網筒部を傾斜配置する一方、該選別網筒部内には回転可能な攪拌部材を配設し、さらに、前記選別網筒部の第二選別網筒側の開口端には、前記第一選別網筒及び前記第二選別網筒により選別された粒径の大きい整粒を揚穀して機外に排出する揚穀部を設ける、という技術的手段を講じた。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、前記揚穀部は、コンベアケース内の上部に駆動プーリを、下部に従動プーリをそれぞれ組み付け、該駆動プーリと前記従動プーリとの間にはVベルトを巻回する一方、該Vベルトの背側には取付金具を介して多数のバケットを装着したバケットコンベアとなし、前記Vベルトの揚送側には、該Vベルトの腹側に案内板を設け、該案内板と前記コンベアケース内側壁面との間隙を揚送室に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、前記コンベアケース内上壁面には、前記多数のバケットにより揚穀された穀粒が投擲されたとき、その穀粒を受けて跳ね返り角度を偏向させる角度変更板を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、前記コンベアケース内中央部には、前記従動プーリのV溝内に嵌まり込んだ穀粒を取り除くための掻き取りヘラを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明によれば、前記揚穀部上部には、大径の穀粒を機外に排出するための大径穀粒排出樋を連設するともに、該大径穀粒排出樋内に該大径穀粒排出樋内の穀粒の充満を感知する圧力スイッチを設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明によれば、前記揚穀部上部には、一時貯留タンクを連設するとともに、該一時貯留タンク下部に穀粒を米袋に充填するための排出口を設け、さらに、該排出口近傍には、当該排出口を閉鎖可能としたシャッタと、該シャッタを回動させて前記排出口を開位置で保持し、所望の計量値となると排出口を閉鎖する排出口開閉手段を設けるとともに、該排出口開閉手段と連動して米袋の重量を計測する計量器を床面に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、穀粒中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などを除去する第一選別網筒と、該第一選別網筒により除去して得られた残りの穀粒中から整粒よりも粒径がやや小さい中間粒を除去する第二選別網筒とを一体的に連設した選別網筒部を傾斜配置する一方、該選別網筒部内には回転可能な攪拌部材を配設し、さらに、前記選別網筒部の第二選別網筒側の開口端には、前記第一選別網筒及び前記第二選別網筒により選別された粒径の大きい整粒を揚穀して機外に排出する揚穀部を設けたので、粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、整粒は袋詰めする袋の高さに対応して揚穀(例えば、30kg容量の米袋であれば高さ800mmまで揚穀)されるので、整粒の袋詰作業の煩雑さを解消するとともに設置スペースを削減することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、前記揚穀部は、コンベアケース内の上部に駆動プーリを、下部に従動プーリをそれぞれ組み付け、該駆動プーリと前記従動プーリとの間にはVベルトを巻回する一方、該Vベルトの背側には取付金具を介して多数のバケットを装着したバケットコンベアとなし、前記Vベルトの揚送側には、該Vベルトの腹側に案内板を設け、該案内板と前記コンベアケース内壁面との間隙を揚送室に形成したので、揚穀部のコンベアケース下部に搬送された粒径の大きい整粒が、従動プーリに巻回されたVベルトに装着された多数のバケットにより順次に掬い上げられ、Vベルトの揚送側にある揚送室内を経て、コンベアケース上部の駆動プーリの転回位置付近まで確実に揚送することが可能となる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、前記コンベアケース内上壁面には、前記多数のバケットにより揚穀された穀粒が投擲されたとき、その穀粒を受けて跳ね返り角度を偏向させる角度変更板を設けたので、粒径の大きい整粒は、揚送の勢いで上方に投擲されたとき、角度変更板にて受け止められて跳ね返り角度が偏向され、穀粒排出樋の取出口から機外に確実に取り出すことができる。
【0017】
また、請求項4記載の発明によれば、前記コンベアケース内中央部には、前記従動プーリのV溝内に嵌まり込んだ穀粒を取り除くための掻き取りヘラを設けたので、前記従動プーリが回転しているときは、常時、穀粒が掻き出されるため、揚穀時にバケットから穀粒がこぼれ落ちたとしても、従動プーリのV溝内とVベルトとの間で穀粒が押し潰されることはなく、Vベルトが従動プーリから脱落したり、スリップを防止したりすることができる。
【0018】
さらに、請求項5記載の発明によれば、前記揚穀部上部には、大径の穀粒を機外に排出するための大径穀粒排出樋を連設するともに、該大径穀粒排出樋内に該大径穀粒排出樋内の穀粒の充満を感知する圧力スイッチを設けたので、米袋への袋詰めが満杯となり、新たな米袋に取り替えるのを忘れても、圧力スイッチが樋内の穀粒の充満を感知して、選別作業が中断されることになる。これにより、米袋から溢れた穀粒の再選別作業を行う不安が解消し、安心して選別作業を行うことができる。
【0019】
そして、請求項6記載の発明によれば、前記揚穀部上部には、一時貯留タンクを連設するとともに、該一時貯留タンク下部には、穀粒を米袋に充填するための排出口を設け、さらに、該排出口近傍には、当該排出口を閉鎖可能としたシャッタと、該シャッタを回動させて前記排出口を開位置で保持し、所望の計量値となると排出口を閉鎖する排出口開閉手段とを設け、該排出口開閉手段と連動して米袋の重量を計測する計量器を床面に設けてあるから、粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、整粒は袋詰めする袋の高さに対応して揚穀され、かつ、整粒は計量・袋詰めすることができるので、整粒の袋詰作業の煩雑さを解消するとともに設置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る穀粒選別機の全体を示す概略断面図である。
【図2】同上の穀粒選別機における選別網筒の一部破断斜視図である。
【図3】穀粒選別機における選別網筒の縦断面図である。
【図4】本発明に係る穀粒選別機の全体を示す概略斜視図である。
【図5】同上の側面図である。
【図6】本発明に係る穀粒選別機の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係る穀粒選別機の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係る穀粒選別機の揚穀部の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る穀粒選別機の全体を示す概略断面図であり、図2は選別網筒の一部破断斜視図であり、図3は選別網筒の縦断面図であり、図4は穀粒選別機の全体を示す概略斜視図である。
【0022】
図1、図3及び図4において、符号1は本発明の穀粒選別機である。この穀粒選別機1は、略直方体形状の選別機本体2と、該選別機本体2内に傾斜配置した選別網筒部3と、該選別網筒部3内に回転可能に配設した攪拌部材4と、前記選別機本体2の一側端に取り付けたホッパー5と、前記選別機本体2の他側端に配置され、前記選別網筒部3で選別された大径の選別穀粒を揚穀する揚穀部6と、該揚穀部6上部に連設した大径穀粒排出樋7と、前記選別機本体2の下部に配設された細粒取出樋8と、該細粒取出樋7に連設される中粒穀粒取出樋9と、から主要部が構成される。符号40は選別機本体2側部に設けた脚部材であり、符号41は選別機本体2を持ち上げて移動することが可能な取手部であり、符号42は選別状態を監視する観察窓である。
【0023】
前記選別網筒部3は、前記選別機本体2と前記攪拌部材4との間に嵌装されていて、穀粒に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物を除去する第一選別網筒10と、該第一選別網筒10で選別された選別穀粒から当該穀粒よりもやや小さい中間粒の穀粒を除去する第二選別網筒11とを連設した構成である。例えば、図2に示す選別網筒は、第一選別網筒10及び第二選別網筒11のそれぞれの端面開口部にフランジ部12,13を付設し、かつ、該フランジ部12,13にボルト挿入孔14…を穿設している。このため、ボルト及びナット等によりフランジ部12,13を連結することで第一選別網筒10と第二選別網筒11とを一体化することができる。そして、前記第一選別網筒10の網目10dのサイズとしては、1.70mm又は1.75mmを選択する一方、第二選別網筒11の網目11dのサイズとしては、1.85mm又は1.90mmを選択するのが好ましい。
【0024】
前記選別網筒部3内に回転可能に配設される攪拌部材4は、選別機本体2の軸線方向に回転可能に配置されている回転軸15と、該回転軸15に固定された支持部材16と、該支持部材16に取り付けられた掻き上げ羽根17とから構成される。前記回転軸15は、その一端側をモータからの回転力が伝達されるよう、コンベアケース21内で従動プーリ18を固定する一方、他端側はホッパー5の内方に配設された第一軸受19を嵌装し、さらに、回転軸15の中間部を第二軸受20により嵌装して回転可能に支持されている。前記掻き上げ羽根17は、ゴム、合成樹脂、金属などの材質からなり、その先端が第一選別網筒10及び第二選別網筒11の内周面に圧接させた状態で設けられ、掻き上げ羽根17の先端は若干湾曲している。
【0025】
前記揚穀部6は、図1及び図8に示すように、前記第二選別網筒11の開口端11aと連通するとともに、前記選別機本体2と隣接して固設したコンベアケース21と、該コンベアケース21下部に組み付けた前記従動プーリ18と、前記コンベアケース21上部に組み付けた駆動プーリ22と、該駆動プーリ22と前記従動プーリ18間に巻回したVベルト23と、該Vベルト23の背側に取付金具24を介して装着した多数のバケット25と、前記揚送側のVベルト23側にあって、該Vベルト23の腹側に設けた案内板26と前記コンベアケース21内壁との間隙に形成される揚送室27と、前記コンベアケース21の前面側を覆う前蓋28とにより、主要部が構成される。符号29はコンベアケース21上部に組み付けた駆動用電動機であり、符号30は該駆動用電動機29を覆う電動機カバーであり、符号31は前記多数のバケット25による揚穀される勢いで上方に投擲されたとき、大径穀粒排出樋7側へ跳ね返り角度を偏向させる角度変更板であり、符号32は前記従動プーリ18のV溝内に嵌(は)まり込んだ穀粒を取り除くための掻き取りヘラである。
【0026】
次に、上記構成の穀粒選別機の具体的作動について説明する。電源の入・切スイッチ33をオンすると、駆動用電動機29に軸着してある駆動プーリ22が適宜な回転数で回転するとともに、この回転力がVベルト23により駆動プーリ22から従動プーリ18に伝動され、減速されて回転駆動されることになる。そして、従動プーリ18の回転により回転軸15及び掻き上げ羽根17が回転されることになる。
【0027】
この状態でホッパー5から、例えば、もみすり機により籾を脱ぷして得られた玄米を投入すると、玄米は選別網筒部3の第一選別網筒10に至り、回転する掻き上げ羽根17により第一選別網筒10内壁に押し付けられ、玄米中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などが第一選別網筒10の網目10dから漏出することになる。そして、網目10dから漏出した破砕粒、屑粒及び細かい異物は、細粒取出樋8の取出口8aから機外に取り出される一方、残りの玄米は選別網筒部3が傾斜配置されている影響で第二選別網筒11に至り、同様に回転する掻き上げ羽根17により第二選別網筒11内壁に押し付けられ、残りの玄米中に混入している、整粒よりもやや小さい中粒(いわゆる「中米」又は「中間米」といい、以下、「中間米」という。)の玄米が第二選別網筒11の網目11dから漏出することになる。そして、網目11dから漏出した中間米は、中粒穀粒取出樋9の取出口9aから機外に取り出される一方、粒径の大きい整粒は第二選別網筒11が傾斜配置されている影響で揚穀部6に至り、該揚穀部6による揚穀後に機外に取り出されることになる。
【0028】
揚穀部6のコンベアケース21下部に至った粒径の大きい整粒は、Vベルト23に装着された多数のバケット25により順次掬い上げられ、揚送室27内を経て、コンベアケース21上部の駆動プーリ22の転回位置付近まで次々と揚送される。このとき、揚穀された粒径の大きい整粒は、揚送の勢いで上方に投擲されるのであるが、角度変更板31にて跳ね返り角度が偏向され、前記大粒穀粒排出樋7の取出口7aから機外に取り出されることになる。
【0029】
以上のように、穀粒中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などを除去する第一選別網筒10と、該第一選別網筒10により除去して得られた残りの穀粒中から整粒よりも粒径がやや小さい中間粒を除去する第二選別網筒11とを一体的に連設した選別網筒部3を傾斜配置する一方、該選別網筒部3内には回転可能な攪拌部材4を配設し、さらに、前記選別網筒部3の第二選別網筒11側の開口端11aには、前記第一選別網筒10及び前記第二選別網筒11により選別された粒径の大きい整粒を揚穀して機外に排出する揚穀部6を設けたので、粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、整粒は袋詰めする袋の高さに対応して揚穀(例えば、30kg容量の米袋Fであれば高さ800mmまで揚穀)されるので、整粒の袋詰作業の煩雑さを解消するとともに設置スペースを削減することができる。また、本発明の穀粒選別機は一台で三種類に選別可能であるから、もみすり機により籾を脱ぷして得られる玄米を直接供給して連続して効率良く選別することができる。
【0030】
本発明の他の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。図6は本発明に係る穀粒選別機の他の実施形態を示す概略断面図であり、図1との相違点としては、大径穀粒排出樋7内に圧力スイッチ34を配設している点である。これにより、米袋Fへの袋詰めが満杯となり、新たな米袋Fに取り替えるのを忘れて大径穀粒排出樋7内に穀粒が充満すると、圧力スイッチ34が感知し、非常停止回路(図示せず)が作動することとなる。この非常停止回路の作動により、駆動用電動機29の駆動が停止され、選別作業が中断されることになる。これにより、米袋Fから溢れた穀粒の再選別作業を行う不安が解消し、安心して選別作業を行うことができる。
【0031】
さらに、図6は本発明に係る穀粒選別機の他の実施形態を示す概略断面図であり、図1との相違点としては、前記揚穀部6上部に連設した一時貯留タンク35と、該一時貯留タンク35下部に設けた穀粒を米袋Fに充填するための排出口36と、該排出口36を閉鎖可能としたシャッタ37と、該シャッタ37を回動させて前記排出口36を開位置で保持し、所望の計量値となると排出口36を閉鎖する排出口開閉手段38と、該排出口開閉手段38と連動して米袋Fの重量を計測する計量器39とを設けた点にある。符号34は図6と同様の一時貯留タンク35内に配設した圧力スイッチである。
【0032】
上記構成の穀粒選別機によれば、一時貯留タンク35内に一時貯留された整粒の計量・袋詰め作業が可能となる。すなわち、作業者がシャッタ37の手動レバー37aを持ってシャッタ37を下方へ回動操作すると、排出口36が開口されて整粒が落下し、計量器39上に載置した米袋F内に投入される。計量器39の制御盤(図示せず)には、あらかじめ計量設定値が設定されており、計量器39からの計量信号が計量設定値に近づくと、大投入用シャッタ(図示せず)が自重により回動して排出口36が一部閉鎖され、小投入が継続される。そして、計量器39からの計量信号が計量設定値になると、小投入用シャッタ(図示せず)が自重により回動して排出口36が完全に閉鎖され、整粒の一袋分の計量・袋詰を完了することができる。以上のような計量機構を備えた本実施形態の場合、粒径の大きい整粒と、整粒よりもやや小さい中間粒と、それ以下の屑粒等の三種類に一台で選別可能であり、かつ、整粒は袋詰めする袋の高さに対応して揚穀され、かつ、整粒は計量・袋詰めすることができるので、整粒の袋詰作業の煩雑さを解消するとともに設置スペースを削減することができる。また、本発明の穀粒選別機は一台で三種類に選別可能であるから、もみすり機により籾を脱ぷして得られる玄米を直接供給して連続して効率良く選別することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 穀粒選別機
2 選別機本体
3 選別網筒部
4 攪拌部材
5 ホッパー
6 揚穀部
7 大径穀粒排出樋
8 細粒取出樋
9 中粒穀粒取出樋
10 第一選別網筒
11 第二選別網筒
12 フランジ部
13 フランジ部
14 ボルト挿入孔
15 回転軸
16 支持部材
17 掻き上げ羽根
18 従動プーリ
19 第一軸受
20 第二軸受
21 コンベアケース
22 駆動プーリ
23 Vベルト
24 取付金具
25 バケット
26 案内板
27 揚送室
28 前蓋
29 駆動用電動機
30 電動機カバー
31 角度変更板
32 掻き取りヘラ
33 電源スイッチ
34 圧力スイッチ
35 一時貯留タンク
36 排出口
37 シャッタ
38 排出口開閉手段
39 計量器
40 脚部材
41 取手部
42 観察窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒中に混入している細かい破砕粒、粒径の小さい屑粒、及び砂や埃などの細かい異物などを除去する第一選別網筒と、該第一選別網筒により除去して得られた残りの穀粒中から整粒よりも粒径がやや小さい中間粒を除去する第二選別網筒とを一体的に連設した選別網筒部を傾斜配置する一方、該選別網筒部内には回転可能な攪拌部材を配設し、さらに、前記選別網筒部の第二選別網筒側の開口端には、前記第一選別網筒及び前記第二選別網筒により選別された粒径の大きい整粒を揚穀して機外に排出する揚穀部を設けたことを特徴とする穀粒選別機。
【請求項2】
前記揚穀部は、コンベアケース内の上部に駆動プーリを、下部に従動プーリをそれぞれ組み付け、該駆動プーリと前記従動プーリとの間にはVベルトを巻回する一方、該Vベルトの背側には取付金具を介して多数のバケットを装着したバケットコンベアとなし、前記Vベルトの揚送側には、該Vベルトの腹側に案内板を設け、該案内板と前記コンベアケース内側壁面との間隙を揚送室に形成してなる請求項1記載の穀粒選別機。
【請求項3】
前記コンベアケース内上壁面には、前記多数のバケットにより揚穀された穀粒が投擲されたとき、その穀粒を受けて跳ね返り角度を偏向させる角度変更板を設けてなる請求項2記載の穀粒選別機。
【請求項4】
前記コンベアケース内中央部には、前記従動プーリのV溝内に嵌まり込んだ穀粒を取り除くための掻き取りヘラを設けてなる請求項2又は3のいずれかに記載の穀粒選別機。
【請求項5】
前記揚穀部上部には、大径の穀粒を機外に排出するための大径穀粒排出樋を連設するともに、該大径穀粒排出樋内に該大径穀粒排出樋内の穀粒の充満を感知する圧力スイッチを設けてなる請求項1から4に記載のいずれかに記載の穀粒選別機。
【請求項6】
前記揚穀部上部には、一時貯留タンクを連設するとともに、該一時貯留タンク下部に穀粒を米袋に充填するための排出口を設け、さらに、該排出口近傍には、当該排出口を閉鎖可能としたシャッタと、該シャッタを回動させて前記排出口を開位置で保持し、所望の計量値となると排出口を閉鎖する排出口開閉手段を設けるとともに、該排出口開閉手段と連動して米袋の重量を計測する計量器を床面に設けてなる請求項1から4のいずれかに記載の穀粒選別機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−196637(P2012−196637A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63232(P2011−63232)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】