説明

空気清浄装置

【課題】遊技機で生じたタバコの煙を確実に吸引して外部に排出し、他の遊技機側への拡散を防止することが可能な空気清浄装置を提供する。
【解決手段】一端がエアーの供給口14aとされ、他端がエアー吹き出し口14bとされた送風ノズル14を有し、エアーの供給口14aが遊技機11間の境界領域13の上端部に設けられたエアーの送風口15に接続される。また、エアー吹き出し口14bは、遊技機11の上方のほぼ中央部に設けられ、エアーを上方に向けて吹き出す。更に、遊技機11の上方にはフード21が設けられ、該フード21近傍のエアーが排気ファン23により外部に排出される。そして、エアー吹き出し口14bより吹き出されたエアーがフード21を介して吸引されることによるエアーの流れが生じ、遊技機11の周辺で発生した煙はこの空気流に誘引されて外部に排出される。その結果、タバコの煙が拡散することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で遊技する遊技者が喫煙する場合に生じる煙が、隣接する遊技機側に拡散することを防止して、他の遊技者に不快感を与えることを防止する空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機或いはパチスロ機等の遊技機を複数設置した遊技ホールでは、各遊技機で遊技者が遊技を行う場合に、遊技者が喫煙した際に生じるタバコの煙が他の遊技機側に拡散し、他の遊技者に不快感を与えることがある。この問題を解決するため、例えば、特開平6−190134号公報(特許文献1)に記載された空気清浄機が提案されている。
【0003】
この空気清浄機は、複数個連設されたパチンコ台の境界部分にエアーの吹き出し口を設け、更に、各パチンコ台の上方にエアー吸引用のフードを設ける。そして、吹き出し口よりエアーを吹き出すと、このエアーはフードに到達して吸引されるので、各パチンコ台の境界部分にエアーによるカーテンが形成され、互いに隣接するパチンコ台どうしでの空気の拡散を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−190134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された空気清浄機では、吹き出し口の設置位置やフードの設置位置、エアーの吹き出し速度、吹き出し量、等の条件によっては、エアーカーテンを形成することができるものの、その効果は小さくタバコの煙を効果的に遮断できないことがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、各遊技機で生じたタバコの煙を確実に吸引して外部に排出し、他の遊技機側への拡散を防止することが可能な空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、互いに間隔をもって連設された複数の遊技機を備えた遊技ホールに設けられ、各遊技機周辺の空気を浄化する空気清浄装置であって、一端がエアー供給口とされ、他端がエアー吹き出し口とされ、前記他端が前記遊技機の幅内で遊技機よりも前面側となる適所に達して、前記吹き出し口が略上方向を向くように配置された送風ノズルと、前記各遊技機の上方に設けられ、周辺の空気を吸引するエアー吸引手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、互いに隣接する各遊技機間の境界領域に設置されエアーが送られる送風口を更に備え、前記送風ノズルの前記一端は、前記送風口に連結されてエアーが供給されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記送風ノズルのエアー吹き出し口は、前記遊技機の上端よりも上方に設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記エアー吸引手段は、各遊技機の上方に設けられた矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続され前記フード周辺のエアーを外部に排出する排気ファンを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記エアー吸引手段の吸引口は、床面から1800〜2200[mm]の位置に設けられ、前後方向の幅が400〜500[mm]の範囲であり、吸引する風量は2.0〜3.0[m/min]の範囲であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、互いに間隔をもって連設された複数の遊技機を備えた遊技ホールに設けられ、各遊技機周辺の空気を浄化する空気清浄装置において、前記遊技機間の境界領域に設けられ、エアーが吹き出される送風口と、前記各遊技機の上方に設けられ、周辺のエアーを吸引するエアー吸引手段と、を備え、前記送風口は、床面から1200〜1400[mm]の高さに設けられ、エアーの吹き出し角度が70〜90°の範囲であり、エアーの吹き出し量が0.15〜0.25[m/min]であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記エアー吸引手段は、各遊技機の上方に設けられた矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続され前記フード周辺のエアーを外部に排出する排気ファンを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記エアー吸引手段のエアー吸引部にフードが設けられ、該フードの奥行き方向の長さは400〜500[mm]の範囲であり、吸引する風量は2.0〜3.0[m/min]の範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、遊技機上方の略中央より上側に向けて、送風ノズルのエアー吹き出し口からエアーが吹き出され、更に、遊技機の上方に設けられたエアー吸引手段によりエアーが吸引されるので、エアー吹き出し口からエアー吸引手段までの間にエアーの流路が形成される。従って、遊技機の前面適所で発生するタバコの煙は、このエアーに誘引されてエアー吸引手段に導かれ、外部へと排出される。その結果、遊技者が喫煙することにより発生する煙を周囲に拡散させることなく、確実に外部に排出することができ、周囲で遊技する他の遊技者に不快感を与えるというトラブルの発生を回避することができる。
【0016】
請求項2の発明では、各遊技機間の境界領域に送風口が設けられ、該送風口が送風ノズルの一端に連結されて該送風ノズルにエアーが供給されるので、境界領域の裏面側のスペースを使ってエアー配管を設置することができ、エアー配管の設置スペースを容易に確保することができる。
【0017】
請求項3の発明では、送風ノズルのエアー吹き出し口が、遊技機の上端よりも上方に設けられるので、送風ノズルの存在が遊技者にとって煩わしく感じられることがなく、また、エアー吹き出し口からエアー吸引手段に向かうエアーの流れを確実に形成することができるので、遊技機の前面側にて発生するタバコの煙を効果的に誘引して外部に排出することができる。
【0018】
請求項4の発明では、エアー吸引手段が、矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続された排気ファンにより構成されるので、各遊技機に対して同一形状のフードが設けられることになり、各遊技機で生じる煙を均一に吸引することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、エアー吸引手段の吸引口を、床面から1800〜2200[mm]の位置に設置し、且つ、該吸引口の前後方向の幅を400〜500[mm]の範囲とし、エアーを吸引する風量を2.0〜3.0[m/min]の範囲とするので、遊技機の前面側で発生するタバコの煙を効果的に誘引し、確実に外部に排出することができる。
【0020】
請求項6の発明では、境界領域に設けられた送風口よりエアーが吹き出され、且つ、遊技機の上方に設けられたエアー吸引手段にて遊技機の上部に存在するエアーが吸引されて外部に排出される。また、送風口が床面から1200〜1400[mm]の高さに設けられ、送風口によるエアーの吹き出し角度を70〜90°の範囲とし、且つ、エアーの吹き出し量を0.15〜0.25[m/min]とするので、送風口より吹き出されるエアーがエアー吸引手段により吸引されることにより生じるエアーの流れにより、遊技機周辺のエアーが誘引されて外部に排出され、タバコの煙が周囲に拡散されて他の遊技者に不快感を与えるというトラブルの発生を回避することができる。
【0021】
請求項7の発明では、エアー吸引手段が、矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続された排気ファンにより構成されるので、各遊技機に対して同一形状のフードが設けられることになり、各遊技機で生じる煙を均一に吸引することができる。
【0022】
請求項8の発明では、エアー吸引手段のエアー吸引部に設けられたフードの奥行き方向の長さを400〜500[mm]の範囲とし、吸引する風量を2.0〜3.0[m/min]の範囲とするので、遊技機の前面側にて発生するタバコの煙を効果的に誘引して外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気清浄装置が用いられる遊技機の配置構成を示す説明図であり(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る空気清浄装置が用いられる遊技機の詳細な構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る空気清浄装置が用いられる遊技機の配置構成を示す説明図であり(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の比較例に係る空気清浄装置が用いられる遊技機の配置構成を示す説明図であり(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る空気清浄装置の、エアーの流れを示すフロー図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る空気清浄装置の、エアーの流れを示すフロー図である。
【図7】本発明に係る第1の装置及び第2の装置に係る空気清浄装置を用いた場合の各種の条件と、煙の吸引効果の評価を示す説明図である。
【図8】第2の装置及び第3の装置に係る空気清浄装置を用いた場合の各種の条件と、煙の吸引効果の評価を示す説明図である。
【図9】実施例1の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図10】実施例2の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図11】比較例1の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図12】比較例2の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図13】比較例3の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図14】比較例4の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【図15】比較例5の条件でエアーの吹き出し及び吸引の条件を設定した場合の、煙の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄装置が遊技ホールに設けられている様子を示す説明図であり、図1(a)は正面図、(b)は側面図である(以下、これを「第1の装置」という)。また、図2は遊技機11及びその周辺の詳細構成を示す説明図、図5は第1実施形態に係る空気清浄装置の空気の流れを示すフロー図である。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように遊技ホールには、例えばパチンコ遊技機等の遊技機11が複数台(図では3台)横方向に向けて、所定の間隔をもって設置されており、各遊技機11の前面側には、遊技者Qが着席するための椅子12が、床面Gに立設された支柱12aに設置されている。
【0027】
また、各遊技機11の間には境界領域13が設けられており、該境界領域13には紙幣やプリペイドカードを挿入して遊技球、或いは遊技用メダルと交換するための装置(図示省略)が設けられている。
【0028】
図2に示すように、遊技機11の右側となる境界領域13の上端部には長尺で中空形状をなす送風ノズル14の一端が取り付けられている。該送風ノズル14は上方に向けて立ち上がり、遊技機11の上端部を超えた位置で横方向に屈曲し、遊技機11の中央部近傍に達する位置まで横方向に延出して配置されている。また、送風ノズル14の他端は、上方を向いて開口されている。また、送風ノズル14の一端はエアーの供給口14aとされ、他端はエアーの吹き出し口14bとされている。
【0029】
即ち、送風ノズル14は、一端がエアーの供給口14aとされ、他端がエアー吹き出し口14bとされ、他端が遊技機11の幅内で遊技機11よりも前面側となる適所に達して、吹き出し口14bが略上方向を向くように配置されている。ここで、遊技機11の幅内とは、図2に示す遊技機11の左端から右端までの範囲であり、遊技機11よりも前面側とは、遊技機11の前面よりも遊技者Q側で、遊技機11自体の前面、及び遊技機11の上端よりも上方となる領域の前面をも含む領域を示す概念である。
【0030】
また、境界領域13の上端部にはエアーが送られる送風口15が設けられ、該送風口15は境界領域13の内部に設けられたエアー配管16(図5参照)を経由して送風ファン17に接続され、該送風ファン17が駆動することにより、送風口15にエアーが送られるようになっている。従って、送風口15に送られたエアーは、供給口14aより中空形状をなす送風ノズル14内に供給され、吹き出し口14bより遊技機11の上方に向けて吹き出されることになる。
【0031】
即ち、図5のフロー図に示すように、送風ファン17より送り出されたエアーは、エアー配管16を経由して各境界領域13に設けられた送風口15に供給され、更に、送風ノズル14を経由して該送風ノズル14の吹き出し口14bより吹き出されることになる。
【0032】
他方、図1(a)、(b)に示すように、各遊技機11の上方には遊技機11周辺のエアーを吸引するためのフード21が設けられ、該フード21はエアーダクト22に連結されている。更に、該エアーダクト22には排気ファン23(図5参照)が設けられ、該排気ファン23を駆動させることにより、各遊技機11周辺のエアーを外部に排出する。
【0033】
なお、本願明細書中でいう「外部」とは、フード21より下流側の空間のことを示し、遊技ホールの外という意味に限定されるものではない。例えば、室内循環型の分煙装置を適用する場合には、フード21より下流側に空気清浄機を設け、その空気清浄機を通った空気を遊技ホール内に戻すようにしても良いし、その空気の一部を遊技ホール外に排出しても良い。この場合、図5に示したエアーダクト22を送風ファン17に連結してもよく、また、排気ファン23をなくした構成にすることもできる。
【0034】
また、図1(a)、(b)に示すように、送風ノズル14の吹き出し口14bは、床面Gより1500[mm]の高さに設置され、フード21は床面Gより2000[mm]の高さに設置され、フード21の前後方向の幅は450[mm]とされている。更に、送風ノズル14の供給口14aから吹き出し口14bまでの距離を225[mm]とし、吹き出し口14bから遊技機11の中心までの距離を100[mm]としている。更に、後述するように、タバコの煙が発生する発煙点pは、遊技機11の前面から300[mm]で、床面から1100[mm]の位置としている。
【0035】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係る空気清浄装置の作用について説明する。該空気清浄装置を作動させる場合には、送風ファン17(図5参照)を駆動することにより、送風ノズル14にエアーを供給する。そして、送風ノズル14に供給されたエアーは、遊技機11の前面側の上部適所に設けられた吹き出し口14bより、上方に向けて吹き出されるので、遊技者Qが喫煙したときに発生するタバコの煙は、吹き出し口14bより吹き出されたエアーに誘引され、上方に設けられたフード21に向けて流動することになる。
【0036】
更に、排気ファン23(図5参照)が駆動されると、フード21近傍のエアーが吸引され、エアーダクト22を経由して外部へ排出されることになる。従って、タバコの煙は周囲に拡散されることなく外部へ排出されるので、隣接する遊技機11で遊技する遊技者に不快感を与えることを防止できる。
【0037】
[実施例1]
図7は、空気清浄装置を使用して実際に煙の吸引実験を行った場合の、煙の拡散状況の評価を示す説明図である。実施例1では、第1の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を2.5[m/min]、フード21の幅を450[mm](図1(b)参照)とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しの風量を0.2[m/min]、風速を2.3[m/sec]とし、送風ノズル14の吹き出し角度を90°(鉛直方向)、吹き出し位置の床面からの高さを1500[mm]とし、図1(a)、(b)に示す発煙点pにてタバコの煙を発生させた。
【0038】
その結果、図9に示すように、発煙点pに発生させた煙はほぼ上方に向けて上昇し、ほぼ全ての煙がフード21より吸引されて外部へ排出されることが確認された。従って、使用可能であるか否かの評価を「○」とした。
【0039】
また、発明者らは、第1の装置を用いてフード21の床面Gからの高さ及び前後方向の幅を種々変更して実験を行ったところ、フード21を床面Gから1800〜2200[mm]の範囲となる高さに設置し、該フード21の前後方向の幅を400〜500[mm]の範囲とすることにより、より効率良く煙を吸引することが可能であるという結論を得た。
【0040】
このように、第1実施形態に係る空気清浄装置では、遊技機11の幅内で、且つ該遊技機11よりも前面側となる位置に送風ノズル14の吹き出し口14bを上向きに配置し、該吹き出し口14bよりエアーを吹き出すようにしたので、遊技者Qが喫煙した場合に発生する煙のほとんどがこのエアーに誘引されてフード21側に導かれ、外部へと排出されることになる。このため、喫煙時に発生する煙が周囲に拡散して他の遊技者に不快感を与えるという問題を解決することができる。
【0041】
なお、上述した第1実施形態では、各遊技機11間の境界領域13に送風口15を設け(図2参照)、該送風口15を送風ノズル14の供給口14aに接続して、吹き出し口14bよりエアーを吹き出す構成としたが、境界領域13以外に設けたエアー配管を送風ノズル14の供給口14aに接続してエアーを吹き出す構成とすることも可能である。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る空気清浄装置が遊技ホールに設けられている様子を示す説明図であり、図1(a)は正面図、(b)は側面図を示す(以下、これを「第2の装置」という)。また、図6は第2実施形態に係る空気清浄装置の空気の流れを示すフロー図である。
【0043】
図3に示すように、第2実施形態に係る空気清浄装置は、各遊技機11間の境界領域13の上方に設けられた送風口31を備えている。該送風口31は、縦長の矩形状をなしており、送風ファン17(図6参照)より出力されるエアーが吹き出される。なお、複数設けられた遊技機11で、左端及び右端となる端部の遊技機11については、該遊技機11の両端に送風口31を設けてエアーを吹き出すようにしても良いし、左端の遊技機11については右側のみ、右端の遊技機11については左側のみに送風口31を設けてエアーを吹き出すようにしても良い。
【0044】
各遊技機11の上方には遊技機11周辺の空気を吸引するためのフード21が設けられ、該フード21はエアーダクト22に連結されている。更に、図6に示すように、該エアーダクト22には排気ファン23が設けられ、該排気ファン23を駆動させることにより、各遊技機11周辺のエアーを外部に排出する。
【0045】
また、図3に示すように、送風口31の床面Gからの高さを1300[mm]とし、フード21の高さを2000[mm]とし、送風口31と遊技機11の中心との距離を325[mm]とし、互いに隣接する遊技機11の中心間の距離を700[mm]としている。更に、後述するように、タバコの煙が発生する発煙点pを、遊技機11の前面から300[mm]で、床面から1100[mm]の位置としている。
【0046】
次に、上述のように構成された第2実施形態に係る空気清浄装置の作用について説明する。該空気清浄装置を作動させる場合には、図6に示す送風ファン17を駆動して送風口31から、上方の所定角度となる方向に向けてエアーを吹き出す。
【0047】
送風口31より吹き出されたエアーは上方に向けて吹き出されるので、遊技者Qが喫煙したときに発生するタバコの煙は、送風口31より吹き出されたエアーに誘引され、上方に設けられたフード21に向けて流動することになる。
【0048】
更に、図6に示す排気ファン23が駆動されると、フード21近傍のエアーが吸引され、エアーダクト22を経由して外部へ排出されることになる。従って、発煙点pで発生するタバコの煙のうちの一部は、送風口31より吹き出されたエアーに誘引されてフード21側に導かれ、エアーダクト22を経由して外部へ排出されることになる。
【0049】
そこで、発明者らは、フード21より吸引するエアーの風量、フード21の幅、送風口31より吹き出されるエアーの風量、風速、吹き出しの角度、送風口31の床面Gからの高さを種々変更して、効率良くタバコの煙を吸引して排出することが可能となる条件を実験により求めた。なお、送風口31の床面Gからの高さを変更するために、図4(a)、(b)に示すように、境界領域13に設けられる送風口31の高さが図3に示す場合よりも低くした空気清浄装置(以下、これを「第3の装置」という)を用いて実験を行った。なお、第3の装置は、図3に示した第2の装置と対比して送風口31の取り付け位置のみが相違している。以下、実施例2、及び比較例1〜5について説明する。
【0050】
[実施例2]
図7に示すように、実施例2では、図3に示した空気清浄装置(第2の装置)を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を2.5[m/min]、フード21の幅を450[mm]とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しの風量を0.2[m/min]、風速を2.2[m/sec]とし、送風口31の吹き出し角度を80〜90°、送風口31の床面からの高さを1300[mm]として、図3(a)に示す発煙点pにてタバコの煙を発生させた。
【0051】
その結果、図10に示すように、煙はほぼ上方に向けて上昇し、ほぼ全ての煙がフード21より吸引されて外部へ排出されることが確認された。従って、煙の拡散を防止する上で極めて有効であると判定し、使用可能であるか否かの評価を「○」とした。
【0052】
また、発明者らは上記の数値を種々変更して鋭意検討した結果、送風口31を床面から1200〜1400[mm]の範囲となる高さに設け、エアーの吹き出し角度を70〜90°の範囲とし、エアー吹き出しの風量を0.15〜0.25[m/min]の範囲とし、更に、フード21の奥行き方向の長さを400〜500[mm]の範囲とし、吸引するエアーの風量を2.0〜3.0[m/min]の範囲とすることにより、遊技機11の前面に生じたエアーを周囲に拡散させることなく、外部に排出できるという結論に達した。
【0053】
[比較例1]
図8に示すように、比較例1では、図3に示した第2の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を2.5[m/min]、フード21の幅を450[mm]とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しを停止させた。その結果、図11に示すようにフード21近傍に達する煙は、該フード21から吸引されるものの、フード21近傍に達しない煙は、周辺に拡散されるという結果が得られた。従って、煙の拡散を防止する上で効果は低いと判定し、使用可能であるか否かの評価を「△」とした。
【0054】
[比較例2]
比較例2では、図3に示した第2の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を2.5[m/min]、フード21の幅を800[mm]とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しを停止させた。その結果、図12に示すように、ほとんどの煙はフード21近傍に達し、該フード21から吸引されるという結果が得られた。しかしながら、フード21の幅が極めて大きいので、遊技ホール内の通行人の頭部に接近することや、衝突するといったトラブルの虞があり、実質的に使用することが困難であるとの判定が得られ、使用可能であるか否かの評価を「×」とした。
【0055】
[比較例3]
比較例3では、図3に示した第2の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を1.0[m/min]、フード21の幅を450[mm]とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しの風量を0.1[m/min]、風速を1.8[m/sec]とし、送風口31の吹き出し角度を80〜90°、送風口31の床面からの高さを1300[mm]とした。
【0056】
その結果、図13に示すように、遊技機11に近接する空間の煙はほぼ上方に向けて上昇しフード21に達するが、送風ファン17の風量、風速が少ないことにより、遊技機11から離れた煙はフード21に到達せず、周囲に拡散されるという結果が得られた。従って、使用可能であるか否かの評価を「△」とした。
【0057】
[比較例4]
比較例4では、図4に示した第3の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引を停止させ、送風ファン17によるエアーの吹き出しの風量を0.4[m/min]、風速を7.0[m/sec]とし、送風口31の吹き出し角度を0〜90°、送風口31の床面からの高さを700[mm]とした。
【0058】
その結果、図14に示すように、発煙点pで発生する煙は、送風口31より吹き出されるエアーにより拡散するという結果が得られた。従って、使用可能であるか否かの評価を「×」とした。
【0059】
[比較例5]
比較例5では、図4に示した第3の装置を使用し、排気ファン23によるエアー吸引の風量を2.5[m/min]、フード21の幅を450[mm]とし、送風ファン17によるエアーの吹き出しの風量を0.4[m/min]、風速を7.0[m/sec]とし、送風口31の吹き出し角度を0〜90°、送風口31の床面からの高さを700[mm]とした。 その結果、図15に示すように、一部の煙はフード21の近傍に達して吸引されるが、送風口31より吹き出されたエアーにより拡散された煙はフード21の近傍に到達せず、周囲に拡散されるという結果が得られた。従って、使用可能であるか否かの評価を「×」とした。
【0060】
そして、上記した実施例2及び比較例1〜5の実験結果から理解されるように、第2実施形態に係る空気清浄装置では、送風口31を床面から1200〜1400[mm]の範囲となる高さに設け、エアーの吹き出し角度を70〜90°の範囲とし、エアー吹き出しの風量を0.15〜0.25[m/min]の範囲とし、更に、フード21の奥行き方向の長さを400〜500[mm]の範囲とし、吸引するエアーの風量を2.0〜3.0[m/min]の範囲とすることにより、遊技機11の周辺で発生した煙をフード21の入口に誘導し、排気ファン23により外部に排出できるという結果が得られた。
【0061】
このように、本発明の第2実施形態に係る空気清浄装置では、各遊技機11間の境界領域13の上部にエアーが吹き出される送風口31を設け、送風ファン17より送り出されるエアーを送風口31より吹き出し、且つ、排気ファン23を駆動させることにより遊技機11の上部に設けられたフード21からエアーを吸引するように構成している。更に、送風口31より吹き出されるエアーの風量、風向き等の条件、及びフード21より吸引するエアーの風量、フード21の幅等の条件を適切な条件に設定することにより、発煙点pに発生する煙を確実にフード21の近傍に導いて外部へ排出することができる。従って、喫煙時に発生する煙が周囲に拡散して他の遊技者に不快感を与えるという問題を解決することができる。
【0062】
以上、本発明の空気清浄装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0063】
例えば、ゲームセンター等で遊技機が横方向に複数台連続的に設置されているような場所においても採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、遊技者が喫煙することにより発生する煙を周囲に拡散させることなく、外部に排出する上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0065】
11 遊技機
12 椅子
12a 支柱
13 境界領域
14 送風ノズル
14a 供給口
14b 吹き出し口
15 送風口
16 エアー配管
17 送風ファン
21 フード
22 エアーダクト
23 排気ファン
31 送風口
G 床面
p 発煙点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をもって連設された複数の遊技機を備えた遊技ホールに設けられ、各遊技機周辺の空気を浄化する空気清浄装置であって、
一端がエアー供給口とされ、他端がエアー吹き出し口とされ、前記他端が前記遊技機の幅内で遊技機よりも前面側となる適所に達して、前記吹き出し口が略上方向を向くように配置された送風ノズルと、
前記各遊技機の上方に設けられ、周辺の空気を吸引するエアー吸引手段と、
を備えたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
互いに隣接する各遊技機間の境界領域に設置されエアーが送られる送風口を更に備え、
前記送風ノズルの前記一端は、前記送風口に連結されてエアーが供給されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記送風ノズルのエアー吹き出し口は、前記遊技機の上端よりも上方に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記エアー吸引手段は、各遊技機の上方に設けられた矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続され前記フード周辺のエアーを外部に排出する排気ファンを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記エアー吸引手段の吸引口は、床面から1800〜2200[mm]の位置に設けられ、前後方向の幅が400〜500[mm]の範囲であり、吸引する風量は2.0〜3.0[m/min]の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項6】
互いに間隔をもって連設された複数の遊技機を備えた遊技ホールに設けられ、各遊技機周辺の空気を浄化する空気清浄装置において、
前記遊技機間の境界領域に設けられ、エアーが吹き出される送風口と、
前記各遊技機の上方に設けられ、周辺のエアーを吸引するエアー吸引手段と、を備え、
前記送風口は、床面から1200〜1400[mm]の高さに設けられ、エアーの吹き出し角度が70〜90°の範囲であり、エアーの吹き出し量が0.15〜0.25[m/min]であることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項7】
前記エアー吸引手段は、各遊技機の上方に設けられた矩形状の開口部を有するフードと、該フードに連結された排気ダクト、及び該排気ダクトに接続され前記フード周辺のエアーを外部に排出する排気ファンを備えることを特徴とする請求項6に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記エアー吸引手段のエアー吸引部にフードが設けられ、該フードの奥行き方向の長さは400〜500[mm]の範囲であり、吸引する風量は2.0〜3.0[m/min]の範囲であることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−72707(P2011−72707A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229407(P2009−229407)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】