説明

空気調和装置

【課題】ヒートポンプサイクルの成績係数(COP)を低下させることなく、人に体温以上の風を直接当てて、体が冷えているときなどに、肌寒さを感じることなく体温を上昇させることが可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】気体状の冷媒を圧縮する圧縮機と、互いに直列に接続され、前記圧縮された冷媒を室内の空気と熱交換する少なくとも2つの凝縮器と、前記凝縮器を出た冷媒を膨張させる膨張部と、前記膨張部を出た冷媒を室外の空気と熱交換する蒸発器と、を備えた空気調和装置であって、前記凝縮器のうち第一凝縮器は、前記圧縮された気体状の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、前記凝縮器のうち第二凝縮器は、前記第一凝縮器を出た気体と液体の気液混合状態の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、前記室内に人が存在する場合には、前記第一凝縮器において熱交換された室内の空気は、所定の温度以上で前記室内の人に向けて吹き出され、前記第二凝縮器において熱交換された室内の空気は、前記室内の人のいない空間に吹き出されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の暖房に用いられる空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置で室内を暖房する場合は、空気調和装置の室内機から吹き出される風が、室内の人に直接当たらないように制御されることが多い。風が人に直接当たると、人は肌寒さを感じ、不快に思うためである。
【0003】
しかし、体が冷えているときなど、体温を上昇させるために、暖かい風に直接当たりたい場合がある。人は、体温よりも低い温度の風に当たると肌寒さを感じるため、肌寒さを感じることなく暖かい風に当たるためには、室内機からの風の温度(吹き出し温度)を体温以上にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吹き出し温度を体温以上にする場合、吹き出し温度は、室内温度よりも15〜25℃も高く設定する必要がある。吹き出し温度を高く設定するためには、一般に冷媒圧力を高める必要があるため、空気調和装置に用いられるヒートポンプサイクルのCOP(Coefficient of Performance;成績係数)が低下する。COPの低下は、空気調和装置の効率の低下を意味するため、避ける必要がある。この場合のCOPの低下について、図4を用いて説明する。
【0005】
図4は、空気調和装置における冷媒の状態変化の一例を示す温度−エントロピー線図である。冷媒は、図4に示すように、A−B−C−D−E−F−G−Aのサイクルで、状態を変化させる。COPは、加熱の能力Q(kW)を、このQを得るために消費する電力P(kW)で割って求められる。すなわち、COP=Q/Pである。空気調和装置の消費電力は、圧縮機、ファン、制御基板などで消費される電力の総和となるが、このうち、圧縮機の消費電力が全体の8〜9割を占めるため、空気調和装置のCOPの算出においては、Pとして、圧縮機の消費電力を用いることができる。圧縮機の消費電力Pは、図4において、冷媒の状態G−Aの変化のために外部から投入される電力に相当する。
【0006】
前述の通り、吹き出し温度を高くするためには、空気調和装置の冷媒の圧力を高める必要がある。冷媒の圧力を高めると、圧縮機の消費電力Pは、線分AGに相当する大きさから、線分HGに相当する大きさに増大する。従って、COPは、その算出式より、分母のPが線分AGの長さから線分HGの長さに増大する分だけ低下する。これにより、空気調和装置の効率が低下する。効率の低下は、省エネルギーやコスト低減の観点から望ましくなく、避けることが必要である。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、ヒートポンプサイクルの成績係数(COP)を低下させることなく、人に体温以上の風を直接当てて、体が冷えているときなどに、肌寒さを感じることなく体温を上昇させることが可能な空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる空気調和装置の代表的な構成は、気体状の冷媒を圧縮する圧縮機と、互いに直列に接続され、前記圧縮された冷媒を室内の空気と熱交換する少なくとも2つの凝縮器と、前記凝縮器を出た冷媒を膨張させる膨張部と、前記膨張部を出た冷媒を室外の空気と熱交換する蒸発器と、を備えた空気調和装置であって、前記凝縮器のうち第一凝縮器は、前記圧縮された気体状の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、前記凝縮器のうち第二凝縮器は、前記第一凝縮器を出た気体と液体の気液混合状態の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、前記室内に人が存在する場合には、前記第一凝縮器において熱交換された室内の空気は、所定の温度以上で前記室内の人に向けて吹き出され、前記第二凝縮器において熱交換された室内の空気は、前記室内の人のいない空間に吹き出されることを特徴とする。
【0009】
ここで、所定の温度とは、室内機から吹き出された風が室内の人に直接当たっても、人が肌寒く感じない最低温度である。上記構成によれば、第一凝縮器において熱交換された室内の空気は、所定の温度以上で室内機から吹き出されるため、室内の人に直接当たっても、人は肌寒さを感じることなく体温を上昇させることができる。また、吹き出し温度を所定の温度以上にするために圧力を高める必要があるのは、少なくとも2つ以上の凝縮器のうち、第一凝縮器を流通する冷媒のみであり、第一凝縮器以外の凝縮器を流通する冷媒の圧力を高める必要がないため、その分、成績係数(COP)を低下させないことができる。
【0010】
すなわち、上記構成とは異なり、凝縮器が第一凝縮器とその他の凝縮器に分かれておらず一つの場合は、吹き出し温度を所定の温度以上にするために、その一つの凝縮器全体を流通する冷媒の圧力を高める必要があるため、圧縮機の消費電力が増大して、COPが低下するが、上記構成によれば、そのような効率の低下は生じない。
【0011】
上記の所定の温度は、35℃であるとよい。吹き出し温度が体温と略同じ温度である35℃以上であれば、室内機から吹き出した風が室内の人に直接当たっても、人が肌寒く感じないと想定されるためである。ただし、35℃未満であっても、実際に人が肌寒く感じなければ、そのような温度に設定してもよい。人は、その年齢などにより温度に対する感じ方が異なるため、肌寒く感じる温度が異なるからである。
【0012】
本発明にかかる空気調和装置の他の構成は、人の位置を検出する位置検出センサをさらに備え、該位置検出センサの検出信号に基づいて、前記第一凝縮器において熱交換された室内の空気および前記第二凝縮器において熱交換された室内の空気の風向を制御することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、位置検出センサにより室内の人の位置が検出されるため、第一凝縮器及び第二凝縮器において熱交換された空気を、それぞれ、人に向かう方向と、人のいない方向に精度良く吹き出すことができる。
【0014】
本発明にかかる空気調和装置の他の構成は、前記凝縮器として第三凝縮器をさらに備え、該第三凝縮器は、前記第二凝縮器を出た液体状の冷媒を被加熱媒体と熱交換することを特徴とする。第三凝縮器の適用により、冷媒の過冷却度が増大するため、加熱の能力Qを増大させることができる。これにより、ヒートポンプサイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
【0015】
上記の第三凝縮器において熱交換される被加熱媒体は、融雪用水、換気のための導入外気、床暖房用の温水、加湿器用の給水、給湯用の給水のうち、いずれかであるとよい。融雪用水、換気のための導入外気、床暖房用の温水、加湿器用の給水、給湯用の給水は、比較的低温で用いられるため、第三凝縮器の被加熱媒体として好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒートポンプサイクルの成績係数(COP)を低下させることなく、人に体温以上の風を直接当てて、体が冷えているときなどに、肌寒さを感じることなく体温を上昇させることが可能な空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる空気調和装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかる空気調和装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明にかかる空気調和装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【図4】空気調和装置における冷媒の状態変化の一例を示す温度−エントロピー線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明にかかる空気調和装置の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる空気調和装置の第1実施形態を示す概略構成図である。空気調和装置1は、圧縮機10と、室内機20と、膨張部30と、室外機40を備え、少なくとも室内の暖房に用いられる。
【0020】
室内機20は、室内に設置され、互いに直列に接続されている少なくとも2つの凝縮器(第一凝縮器21、第二凝縮器22)を備える。また、室外機40は、室外に設置され、蒸発器41を備える。圧縮機10、2つの凝縮器(第一凝縮器21、第二凝縮器22)、膨張部30、および蒸発器41は、ヒートポンプサイクルを実現する冷媒回路を構成する。図1の矢印は、冷媒が回路を流通する方向を示す。
【0021】
圧縮機10は、気体状の冷媒を圧縮して、冷媒を高温、高圧の状態にする。冷媒としては、例えば、二酸化炭素、代替フロンの一種であるR410Aが用いられる。圧縮機10を動作させるために、外部から所定の電力が供給される。
【0022】
2つの凝縮器(第一凝縮器21、第二凝縮器22)は、圧縮機10で圧縮された冷媒を室内の空気と熱交換する。図4を参照すると、冷媒は、圧縮機10による圧縮(状態G−A)により、状態Aでは過熱状態にある。第一凝縮器21は、この過熱状態にある気体状の冷媒を室内の空気と熱交換する。第一凝縮器21における熱交換により、冷媒は放熱して飽和気体になり(図4の状態B)、室内の空気は吸熱してその温度が35℃以上になる。
【0023】
第二凝縮器22は第一凝縮器21と直列に接続されている。第一凝縮器21を出た冷媒は、第二凝縮器22に入り、第二凝縮器22において、室内の空気と熱交換される。第二凝縮器22における熱交換により、第一凝縮器21を出た冷媒は、放熱して飽和気体(状態B)から、気体と液体の気液混合状態(状態B−C)および過冷却状態(状態C−D)へと状態変化する。一方、室内の空気は、冷媒の熱を吸熱してその温度が上昇する。
【0024】
膨張部30は、室内機20の第二凝縮器22を出た液体状の冷媒を膨張させて(図4の状態D−E)、低温、低圧にする。膨張部30には、例えば、キャピラリーチューブや膨張弁が用いられる。
【0025】
蒸発器41は、膨張部30を出た液体状の冷媒を室外の空気と熱交換する。蒸発器41における熱交換により、冷媒は、室外の空気から吸熱して状態Eから飽和気体の状態Fを経て状態Gに変化する。一方、室外の空気は、放熱してその温度が低下する。
【0026】
空気調和装置1は、人の位置を検出する位置検出センサ(図示せず)を備えている。位置検出センサとしては、例えば、対象領域に超音波を照射して、その反射波により人の位置を検出する超音波センサを用いることができる。室内に人が存在する場合には、第一凝縮器21において熱交換されて35℃以上となった室内の空気は、この位置検出センサの検出信号に基づいて、その風向が人の存在する方向に制御され、室内の人に向けて吹き出される。
【0027】
これにより、室内機20の第一凝縮器21から吹き出される空気は、体温と略同じ温度である35℃以上であるため、室内の人に直接当たっても、人は肌寒さを感じることがない。従って、体が冷えているときなどに、肌寒さを感じることなく、体温を上昇させることができる。
【0028】
また、第二凝縮器22において熱交換された室内の空気は、この位置検出センサの検出信号に基づいて、その風向が人の存在しない方向に制御され、室内の人のいない空間に吹き出される。従って、第二凝縮器22において熱交換された空気が35℃未満であっても、この35℃未満の空気は室内の人に直接当たることがないため、人が肌寒く感じることなく、室内を暖房することができる。
【0029】
吹き出し温度を35℃以上としたのは、35℃以上であれば、室内機20から吹き出した風が室内の人に直接当たっても、人が肌寒く感じないと想定されるためであり、吹き出し温度は、実際に人が肌寒く感じない温度に応じて変更されてもよい。すなわち、人は、その年齢などにより温度に対する感じ方が異なるため、実際に肌寒く感じない温度に設定することができる。
【0030】
位置検出センサを用いて得られた室内の人の位置に関する情報に基づいて、第一凝縮器21及び第二凝縮器22において熱交換された空気の吹き出し方向を制御することにより、それぞれの凝縮器で熱交換された空気を、人に向かう方向と、人のいない方向に精度良く吹き出すことができる。
【0031】
本実施形態によれば、室内の空気の吹き出し温度を35℃以上にするために圧力を高める必要があるのは、2つの凝縮器(第一凝縮器21、第二凝縮器22)のうち、第一凝縮器21を流通する冷媒のみである。すなわち、吹き出し温度を35℃以上にするためには、図4において、冷媒は、圧縮機10により、状態GからAに圧力を高められればよく、第二凝縮器22を流通する冷媒の圧力は高める必要がない。
【0032】
一方、本実施形態とは異なり、凝縮器が第一凝縮器21と第二凝縮器22の2つに分かれておらず一つの場合は、室内の空気の吹き出し温度を35℃以上にするためには、その一つの凝縮器全体を流通する冷媒の圧力を高める必要がある。すなわち、図4において、冷媒は、圧縮機10により、状態GからHに圧力を高められる必要がある。
【0033】
このため、凝縮器が第一凝縮器21とそれ以外の凝縮器(本実施形態では、第二凝縮器22)に分かれていない場合は、圧縮機10の消費電力が、冷媒の状態A−Hの変化分だけ増大して成績係数(COP)が低下してしまうが、本実施形態の構成によれば、そのような効率の低下は生じない。
【0034】
なお、第一凝縮器21と第二凝縮器22は、それぞれ製品として独立して構成されていてもよいし、例えば、一つの凝縮器の内部が、第一凝縮部と第二凝縮部のように、部分に分割されて構成されていてもよい。例えば、凝縮器の内部に隔壁を設けることにより第一凝縮部と第二凝縮部に分割し、それぞれの領域で室内の空気と熱交換することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図2は、本発明にかかる空気調和装置の第2実施形態を示す概略構成図である。空気調和装置2は、圧縮機10と、室内機20と、加湿ユニット50と、膨張部30と、室外機40を備え、少なくとも室内の暖房に用いられる。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0036】
加湿ユニット50は、室内機20と膨張部30との間に、互いに直列に接続され、第三凝縮器23を備える。圧縮機10、2つの凝縮器(第一凝縮器21、第二凝縮器22)、第三凝縮器23、膨張部30、および蒸発器41は、ヒートポンプサイクルを実現する冷媒回路を構成する。図2の矢印は、冷媒が回路を流通する方向を示す。
【0037】
第三凝縮器23は、第二凝縮器22を出た液体状の冷媒を、加湿用水回路51を流通する加湿用水(被加熱媒体)と熱交換する。図4を参照すると、第三凝縮器23における熱交換により、第二凝縮器22を出た過冷却状態(状態D)の冷媒は、放熱して、過冷却度を高め、状態Kに状態変化する。一方、加湿用水(加湿器用の給水)は、冷媒の熱を吸熱してその温度が上昇する。
【0038】
従って、本実施形態では、冷媒の状態D−Kの変化分だけ、加熱の能力Qを高めることができ、これにより、COPを向上させて空気調和装置2の効率を高めることができる。なお、第三凝縮器23において冷媒と熱交換する被加熱媒体は、本実施形態で示した加湿用水のほかにも、例えば、融雪用水、換気のための導入外気、床暖房用の温水、給湯用の給水とすることができる。
【0039】
(第3実施形態)
図3は、本発明にかかる空気調和装置の第3実施形態を示す概略構成図である。空気調和装置3は、圧縮機10と、第一凝縮器21および第二凝縮器22を備える室内機20と、第三凝縮器23と、第四凝縮器24と、第五凝縮器25と、第六凝縮器26と、第七凝縮器27と、膨張部30と、蒸発器41を備える室外機40を備え、少なくとも室内の暖房に用いられる。
【0040】
図3に示すように、第一凝縮器21と、第二凝縮器22と、第三凝縮器23は互いに直列に接続されている。また、第四凝縮器24と、第五凝縮器25と、第七凝縮器27は互いに直列に接続されている。
【0041】
第一凝縮器21と第四凝縮器24は互いに並行に接続されている。また、第二凝縮器22と、第五凝縮器25と、第六凝縮器26は互いに並行に接続されている。さらに、第三凝縮器23と第七凝縮器27は互いに並行に接続されている。
【0042】
圧縮機10、7つの凝縮器(第一凝縮器21〜第七凝縮器27)、膨張部30、および蒸発器41は、ヒートポンプサイクルを実現する冷媒回路を構成する。図3の矢印は、冷媒が回路を流通する方向を示す。
【0043】
第四凝縮器24は、第一凝縮器21と同じように、圧縮機10で圧縮されて過熱状態にある気体状の冷媒を被加熱媒体(例えば、空気)と熱交換する。第四凝縮器24における熱交換により、冷媒は放熱して飽和気体になり(図4の状態B)、空気(被加熱媒体)は吸熱して高温になる。高温になった空気は、例えば、布団乾燥のために用いることができる。
【0044】
第五凝縮器25および第六凝縮器26は、第二凝縮器22と同じように、第一凝縮器21および第四凝縮器24を出た冷媒を被加熱媒体(例えば、空気や水)と熱交換する。図4を参照すると、第五凝縮器25および第六凝縮器26における熱交換により、冷媒は、放熱して飽和気体(状態B)から、気体と液体の気液混合状態(状態B−C)および過冷却状態(状態C−D)へと状態変化する。一方、空気や水(被加熱媒体)は、吸熱して高温になる。高温になった空気や水は、例えば、床暖房用の温水、給湯用の給水として用いることができる。
【0045】
第七凝縮器27は、第三凝縮器23と同じように、第二凝縮器22、第五凝縮器25および第六凝縮器26を出た液体状の冷媒を被加熱媒体(例えば、空気や水)と熱交換する。図4を参照すると、第二凝縮器22、第五凝縮器25および第六凝縮器26を出た過冷却状態(状態D)の冷媒は、放熱して、過冷却度を高め、状態Kに状態変化する。一方、空気や水(被加熱媒体)は、冷媒の熱を吸熱してその温度が上昇する。温度上昇した空気や水は、例えば、加湿用水、融雪用水、換気のための導入外気、床暖房用の温水、給湯用の給水として用いることができる。
【0046】
従って、本実施形態では、冷媒の状態D−Kの変化分だけ、加熱の能力Qを高めることができ、これにより、COPを向上させて空気調和装置3の効率を高めることができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、室内の暖房に用いられる空気調和装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、2、3 …空気調和装置
10 …圧縮機
20 …室内機
21 …第一凝縮器
22 …第二凝縮器
23 …第三凝縮器
24 …第四凝縮器
25 …第五凝縮器
26 …第六凝縮器
27 …第七凝縮器
30 …膨張部
40 …室外機
41 …蒸発器
50 …加湿ユニット
51 …加湿用水回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状の冷媒を圧縮する圧縮機と、
互いに直列に接続され、前記圧縮された冷媒を室内の空気と熱交換する少なくとも2つの凝縮器と、
前記凝縮器を出た冷媒を膨張させる膨張部と、
前記膨張部を出た冷媒を室外の空気と熱交換する蒸発器と、
を備えた空気調和装置であって、
前記凝縮器のうち第一凝縮器は、前記圧縮された気体状の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、
前記凝縮器のうち第二凝縮器は、前記第一凝縮器を出た気体と液体の気液混合状態の冷媒を前記室内の空気と熱交換し、
前記室内に人が存在する場合には、
前記第一凝縮器において熱交換された室内の空気は、所定の温度以上で前記室内の人に向けて吹き出され、
前記第二凝縮器において熱交換された室内の空気は、前記室内の人のいない空間に吹き出されることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記所定の温度は、35℃であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
当該空気調和装置は、人の位置を検出する位置検出センサをさらに備え、該位置検出センサの検出信号に基づいて、前記第一凝縮器において熱交換された室内の空気および前記第二凝縮器において熱交換された室内の空気の風向を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
当該空気調和装置は、前記凝縮器として第三凝縮器をさらに備え、該第三凝縮器は、前記第二凝縮器を出た液体状の冷媒を被加熱媒体と熱交換することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第三凝縮器において熱交換される被加熱媒体は、融雪用水、換気のための導入外気、床暖房用の温水、加湿器用の給水、給湯用の給水のうち、いずれかであることを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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