突入電流抑制回路
【課題】複数の電源電圧に対しても、一定の電流値に突入電流を、電気エネルギーの消費を従来例に比較して少くした状態にて抑制することができる突入電流抑制回路を提供する。
【解決手段】本発明の突入電流抑制回路は、外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、電源ラインに直列に介挿され、電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部とを有する。
【解決手段】本発明の突入電流抑制回路は、外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、電源ラインに直列に介挿され、電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給される突入電流を抑制する突入電流抑制回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置から電源の供給を受けて動作する電子回路において、この電子回路が電源に接続されて電力が供給される際、瞬間的に大きな電流、すなわち突入電流が電子回路に流れることとなる。
例えば、火災報知システムなどにおいて、火災時にコントロールパネルから、各所に配置された火災報知器に対して、この火災報知器を駆動するための電力を供給する際、全てに同期させて電力を供給させると、火災報知器の電源回路の容量に対して充電するために、初期の段階にて通常電流に比較して大きな値の突入電流が流れる。
【0003】
このため、コントロールパネルが複数台の電子回路に対して並列に電力を供給する電流容量を有しているにもかかわらず、電子回路に突入電流が流れることにより、コントロールパネルが誤動作してしまうことになる。
したがって、コントロールパネルには、突入電流を電子回路の消費電流として考慮すると、供給する電流容量を増加させるか、あるいは、本来の能力より大幅に少ない数の電子回路を接続することしかできないことになる。
【0004】
上述した問題を解決するため、電子回路の電源ラインに対して直列に、パワーサーミスタを設けることにより、コントロールパネルから電力が供給された際の突入電流を抑制する方法が用いられている。
しかしながら、抑制する電流量が小さい場合、動作するための電気エネルギーが得られずにインピーダンスを低下させることができず、また、動作したとしても一旦低下したインピーダンスが元の値に回復するまでの時間がかかり、火災報知器などの電子回路の突入電流を抑制する構成に用いることが難しい。
【0005】
このため、火災報知器の電源ラインに抵抗と、トランジスタとを並列に配置し、突入電流が流れる期間、トランジスタをオフすることで、抵抗のみを介して火災報知器の電源回路に電力を供給する。
一方、突入電流が流れなくなった以降の期間(通常状態の電流が流れる期間)、トランジスタをオンして、抵抗及びトランジスタの双方を介して、すなわち突入電流が流れる期間に比較して電源ラインのインピーダンスの値を低下させて、電源回路に電力を供給し、突入電流を抵抗により抑制することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6049446号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、火災報知器などの電子回路の場合、コントロールパネルの種類により電源電圧が異なり、これらのコントロールパネルの何れにも対応する必要があるため、入力される電圧が所定の範囲、例えば6V〜36Vの範囲にて使用スペックが設定されている。 このため、特許文献1に示す突入電流抑制回路にあっては、コントロールパネルの種類により電源電圧が異なり、抵抗によるインピーダンスを変化させる方式では、電圧により突入電流の電流値が変化することとなる。
【0007】
すなわち、特許文献1に示す突入電流抑制回路は、6Vと36Vとでは、6倍程度に突入電流が異なるため、結局、電圧によっては、コントロールパネルに対して接続できる電子回路の数が、本来のコントロールパネルの電流容量の能力に対して少なくなる欠点を有していることになる。
また、特許文献1に示す突入電流抑制回路は、抵抗を用いているため、電気エネルギーが熱となり消費され、突入電流抑制のために無駄な電力を使用することになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の電源電圧に対しても、一定の電流値に突入電流を、電気エネルギーの消費を従来例に比較して少くした状態にて抑制することができる突入電流抑制回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の突入電流抑制回路は、外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、前記電源ラインに直列に介挿され、前記電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の突入電流抑制回路は、前記電流抑制部が、バイポーラトランジスタにて構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の突入電流抑制回路は、前記電流制御部が、前記バイポーラトランジスタのベース電流を制御することにより、バイポーラトランジスタに流れる電流を、予め設定した定電流値として制限する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、突入電流が流れている期間、電子回路に対して定電流が流れるように電流抑制部が電流を制限するため、供給される電圧が異なった場合でも、電子回路に流れる突入電流の電流値が変化することなく、かつ定電流値を通常状態に電子回路に流れる電流値と同様の値に設定することにより、コントロールパネルに接続する電子回路(火災報知器)の数を、電源供給装置(火災報知器のコントロールパネル)に設定されている本来の数にすることができる。
また、本発明によれば、抵抗を用いて、突入電流の電流値を制限しているわけではないので、無駄に消費される電気エネルギーを従来例に比較して低減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による突入電流抑制回路を図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
この図において、突入電流抑制回路1は、ダイオード11、pnp型バイオポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)14、定電流回路12及びスイッチ回路13を有している。ここで、定電流回路12及びスイッチ回路13は電流制御回路を構成している。
ダイオード11は、電源供給装置に並列に接続された際、電子回路の電源ライン6が他の電子回路の電源ラインと分離するために設けられている。
定電流回路12及びスイッチ回路13は、接地点とトランジスタ14のベースとの間に並列に接続されて設けられている。
【0014】
トランジスタ14は、電流抑制回路を構成し、スイッチ回路13がオフ状態の場合、定電流回路12にて設定された定電流により、ベース電流が制限され、このベース電流に対応するコレクタ電流を、制限された定電流として電源ライン6に流す。
また、トランジスタ14は、スイッチ回路13がオン状態の場合、ベース電流がスイッチ回路13を介して接地点に流れるため、ベース電流が制限されなくなり、コレクタとエミッタとの間の電圧差に対応した電流が流れる。
また、電子回路としては、上記突入電流抑制回路1以外に、電源回路2、制御部3、負荷4及びコンデンサ5を有している。
【0015】
上記図1の電子回路は、図示しない電源供給装置に複数並列に接続されて設けられる、例えば火災報知器などであり、負荷4がブザーや光を放射する発光素子及びそれを駆動するための駆動回路などである。この駆動回路は、端子T0及びT1間(A点)に、上記電源供給装置から供給される電力を、負荷4を駆動するための電圧及び電流の値に変換して供給する。
電源回路2は、内部にコンデンサを有しており、内部の制御回路、例えば制御部3が駆動するために必要な電力を供給し、電圧値が低下した場合、端子T0及びT1間に印加される供給電圧により上記コンデンサに対して電気エネルギーを蓄積する。
【0016】
制御部3はCPU及びメモリで構成されたコントローラであり、突入電流抑制回路1が電源ライン6に流す電流を制御するスイッチ回路13をオンオフ制御するとともに、負荷4の駆動を制御する。
コンデンサ5は、負荷4に供給する電気エネルギーを蓄積するために設けられている。このコンデンサ5に電荷を蓄積するために、電源ライン6に突入電流が流れることになる。
【0017】
次に、図1、図2及び図3を用いて、本願発明の一実施形態による突入電流抑制回路の動作を説明する。図2は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示すフローチャートである。また、図3は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示す波形図である。
時刻t0において、ステップS1の動作として、制御部3は駆動状態となることにより、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態にする。
【0018】
時刻t1において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード11を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れると、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
これにより、負荷4に電気エネルギーを供給するコンデンサ5に対して、電気エネルギーとして電荷を蓄積するための電流が、電源供給装置からa点に対して突入電流として流れ込むが、この突入電流が定電流回路12に設定された定電流値により、b点の電流がこの電流値に対応した定電流に制限されることとなる。
【0019】
時刻t2において、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となると、電源供給装置から流れる電流が突入電流の電流値から通常の電流値に遷移する、すなわち、a点に流れる電流値が低下する。
ここで、ステップS2の動作として、制御部3はa点に突入電流が流れ込んでいる状態の期間か否かを判定して、突入電流が流れている期間であることを検出すれば、スイッチ回路13のオフ状態を継続させ、一方、突入電流が流れていない期間であることを検出すれば、スイッチ回路13をオン状態とする処理を行う。
【0020】
時刻t3において、ステップS3の動作として、制御部3は、C点の電圧レベルを制御して、例えば「H」レベルとしてスイッチ回路13をオン状態とする。
これにより、トランジスタ14は、定電流回路12をバイパスして、スイッチ回路13を介してベース電流が接地点に流れるため、定電流値に制限される制御が行われなくなり、コレクタ−エミッタ間の電圧差に応じた電流を電源ライン6に流す。
【0021】
時刻t4において、ステップS4の動作として、制御部3は、負荷4の駆動を行う。これにより、負荷4が駆動することにより消費される電流、すなわちb点に流れる電流に対応した電流がトランジスタ14に流れる。
【0022】
時刻t5において、電源供給装置から所定の電圧の供給を停止する。この時点において、コンデンサ5に蓄積された電荷が負荷4に供給されるため、点bに電流が流れ、コンデンサ5に蓄積された電荷が放電され、B点における電圧が低下する。
【0023】
時刻t6において、ステップS5の動作として、制御部3はA点の電圧レベルが予め設定された電圧以上か否かの検出を行う。ここで、図示されていないが、A点の電圧レベルが予め設定した閾値電圧を超えているか否かを検出するコンパレータなどの電圧検出器がA点に設けられており、このコンパレータの検出結果を入力することにより、制御部3はA点の電位差が予め設定した閾値電圧を超えているか否かの検出を行う(すなわち、外部の電源供給装置からの電力の供給が行われているか否かの検出を行う)。
この閾値電圧は、この電子回路が接続される電源供給装置において、出力電圧が最も低い電圧値の数値として設定することにより、対応する全ての電源供給装置に対して対応可能となる。
【0024】
このとき、制御部3は、A点の電圧が閾値以下(すなわち、電圧が印加されておらず、電力が供給されていない状態)であることを検出すると、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態とする。一方、制御部3は、A点の電圧が閾値を超えていることを検出すると、C点の電圧レベルを制御して、例えば「H」レベルとしてスイッチ回路13をオン状態とする。
この時刻t6において、制御部3は、A点の電圧が閾値電圧以下のため、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態とする。
【0025】
時刻t7において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード4を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れる。このとき、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
時刻t8において、時刻t2と同様に、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となり、a点に流れる電流値が低下する。
以下、すでに述べた時刻t1〜時刻t6の動作が繰り返されることとなる。
【0026】
上記ステップS2における突入電流が流れている期間であるか否かの検出は以下のようにして行われる。
・例1
制御部3は、C点の電圧を「L」レベルにした後、すなわちスイッチ回路13をオフ状態としたときから、経過時間をカウントする。そして、制御部3は、予め設定した一定時間を、カウントした経過時間が超えたか否かの検出を行う。
ここで、上記予め設定した一定時間を突入電流が流れている期間とし、一定時間を超えた後を突入電流がながれていない通常の状態とする。
【0027】
・例2
制御部3は、上記一定時間を、C点の電圧を「L」レベルにした時点において、一般に用いられている疑似乱数発生器のアルゴリズムにより疑似乱数を発生し、この疑似乱数に対して、係数を乗算することにより、疑似乱数を時間に変換し、これを一定時間とし、毎回ランダムな時間を突入電流が流れている期間の時間として設定する。この係数は、例えば、疑似乱数の最大値により、突入電流が流れる最大値を除算して求められた数値とすることが考えられる。
これにより、電源供給装置に対して並列に接続されている他の電子回路と、トランジスタ14の定電流の制限を解除する時間を、微妙にずらすことができ、突入電流が継続していた場合にも、その影響を低下させることができる。
【0028】
・例3
制御部3は、C点の電圧を「L」レベルにした時点で、物理乱数を生成して、この物理乱数に係数を乗算して、物理乱数を時間に変換して一定時間とし、毎回ランダムな時間を突入電流が流れている期間の時間として設定する。この係数は、例えば、物理乱数の最大値により、突入電流が流れる最大値を除算して求められた数値とすることが考えられる。
この物理乱数は、例えば、B点の電圧を測定して、小数点以下の所定の桁数における数を用いる。乱数を用いた効果については、すでに述べた例2と同様である。
【0029】
・例4
B点の電圧が予め設定した電圧値としての閾値電圧を超えているか否かの検出結果を出力する電圧比較器を設ける。
そして、制御部3は、上記検出結果により、B点の電圧が閾値電圧以上であるか否かを検出し、スイッチ回路13をオフにしたときから、B点の電圧が閾値電圧以上になったことを検出するまでを、突入電流が流れている期間とし、B点の電圧が閾値電圧以上になったことを検出した以降を、通常の電流が流れる通常状態とする。
【0030】
・例5
a点の電流が予め設定した電流値としての閾値電流以下であるか否かの検出結果を出力する電流比較器を設ける。
そして、制御部3は、上記検出結果により、a点の電流が閾値電流以下であるか否かを検出し、スイッチ回路13をオフにしたときから、a点の電流が閾値電流以下になったことを検出するまでを、突入電流が流れている期間とし、a点の電流が閾値電流以下になったことを検出した以降を、通常の電流が流れる通常状態とする。
【0031】
次に、定電流回路12及びスイッチ回路13による電流制御回路の詳細な構成を以下に説明する。例えば、図4,図5,図6及び図7に示す回路例がある。
・図4の回路例
定電流回路12は定電流ダイオード121により形成されており、スイッチ回路13はnpn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)131及び抵抗132により形成されている。ここで、定電流ダイオード121は、アノードがトランジスタ14のベースに接続され、カソードが接地点に接続されている。また、スイッチ回路13はトランジスタ131のコレクタが抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、トランジスタ131のエミッタが接地点に接続され、トランジスタ131のベースが点Cに接続されている。
【0032】
トランジスタ131のベースに対して、「H」レベルのオン状態とする信号が入力されているとき、トランジスタ131がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗132を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、トランジスタ131のベースに対して、「L」レベルのオフ状態とする信号が入力されているとき、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオードの定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0033】
・図5の回路例
定電流回路12の構成は図4と同様であり、スイッチ回路13は抵抗132と接点スイッチ(例えばリレー)133とから構成されている。接点スイッチ133は一端が抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、他端が接地点に接続されている。この接点スイッチ133は、制御端子がC点に接続されており、制御端子に「H」レベルのオン状態とする電圧レベルの信号が印加されることによりオン状態となり、制御端子に「L」レベルのオフ状態とする電圧レベルの信号が印加されることによりオフ状態となる。
【0034】
したがって、接点スイッチ133の制御端子に対して、「H」レベルのオン状態とする信号が入力されているとき、接点スイッチ133がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗132を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、コレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、接点スイッチ133の制御端子に対して、「L」レベルのオフ状態とする信号が入力されているとき、ベース電流が主に定電流ダイオードの定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0035】
・図6の回路例
スイッチ回路13が図4と同様であり、定電流回路12は、抵抗122及び125、npn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)123及び124から構成されている。
・図7の回路例
定電流回路12が図6と同様であり、スイッチ回路13が図5と同様である。
【0036】
<第2の実施形態>
図8は第2の実施形態の突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
この図において、突入電流抑制回路1は、第1の実施形態と同様に、ダイオード11、pnp型バイオポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)14、定電流回路12及びスイッチ回路13を有している。ここで、定電流回路12及びスイッチ回路13は電流制御回路を構成している。
定電流回路12及びスイッチ回路13は、接地点とトランジスタ14のベースとの間に並列に接続されて設けられている。
また、スイッチ回路13は、初期状態にオフ状態であり、所定の時間が経過した後、オン状態となる構成となっている。
【0037】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、スイッチ回路13の制御を制御部3が行わず、スイッチ回路13内に新たに時定数回路を設け、この時定数回路により突入電流が流れている期間を規定するため、第1の実施形態のように、制御部3及びこの制御部3を駆動するための電源回路2が必要無くなる。図示しないが、この時定数回路は電源が外部の電源供給装置から入力されるごとにリセット(内部のコンデンサが放電)され、初期値から充電されることとなる。
【0038】
次に、図8及び図9を用いて、本願発明の一実施形態による突入電流抑制回路の動作を説明する。図9は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示す波形図である。
時刻t11において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード11を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れると、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
これにより、電気エネルギーを蓄積するコンデンサ5に電荷を蓄積するための電流が、電源供給装置からa点に対して突入電流として流れ込むが、この突入電流が定電流回路12に設定された定電流値により、b点の電流が定電流に制限されることとなる。
【0039】
時刻t12において、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となるに従い、電源供給装置から流れる電流が突入電流の電流値から通常の電流値に遷移することとなり、すなわち、a点に流れる電流値が低下する。
スイッチ回路13は、コンデンサ5の蓄積している電圧値(C点の電圧値)に対応してオン/オフ状態が設定されるため、この時点においてオフ状態が継続される。
【0040】
時刻t13において、C点(すなわちB点)の電圧値が予め設定された電圧に上昇し、スイッチ回路13は内部の時定数回路が予め設定された時間を検出することにより、すなわち突入電流が流れていない期間であることを検出してオン状態となり、定電流回路12をバイパスして、スイッチ回路13を介して、トランジスタ14のベース電流を接地点に対して流すことになる。
これにより、トランジスタ14は、スイッチ回路13を介してベース電流が接地点に流れるため、定電流値に制限される制御が行われなくなり、コレクタ−エミッタ間の電圧差に応じた電流を電源ライン6に流す。
【0041】
時刻t14において、負荷4の駆動が開始される。これにより、負荷4が駆動することにより消費される電流、すなわちb点に流れる電流に対応した電流がトランジスタ14に流れる。
以下、すでに述べた時刻t11〜時刻t14の動作が繰り返されることとなる。
【0042】
次に、定電流回路12及びスイッチ回路13による電流制御回路の詳細な構成を以下に説明する。例えば、図10,図11,図12,図13,図14及び図15に示す回路例がある。
・図10の回路例
定電流回路12は定電流ダイオード121により形成されており、スイッチ回路13は抵抗134,136及び137と、npn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)135と、コンデンサ138とから形成されている。ここで、定電流ダイオード121は、アノードがトランジスタ14のベースに接続され、カソードが接地点に接続されている。
【0043】
また、スイッチ回路13はトランジスタ135のコレクタが抵抗134を介してトランジスタ14のベースに接続され、トランジスタ135のエミッタが抵抗136を介して接地点に接続されている。
また、電源ライン6と接地点との間に、抵抗137とコンデンサ138とが直列に接続され、時定数回路が構成されており、この抵抗137とコンデンサ138との接続点がトランジスタ135のベースに接続されている。ここで、この時定数回路の時定数(予め設定されたトランジスタ135をオン状態とする電圧がコンデンサ138に蓄積されるまでの時間)が突入電流が流れている期間として設定される。
【0044】
接続点Cは電源ライン6と抵抗137との接続点であり、実質的にB点と同様である。B点の電圧、すなわちコンデンサ5に蓄積された電圧が上昇するに従い、抵抗137を介してコンデンサ138に電荷が蓄積されることになる。
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇する(充電されて上昇)と、トランジスタ135のベースに対してトランジスタ14のベース電流が流れ、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、トランジスタ135のベースに対して、電流が流れない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0045】
・図11の回路例
定電流回路12の構成は図6同様であり、スイッチ回路13は図10と同様である。
したがって、トランジスタ135がオン状態でない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限される。
一方、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
【0046】
・図12の回路例
定電流回路12は図4と同様であり、定電流回路12はツェナーダイオード139及びコンデンサ138から構成され、ツェナーダイオード139に流れる電流にて、コンデンサ138を充電する時定数回路となっている。ここで、トランジスタ135をオン状態とする電圧がコンデンサ138に蓄積されるまでの時間(すなわち時定数)が突入電流が流れている期間として設定される。
また、電源ライン6と接地点との間に、ツェナーダイオード139とコンデンサ138とが直列に接続されており、このツェナーダイオード139とコンデンサ138との接続点、すなわちツェナーダイオード139のアノードがトランジスタ135のベースに接続されている。ツェナーダイオード139のカソードは電源ライン6に接続されている。
【0047】
接続点C、すなわち接続点Bの電圧がツェナーダイオード139のツェナー降伏電圧を超えると、ツェナーダイオード139に電流が流れ、コンデンサ138に対して電荷の蓄積が行われる。
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇する(充電されて上昇)と、トランジスタ135のベースに対してトランジスタ14のベース電流が流れ、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、コレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、トランジスタ135のベースに対して、電流が流れない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0048】
・図13の回路例
定電流回路12が図4と同様であり、スイッチ回路13が抵抗132及び137と、接点スイッチ133と、コンデンサ138とから構成されている。
ここで、上記接点スイッチ133は、一端が抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、他端が接地点に接続されている。この接点スイッチ133は、所定の「H」レベルの電圧が印加されるとオン状態となり、「L」レベルの電圧が印加されるとオフ状態となる。
接続点Cは電源ライン6と抵抗137との接続点であり、実質的にB点と同様である。B点の電圧、すなわちコンデンサ5に蓄積された電圧が上昇するに従い、抵抗137を介してコンデンサ138に電荷が蓄積されることになる。
【0049】
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇(充電されて上昇)して、「H」レベル、予め設定された接点スイッチ133をオン状態とする電圧(この電圧となるまでの時間が時定数)となると、接点スイッチ133がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、「L」レベルであると、接点スイッチ133はオフ状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0050】
・図14の回路例
定電流回路12は図6と同様であり、スイッチ回路13は図13と同様である。
・図15の回路例
定電流回路12は図4と同様であり、スイッチ回路13は図12と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の突入電流抑制回路1の動作例を説明するフローチャートである。
【図3】図1の突入電流抑制回路1の動作例を説明する波形図である。
【図4】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図5】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図6】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図7】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8の突入電流抑制回路1の動作例を説明する波形図である。
【図10】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図11】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図12】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図13】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図14】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図15】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【符号の説明】
【0052】
1…突入電流抑制回路
2…電源回路
3…制御部
4…負荷
5,138…コンデンサ
6…電源ライン
11…ダイオード
12…定電流回路
13…スイッチ回路
14…トランジスタ(pnp型バイポーラトランジスタ)
121…定電流ダイオード
122,125,132,134,136,137…抵抗
123,124,131,135…トランジスタ(npn型バイポーラトランジスタ)
133…接点スイッチ
139…ツェナーダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給される突入電流を抑制する突入電流抑制回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置から電源の供給を受けて動作する電子回路において、この電子回路が電源に接続されて電力が供給される際、瞬間的に大きな電流、すなわち突入電流が電子回路に流れることとなる。
例えば、火災報知システムなどにおいて、火災時にコントロールパネルから、各所に配置された火災報知器に対して、この火災報知器を駆動するための電力を供給する際、全てに同期させて電力を供給させると、火災報知器の電源回路の容量に対して充電するために、初期の段階にて通常電流に比較して大きな値の突入電流が流れる。
【0003】
このため、コントロールパネルが複数台の電子回路に対して並列に電力を供給する電流容量を有しているにもかかわらず、電子回路に突入電流が流れることにより、コントロールパネルが誤動作してしまうことになる。
したがって、コントロールパネルには、突入電流を電子回路の消費電流として考慮すると、供給する電流容量を増加させるか、あるいは、本来の能力より大幅に少ない数の電子回路を接続することしかできないことになる。
【0004】
上述した問題を解決するため、電子回路の電源ラインに対して直列に、パワーサーミスタを設けることにより、コントロールパネルから電力が供給された際の突入電流を抑制する方法が用いられている。
しかしながら、抑制する電流量が小さい場合、動作するための電気エネルギーが得られずにインピーダンスを低下させることができず、また、動作したとしても一旦低下したインピーダンスが元の値に回復するまでの時間がかかり、火災報知器などの電子回路の突入電流を抑制する構成に用いることが難しい。
【0005】
このため、火災報知器の電源ラインに抵抗と、トランジスタとを並列に配置し、突入電流が流れる期間、トランジスタをオフすることで、抵抗のみを介して火災報知器の電源回路に電力を供給する。
一方、突入電流が流れなくなった以降の期間(通常状態の電流が流れる期間)、トランジスタをオンして、抵抗及びトランジスタの双方を介して、すなわち突入電流が流れる期間に比較して電源ラインのインピーダンスの値を低下させて、電源回路に電力を供給し、突入電流を抵抗により抑制することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6049446号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、火災報知器などの電子回路の場合、コントロールパネルの種類により電源電圧が異なり、これらのコントロールパネルの何れにも対応する必要があるため、入力される電圧が所定の範囲、例えば6V〜36Vの範囲にて使用スペックが設定されている。 このため、特許文献1に示す突入電流抑制回路にあっては、コントロールパネルの種類により電源電圧が異なり、抵抗によるインピーダンスを変化させる方式では、電圧により突入電流の電流値が変化することとなる。
【0007】
すなわち、特許文献1に示す突入電流抑制回路は、6Vと36Vとでは、6倍程度に突入電流が異なるため、結局、電圧によっては、コントロールパネルに対して接続できる電子回路の数が、本来のコントロールパネルの電流容量の能力に対して少なくなる欠点を有していることになる。
また、特許文献1に示す突入電流抑制回路は、抵抗を用いているため、電気エネルギーが熱となり消費され、突入電流抑制のために無駄な電力を使用することになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の電源電圧に対しても、一定の電流値に突入電流を、電気エネルギーの消費を従来例に比較して少くした状態にて抑制することができる突入電流抑制回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の突入電流抑制回路は、外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、前記電源ラインに直列に介挿され、前記電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の突入電流抑制回路は、前記電流抑制部が、バイポーラトランジスタにて構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の突入電流抑制回路は、前記電流制御部が、前記バイポーラトランジスタのベース電流を制御することにより、バイポーラトランジスタに流れる電流を、予め設定した定電流値として制限する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、突入電流が流れている期間、電子回路に対して定電流が流れるように電流抑制部が電流を制限するため、供給される電圧が異なった場合でも、電子回路に流れる突入電流の電流値が変化することなく、かつ定電流値を通常状態に電子回路に流れる電流値と同様の値に設定することにより、コントロールパネルに接続する電子回路(火災報知器)の数を、電源供給装置(火災報知器のコントロールパネル)に設定されている本来の数にすることができる。
また、本発明によれば、抵抗を用いて、突入電流の電流値を制限しているわけではないので、無駄に消費される電気エネルギーを従来例に比較して低減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による突入電流抑制回路を図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
この図において、突入電流抑制回路1は、ダイオード11、pnp型バイオポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)14、定電流回路12及びスイッチ回路13を有している。ここで、定電流回路12及びスイッチ回路13は電流制御回路を構成している。
ダイオード11は、電源供給装置に並列に接続された際、電子回路の電源ライン6が他の電子回路の電源ラインと分離するために設けられている。
定電流回路12及びスイッチ回路13は、接地点とトランジスタ14のベースとの間に並列に接続されて設けられている。
【0014】
トランジスタ14は、電流抑制回路を構成し、スイッチ回路13がオフ状態の場合、定電流回路12にて設定された定電流により、ベース電流が制限され、このベース電流に対応するコレクタ電流を、制限された定電流として電源ライン6に流す。
また、トランジスタ14は、スイッチ回路13がオン状態の場合、ベース電流がスイッチ回路13を介して接地点に流れるため、ベース電流が制限されなくなり、コレクタとエミッタとの間の電圧差に対応した電流が流れる。
また、電子回路としては、上記突入電流抑制回路1以外に、電源回路2、制御部3、負荷4及びコンデンサ5を有している。
【0015】
上記図1の電子回路は、図示しない電源供給装置に複数並列に接続されて設けられる、例えば火災報知器などであり、負荷4がブザーや光を放射する発光素子及びそれを駆動するための駆動回路などである。この駆動回路は、端子T0及びT1間(A点)に、上記電源供給装置から供給される電力を、負荷4を駆動するための電圧及び電流の値に変換して供給する。
電源回路2は、内部にコンデンサを有しており、内部の制御回路、例えば制御部3が駆動するために必要な電力を供給し、電圧値が低下した場合、端子T0及びT1間に印加される供給電圧により上記コンデンサに対して電気エネルギーを蓄積する。
【0016】
制御部3はCPU及びメモリで構成されたコントローラであり、突入電流抑制回路1が電源ライン6に流す電流を制御するスイッチ回路13をオンオフ制御するとともに、負荷4の駆動を制御する。
コンデンサ5は、負荷4に供給する電気エネルギーを蓄積するために設けられている。このコンデンサ5に電荷を蓄積するために、電源ライン6に突入電流が流れることになる。
【0017】
次に、図1、図2及び図3を用いて、本願発明の一実施形態による突入電流抑制回路の動作を説明する。図2は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示すフローチャートである。また、図3は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示す波形図である。
時刻t0において、ステップS1の動作として、制御部3は駆動状態となることにより、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態にする。
【0018】
時刻t1において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード11を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れると、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
これにより、負荷4に電気エネルギーを供給するコンデンサ5に対して、電気エネルギーとして電荷を蓄積するための電流が、電源供給装置からa点に対して突入電流として流れ込むが、この突入電流が定電流回路12に設定された定電流値により、b点の電流がこの電流値に対応した定電流に制限されることとなる。
【0019】
時刻t2において、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となると、電源供給装置から流れる電流が突入電流の電流値から通常の電流値に遷移する、すなわち、a点に流れる電流値が低下する。
ここで、ステップS2の動作として、制御部3はa点に突入電流が流れ込んでいる状態の期間か否かを判定して、突入電流が流れている期間であることを検出すれば、スイッチ回路13のオフ状態を継続させ、一方、突入電流が流れていない期間であることを検出すれば、スイッチ回路13をオン状態とする処理を行う。
【0020】
時刻t3において、ステップS3の動作として、制御部3は、C点の電圧レベルを制御して、例えば「H」レベルとしてスイッチ回路13をオン状態とする。
これにより、トランジスタ14は、定電流回路12をバイパスして、スイッチ回路13を介してベース電流が接地点に流れるため、定電流値に制限される制御が行われなくなり、コレクタ−エミッタ間の電圧差に応じた電流を電源ライン6に流す。
【0021】
時刻t4において、ステップS4の動作として、制御部3は、負荷4の駆動を行う。これにより、負荷4が駆動することにより消費される電流、すなわちb点に流れる電流に対応した電流がトランジスタ14に流れる。
【0022】
時刻t5において、電源供給装置から所定の電圧の供給を停止する。この時点において、コンデンサ5に蓄積された電荷が負荷4に供給されるため、点bに電流が流れ、コンデンサ5に蓄積された電荷が放電され、B点における電圧が低下する。
【0023】
時刻t6において、ステップS5の動作として、制御部3はA点の電圧レベルが予め設定された電圧以上か否かの検出を行う。ここで、図示されていないが、A点の電圧レベルが予め設定した閾値電圧を超えているか否かを検出するコンパレータなどの電圧検出器がA点に設けられており、このコンパレータの検出結果を入力することにより、制御部3はA点の電位差が予め設定した閾値電圧を超えているか否かの検出を行う(すなわち、外部の電源供給装置からの電力の供給が行われているか否かの検出を行う)。
この閾値電圧は、この電子回路が接続される電源供給装置において、出力電圧が最も低い電圧値の数値として設定することにより、対応する全ての電源供給装置に対して対応可能となる。
【0024】
このとき、制御部3は、A点の電圧が閾値以下(すなわち、電圧が印加されておらず、電力が供給されていない状態)であることを検出すると、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態とする。一方、制御部3は、A点の電圧が閾値を超えていることを検出すると、C点の電圧レベルを制御して、例えば「H」レベルとしてスイッチ回路13をオン状態とする。
この時刻t6において、制御部3は、A点の電圧が閾値電圧以下のため、C点の電圧レベルを制御して、例えば「L」レベルとしてスイッチ回路13をオフ状態とする。
【0025】
時刻t7において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード4を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れる。このとき、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
時刻t8において、時刻t2と同様に、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となり、a点に流れる電流値が低下する。
以下、すでに述べた時刻t1〜時刻t6の動作が繰り返されることとなる。
【0026】
上記ステップS2における突入電流が流れている期間であるか否かの検出は以下のようにして行われる。
・例1
制御部3は、C点の電圧を「L」レベルにした後、すなわちスイッチ回路13をオフ状態としたときから、経過時間をカウントする。そして、制御部3は、予め設定した一定時間を、カウントした経過時間が超えたか否かの検出を行う。
ここで、上記予め設定した一定時間を突入電流が流れている期間とし、一定時間を超えた後を突入電流がながれていない通常の状態とする。
【0027】
・例2
制御部3は、上記一定時間を、C点の電圧を「L」レベルにした時点において、一般に用いられている疑似乱数発生器のアルゴリズムにより疑似乱数を発生し、この疑似乱数に対して、係数を乗算することにより、疑似乱数を時間に変換し、これを一定時間とし、毎回ランダムな時間を突入電流が流れている期間の時間として設定する。この係数は、例えば、疑似乱数の最大値により、突入電流が流れる最大値を除算して求められた数値とすることが考えられる。
これにより、電源供給装置に対して並列に接続されている他の電子回路と、トランジスタ14の定電流の制限を解除する時間を、微妙にずらすことができ、突入電流が継続していた場合にも、その影響を低下させることができる。
【0028】
・例3
制御部3は、C点の電圧を「L」レベルにした時点で、物理乱数を生成して、この物理乱数に係数を乗算して、物理乱数を時間に変換して一定時間とし、毎回ランダムな時間を突入電流が流れている期間の時間として設定する。この係数は、例えば、物理乱数の最大値により、突入電流が流れる最大値を除算して求められた数値とすることが考えられる。
この物理乱数は、例えば、B点の電圧を測定して、小数点以下の所定の桁数における数を用いる。乱数を用いた効果については、すでに述べた例2と同様である。
【0029】
・例4
B点の電圧が予め設定した電圧値としての閾値電圧を超えているか否かの検出結果を出力する電圧比較器を設ける。
そして、制御部3は、上記検出結果により、B点の電圧が閾値電圧以上であるか否かを検出し、スイッチ回路13をオフにしたときから、B点の電圧が閾値電圧以上になったことを検出するまでを、突入電流が流れている期間とし、B点の電圧が閾値電圧以上になったことを検出した以降を、通常の電流が流れる通常状態とする。
【0030】
・例5
a点の電流が予め設定した電流値としての閾値電流以下であるか否かの検出結果を出力する電流比較器を設ける。
そして、制御部3は、上記検出結果により、a点の電流が閾値電流以下であるか否かを検出し、スイッチ回路13をオフにしたときから、a点の電流が閾値電流以下になったことを検出するまでを、突入電流が流れている期間とし、a点の電流が閾値電流以下になったことを検出した以降を、通常の電流が流れる通常状態とする。
【0031】
次に、定電流回路12及びスイッチ回路13による電流制御回路の詳細な構成を以下に説明する。例えば、図4,図5,図6及び図7に示す回路例がある。
・図4の回路例
定電流回路12は定電流ダイオード121により形成されており、スイッチ回路13はnpn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)131及び抵抗132により形成されている。ここで、定電流ダイオード121は、アノードがトランジスタ14のベースに接続され、カソードが接地点に接続されている。また、スイッチ回路13はトランジスタ131のコレクタが抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、トランジスタ131のエミッタが接地点に接続され、トランジスタ131のベースが点Cに接続されている。
【0032】
トランジスタ131のベースに対して、「H」レベルのオン状態とする信号が入力されているとき、トランジスタ131がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗132を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、トランジスタ131のベースに対して、「L」レベルのオフ状態とする信号が入力されているとき、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオードの定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0033】
・図5の回路例
定電流回路12の構成は図4と同様であり、スイッチ回路13は抵抗132と接点スイッチ(例えばリレー)133とから構成されている。接点スイッチ133は一端が抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、他端が接地点に接続されている。この接点スイッチ133は、制御端子がC点に接続されており、制御端子に「H」レベルのオン状態とする電圧レベルの信号が印加されることによりオン状態となり、制御端子に「L」レベルのオフ状態とする電圧レベルの信号が印加されることによりオフ状態となる。
【0034】
したがって、接点スイッチ133の制御端子に対して、「H」レベルのオン状態とする信号が入力されているとき、接点スイッチ133がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗132を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、コレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、接点スイッチ133の制御端子に対して、「L」レベルのオフ状態とする信号が入力されているとき、ベース電流が主に定電流ダイオードの定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0035】
・図6の回路例
スイッチ回路13が図4と同様であり、定電流回路12は、抵抗122及び125、npn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)123及び124から構成されている。
・図7の回路例
定電流回路12が図6と同様であり、スイッチ回路13が図5と同様である。
【0036】
<第2の実施形態>
図8は第2の実施形態の突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
この図において、突入電流抑制回路1は、第1の実施形態と同様に、ダイオード11、pnp型バイオポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)14、定電流回路12及びスイッチ回路13を有している。ここで、定電流回路12及びスイッチ回路13は電流制御回路を構成している。
定電流回路12及びスイッチ回路13は、接地点とトランジスタ14のベースとの間に並列に接続されて設けられている。
また、スイッチ回路13は、初期状態にオフ状態であり、所定の時間が経過した後、オン状態となる構成となっている。
【0037】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、スイッチ回路13の制御を制御部3が行わず、スイッチ回路13内に新たに時定数回路を設け、この時定数回路により突入電流が流れている期間を規定するため、第1の実施形態のように、制御部3及びこの制御部3を駆動するための電源回路2が必要無くなる。図示しないが、この時定数回路は電源が外部の電源供給装置から入力されるごとにリセット(内部のコンデンサが放電)され、初期値から充電されることとなる。
【0038】
次に、図8及び図9を用いて、本願発明の一実施形態による突入電流抑制回路の動作を説明する。図9は、上記実施形態の突入電流抑制回路の動作例を示す波形図である。
時刻t11において、電源供給装置から所定の電圧、例えば20Vの直流電圧が印加されると、ダイオード11を介して、トランジスタ14のエミッタ−ベースにベース電流が流れると、スイッチ回路13がオフ状態であるため、ベース電流が定電流回路12により制限され、この制限されたベース電流に対応した定電流がトランジスタ14に流れる。
これにより、電気エネルギーを蓄積するコンデンサ5に電荷を蓄積するための電流が、電源供給装置からa点に対して突入電流として流れ込むが、この突入電流が定電流回路12に設定された定電流値により、b点の電流が定電流に制限されることとなる。
【0039】
時刻t12において、コンデンサ5に蓄積される電圧(B点の電圧)が電源供給装置から供給される供給電圧と同様となるに従い、電源供給装置から流れる電流が突入電流の電流値から通常の電流値に遷移することとなり、すなわち、a点に流れる電流値が低下する。
スイッチ回路13は、コンデンサ5の蓄積している電圧値(C点の電圧値)に対応してオン/オフ状態が設定されるため、この時点においてオフ状態が継続される。
【0040】
時刻t13において、C点(すなわちB点)の電圧値が予め設定された電圧に上昇し、スイッチ回路13は内部の時定数回路が予め設定された時間を検出することにより、すなわち突入電流が流れていない期間であることを検出してオン状態となり、定電流回路12をバイパスして、スイッチ回路13を介して、トランジスタ14のベース電流を接地点に対して流すことになる。
これにより、トランジスタ14は、スイッチ回路13を介してベース電流が接地点に流れるため、定電流値に制限される制御が行われなくなり、コレクタ−エミッタ間の電圧差に応じた電流を電源ライン6に流す。
【0041】
時刻t14において、負荷4の駆動が開始される。これにより、負荷4が駆動することにより消費される電流、すなわちb点に流れる電流に対応した電流がトランジスタ14に流れる。
以下、すでに述べた時刻t11〜時刻t14の動作が繰り返されることとなる。
【0042】
次に、定電流回路12及びスイッチ回路13による電流制御回路の詳細な構成を以下に説明する。例えば、図10,図11,図12,図13,図14及び図15に示す回路例がある。
・図10の回路例
定電流回路12は定電流ダイオード121により形成されており、スイッチ回路13は抵抗134,136及び137と、npn型バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)135と、コンデンサ138とから形成されている。ここで、定電流ダイオード121は、アノードがトランジスタ14のベースに接続され、カソードが接地点に接続されている。
【0043】
また、スイッチ回路13はトランジスタ135のコレクタが抵抗134を介してトランジスタ14のベースに接続され、トランジスタ135のエミッタが抵抗136を介して接地点に接続されている。
また、電源ライン6と接地点との間に、抵抗137とコンデンサ138とが直列に接続され、時定数回路が構成されており、この抵抗137とコンデンサ138との接続点がトランジスタ135のベースに接続されている。ここで、この時定数回路の時定数(予め設定されたトランジスタ135をオン状態とする電圧がコンデンサ138に蓄積されるまでの時間)が突入電流が流れている期間として設定される。
【0044】
接続点Cは電源ライン6と抵抗137との接続点であり、実質的にB点と同様である。B点の電圧、すなわちコンデンサ5に蓄積された電圧が上昇するに従い、抵抗137を介してコンデンサ138に電荷が蓄積されることになる。
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇する(充電されて上昇)と、トランジスタ135のベースに対してトランジスタ14のベース電流が流れ、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、トランジスタ135のベースに対して、電流が流れない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0045】
・図11の回路例
定電流回路12の構成は図6同様であり、スイッチ回路13は図10と同様である。
したがって、トランジスタ135がオン状態でない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限される。
一方、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
【0046】
・図12の回路例
定電流回路12は図4と同様であり、定電流回路12はツェナーダイオード139及びコンデンサ138から構成され、ツェナーダイオード139に流れる電流にて、コンデンサ138を充電する時定数回路となっている。ここで、トランジスタ135をオン状態とする電圧がコンデンサ138に蓄積されるまでの時間(すなわち時定数)が突入電流が流れている期間として設定される。
また、電源ライン6と接地点との間に、ツェナーダイオード139とコンデンサ138とが直列に接続されており、このツェナーダイオード139とコンデンサ138との接続点、すなわちツェナーダイオード139のアノードがトランジスタ135のベースに接続されている。ツェナーダイオード139のカソードは電源ライン6に接続されている。
【0047】
接続点C、すなわち接続点Bの電圧がツェナーダイオード139のツェナー降伏電圧を超えると、ツェナーダイオード139に電流が流れ、コンデンサ138に対して電荷の蓄積が行われる。
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇する(充電されて上昇)と、トランジスタ135のベースに対してトランジスタ14のベース電流が流れ、トランジスタ135がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、ベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、コレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。
一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、トランジスタ135のベースに対して、電流が流れない場合、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0048】
・図13の回路例
定電流回路12が図4と同様であり、スイッチ回路13が抵抗132及び137と、接点スイッチ133と、コンデンサ138とから構成されている。
ここで、上記接点スイッチ133は、一端が抵抗132を介してトランジスタ14のベースに接続され、他端が接地点に接続されている。この接点スイッチ133は、所定の「H」レベルの電圧が印加されるとオン状態となり、「L」レベルの電圧が印加されるとオフ状態となる。
接続点Cは電源ライン6と抵抗137との接続点であり、実質的にB点と同様である。B点の電圧、すなわちコンデンサ5に蓄積された電圧が上昇するに従い、抵抗137を介してコンデンサ138に電荷が蓄積されることになる。
【0049】
そして、コンデンサ138に蓄積された電荷により、コンデンサ138の電圧が上昇(充電されて上昇)して、「H」レベル、予め設定された接点スイッチ133をオン状態とする電圧(この電圧となるまでの時間が時定数)となると、接点スイッチ133がオン状態、すなわち、スイッチ回路13がオン状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に抵抗134及び136を介して接地点に流れ、トランジスタ14に流れる電流(コレクタ−エミッタ間電流)が制限されず、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間電圧に応じて流れる。一方、コンデンサ138に充電される電圧が低く、「L」レベルであると、接点スイッチ133はオフ状態となり、トランジスタ14のベース電流が主に定電流ダイオード121の定電流値に制限され流れるため、トランジスタ14のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も、この定電流値に対応した定電流に制限されることになる。
【0050】
・図14の回路例
定電流回路12は図6と同様であり、スイッチ回路13は図13と同様である。
・図15の回路例
定電流回路12は図4と同様であり、スイッチ回路13は図12と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の突入電流抑制回路1の動作例を説明するフローチャートである。
【図3】図1の突入電流抑制回路1の動作例を説明する波形図である。
【図4】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図5】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図6】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図7】図1における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による突入電流抑制回路1を用いた電子回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8の突入電流抑制回路1の動作例を説明する波形図である。
【図10】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図11】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図12】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図13】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図14】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【図15】図8における突入電流抑制回路1の構成例を示す回路の概念図である。
【符号の説明】
【0052】
1…突入電流抑制回路
2…電源回路
3…制御部
4…負荷
5,138…コンデンサ
6…電源ライン
11…ダイオード
12…定電流回路
13…スイッチ回路
14…トランジスタ(pnp型バイポーラトランジスタ)
121…定電流ダイオード
122,125,132,134,136,137…抵抗
123,124,131,135…トランジスタ(npn型バイポーラトランジスタ)
133…接点スイッチ
139…ツェナーダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、
前記電源ラインに直列に介挿され、前記電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、
該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部と
を有することを特徴とする突入電流抑制回路。
【請求項2】
前記電流抑制部が、バイポーラトランジスタにて構成されていることを特徴とする請求項1記載の突入電流抑制回路。
【請求項3】
前記電流制御部が、前記バイポーラトランジスタのベース電流を制御することにより、バイポーラトランジスタに流れる電流を、予め設定した定電流値として制限する制御を行うことを特徴とする請求項2記載の突入電流抑制回路。
【請求項1】
外部の電源供給装置から電源が供給される際の突入電流を抑制するため、電子回路の電源ラインに設けられる突入電流抑制回路であり、
前記電源ラインに直列に介挿され、前記電源供給装置からの突入電流を抑制する電流抑制部と、
該電流抑制部に対して、突入電流が流れている期間、電源ラインに流れる電流を、予め設定された定電流値に制限する制御を行い、通常電流が流れる期間、該電流を制限する制御を解除する電流制御部と
を有することを特徴とする突入電流抑制回路。
【請求項2】
前記電流抑制部が、バイポーラトランジスタにて構成されていることを特徴とする請求項1記載の突入電流抑制回路。
【請求項3】
前記電流制御部が、前記バイポーラトランジスタのベース電流を制御することにより、バイポーラトランジスタに流れる電流を、予め設定した定電流値として制限する制御を行うことを特徴とする請求項2記載の突入電流抑制回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−289214(P2008−289214A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129044(P2007−129044)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000105660)コビシ電機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000105660)コビシ電機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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