説明

窓接続枠のシール構造

【課題】窓サッシのアングル枠と窓接続枠とを確実に密封できるシール効果の高い窓接続枠のシール構造の提供を目的とする。
【解決手段】窓サッシ20には、その周方向に沿うアングル枠20Bが内壁側に向けて突出して形成され、窓接続枠101には開口部22の各辺に沿う平板部25を有する複数の枠部材23が設けられるとともに、各枠部材23における平板部25の前端部25Aがアングル枠20Bと開口部22との間に入り込んでおり、これら窓サッシ20のアングル枠20Bと枠部材23における平板部25の前端部25Aとの間には、その間を密封するシール部材33が設けられ、該シール部材33は、アングル枠20Bと平板部25の前端部25Aとの間に配置されてこれらの間に間隙32を形成するスペーサ34と、その間隙32内に充填されるシーリング材35とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室の出窓等に用いられ、室内壁と窓サッシとを接続する窓接続枠のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の出窓等に用いられる窓サッシには様々な形状寸法のものがあるため、設置される窓サッシの形状に沿うように複数の枠部材を施工現場において組み立てることで造形される窓接続枠により、内壁の窓用開口部と、外壁に設けられる窓サッシとの間を接続するようになっている。このような窓接続枠は、複数の枠部材とこれらを連結する連結部材とから構成されている。例えば、上枠部材と左右の縦枠部材及び下枠部材からなる4つの枠部材の突合わせ端部を4個のコーナージョイント部材でそれぞれ連結した後、各枠部材の前面を長尺状の前面カバーで覆うようにして組み立てられる窓接続枠が開示されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−148061号公報
【特許文献2】特開平11−131913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した窓接続枠を建物躯体の開口部内に設置する場合、例えば図5に示すような構造とされる。この図に示される窓接続枠10は、建築物躯体1の窓用開口部2に枠部材3を嵌め込み、この枠部材3に、窓サッシ4の構成部材の一部であるアングル枠5をネジ6で固定したものであり、その際、窓サッシ4のアングル枠5と枠部材3との間は、防水のためにシーリング材7により密封する必要がある。しかしながら、このシーリング材7は、互いに直角となるように配置された枠部材3の上面と、窓サッシ4のアングル枠5の突出部側面5Aに密着されるものであり、経年変化又は外的な要因によって剥がれるおそれがある。
【0004】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、窓サッシのアングル枠と枠部材とを確実かつ長期にわたり密封できるシール効果の高い窓接続枠のシール構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、建築物躯体の開口部における外壁側に取り付けられる窓サッシと、該開口部の内壁側から開口部内に嵌め込まれる窓接続枠との間を密封する窓接続枠のシール構造であって、前記窓サッシには、その周方向に沿うアングル枠が内壁側に向けて突出して形成され、前記窓接続枠には前記開口部の各辺に沿う平板部を有する複数の枠部材が設けられるとともに、各枠部材における平板部の前端部が前記アングル枠と開口部との間に入り込んでおり、これら窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間には、その間を密封するシール部材が設けられ、該シール部材は、窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間に配置されてこれらの間に間隙を形成するスペーサと、該スペーサによって形成された前記間隙内に充填されるシーリング材とから構成されていることを特徴とする。
【0006】
すなわち、窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間に、シール部材のスペーサを介在させることで、これらアングル枠の外周面と枠部材の前端部との間に一定の間隙を形成することができ、この間隙を経由して内部にシーリング材を容易かつ確実に充填することができる。また、このように充填されたシーリング材は、アングル枠と枠部材の前端部との間隙から内部に入り込んだ状態となるので、剥がれ難くなる。
【0007】
また、本発明のシール構造において、前記スペーサは、窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間に介在する硬質のブロック部材と、該ブロック部材と一体に形成され前記枠部材よりも前方位置で窓サッシと建築物躯体との間を密封する弾性シール材とから構成されている構成としてもよい。
このような構成とすることにより、シーリング材のさらに内側にスペーサの弾性シール材によっても密封されるので、窓サッシと枠部材との間が二重に密封されることになる。
【0008】
さらに、前記スペーサのブロック部材は、前記枠部材における平板部の内周面から前端面にかけて係止される鉤状に形成されている構成としてもよく、枠部材に係止されることによりブロック部材の固定位置が決まるので、アングル枠の内方端からブロック部材までの奥行き寸法を一定にすることができ、その間に一定量のシーリング材を確実に充填することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の課題解決手段に示される窓接続枠のシール構造によれば、シーリング材が剥がれ難くなるので、シール効果を長期にわたり維持することが可能となる。これにより建築物躯体の開口部内壁に嵌め込まれた枠部材と外壁側の窓サッシとの隙間を確実に密封することができる。
また、スペーサに弾性シール材を一体に設けた構成とすることにより、枠部材と窓サッシとの隙間を二重に密封することができ、密封性を更に高めることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図1から図4に基づいて説明する。
図1は本発明を浴室の出窓構成に適用した場合の浴室内部を示すもので、建築物躯体100の外壁21A側に設けられる(図2参照)窓サッシ20と、内壁21B側に形成された窓用開口部22内に内側から嵌め込まれる窓接続枠101とが設けられている。開口部22の形状は、窓サッシ20の形状に即して例えば四角形状とされており、開口部22の内周全面を覆うようにして窓接続枠101が設置されている。
【0011】
窓サッシ20は、図2及び図3に示すように、窓サッシ本体20Aと、窓サッシ本体20Aの内面側に周方向に沿って固定されて開口部22内に突出するアングル枠20Bと、窓サッシ本体20Aを支持して建築物躯体100に固定するための支持部材20Cとを有するものであって、窓サッシ20のアングル枠20Bを介して、窓サッシ本体20Aと窓接続枠101とが連結される。
窓接続枠101は、開口部22の各面に配置される四つの枠部材23(図2には一つのみ図示)が四角形の枠状に連結されるとともに、各枠部材23の浴室側となる前面を隠すようにしてそれぞれに化粧板としての複数の前面カバー24が被せられた構成とされている。
【0012】
この枠部材23は、押出成形によって形成されており、開口部22の各内面を覆う平板部25と、該平板部25の内壁側であってその内側端縁部から外方へと垂直に延出するフランジ部26とを備えている。このフランジ部26は、開口部22の周縁に係止された状態で、ネジ止め(ネジを符号27で示す)或いは接着剤による接着、又はその両方を併用することにより内壁21Bに固定される。また、このフランジ部26は一対の係止リブ28を有し、これら係止リブ28に、前面カバー24の係止部29が係止されることによって、前面カバー24がフランジ部26に取り付けられる。
【0013】
次に、図3及び図4を参照して窓接続枠101のシール構造について説明する。
まず、図3に示される窓サッシ本体20Aの内側部に配置されるアングル枠20Bは、枠部材23の平板部25における前端部25Aの幅方向(すなわち、窓サッシ20の周縁方向)に沿うように長尺に形成され、かつ四角形状に形成された開口部22内を内壁方向に向けて突出するように窓サッシ本体20Aに水平配置されたものであって、このアングル枠20Bには、該アングル枠20Bを枠部材23の平板部25に固定するためのネジ31が、アングル枠20Bの長さ方向に間隔をおいて複数締結されている(図3では一つのネジのみ図示)。
【0014】
また、アングル枠20Bのネジ31が取り付けられる箇所は、図4(a)(b)に示されるように下方に突出した突出部20aとされるとともに、該突出部20aに皿孔20bが形成された構成とされており、突出部20aの下端は、後述するスペーサに接触している。また、アングル枠20Bの内側端部は内方(図3の上方)及び外方(図3の下方)に突出した断面T字状の突出部20cとなっている。
【0015】
そして、枠部材23における平板部25の前端部25Aと、窓サッシ20のアングル枠20Bとの間には、これらの間隙32を密封するシール部材33が設けられている。このシール部材33は、スペーサ34と、シーリング材35とからなるものであって、スペーサ34はさらに硬質のブロック部材36と、弾性シール部材37とが一体に形成され、該スペーサ34のブロック部材36の介在により、窓サッシ20のアングル枠20Bと、平板部25の前端部25Aとの間に間隙32を形成し、その間隙32内にシーリング材35が充填された構成である。
【0016】
スペーサ34のブロック部材36は、枠部材23における平板部25の内面25Cから前端面25Bに至って屈曲した断面L字形の鉤状に形成され、かつ平板部25の前端部25Aの幅方向(すなわち、窓サッシ20の周縁方向)に沿って長尺に設けられている。また、弾性シール部材37は、ブロック部材36において窓サッシ20の支持部材20Cと対向する前面36Aに長さ方向にわたって一体に形成されている。
【0017】
前記弾性シール材37は断面U字状に湾曲した形状に形成され、その湾曲面の頂部が、建築物躯体100上に窓サッシ本体20Aを支持する支持部材20Cに接触し、この支持部材20Cとの間をシールしている。なお、スペーサ34のブロック部材36は硬質樹脂によって形成され、弾性シール材35は軟質樹脂によって形成されるが、これらは押出成形のいわゆる二色成形によって一体に形成されている。
なお、本発明においては、スペーサ34のブロック部材36の形状は、平板部25の内面25Cから前端面25Bに至り、さらに前端面25Bから平板部25の外面25Dにまで至るまでの断面コ字状形の鉤状としても良く、また、シーリング材35だけで十分なシール効果が得られるのであれば、スペーサ34を、平板部25の内面25Cに接する部分だけとし、該スペーサ34において平板部25の前端面25Bに接する部分及び弾性シール材37を省略しても良い。
【0018】
前記シーリング材35は、アングル枠20Bの内側端部の突出片20bと窓接続枠101における平板部25の前端部25Aとの間隙32から内部に充填されており、その間隙32からスペーサ34におけるブロック部材36の後端面36Bまでの間で盛り上がるように入り込んでいるとともに、アングル枠20Bの突出片20bの端面では枠部材23における平板部25までの間を埋める断面三角形状となるように設けられている。
【0019】
なお、このシーリング材35は、アングル枠20Bの下面、スペーサ34におけるブロック部材36の後端面36B、平板部25の前端部25A上面とで囲まれる間隙32が全て埋まるように充填しても良い。
また、ブロック部材36の後端面36Bから離れた位置において、アングル枠20Bの下面と平板部25の前端部25Aの上面との間をシールしても良いが、隙間32の奥にブロック部材36を介在させることにより、その後端面36Bまでの奥行き寸法が一定寸法に定まるので、バックアップ材の役目を果たし、その後端面36Bまで常に一定量のシーリング材35を充填することができる。
【0020】
以上のように構成された窓接続枠101のシール構造によれば、窓サッシ20のアングル枠20Bと、枠部材23における平板部25の前端部25Aとの間に、シール部材33のスペーサ34を介在させることで、これら窓サッシ20のアングル枠20Bと、平板部25の前端部25Aとの間に一定の間隙32を形成することができ、この間隙32の内部へシーリング材35を容易かつ確実に充填することができる。その際、シーリング材35は、間隙32を形成するアングル枠20Bの外周面と、平板部25の前端部25Aの内面との間で挟み込まれるようになるので、シーリング材35が剥がれ難く、図5に示す従来のシーリングと比較して高いシール効果を長期にわたり維持することができる。これにより建築物躯体100の開口部22の外壁21A側に取り付けられる窓サッシ20と、開口部22の内壁21B側から嵌め込まれた枠部材23との間隙32を確実に密封することができる。
【0021】
また、上記窓接続枠101のシール構造では、窓サッシ20の一構成部材である支持部材20Cと対向するスペーサ34におけるブロック部材36の前面側36Aに、支持部材20Cとの間隙32を密封する弾性シール材37を更に設けたことにより、この弾性シール材37と前述の充填したシーリング材35とによって枠部材23と窓サッシ20との隙間を二重に密封することができ、密封性を更に高めることができるという効果が得られる。
【0022】
また、上記窓接続枠101のシール構造では、アングル枠20Bと枠部材23の平板部25との間にスペーサ34におけるブロック部材36を介在させた後にシーリング材35を充填するようにしているので、スペーサ34の分、間隙32のシールに要するシーリング材35の使用量を減らすことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る窓接続枠のシーリング構造を浴室の出窓構成に適用した実施形態を示す浴室内部の斜視図である。
【図2】図1の窓接続枠から窓サッシの部分を示す縦断面図である。
【図3】図2のシーリング部分の拡大断面図である。
【図4】窓サッシのアングル枠のネジ取付け孔の部分を示す図であり、(a)が上側から見た斜視図、(b)が下側から見た斜視図である。
【図5】従来の窓接続枠のシール構造を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0024】
20…窓サッシ、20A…窓サッシ本体、20B…アングル枠、20C…支持部材、21A…外壁、21B…内壁、22…開口部、23…枠部材、25…平板部、25A…前端部、25B…前端面、25C…内面、32…間隙、33…シール部材、34…スペーサ、35…シーリング材、36…ブロック部材、36A…前面、36B…後端面、37…弾性シール材、100…建築物躯体、101…窓接続枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物躯体の開口部における外壁側に取り付けられる窓サッシと、該開口部の内壁側から開口部内に嵌め込まれる窓接続枠との間を密封する窓接続枠のシール構造であって、
前記窓サッシには、その周方向に沿うアングル枠が内壁側に向けて突出して形成され、前記窓接続枠には前記開口部の各辺に沿う平板部を有する複数の枠部材が設けられるとともに、各枠部材における平板部の前端部が前記アングル枠と開口部との間に入り込んでおり、これら窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間には、その間を密封するシール部材が設けられ、
該シール部材は、窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間に配置されてこれらの間に間隙を形成するスペーサと、該スペーサによって形成された前記間隙内に充填されるシーリング材とから構成されていることを特徴とする窓接続枠のシール構造。
【請求項2】
前記スペーサは、窓サッシのアングル枠と枠部材における平板部の前端部との間に介在する硬質のブロック部材と、該ブロック部材と一体に形成され前記枠部材よりも前方位置で窓サッシと建築物躯体との間を密封する弾性シール材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の窓接続枠のシール構造。
【請求項3】
前記スペーサのブロック部材は、前記枠部材における平板部の内周面から前端面にかけて係止される鉤状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の窓接続枠のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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