説明

窓接続枠

【課題】良好な見栄え性を確保しつつ生産性及び施工性に優れた窓接続枠を提供する。
【解決手段】外壁に設けられた窓サッシュ側から内壁に向けて延出する基板部10と、該基板部10の内側端縁部から垂直に延出し、内壁に形成された窓用開口の周縁に係止されるフランジ部11とからなり、複数のもので窓用開口の全周を覆う窓枠構成部材3と、隣り合う窓枠構成部材3の突き合わせ端部を連結するコーナー部材と、フランジ部11の前面に取り付けられる前面カバー8とから構成される窓接続枠であって、前面カバー8は、フランジ部11に対する取り付け方向を反転させることで、その前面8bの突出高さが変更可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室の出窓等に用いられ、室内壁と窓サッシュとを接続する窓接続枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の出窓等に用いられる窓サッシュには様々な形状寸法のものがあるため、設置される窓サッシュの形状に沿うように複数の窓枠構成部材を施工現場において組み立てることで造形される窓接続枠により、内壁の窓用開口と、外壁に設けられる窓サッシュとの間を接続するようになっている。このような窓接続枠は、複数の窓枠構成部材とこれらを連結する連結部材とから構成されている。例えば、上枠部材と左右の縦枠部材及び下枠部材からなる4つの窓枠構成部材の突合わせ端部を4個のコーナジョイント部材でそれぞれ連結した後、各窓枠構成部材の前面を長尺状の前面カバーで覆うようにして組み立てられる窓接続枠が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−148061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、枠組みされた窓枠構成部材の浴室側の前面に前面カバーを覆設することにより、浴室からの良好な見栄え性を確保している。前面カバーとしては、縦枠部材用及び横枠部材(上枠部材及び下枠部材)用として、別形状に形成されることが多く、例えば、横枠部材に設けられる前面カバーよりも縦枠部材に設けられる前面カバーの方が浴室側に突出するような形状にする場合がある。これにより、横枠部材に設けられる前面カバーの両側の開口端部が左右の縦枠部材に設けられる前面カバーの側面によって確実に閉塞させるとともに、浴室内からの見栄え性が良好となる。
【0004】
しかしながら、上記構造では、別形状の前面カバーをそれぞれ製造する必要があるため製造コストが増大してしまう。また、施工現場で縦枠部材及び横枠部材に対応する前面カバーを見分けながらそれぞれの前面カバーに寸法加工を施すことになるので、作業性の向上を図る際の妨げとなる虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、良好な見栄え性を確保しつつ生産性及び施工性に優れた窓接続枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記目的を達成するために、まず請求項1の発明は、外壁に設けられた窓サッシュ側から内壁に向けて延出する基板部と、該基板部の内側端縁部から垂直に延出し、内壁に形成された窓用開口の周縁に係止されるフランジ部とからなり、複数のもので窓用開口の全周を覆う窓枠構成部材と、隣り合う窓枠構成部材の突き合わせ端部を連結する連結部材と、フランジ部の前面に取り付けられる前面カバーとから構成される窓接続枠であって、前面カバーは、フランジ部に対する取り付け方向を反転させることで、その前面の突出高さが変更可能とされていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に係る発明において、前面カバーは、フランジ部の前面を覆蓋する蓋部と、該蓋部の両端から垂直に起立する第1係止板部及び第2係止板部とから断面視略コ字状を呈してなるもので、第2係止板部よりも第1係止板部の方が突出するように構成され、これら第1係止板部及び第2係止板部でフランジ部の前面に設けられているカバー取付部を挟み込むようにしてフランジ部に取り付けられるようになされており、その際に、フランジ部の前面における基板部側に設けられた当接部に第1係止板部を当接させると、前面カバーの前面の突出高さが高くなり、当接部に第2係止板部を当接させると、前面カバーの前面の突出高さが低くなることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、第1係止板部及び第2係止板部は、先端側に、互いに対向するように係止爪をそれぞれ備えており、これら係止爪を、前面カバーの取り付け方向にかかわらず係止可能な係止部がカバー取付部の側部に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、隣り合う前面カバーのうちの一方の前面カバーの開口端部は他方の前面カバーで閉塞される一方、他方の前面カバーの開口端部は連結部材の一端に設けられた閉塞部によって閉塞されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、フランジ部に対する前面カバーの取り付け方向を反転させるだけで前面カバーの前面の突出高さが変更可能となっていることから、例えば、上下の窓枠構成部材に設けられる前面カバーよりも左右の窓枠構成部材に設けられる前面カバーの前面の方が突出するように設けることができ、これにより段差を生じさせて良好な見栄え性を確保することができる。また、同種の前面カバーを長さのみ調整することで各窓枠構成部材に共通して用いることができることから、前面の突出高さの異なる前面カバーを用意する必要がなく、生産性の向上とともに製造コストの削減を実現することができる。さらに、現場において窓枠構成部材毎に前面カバーを見分ける必要がなくなるため、現場での組立作業が容易となって施工効率を向上させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、前面カバーをフランジ部に取り付ける際に、前面カバーの第1係止板部及び第2係止板部のどちらをフランジ部の当接部に当接させるようにするかによって前面カバーの前面の突出高さを容易に変更することができる。さらに、同種の前面カバーで各窓枠構成部材毎に前面カバーの前面の突出高さを調整でき、完成する窓接続枠の見栄え性を考慮して覆設することができる。また、第1係止板部または第2係止板部をフランジ部の当接部に当接させることによって、窓枠構成部材と前面カバーとの隙間をなくすことができるため、水密性を良好に保つことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、第1係止板部及び第2係止板部の先端側に設けられた係止爪をカバー取付部の側部に形成された係止部に係止させることによって、窓枠構成部材に対する前面カバーの取り付け方向に係わらず取り付け状態を確実に維持することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、隣り合う前面カバーのうちの一方の前面カバーの開口端部が他方の前面カバーで閉塞され、他方の前面カバーの開口端部が連結部材の一端に設けられた閉塞部によって閉塞されることから、それぞれの前面カバーの開口端部を確実に閉塞することができるので、良好な水密性を得ることができるとともに見栄え性も確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態を図1から図6を参照して以下に説明する。
図1は、本実施形態の窓接続枠を浴室の出窓構成に適用した場合の浴室内部を示すもので、外壁に設けられる窓サッシュ100と、内壁101に形成された窓用開口102とを繋ぐように窓接続枠1が設けられている。
【0015】
窓用開口102の形状は、窓サッシュ100の形状に即して例えば四角形状とされており、窓用開口102の全周を覆うようにして窓接続枠1が設置されている。窓接続枠1は、窓用開口102の各辺に配置される4つの窓枠構成部材3(図1において2つのみ図示)と、これら窓枠構成部材3の突き合わせ端部同士を連結するコーナー部材6,7(連結部材)と、各窓枠構成部材3の前面を隠すようにしてそれぞれに覆設される複数の浴室側となる前面カバー8とを備えてなるものである。
【0016】
窓枠構成部材3は、押出成形によって形成されており、窓サッシュ100と窓用開口102とを繋ぐ役割を果たす平板状の基板部10と、該基板部10の一端側であってその内側端縁部から外方へと垂直に延出する図2に示すフランジ部11とを備えており、該フランジ部11が窓用開口102の周縁に係止された状態で、ビス止め或いは接着剤による接着、又はその両方を併用することにより内壁101に固定されるようになっている。
【0017】
基板部10は、図3示すように、その裏面10b側に、フランジ部11の長手方向に沿って延在する突出形状の補強用リブ12が一体的に形成されており、このような補強用リブ12がフランジ部11側の一端から他端にかけて、すなわちフランジ部11に対して垂直な方向に所定間隔をおいて複数配設されている。これら補強用リブ12は、裏面10bから起立する基部13の先端縁から幅方向両側に垂直に張り出す先端部14を有しており、これによって、両隣の補強用リブ12と基板部10との間に嵌合溝15が形成されることになる。ここで、フランジ部11から最も遠い端部側に配置される補強用リブ12の先端部14は、基部13の端縁から片側(隣り合う補強用リブ12側)のみに張り出すように形成されている。
【0018】
さらに、基板部10の裏面10bには、上記補強用リブ12と平行な凹溝16が、フランジ部11に対して垂直な方向に多数形成されている。この凹溝16は、各々の補強用リブ12の先端面中央にも設けられていて、これら補強用リブ12の配列方向に沿って一定の間隔(例えば1cm間隔)で連続形成されている。しかしながら、同図に示すように、凹溝16は、裏面10bにおけるフランジ部11側の端部からフランジ部11に最も近い位置に配設されている補強用リブ12までの間には設けられていない。つまり、これら凹溝16は、施工時において、各窓枠構成部材3の基板部10の長さ、すなわち窓用開口102の奥行きに合わせてその寸法を調整する際に、余剰長を切断するための目盛り(目安)の役割を果たすものであって、切断の可能性のある部分にのみ形成されている。また、この凹溝16にカッターの刃を差し込んでその凹部に沿ってカッターを引くことにより、該凹溝16がガイドとなって、真っ直ぐ且つ容易に基板部10を切断することができる。
【0019】
フランジ部11は、その前面11bに、後述する前面カバー8を取り付けるための第1カバー取付部20を備えている。この第1カバー取付部20は、前面11bから垂直に起立する第1係止リブ21及び第2係止リブ22からなるもので、これら第1係止リブ21及び第2係止リブ22は、前面11b(フランジ部11)の長手方向に延在するとともに互いに所定間隔をおいて平行をなし、第2係止リブ22のフランジ部11とは反対の端面22bよりも第1係止リブ21のフランジ部11とは反対の端面21bの方が突出するように、互いの突出量を異ならせている。
【0020】
第1係止リブ21は、フランジ部11の端縁部に配置され、対向する第2係止リブ22とは反対側の側部に外方へと突出する二つの係止凸部24,24を有している。これら係止凸部24,24は、側断面視略三角形状を呈するもので第1係止リブ21の先端から基部側に向かって連設されている。一方、第2係止リブ22は、前面11bにおける基板部10側の端部から若干内側に配置されており、対向する第1係止リブ21とは反対側の側部から外方に突出する係止凸部24を一つ有している。この係止凸部24は、上記第1係止リブ21の係止凸部24と同様の形態をなすもので、第1係止リブ21の先端側に設けられている。
【0021】
このように配設された係止凸部24によって、第1係止リブ21に一対の係止部26,26が形成され、第2係止リブ22に一ヶ所の係止部25が形成される。また、上記では、第2係止リブ22をフランジ部11の前面11bにおける基板部10側の端部から若干幅方向内側に配設してあるが、この前面11bにおける基板部10側の端部には、前面11bよりも基板部10側に低く形成された当接面27(当接部)が前面11bと平行に設けられている。
【0022】
フランジ部11の裏面側には、半球状の先端を有した突起部29が突設されている。この突起部29は、フランジ部11の基板部10からの延出方向において、上述した補強用リブ12の先端部14の位置と同一位置とされている。これによって、最もフランジ部11側に位置する補強用リブ12とフランジ部11との間にも嵌合溝15が形成されることになる。
【0023】
図4及び図5に示すコーナー部材6,7は、窓用開口102の各コーナー部分に位置し、各窓枠構成部材3同士の突き合わせ端部を連結するもので、互いに対称的な形状を呈するもので対角同士に一組ずつ配設される。コーナー部材6は、図1に示すように、窓用開口102の左下のコーナーに位置して左側用の窓枠構成部材3と下側用の窓枠構成部材3との突合せ端部を連結するよう構成されているとともに、窓用開口102の右上のコーナー部に位置して右側用の窓枠構成部材3と上側用の窓枠構成部材3との突き合わせ端部を連結するよう構成されている。一方、コーナー部材7は、窓用開口102の右下のコーナーに位置して右側用の窓枠構成部材3と下側用の窓枠構成部材3との突き合わせ端部を連結するよう構成されているとともに、窓用開口102の左上のコーナーに位置して左側用の窓枠構成部材3と上側用の窓枠構成部材3との突き合わせ端部を連結するよう構成されている。
【0024】
このようなコーナー部材6,7は、図4及び図5に示すように、連結部31と閉塞キャップ32とからなっており、射出成形により一体成形されている。連結部31は、窓枠構成部材3の基板部10に沿って延出する角柱状の軸部31bと、該軸部31bの周方向で隣り合う2つの側部からそれぞれ垂直に起立して互いに直角を成す連結片34とを備えている。連結片34は、軸部31bの長手方向に沿って複数並設され、それぞれが上記嵌合溝15内に挿入されるようになっている。これにより、コーナー部材6,7の窓枠構成部材3への結合状態が向上し、枠組みされた窓接続枠1の構築状態を安定的に維持することができる。
【0025】
閉塞キャップ32は、軸部31bの一端側に垂直姿勢で設けられ、平面視において上述した互いに直角をなす連結片34とは重なる部分がないように、これら連結片34のそれぞれの起立方向とは相反する方向へと延出する板部35と、該板部35の前面35bに設けられている第2カバー取付部36と、板部35の側縁部から垂直に起立する閉塞板37(閉塞部)とから構成され、窓用開口102のコーナー周縁に係止されるようになっている。
【0026】
第2カバー取付部36は、上記第1係止リブ21及び第2係止リブ22と同形状を呈する第1嵌合リブ38及び第2嵌合リブ39からなり、板部35の前面35bから垂直に起立するとともに互いに所定間隔をおいて平行に配置され、第2嵌合リブ39の端面39bよりも第1嵌合リブ38の端面38bの方が突出するように互いの突出量を異ならせている。
【0027】
第1嵌合リブ38は、板部35の軸部31b側とは反対側の側縁部に配置され、対向する第2嵌合リブ39とは反対側の側部に上記係止凸部24と同形状の係止凸部24を二つ有しており、これら係止凸部24,24を第1嵌合リブ38の先端から前面35b側に向かって連設することによって、各係止凸部24,24における前面11b側に係止部48,48を形成する。
【0028】
一方、第2嵌合リブ39は、板部35の前面35bにおける軸部31b側の側縁部から若干内側に配置されており、対向する第1嵌合リブ38とは反対側の側部の先端側に係止凸部24を一つ有している。この係止凸部24は、第2嵌合リブ39の先端に設けられており、上記係止部48とともに前面カバー8の取り付けを可能にする係止部49を形成する。これら第1嵌合リブ38及び第2嵌合リブ39の一端側が長方形状の閉塞板37によって連結されている。さらに、板部35の前面35bにおける軸部31b側の端部には、第2嵌合リブ39に隣接して前面35bよりも軸部31b側に低く形成された当接面40(当接部)が設けられている。
【0029】
上記のように構成されたコーナー部材6,7の連結片34を、各窓枠構成部材3の嵌合溝15内に挿入させながら組み立てることにより、各窓枠構成部材3をそれぞれ連結することができる(図2参照)。このとき、各コーナー部材6,7の第2カバー取付部36と、左右の窓枠構成部材3の第1カバー取付部20とが連続する形状となる。つまり、左側用の窓枠構成部材3及び右側用の窓枠構成部材3の第1係止リブ21の延長上にコーナー部材6,7の第1嵌合リブ38が延在するとともに、両窓枠構成部材3の第2係止リブ22の延長上にコーナー部材6,7の第2嵌合リブ39が延在する。さらに、互いの当接面27,40までもが面一となることにより、左右の窓枠構成部材3の第1カバー取付部20に前面カバー8を取り付けるのと同時に、これら窓枠構成部材3の両端側に存在するコーナー部材6,7の第2カバー取付部36にも後述の前面カバー8の取り付けを可能にする。
【0030】
前面カバー8は、図6に示すように、フランジ部11の前面11bを覆蓋する蓋部43と、該蓋部43の幅方向両端縁部から垂直に起立する第1係止板部44及び第2係止板部45とから側断面視略コ字状を呈してなるもので、第2係止板部45よりも第1係止板部44の方が蓋部43から突出するように構成されている。これら第1係止板部44及び第2係止板部45の先端側には、互いに対向する係止爪46,46をそれぞれ備えており、これら第1係止板部44及び第2係止板部45でフランジ部11の第1カバー取付部20を挟み込むようにして窓枠構成部材3に取り付けられる。その際、前面カバー8の第1係止板部44及び第2係止板部45の係止爪46,46が、第1係止リブ21の係止凸部24及び第2係止リブ22の先端側の係止凸部24を乗り越えて、対応する係止部25,26へと弾性的に係合することでフランジ部11へと装着されるようになっている。
【0031】
同時に、この前面カバー8は、コーナー部材6,7の第2カバー取付部36にも取り付け可能となっており、第1係止板部44及び第2係止板部45でこの第2カバー取付部36を挟み込むようにして設けられる。その際、前面カバー8の第1係止板部44及び第2係止板部45の係止爪46,46が、第1嵌合リブ38の係止凸部24及び第2嵌合リブ39の先端側の係止凸部24を乗り越えて、対応する係止部48,49へと弾性的に係合することで、フランジ部11と同時にコーナー部材6,7へと装着される。
【0032】
また、この前面カバー8には、蓋部43の内面側から所定の突出高さで突出する凸部51が第1係止板部44側に設けられている。前面カバー8は、フランジ部11に対する取り付け方向を反転させた状態でも、フランジ部11の第1カバー取付部20に取り付けることが可能となっており、前面カバー8をフランジ部11に取り付けた際に、凸部51の先端が第1係止リブ21の端面21b或いは第2係止リブ22の端面22bのいずれかに当接することによって、装着時に前面カバー8の蓋部43をフランジ部11の前面11bに対して平行となるように保持することができる。
【0033】
なお、フランジ部11の係止部25,26及びコーナー部材6,7の係止部48,49は、前面カバー8のフランジ部11への取り付け方向に係わらず係止爪46,46を係止可能となっており、前面カバー8を反転させてフランジ部11及びコーナー部材6,7へ取り付けた場合にも良好な嵌合状態が得られる。
【0034】
次に、前面カバー8の取付例について主に図6を参照して説明する。
まず、図6(a)に示されるように、フランジ部11に前面カバー8を取り付ける際に、前面カバー8の第1係止板部44の先端をフランジ部11の当接面27に当接させるように取り付けると、第1係止板部44の係止爪46が第2係止リブ22の係止部25に係止されるとともに、第2係止板部45の係止爪46が第1係止リブ21の係止部26に係止されることになる。同時に、前面カバー8の凸部51が第1係止リブ21の端面21bに当接し、前面カバー8の蓋部43がフランジ部11に対して平行な姿勢で保持される。またこのとき、前面カバー8の第1係止板部44の側面44bと基板部10の10cとが面一状態となり、窓接続枠1内の見栄え性及び残水の排水性を良くしている。
【0035】
また、上記とは反転して図6(b)に示されるように、前面カバー8の第2係止板部45の先端をフランジ部11の当接面27に当接させるように取り付けると、第2係止板部45の係止爪46が第2係止リブ22の係止部25に係止されるとともに、第1係止板部44の係止爪46が第1係止リブ21の奥側の係止部26に係止されることになる。同時に、前面カバー8の凸部51が第2係止リブ22の端面22bに当接し、前面カバー8の蓋部43がフランジ部11に対して平行な姿勢で保持される。また、このとき、前面カバー8の第2係止板部45の側面45bと、基板部10の10cとが面一状態となり、窓接続枠1内の見栄え性及び残水の排水性を良くしている。
【0036】
ここで、図6(a)及び図6(b)からも明らかなように、第1係止板部44を当接面27に当接させると、第2係止板部45を当接面27に当接させた場合よりも前面カバー8の前面8bの突出高さが高くなり、逆に、第2係止板部45を当接面27に当接させると、第1係止板部44を当接面27に当接させた場合よりも前面カバー8の前面8bの突出高さが低くなることがわかる。このように、前面カバー8は、フランジ部11に対する取り付け方向を反転させるだけでその前面8bの突出高さを容易に変更することができるとともに、各窓枠構成部材3に共通して用いることができる利便性の高い構成となっている。
【0037】
実際の施工では、左側用の窓枠構成部材3及びその両端に位置するコーナー部材6,7と、右側用の窓枠構成部材3及びその両端に位置するコーナー部材6,7とに前面カバー8をそれぞれ取り付ける際には、長さ以外が同じとされた同種の二本の前面カバー8を長さのみ調整するように切断して、図6(a)に示したように、各前面カバー8の前面8bの高さが高くなるように取り付ける。このとき、左右の窓枠構成部材3の前面側のみならず、これら左側用の窓枠構成部材3及び右側用の窓枠構成部材3の上下にそれぞれ位置するコーナー部材6,7の前面側をもカバーするように各前面カバー8の長さを調整して、これら窓枠構成部材3及びコーナー部材6,7を一体的にすべく前面カバー8を覆設する。このとき、装着された前面カバー8の両端がコーナー部材6,7の閉塞板37に当接することよって、前面カバー8の両側の開口端部52が完全に閉塞されることになるため、前面カバー8の突き当たり端部の隙間をなくすことができる。また、この閉塞板37は、前面カバー8の上下方向の抜け止めの役目も果たすため、前面カバー8の取り付け状態を確実に維持することができる。
【0038】
一方、上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3に前面カバー8をそれぞれ取り付ける際には、上記した縦に配設されるものと同種の前面カバー8をさらに二本準備して、これら窓枠構成部材3のフランジ部11の長手方向長さに合わせて長さを調整し、図6(b)に示したように、前面8bの高さが低くなるように取り付ける。左右の窓枠構成部材3の前面8bの突出高さよりも低くなるようにして上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3に取り付けられた前面カバー8の両端部は、左右の窓枠構成部材3及びコーナー部材6,7に取り付けられた前面カバー8の側部に当接する。これによって前面カバー8の両側の開口端部52が完全に閉塞されることになるため、前面カバー8の突き当たり端部の隙間をなくすことができる。
【0039】
このように、上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3に覆設された前面カバー8の前面8bよりも左右の窓枠構成部材3に覆設された前面カバー8の前面8bを浴室側に突出させるように取り付けることで、上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3の前面カバー8の開口端部52が左右の窓枠構成部材3の側部によって確実に閉塞されて水密性が確保されるとともに、浴室内からの見栄え性も良好となる。
【0040】
以上に述べた構成により、フランジ部11に対する前面カバー8の取り付け方向を反転して嵌合させるだけで前面カバー8の前面8bの突出高さが変更可能となっていることから、上下の窓枠構成部材3に設けられる前面カバー8よりも左右の窓枠構成部材3に設けられる前面カバー8の前面8bの方が突出するように設けることで段差が生じ、見栄え良く仕上げることができる。また、各窓枠構成部材3に共通して用いることができるので、左右の窓枠構成部材3と、上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3とで、それぞれ前面8bの突出高さの異なる前面カバー8を用意する必要がなく、したがって生産性が向上するとともに製造コストの削減を実現することができる。さらに、現場において各窓枠構成部材3ごとに前面カバー8を見分ける必要がなくなるので、現場での組立作業が容易となって施工効率が向上する。
【0041】
さらに、前面カバー8をフランジ部11に取り付ける際に、前面カバー8の第1係止板部44及び第2係止板部45のどちらをフランジ部11の当接面27に当接させるようにするかによって前面カバー8の前面8bの突出高さを容易に変更することができる。さらに、同種の前面カバー8で各窓枠構成部材3ごとに前面カバー8の前面8bの突出高さを調整できるため、上述したように完成する窓接続枠1の見栄え性を考慮して覆設することができる。また、第1係止板部44或いは第2係止板部45をフランジ部11の当接面27に当接させることによって、各窓枠構成部材3と前面カバー8との隙間をなくすことができるため、水密性を良好に保つことができる。
【0042】
また、前面カバー8の第1係止板部44及び第2係止板部45の先端側に設けられた係止爪46,46をフランジ部11の係止部25,26及びコーナー部材6,7の係止部48,49に係止させることによって、左右の窓枠構成部材3及びコーナー部材6,7、上側用の窓枠構成部材3及び下側用の窓枠構成部材3に対する前面カバー8の取り付け方向に係わらず、前面カバー8の取り付け状態を確実に維持することができる。
【0043】
そして、上下の窓枠構成部材3に覆設された前面カバー8の開口端部52が左右の窓枠構成部材3に覆設された前面カバー8で閉塞され、これら左右の窓枠構成部材3の前面カバー8の開口端部52がコーナー部材6,7の一端に設けられた閉塞板37によって閉塞されることから、それぞれの前面カバー8の開口端部52を確実に閉塞することができるので、良好な水密性を得ることができるとともに見栄え性も確保することができる。
【0044】
なお、浴室内から見て、窓用開口102の左右の側辺に沿って縦姿勢で設置される左側用の窓枠構成部材3及び右側用の窓枠構成部材3の双方における基板部10の下端部(施工時において下側用の窓枠構成部材3と連結される端部)に、内壁101に対して垂直ではなくフランジ部11から離れるほど窓枠構成部材3の上端部との間隔を若干狭くするように、所定角度で漸次傾斜する切欠き9(図2参照)を、フランジ部11側の一端から他端にかけて形成しておいてもよい。この場合、窓用開口102の下側のコーナー部に位置するコーナー部材6,7を、上記した窓枠構成部材3の切欠き9に対応する形状に形成しておく。具体的には、図7及び図8に示すように、軸部31の上面33を、閉塞キャップ32側の一端から他端にかけて切欠き9の傾斜に沿って所定角度で閉塞キャップ32から離れるほど高くなるように傾斜させて軸部31を形成し、組み立てたときに軸部31の上面33が切欠き9にぴったりと沿うようにする。また、下側用の窓枠構成部材3の嵌合溝15に挿入される複数の連結片34も上面33の傾斜に平行に配置しておく。このように構成することにより、左側用の窓枠構成部材3及び右側用の窓枠構成部材3に、上述した構成のコーナー部材6,7を介して窓用開口102の下辺に沿って横姿勢で設置される下側用の窓枠構成部材3を連結させるだけで、表面の余分な水の排水を促して残水を防止するための水勾配が形成されることになる。
【0045】
さらに、窓接続枠1の水密性を確実に確保するために、各構成部材の境界部分に、例えば、防水性のゴムなどで形成されたパッキンを取り付け、シャワー等の水が内部に漏出しないようにする。また、上記実施形態においては、左右の窓枠構成部材3に設けられる前面カバー8の第2係止板部45の先端部と内壁101との間に若干隙間が空くことになるが、この部分を含め、窓接続枠1における内壁101との接合部の周囲に、上記したパッキン等のシール材にてコーキングを施して完全な防水性を確保する。
これにより、各窓枠構成部材3及びコーナー部材6,7の連結部分、さらに、窓接続枠1と内壁101との接合部分を確実に封止することにより窓接続枠1を精度よく取り付けることができる。
【0046】
また、上記においては、浴室の出窓構成に用いられる窓接続枠1として述べたが、これに限らず、様々な場所等で使用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明における一実施形態の窓接続枠を浴室の出窓構成に適用した場合の浴室内部を示す図である。
【図2】本発明における一実施形態の窓接続枠の要部を示す斜視図である。
【図3】本発明における一実施形態の窓枠構成部材を示す側断面図である。
【図4】本発明における一実施形態の左下右上兼用のコーナー部材を示す斜視図である。
【図5】本発明における一実施形態の右下左上兼用のコーナー部材を示す斜視図である。
【図6】本発明における一実施形態の前面カバーを取り付けた状態を示す側断面図であって、(a)は前面カバーの前面が高くなるように左右の窓枠構成部材に取り付けた状態を示し、(b)は前面カバーの前面が低くなるように上下の窓枠構成部材に取り付けた状態を示している。
【図7】本発明における左下右上兼用のコーナー部材の他の実施例を示す側面図である。
【図8】本発明における右下左上兼用のコーナー部材の他の実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 窓接続枠
10 基板部
11 フランジ部
3 窓枠構成部材
6,7 コーナー部材(連結部材)
8 前面カバー
8b 前面
25,26,48,49 係止部
43 蓋部
44 第1係止板部
45 第2係止板部
20 第1カバー取付部
36 第2カバー取付部
27,40 当接面(当接部)
46 係止爪
37 閉塞板(閉塞部)
52 開口端部
100 窓サッシュ
101 内壁
102 窓用開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に設けられた窓サッシュ側から内壁に向けて延出する基板部と、該基板部の内側端縁部から垂直に延出し、内壁に形成された窓用開口の周縁に係止されるフランジ部とからなり、複数のもので前記窓用開口の全周を覆う窓枠構成部材と、
隣り合う前記窓枠構成部材の突き合わせ端部を連結する連結部材と、
前記フランジ部の前面に取り付けられる前面カバーとから構成される窓接続枠であって、
前記前面カバーは、前記フランジ部に対する取り付け方向を反転させることで、その前面の突出高さが変更可能とされていることを特徴とする窓接続枠。
【請求項2】
前記前面カバーは、前記フランジ部の前面を覆蓋する蓋部と、該蓋部の両端から垂直に起立する第1係止板部及び第2係止板部とから断面視略コ字状を呈してなるもので、前記第2係止板部よりも前記第1係止板部の方が突出するように構成され、これら前記第1係止板部及び前記第2係止板部で前記フランジ部の前面に設けられているカバー取付部を挟み込むようにして前記フランジ部に取り付けられるようになされており、その際に、前記フランジ部の前面における前記基板部側に設けられた当接部に前記第1係止板部を当接させると、前記前面カバーの前面の突出高さが高くなり、前記当接部に前記第2係止板部を当接させると、前記前面カバーの前面の突出高さが低くなることを特徴とする請求項1記載の窓接続枠。
【請求項3】
前記第1係止板部及び前記第2係止板部は、先端側に、互いに対向するように係止爪をそれぞれ備えており、これら係止爪を、前記前面カバーの取り付け方向にかかわらず係止可能な係止部が前記カバー取付部の側部に形成されていることを特徴とする請求項2記載の窓接続枠。
【請求項4】
隣り合う前記前面カバーのうちの一方の前面カバーの開口端部は他方の前面カバーで閉塞される一方、前記他方の前面カバーの開口端部は前記連結部材の一端に設けられた閉塞部によって閉塞されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の窓接続枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−146471(P2007−146471A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341832(P2005−341832)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】