説明

【課題】 採光機能と採風機能を兼ね備え、且つ防犯性が高くまた優れた意匠性を有する窓を提供する。
【解決手段】 左右に竪骨11を備えた採風部10と、竪骨側方の採光部1とを備え、採光部は、透光性のパネル2をはめ殺しにしてあり、採風部は、両竪骨の間に設けたガラリ12と、ガラリの室内側に設けた平行突出し障子13と、リンク機構14と、ロック機構15と、タイト材16とを備え、竪骨は、竪骨室外側見込壁21と、竪骨室内側見込壁22と、両見込壁の間に形成した竪骨中間見付壁23を有し、平行突出し障子は、左右に竪框17を備え、竪框は、竪框室外側見込壁31と、竪框室内側見込壁32と、両見込壁の間に形成した竪框中間見付壁33を有し、リンク機構は、竪骨室外側見込壁と竪框室外側見込壁とを連結しており、ロック機構は、竪框室内側見込壁と竪骨室内側見込壁とに設け、タイト材は、竪骨中間見付壁と竪框中間見付壁の間に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光機能と採風機能を兼ね備える窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に都市部の住宅においては、防犯やプライバシー保護の観点から、安心して窓を開放したままにしておくことができなかった。通気が可能でありながら視線を遮断できるものとしてはガラリがあるが、ガラリのみでは閉鎖することができないので、通気の遮断ができず、また雨水が浸入する可能性があり問題であった。そこで、特許文献1に、ガラスとガラリ(格子扉)とを連設し、ガラリの室内側に開閉可能な横開きの障子(換気扉)を設けた窓が記載されている。この窓によれば、ガラス部分から採光が可能で、障子を開けば通気することができ、障子を閉じれば通気を遮断し雨水の浸入を防ぐことができる。また、特許文献2には、ガラリ(格子)の室内側にリンク機構を用いて平行突出し障子を設けた引戸が記載されている。
【特許文献1】特開2006−328915号公報
【特許文献2】特開平11−200726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、文献1の窓においては、ガラリの内側に設けた障子が横開きであり、またガラリ自体も横開き可能であるから、開閉状態が外部から識別されやすく、防犯上問題があった。また、文献2のように、ガラリの室内側に平行突出し障子を設けただけの構成では、採風は可能であるが十分な採光量を確保することができなかった。さらに、文献1及び2記載の窓あるいは引戸の障子に施錠装置を取り付ける場合、室内側に飛び出した構造とならざるを得ず、外観が好ましくなかった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、採光機能と採風機能を兼ね備え、且つ防犯性が高くまた優れた意匠性を有する窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、左右に竪骨を備えた採風部と、少なくとも一方の竪骨の側方に配置した採光部とを備え、採光部は、透光性のパネルをはめ殺しにしてあり、採風部は、両竪骨の間に設けたガラリと、ガラリの室内側に設けた平行突出し障子と、リンク機構と、ロック機構と、タイト材とを備え、竪骨は、竪骨室外側見込壁と、竪骨室内側見込壁と、両見込壁の間に形成した竪骨中間見付壁を有し、平行突出し障子は、左右に竪框を備え、竪框は、竪框室外側見込壁と、竪框室内側見込壁と、両見込壁の間に形成した竪框中間見付壁を有し、リンク機構は、竪骨室外側見込壁と竪框室外側見込壁とを連結しており、ロック機構は、竪框室内側見込壁に設けた把持部及び係止部と、竪骨室内側見込壁に設けた被係止部からなり、タイト材は、竪骨中間見付壁と竪框中間見付壁の間に配置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、採光部がはめ殺しになっており、且つ採風部のガラリの室内側に開閉自在の平行突出し障子を設けたので、採光機能と採風機能を持たせ、且つ窓の開閉状態を外部に悟らせることがなく防犯性を高めることができる。また、ガラリから入る風を平行突出し障子が受け止め、室内に風が強く吹き込むのを防ぐことができる。さらに、平行突出し障子がガラリを覆い隠し、またガラリと平行突出し障子の双方に室外側見込壁及び室内側見込壁を形成してそれぞれにリンク機構及びロック機構を設けたのでリンク機構及びロック機構が目立たず、すっきりとした外観が得られる。また、リンク機構とロック機構を分離して設けたので、それぞれの構造を簡易にできる。さらに、平行突出し障子を閉鎖した際、当接部がタイト材によりシールされるので、水密性、気密性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の窓は、図1及び図5に示すように、四方枠組みした窓枠60内に、採光部1及び採風部10を連設したもので、採風部10は左右に竪骨11を備えており、左側(図1における左右方向を基準とする、以下同じ)の竪骨11の側方に採光部1を設けてある。
採光部1は、透明なガラス製のパネル2をはめ殺しにしてある。一方、採風部10は、左右の竪骨11の間にガラリ12を備える。ガラリ12は、通気はできるが視線は通さない構造である。ガラリ12の室内側には、平行突出し障子13を設けてあり、採風部10を閉鎖状態(図1(a))あるいは開放状態(図1(b))にすることができる。平行突出し障子13は左右に竪框17を備えており、竪骨11と竪框17を後述のリンク機構14が連結しており、さらにロック機構15が設けてある。
両竪骨11は、互いに向き合う側に竪骨室外側見込壁21及び竪骨室内側見込壁22を有する。竪骨室内側見込壁22は、竪骨室外側見込壁21よりも窓の周縁側(窓枠60側)に位置し、両見込壁21,22の間に、室内側を向いた竪骨中間見付壁23が形成してある。
両竪框17は、平行突出し障子13の周縁側を向いた竪框室外側見込壁31及び竪框室内側見込壁32を有する。竪框室内側見込壁32は、竪框室外側見込壁31よりも周縁側に位置し、両見込壁31,32の間に、室外側を向いた竪框中間見付壁33が形成してある。
また、両竪骨11の竪骨中間見付壁23には、樹脂製のタイト材16が上下にわたって設けてあり、さらにこのタイト材16は、図2に示すように、採風部10の上下において左右方向に伸び、開口部の周縁を囲んでいる。平行突出し障子13を閉鎖した際には、タイト材16が平行突出し障子13に密着し(竪骨中間見付壁23に配置したタイト材16は、竪框17の竪框中間見付壁33に密着する)、当接部をシールして水密性・気密性を確保する。
このように、採光部がはめ殺しになっており、且つ採風部のガラリの室内側に開閉自在の平行突出し障子を設けたので、採光機能と採風機能を兼ね備え、且つ窓の開閉状態を外部に悟らせることがなく防犯性が高い。また、ガラリから入る風を平行突出し障子が受け止め、室内に風が強く吹き込むのを防ぐことができる。さらに、平行突出し障子がガラリを覆い隠し、室内側においてすっきりとした外観が得られる。
【0008】
次に、リンク機構14について説明する。リンク機構14は、図1に示すように採風部10の左右両側に設けるもので(図1ではリンク機構14の一部を省略して表示している)、図3に示すように、一組の節部41a、41bと、竪骨室外側見込壁21に上下動可能に設けたスライド片42及び固定した竪骨側固定片43と、竪框室外側見込壁31に固定した竪框側固定片44からなる。節部41a、41b同士は互いに中心部で回動可能に連結されており、一方の節部41aの一端は竪骨側固定片43と回動可能に連結し、他端は竪框側固定片44と上下動可能に連結する。他方の節部41bの一端はスライド片42と回動可能に連結し、他端は竪框側固定片44と回動可能に連結する。このように構成することで、平行突出し障子を、ガラリと平行を保ったまま水平方向に移動させることができる。そして、室内側から見た場合、リンク機構が平行突出し障子に隠れて目立たず、意匠性が高い。
【0009】
次に、ロック機構15について説明する。ロック機構15は、図1に示すように採風部10の左右両側に設けるもので、図4に示すように、竪框室内側見込壁32に上下動可能に設けた連動部材54と、連動部材54に設けた把持部51及び複数個の係止部52と、竪骨室内側見込壁22に設けた被係止部53からなり、把持部51に手を掛けて上下に動かすことで、連動部材54と係止部52が一体となって上下動するものである。係止部52はJ字形状で、各係止部52に対応する位置に円柱形状の被係止部53が設けてあるので、平行突出し障子を閉鎖して把持部51を上向きに操作することで、施錠することができる。開錠するときは、逆に把持部51を下向きに操作すればよい。平行突出し障子は室外側から開閉することができないので元より防犯性が高いが、このようにロック機構を備えることでさらに防犯性を高めることができる。そして、このロック機構は、施錠の機能と持ち手としての機能を併せ持ちながら、平行突出し障子より室内側に突出することがなく、意匠性も高い。
【0010】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、採光部と採風部の何れか又は両方を複数備えていてもよく、それらは窓枠内に自由に配置できる。また、リンク機構は、平行突出し障子を水平に移動できるものであれば異なる構成であってもよいし、ロック機構は、平行突出し障子を閉鎖状態で施錠できるものであればどのような構造であってもよい。さらに、採光部にカーテンやブラインド等の遮光手段を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図5のA−A線断面図であり、(a)は閉鎖時、(b)は開放時を示す。
【図2】図5のB−B線断面図である。
【図3】リンク機構の説明図であり、(a)は閉鎖時、(b)は開放時を示す。
【図4】ロック機構の説明図であり、(a)は閉鎖時、(b)は開放時を示す。
【図5】本発明の窓の正面図であり、(a)は室外側、(b)は室内側を示す。
【符号の説明】
【0012】
1 採光部
2 パネル
10 採風部
11 竪骨
12 ガラリ
13 平行突出し障子
14 リンク機構
15 ロック機構
16 タイト材
17 竪框
21 竪骨室外側見込壁
22 竪骨室内側見込壁
23 竪骨中間見付壁
31 竪框室外側見込壁
32 竪框室内側見込壁
33 竪框中間見付壁
51 把持部
52 係止部
53 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に竪骨を備えた採風部と、少なくとも一方の竪骨の側方に配置した採光部とを備え、採光部は、透光性のパネルをはめ殺しにしてあり、採風部は、両竪骨の間に設けたガラリと、ガラリの室内側に設けた平行突出し障子と、リンク機構と、ロック機構と、タイト材とを備え、竪骨は、竪骨室外側見込壁と、竪骨室内側見込壁と、両見込壁の間に形成した竪骨中間見付壁を有し、平行突出し障子は、左右に竪框を備え、竪框は、竪框室外側見込壁と、竪框室内側見込壁と、両見込壁の間に形成した竪框中間見付壁を有し、リンク機構は、竪骨室外側見込壁と竪框室外側見込壁とを連結しており、ロック機構は、竪框室内側見込壁に設けた把持部及び係止部と、竪骨室内側見込壁に設けた被係止部からなり、タイト材は、竪骨中間見付壁と竪框中間見付壁の間に配置してあることを特徴とする窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−293316(P2009−293316A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149528(P2008−149528)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】