説明

立体映像表示装置

【課題】観賞できる範囲が広げられ、観賞性が向上されてなる立体映像表示装置を提供する。
【解決手段】二次元映像表示面1を有する二次元映像表示装置2と、二次元映像表示面1に対して所定角度αに傾斜させて所定間隔で配設された所要数のハーフミラー3とを備え、二次元映像表示面1は、少なくともハーフミラー3により同表示面1に表示された映像から虚像5が生成される虚像生成領域4を有し、かつハーフミラー3は奥に行くにつれて幅が狭くなるようにされてなる立体映像表示装置Uである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体映像表示装置に関する。さらに詳しくは、観賞性が向上されてなる立体映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のハーフミラーと、それぞれのハーフミラーに対応して設置される二次元映像装置とを用い、映像を三次元的に見えるように表示する三次元映像表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2006−135378号公報には、図8に示すように、二次元映像表示装置2の二次元映像表示面1を複数の映像領域4a,6a,4b,6b,4cに分割して個別の映像を表示し、これに複数のハーフミラー3a,3b,3cを一定に傾斜させて配置し、観賞者20aの視線201aに対して奥行きの異なる虚像5a,5b,5cが重なって見えることで三次元映像を表示する三次元映像表示装置U‘が提案されている。
【0004】
しかしながら、前記提案に係る三次元映像表示装置U‘においては、その映像を観賞できるのは、その表示された虚像5a,5b,5cに正対できる範囲(図中の破線P1,P2に挟まれた領域V)に限定され、また二次元映像表示面1の高さは一定とされているところから、ハーフミラー3a,3b,3cにより形成される虚像5a,5b,5cを観賞するためには視線201aを領域Vの位置まで持ってくる必要がある。そのため、背の高い観賞者20aは腰をかがめて観賞しなければならず、その逆に背の低い子供などの観賞者20aは踏み台を用いて観賞しなければならないという問題がある。
【特許文献1】特開2006−135378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、観賞できる範囲が広げられ、観賞性が向上されてなる立体映像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の立体映像表示装置は、二次元映像を三次元映像として表示する立体映像表示装置であって、二次元映像を表示する二次元映像表示面と、前記二次元映像表示面に対して所定角度に傾斜させて所定間隔で配設された所要数のハーフミラーとを備え、前記二次元映像表示面は、少なくとも前記ハーフミラーにより同表示面に表示された映像から虚像が生成される虚像生成領域を有し、前記ハーフミラーは奥に行くにつれて幅が狭くなるようにされて観賞領域が楔状を呈するようにされてなることを特徴とする。
【0007】
本発明の立体映像表示装置においては、虚像生成領域と虚像生成領域との間に虚像不生成領域が介在されてなるのが好ましい。
【0008】
また、本発明の立体映像表示装置においては、虚像生成領域と虚像不生成領域との幅の比が、1:0〜1:0.35とされてなるのが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の立体映像表示装置においては、ハーフミラーの枚数が、2枚ないし7枚とされてなるのが好ましく、3枚ないし6枚とされてなるのがさらに好ましい。
【0010】
さらに、本発明の立体映像表示装置においては、前後のハーフミラーのそれぞれの幅の比が、1:0.65〜1:0.95とされてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は前記の如く構成されているので、二次元映像表示面の高さを背の低い観賞者の視線に合わせて調整しても、背の高い観賞者は離れた位置で観賞することにより、自然な姿勢で視線を映像に向けて観賞することができ、観賞性が向上するという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0013】
本発明の一実施形態に係る立体映像表示装置を図1〜図4に示す。
【0014】
立体映像表示装置Uは、図1〜図4に示すように、二次元映像表示面1を有する二次元映像表示装置2を備える。二次元映像表示面1は、図4に示すように、例えばその長手方向に複数の長方形の映像表示領域4a,6a,4b,6b,4c,6c,4dが並ぶように分割されている。なお、図示例においては、二次元映像表示面1は上方に向けて設置されているが、二次元映像表示面1の向きは適宜とすることができる。
【0015】
ここで、前記映像表示領域4a,6a,4b,6b,4c,6c,4dは、当該領域と対応してハーフミラー3a,3b,3c,3dが所定位置に設置されて虚像が生成される虚像生成領域4a,4b,4c,4dと、ハーフミラーが設置されないことにより虚像が生成されない虚像不生成領域6a,6b,6cとを含む。
【0016】
また、虚像生成領域4a,4b,4cのそれぞれの幅Wa,Wb,Wcと、虚像不生成領域6a,6b,6cのそれぞれの幅Da,Db,Dcとの比mは、図4に示す例においては、1:0.25(=Wa:Da=Wb:Db=Wc:Dc)とされている。
【0017】
なお、図4において、虚像不生成領域6a,6b,6cにおけるハッチング状の模様は、この部分に映像が表示されることを表現している。このことは、本明細書に添付されている全ての図において同様である。
【0018】
ハーフミラー3a,3b,3c,3dは、図2に示すように、対応する虚像生成領域4a,4b,4c,4dそれぞれの真上に、所定角度α(例えば、45度(図3参照))傾斜した状態で互いに平行に配設される。ここで、ハーフミラー3a,3b,3c,3dの平面投射形状と、虚像生成領域4a,4b,4c,4dの平面視形状とは同一とされる。
【0019】
また、ハーフミラー3a,3b,3c,3dのそれぞれの平面視における幅は、その比nが1:0.8(=Wa:Wb=Wb:Wc=Wc:Wd)とされて奥に行くにしたがって狭くなるようにされている。つまり、ハーフミラー3aの幅が最大とされ、ハーフミラー3dの幅が最小とされている。この場合、ハーフミラー3a,3b,3c,3dのそれぞれの頂辺は、それぞれの底辺が二次元映像表示面1に接触させられた状態で同一平面上に位置するようそれぞれの幅が調整されている。
【0020】
その結果、立体映像が観賞できる領域が楔状を呈し、立体映像表示装置Uから離れるにつれてその視認領域(観賞領域(図2中の破線P1,P2に挟まれた領域V))が拡大する。それ故、二次元映像表示面1の高さを背の低い観賞者20aの視線201aに合わせて調整しても、背の高い観賞者20bは離れた位置で観賞することにより、自然な姿勢で視線201bを映像に向けて観賞することができる。
【0021】
また、奥に行くにつれて虚像生成領域4a,4b,4c,4dの幅Wa,Wb,Wc,Wdが狭くなり虚像5a,5b,5c,5dの高さが低くなるので、遠近感が強調された立体映像が得られる。
【0022】
さらに、観賞者20からみて一番手前の虚像生成領域4aはその平面視における幅Waが広いので、一番目立つ手前の虚像5aを高い解像度で表示することができる。
【0023】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0024】
例えば、ハーフミラー3の枚数は、図示例では4枚とされているが、ハーフミラーの枚数は4枚に限定されるものではなく、2枚〜7枚、好ましくは3枚〜6枚の適宜枚数とすることができる(図5〜図7参照)。枚数をこのように限定するのは、1枚では立体感に乏しい映像になる一方、8枚以上では二次元映像表示面1の分割が細かくなりすぎて、虚像生成領域4および虚像不生成領域6のそれぞれの幅が狭くなり、充分な解像度を維持することができないおそれがあるからである。
【0025】
また、虚像生成領域4の幅と虚像不生成領域6の幅との比mは、1:0〜1:0.35とすることができる。比mをこのように限定するのは、観賞者20から目立って見える虚像5を作り出す虚像生成領域4の幅をできるだけ広くするようにしたほうが、効果的な立体映像が生成されることによる。なお、比mが、1:0は虚像不生成領域6が設けられない場合を意味している。
【0026】
また、前後のハーフミラーのそれぞれの幅の比nは、1:0.65〜1:0.95とすることができる。比nをこのように限定するのは、1:0.65よりも大きいと観賞者20からみて奥の方の虚像生成領域4が極端に狭くなって解像度が低くなり、映像の表示能力が乏しくなる一方、1:0.95よりも小さいと観賞領域Vの開き角度が小さくなり、背の高い観賞者20bは遠く離れた位置からでないと自然な姿勢で立体映像を視認できないが、そうすると立体映像が遠ざかりその観賞が困難となるからである。
【0027】
さらに、本実施形態では、二次元映像表示面1が二次元映像表示装置2と一体化されているが、二次元映像表示面1と二次元映像表示装置2とは分離して構成することもできる。例えば、二次元映像表示面1をスクリーンとし、その背面からプロジェクタで二次元映像を映写するようにしてもよい。また、立体映像表示装置Uの小型化を図る点から、スクリーンとプロジェクタとの間に光路変更手段例えばミラーを設けて、光路を変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、平面映像から立体映像を生成する映像装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る立体映像表示装置の斜視図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同表示装置の映像表示の原理を説明する説明図である。
【図4】同表示装置の映像領域の説明図である。
【図5】本発明の変形例の側面図である。
【図6】本発明の他の変形例の側面図である。
【図7】本発明のさらに他の変形例の側面図である。
【図8】従来の三次元映像表示装置の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 二次元映像表示面
2 二次元映像表示装置
3 ハーフミラー
4 虚像生成領域
5 虚像
6 虚像不生成領域
U 立体映像表示装置
V 観賞領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元映像を三次元映像として表示する立体映像表示装置であって、
二次元映像を表示する二次元映像表示面と、前記二次元映像表示面に対して所定角度に傾斜させて所定間隔で配設された所要数のハーフミラーとを備え、
前記二次元映像表示面は、少なくとも前記ハーフミラーにより同表示面に表示された映像から虚像が生成される虚像生成領域を有し、
前記ハーフミラーは奥に行くにつれて幅が狭くなるようにされて観賞領域が楔状を呈するようにされてなる
ことを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
虚像生成領域と虚像生成領域との間に虚像不生成領域が介在されてなることを特徴とする請求項1記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
虚像生成領域と虚像不生成領域との幅の比が、1:0〜1:0.35とされてなることを特徴とする請求項1または2記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
ハーフミラーの枚数が、2枚ないし7枚とされてなることを特徴とする請求項1または2記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
ハーフミラーの枚数が、3枚ないし6枚とされてなることを特徴とする請求項4記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前後のハーフミラーの幅の比が、1:0.65〜1:0.95とされてなることを特徴とする請求項1または2記載の立体映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−20564(P2008−20564A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190990(P2006−190990)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(303007670)
【Fターム(参考)】