説明

立体画像用眼鏡

【課題】視軸の水平面内の回転のみを容易かつ高精度に調整することができる。
【解決手段】立体画像用眼鏡100は、左眼球プリズム110と、左眼球プリズムの中心を通る軸である左中心軸114に自体の中心が位置するように配された左対物プリズム112と、右眼側に配された右眼球プリズム120と、右眼球プリズムの中心を通る軸である右中心軸に自体の中心が位置するように配された右対物プリズム122と、外力に応じて、左中心軸を回転軸として左眼球プリズムを回転させるとともに、左眼球プリズムと同回転角度で逆方向に左対物プリズムを回転させ、さらに、左眼球プリズムと同回転角度で同方向、または、同回転角度で逆方向に、右中心軸を回転軸として右眼球プリズムを回転させるとともに、右眼球プリズムと同回転角度で逆方向に右対物プリズムを回転させる回転機構200を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を知覚させるための立体画像用眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平視差(両眼視差)のある左右2つの画像(左眼用画像および右眼用画像)を水平方向に並べて配置し、ユーザ(観察者)が、左眼用画像を左眼で、右眼用画像を右眼で視認することにより、ユーザに立体画像を知覚させることができる技術がある。この技術(裸眼立体視)には、平行法と、交差法がある。
【0003】
平行法は、ユーザから見て左に左眼用画像を、右に右眼用画像を配置して、ユーザが左眼の視軸(光軸、視線)と右眼の視軸(光軸、視線)とを略平行にして輻輳点を無限遠にし、焦点を画像の位置に合わせることによって、ユーザに立体画像を知覚させる方法である。交差法は、ユーザから見て左に右眼用画像を、右に左眼用画像を配置して、ユーザが左眼の視軸と右眼の視軸とを交差して輻輳点を画像の手前にし、焦点を画像の位置に合わせることによって、ユーザに立体画像を知覚させる方法である。このような平行法および交差法を用いる場合、ユーザは、自身の視軸を調整して輻輳点を調整し、さらに焦点を調整することで、立体画像を知覚する。
【0004】
しかし、ユーザ自身の力で輻輳点と焦点の両方を調整するのは容易ではないため、ユーザは、平行法や交差法を利用して立体画像を知覚するために、ある程度、訓練しなくてはならない。また、訓練を行ったとしても、ユーザによっては、輻輳点と焦点の両方を別々に調整することができず、立体画像を知覚できないこともある。また、人は、自身の左右の眼の視軸を平行にするのが限界であり、左右2つの画像(左右画像)の輻輳角(視軸の相対角)を90度以下にしなければ、ユーザに立体映像を知覚させることができない。
【0005】
そこで、眼鏡の左側に1つのプリズムが、右側に1つのプリズムがそれぞれ配置された立体視用眼鏡が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−3824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1の技術では、ユーザの輻輳角が、プリズムの屈折角に固定されてしまうため、プリズムの屈折角に基づいた輻輳点で立体画像を知覚させることを想定した画像でなければ、ユーザに立体画像を知覚させることができなかった。また、画像が固定されている場合、その屈折角に基づいてユーザが画像を視認して立体画像を知覚できる位置が制限されていた。
【0008】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、画像の位置や画像に対するユーザの相対位置に応じて、視軸の水平面内の回動のみを容易かつ高精度に調整することができる立体画像用眼鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明の、立体画像を知覚させるための立体画像用眼鏡は、ユーザが立体画像用眼鏡を装着したときに、ユーザの左眼側に位置するように配された左眼球プリズムと、左眼球プリズムよりも、立体画像用眼鏡によって視認する視認対象側であって、左眼球プリズムの中心を通る軸である左中心軸に自体の中心が位置するように配された左対物プリズムと、ユーザの右眼側に位置するように配された右眼球プリズムと、右眼球プリズムよりも、視認対象側であって、右眼球プリズムの中心を通る軸である右中心軸に自体の中心が位置するように配された右対物プリズムと、外力に応じて、左中心軸を回転軸として左眼球プリズムを回転させるとともに、左眼球プリズムと同回転角度で逆方向に左対物プリズムを回転させ、さらに、左眼球プリズムと同回転角度で同方向、または、同回転角度で逆方向に、右中心軸を回転軸として右眼球プリズムを回転させるとともに、右眼球プリズムと同回転角度で逆方向に右対物プリズムを回転させる回転機構と、を備え、左眼球プリズムには左中心軸と直交する面である左眼球平面が形成されており、右眼球プリズムには右中心軸と直交する面である右眼球平面が形成されており、左眼球プリズムの左中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ左中心軸と平行な軸と、左眼球平面との交点である左眼球最大点と、右眼球プリズムの右中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ右中心軸と平行な軸と、右眼球平面との交点である右眼球最大点と、左眼球プリズムの左中心軸方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ左中心軸と平行な軸と、左眼球平面との交点である左眼球最小点と、右眼球プリズムの右中心軸方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ右中心軸と平行な軸と、右眼球平面との交点である右眼球最小点とが、左眼球プリズムと左対物プリズムとが面対称となり、かつ、右眼球プリズムと右対物プリズムとが面対称となる状態において、左中心軸または右中心軸を含む同一平面上、もしくは左中心軸または右中心軸と平行な同一平面上に位置することを特徴とする。
(2)左眼球プリズムと右眼球プリズムとは、左眼球平面と右眼球平面とが略同一平面上に位置するように配置されており、左対物プリズムには左中心軸と直交する面である左対物平面が形成されており、右対物プリズムには右中心軸と直交する面である右対物平面が形成されており、左眼球プリズムと右眼球プリズムとは、左対物平面と右対物平面とが略同一平面上に位置するように配置されており、左眼球最大点と右眼球最大点と左眼球最小点と右眼球最小点とが、左眼球プリズムと左対物プリズムとが面対称となり、かつ、右眼球プリズムと右対物プリズムとが面対称となる状態において、同一直線上に位置してもよい。
(3)2つのレンズをさらに備え、2つのレンズのうち一方のレンズは、左中心軸上に一方のレンズの光軸が位置するように設けられ、2つのレンズのうち他方のレンズは、右中心軸上に他方のレンズの光軸が位置するように設けられ、2つのレンズは、左眼球平面と左中心軸との交点および右眼球平面と右中心軸との交点を通る線と直交する線であって、左中心軸および右中心軸と直交する面上の線の方向に視認対象を縮小させてユーザに視認させるレンズ、または、左眼球平面と左中心軸との交点および右眼球平面と右中心軸との交点を通る線の方向に視認対象を拡大させてユーザに視認させるレンズであってもよい。
(4)左眼球プリズム、左対物プリズム、右眼球プリズムおよび右対物プリズムは、外縁形状が円である円形プリズムであってもよい。
(5)左眼球プリズム、左対物プリズム、右眼球プリズムおよび右対物プリズムは、同一形状であってもよい。
(6)レンズを着脱可能な支持機構を設けてもよい。
(7)左眼球平面と左対物平面とが対向するように、左眼球プリズムと左対物プリズムとが配され、右眼球平面と右対物平面とが対向するように、右眼球プリズムと右対物プリズムとが配されていてもよい。
(8)回転機構は、左眼球プリズムおよび左対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持する左プリズム保持枠と、右眼球プリズムおよび右対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持する右プリズム保持枠と、外力に応じて、左プリズム保持枠のいずれか一方を左中心軸回りに、右プリズム保持枠のいずれか一方を右中心軸回りに、同回転角度で同方向、または、同角度で逆方向に回転させるウォームギア構造で形成された回転部と、を有してもよい。
(9)左プリズム保持枠の外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである左フランジ部、または、右プリズム保持枠の外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである右フランジ部を備え、左フランジ部または右フランジ部の外周にはローレット加工が施されてもよい。
(10)回転機構は、ベースフレームと、ベースフレームに固定される左レール部と、ベースフレームに固定される右レール部と、左眼球プリズムおよび左対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持し、外周に沿って設けられた案内溝である左案内溝を有する左プリズム保持枠と、右眼球プリズムおよび右対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持し、外周に沿って設けられた案内溝である右案内溝を有する右プリズム保持枠と、を有し、左プリズム保持枠は、左プリズム保持枠が左中心軸回りに摺動可能となるように、左案内溝を左レール部に嵌合し、右プリズム保持枠は、右プリズム保持枠が右中心軸回りに摺動可能となるように、右案内溝を右レール部に嵌合してもよい。
(11)左プリズム保持枠の内周端部の左中心軸方向のベースフレーム側は、ベースフレームと左レール部の境界よりもベースフレーム側に延長され、右プリズム保持枠の内周端部の右中心軸方向のベースフレーム側は、ベースフレームと右レール部の境界よりもベースフレーム側に延長されてもよい。
(12)左レール部の高さは、左案内溝の深さより高く、右レール部の高さは、右案内溝の深さより高くてもよい。
(13)左レール部は、左案内溝の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部を複数有し、右レール部は、右案内溝の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部を複数有し、突起部は、その長手方向が、左中心軸または右中心軸と略平行になるように、左レール部および右レール部に設けられてもよい。
(14)左眼球プリズムを保持する左プリズム保持枠の外周、右対物プリズムを保持する右プリズム保持枠の外周、左対物プリズムを保持する左プリズム保持枠の外周、右眼球プリズムを保持する右眼球保持枠の外周の順に張架するベルトをさらに備え、ベースフレームには、ベルトが通過する切り欠き部が設けられ、切り欠き部の縁に沿って、円柱形状の円柱部を有してもよい。
(15)ベルトをラックとして、左プリズム保持枠の外周および右プリズム保持枠をピニオンとして機能させるため、ベルトの内周と左プリズム保持枠の外周および右プリズム保持枠の外周には互いを歯合する歯が形成されてもよい。
(16)左眼球最大点と、左眼球平面と左中心軸との交点とを通る直線と、左対物プリズムの左中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ左中心軸と平行な軸と、左対物平面との交点である左対物最大点と、左対物平面と左中心軸との交点とを通る直線とが為す角、または、右眼球最大点と、右眼球平面と右中心軸との交点とを通る直線と、右対物プリズムの右中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ右中心軸と平行な軸と、右対物平面との交点である右対物最大点と、右対物平面と右中心軸との交点とを通る直線とが為す角である調整角が、第1の角度範囲、および、第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲のうちのいずれに含まれるかを示す範囲指示部を備えてもよい。
(17)範囲指示部は、左プリズム保持枠および右プリズム保持枠のいずれか一方と連動して回転する突出帯と、支点を中心として回転することができるように設けられる第1指標および第2指標と、第1指標および第2指標に対して、支点周りの力を加える弾性部と、第1指標に連結されるとともに、支点周りの力によって、突出帯の外周に当接する当接部とを有し、突出帯の外周は、突出帯の回転中心から第1の距離離れている第1の外周部分と、突出帯の回転中心から、第1の距離よりも短い第2の距離離れている第2の外周部分とを有し、範囲指示部は、調整角が第1の角度範囲および第2の角度範囲のうちの一方の角度範囲に含まれている場合に、当接部が、第1の外周部分に当接されるとともに、第1指標が、第2指標よりも突出帯の外周から離れた位置に位置するように、かつ、調整角が他方の角度範囲に含まれている場合に、当接部が、第2の外周部分に当接されるとともに、第2指標が、第1指標よりも突出帯の外周から離れた位置に位置するように設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の立体画像用眼鏡によれば、画像の位置や画像に対するユーザの相対位置に応じて、視軸の水平面内の回動のみを容易かつ高精度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態にかかる立体画像用眼鏡の外観を説明するための説明図である。
【図2】左眼球プリズム、左対物プリズム、右眼球プリズムおよび右対物プリズムの相対的な位置関係を説明するための説明図である。
【図3】左眼球プリズム、左対物プリズム、右眼球プリズムおよび右対物プリズムの相対的な位置関係を説明するための説明図である。
【図4】左眼球プリズム、左対物プリズム、右眼球プリズムおよび右対物プリズムの相対的な位置関係を説明するための説明図である。
【図5】プリズムの回転と、これに伴う光軸の回動を説明するための説明図である。
【図6】プリズムの回転と、これに伴う光軸の回動を説明するための説明図である。
【図7】プリズムの回転と、これに伴う光軸の回動を説明するための説明図である。
【図8】プリズムの精度を説明するための説明図である。
【図9】左レンズおよび右レンズの形状を説明するための説明図である。
【図10】第1の実施形態にかかる回転機構の一例を説明するための説明図である。
【図11】第1の実施形態にかかる回転機構の一例を説明するための説明図である。
【図12】第1の実施形態にかかる回転機構の一例を説明するための説明図である。
【図13】第1の実施形態にかかる回転機構の一例を説明するための説明図である。
【図14】第1の実施形態にかかる回転機構の他の例を説明するための説明図である。
【図15】第1の実施形態にかかる範囲指示部を説明するための説明図である。
【図16】範囲指示部の具体的な構成を説明するための説明図である。
【図17】第2の実施形態にかかる立体画像用眼鏡の外観を説明するための説明図である。
【図18】第2の実施形態にかかる回転機構の一例を説明するための説明図である。
【図19】第2の実施形態にかかる左プリズム保持枠と左レール部との関係および右プリズム保持枠と右レール部との関係を説明するための説明図である。
【図20】第2の実施形態にかかる、他の左プリズム保持枠、左レール部、右プリズム保持枠、右レール部、ベースフレームを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、以下の各実施形態において、「回動」は「回転」と同様な意味であるとするが、プリズムや保持枠の中心軸回りの回転に関しては「回転」、光軸の水平面内における鉛直軸回りの回転に関しては「回動」を用いて説明する。
【0013】
(第1の実施形態にかかる立体画像用眼鏡100)
図1は、第1の実施形態にかかる立体画像用眼鏡100の外観を説明するための説明図である。図1に示すように立体画像用眼鏡100は、左眼球プリズム110と、左対物プリズム112と、右眼球プリズム120と、右対物プリズム122と、左レンズ130と、右レンズ132と、支持機構150と、回転機構200とを含んで構成される。左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120、及び右対物プリズム122は、例えば、ウェッジプリズムである。
【0014】
図2〜図4は、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122の相対的な位置関係を説明するための説明図である。図2は、立体画像用眼鏡100をユーザの眼の位置に装着し、左眼球プリズム110の中心を通る軸(左眼の視軸に相当する軸)である左中心軸114と、右眼球プリズム120の中心を通る軸(右眼の視軸に相当する軸)である右中心軸124とが水平面で平行になるような姿勢にしたときに、鉛直上方から立体画像用眼鏡100を見た場合(以下、単に上面視と称する)の、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122の位置関係を示す。以下、立体画像用眼鏡100を装着し、左中心軸114と右中心軸124とが水平面で平行になるような姿勢にした状態における鉛直上方を単に上と、鉛直下方を単に下と称する。また、以下の実施形態において、図面を用いて立体画像用眼鏡を説明する場合、立体画像用眼鏡の姿勢は、特に記載がなければ、立体画像用眼鏡をユーザの眼の位置に装着し、左中心軸114と右中心軸124とが水平面で平行になるような姿勢とする。また、特に記載がなければ、ユーザが立体画像用眼鏡を通して、視認対象(視認対象画像)を視認しているものとする。
【0015】
図2に示すように、左眼球プリズム110は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着したときに、ユーザの左眼側に位置するように配される。左対物プリズム112は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着したときに、左眼球プリズム110よりも、立体画像用眼鏡によって視認する視認対象(ここでは画像102(以下、単に、視認対象画像と称する))側であって、左中心軸114に左対物プリズム112の中心が位置するように配される。このように、本実施形態において、左中心軸114は、左眼球プリズム110の中心、および、左対物プリズム112の中心を通る軸である。
【0016】
また、右眼球プリズム120は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着したときに、ユーザの右眼側に位置するように配される。右対物プリズム122は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着したときに、右眼球プリズム120よりも、視認対象画像102側であって、右中心軸124に右対物プリズム122の中心が位置するように配される。このように、本実施形態において、右中心軸124は、右眼球プリズム120の中心、および、右対物プリズム122の中心を通る軸である。
【0017】
図2に示すように、左眼球プリズム110には左中心軸114と直交する面である左眼球平面110aが形成されており、右眼球プリズムには右中心軸と直交する面である右眼球平面120aが形成されている。そして、図3(a)に示すように、左眼球平面110aと右眼球平面120aとは、同一平面104a上に位置している。また、左対物プリズム112には左中心軸114と直交する面である左対物平面112aが形成されており、右対物プリズム122には右中心軸124と直交する面である右対物平面122aが形成されている。そして、図3(b)に示すように、左対物平面112aと右対物平面122aとは同一平面104b上に位置している。なお、左眼球平面110aと右眼球平面120aとは、必ずしも同一平面104a上に位置していなくてもよいが、同一平面104a上に位置するようにした方が、設計が容易になる。また、左対物平面112aと右対物平面122aとは、必ずしも同一平面104b上に位置していなくてもよいが同一平面104bに位置するようにした方が、設計が容易になる。
【0018】
左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120、および右対物プリズム122のうちの1枚のプリズムをプリズムの中心軸回りに回転させる場合、そのプリズムの光軸の回動は、水平面内の回動成分と、プリズムの中心軸を含み、水平面と直交する面(以下、鉛直面と称する)内の回動成分とが合わさったものとなる。そこで、左眼球プリズム110と左対物プリズム112の組み合わせ、または右眼球プリズム120と右対物プリズム122の組み合わせ(以下、単に、2つのプリズムと称する)を、そのプリズムの中心軸(左中心軸114または右中心軸124)回りに同回転角度で各々逆方向に回転させると、一方のプリズムの光軸の鉛直面内の回動成分と、他方のプリズムの光軸の鉛直面内の回動成分とが互いに打ち消しあうことになる。このため、2つのプリズムをそのプリズムの中心軸回りに同回転角度で各々逆方向に回転させることにより、光軸の回動は、水平面内(1つの面内)に規制される。
【0019】
プリズムは、眼球側に位置する面と視認対象画像102側に位置する面とが平行ではないため、上述した、光軸の回動を1つの面内に規制する技術を利用して、プリズムの光軸の回動を、立体画像用眼鏡100を装着した状態の水平面内に規制するためには、以下のように、4つのプリズムを配置する。図2および図4(a)に示すように、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とが面対称となり、かつ、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とが面対称となる状態(基準状態)において、左眼球最大点116aと、左眼球最小点116bと、右眼球最大点126aと、右眼球最小点126bとが同一直線106a上に位置するように、また、左対物最大点118aと、左対物最小点118bと、右対物最大点128aと、右対物最小点128bとが同一直線106b上に位置するように、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122(以下、単に4つのプリズムと称する)を配置する。
【0020】
なお、左眼球平面110aと右眼球平面120aとが同一平面104a上に位置させず、さらに、左対物平面112aと右対物平面122aとが同一平面104b上に位置させないように構成した場合は、上述した基準状態において、左眼球最大点116aと、左眼球最小点116bと、右眼球最大点126aと、右眼球最小点126bとが、左中心軸114または右中心軸124を含む同一平面(本実施形態においては水平面)上に位置するように、また、左対物最大点118aと、左対物最小点118bと、右対物最大点128aと、右対物最小点128bとが、左中心軸114または右中心軸124を含む同一平面(本実施形態においては水平面)上に位置するように、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を配置する。
【0021】
また、左眼球平面110aと右眼球平面120aとを同一平面上に位置させ、左対物平面112aと右対物平面122aとを同一平面上に位置させるように構成し、上述した基準状態において、左眼球最大点116aと、左眼球最小点116bと、右眼球最大点126aと、右眼球最小点126bとが、左中心軸114または右中心軸124と平行な同一平面(本実施形態においては水平面)上に位置するように、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を配置してもよい。
【0022】
ここで、左眼球最大点116aは、左眼球プリズム110の左中心軸114方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ左中心軸114と平行な軸114aと、左眼球平面110aとの交点である。左眼球最小点116bは、左眼球プリズム110の左中心軸114方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ左中心軸114と平行な軸114bと、左眼球平面110aとの交点である。また、右眼球最大点126aは、右眼球プリズム120の右中心軸124方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ右中心軸124と平行な軸124aと、右眼球平面120aとの交点である。右眼球最小点126bは、右眼球プリズム120の右中心軸124方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ右中心軸124と平行な軸124bと、右眼球平面120aとの交点である。
【0023】
左対物最大点118aは、左対物プリズム112の左中心軸114方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ左中心軸114と平行な軸114aと、左対物平面112aとの交点である。左対物最小点118bは、左対物プリズム112の左中心軸114方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ左中心軸114と平行な軸114bと、左対物平面112aとの交点である。右対物最大点128aは、右対物プリズム122の右中心軸124方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ右中心軸124と平行な軸124aと、右対物平面122aとの交点である。右対物最小点128bは、右対物プリズム122の右中心軸124方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ右中心軸124と平行な軸124bと、右対物平面122aとの交点である。
【0024】
人は、立体画像を結像するために生成された左右の眼用の2つの画像(左眼用画像および右眼用画像)を、それぞれ対応する眼でそれぞれ視認することで立体画像を正しく結像することができる。例えば、平行法では、ユーザから見て左に左眼用画像を、右に右眼用画像を配置して、ユーザは、左眼の視軸(光軸、視線)と右眼の視軸(光軸、視線)とを略平行にして輻輳点を無限遠にし、かつ、焦点を画像の位置に合わせることで、立体画像を知覚することができる。一方、交差法では、ユーザから見て左に右眼用画像を、右に左眼用画像を配置して、ユーザは、左眼の視軸と右眼の視軸とを交差して輻輳点を画像の手前にし、かつ、焦点を画像の位置に合わせることで、立体画像を知覚することができる。
【0025】
このように、平行法および交差法のいずれを利用する場合であっても、2つの画像(以下、単に左右画像と称する)は、視軸(光軸、視線)に直交する面において、水平方向に異なる位置に重ならないように配されることとなるため、ユーザは、左右の眼の視軸の水平面内の相対角(輻輳角)と焦点とを別々に調整しなければならない。なお、平行法を利用する場合、ユーザは、左右の眼の視軸を略平行とし、かつ焦点調整しなければならない。以下、視軸を略平行とする場合も輻輳角と称することで説明を省略する。
【0026】
しかし、ユーザ自身の力で輻輳角と焦点の両方を別々に調整するのは、容易ではないため、ユーザは、平行法や交差法を利用して立体画像を知覚するために、ある程度、訓練しなければならない。また、訓練を行ったとしても、ユーザによっては、輻輳角と焦点の両方を調整することができず、立体画像を知覚できないこともある。また、人は、左右の眼の自身の視軸を平行にするのが限界であり、輻輳角が0度を下回った状態で視認しないと立体画像を知覚することができないような画像の場合は、立体画像を知覚することが難しい。
【0027】
そこで、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とを、左中心軸114回りに同回転角度で逆方向に回転させると、左眼球プリズム110および左対物プリズム112の鉛直方向の光軸の回動が相殺され、鉛直方向に光軸が回動することはなく、左眼球プリズム110または左対物プリズム112の回転角度に応じて水平面内でのみ光軸が回動する。同様に、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とを、右中心軸124回りに同回転角度で逆方向に回転させると、右眼球プリズム120および右対物プリズム122の鉛直方向の光軸の回動が相殺され、鉛直方向に光軸が回動することはなく、右眼球プリズム120または右対物プリズム122の回転角度に応じて水平面内でのみ光軸が回動する。
【0028】
図5から図7は、プリズムの回転と、これに伴う光軸の回動を説明するための説明図であり、立体画像用眼鏡100を上面視した場合の図である。また、図5から図7において、左眼球プリズム110および左対物プリズム112に関する光軸については、鉛直軸134aを回動軸とした反時計回りの回動を正とする。また、図5から図7において、右眼球プリズム120および右対物プリズム122に関する光軸については、鉛直軸134bを回動軸とした時計回りの回動を正とする。また、ここでは、4つのプリズムそれぞれの屈折角が15度である場合について説明する。
【0029】
例えば、図5に示す、左対物最小点118b、右対物最小点128b、左眼球最大点116a、右眼球最大点126aが同一の水平面に位置する場合(また、左対物最大点118a、右対物最大点128a、左眼球最小点116b、右眼球最小点126bが同一の水平面に位置する場合)、左対物プリズム112から視認対象画像102に向かう方向の光軸(以下、単に左光軸と称する)と、右対物プリズム122から視認対象画像102に向かう方向の光軸(以下、単に右光軸と称する)は、略平行となる。この場合の立体画像用眼鏡100を装着したユーザの左眼は、左眼球プリズム110および左対物プリズム112を通じて、ユーザから見て左側に位置する左眼用画像102aを視認し、右眼は、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を通じて、ユーザから見て右側に位置する右眼用画像102bを視認することができる。したがって、左眼用画像102aおよび右眼用画像102bを、輻輳点を無限遠にした平行法に対応させておけば、ユーザは、立体画像用眼鏡100を装着して、4つのプリズムを回動させることで、立体画像用眼鏡100を平行法に対応する状態に調整するだけで、容易に立体映像を知覚することができる。
【0030】
そして、図5に示す状態から、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とを同回転角度で各々逆方向に、左中心軸114回りに回転させ、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とを同回転角度で各々逆方向に、右中心軸124回りに回転させ、図6に示す、左対物最小点118b、左対物最大点118a、右対物最大点128aおよび右対物最小点128bがこの順で、また、左眼球最小点116b、左眼球最大点116a、右眼球最大点126a、および右眼球最小点126bがこの順で、同一の水平面内に位置する状態にする。すなわち、左対物最大点118aと右対物最大点128aが対向し、左眼球最大点116aと右眼球最大点126aが対向する位置にする。そうすると、図6に示すように、左光軸と右光軸とを、それぞれ水平面内で+30度回動(このときの、光軸の水平面内の相対角は60度)させることができる。この場合の立体画像用眼鏡100を装着したユーザの左眼は、左眼球プリズム110および左対物プリズム112を通じて、ユーザから見て右側に位置する左眼用画像102aを視認し、右眼は、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を通じて、ユーザから見て左側に位置する右眼用画像102bを視認することができる。したがって、左眼用画像102aおよび右眼用画像102bを、輻輳点136が視認対象画像102のユーザ側に位置し輻輳角を60°にした交差法に対応させておけば、ユーザは、立体画像用眼鏡100を装着して、4つのプリズムを回動させることで、立体画像用眼鏡100を交差法に対応する状態に調整するだけで、容易に立体映像を知覚することができる。
【0031】
また、図6に示す状態から、さらに、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とを同回転角度で逆方向に、左中心軸114回りに回転させ、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とを同回転角度で逆方向に、右中心軸124回りに回転させ、図7に示す、左対物最大点118a、左対物最小点118b、右対物最小点128bおよび右対物最大点128aがこの順で、また、左眼球最大点116a、左眼球最小点116b、右眼球最小点126bおよび右眼球最大点126aがこの順で、同一の水平面内に位置する状態にする。すなわち、左対物最小点118bと右対物最小点128bとが対向し、左眼球最小点116bと右眼球最小点126bとが対向する位置にする。そうすると、図7に示すように、左光軸と右光軸とを、それぞれ水平面内で−30度回動(このときの、光軸の水平面内の相対角は−60度)させることが可能となる。この場合の立体画像用眼鏡100を装着したユーザの左眼は、左眼球プリズム110および左対物プリズム112を通じて、ユーザから見て左側に位置する左眼用画像102aを視認し、右眼は、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を通じて、ユーザから見て右側に位置する右眼用画像102bを視認することができる。また、この場合、ユーザの視差を、ユーザの左右の眼の間の距離(眼間距離)以上とすることができる。したがって、平行法によって裸眼では立体映像が結像できないような、眼間距離よりも長い視差の左眼用画像102aおよび右眼用画像102bであっても、立体画像用眼鏡100を装着すれば、ユーザは、容易に立体映像を知覚することができる。
【0032】
また、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とが面対称となり、かつ、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とが面対称となる状態において、左眼球最大点116aと、左眼球最小点116bと、右眼球最大点126aと、右眼球最小点126bとが同一直線106a上に位置するように立体画像用眼鏡100を構成することにより、このような水平面内で光軸を左右対称に回動させて輻輳角を調整することができ、ユーザは、焦点のみを調整しさえすれば立体画像を容易に結像することが可能となる。
【0033】
さらに、立体画像用眼鏡100の光軸の水平面内の相対角は各プリズムの屈折角によっては、最大で−90〜90度まで回動させるように設定することが可能なので、立体画像用眼鏡100は、平行法および交差法のいずれにも対応できる。また、2つのプリズムを回転させることによって、2つのプリズムの光軸の水平面内の回動を調整できるので、プリズムの回転量に対して、プリズムの光軸の回動角を細かく調整でき、光軸の高精度な調整が可能となる。
【0034】
また、図1〜図5に示すように、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122は、外縁形状が円である円形プリズムであることが好ましい。
【0035】
本実施形態の立体画像用眼鏡100は、片眼に関し、2つのプリズムをそのプリズムの中心軸回りにそれぞれ逆方向に回転するように構成されている。そこで、4つのプリズムの外縁形状を円とすることで、回転角度によって見かけ上の外縁形状が変化しないので、回転機構200を形成し易い。また、2つのプリズムの外縁形状を半径の等しい円とすることで、ユーザが立体画像を正しく結像できる有効領域を円すべての範囲に適応できるので、プリズムの、立体画像を結像できない無駄な領域を排除することが可能となる。
【0036】
また、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122は、略同一形状にするとよい。以下、その理由について説明する。
【0037】
図8は、プリズムの精度を説明するための説明図である。図8(a)に示すように、例えば、交差法を利用して、ユーザに立体画像を知覚させる場合、視認対象画像102として、ユーザから見て左に右眼用画像102bを、右に左眼用画像102aを配置する。ここで、4つのプリズムの屈折角にバラツキがあると、それぞれのプリズムを同角度回転させた場合は、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とで、また、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とで、鉛直方向の光軸の回動を相殺することができず、鉛直方向にも光軸が回動してしまう。したがって、ユーザが、4つのプリズムの屈折角にバラツキがある立体画像用眼鏡を通じて視認すると、図8(b)に示すように、左眼用画像102aと右眼用画像102bとが鉛直方向にずれてしまい、ユーザは立体画像を正しく結像することができない。
【0038】
そこで、4つのプリズムを同一形状とすることで、すべてのプリズムの屈折角の誤差を等しくでき、プリズムごとの屈折角のバラツキを抑えることが可能となる。これにより、それぞれのプリズムを同角度回転させることで、図8(c)に示すように、鉛直方向の光軸の回動を抑え、左眼用画像102aと右眼用画像102bとを確実に結像させることができる。また、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を同一形状とすれば、同一の金型で、4つのプリズムを作成することができるので、プリズムごとの屈折角のバラツキを抑えるのみならず、製造コストを低減することも可能となる。また、それぞれのプリズムを同角度回転させればよいので、回転機構200の構造も簡単にすることができる。
【0039】
また、図1に示すように、立体画像用眼鏡100は、例えば、アナモフィックレンズ等のレンズを2つ(左レンズ130および右レンズ132)備える。すなわち、2つのレンズ(左レンズ130および右レンズ132)は、左眼球平面110aと左中心軸114との交点および右眼球平面120aと右中心軸124との交点を通る線と直交する線であって、左中心軸114および右中心軸124と直交する面上の線の方向に視認対象画像102を縮小させてユーザに視認させるレンズ(以下、単に縮小レンズと称する)、または、左眼球平面110aと左中心軸114との交点および右眼球平面120aと右中心軸124との交点を通る線の方向に視認対象画像102を拡大させてユーザに視認させるレンズ(以下、単に拡大レンズと称する)である。
【0040】
したがって、例えば、2つのレンズを縮小レンズで構成した立体画像用眼鏡100を、左眼球プリズム110の左中心軸114と、右眼球プリズム120の右中心軸124とが、水平面で平行になるような姿勢にすると、2つのレンズの縮小方向は、鉛直方向となり、2つのレンズを拡大レンズで構成した立体画像用眼鏡100を、左眼球プリズム110の左中心軸114と、右眼球プリズム120の右中心軸124とが、水平面で平行になるような姿勢にすると、2つのレンズの拡大方向は、水平方向となる。また、左レンズ130および右レンズ132は、支持機構150に着脱される。なお、図1に示す左レンズ130および右レンズ132は、縮小レンズを用いた例である。
【0041】
図9を用いて、左レンズ130および右レンズ132について、詳細に説明する。図9は、左レンズ130および右レンズ132の形状を説明するための説明図であり、特に図9(a)は、左レンズ130および右レンズ132が、拡大レンズである場合の斜視図を、図9(b)は、左レンズ130および右レンズ132が、拡大レンズである場合の水平断面図をそれぞれ示す。また、図9(c)は、左レンズ130および右レンズ132が、縮小レンズである場合の斜視図を、図9(d)、(e)は、左レンズ130および右レンズ132が、縮小レンズである場合の、左レンズ130の左中心軸114を含む鉛直断面図および右レンズ132の右中心軸124を含む鉛直断面図を、それぞれ示す。
【0042】
図9(a)、(b)に示すように、左レンズ130は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着した場合のユーザの左眼球側に、左レンズ130の光軸130aを含む水平面と直交する平面130bを有する。同様に、右レンズ132は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着した場合のユーザの右眼球側に、光軸132aを含む水平面と直交する平面132bを有する。
【0043】
左レンズ130および右レンズ132が、レンズの光軸(130aまたは132a)を含む水平面と直交する平面(130bまたは132b)を有する構成により、支持機構150とレンズの平面を面一(段差がない状態)にすることができ、支持機構150とレンズの美観を向上させることが可能となる。
【0044】
左レンズ130の視認対象画像102側の面130cは、左レンズ130のどの水平断面においても、その断面の形状が、視認対象画像102側に凸になるように形成される。同様に、右レンズ132の視認対象画像102側の面132cは、右レンズ132のどの水平断面においても、その断面の形状が、視認対象画像102側に凸になるように形成される。また、拡大レンズの場合、平面130bと直交し、かつ水平面と直交する面を断面としたときの左レンズ130の断面は、どの断面においても矩形形状となる。同様に、平面132bと直交し、かつ水平面と直交する面を断面としたときの右レンズ132の断面は、どの断面においても矩形形状となる。そして、支持機構150は、面130cと面132cとが、視認対象画像102の方向に向くように、左レンズ130および右レンズ132を支持する。また、支持機構150は、左レンズ130の光軸130aと左中心軸114とが一致するように、右レンズ132の光軸132aと右中心軸124とが一致するように、左レンズ130および右レンズ132を保持する。
【0045】
一方、図9(c)、(d)および(e)に示すように、左レンズ130は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着した場合のユーザの左眼球側に、左レンズ130の光軸130aを含む水平面と直交する平面130bを有する。同様に、右レンズ132は、ユーザが立体画像用眼鏡100を装着した場合のユーザの右眼球側に、光軸132aを含む水平面と直交する平面132bを有する。
【0046】
左レンズ130の視認対象画像102側の面130cは、平面130bと直交し、かつ水平面と直交する面を断面としたとき、どの断面においても、その断面の形状が、左眼球側に凹になるように形成される。同様に、右レンズ132の視認対象画像102側の面132cは、平面132bと直交し、かつ水平面と直交する面を断面としたとき、どの断面においても、その断面形状が、右眼球側に凹になるように形成される。また、縮小レンズの場合、左レンズ130および右レンズ132の水平断面は、矩形形状となる。そして、支持機構150は、面130cと面132cとが、視認対象画像102の方向に向くように、左レンズ130および右レンズ132を支持する。また、支持機構150は、左レンズ130の光軸130aと左中心軸114とが一致するように、右レンズ132の光軸132aと右中心軸124とが一致するように、左レンズ130および右レンズ132を保持する。
【0047】
図1に示すように、支持機構150は、左中心軸114上に左レンズ130の光軸130aが位置するように、右中心軸124上に右レンズ132の光軸132aが位置するように、左レンズ130および右レンズ132をそれぞれ支持する。
【0048】
立体画像用眼鏡100が左レンズ130および右レンズ132を備える構成により、視認対象画像102を水平方向に拡大したり(拡大レンズを用いた場合)、鉛直方向(垂直方向)に縮小したり(縮小レンズを用いた場合)して視認することができる。したがって、例えば、サイドバイサイド方式のようにアスペクト比が水平方向にのみ縮小されている画像に対し、そのアスペクト比を元の比に戻すことができるので、特別な画像処理を行わなくとも、ユーザは、左レンズ130および右レンズ132を通じて、サイドバイサイド方式の画像を元のアスペクト比で知覚することができる。
【0049】
また、左レンズ130および右レンズ132を着脱可能な支持機構150を備える構成により、例えばサイドバイサイド方式のようにアスペクト比が水平方向にのみ縮小されている画像を視認するときだけ、左レンズ130および右レンズ132を装着し、アスペクト比が変更されていない画像を視認する場合には、左レンズ130および右レンズ132を取り外すことができる。したがって、ユーザは、立体画像用眼鏡100を装着すれば、画像のアスペクト比が変更されているか否かにかかわらず様々な画像を通じて立体画像を知覚することができる。
【0050】
また、上述した図9に示す例では、左レンズ130および右レンズ132は、レンズの光軸(130aまたは132a)を含む水平面と直交する平面(130bまたは132b)を有しているが、これに限定されず、例えば、レンズが拡大レンズである場合、眼球側の面も視認対象画像102側の面も両方とも凸面としたり、レンズが縮小レンズである場合、眼球側の面も視認対象画像102側の面も両方とも凹面としてもよい。かかる構成により、レンズの曲率半径を大きくすることができる。
【0051】
また、本実施形態において、立体画像用眼鏡100は、左対物プリズム112および右対物プリズム122の視認対象画像102側に支持機構150を設けているが、これに限定されず、左眼球プリズム110および右眼球プリズム120の眼球側に支持機構150を設けてもよい。また、視認対象画像102側と、左眼球プリズム110および右眼球プリズム120の眼球側の双方に、支持機構150を設けてもよい。
【0052】
(回転機構200)
回転機構200は、外力に応じて、左中心軸114を回転軸として左眼球プリズム110を回転させるとともに、左眼球プリズム110と同回転角度で逆方向に左対物プリズム112を回転させ、さらに、左眼球プリズム110と同回転角度で同方向、または、同回転角度で逆方向に、右中心軸124を回転軸として右眼球プリズム120を回転させるとともに、右眼球プリズム120と同回転角度で逆方向に右対物プリズム122を回転させる。
【0053】
図10〜図13は、第1の実施形態にかかる回転機構200の一例を説明するための説明図である。特に、図10および図12は、回転機構200全体の斜視図を、図11(a)、図13(a)は、立体画像用眼鏡100を装着した状態で、眼球側から回転機構200を見た(以下、単に背面視と称する)図を、図11(b)、図13(b)は、視認対象画像102側から回転機構200を見た(以下、単に正面視と称する)図をそれぞれ示す。なお、図12では、理解を容易にするために、ベースフレーム202、テンプルフレーム204や回転機構200を支持する支持機構の図示を省略している。
【0054】
図10に示すように、回転機構200は、ベースフレーム202と、左プリズム保持枠210(図10〜図12中、210a、210bで示す)と、右プリズム保持枠220(図10〜図12中、220a、220bで示す)と、回転部230(図10〜図13中、230a、230bで示す)と、連結部232と、調整ノブ234とを含んで構成される。
【0055】
ベースフレーム202は、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220を回転可能に保持する。ユーザは、テンプルフレーム204を自身の耳に引っ掛ける(掛止する)ことで立体画像用眼鏡100を装着する。なお、ベースフレーム202と、テンプルフレーム204は、一体的に形成されてもよい。
【0056】
左プリズム保持枠210aは左眼球プリズム110を、左プリズム保持枠210bは左対物プリズム112を、それぞれ嵌合して保持する。同様に、右プリズム保持枠220aは右眼球プリズム120を、右プリズム保持枠220bは右対物プリズム122を、それぞれ嵌合して保持する。
【0057】
ここで、左プリズム保持枠210は、左眼球平面110aと左対物平面112aとが対向するように、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とを保持し、また、右プリズム保持枠220は、右眼球平面120aと右対物平面122aとが対向するように右眼球プリズム120と右対物プリズム122とを保持する。
【0058】
上述したように、左眼球プリズム110および左対物プリズム112、または右眼球プリズム120および右対物プリズム122で、水平面内でのみ光軸を回動させるために、左眼球プリズム110の中心軸および左対物プリズム112の中心軸を同軸(左中心軸114)に、右眼球プリズム120の中心軸および右対物プリズム122の中心軸を同軸(右中心軸124)にして、ベースフレーム202に取り付けている。
【0059】
図2から図4を参照して理解できるように、プリズムには、中心軸方向の厚みが厚い部分と、薄い部分が存在する。ここで、左眼球斜平面110bと左対物斜平面112bとを対向するように配し、右眼球斜平面120bと右対物斜平面122bとを対向するように配すると、プリズムの厚みが厚い部分と薄い部分の差分だけ、2つのプリズム同士を近づけることができない。
【0060】
そこで、図1に示すように、左プリズム保持枠210が、左眼球平面110aと左対物平面112aとがベースフレーム202を介して対向するように、左眼球プリズム110と左対物プリズム112とを保持し、右プリズム保持枠220が、右眼球平面120aと右対物平面122aとがベースフレーム202を介して対向するように、右眼球プリズム120と右対物プリズム122とを保持するように構成することで、左眼球プリズム110と左対物プリズム112との幅が最小となるように両者を近づけることができ、右眼球プリズム120と右対物プリズム122との幅が最小となるように両者を近づけることができ、立体画像用眼鏡100の左中心軸114方向および右中心軸124方向の厚みを低減することが可能となる。
【0061】
図10および図11に示すように、回転機構200は、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220をウォームホイールとし、回転部230をウォームとしたウォームギア構造を採るように構成されるため、左プリズム保持枠210の外周および右プリズム保持枠220の外周には、回転部230の歯車と歯合(歯と溝を合わせた状態にすること)する歯が形成されている。
【0062】
回転部230は、ねじ歯車(ウォーム)で構成され、左プリズム保持枠210の外周および右プリズム保持枠220の外周に形成された歯と歯合する。
【0063】
また、図10および図11に示すように、本実施形態の回転機構200は、左眼球プリズム110および左対物プリズム112を、同回転角度で逆方向に回転させ、右眼球プリズム120を左眼球プリズム110と同回転角度で逆方向に回転させ、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を、同回転角度で逆方向に回転させる。そこで、回転機構200は、左眼球プリズム110や右眼球プリズム120と、左対物プリズム112や左対物プリズム122との回転方向を逆方向に回転させるために、回転部230aと回転部230bとを連結するための連結部232をさらに備える。
【0064】
このように、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220をウォームホイールとし、回転部230a、230bをウォームとするウォームギア構造で回転機構200を構成することにより、連結部232を回転させる(外力を加える)だけで、容易かつ確実に、所望する回転を得ることができる。
【0065】
なお、本実施形態の回転機構200は、左プリズム保持枠210a、210b、右プリズム保持枠220a、220b、回転部230a、230b、および連結部232がお互いにそれぞれ歯合しているので、左プリズム保持枠210a、210b、右プリズム保持枠220a、220b、回転部230a、230b、および連結部232の群のうち、いずれか1を回転させれば、他が全て回転することになる。ただし、ウォームギア構造の不可逆性作用を考えると、図10および図11(a)に示すように、回転部230a、230bのいずれかを回転させるのが望ましい。
【0066】
また、図10および図11に示す例では、左プリズム保持枠210と右プリズム保持枠220の間に、回転部230を配した例について説明したが、これに限定されず、図12および図13に示すように、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220の上または下に回転部230を配してもよい。かかる図12および図13の構成によっても図10および図11同様、所望する回転を得ることができる。
【0067】
図14は、第1の実施形態にかかる回転機構200の他の例を説明するための説明図である。図14は、回転機構200を装着した状態で、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220の上面視した図である。なお、図14では、理解を容易にするために、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120、右対物プリズム122、左レンズ130、右レンズ132を省略する。
【0068】
図14に示すように、立体画像用眼鏡100は、左プリズム保持枠210aの外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである左フランジ部212aと、左プリズム保持枠210bの外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである左フランジ部212bと、右プリズム保持枠220aの外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである右フランジ部222aと、右プリズム保持枠220bの外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである右フランジ部222bとを備える。そして、左フランジ部212a、212bおよび右フランジ部222a、222bの外周には、滑り止めを目的とした浅い切削加工であるローレット加工が施されている。
【0069】
このように、左フランジ部212(図14中、212a、212bで示す)および右フランジ部222(図14中、222a、222bで示す)を備える構成により、ユーザは、左フランジ部212または右フランジ部222を回転させれば、4つのプリズムを同回転角度で回転させることができる。また、左フランジ部212および右フランジ部222の外周にローレット加工を施す構成により、ユーザが指で左フランジ部212または右フランジ部222を回転するときに、ユーザの指と左フランジ部212または右フランジ部222とを滑りにくくすることができ、ユーザの使い勝手を向上させることが可能となる。
【0070】
(範囲指示部250)
図15は、第1の実施形態にかかる範囲指示部を説明するための説明図である。本実施形態において、回転機構200は、中心軸(左中心軸114または右中心軸124)回りの回転範囲を示す範囲指示部250をさらに備える。ここでは、左眼球プリズム110と右対物プリズム122とが背面視の場合における反時計回りに、左対物プリズム112と右眼球プリズム120とが背面視の場合における時計回りに回転するとする。
【0071】
なお、図15において、調整角θは、左眼球最大点116aと、左眼球平面110aと左中心軸114との交点とを通る直線140a(図15中、破線で示す)と、左対物最大点118aと、左対物平面112aと左中心軸114との交点とを通る直線140b(図15中、一点鎖線で示す)とが為す角である。また、調整角θは、右眼球最大点126aと、右眼球平面120aと右中心軸との交点とを通る直線142a(図15中、破線で示す)と、右対物最大点128aと、右対物平面122aと右中心軸124との交点とを通る直線142b(図15中、一点鎖線で示す)とが為す角である。範囲指示部は、調整角θまたは調整角θが、左中心軸114回りまたは右中心軸124回りに回転可能な回転角度の範囲における、第1の角度範囲、および、第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲のうちいずれに含まれるかを示す。
【0072】
図15(a)は、調整角θおよび調整角θが0度の場合を、図15(b)は、90度の場合を、図15(c)は、180度の場合を、図15(d)は、270度の場合をそれぞれ示す。範囲指示部は、調整角θまたは調整角θのいずれか一方または両方が、0度以上180度未満であるか、180度以上360度(0度)未満であるかを示す。したがって、範囲指示部は、調整角θおよび調整角θが図15(a)および図15(b)の場合は、180度未満であると、図15(c)および図15(d)の場合は、180度以上であることを示す。
【0073】
図16は、範囲指示部250の具体的な構成を説明するための説明図である。なお、図16は、立体画像用眼鏡100を背面視した図を示す。図16に示すように、本実施形態において範囲指示部250は、突出帯252と、指示部254とを含んで構成される。
【0074】
突出帯252は、左プリズム保持枠210および右プリズム保持枠220のいずれか一方(本実施形態では、右プリズム保持枠220a)と連動して回転する。ここでは、突出帯252は、右中心軸124を回転中心として、右プリズム保持枠220aと同回転角度、同方向に回転する。突出帯252の外周は、突出帯252の回転中心から第1の距離離れている第1の外周部分252a(図16中、ハッチングで示す)と、突出帯252の回転中心から、第1の距離よりも短い第2の距離離れている第2の外周部分252bを有する。
【0075】
指示部254は、弾性部254aと、当接部254bと、第1指標254cと、第2指標254dとを含んで構成され、指示部254自体の支点254eが、ベースフレーム202に回転自在に固定される。指示部254では、トーションバネ等で構成される弾性部254aが、弾性力によって、当接部254b、第1指標254c、および第2指標254dに対して、支点254eを中心に図16中右回り(時計回り)に力を加えている。その結果、当接部254bは、突出帯252の外周に当接(突き当てた状態に接すること)されている状態となる。また、当接部254bは、第1指標254cに連結されている。第1指標254cおよび第2指標254dは、支点254eを中心として回転することができるように設けられる。
【0076】
そして、範囲指示部250は、調整角(ここでは、調整角θ)が第1の角度範囲および第2の角度範囲のうちの一方の角度範囲に含まれている場合に、当接部254bが、第1の外周部分252aに当接されるとともに、第1指標254cが、第2指標254dよりも突出帯252の外周から離れた位置に位置するように設けられる。また、範囲指示部250は、調整角(ここでは、調整角θ)が他方の角度範囲に含まれている場合に、当接部254bが、第2の外周部分252bに当接されるとともに、第2指標254dが、第1指標254cよりも突出帯252の外周から離れた位置に位置するように設けられる。
【0077】
例えば、図16(a)に示すように、突出帯252の、第1の外周部分252aに当接部254bが当接している場合、指示部254の第1指標254cは、第2指標254dよりも突出帯252の外周から離れた位置に位置することになる。そして、図16(b)に示すように、右プリズム保持枠220が回転すると、当接部254bは、突出帯252の第1の外周部分252aから、突出帯252の、第2の外周部分252bに当接し始め、徐々に第1指標254cが没入し、第2指標254dが、突出帯252の外周から離隔する方向に突出し始める。さらに、右プリズム保持枠220が回転すると、図16(c)に示すように、当接部254bは、突出帯252の第2の外周部分252bに当接し、第2指標254dは、第1指標254cよりも突出帯252の外周から離れた位置に位置することになる。
【0078】
このような突出帯252と、指示部254とで構成される範囲指示部250を備える構成により、調整角θおよび調整角θが0度以上180度未満(第1の角度範囲)の間であるか、180度以上360度未満(第2の角度範囲)の間であるかを指示部254の第1指標254cと、第2指標254dとに関連づけておけば、ユーザは、指示部254の第1指標254cや、第2指標254dを視認するだけで、左眼球プリズム110と左対物プリズム112の光軸と、右眼球プリズム120と右対物プリズム122の光軸の為す角がどの角度範囲にあるかを把握することができる。
【0079】
例えば、調整角θおよび調整角θが0以上180度未満(第1の角度範囲)の場合、第1指標254cが突出し、180度以上360度未満(第2の角度範囲)の場合、第2指標254dが突出するように、範囲指示部250を構成する。
【0080】
調整角θおよび調整角θが0度以上180度未満(第1の角度範囲)の場合、左光軸と右光軸は、相対角が60度から徐々に小さくなり略平行となるため(図6に示す状態から図5に示す状態になる)、文字や図形等を付して、第1指標254cを交差法を示す指標にしておけば、ユーザは、第1指標254cを視認するだけで、立体画像用眼鏡100が交差法に適した範囲であることを把握することができる。
【0081】
また、調整角θおよび調整角θが180度以上360度未満(第2の角度範囲)の場合、左光軸と右光軸は、略平行から、相対角が−60度となるため(図5に示す状態から図7に示す状態になる)、文字や図形等を付して、第2指標254dを平行法を示す指標にしておけば、ユーザは、第2指標254dを視認するだけで、立体画像用眼鏡100が平行法に適した範囲であることを把握することができる。
【0082】
また、立体画像用眼鏡100から視認対象画像102までの距離によっては、調整角θおよび調整角θが0度以上180度未満の場合(相対角が正)の場合においても、平行法に適する状態になることがある、平行法を示す指標の角度範囲を交差法の角度範囲よりも大きく取ってもよい。
【0083】
したがって、ユーザは、範囲指示部250を確認するだけで、立体画像用眼鏡100が、交差法に適した状態であるか、平行法に適した状態であるかを即座に把握することができる。よって、ユーザは、範囲指示部250を確認しながら、左眼球プリズム110、右対物プリズム122、左対物プリズム112、および右眼球プリズム120を回転させることで、交差法に基づく視認対象画像102、および、平行法に基づく視認対象画像102のどちらに対しても、即座に対応させることができる。
【0084】
以上、説明したように、本実施形態にかかる立体画像用眼鏡100によれば、プリズムを左右で2枚ずつ利用することで、プリズムによる光軸の鉛直方向の回動を確実に排除し、視認対象画像102の位置や視認対象画像102に対するユーザの相対位置に応じて、光軸の水平面内の回動のみを容易かつ高精度に調整することができるので、ユーザは立体画像用眼鏡100を装着するだけで、自身の視軸の水平面内の回動のみを調整することが可能となる。したがって、ユーザは、特別な訓練をせずとも、平行法および交差法のいずれの裸眼立体視によっても立体画像を知覚することができる。
【0085】
なお、調整角θおよび調整角θが0以上180度未満の場合に第2指標254dが突出し、180度以上360度未満の場合に第1指標254cが突出するようにし、第1指標254cを平行法を示す指標、第2指標254dを交差法を示す指標にするような構成にしてもよい。なお、このようにするには、図16で説明した状態から、突出帯252をプリズムに対して180度ずらして取り付け、第1指標254cおよび第2指標254bに記す文字や図形を入れ替えればよい。
【0086】
(第2の実施形態:立体画像用眼鏡300)
図17は、第2の実施形態にかかる立体画像用眼鏡300の外観を説明するための説明図である。図17では、理解を容易にするために、左レンズ130、右レンズ132および支持機構150の図示を省略している。図17に示すように、左眼球プリズム110と、左対物プリズム112と、右眼球プリズム120と、右対物プリズム122と、左レンズ130と、右レンズ132と、支持機構150と、回転機構400とを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態の立体画像用眼鏡100と実質的に等しい構成要素である、左眼球プリズム110、左対物プリズム112、右眼球プリズム120、右対物プリズム122、左レンズ130、右レン132、支持機構150については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、第1の実施形態と構成の異なる回転機構400について詳述する。
【0087】
図18は、第2の実施形態にかかる回転機構400の一例を説明するための説明図である。図18(b)に示すように、回転機構400は、ベースフレーム402と、テンプルフレーム204と、左レール部404(図18中、404a、404bで示す)と、右レール部406(図18中、406a、406bで示す)と、左プリズム保持枠410と、右プリズム保持枠412と、ベルト430とを含んで構成される。第1の実施形態における構成要素として既に述べた、テンプルフレーム204は、実質的に機能が等しいので重複説明を省略する。特に図18(a)は、ベースフレーム402を説明するための説明図(図18(a)の左側は、ベースフレーム402を前面側(視認対象側)から見た図を、右側はベースフレーム402を背面側から見た図をそれぞれ示す)を、図18(b)は、左レール部404と左プリズム保持枠410との関係、および、右レール部406と右プリズム保持枠412との関係を説明するための説明図を、図18(c)は、切り欠き部とベルトの関係を説明するための説明図を、図18(d)は、左プリズム保持枠410、412、ベルト430の関係を、図18(e)は、ベルトの部分断面図をそれぞれ示す。
【0088】
図18(a)に示すように、ベースフレーム402は、左プリズム保持枠410を嵌合するための左レール部404(図18中、404a、404bで示す)と、右プリズム保持枠412を嵌合するための右レール部406(図18中、406a、406bで示す)をそれぞれ固定する。
【0089】
また、図18(a)から(c)に示すように、ベースフレーム402には、ベルト430が通過する切り欠き部408が設けられている。切り欠き部408の縁は、円柱形状の円柱部408となっている。
【0090】
ベースフレーム402の切り欠き部408は、ベルト430と左プリズム保持枠410が外れてしまうのを防止し、ベルト430と右プリズム保持枠412とが外れてしまうのを防止するガイドの役割を担う。
【0091】
また、図18(c)に示すように、切り欠き部408の縁が、円柱部408aとなっている構成により、切り欠き部408のエッジの角を曲面とすることができ、切り欠き部408を跨いで左プリズム保持枠410および右プリズム保持枠412を張架(張力がかかった状態で掛け渡すこと)するベルト430が切り欠き部408のエッジと摺動することによる、ベルト430の損傷を低減することが可能となる。
【0092】
左レール部404は、ユーザが立体画像用眼鏡300を装着したときに、ユーザの左眼に対応する位置に位置するように、ベースフレーム402に固定される。また、左レール部404は、後述する左プリズム保持枠410の左案内溝420の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部414を複数有する。同様に、右レール部406は、ユーザが立体画像用眼鏡300を装着したときに、ユーザの右眼に対応する位置に位置するように、ベースフレーム402に固定される。また、右レール部406は、後述する右プリズム保持枠412の右案内溝422の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部416を複数有する。ここで、突起部414は、その長手方向が左中心軸と略平行になるように、左レール部404に設けられ、突起部416は、その長手方向が右中心軸と略平行になるように、右レール部406に設けられる。
【0093】
突起部414、416は、立体画像用眼鏡300を装着したときの鉛直断面形状が、半円形状である、半円柱状の所謂かまぼこ型である。
【0094】
左プリズム保持枠410aは、左眼球プリズム110を嵌合して(嵌め合わせて)保持し、左プリズム保持枠410bは、左対物プリズム112を嵌合して保持する。また、図18(b)に示すように、左プリズム保持枠410は、外周に沿って設けられた案内溝である左案内溝420を有する。そして、左案内溝420が突起部414に対して摺動しながら回転可能となるように、左案内溝420と突起部414とを嵌合することで、左プリズム保持枠410が左中心軸114回りに回転可能となる。
【0095】
同様に、右プリズム保持枠412aは、右眼球プリズム120、右プリズム保持枠412bは、右対物プリズム122を嵌合して保持する。また、右プリズム保持枠412は、外周に沿って設けられた案内溝である右案内溝422を有する。そして、右案内溝422が突起部416に対して摺動しながら回転可能となるように、右案内溝422と突起部416とを嵌合することで、右プリズム保持枠412が右中心軸124回りに回転可能となる。
【0096】
また、図18(b)および(c)に示すように、左プリズム保持枠410の外周および右プリズム保持枠412の外周には、ベルト430と歯合する歯が形成されている。そして、図18(c)に示すように、ベルト430は、左プリズム保持枠410aの外周、右プリズム保持枠412bの外周、左プリズム保持枠410bの外周、右プリズム保持枠412aの外周の順に張架する。
【0097】
左レール部404に対して左プリズム保持枠410を、または右レール部406に対して右プリズム保持枠412を回転させる場合、左レール部404および右レール部406に、左レール部404および右レール部406の円周方向に沿った突起を設ければ、回転に伴う、左案内溝420と突起、および、右案内溝422と突起との摩擦を低減することができる。しかし、このような、円周方向に平行な突起を左レール部404および右レール部406に形成する場合、組金型が必要となってしまい、突起の精度を出しにくく、コスト高となってしまう。
【0098】
そこで、上述したようなかまぼこ型の突起部414、416を形成する構成により、レールとしての機能を維持し、左案内溝420と突起部414、および、右案内溝422と突起部416との摩擦を低減することができ、かつ、安価な金型で容易に形成することが可能となる。
【0099】
図19は、第2の実施形態にかかる左プリズム保持枠410と左レール部404との関係および右プリズム保持枠412と右レール部406との関係を説明するための説明図である。特に、図19は、図17に示す、立体画像用眼鏡300の姿勢が、立体画像用眼鏡300をユーザの眼の位置に装着し、左中心軸114と右中心軸124とが水平面で平行になるような姿勢である場合のベースフレーム402、左プリズム保持枠410、左レール部404、右プリズム保持枠412、右レール部406の一部水平断面図である。図19(a)に示すように、左レール部404は、自体の高さhLが左案内溝420の深さdLより高く形成され、図19(b)に示すように、右レール部406は、自体の高さhRが右案内溝422の深さdRより高く形成される。
【0100】
かかる構成により、左レール部404(または右レール部406)の頂部(左レール部404の天面)と、左案内溝420(または右案内溝422)の底部(左案内溝420の底面)を当接させることができるので、レールの高さ方向に左プリズム保持枠410が揺動(揺れ動くこと)するのを回避することができる。また、左レール部404(または右レール部406)の高さが、左案内溝420(または右案内溝422)の深さよりも高いため、左プリズム保持枠410とベースフレーム402とが当接することがなくなり、左プリズム保持枠410をスムーズに回転させることが可能となる。さらに、左案内溝420の深さ方向に空隙ができないため、突起部414(または突起部416)が左案内溝420の外周に対して摺動することで発生するゴミや、埃の、左案内溝420(または右案内溝422)の底部への進入を防止することが可能となる。
【0101】
図20は、第2の実施形態にかかる、他の左プリズム保持枠410、左レール部404、右プリズム保持枠412、右レール部406、ベースフレーム402を説明するための説明図である。特に図20は、図17に示す、立体画像用眼鏡300の姿勢が、立体画像用眼鏡300をユーザの眼の位置に装着し、左中心軸114と右中心軸124とが水平面で平行になるような姿勢である場合のベースフレーム402、左プリズム保持枠410、左レール部404、右プリズム保持枠412、右レール部406の一部水平断面図である。
【0102】
図20(a)に示すように、左プリズム保持枠410の内周端部であって、左中心軸114方向のベースフレーム402側は、ベースフレーム402と左レール部404の境界よりもベースフレーム402側に、ベースフレーム402の厚みBDの半分だけ延長されている。また、図20(b)に示すように、右プリズム保持枠412の内周端部であって、右中心軸124方向のベースフレーム402側は、ベースフレーム402と右レール部406の境界よりもベースフレーム402側にベースフレーム402の厚みBDの半分だけ延長されている。
【0103】
かかる構成により、左プリズム保持枠410aと左プリズム保持枠410bとを近づけ、右プリズム保持枠412aと、右プリズム保持枠412bとを近づけることができ、立体画像用眼鏡300の左中心軸114方向または右中心軸124方向の厚みを低減することができる。
【0104】
ところで、図18(e)に示すように、ベルト430の内周には、左プリズム保持枠410の外周に形成された歯および右プリズム保持枠412の外周に形成された歯と歯合するための溝が形成されている。
【0105】
このように、ベルト430をラックとし、左プリズム保持枠410および右プリズム保持枠412をピニオンとするピニオンラック構造で回転機構400を構成することにより、1のベルト430で、4つの保持枠(左プリズム保持枠410a、410bおよび右プリズム保持枠412a、412b)を連動させることができ、4つの保持枠のうちのいずれかを回転させるだけで、容易かつ確実に、左眼球プリズム110および左対物プリズム112を、同回転角度で逆方向に回転させ、右眼球プリズム120を左眼球プリズム110と同回転角度で逆方向に回転させ、右眼球プリズム120および右対物プリズム122を、同回転角度で逆方向に回転させることができる。
【0106】
本実施形態にかかる立体画像用眼鏡300によっても、プリズムを左右で2枚ずつ利用することで、プリズムによる光軸の鉛直方向の回動を確実に排除し、視認対象画像102の位置や視認対象画像102に対するユーザの相対位置に応じて、光軸の水平面内の回動のみを容易かつ高精度に調整することができるので、ユーザは立体画像用眼鏡300を装着するだけで、視軸の水平面内の回動のみを調整することが可能となる。したがって、ユーザは、特別な訓練をせずとも、平行法および交差法のいずれの裸眼立体視によっても立体画像を知覚することができる。
【0107】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、立体画像を知覚させることが可能な立体画像用眼鏡に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
100、300 …立体画像用眼鏡
102 …視認対象画像
110 …左眼球プリズム
112 …左対物プリズム
114 …左中心軸
120 …右眼球プリズム
122 …右対物プリズム
124 …右中心軸
130 …左レンズ
132 …右レンズ
150 …支持機構
200、400 …回転機構
202、402 …ベースフレーム
210、410 …左プリズム保持枠
212 …左フランジ部
220、412 …右プリズム保持枠
222 …右フランジ部
230 …回転部
232 …連結部
234 …調整ノブ
250 …範囲指示部
252 …突出帯
254 …指示部
254a …弾性部
254b …当接部
254c …第1指標
254d …第2指標
404 …左レール部
406 …右レール部
408 …切り欠き部
414、416 …突起部
420 …左案内溝
422 …右案内溝
430 …ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像を知覚させるための立体画像用眼鏡であって、
ユーザが前記立体画像用眼鏡を装着したときに、前記ユーザの左眼側に位置するように配された左眼球プリズムと、
前記左眼球プリズムよりも、前記立体画像用眼鏡によって視認する視認対象側であって、前記左眼球プリズムの中心を通る軸である左中心軸に自体の中心が位置するように配された左対物プリズムと、
前記ユーザの右眼側に位置するように配された右眼球プリズムと、
前記右眼球プリズムよりも、前記視認対象側であって、前記右眼球プリズムの中心を通る軸である右中心軸に自体の中心が位置するように配された右対物プリズムと、
外力に応じて、前記左中心軸を回転軸として前記左眼球プリズムを回転させるとともに、前記左眼球プリズムと同回転角度で逆方向に前記左対物プリズムを回転させ、さらに、前記左眼球プリズムと同回転角度で同方向、または、同回転角度で逆方向に、前記右中心軸を回転軸として前記右眼球プリズムを回転させるとともに、前記右眼球プリズムと同回転角度で逆方向に前記右対物プリズムを回転させる回転機構と、
を備え、
前記左眼球プリズムには前記左中心軸と直交する面である左眼球平面が形成されており、
前記右眼球プリズムには前記右中心軸と直交する面である右眼球平面が形成されており、
前記左眼球プリズムの前記左中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ前記左中心軸と平行な軸と、前記左眼球平面との交点である左眼球最大点と、前記右眼球プリズムの前記右中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ前記右中心軸と平行な軸と、前記右眼球平面との交点である右眼球最大点と、前記左眼球プリズムの前記左中心軸方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ前記左中心軸と平行な軸と、前記左眼球平面との交点である左眼球最小点と、前記右眼球プリズムの前記右中心軸方向の厚みが最小である箇所を通り、かつ前記右中心軸と平行な軸と、前記右眼球平面との交点である右眼球最小点とが、前記左眼球プリズムと前記左対物プリズムとが面対称となり、かつ、前記右眼球プリズムと前記右対物プリズムとが面対称となる状態において、前記左中心軸または前記右中心軸を含む同一平面上、もしくは、前記左中心軸または前記右中心軸と平行な同一平面上に位置することを特徴とする立体画像用眼鏡。
【請求項2】
前記左眼球プリズムと前記右眼球プリズムとは、前記左眼球平面と前記右眼球平面とが略同一平面上に位置するように配置されており、
前記左対物プリズムには前記左中心軸と直交する面である左対物平面が形成されており、
前記右対物プリズムには前記右中心軸と直交する面である右対物平面が形成されており、
前記左眼球プリズムと前記右眼球プリズムとは、前記左対物平面と前記右対物平面とが略同一平面上に位置するように配置されており、
前記左眼球最大点と前記右眼球最大点と前記左眼球最小点と前記右眼球最小点とが、前記左眼球プリズムと前記左対物プリズムとが面対称となり、かつ、前記右眼球プリズムと前記右対物プリズムとが面対称となる状態において、同一直線上に位置することを特徴とする請求項1に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項3】
2つのレンズをさらに備え、
前記2つのレンズのうち一方のレンズは、前記左中心軸上に前記一方のレンズの光軸が位置するように設けられ、
前記2つのレンズのうち他方のレンズは、前記右中心軸上に前記他方のレンズの光軸が位置するように設けられ、
前記2つのレンズは、
前記左眼球平面と前記左中心軸との交点および前記右眼球平面と前記右中心軸との交点を通る線と直交する線であって、前記左中心軸および前記右中心軸と直交する面上の線の方向に前記視認対象を縮小させてユーザに視認させるレンズ、または、
前記左眼球平面と前記左中心軸との交点および前記右眼球平面と前記右中心軸との交点を通る線の方向に前記視認対象を拡大させてユーザに視認させるレンズであることを特徴とする請求項1または2に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項4】
前記左眼球プリズム、前記左対物プリズム、前記右眼球プリズムおよび前記右対物プリズムは、外縁形状が円である円形プリズムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項5】
前記左眼球プリズム、前記左対物プリズム、前記右眼球プリズムおよび前記右対物プリズムは、同一形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項6】
前記レンズを着脱可能な支持機構を設けたことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項7】
前記左眼球平面と前記左対物平面とが対向するように、前記左眼球プリズムと前記左対物プリズムとが配され、前記右眼球平面と前記右対物平面とが対向するように、前記右眼球プリズムと前記右対物プリズムとが配されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項8】
前記回転機構は、
前記左眼球プリズムおよび前記左対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持する左プリズム保持枠と、
前記右眼球プリズムおよび前記右対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持する右プリズム保持枠と、
外力に応じて、前記左プリズム保持枠のいずれか一方を前記左中心軸回りに、前記右プリズム保持枠のいずれか一方を前記右中心軸回りに、同回転角度で同方向、または、同角度で逆方向に回転させるウォームギア構造で形成された回転部と、
を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項9】
前記左プリズム保持枠の外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである左フランジ部、または、前記右プリズム保持枠の外周端部から外周面に直交する方向に突出して形成されたフランジである右フランジ部を備え、
前記左フランジ部または前記右フランジ部の外周にはローレット加工が施されていることを特徴とする請求項8に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項10】
前記回転機構は、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに固定される左レール部と、
前記ベースフレームに固定される右レール部と、
前記左眼球プリズムおよび前記左対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持し、外周に沿って設けられた案内溝である左案内溝を有する左プリズム保持枠と、
前記右眼球プリズムおよび前記右対物プリズムをそれぞれ嵌合して保持し、外周に沿って設けられた案内溝である右案内溝を有する右プリズム保持枠と、
を有し、
前記左プリズム保持枠は、前記左プリズム保持枠が前記左中心軸回りに摺動可能となるように、前記左案内溝を前記左レール部に嵌合し、
前記右プリズム保持枠は、前記右プリズム保持枠が前記右中心軸回りに摺動可能となるように、前記右案内溝を前記右レール部に嵌合することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項11】
前記左プリズム保持枠の内周端部の前記左中心軸方向の前記ベースフレーム側は、前記ベースフレームと前記左レール部の境界よりも前記ベースフレーム側に延長され、前記右プリズム保持枠の内周端部の前記右中心軸方向の前記ベースフレーム側は、前記ベースフレームと前記右レール部の境界よりも前記ベースフレーム側に延長されることを特徴とする請求項10に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項12】
前記左レール部の高さは、前記左案内溝の深さより高く、前記右レール部の高さは、前記右案内溝の深さより高いことを特徴とする請求項10または11に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項13】
前記左レール部は、前記左案内溝の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部を複数有し、
前記右レール部は、前記右案内溝の外周部に接触する、略半円柱形状の突起部を複数有し、
前記突起部は、その長手方向が、前記左中心軸または前記右中心軸と略平行になるように、前記左レール部および前記右レール部に設けられることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項14】
前記左眼球プリズムを保持する前記左プリズム保持枠の外周、前記右対物プリズムを保持する前記右プリズム保持枠の外周、前記左対物プリズムを保持する前記左プリズム保持枠の外周、前記右眼球プリズムを保持する前記右眼球保持枠の外周の順に張架するベルトをさらに備え、
前記ベースフレームには、前記ベルトが通過する切り欠き部が設けられ、
前記切り欠き部の縁に沿って、円柱形状の円柱部を有することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項15】
前記ベルトをラックとして、前記左プリズム保持枠の外周および前記右プリズム保持枠をピニオンとして機能させるため、前記ベルトの内周と前記左プリズム保持枠の外周および前記右プリズム保持枠の外周には互いを歯合する歯が形成されることを特徴とする請求項14に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項16】
前記左眼球最大点と、前記左眼球平面と前記左中心軸との交点とを通る直線と、
前記左対物プリズムの前記左中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ前記左中心軸と平行な軸と、前記左対物平面との交点である左対物最大点と、前記左対物平面と前記左中心軸との交点とを通る直線とが為す角、または、
前記右眼球最大点と、前記右眼球平面と前記右中心軸との交点とを通る直線と、
前記右対物プリズムの前記右中心軸方向の厚みが最大である箇所を通り、かつ前記右中心軸と平行な軸と、前記右対物平面との交点である右対物最大点と、前記右対物平面と前記右中心軸との交点とを通る直線とが為す角である調整角が、第1の角度範囲、および、前記第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲のうちのいずれに含まれるかを示す範囲指示部を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の立体画像用眼鏡。
【請求項17】
前記範囲指示部は、
前記左プリズム保持枠および前記右プリズム保持枠のいずれか一方と連動して回転する突出帯と、
支点を中心として回転することができるように設けられる第1指標および第2指標と、
前記第1指標および前記第2指標に対して、前記支点周りの力を加える弾性部と、
前記第1指標に連結されるとともに、前記支点周りの力によって、前記突出帯の外周に当接する当接部と
を有し、
前記突出帯の外周は、前記突出帯の回転中心から第1の距離離れている第1の外周部分と、前記突出帯の回転中心から、第1の距離よりも短い第2の距離離れている第2の外周部分とを有し、
前記範囲指示部は、
前記調整角が前記第1の角度範囲および前記第2の角度範囲のうちの一方の角度範囲に含まれている場合に、前記当接部が、前記第1の外周部分に当接されるとともに、前記第1指標が、前記第2指標よりも前記突出帯の外周から離れた位置に位置するように、かつ、前記調整角が他方の角度範囲に含まれている場合に、前記当接部が、前記第2の外周部分に当接されるとともに、前記第2指標が、前記第1指標よりも前記突出帯の外周から離れた位置に位置するように設けられることを特徴とする請求項16に記載の立体画像用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−32616(P2012−32616A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172172(P2010−172172)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】