説明

端子カバー

【課題】開閉部の仮係止を簡単に解除することができる端子カバーを提供する。
【解決手段】端子カバー10は、本体部11と、開閉部12と、を備えている。本体部11は、電線13に対して取り付けられる。開閉部12は、電線13の端子16を覆った閉状態、及び前記端子16の一部を開放した開状態、の間で回動可能である。本体部11に形成された第1係止面33と、開閉部12に形成された第2係止面34と、が当接することにより、開閉部12を開状態で仮止めするように構成されている。開閉部12の回動軸に直交する断面において、第1係止面33及び第2係止面34は、回動方向に対して傾いて形成される。前記断面において、第1係止面33は、開状態の開閉部12の第2係止面に対して下流側から当接する。前記断面において、第1係止面33の下流側の端部は開放されている。また、前記断面において、第2係止面34の上流側の端部は開放されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な開閉部を有する端子カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線の端部に取り付けられて、当該電線の端子を覆って保護する端子カバーが利用されている。
【0003】
ところが、端子カバーによって端子が覆われたままの状態では、当該端子を、電気部品に対してボルトやナットなどにより締結する作業を行うことができない。そこで、端子カバーの一部を開閉することにより、端子の一部を露出させることが可能な端子カバーが提案されている。この種の端子カバーは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のターミナルキャップは、キャップ本体に対してヒンジを介して結合された保護開閉体を備えている。これにより、保護開閉体が開閉可能となっている。
【0004】
また特許文献1は、従来の端子カバーについて、ボルトの締結又は解除時に、作業者が保護開閉体を手で押さえて開放状態を維持させながら作業を行う必要があったため、作業が面倒であったことを指摘している。
【0005】
この点、当該特許文献1に記載のターミナルキャップは、キャップ本体に仮係止用ボスを設け、保護開閉体に前記仮係止用ボスと係合する係止孔を設け、当該係止孔の縁部に薄肉部を設けた構成を開示している。特許文献1は、仮係止用ボスと係止孔とを係合させることにより、保護開閉体が開かれた状態を維持できるので、締結作業時に作業者が保護開閉体を押さえながら作業を行う必要がなくなり、作業性が改善されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3400565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、保護開閉体の回動方向に適当な回動力を加えるだけで、仮係止用ボスを保護開閉体の係止孔から容易に離脱させることができるとしている。しかし、特許文献1の構成は、仮係止用ボスに形成された係合用の突起を、係止孔に係合させる構成であるから、保護開閉体の回動方向に回動力を加えると、前記係合用の突起が係止孔から無理矢理引き抜かれることになり、仮係止用ボスや係止孔に大きな負担がかかることは避けられない。従って、仮係止されている保護開閉体を無理に回動させようとした場合、仮係止用ボスや係止孔が破損してしまう可能性がある。また、仮係止用ボスを保護開閉体の係止孔から離脱させる際に大きな力が必要であると考えられるため、必ずしも仮係止を簡単に解除できるとは言うことができない。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、開閉部の仮止めを簡単に解除することができる端子カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の端子カバーが提供される。即ち、この端子カバーは、本体部と、開閉部と、を備える。前記本体部は、電線に対して取り付けられる。前記開閉部は、前記電線の端子を覆った閉状態、及び前記端子の少なくとも一部を開放した開状態、の間で回動可能である。前記本体部に形成された第1係止面と、前記開閉部に形成された第2係止面と、が当接することにより、前記開閉部を前記開状態で仮止めするように構成されている。前記開閉部を前記開状態から前記閉状態へと回動させるときの方向を回動方向としたときに、前記開閉部の回動軸に直交する断面において、前記第1係止面及び前記第2係止面は、前記回動方向に対して傾いて形成される。前記断面において、前記第1係止面は、前記開状態の前記開閉部の前記第2係止面に対して、前記回動方向の下流側から当接する。前記断面において、前記第1係止面の前記回動方向の下流側の端部は開放されている。また、前記断面において、前記第2係止面の前記回動方向の上流側の端部は開放されている。
【0011】
このように、第1係止面と第2係止面を当接させることにより、開閉部を仮止めすることができる。しかも、係止面の接触によって仮止めしているだけであるから、当該係止面と平行な方向に開閉部をスライドさせるだけで、当該開閉部の仮止めを解除することができる。特に、第1係止面及び第2係止面を回動方向に対して斜めに配置したので、開閉部に対して回動方向の力を加えることにより、当該開閉部を係止面によって案内させて、上記方向にスライドさせることができる。従って、自然な操作によって、開閉部の仮止めを解除することができる。また、第1係止面及び第2係止面の端部を開放したことにより、当該係止面と平行な方向に開閉部をスライドさせる際に引っ掛かりが生じない。従って、開閉部の仮止めをムーズに解除することができる。
【0012】
上記の端子カバーは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第1係止面及び前記第2係止面が当接している状態から、前記開閉部を、前記第1係止面に沿った方向で、前記第1係止面及び前記第2係止面が当接しない状態となるまで移動させる間、前記断面内において、前記本体部と前記開閉部は前記第1係止面及び前記第2係止面以外の部分では接触しない。
【0013】
即ち、開閉部がスライドの途中で本体部に接触しないので、当該開閉部をスライドさせるだけで仮止めを解除することができる。
【0014】
上記の端子カバーは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記本体部と前記開閉部は、合成樹脂により一体的に形成される。前記本体部と前記開閉部は、薄肉ヒンジによって接続されている。
【0015】
このように、本体部と開閉部を薄肉ヒンジによって接続することにより、当該ヒンジ部を中心として開閉部を回動させることができる。しかも、薄肉ヒンジはあるていど柔軟に変形可能であるから、上記のように開閉部をスライドさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る端子カバーの閉状態での斜視図。
【図2】端子カバーの開状態での斜視図。
【図3】電線に取り付けられた端子カバーの閉状態での側面断面図。
【図4】電線に取り付けられた端子カバーの開状態での側面断面図。
【図5】第1係止面と第2係止面の接触部分近傍を拡大した側面断図。
【図6】変形例の端子カバーの閉状態での斜視図。
【図7】変形例の端子カバーの開状態での斜視図。
【図8】電線に取り付けられた変形例の端子カバーの閉状態での側面断面図。
【図9】電線に取り付けられた変形例の端子カバーの開状態での側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に示すのは、本発明の一実施形態に係る端子カバー10の外観斜視図である。端子カバー10は合成樹脂からなり、図1に示すように、本体部11と、開閉部12とが一体的に形成された構成である。この端子カバー10は、電線の端部に取り付けられ、当該電線の端子部分を覆って保護するためのものである。
【0018】
まず、本実施形態の端子カバー10が取り付けられる電線について簡単に説明する。図3に示すように、電線13は、複数の金属素線からなる導体14の外周を絶縁被覆15で覆った周知の構成である。この電線13の端部において、絶縁被覆15を取り除いて導体14を露出させている。
【0019】
この電線13には、金属製の端子16が取り付けられている。端子16は、電線の導体14に対してカシメなどの方法により固着される導体固定部17と、電気部品(図略)に対して接続される接続部18と、から構成されている。
【0020】
電気部品(例えばバッテリーやリレーなど)には、図3に示すような端子接続部20が設けられている。端子接続部20には、所定方向に向けて突出する金属製の端子取付ボルト21が形成されている。一方、端子16の前記接続部18には、端子取付ボルト21を挿通させるための挿通孔(図略)が形成されている。
【0021】
以上のように構成された電線13を、電気部品に対して接続する作業は、以下のようにして行う。即ち、端子16の接続部18の挿通孔に、端子接続部20の端子取付ボルト21を挿通させる。更に、端子取付ボルト21をナット22に挿通させて当該ナット22を締め付けることにより、端子16と端子接続部20とを締結して締結部23を形成する。以上のように締結部23を形成することにより、電気部品に対して電線13を接続することができる。
【0022】
次に、端子カバー10の構成について詳しく説明する。
【0023】
端子カバー10の本体部11は、略角筒状に形成されており、その内部に電線13の端部と、端子16の導体固定部17と、を収容できるように構成されている。なお図3に示すように、端子16の接続部18は、本体部11の外側にはみ出すようになっている。
【0024】
本体部11の底部24は、開閉可能に構成されている。底部24を開放した状態とすることで、電線13の端部(及び端子16の導体固定部17)を、本体部11内に配置することができる。そして、本体部11内に電線13を配置した状態で底部24を閉じることで、当該電線13に対して端子カバー10を固定することができる。
【0025】
角筒状の本体部11のうち、前記底部24に対面する部分を、天井部25とする。この天井部25の外側面には、薄肉ヒンジ26を介して前記開閉部12が接続されている。この構成で、開閉部12は、薄肉ヒンジ26を軸中心として、閉状態(図1及び図3に示す状態)と開状態(図2及び図4に示す状態)との間で回動可能となっている。
【0026】
図3に示すように、開閉部12を閉状態とすることにより、本体部11からはみ出している端子16の接続部18を、前記開閉部12によって覆うことができるように構成されている。更に、この開閉部12の内側には、接続部18に挿入される端子取付ボルト21、接続部18を閉め付けるナット22等を収容できる程度のスペースが確保されている。即ち、締結部23を開閉部12で覆って保護することができるように構成されている。
【0027】
一方、図4に示すように、開閉部12を開状態とすることにより、端子16の接続部18、端子取付ボルト21、ナット22等を完全に露出させることができるように構成されている。従って、開閉部12を開状態としておくことにより、ナット22の締結又は締結解除の作業を行うことができる。
【0028】
本体部11の天井部25には、当該天井部25の外側面から突出するように第1係止部31が形成されている。一方、開閉部12には、当該開閉部12の外側面から突出するように第2係止部32が形成されている。そして、開閉部12を開状態としたときに、図4に示すように、第1係止部31と第2係止部32とが係合して、開閉部12の位置を仮止めすることができるように構成されている。このように開閉部12の位置を開状態で仮止めすることができるので、ナット22を締結する作業の際などに、開閉部12が勝手に閉まらないように手で押さえておく必要がない。従って、当該締結作業などの作業性を向上させることができる。
【0029】
次に、本実施形態の端子カバー10の特徴的な構成について、詳しく説明する。なお以下の説明において、「回動方向」とは、開閉部12を開状態から閉状態まで回動させるときの方向を指す。また、以下の説明において、「上流側」「下流側」といったときには、前記回動方向での上流側及び下流側を言うものとする。
【0030】
図3及び図5に示すように、第1係止部は、第1係止面33を有している。また、第2係止部は、第2係止面34を有している。そして図5に示すように、開閉部12を開状態としたときに、第1係止面33と第2係止面34が、略平行な状態で当接するように構成されている。
【0031】
開閉部12の回動軸と直交する断面(図3から図5に示す)において、第1係止面33及び第2係止面34は、開閉部12の回動方向(図3から図5に二点鎖線の矢印で示す方向)に対して、斜めになるように配置されている。言い換えれば、開閉部12の回転軸に直交する断面において、開閉部12回転軸(薄肉ヒンジ26)を中心とした円弧の接線に対して、第1係止面33及び第2係止面34が斜めになるように形成されている。
【0032】
そして図5に示すように、第1係止面33は、第2係止面34に対して、回動方向の下流側から当接するようになっている。このように、本実施形態の端子カバー10は、回動方向に対して第1係止面33及び第2係止面34を斜めに配置し、かつ第1係止面33を下流側から第2係止面34に対して当接させることにより、開閉部12を係止し、当該開閉部12を開状態で仮止めするように構成されている。
【0033】
開閉部12は、第1係止面33及び第2係止面34の当接によって仮止めされているだけであるから、当該仮止めは簡単に解除することができる。具体的には、開閉部12を、第1係止面33の下流側端部が向く方向(図5で太線の矢印に示す方向)にスライドさせて、第1係止面33と第2係止面34が当接しない位置まで開閉部12を移動させることにより、当該開閉部12の仮止めを解除することができる。なお本実施形態の端子カバー10においては、本体部11と開閉部12は薄肉ヒンジ26によって接続されている。薄肉ヒンジ26は、ある程度柔軟に変形することが可能であるから、開閉部12を上記の方向にスライドさせることができる。
【0034】
また本実施形態では、第1係止面33及び第2係止面34が回動方向に対して斜めになるように構成されているので、開閉部12に対して回動方向に力を加えるだけで仮止めを解除することができる。即ち、仮止め状態にある開閉部12に対して回動方向(図5で二点鎖線で示す方向)の力を加えると、当該開閉部12は、本体部11の第1係止面33によって案内されて、第1係止面と平行な方向(図5に太線の矢印で示す方向)へと自然にスライドする。これにより、開閉部12の仮止めが解除される。このように、仮止め状態の開閉部12に対して回動方向の力を加えるだけで仮止めが解除されるので、仮止めを解除するための特別な操作は必要ない。従って、仮止め状態の開閉部12を、閉状態まで簡単に回動させることができる。
【0035】
また本実施形態では、開閉部12の回動軸に直交する断面(図3から図5に示す)において、第1係止面33の下流側端部は開放されている。また、当該断面において、第2係止面34の上流側端部は開放されている。ここで、第1係止面33の下流側端部が開放されているとは、前記断面において、第1係止面33を下流側に延長した仮想線35(図3)に、本体部11が干渉しないことを指す。また、第2係止面34の上流側端部が開放されているとは、前記断面において、第2係止面34を上流側に延長した仮想線36(図3)に、開閉部12が干渉しないことを指す。この意味は、第1係止面33と第2係止面34の先に、邪魔になる部分が無いということである。
【0036】
このように構成されているので、開閉部12を第1係止面33に沿ってスライドさせる際に、引っ掛かりや抵抗が生じない。これにより、開閉部12の仮止めの解除を、スムーズに行うことができる。
【0037】
また本実施形態の端子カバー10は、開状態の開閉部12を第1係止面33に沿ってスライドさせる際に、本体部11と開閉部12が(係止面33,34以外の箇所で)接触することがないように構成されている。即ち、仮に開閉部12をスライドさせる際に、当該開閉部12が本体部11に接触してしまうと、当該スライドが阻害されてしまうので、開閉部12の仮止めをスムーズに解除することができなくなる。この点、上記のように構成することで、開閉部12の仮止めの解除をスムーズに行うことができる。
【0038】
以上で説明したように、本実施形態の端子カバー10は、本体部11と、開閉部12と、を備えている。本体部11は、電線13に対して取り付けられる。開閉部12は、電線13の端子16を覆った閉状態、及び前記端子16の一部を開放した開状態、の間で回動可能である。本体部11に形成された第1係止面33と、開閉部12に形成された第2係止面34と、が当接することにより、開閉部12を開状態で仮止めするように構成されている。開閉部12の回動軸に直交する断面において、第1係止面33及び第2係止面34は、回動方向に対して傾いて形成される。前記断面において、第1係止面33は、開状態の開閉部12の第2係止面に対して下流側から当接する。前記断面において、第1係止面33の下流側の端部は開放されている。また、前記断面において、第2係止面34の上流側の端部は開放されている。
【0039】
このように、第1係止面33と第2係止面34を当接させることにより、開閉部12を仮止めすることができる。しかも、係止面の接触によって仮止めしているだけであるから、当該係止面と平行な方向に開閉部12をスライドさせるだけで、当該開閉部12の仮止めを解除することができる。特に、第1係止面33及び第2係止面34を回動方向に対して斜めに配置したので、開閉部12に対して回動方向の力を加えることにより、当該開閉部12を係止面によって案内させて、上記方向にスライドさせることができる。従って、自然な操作によって、開閉部12の仮止めを解除することができる。また、第1係止面33及び第2係止面34の端部を開放したことにより、当該係止面と平行な方向に開閉部12をスライドさせる際に引っ掛かりが生じない。従って、開閉部12の仮止めをムーズに解除することができる。
【0040】
また上記の実施形態において、端子カバー10は以下のように構成されている。即ち、第1係止面33及び第2係止面34が当接している状態から、開閉部12を、第1係止面33に沿った方向で、第1係止面33及び第2係止面34が当接しない状態となるまで移動させる間、前記断面内において、本体部11と開閉部12は第1係止面33及び第2係止面34以外の部分では接触しない。
【0041】
即ち、開閉部12がスライドの途中で本体部11に接触しないので、当該開閉部12をスライドさせるだけで仮止めを解除することができる。
【0042】
また本実施形態の端子カバー10は、以下のように構成されている。即ち、本体部11と開閉部12は、合成樹脂により一体的に形成される。本体部11と開閉部12は、薄肉ヒンジ26によって接続されている。
【0043】
このように、本体部11と開閉部12を薄肉ヒンジ26によって接続することにより、当該ヒンジ部を中心として開閉部12を回動させることができる。しかも、薄肉ヒンジ26はあるていど柔軟に変形可能であるから、上記のように開閉部12をスライドさせることができる。
【0044】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。この変形例に係る端子カバー100を、図6から図9に示す。なお、本変形例の説明において、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0045】
本実施形態の端子カバー100と、上記実施形態の端子カバー10との違いは、主に、第1係止部31及び第2係止部32の形状である。
【0046】
即ち、上記実施形態の端子カバー10では、第1係止部31は天井部25から外向きに突出して設けられていた。これに対し、本変形例の端子カバー100では、天井部25に挿通孔が形成され、この挿通孔が第1係止部31とされている。そして図8等に示すように、挿通孔として構成された第1係止部31の縁部の断面輪廓が斜めに形成されて、第1係止面33とされている。一方、第2係止部32は、第1係止部31に挿入することができるように、開閉部12から突出して形成されている。そして、第2係止部32は、第1係止部31に挿入された状態で、第1係止面33に接触できる第2係止面34を備えている。
【0047】
そして上記実施形態と同様に、本変形例においても、第1係止面33及び第2係止面34は、回動方向に対して斜めに形成されている。また、第1係止面33の下流側端部、及び第2係止面34の上流側端部は、開放されている。以上のように、第1係止部31及び第2係止部32の形状は、適宜変更することができる。
【0048】
また、この変形例においては、電線13の導体14と、端子16の導体固定部17が、テーピング38によって保護された構成となっている。このように、テーピング38等によって導体14及び端子16を保護している場合は、当該テーピングの部分は必ずしも端子カバーで覆わなくても良い。そこで本変形例の端子カバー100において、本体部11は上記実施形態よりも短くなっている。これにより、導体固定部17の一部が、本体部11からはみ出すようになっている。このように、端子カバーは、端子16の全体を覆う必要はなく、端子16の一部のみを覆う構成であっても良い。
【0049】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0050】
説明に用いた図面では、端子16が途中で屈曲され、導体固定部17の長手方向に対して接続部18の長手方向が傾いた構成となっている。しかし、このように途中で屈曲した端子16用の端子カバーに限らず、ストレート形状の端子用の端子カバーにも、本願発明の構成を適用できることは言うまでもない。
【0051】
電線13の端子を電気部品に接続する方法は、ナット22の締め付けに限らず、適宜の方法を利用することができる。
【0052】
なお、上記説明中では、天井部25、底部24、というように説明したが、これは説明の便宜のための名称であって、上下関係を限定するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 端子カバー
11 本体部
12 開閉部
26 薄肉ヒンジ
33 第1係止面
34 第2係止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に対して取り付けられる本体部と、
前記電線の端子を覆った閉状態、及び前記端子の少なくとも一部を開放した開状態、の間で回動可能な開閉部と、
を備えた端子カバーにおいて、
前記本体部に形成された第1係止面と、前記開閉部に形成された第2係止面と、が当接することにより、前記開閉部を前記開状態で仮止めするように構成されており、
前記開閉部を前記開状態から前記閉状態へと回動させるときの方向を回動方向としたときに、
前記開閉部の回動軸に直交する断面において、
前記第1係止面及び前記第2係止面は、前記回動方向に対して傾いて形成され、
前記第1係止面は、前記開状態の前記開閉部の前記第2係止面に対して、前記回動方向の下流側から当接し、
前記第1係止面の前記回動方向の下流側の端部は開放されており、
前記第2係止面の前記回動方向の上流側の端部は開放されていることを特徴とする端子カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の端子カバーであって、
前記第1係止面及び前記第2係止面が当接している状態から、前記開閉部を、前記第1係止面に沿った方向で、前記第1係止面及び前記第2係止面が当接しない状態となるまで移動させる間、前記断面内において、前記本体部と前記開閉部は前記第1係止面及び前記第2係止面以外の部分では接触しないことを特徴とする端子カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子カバーであって、
前記本体部と前記開閉部は、合成樹脂により一体的に形成され、
前記本体部と前記開閉部は、薄肉ヒンジによって接続されていることを特徴とする端子カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−33604(P2013−33604A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168237(P2011−168237)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)