説明

端面処理装置

【課題】紙粉の発生を防止することが可能な端面処理装置を提供すること。
【解決手段】円筒状に形成された紙管100の端面の処理を行う端面処理装置1は、紙管100の端面を覆う塗布材料を紙管100の端面に塗布する塗布体45と、塗布体45に塗布材料を供給する供給手段46と、紙管100を回転させる回転手段47と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管の端面の処理を行う端面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム、金属フィルム又は糸等の巻回体を巻きつける被巻回体として、紙管が用いられている。このような紙管は、厚紙等の紙材を金属芯棒に巻きつけ、その両端を切断することで所定の長さの円筒状に形成する。また、このような紙管は、巻きつけた巻回体の使用後に廃棄されるため、環境負荷を考慮し、リサイクルが容易な紙管も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−247567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した紙管では、以下の問題があった。即ち、紙管は、接合させた紙材の両端を切断することで、円筒状に形成する。しかし、紙管は、紙材により形成されているため、その両端を切断した際に、切断部に紙粉やバリが発生する虞がある。
【0005】
特に、巻回体に樹脂フィルム等を用いると、樹脂フィルムの静電気により、樹脂フィルムに紙粉が付着する、という問題がある。また、バリがあると、紙管の搬送や巻回体の巻き付けに、新たに紙粉を発生させる虞もある。
【0006】
このような紙粉及びバリの発生を防止するために、硬化性を有する樹脂材料に紙管の端部を浸漬させるか、又は、当該樹脂材料を浸潤させた海綿体を端部に押圧して、当該樹脂材料で端部をコーティングする方法も知られている。
【0007】
しかし、これらの方法で紙管の端部をコーティングすると、端面だけでなく、端部周囲の内外周面にも樹脂材料が付着する、という問題がある。
【0008】
そこで本発明は、紙粉の発生を防止することが可能な端面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の端面処理装置は、次のように構成されている。
【0010】
本発明の一態様として、円筒状に形成された紙管の端面を覆う塗布材料を、前記端面に塗布する塗布体と、前記塗布体に前記塗布材料を供給する供給手段と、前記紙管を回転させる回転手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様として、円筒状に形成された紙管を固定する固定手段、及び、前記固定した紙管の内周面に面取処理を行う面取手段を具備する面取装置と、前記紙管の端面に、前記端面を覆う塗布材料を塗布する塗布体、前記塗布体に前記塗布材料を供給する供給手段、及び、前記紙管を回転させる回転手段を具備する塗布装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紙粉の発生を防止することが可能な端面処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る端面処理装置の構成を模式的に示す側面図。
【図2】同端面処理装置に用いられる面取装置及び塗布装置の構成を模式的に示す斜視図。
【図3】同面取装置の構成を示す斜視図。
【図4】同面取装置の構成を示す斜視図。
【図5】同面取装置の構成を示す斜視図。
【図6】同塗布装置の構成を示す斜視図。
【図7】同塗布装置の要部構成を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の変形例に係る端面処理装置の面取装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る端面処理装置1ついて、図1乃至図7を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る端面処理装置1の構成を模式的に示す側面図、図2は端面処理装置1に用いられる面取装置20及び塗布装置21の構成を模式的に示す斜視図、図3は同面取装置20の要部構成を拡大して示す斜視図、図4は面取装置20の構成、特に、第1当接部31及び面取部33の構成を示す斜視図、図5は面取装置20の構成、特に、第2当接部32及び面取部33の構成を示す斜視図、図6は塗布装置21の構成を示す斜視図、図7は塗布装置21に用いられる塗布体45の構成を示す断面図である。なお、図1中、Fは紙管100の搬送方向を、Sは信号線をそれぞれ示す。
【0015】
端面処理装置1は、紙材を金属芯等に接着剤等を用いながら巻きつけて円筒状に形成し、その両端部を切断した紙管100の端面を処理する装置である。なお、紙管100は、巻回体である樹脂フィルム等を巻きつける被巻回体である。
【0016】
本実施形態において端面処理装置1は、紙管100の製造工程の一である、紙管100の端面の処理を行う紙管100の製造装置である。なお、端面処理装置1は、紙材から紙管100を形成する製造装置と一体に形成されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、端面処理装置1は、架台3と、第1搬送装置4と、処理装置5と、第2搬送装置6と、乾燥装置7と、制御盤8と、を備えている。また、端面処理装置1は、第1搬送装置4、処理装置5、及び、第2搬送装置6に、紙管100を検知する検知手段を備えている。この検知手段は、制御盤8に接続され、当該紙管100を検知した情報を制御盤8に送信可能に形成されている。検知手段は、例えば、近接センサ等が用いられる。
【0018】
架台3は、第1搬送装置4、処理装置5、第2搬送装置6、乾燥装置7及び制御盤8を、その上面に支持可能に形成されている。なお、架台3は、端面処理装置1の移動及び設置を容易とするために、脚輪3aを有していてもよい。
【0019】
第1搬送装置4は、レール10と、搬入部11と、ストッパ12と、を備えている。レール10は、搬送方向Fに沿って下方に傾斜して例えば一対設けられる。レール10は、その傾斜により、その上面を円筒状の紙管100が回転して移動可能に形成されている。
【0020】
また、一対のレール10は、架台3にリニアレール及びガイドにより形成された第1案内部材3bを介して支持されている。一対のレール10は、搬送方向Fに対して直交する方向に互いに離接可能に形成されることで、一対のレール10間の幅を可変可能に形成されている。換言すると、レール10は、紙管100の長さに応じて第1案内部材3bに沿って互いに離接することで、異なる長さの紙管100を搬送可能に形成されている。
【0021】
搬入部11は、例えば、レール10の最上部(上端部)に設けられる。搬入部11は、前工程の製造装置に接続され、両端が切断された紙管100を搬入可能に形成されている。また、搬入部11は、レール10の上面から突出することで、紙管100の移動を規制する規制部15を備えている。なお、この規制部15は、制御盤8により駆動制御される。搬入部11は、規制部15により、レール10上に搬入された紙管100の移動を規制可能に形成されている。
【0022】
ストッパ12は、レール10に複数設けられ、レール10を移動する紙管100の移動を規制可能に形成されている。例えば、ストッパ12は、レール10の延設方向と直交する方向に設けられた回転軸16と、回転軸16の回動に伴って回動する回転盤17と、を備えている。
【0023】
回転軸16は、例えば、制御盤8により駆動制御されるモータに接続され、当該モータの駆動により回動可能に形成されている。回転盤17は、例えば、一部切欠する円盤状に形成され、当該切欠部にレール10に対して垂直方向又は重力方向に突出する壁部17aを有している。回転盤17は、当概壁部17aをレール10の傾斜方向と平行となる位置から、レール10に対して垂直方向となる位置の間で回動することで、レール10を移動する紙管100の移動の規制が可能に形成されている。なお、図1においては、回転盤17は、壁部17aにより紙管100の移動を規制する状態を示す。
【0024】
このようなストッパ12は、紙管100が位置しているか否かを検知可能な検知手段がそれぞれに設けられている。即ち、検知手段により検出された紙管100の位置に基づいて、規制部15及びストッパ12が駆動され、紙管100の規制が行われる。
【0025】
例えば、一のストッパ12の二次側のストッパ12に紙管100が位置している場合には、ストッパ12の壁部17aにより、紙管100の移動が規制され、紙管100が位置していない場合には、当該ストッパ12が回動し、その二次側へと紙管100を移動させる。
【0026】
処理装置5は、面取装置20と、塗布装置21と、を備えている。また、処理装置5は、紙管100を通過可能、且つ、紙管100を面取装置20及び塗布装置21で処理可能に形成されている。また、処理装置5は、面取装置20及び塗布装置21にそれぞれ検知手段が設けられている。
【0027】
処理装置5は、架台3に第1案内部材3bを介して支持されており、その幅方向(搬送方向Fに対して直交する方向)に離接可能に形成されている。換言すると、処理装置5は、通過する紙管100の長さに応じて面取装置20及び塗布装置21の幅を可変可能に形成されている。
【0028】
面取装置20は、紙管100の内周縁に面取りが可能に形成されている。面取装置20は、第1案内部材3bにリニアレール及びガイドにより構成された第2案内部材22を介して支持されている。面取装置20は、紙管100の長さに併せて、その両端側をそれぞれ幅方向に移動可能に形成されており、当該移動により、その幅を調整可能に形成されている。
【0029】
例えば、面取装置20は、紙管100の長さに併せて、第1案内部材3bで大まかにその幅を調整するとともに、さらに第2案内部材22でその幅を調整可能に形成されている。
【0030】
面取装置20は、紙管100の位置合わせ及び固定を行う固定部25と、面取りを行う面取処理部26と、を備えている。
【0031】
固定部25は、プラスチックや硬質ゴム等の樹脂材料により形成されている。例えば、固定部25は、その中央が窪む上下一対の狭持部材27により、紙管100を上下方向で狭持可能に形成されている。例えば、上方に配置される狭持部材27は、上下方向に移動可能に形成されている。なお、固定部25は、上方の狭持部材27が制御盤8により駆動制御される。なお、固定部25は、当該狭持部材27を上下方向に移動させる移動手段を有しているが、その詳細な説明は省略する。
【0032】
面取処理部26は、ベース30と、第1当接部31と、第2当接部32と、面取部33と、モータ34と、を備えている。ベース30は、モータ34の回転軸34aに接続され、モータ34により回転可能に形成されている。図3に示すように、ベース30は、例えば円盤状に形成され、その回転中心が紙管100の軸心と略同一に位置するように配置される。さらに詳しく説明すると、ベース30は、固定部25により固定された紙管100の軸心が、その軸心と同一となるように、架台3に配置されている。
【0033】
第1当接部31は、図3及び図4に示すように、紙管100の端面と当接可能に形成されている。具体的には、第1当接部31は、ベース30に固定された支持部36と、当該支持部36に設けられ、その軸心方向が回転軸34aと直交する方向に配置された、回転可能な第1ローラ37と、を備えている。
【0034】
第1ローラ37は、その外周面が、紙管100の端面と当接可能に形成されている。また、第1ローラ37は、ベース30の回転に伴って、紙管100の端面と当接しながら回転可能に形成されている。このような第1当接部31は、第1ローラ37が紙管100の軸心方向の移動を規制するとともに、当該軸心方向の面取部33の紙管100に対する位置合わせを行う。
【0035】
第2当接部32は、図3及び図5に示すように、紙管100の内周面と当接可能に形成されている。具体的には、第2当接部32は、回転軸34aに平行にベース30に固定される軸体38と、軸体38に回動可能に設けられたアーム39と、その軸心が回転軸34aに平行にアーム39に設けられた第2ローラ40と、を備えている。
【0036】
アーム39は、ベース30の回転に伴って、第2ローラ40が紙管100の内周面と干渉(当接)するまで軸体38を中心に回動可能に形成されている。第2ローラ40は、その外周面が、紙管100の内周面と当接可能に形成されている。また、第2ローラ40は、ベース30の回転に伴って、アーム39の回動により紙管100の内周面と当接するとともに、ベース30が回転中の間、紙管100の内周面と当接しながら回転移動可能に形成されている。
【0037】
面取部33は、図3乃至図5に示すように、紙管100の内周縁と当接可能、且つ、所定の押圧により当該内周縁を押圧することで、面取処理が可能に形成されている。即ち、面取部33は、所定の押圧力で紙管100の内周縁を押圧することで、紙管100の内周縁を変形させて内周縁の陵角(陵部)を除去可能に形成されている。
【0038】
具体的には、面取部33は、ベース30に設けられた支持体41と、その軸心が回転軸34aに対して所定の角度で傾斜して支持体41に設けられた第3ローラ42と、を備えている。支持体41は、例えば、第3ローラ42が紙管100の内周縁に押圧されたとき、又は、ベース30の回転により、所定の距離回動可能に形成されている。
【0039】
なお、ここで、支持体41の回動は、例えば、第3ローラ42が紙管100に所定の押圧力以上の力で当接した際に、支持体41が回動(移動)することで、第3ローラ42と紙管100との当接が適当に行われるための回動である。また、所定の距離とは、当該回動が可能な距離であって、紙管100の寸法精度や、面取処理部26の寸法精度等で生じる誤差を干渉できる距離である。
【0040】
第3ローラ42は、その軸心が回転軸34aに対して傾斜することで、その外周面が、紙管100の内周縁と当接可能に形成されている。また、第3ローラ42は、ベース30の回転に伴って、紙管100の内周縁に所定の押圧力で当接するとともに、紙管100の内周縁を移動可能に形成されている。即ち、第3ローラ42は、所定の押圧力で紙管100の内周縁を回転移動することで、当該内周縁に面取りを行う。
【0041】
モータ34は、制御盤8により駆動制御されることで、面取処理時に回転可能に形成されている。モータ34は、その回転軸34aがベース30に固定されることで、ベース30を回転可能に形成されている。
【0042】
塗布装置21は、紙管100の端面をコーティングする(覆う)樹脂材料等の塗布材料を塗布可能に形成されている。なお、塗布材料は、乾燥又は加熱により硬化性を有する水溶性の樹脂材料であって、硬化時に、紙管100の端面を薄膜で覆うことが可能な材料である。塗布装置21は、第1案内部材3bに第2案内部材22を介して支持される。
【0043】
塗布装置21は、紙管100の長さに併せて、その両端側をそれぞれ幅方向に移動可能に形成されており、当該移動により、その幅を調整可能に形成されている。例えば、塗布装置21は、紙管100の長さに併せて、第1案内部材3bで大まかにその幅を調整するとともに、さらに第2案内部材22でその幅を調整可能に形成されている。
【0044】
図1、図2、図6及び図7に示すように、塗布装置21は、塗布体45と、供給手段46と、回転手段47と、位置調整手段48と、を備えている。
【0045】
塗布体45は、紙管100の端面に塗布材料を塗布可能なブラシである。塗布体45は、紙管100の両端側にそれぞれ設けられる。塗布体45は、図2、図6及び図7に示すように、紙管100の厚みと略同一幅に束ねられた繊維束51と、繊維束51を固定する植台52と、を備えている。
【0046】
繊維束51は、図7に示すように、植台52から紙管100に向かって紙管100の軸心に対して下方に傾斜して配置される。また、繊維束51は、その先端が紙管100の端面と略平行に形成されている。植台52は、供給手段46と接続され、塗布材料を繊維束51に供給する供給孔53を有する。なお、供給孔53は、図7に示すように、例えば、繊維束51及び植台52の中心よりも上方に位置して設けられている。
【0047】
供給手段46は、タンク55と、エアコンプレッサ56と、制御弁57と、を備え、エアコンプレッサ56及び制御弁57が制御盤8に接続されている。タンク55は、密閉容器58と、密閉容器58内に設けられた塗布材料容器59と、を備えている。密閉容器58は、制御弁57を介してエアコンプレッサ56と、接続されている。塗布材料容器59は、植台52の供給孔53と、配管60を介して接続されている。
【0048】
このような供給手段46は、制御盤8によりエアコンプレッサを駆動制御させるとともに、制御弁57を開閉させて、所定の圧力及び流量のエアーを密閉容器58に供給し、適量の塗布材料を、配管60及び供給孔53を介して繊維束51に供給可能に形成されている。
【0049】
回転手段47は、紙管100を所定の位置、即ち塗布体45と対向させる位置に保持するとともに、当該位置で紙管100を回転可能に形成されている。回転手段47は、例えば、図1及び図6に示すように、4つのローラ47aにより構成されている。なお、4つのローラ47aは、2本一組のローラ47aが上下一対設けられることで構成される。
【0050】
なお、4つのローラ47aとは、図1に示すような側面視において4つ、即ち、紙管100の側面を4箇所で保持する構成であり、例えば、紙管100よりも短いローラ47aを幅方向に複数配置させても勿論よい。
【0051】
これらローラ47aは、図示しない回転モータを有し、制御盤8により駆動制御される。これらローラ47aは、所定の時間及び回転数紙管100を回転可能に形成されている。また、ローラ47aは、例えばその上方に設けられる一組のローラ47aが上下方向に移動可能に形成されている。
【0052】
即ち、回転手段47は、搬送されてきた紙管100を、上方のローラ47aを移動させて保持するとともに、回転することで、紙管100を保持した状態で回転可能に形成されている。また、回転手段47は、所定の時間、さらに言えば紙管100の端面への塗布材料の塗布が終了するまで回転した後、上方のローラ47aが上方に移動し、下方のローラ47aが回転することで、紙管100を二次側に搬送可能に形成されている。
【0053】
位置調整手段48は、紙管100の端面を検知し、紙管100の位置合わせが可能に形成されている。なお、位置調整手段48は、塗布体45により紙管100の端面に塗布材料を塗布できる位置に紙管100の位置を調整可能であれば、どのような構成であってもよい。例えば、位置調整手段48は、紙管100の軸心方向に移動可能に形成され、図7に示すように、紙管100の端面と当接することで、紙管100の位置を検出するとともに、検出した位置が所定の位置となるように、紙管100を押圧して紙管100の軸心方向の位置を調整可能に形成されている。
【0054】
第2搬送装置6は、塗布装置21の二次側に設けられ、塗布装置21でその端面に塗布材料が塗布された紙管100を搬送可能に形成されている。このような第2搬送装置6は、例えばベルトコンベアであって、ベルト63と、一対のプーリ64とを備えている。
【0055】
乾燥装置7は、温風器66と、送風機67と、ダンパー68と、を備えている。温風器66は、紙管100の端面に塗布された塗布材料を乾燥させるのに適した温度に、空気を加熱可能に形成されている。送風機67は、温風器66に近接して設けられ、温風器66で加熱した空気を送風可能に形成されている。ダンパー68は、第2搬送装置6に沿って設けられ、第2搬送装置6で搬送される紙管100の端面に、送風機67により送風された温風を送風可能に形成されている。なお、ダンパー68は、例えば第2搬送装置6の一部の区間に延設されている。
【0056】
制御盤8は、制御部70、記憶部71、表示部72及び操作部73を備えている。制御部70は、信号線Sを介して、第1搬送装置4、処理装置5、第2搬送装置6及び乾燥装置7に接続されている。制御部70は、記憶部71に記憶された紙管100の情報、操作部73で操作された指示、及び、塗布材料の情報に基づいて、第1搬送装置4、処理装置5、第2搬送装置6及び乾燥装置7を制御可能に形成されている。
【0057】
記憶部71は、紙管100の情報、及び、塗布材料の情報等が記憶可能に形成されている。例えば、記憶部71は、紙管100の情報として、端面処理装置1で処理される紙管100の種類、例えば長さ、厚み及び径が記憶されている。また、記憶部71は、記憶された紙管100の種類によって、使用する塗布体45、供給する塗布材料の供給量、処理装置5における紙管100の回転数が記憶されている。なお、供給する塗布材料の供給量は、例えば、エアコンプレッサ56の能力及び制御弁57の開放時間等により制御される。
【0058】
表示部72は、例えばタッチパネルディスプレイが用いられ、その画面に記憶部71に記憶された情報が表示されるとともに、当該表示された情報を作業者が選択可能に形成されている。即ち、表示部72は、情報の表示を行うとともに、操作部73の一部を構成する。操作部73は、情報の入力が可能に形成されている。
【0059】
なお、このような制御盤8は、パーソナルコンピュータ又は記録媒体等の外部機器と無線又は有線等により接続可能に形成され、当該外部機器により、記憶部71への情報の入力等が可能に形成されている。
【0060】
次に、このように構成された端面処理装置1による紙管100の端面処理について説明する。
先ず、前工程の製造装置により両端面が切断された紙管100が第1搬送装置4の搬入部11に搬送されると、制御部70は、検知手段により検知された搬入部11の二次側のストッパ12の紙管の有無に応じて、規制部15を突出させる。具体的には、制御部70は、搬入部11の二次側のストッパ12に紙管100が位置している場合には、規制部15を突出させて、搬入部11の二次側に紙管100が移動しないように紙管100の移動を規制する。
【0061】
制御部70は、搬入部11の二次側のストッパ12に紙管100が位置していない場合には、規制部15を突出させない。これにより、紙管100は、レール10の傾斜に沿って搬送方向Fに移動する。
【0062】
次に、紙管100が搬入部11の二次側のストッパ12に移動すると、制御部70は、当該ストッパ12の二次側のストッパ12に紙管100が位置しているか否かを、検知手段により検知された情報に基づき判断する。当該二次側に紙管100が位置している場合には、制御部70は、ストッパ12の壁部17aにより紙管100の移動を規制する。当該二次側に紙管100が位置しない場合には、制御部70は、ストッパ12の回転盤17を回転させて、壁部17aをレール10と平行とする。これにより、紙管100は、レール10に沿って搬送方向Fに移動することとなる。このように、制御部70は、第1搬送装置4から処理装置5まで、紙管100を移動させる。
【0063】
次に、処理装置5の面取装置20に紙管100が移動すると、制御部70は、検知手段によりその移動を検知し、紙管100の内周縁に面取処理を行う。制御部70は、先ず、固定部25により紙管100の位置合わせ及び固定を行う。具体的には、制御部70は、上方の狭持部材27を下降させ、一対の狭持部材27に紙管100を狭持させる。なお、このとき、狭持部材27はその中央が窪む形状であるため、当該窪みにより、紙管100の位置合わせが行われる。
【0064】
次に、制御部70は、面取処理部26により、面取処理を行う。制御部70は、先ず、第1当接部31の第1ローラ37を紙管100に当接させ、第2当接部32の第2ローラ40を紙管100の内部に配置させる。
【0065】
この状態で、制御部70は、モータ34を駆動させてベースを回転させる。当該回転により、第1及び第2当接部31,32の第1ローラ37及び第2ローラ40は、紙管100の端面及び内周面を回転移動して、紙管100の位置合わせを行う。また面取部33は、第3ローラ42が紙管100の内周縁に所定の押圧力で当接しながら回転する。
【0066】
この第3ローラ42の回転により、紙管100の内周縁が押圧され、紙管100の内周縁の面取処理がなされる。なお、制御部70は、記憶部71に記憶された面取処理の情報、例えば、予め定められたベース30の回転数、第3ローラ42の押圧力及び処理時間に等基づいて面取処理を行う。
【0067】
当該面取処理終了後、制御部70は、塗布装置21に紙管100が位置しているか否かを、検知手段により検知された情報に基づき判断する。塗布装置21に紙管100が位置している場合には、制御部70は、塗布装置21の紙管100がその二次側に移動するのを待つ。塗布装置21に紙管100が位置しない場合には、制御部70は、図示しない、面取装置20に設けられた搬送手段により、当該面取処理を行った紙管100を塗布装置21に搬送する。
【0068】
次に制御部70は、塗布装置21により、紙管100の端面に塗布処理を行う。具体的に説明すると、まず、制御部70は、上方に設けられた一組のローラ47aを下降させ、紙管100を上下2組のローラ47aにより紙管100を狭持し、紙管100を保持させるとともに、ローラ47aを回転させて紙管100を回転させる。
【0069】
次に、制御部70は、エアコンプレッサ56を駆動させるとともに、制御弁57を開放させて、密閉容器58内に圧縮空気を圧送させる。密閉容器58内に圧縮空気が圧送されることで、当該密閉容器58内の圧力が上昇し、塗布材料容器59の塗布材料は、配管60を介して塗布体45へと供給される。
【0070】
なお、このとき、制御部70は、記憶部71に記憶された紙管100の情報に基づいて、適切な量の塗布材料を塗布体45に供給させる。例えば、厚さtが10mmの紙管100の場合には、例えば7mlといったように、所定の量の塗布材料を塗布体45に供給する。所定の量を供給するには、例えば、エアコンプレッサ56及び制御弁57により、一定量の圧縮空気を所定時間密閉容器58内に供給する等により、適宜設定可能である。
【0071】
塗布体45に供給された塗布材料は、先ず、供給孔53を介して繊維束51の根元に供給され、繊維束51の毛管現象により繊維束51全体に供給される。この状態で、制御部70は、塗布体45の繊維束51を紙管100の端面に当接させるとともに、紙管100を回転させて、紙管100の端面に均一に塗布材料を塗布させる。
【0072】
塗布材料の塗布終了後、制御部70は、上方の一組のローラ47aを上昇させるとともに、下方の一組のローラ47aを回転させることで、第2搬送装置6に紙管100を搬送する。
【0073】
制御部70は、プーリ64を図示しないモータにより駆動させてベルト63を移動させ、ベルト63上に移動した紙管100を、搬送方向Fに移動させる。また、制御部70は、温風器66を駆動させて空気を加熱するとともに、送風機67を駆動させて、当該加熱された空気をダンパー68に送風させる。このダンパー68を介して、温風が紙管100の端面に送風され、紙管100の端面に塗布された塗布材料を乾燥させる。これらのように端面処理装置1は、紙管100の端面処理を行う。
【0074】
このように構成された端面処理装置1によれば、塗布装置21により、紙管100の端面を塗布材料により覆うことで、切断された端面から紙粉が発生することを防止可能となる。また、面取装置20により、紙管100の内周縁を面取りすることで、内周縁に発生するバリを除去し、当該バリによる紙粉の発生を防止するとともに、内周縁が滑らかな紙管100とすることが可能となる。
【0075】
また、端面処理装置1は、塗布材料を塗布する塗布体45に、紙管100の厚さと略同一の幅に束ねた繊維束51を用いることで、紙管100の端面に確実に塗布材料を塗布可能となる。また、当該繊維束51により、端面以外、例えば、紙管100の内外周面に塗布材料が塗布されることを防止することができる。繊維束51は、その先端形状が、端面と略平行とすることで、さらに、塗布材料を均一に塗布することが可能となる。
【0076】
また、塗布体45は、繊維束51を設ける植台52に塗布材料を供給する供給孔53を設け、当該供給孔53から塗布材料を供給することで、繊維束51の毛管現象により、均一、且つ、確実に、繊維束51に塗布材料を供給することが可能となる。
【0077】
また、制御部70により、記憶部71に記憶された紙管100の情報に基づいて、エアコンプレッサ56及び制御弁57を制御して、適量の塗布材料を、繊維束51の根元側に供給するため、塗布材料の滴下等を防止するとともに、必要最低限の塗布材料で、紙管100の端面に塗布材料を塗布することが可能となる。特に、紙管100を回転させながら塗布する構成であるため、塗布材料が多いと、滴下だけでなく、塗布材料の飛散等の発生や、端面以外への付着の虞もある。しかし、必要最低限の塗布材料とすることが可能となることから、塗布材料の飛散や端面以外の付着を防止し、信頼性を向上させることが可能となる。
【0078】
さらに、供給孔53を繊維束51及び植台52の中心よりも上方に設けることで、より、均一に繊維束51に塗布材料が供給される。即ち、塗布材料の移動は、重力により、上方よりも下方へとより移動するため、供給孔53を塗布体45の上方に設けることで、均一に塗布材料が供給される。
【0079】
また、塗布材料の供給手段46は、タンク55として、密閉容器58と、塗布材料容器59とを別体としたため、塗布材料は、塗布材料容器59にのみ付着することから、密閉容器58内の塗布材料の付着を防止することが可能となる。このため、供給手段46の維持や掃除が容易となる。
【0080】
さらに、制御部70は、二次側に紙管100が位置しない場合に搬送する構成とすることから、紙管100同士の干渉や各部位での停滞を防止することが可能となる。特に、端面処理装置1は、処理装置5における処理にもっとも時間がかかるため、レール10上に連続して紙管100が投入されると、紙管100同士が互いに当接して停滞する虞がある。レール10上で紙管が停滞すると、互いに干渉する虞や、処理装置5への複数の紙管100の侵入等の虞がある。しかし、本実施形態は、ストッパ12で紙管100の移動を規制することで、これらを防止することが可能となる。
【0081】
上述したように、本発明の一実施の形態に係る端面処理装置1によれば、紙管100の端面のみに確実に塗布材料を塗布することで、紙粉の発生を防止することが可能となる。
【0082】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、塗布体45は、植台52の供給孔53を、繊維束51及び植台52の中央よりも上方に配置させる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、供給孔53は、植台52の中央であってもよい。即ち、繊維束51に均一に塗布材料が供給可能であれば、塗布材料の粘度等や、繊維束51の幅等によって、適宜設定可能である。
【0083】
また、上述した例では、乾燥装置7を設ける構成を説明したが、これに限定されない。例えば、速乾性を有する塗布材料を用いる場合には、自然乾燥としてもよい。また、上述した例では、処理装置5は、面取装置20及び塗布装置21を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、塗布装置21のみを有する構成であってもよく、また、面取装置20のみを有する構成であってもよい。
【0084】
また、上述した例では、面取装置20の面取処理部26は、紙管100の位置合わせを、第1ローラ37及び第2ローラ40により行う構成を説明したが、紙管100の位置合わせが可能であれば、これに限定されない。以下、本発明の変形例に係る端面処理装置1面取装置20の面取処理部26Aについて、図8を用いて説明する。なお、本変形例に係る面取処理部26Aのうち、上述した一実施形態に係る面取処理部26と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0085】
図8に示すように、端面処理装置1の面取装置20に用いられる面取処理部26Aは、第1当接部31と、第2当接部80と、面取部33と、モータ34と、を備えている。
【0086】
第2当接部80は、回転軸34aに固定された円盤81と、円盤81に設けられた導入部82と、を備えている。円盤81は、その外径が紙管100の内径と略同一径に形成されている。また、導入部82は、例えば、紙管100に挿入される端側の陵部(角部)に設けられる。なお、導入部82は、円盤81の紙管100への挿入を容易とするとともに、当該挿入時に紙管100の陵部を変形又は損傷させない寸法及び形状であれば適宜設定できる。
【0087】
このように構成された面取処理部26Aを用いた端面処理装置1によれば、上述した面取処理部26を用いた端面処理装置1と同等の効果を得ることが可能となる。さらに言えば、面取処理部26Aは、円盤81の外径を紙管100の内径と略同一寸法とすることで、円盤81の外周面により紙管100を位置合わせすることが可能となる。
【0088】
即ち、面取処理部26Aは、円盤81の外周面が紙管100の内周面の周方向に沿って紙管100の内周面と当接するため、広範囲にて紙管100の位置合わせが可能となる。このように、面取処理部26Aによれば、紙管100の位置合わせを高精度に行うことが可能となる。
【0089】
また、面取処理部26Aは、円盤81の陵部に導入部82を設けることで、紙管100への円盤81の挿入時に、紙管100の陵部を損傷させることを防止することが可能となる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…端面処理装置、3…架台、3a…脚輪、3b…案内部材、4…搬送装置、5…処理装置、6…搬送装置、7…乾燥装置、8…制御盤、10…レール、11…搬入部、12…ストッパ、15…規制部、16…回転軸、17…回転盤、17a…壁部、20…面取装置、21…塗布装置、22…案内部材、25…固定部、26,26A…面取処理部、27…狭持部材、30…ベース、31…第1当接部、32,80…第2当接部、33…面取部、34…モータ、34a…回転軸、36…支持部、37…第1ローラ、38…軸体、39…アーム、40…第2ローラ、41…支持体、42…第3ローラ、45…塗布体、46…供給手段、47…回転手段、47a…ローラ、48…位置調整手段、51…繊維束、52…植台、53…供給孔、55…タンク、56…エアコンプレッサ、57…制御弁、58…密閉容器、59…塗布材料容器、60…配管、63…ベルト、64…プーリ、66…温風器、67…送風機、68…ダンパー、70…制御部、71…記憶部、72…表示部、73…操作部、81…円盤、82…導入部、100…紙管、F…搬送方向、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された紙管の端面を覆う塗布材料を、前記端面に塗布する塗布体と、
前記塗布体に前記塗布材料を供給する供給手段と、
前記紙管を回転させる回転手段と、
を備えることを特徴とする端面処理装置。
【請求項2】
前記塗布体は、前記紙管の厚みと同じ幅に束ねられた繊維束、及び、前記コーティング材料を前記繊維束に供給する供給孔を有し、前記繊維束を固定する植台を備え、
前記供給手段は、前記供給孔に接続され、前記塗布材料を、前記供給孔を介して前記繊維束に供給することを特徴とする請求項1に記載の端面処理装置。
【請求項3】
前記供給孔は、前記繊維束の中心よりも上方に位置して前記植台に設けられることを特徴とする請求項2に記載の端面処理装置。
【請求項4】
円筒状に形成された紙管を固定する固定手段、及び、前記固定した紙管の内周面に面取処理を行う面取手段を具備する面取装置と、
前記紙管の端面に、前記端面を覆う塗布材料を塗布する塗布体、前記塗布体に前記塗布材料を供給する供給手段、及び、前記紙管を回転させる回転手段を具備する塗布装置と、
を備えることを特徴とする端面処理装置。
【請求項5】
前記塗布体は、前記紙管の厚みと同じ幅に束ねられた繊維束、及び、前記塗布材料を前記繊維束に供給する供給孔を有し、前記繊維束を固定する植台を備え、
前記供給手段は、前記供給孔に接続され、前記塗布材料を、前記供給孔を介して前記繊維束に供給することを特徴とする請求項4に記載の端面処理装置。
【請求項6】
前記供給孔は、前記繊維束の中心よりも上方に位置して前記植台に設けられることを特徴とする請求項5に記載の端面処理装置。
【請求項7】
前記面取手段は、
前記紙管の端面と当接し、前記紙管を、前記紙管の軸心方向の位置合わせを行う第1当接部と、
前記紙管の内周面と当接し、前記紙管の軸心方向と直交する方向の位置合わせを行う第2当接部と、
前記紙面の内周縁と当接する面取部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の端面処理装置。
【請求項8】
前記面取り手段は、
前記第1当接部、前記第2当接部及び前記面取部が設けられ、前記紙管の軸心と同軸上で回転するベースを備え、
前記ベースの回転により、前記第1当接部、前記第2当接部及び面取部が前記紙管の端部に当節しながら前記当接部の周方向に沿って回動することで、前記紙管の位置合わせを行うとともに前記面取部により面取処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の端面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−111621(P2012−111621A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263961(P2010−263961)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000250616)立山製紙株式会社 (1)
【Fターム(参考)】