説明

筆記シート

【課題】筆記に支障を与えることなく、マグネットを用いた筆記シートが有している問題点を解消する筆記シートを提供する。
【解決手段】筆記シートBを、表側に筆記面11を有したシート本体1と、このシート本体1の筆記面11の一部に施したマーク2と、このマーク2に対応するシート本体1の一部に設けられ前記シート本体1を起立面に取り付けるために使用される取付手段3とを具備してなるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカ等の筆記具により書き込み可能な筆記面を有した筆記シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるシートタイプのホワイトボードとして起立面に取り付けて使用することができる筆記シートが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このものは、壁面等の起立面に配されて使用されることを主たる用途にしているものであり、シートの裏面の全領域にマグネット等の取付手段を設けている。
【0003】
ところが、マグネットを用いたものはICカードや電子機器等に悪影響を及ぼすという懸念がある上に、設置すべき起立面がマグネットを取り付け可能な金属製のものであることが必須であり、使用できる態様が限られてしまうという問題がある。
【0004】
このような不具合を解消するために、例えば、裏面の所要箇所に複数の接着シートを添設しておき、これら接着シートの接着力により筆記シート全体を起立面に保持させることが考えられる。
【0005】
ところが、このような構成のものでは、複数の接着シートを添接した部位が他の部位よりも表面側に膨らんでしまい、筆記作業に支障をきたすという不具合の発生が考えられる。
【0006】
なお、前述した不具合すなわち筆記作業への支障は、接着シート以外の取付手段を部分的に設けた場合においても同様に予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】“ホワイトボード”,コクヨ総合カタログ2011年版ステーショナリー編,コクヨ株式会社,平成22年12月,p.564
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の事情に着目してなされたものであり、筆記に支障を与えることなく、マグネットを用いた筆記シートが有している問題点を解消することができる筆記シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載の筆記シートは、表側に筆記面を有したシート本体と、このシート本体の筆記面の一部に施したマークと、このマークに対応するシート本体の一部に設けられ前記シート本体を起立面に取り付けるために使用される取付手段とを具備してなるものである。
【0010】
請求項2に記載の筆記シートは、請求項1に係る構成において、前記取付手段が、前記シート本体の裏面に設けられたものである。
【0011】
請求項3に記載の筆記シートは、請求項1又は2に記載の構成において、前記シート本体が矩形状をなすものであり、前記マークが、前記筆記面の四隅にそれぞれ設けられたものである。
【0012】
請求項4に記載の筆記シートは、請求項1、2又は3に記載の構成において、前記マークが、筆記面を撮影した際における映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられるものである。
【0013】
請求項5に記載の筆記シートは、請求項1、2、3又は4に記載の構成において、前記取付手段が、前記シート本体の裏面に設けられた接着シートであり、この接着シートが、前記マークの略真裏に設けられたものである。
【0014】
請求項6に記載の筆記シートは、請求項1、2、3、4又は5に記載の構成において、前記マークが、四箇所に略90°に折り曲がる角部を備えた略ロの字状の表示のものである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、筆記に支障を与えることがなく、マグネットを用いた筆記シートが有している問題点を解消することができる筆記シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図(筆記シートの表側)。
【図2】同実施形態における背面図(筆記シートの裏側)。
【図3】図1の部分拡大図。
【図4】図3におけるX−X線断面図。
【図5】本実施形態の筆記シートの一使用態様を示す説明図。
【図6】同説明図。
【図7】同説明図。
【図8】他の実施形態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を、例えば図6に示すような、家具たるテーブルTの天板面T1上で使用する態様と、図7に示すような、ハードタイプのホワイトボードHにおける起立面であるボード面H1に保持させて使用する態様とを選択的に採り得るようにしたソフトタイプのホワイトボードとも称される筆記ボードBに適用した場合のものである。
【0019】
この筆記シートBは、表側に筆記面11を有したシート本体1と、このシート本体1の筆記面11の一部に施したマーク2と、このマーク2に対応するシート本体1の一部に設けられ前記シート本体1をボード面H1に接着して取り付けるために使用されるとともにテーブルTの天板面T1上に接着して固定するために使用される取付手段たる接着シート3とを具備してなる。
【0020】
シート本体1は、可撓変形可能なシート状の基材13と、この基材13の表面に設けられ前記筆記面11を形成する白色の表面材14とを備えたものである。シート本体1は、全体として略矩形状をなしており、具体的には、上下寸法(縦幅寸法)及び左右寸法(横幅寸法)を約111mmに設定している。なお、本実施形態におけるシート本体1は、厚み寸法が約1mmに設定されている。シート本体1の四か所の角部分Cの端縁は、曲線的に形成されており、手指等を傷つけないようにしてある。シート本体1は、全体が可撓性を備えたシート状をなしているものであり、不使用時には全体を筒状に丸めてコンパクトにして収納することもできるようになっている。シート本体1の表面である筆記面11は、マーカMで文字や絵図を記入したり、イレイザーEでその文字や絵図等を消したりすることができるようにした通常のものである。
【0021】
マーク2は、任意のデザインを視覚的に認識させるためにシート本体1の表面、すなわち、前記筆記面11の四隅にそれぞれ設けられた印である。より具体的に説明すれば、このマーク2は前記筆記面11に直接印刷されたもので、枡形形状、換言すれば、略ロの字形をなしている。このマーク2には四箇所の位置に略90°に折り曲がった角部21すなわち、縦線21aと横線21bによって形成された四つの角部21を備えている。
【0022】
しかして、本実施形態におけるマーク2は、筆記面11をスマートフォンS等の電子的に処理可能な映像撮影装置によって撮影した際における、撮影された映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられる。撮影された映像の傾きや歪みの修正は、専用のアプリケーションによって行われる。具体的には、映像撮影装置の専用アプリケーション(ソフトウェア)が、映像撮影装置によって傾いて撮影されたシート本体1の映像や、同装置によって台形状に撮影されたシート本体1の映像等の歪みのある映像を、シート本体1に表示されたマーク2を利用して、正方形又は長方形のシート本体1の映像情報に補正・修正する。
【0023】
ここで、近時においては、ノートの用紙等の四隅の所定箇所に所定形状のマークである読み取りマーク(スキャンマーク)を設けておき、スマートフォンに付属のカメラで撮影したシートの情報を、読み取りマークを利用して傾きや歪みを補正し、綺麗にデータ化するためのアプリケーションが種々開発されている。本実施形態における筆記シートBを、例えば図7に示すように、スマートフォンSに搭載されたカメラで撮影して画像修正するためのスマートフォン用専用アプリケーションとしては、例えば、「CamiApp\キャミアップ」(コクヨ株式会社の商標)がある。
【0024】
接着シート3は、前記シート本体1の裏側、すなわち、シート本体1の裏面12における四箇所のマーク2に対応する四箇所の部位にそれぞれ設けられたものである。すなわち、前記各接着シート3は、表面にある各マーク2の略真裏にそれぞれ設けられている。より具体的に説明すれば、接着シート3は、シート本体1に添着された基材31の外面に多数回の接着と剥離とを繰り返すことが可能な接着面32を備えた略円形状のものであり、厚み寸法が約1mm、直径が約50mmに設定されている。本実施形態に示す接着シート3は、接着面32に微細な凹凸(図示せず)が形成されてあり、この微細な凹凸が吸盤となって天板面T1や起立面H1等の所定箇所に容易に接着できるようになっている。
【0025】
接着シート3は、シート本体1の表面11に設けられたマーク2に対応する裏面12に設けられている。すなわち、図3及び図4に示すように、本実施形態に示されるものは、正面視において、円形をなしている接着シート3が、マーク2の略真裏に配されている。接着シート3は、マーク2に外接する程度の大きさの円形をなしている。この実施形態における接着シート3の大きさは、マーク2の縦幅寸法・横幅寸法の2倍以下の縦幅寸法・横幅寸法に設定されている。
【0026】
このように、本実施形態に係る筆記シートBは、表側に筆記面11を有したシート本体1と、このシート本体1の筆記面11の一部に施したマーク2と、このマーク2に対応するシート本体1の一部に設けられ前記シート本体1を起立面H1に取り付けるために使用される取付手段たる接着シート3とを具備してなるものであるため、使用者は、マーク2の存在によって自然に接着シート3を避けるようにして筆記を行うように誘導される。すなわち、シート本体1の裏面12に接着シート3が部分的に設けられることによって生ずる凹凸形状がマーク2と略同じ位置ないしマーク2の近傍に形成されるため、実際に筆記が行われる筆記面11の中央部分に凹凸が生ずることが無く快適な筆記に支障を来さないものとなる。
【0027】
しかも、近年のオフィスにおいては、研究スペースの効率化や能率の向上を図るべく、図6に示すような、筆記シートBを天板面T1上に配して使用する形態と、図7に示すような、起立面H1に配して使用する形態とを迅速かつ軽快に切り替えて柔軟に使用できることが求められているところ、本実施形態に係る筆記シートBであれば、接着シート3がシート本体1の裏面12の全部に設けられているものではなく、筆記面11の一部に施したマーク2に対応させて、シート本体1の裏面の一部分に設けられている。このため、本実施形態における筆記シートBであれば、過度な接着力を抑制しつつ適切な接着力を発揮して、シート本体1の天板面T1や起立面H1に対する取り付け及び取り外しを迅速かつ軽快に行うことができるものとなる。
【0028】
本実施形態における取付手段3は、前記シート本体1の裏面12に設けられた接着シート3であるため、シート本体1を取り付ける箇所に制約が無くなり、柔軟な研究スペースの利用に寄与するものとなる。換言すれば、取付手段が接着シート3であるため、従来のようなマグネット対応の金属を備えた家具のみにしか取り付けられないといった技術的な制約が無くなり、金属を備えた家具以外の種々の起立面に取り付けることができるものとなっている。
【0029】
本実施形態における接着シート3は、シート本体1に対して四箇所に部分的に設けられているものであるため、接着シート3の面積が従来の如く略全面に設けられているものと比べて面積となりコストダウンに寄与するものとなっている。
【0030】
シート本体1が略矩形状をなすものであり、前記マーク2が、前記筆記面11の四隅Cにそれぞれ設けられたものであるため、一般的な矩形状をなす家具の天板に載置して利用しやすいものとなっている。
【0031】
接着シート3は、四角形のシート本体1における表面11の四隅Cにあるマーク2に対応させて、裏面12の四隅Cに配されているため、使用者にマーク2を避けた筆記を自然に誘導し、シート本体1の微細な歪みや凹凸に影響されて筆記面11への快適な筆記に支障が生ずることも好適に回避することができるようになっている。
【0032】
接着シート3が、シート本体1の裏面12の四隅Cに部分的に配されているため、シート本体1における接着シート3が配された部分近傍(特に接着シート3の縁部近傍)における起立面H1又は天板面T1とシート本体1との間に若干の隙間が形成される(図4を参照)ことになり、手指をシート本体1の縁部に掛け易くしているため、シート本体1が取り付けられる天板面T1や起立面H1からシート本体1を容易に離脱させることができる。
【0033】
前記マーク2が、筆記面11を撮影した際における映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられるものであるため、ノートより遥かに大きな面積を有した筆記シートBの筆記面11に記載した情報を、スマートフォンS等の所定のアプリケーションを備えた画像処理装置によって綺麗にデータ化することができる。
【0034】
前記接着シート3が、前記マーク2の略真裏に設けられたものであるため、換言すれば、使用者の筆記が自然に回避される部分であるマーク2の表示領域の略真裏の領域に所定厚みの接着シート3が配されているため、凹凸形状をマーク2の所在する部位近傍にのみ生じさせて、使用者の軽快な筆記に支障を与えにくいものとなっている。
【0035】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0036】
取付手段は、上述した実施形態に示されたような接着シートに限定されるものではなく、種々の構成のものを適用することができる。
【0037】
ここで、図8に示すものは、他の実施形態である接着シートFBを示している。前述した実施形態と同一又は相当する構成については、頭に「F」を付した上で、同一の符号を付すものとし、説明を省略する。図8に示す筆記シートFBは、表側に筆記面F11を有したシート本体F1と、シート本体F1の筆記面F11の一部に施したマークF2と、このマークF2に対応するシート本体F11の一部に設けられシート本体F1を起立面に取り付けるために使用される取付手段たる貫通孔F3を具備してなるものである。より具体的に言えば、貫通孔F3は、円孔であり、枡形状のマークF2に囲まれた内側領域に穿設されている。このような構成のものであっても、筆記に支障を与えることがなくなり、所期の目的を達成することができる。なお、図8に示すものは、貫通孔F3が、壁面等の起立面に設けられたフック等の係合突起に係合することにより、起立面に取り付けられる。
【0038】
上述した実施形態におけるマークは、筆記面を撮影した際における映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられるものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、マークが意匠性を向上させる目的のものであってもよい。
【0039】
なお、筆記面を撮影した際における映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられるマークは、上述した形状のものには限定されない。すなわち、マークの形状は、アプリケーションが修正のために認識可能な形状であればよく、適宜の形状を適用することができる。
【0040】
上述した実施形態に示されるマークは、筆記面に直接印刷されたものであるとして説明しているが、例えば、ステッカー等の別体のものにマークを形成してこれをシート本体に貼り設けるようにしたものであってもよい。或いは、マークは、必要に応じてマーカによる筆記によって表出させるようにしたものであってもよく、例えば、マーカで塗りつぶすことにより所定の形状を表出させるためのガイド線のようなマークを適用しても良い。
【0041】
シート本体は、本実施形態に示されるものには限定されず、種々の形状のものや、面積のものや、厚み寸法のものを適宜適用することができる。
【0042】
接着シートは、本実施形態に示されるものには限定されず、必要な接着力を発揮し得る範囲で、種々の形状のものや、面積のものや、厚み寸法のものを適宜適用することができる。また、接着シートの天板面や起立面に対する具体的な接着手段も、本実施形態に示されるタイプのものには限定されず、例えば、接着剤層を設けた粘着タイプの接着シートを採用し、天板面や起立面に粘着させるようにしてもよい。その他、接着シートの接着手段は、種々のものを適用することができる。
【0043】
筆記シートが取り付けられる「起立面」とは、本実施形態に示されるような家具の起立面に限られるものではなく、例えば、オフィスにおける壁面等であってもよい。同様に、筆記シートが、水平に配される態様としては、家具の天板面上に配される態様の他、例えば、オフィスにおける床面等の水平面であってもよい。
【0044】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…シート本体
2…マーク
3…取付手段(接着シート)
11…筆記面(表面)
B…筆記シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側に筆記面を有したシート本体と、このシート本体の筆記面の一部に施したマークと、このマークに対応するシート本体の一部に設けられ前記シート本体を起立面に取り付けるために使用される取付手段とを具備してなることを特徴とする筆記シート。
【請求項2】
前記取付手段が、前記シート本体の裏面に設けられた接着シートである請求項1記載の筆記シート。
【請求項3】
前記シート本体が矩形状をなすものであり、前記マークが、前記筆記面の四隅にそれぞれ設けられたものである請求項1又は2記載の筆記シート。
【請求項4】
前記マークが、筆記面を撮影した際における映像の傾きや歪みを修正するための目印として用いられるものである請求項1、2又は3記載の筆記シート。
【請求項5】
前記取付手段が、前記シート本体の裏面に設けられた接着シートであり、この接着シートが、前記マークの略真裏に設けられたものである請求項1、2、3又は4記載の筆記シート。
【請求項6】
前記マークが、四箇所に略90°に折り曲がる角部を備えた略ロの字状の表示である請求項1、2、3、4又は5記載の筆記ノート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103425(P2013−103425A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249385(P2011−249385)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】