説明

筒状ニット製品の終端部を取巻く端縁部を揃える装置及び方法

装置は、筒状ニット製品(M)がその上に配置される筒状部材(377)と、複数の接触部材(1467;1447、1453)を備えた筒状部材の終端部の正面に位置決めされた動作ヘッド(1432)とを備えている。接触部材は一対のホイール(1447;1453)と複数のパッド(1467)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが、特にストッキングや靴下などの筒状ニット製品を取り扱うための機械或いは装置に関わるものである。
【0002】
さらに具体的には、本発明は、爪先を縫製するための後続の作業に前述の種類の筒状ニット製品、すなわち爪先が開いた状態で製造され編機から荷降ろしされるニット製品を準備することに役立つ装置に関わるものである。
【背景技術】
【0003】
国際公開WO−A−2005/100664は、独立した靴下或いはその他の筒状ニット製品をバスケットから取り上げて、それらを裁断機付き縫製機で縫製するために準備する機能を有する複数のステーションを備える複合機を開示している。それらのステーションの1つは、ニット製品の終わりの一方が周囲する端部或いはバンド部分、さらに特にはその開いた爪先が周囲する端部をほぼ水平面に揃える機能を備えている。このステーションは、筒状支持搬送部材の上に挿差された製品に選択的に近づくために制御され複数の接触部材から構成される動作ヘッドを備えている。筒状製品をその上に挿差された筒状部材と接触部材との間の相対的な動きは、筒状搬送部材の上の筒状ニット製品の位置決めに応じた異なる頻度によってこれらの部材と筒状製品との間の接触が行われるということである。筒状ニット製品は、それと徐々に接触するようになりそれを筒状搬送部材の表面或いは側面を押すパッドによって筒状搬送部材の上を摺動するようにされている。かかる動作の最終結果は、筒状ニット製品の開いた爪先が周囲する端部のすべての部分を筒状搬送部材の軸に直交してほほ水平面に揃えることであり、つまり爪先開口部で周囲するバンド部分或いは端部全体が筒状部材の軸に実質的に直交したほぼ同一水平面におかれる。これは、縫製機で筒状ニット製品の爪先部分を取り上げて挿差する次の動作を容易にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の態様によれば、本発明の目的は、上記装置をより迅速でより信頼できるよう改良することにある。
【0005】
実質的に以下の本文を読むことから当事者には明らかであるこのような又はその他の目的及び利点は、パッドの他に、筒状ニット製品の編地に作用する少なくとも1つのホイール或いは好ましくは一対のホイールから構成される動作ヘッドを備える上記種類の装置によって得られる。これらのホイールは、好ましくはモータ駆動化され、筒状ニット製品の編地の一部分の動きを実行し、作業周期の始めに筒状搬送部材の正面端部の上に置かれている。このような方法で、筒状搬送部材の正面部分から筒状ニット製品を荷降ろしするステップが進められ、パッドの動きを通した次の整列ステップのとおり、パッドは、筒状部材の上に挿差された筒状ニット製品の編地材料と徐々に選択的に接触するようになる。
【0006】
本発明のさらなる特徴及び好ましい実施形態は、添付図面を参照して以下に詳細に説明されまた本説明に欠くことのできない部分を形成する添付の特許請求の範囲において示されるものである。
本発明は本発明の実質的に限定されない実施形態を示す以下の説明及び添付図面によってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】動作ヘッドと筒状ニット製品をその上に挿差された筒状部材とを備えた装置の全体側面図。
【図1A】図1における線1A−1Aに沿った断面図。
【図2】第一の動作ステップを示す、図1にと同様な図。
【図3A】可能な作業周期の後続の動作ステップを示す図。
【図3B】可能な作業周期の後続の動作ステップを示す図。
【図3C】可能な作業周期の後続の動作ステップを示す図。
【図4】可能な作業周期のさらなる動作ステップを示す図。
【図5】可能な作業周期のさらなる動作ステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
装置は筒状部材377と共動する動作ヘッド1432を備えて、例えば同一機械の後続のステーションを介して筒状ニット製品を搬送するために、筒状ニット製品は筒状部材377の上に配置されている。示された実施形態では、筒状搬送部材337の構成は垂直であるが、機械装置全体の位置付けは、すなわち筒状搬送部材337に水平軸を配置して或いはさらに中間位置に傾斜を伴って回転され得る。
【0009】
可能な実施形態によれば、ステーション1432は筒状部材337の正面端部に面するプレート1435を備えている。プレート1435及び筒状部材337は、お互いの方に向かって或いはお互いから離れて相互に動くよう両方向矢印f1435に沿って相互に関わって移動可能である。有利には、動作ヘッド1432は筒状部材337の軸に実質的に平行した方向で移動可能である、一方で、筒状部材は、筒状ニット製品を機械の1つのステーションから他へ搬送するためその軸に直交した動きで固定されるか或いは構成されている。可能な実施形態によれば、作動装置1437は前記プレート1435に動きを伝えるよう構成されている。示された実施形態では、ピストンシリンダー1437が備えられているが、電気ステッピングモータ及び雌ネジに係合されるネジ式バールを備えたピストンシリンダーを包含するその他の実施形態が可能である。
【0010】
有利な実施形態によれば、ブレート1435に堅固に接続されたブラケット1439は、ブラケット1439に1443でヒンジ付けされた振動レバー1441を支持している。作動装置1445は、レバー1441の振動する動きを制御している。その端部でレバー1441は、第一のホイール1447を支持しその回転は電動モータ(示されていない)によって或いは別の適当な動作源によって制御されている。
【0011】
振動レバー1441は、ホイール1447に同軸でレバー1441にヒンジ付けされた振動ブラケット1449を支持している。作動装置1451は、その振動軸の周囲で振動ブラケット1449の振動する動きを制御している。振動ブラケット1449は第二のホイール1453を支持し、第二のホイール1453は動き伝達ベルト1455を介してホイール1447に接続され、よってこのモータ(示されていない)がホイール1447と1453の両方を回転させている。より限られた機械部品の数量を要するため、図示された構成は好ましいとはいえ、第二の別個のモータをホイール1453に備えることも可能である。
【0012】
可能な実施形態によれば、プレート1435は、プレート1435の下に配置された支持部材1463に接続された追加の作動装置1461を支持している。複数のブラケット1465は堅固に接続され支持部材1463の下に伸長している。可能な実施形態では、これらのブラケット1465のうちの3個を備えていて、装置の軸Ax−Axの周囲で90°で相互に間隔を置いて配置されている(図1A参照)。有利な実施形態では、ブラケット1465の各々は可動パッド1467を備えている。ブラケット1465の各々は半径方向、すなわち軸Ax−Axに実質的に直交して移動可能であり、さらにその動きは作動装置1469によって制御されている。
【0013】
有利な実施形態では、タブ225は、筒状部材337の内部に収容されて設けられ、この筒状部材の円筒状の側壁に設けたスロットを通して抜き取り可能であり且つ格納可能である。タブ及びスロットは筒状部材の軸に実質的に平行方向に伸長している。好ましい実施形態では、タブ225は、225Xで示されたスロット或いは縦方向に溝を切られた開口部を備えている。
【0014】
ホイール1447、1453及びパッド1467の各々は、好ましい実施形態では、参照番号1471と1473とで示された光発信器と光受信器とで構成される個別の感知装置を備えて、以下により詳細に説明されるように、少なくとも作業周期の一部分でスロット255Xを通して光ビームが通過するよう1つが他の正面に配置されている。
【0015】
装置1432は以下の通り動作する:図1で、筒状部材377及び筒状ニット製品Mは装置1432のプレート1435により整列されるようになる。製品Mの爪先は部分的に筒状部材377の上位端部を覆い、プレート1435は筒状部材377に関わって離間して配置されている、そのためパッド1467及びホイール1447と1453は筒状部材377及びその上に置かれた製品Mに接触していない。
【0016】
後続のステップ(図2)において、作動装置1437はプレート1435を下げ、振動レバー1441はホイール1447が筒状部材377の上位端部を押すまで左回りに振動するようにされる。また振動ブラケット1449はホイール1453で筒状部材377の側面を押すために動かされる。好ましい実施形態では、このステップでタブ225は筒状部材377の内部に格納されている、すなわちそれらは筒状部材377の円筒状の側面から突き出ているものではない。
【0017】
ホイール1447、1453は、製品Mの爪先の編地が筒状部材377の端部から完全に取り外されるまで回転するようにされる、また円筒状の側面に沿って特定の距離を摺動するようにされている(図3A参照)。可能な動作モードでは、この点で、タブ225は部分的に抜き取られホイールの回転方向が反転される、そのためホイール1453によって係合された編地部分は筒状部材377の上位端部に向けて僅かに動かされる。この動きは、タブ225に対応して内部に設けられた溝付き孔225Xを通して筒状ニット製品Mの爪先Pのバンド部分F或いは端部を感知するとすぐに停止される。最終位置は図3Bに示されている。溝付き孔225Xがない場合、光感知器はタブ225の縦方向端部で編地の厚みを感知するよう配置され得る。
【0018】
バンド或いは端部Fの残りの部分は通常前もっては分からない下位位置にある。作業周期の次のステップの目的は、ほぼ同じ高さ、すなわちほぼ筒状部材377の軸に実質的に直交した水平面に爪先のバンド部分F全体を揃えることである。
【0019】
この目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態によれば、支持部材1463は筒状部材377に向かって徐々に動かされる。パッド1467の各々はこのように下げられる(図3C)。対応する感知装置1473は筒状ニット製品Mの爪先が周囲するバンド部分F或いは端部を感知するとすぐに、対応する作動装置1469はパッドで筒状部材377を或いは好ましくは相対的に部分的に引き抜かれたタブ225の半径方向に突き出ている縦方向端部を押す。感知装置の光ビームが上記スロット225Xを通って通過するために、感知はスロット225Xによって容易になされ、ビームが編地に遭遇するとすぐ中断される。同様の動作モードが感知装置1471に備えられている。
【0020】
次いで、支持部材1463の動きは、好ましくはパッド1467の各々が筒状部材377或いはタブ225と逆の方向へ動いた後、特定の距離の間継続される。一旦パッド1467が対応するタブ225の端部を押すと、支持部材1463が停止するまでこのタブの端部に沿って編地を引き寄せる。結果として、すべての感知装置1473が対応するパッド1467に関わって同じ位置に配置されるのと同様に、図4で示されるように、支持部材1463の下方向への移動の終わりでパッド1467と接触状態にある編地の部分は筒状部材377の上位端部に関わってすべて同じ高さに置かれる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、次にパッド1467がホイール1453によって係合された編地の部分に関わって編地を同じ高さにするまで、支持部材1463の動きは逆転される。この作業の最終結果は図5で示されている:筒状ニット製品Mの爪先Pの端部F或いはバンド部分は、筒状部材377の上位端部に平行した水平面に沿ってほほ揃えられている。
【0022】
これらの説明から僅かに異なる動作手順は、筒状ニット製品Mの端部Fを揃える動作の最終結果を得るのを容易にできることを理解されるべきである。しかしながら一般的に装置は、感知装置1473で発生された信号によって選択的に制御される パッド1467の実質的に放射状の動きとの組み合わせで、この筒状部材の軸に平行した方向に沿った動作ヘッド1432と筒状部材1437との間の相互動作によってこのような動作が実行され、ホイール1447、1453を介して筒状部材377の部分或いは正面端部から爪先の編地のポケットを荷降ろしする第一ステップを実行するであろう。最終的に筒状部材377の上のパッドを閉じて摺動すると、爪先Pの端部Fに望ましい高さでの整列をもたらす。
【0023】
添付図面は本発明の一実施形態を示すものであるが、本発明の基礎をなす概念の範囲から逸脱することなく形状及び構成において変更可能であることが理解される。添付の特許請求の範囲における参照番号は、説明及び添付図面を参照してそれらを読むことを容易にするために設けられているものであって、特許請求の範囲で示された保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0024】
225 タブ
225X 縦溝付き孔
377 筒状部材
1432 動作ヘッド
1435 プレート
1437 作動装置
1439 ブラケット
1441 振動レバー
1445 作動装置
1447 第一のホイール
1449 振動ブラケット
1451 作動装置
1453 第二のホイール
1455 動き伝達ベルト
1461 作動装置
1463 支持部材
1465 ブラケット
1467 パッド
1469 作動装置
1471 感知装置
1473 感知装置
M 筒状ニット製品
F 端縁部
P 爪先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ニット製品の端縁部を揃える装置であって、
前記筒状ニット製品が配置される筒状部材と、複数の接触部材を含む筒状部材の終端部の正面に位置決めできる動作ヘッドと
を有し、
前記接触部材が少なくとも1つのホイールと複数のパッドを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記動作ヘッドの軸の周囲に配置され複数の前記接触部材と前記少なくとも1つのホイールを支える支持部材とが2つの近接したパッドの間に位置決めされて備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記ホイールがモータ駆動化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記接触部材の1つが、第一のホイールと第二のホイールとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第一のホイールが筒状部材の端部に対して作用するよう設けられ、第二のホイールが筒状部材の側面に対して作用するよう設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第一及び前記第二のホイールが、モータ駆動化されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第一及び前記第二のホイールが、伝達ベルトで接続されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ホイールが、動作ヘッドに対して振動する支持部材で支持されていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
動作ヘッドに対して前記ホイールの前記振動支持部材の振動を制御する作動装置を特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第一及び前記第二のホイールが、前記動作ヘッドに対して第一の振動支持部材と第二の振動支持部材とによってそれぞれ支持されていることを特徴とする請求項3から7の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第一の振動支持部材及び前記第二の振動支持部材の振動を選択的に制御する第一の作動装置と第二の作動装置とを有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記パッドが、共通の支持要素で支持され、前記共通の支持要素が前記軸に実質的に平行する方向で動作ヘッドに対して移動可能であることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記パッドの各々が、筒状部材の側壁の方へ向かう及び側壁から離れる動きを制御する作動装置で制御されていることを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記パッドの各々に対する感知装置を有し、前記感知装置が、前記筒状部材の上に挿差された筒状ニット製品を感知するよう設けられ配置されていることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのホイールには、別の感知装置が組み合わされ、前記別の感知装置が前記筒状部材の上に挿差された筒状ニット製品を感知するよう設けられ配置されていることを特徴とする請求項1から14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の感知装置が、発信器又は受信器を備えた光学感知装置であることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記筒状部材が、筒状部材の軸に実質的に平行した方向に伸長する抜き取り可能で且つ再格納可能なタブを備えていることを特徴とする請求項1から16の何れか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記パッド及び前記1つの又は複数のホイールが、前記タブの前方に設けられ、タブの数がパッドの数に1つ加算した数と等しいことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
筒状部材の上に筒状ニット製品の端縁部を揃える方法であって、
− 端縁部の一部分が筒状部材の前方端部に位置決めされ、また端縁部の一部分が筒状ニット製品の側面に位置決めされるように筒状部材の上に前記筒状ニット製品を配置するステップと、
− 筒状部材の前方端部に置かれた筒状ニット製品の編地と接触するように筒状部材に向かってホイールを動かすステップと、
− 筒状部材の端部から編地を降ろし、そしてそれを側壁上で摺動させるステップと、
− 筒状部材の側壁に置かれた筒状ニット製品の編地に向かって徐々に選択的に前記パッドを動かすステップと、
− パッド及び筒状部材の往復動を通して筒状部材の軸線にほぼ直交する平面に沿って筒状ニット製品の端縁部を揃えるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
第二のホイールによって筒状ニット製品の編地の一部分を筒状部材の表面で摺動させるステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−505581(P2010−505581A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531980(P2009−531980)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000705
【国際公開番号】WO2008/044260
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(505386845)ゴールデン レデイ カンパニー ソチエタ ペル アチオーニ (12)
【Fターム(参考)】