説明

管球の落下防止機構付きランプ

【課題】管球の封止部やその周辺部にクラックが発生しても、管球の落下を確実に防止する落下防止機構付きランプの提供。
【解決手段】ネック部2cの口径に比較して中央部2aの口径が大きい管球2と、管球の落下防止機構22とを備え、前記落下防止機構22は、マウント8を構成するランプ軸線方向に延在する支持部材に固定された固定部材と、前記固定部材よりランプ口金6に近い位置でスライド部材と、移動部材と、回転自在に連結された回転部材とを有し、ランプ10を上下反転して前記ランプ口金を上方にしたとき、前記スライド部材は、前記支持部材に沿ってスライド移動し、該スライド部材と前記回転部材の連結箇所がランプ軸線(L-L')から半径方向外向きに前記ネック部口径を超えた位置まで立ち上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管球の落下防止機構付きランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ及びセラミックメタルハライドランプのような高輝度放電ランプ(以下、「HIDランプ」という。)は、電極間の放電を利用して発光する。HIDランプは、白熱電球と比べて、光束が大きく大規模空間の照明に適し、エネルギー効率が良いため消費電力が少なく、寿命も長く、一般に演色性が高いといった種々の特徴を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-184359号公報「照明用管球」(2002年06月28日公開)
【特許文献2】特開2008-66222号公報「高圧放電ランプ」(2008年03月21日公開) 図1は、特許文献1に開示する管球の落下防止機構を説明する図である。但し、本願図面の参照符号との重複を避けるため、図1の参照符号及び以下の説明は、特許文献1の図1及び2の参照符号を100番台に変更している。明細書段落0010〜0011に、「…留め金101は留め金本体101aと留め金心棒101bからなっており、留め金本体101aは…ステンレス鋼板を断面がコの字形になるように折り曲げたもので、留め金心棒101bを軸にして回転する。回転の範囲は支持金具とのなす角度が最大60度程度である。…留め金本体1aは重心軸を外して留め金心棒1bに支持されているので、口金が上になった時、留め金本体は重力によって回転し、支持金具2となす角度が60度まで回転する。…これとは逆に口金が下側になった時は、留め金本体と支持金具2のなす角度は0度になる。」と説明されている。
【0004】
図2は、特許文献2に開示する管球の落下防止機構を説明する図である。但し、本願図面の参照符号との重複を避けるため、図2の参照符号は、特許文献2の図1の参照符号を200番台に変更している。要約に、「ランプ210では、管球214の上記球体部214a内における内部ステムリード212には、アーム222を有する落下ストッパ220が1つだけ取付けられており、アーム222が、その一端を支点Fとして、他端が第1の位置から第2の位置までの間を弧を描く状態に回転自在に構成されている。第2の位置では、アーム222が管球214の管軸Ax10に対し、70[°]よりも大きく、110[°]以下の角度をなす。」と説明されている。
【0005】
この特許文献1及び2には、以下に説明する移動部材と回転部材を連結して、回転部材が立ち上がる管球の落下防止機構は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HIDランプは、そのE形口金を照明装置のソケットへ装着する時、或いは点灯経過時において、希に、ステム管と管球のネック部との封止部やその周辺部にクラック等の割れを生じることがあった。
【0007】
このクラックの原因としては、ガラス製管球とステム管との封止作業時の加熱バーナーによるガラス溶融の不具合が原因で、封止部をモールド成形した際に封止部やその周辺部のガラスの厚みが不均一に成る場合が挙げられる。或いは、管球から導出した外部導入線と口金とを半田等のろう材を用い接続するスポット的な加熱時に生じる歪を除去する歪除去バーナーの調整不具合が原因で、封止部やその周辺部のガラスに歪みが残留する場合が挙げられる。このようなガラス厚みの不均一、残留歪み等により、管球の封止部やその周辺部に、微小な傷、割れ等が生じたり、加工歪が残留したりする。
【0008】
HIDランプのE形口金をソケットにねじ込む際に管球の封止部やその周辺部に強い捻り力が加わった場合、及び/又はランプ点滅による熱的衝撃或いは振動衝撃等が管球の封止部やその周辺部に加わった場合に、クラックや割れが生じるおそれがある。
【0009】
封止部やその周辺部に生じたクラックや割れが管球を一周すると、管球がE型口金から離脱して落下するおそれがある。なお、この問題は、後述するようにHIDランプに限られず、管球を備えた他の白熱ランプにも存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点に鑑みて、本発明は、管球の封止部やその周辺部にクラックが発生しても、管球の落下を確実に防止する落下防止機構付きランプを提供することを目的とする。
【0011】
従って、本発明に係る管球の落下防止機構付きランプは、ネック部の口径に比較して中央部の口径が大きい管球と、前記管球の落下防止機構とを備え、前記落下防止機構は、マウントを構成するランプ軸線方向に延在する支持部材に固定された固定部材と、前記固定部材よりランプ口金に近い位置で、前記支持部材にスライド自在に保持されたスライド部材と、一端が前記スライド部材に回転自在に連結された移動部材と、一端が前記移動部材の他端に相互に回転自在に連結され、他端が前記固定部材に回転自在に連結された回転部材とを有し、前記ランプを上下反転して前記ランプ口金を上方にしたとき、前記スライド部材は、前記支持部材に沿ってスライド移動し、該スライド部材と前記回転部材の連結箇所がランプ軸線から半径方向外向きに前記ネック部口径を超えた位置まで立ち上がる。
【0012】
更に、本発明に係る管球の落下防止機構付きランプは、ネック部の口径に比較して中央部の口径が大きい管球と、前記管球の落下防止機構とを備え、前記落下防止機構は、マウントを構成するランプ軸線方向に延在する支持部材に固定された固定部材と、前記固定部材よりランプ口金に近い位置で、前記支持部材にスライド自在に保持されたスライド部材と、一端が前記スライド部材に回転自在に連結された移動部材と、その中間部で前記移動部材の他端に相互に回転自在に連結され、一端が前記固定部材に回転自在に連結された回転部材とを有し、前記ランプを上下反転して前記ランプ口金を上方にしたとき、前記スライド部材は、前記支持部材に沿ってスライド移動し、前記回転部材の他端がランプ軸線から半径方向外向きに前記ネック部口径を超えた位置まで立ち上がる。
【0013】
更に、上記管球の落下防止機構付きランプでは、前記支持部材は、マウントの支柱の一部又はランプ軸線方向に延在する支柱代替部材であってよい。
【0014】
更に、上記管球の落下防止機構付きランプでは、前記落下防止機構には、前記スライド部材が逆方向に回転するのを防止する逆転防止機構が備わっていてもよい。
【0015】
更に、上記管球の落下防止機構付きランプでは、前記落下防止機構には、前記スライド部材と前記回転部材の連結箇所の立ち上がる方向を決める方向決め機構が備わっていてもよい。
【0016】
更に、上記管球の落下防止機構付きランプでは、前記落下防止機構を複数個設けていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、管球の封止部やその周辺部にクラックが発生しても、管球の落下を確実に防止する落下防止機構付きランプを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、先行技術文献である特許文献1に開示する管球の落下防止機構を説明する図である。
【図2】図2は、先行技術文献である特許文献2に開示する管球の落下防止機構を説明する図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る、管球の落下防止機構付きHIDランプの全体を説明する図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る、HIDランプのバルブ形状を説明する図である。
【図5】図5は、図3のマウントと、これに取り付けた管球の落下防止機構とを示し、ここで、(A)は落下防止機構の作動前の状況を示し、(B)は作動後の状況を示している。
【図6A】図6Aは、落下防止機構の作動前の状況を示し、(1)は図3と同じ方向から見た図であり、(2)はその側面図である。
【図6B】図6Bは、落下防止機構の作動後の状況を示し、(1)は図3と同じ方向から見た図であり、(2)はその側面図である。
【図6C】図6Cの(1)は、落下防止機構を支柱の一部に取り付けた例であり、(2)は、支柱代替部材に取り付けた例である。
【図7A】図7Aは、他の実施形態に係る落下防止機構の作動前の状況を示し、(1)は図3と同じ方向から見た図であり、(2)はその側面図である。
【図7B】図7Bは、他の実施形態に係る落下防止機構の作動後の状況を示し、(1)は図3と同じ方向から見た図であり、(2)はその側面図である。
【図7C】図7Cの(1)は、他の実施形態に係る落下防止機構を支柱の一部に取り付けた例であり、(2)は、支柱代替部材に取り付けた例である。
【図8】図8は、落下防止機構が取り付けられたマウントをランプ管球に取り付ける方法を説明する図である。
【図9】図9は、代替例として、複数個の落下防止機構が取り付けられたランプを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る管球の落下防止機構付きランプの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0020】
[管球の落下防止機構付きランプ]
(HIDランプの構造)
図3は、本実施形態に係る管球の落下防止機構付きランプを説明する図である。ランプとして、HIDランプの1つであるセラミックメタルハライドランプ10を例に挙げて説明する。
【0021】
図3に示すように、セラミックメタルハライドランプ10は、管球2の内部に、発光部となる発光管4を内封した二重構造となっている。管球2の端部には、E形の口金6が接合されている。発光管4は、金属の線材や金属板を組み合わせた構造物から構成されたマウント8により、所定の位置に支持され給電される。マウント8を構成する支柱に、管球の落下防止機構22が形成されている。これらの各要素について詳述する。
【0022】
発光部となる発光管4は、中央の太管部4a及び両端の細管部4b,4cの形状をもつセラミックス製の透光性容器である。一対のリード線5,7が、これら細管部4b,4cを夫々通して太管部4aの領域まで延びて、一対の主電極(図示せず。)を形成している。
【0023】
発光管4の容器内には、発光及び放電媒体として、所定量の水銀と、所定の複数の発光金属のハロゲン化物と、希ガスとして所定圧力のアルゴン(Ar)ガス等が封入されている。
【0024】
マウント8は、一対の導入線が気密封着されたステム管14と、一方の導入線に接続された、モリブデンMo,ステンレス等の線材や略長四角形状の枠状に成形した丸棒体から成る支柱16と、支柱に固定された抵抗器、バイメタル等の始動回路部20とを主要部品として構成される。
【0025】
落下防止機構22に関しては、後で、図5〜図9を用いて詳述する。
【0026】
管球2は、例えば、ホウケイ酸ガラス等の透光性の硬質ガラスから成る。管球2は、最大口径の中央部2a、図3で見て下部側のトップ部2b、及び上部側のネック部2cを有するBT形である。ネック部2cには、ステム管14のフレア部が封止された封止部(図示せず。)が有る。この封止部を覆ってE形の口金6が耐熱性の接着剤を用いて接合され、或いはモールドにより形成された螺旋状のねじ溝に口金6が螺合されて取付けられる。
【0027】
図3に示すセラミックメタルハライドランプ10は、多くの場合、口金6側が上方に位置する鉛直又は傾斜したベースアップ状態でソケットに取り付けられ点灯される。
【0028】
(対象となるランプ及びランプ形状)
図3では、セラミックメタルハライドランプ10を例に挙げて説明しているが、これに限定されない。対象となるランプは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、セルフバラスト水銀ランプ及び高圧ナトリウムランプのようなHIDランプが含まれる。更に、HIDランプに限られず、管球が剥き出しでカバー無しで使用されている白熱ランプ等も含まれる。
【0029】
図3では、ランプ形状として、BT形ランプ10を例にとって説明をしているが、これに限定されない。図4は、本実施形態に係るランプの管球形状を説明する図である。本実施形態に係るランプは、中央部2aがネック部2cより少しでも大きい口径の全てのランプ形状が対象となる。ランプ形状は、例えば、(A)に示すB型、(B)に示すBT型、(C)に示すR型、(D)に示すG型、及び(E)に示すT型であってよい。
【0030】
(管球の落下防止機構)
図5は、図3に示す高輝度放電ランプの管球の落下防止機構22の詳細を説明する図である。図5は、図3のマウント8と、これに取り付けた管球の落下防止機構22とを示し、ここで、(A)は落下防止機構22の作動前の状況を示し、(B)は作動後の状況を示している。
【0031】
落下防止機構22は、ステム管14(ランプの場合で言えば口金6)が下方にあると作動前の状況にあり、上下反転して、上方にすると作動後の状況になる。ここで注意願いたいことは、図5では、マウント8に対する落下防止機構22の作動状況を分かり易くするため、作動前の(A)のマウント8を作動後の(B)では上下反転せずに、敢えて、(A)及び(B)でマウント8が対応するように描かれている。即ち、マウント8自体を反転させた図ではなく、(A)ではマウント8及び落下防止機構22に対する重力Gが矢印方向(図面で上方向)にかかり、これを上下反転した(B)では重力Gの矢印方向を反転(図面で下方向)させていることに留意されたい。
【0032】
落下防止機構22は、マウント8の所定箇所(図3では、支柱16)に取り付けられている。落下防止機構22は、発光管4からの配光への影響が少ない位置に取り付けることが好ましい。落下防止機構22は、好ましくは、支柱16と同じ材質である、モリブデンMo、ステンレス等の線材から形成されている。落下防止機構22の作動は、高輝度放電ランプ10の上下を反転(従って、内部の落下防止機構22を上下反転)させることにより行われる。
【0033】
(A)に示すマウント8を上下反転することにより、(B)に示すようにマウント8から落下防止機構22が横方向に突き出るように移動する。この落下防止機構22の特徴の1つは、落下防止機構22の取り付け箇所及び作動範囲が、マウント8の外周部及び周囲に限定されることにある。このため、マウント8の内側空間は、落下防止機構22に邪魔されることなく、自由に部品配置、配線等に利用することが出来る。
【0034】
図6A〜6Bは、この落下防止機構22−1の構成の詳細を説明する図であり、ここで、図6Aは作動前の状況、図6Bは作動後の状況を示し、いずれも、(1)は落下防止機構22を図3と同じ方向から見た図であり、(2)は側面から見た図である。
【0035】
ここでは、落下防止機構22−1は、マウント8の支柱16に取り付けられている場合が図示されている。図に示すように、落下防止機構22−1は、概して、4つの要素から成る。支柱6に箇所26aで固定された固定部材26と、支柱16に摺動(スライド)自在に取り付けられたスライド部材24と、この固定部材26とスライド部材24とを連結するように接続された移動部材22aと回転部材22b−1である。
【0036】
移動部材22aの一端は、スライド部材24に回転自在に連結され、他端は回転部材22b−1の一端に相互に回転自在に連結されている。即ち、移動部材22aの他端と回転部材22b−1の一端との間に、回転中心又は連結箇所28が形成されている。更に、回転部材22b−1の他端は、固定部材26に回転自在に連結されている。
例えば、図示するように、スライド部材24は板状の条片を加工して形成され、回転部材22b−1は丸棒を加工して形成されている。
【0037】
図5(A)及び図6Aの作動前の状況から、図5(B)及び図6Bの(ランプ10の上下が反転され)重力Gが図で見て下方にかかると、スライド部材24は支柱16に沿って下方に移動する。スライド移動が円滑に行われるため、支柱16の表面は良く磨かれた状態であることが好ましい。この移動と共に、移動部材22aは支点24aの周りを反時計方向に回転しながら移動する。移動部材22aの移動と共に、回転部材22b−1は、支点26bの周りを時計方向に回転する。移動部材22aと回転部材22b−1とは回転中心又は連結箇所28で相互に回転自在に連結されているため、図6B(1)に示すように、落下防止機構22−1は支柱16から立ち上がる。この立ち上がる方向は、ランプ10の軸線L−L'からランプの外方(ランプ軸線に垂直な平面で見たときの半径方向)であることが望ましい。この落下防止機構22−1の特徴の1つは、固定部材26及びスライド部材24の長さを自由に決定することにより、所望の立ち上がり寸法が実現できる点にある。
【0038】
好ましくは、落下防止機構22−1には、逆転防止機構及び方向決め機構が備わっている。作動前(図6A)の状況から作動を開始した時点で、移動部材22aが逆方向に回転(支点24aの周りを時計方向に回転)すると落下防止機能が果たせない。そこで、適当な逆転防止機構が必要となる。例えば、図6Aに示すように、スライド部材24は、支柱16をスライド自在に取り巻く円筒部分と、そこから延びて支点24aで移動部材22aを取り付けるタブ片とで形成される。円筒部分の肉厚を下方向かって徐々に厚くして、予め、傾斜面24kを形成し、スライド部材24の傾斜面24kに沿って移動部材22aを取り付けると、移動部材が予め少し立ち上がった状態(支点24aの周りに反時計方向に少し回転した状態)になる。これにより、作動開始時点で、移動部材22aは所定の方向に回転し、逆転することはない。
【0039】
更に、タブ片を板状に形成し、移動部材22aも板状の条片で形成し、スライド部材24のタブ片にある支点24aに、移動部材22aを回転自在に取り付けることにより、回転面は両方の板状部材の面の方向に制限される。これにより、移動部材22a及び回転部材22b−1の立ち上がる方向が決定される。
【0040】
移動部材22a及び回転部材22b−1は、当業者ならば色々な部材が考えられる。例えば、移動部材22a及び回転部材22b−1は、条片、丸棒、剛性の強い線材、角材等を加工して形成することが出来る。この場合、必要に応じて、適当な逆転防止機構及び方向決め機構を備えればよい。
【0041】
同様に、移動部材22a及び回転部材22b−1の長さは、図ではほぼ同じ長さにしているが、所望の立ち上がり寸法が確保できる限り、長さを変えてもよい。この場合、必要に応じて、スライド部材24及び/又は固定部材26の形状を大きめにしてスライド移動に対するストッパにして、スライド移動完了時の移動部材22aと回転部材22b−1が成す角度が所望の角度に成るようにしてもよい。
【0042】
逆転防止機構及び方向決め機構は、当業者ならば色々な方法が考えられる。例えば、逆転防止機構としては、移動部材22aを真っ直ぐ延びる条片でなく、支点24aから見て反時計方向に少し湾曲した条片とし、又は円弧状の板部材にしてもよい。方向決め機構としては、固定部材26と回転部材22b−1と関係(タブ−板状条片の組み合わせ)を、スライド部材24と移動部材22aとの関係に取り入れてもよい。従って、逆転防止機構及び方向決め機構の具体的形状等は、図示した方法に限定されないことを承知されたい。
【0043】
図7A〜7Bは、他の実施形態に係る落下防止機構22−3の構成の詳細を説明する図であり、ここで、図7Aは作動前の状況、図7Bは作動後の状況を示し、いずれも、(1)は落下防止機構22を図3と同じ方向から見た図であり、(2)は側面から見た図である。
【0044】
図7A〜7Bに示す他の実施形態に係る落下防止機構22−3は、図6A〜6Bに示した落下防止機構22−1と比較すると、後者(落下防止機構22−1)では移動部材22aの他端が回転部材22b−1の一端に相互に回転自在に連結されているのに対して、前者(落下防止機構22−3)では移動部材22aの他端が比較的長い回転部材22b−2の中間部に相互に回転自在に連結されている点で相違する。即ち、移動部材22aの他端と回転部材22b−2の中間部との間に、回転中心又は連結箇所28が形成されている。更に、回転部材22b−2の他端は、固定部材26に回転自在に連結されている。
【0045】
この落下防止機構22の特徴の1つは、固定部材26とスライド部材24の間隔に拘わらず、回転部材22b−2の長さを比較的長くすることにより、所望の立ち上がり寸法が実現できる点にある。
【0046】
落下防止機構22−3の逆転防止機構及び方向決め機構等に関しては、落下防止機構22−1に関して説明したものと同じである。
【0047】
同様に、回転部材22b−2の回転中心又は連結箇所28の位置は、回転が円滑に行われる限り、中間部の任意の箇所でよい。
【0048】
(落下防止機構の変形例)
図6C(1)及び図7C(1)は、上述の実施形態を、作動前を実線で、作動後を破線で示す図である。ここでは、支柱16に落下防止機構22−1,22−3を取り付けている。しかし、これに限定されない。図6C(2)及び図7C(2)に示すように、支柱16の代わりに、支柱代替部材16−1に落下防止機構22−1,22−3を取り付けてもよい。
【0049】
(落下防止機構のランプへの組み込み)
図8は、落下防止機構のランプへの組み込み方法を説明する図である。(A)において、マウント8に落下防止機構22を取り付ける。次に(B)において、外管バルブ2を、ネック部2cを下にして位置決めする。次に、マウント8を、下方からネック部2cに通して外管バルブ2内に挿入する。このとき(C)に示すように、マウント8に取り付けられた落下防止機構22は立ち上がってないので、容易に挿入することができる。
【0050】
挿入終了後の(D)において、ネック部2cの一部をバーナーなどで加熱溶融させることでマウント下部のフレアと溶着させ、余ったネック部を落として外管バルブ2とマウント8とを一体化させる。さらに、マウント下端の排気管から外管バルブ2内の空気を抜いて真空状態とするか又は不活性ガスを封入し、排気管をチップオフして外管バルブ2を気密封止する。その後、口金6を用意し、ネック部2cに取り付ける。
【0051】
次に(E)において、ランプ2を上下反転して、落下防止機構22を立ち上げる。図3に示すように、落下防止機構22はネック部2cより外側の位置まで延在して停止する。
【0052】
図3に示すように、落下防止機構22は、外管バルブ2の軸中心L−L'からの半径方向にネック部2cより長い位置(即ち、ネック部より外側)まで立ち上がる。これにより、万一、封止部やその周辺部に生じたクラックや割れが管球2を一周しても、管球の落下が防止できる。
【0053】
なお、ランプ10の取り付け方向に関して、口金6を上方にしてソケット(図示せず。)に取り付けると説明してきたが、これに限定されない。この落下防止機構22は、スライド部材24がスライド移動できる範囲であれば、ランプ10の軸線L−L'が斜めであってもよい。なお、ランプ10を斜めに取り付けて点灯する場合、予め、微振動を与えてスライド部材24を確実にスライド移動することが好ましい。
【0054】
[他の実施形態に係る管球の落下防止機構付きランプ]
図9は、複数個(図では2個)の管球の落下防止機構22を有する、更に他の実施形態に係るランプを説明する図である。図4に示したように、ランプ10の管球2には種々の形状がある。例えば、ネック部2cから中央部2aにかけて口径が徐々に大きくなるようなバルブ形状の場合、複数個の落下防止機構22,22を設けることが好ましい。落下防止機構22の個数は、個々のランプの管球2の形状、管球2とマウント8の位置関係等によって決定される。
【0055】
[その他]
以上、管球の落下防止機構付きランプの実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、本発明はこれに限定されない。当業者が容易になしえる、実施形態に対する追加、削除、変更、改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0056】
10:セラミックメタルハライドランプ,ランプ,BT形ランプ、 2:管球,管球、 2a:中央部、 2b:トップ部、 2c:ネック部、 4:発光管、 4a:太管部、 4b,4c:細管部、 5:リード線、 6:E形口金、 7:リード線、 8:マウント、 12:金属箔、 14:ステム管、 16:支柱、 18:シュラウド,中
管、 20:始動回路、 22,22−1,22−2,22−3,22−4:落下防止機 構、 22a:移動部材、 22b,22b−1,22b−2:回転部材、 24:ス ライド部材、 24a:支点、 24k:傾斜面、 26:固定部材、 26a:固定 箇所、 26b:支点、 28:回転中心,連結箇所、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネック部の口径に比較して中央部の口径が大きい管球と、
前記管球の落下防止機構とを備え、
前記落下防止機構は、
マウントを構成するランプ軸線方向に延在する支持部材に固定された固定部材と、
前記固定部材よりランプ口金に近い位置で、前記支持部材にスライド自在に保持されたスライド部材と、
一端が前記スライド部材に回転自在に連結された移動部材と、
一端が前記移動部材の他端に相互に回転自在に連結され、他端が前記固定部材に回転自在に連結された回転部材とを有し、
前記ランプを上下反転して前記ランプ口金を上方にしたとき、前記スライド部材は、前記支持部材に沿ってスライド移動し、該スライド部材と前記回転部材の連結箇所がランプ軸線から半径方向外向きに前記ネック部口径を超えた位置まで立ち上がる、管球の落下防止機構付きランプ。
【請求項2】
ネック部の口径に比較して中央部の口径が大きい管球と、
前記管球の落下防止機構とを備え、
前記落下防止機構は、
マウントを構成するランプ軸線方向に延在する支持部材に固定された固定部材と、
前記固定部材よりランプ口金に近い位置で、前記支持部材にスライド自在に保持されたスライド部材と、
一端が前記スライド部材に回転自在に連結された移動部材と、
その中間部で前記移動部材の他端に相互に回転自在に連結され、一端が前記固定部材に回転自在に連結された回転部材とを有し、
前記ランプを上下反転して前記ランプ口金を上方にしたとき、前記スライド部材は、前記支持部材に沿ってスライド移動し、前記回転部材の他端がランプ軸線から半径方向外向きに前記ネック部口径を超えた位置まで立ち上がる、管球の落下防止機構付きランプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のランプにおいて、
前記支持部材は、マウントの支柱の一部又はランプ軸線方向に延在する支柱代替部材である、ランプ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のランプにおいて、
前記落下防止機構には、前記スライド部材が逆方向に回転するのを防止する逆転防止機構が備わっている、ランプ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のランプにおいて、
前記落下防止機構には、前記スライド部材と前記回転部材の連結箇所の立ち上がる方向を決める方向決め機構が備わっている、ランプ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のランプにおいて、
前記落下防止機構を複数個設けている、ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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