管継手およびこの管継手を備えた配管構造
【課題】ロックリングを備えた管継手において、種類の異なる管を接続する際に、すべての管を十分にロックできるようにする。
【解決手段】第1の管が挿入される第1の受口10と、第2の管が挿入される第2の受口20と、第1の受口10と第2の受口20とを連通させる流路6が形成された継手本体5とを備えた管継手である。第1の受口10は、第1の内筒11と、第1の内筒11の周囲を囲む第1の外筒12とを有し、第1の内筒11と第1の外筒12との間に前記第1の管を挟持するように構成されている。第2の受口20は、第2の内筒21と、第2の内筒21の周囲を囲む第2の外筒22とを有し、第2の内筒21と第2の外筒22との間に前記第2の管を挟持するように構成されている。第1の内筒11の外周面に第1のロックリング13が設けられ、第2の外筒22の内周面に第2のロックリング23が設けられている。
【解決手段】第1の管が挿入される第1の受口10と、第2の管が挿入される第2の受口20と、第1の受口10と第2の受口20とを連通させる流路6が形成された継手本体5とを備えた管継手である。第1の受口10は、第1の内筒11と、第1の内筒11の周囲を囲む第1の外筒12とを有し、第1の内筒11と第1の外筒12との間に前記第1の管を挟持するように構成されている。第2の受口20は、第2の内筒21と、第2の内筒21の周囲を囲む第2の外筒22とを有し、第2の内筒21と第2の外筒22との間に前記第2の管を挟持するように構成されている。第1の内筒11の外周面に第1のロックリング13が設けられ、第2の外筒22の内周面に第2のロックリング23が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手およびこの管継手を備えた配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続した管が抜けてしまうことを防止するロックリングを備えた管継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。図12は、ロックリングを備えた従来の管継手の一例を表している。この管継手100は、内筒102と、内筒102の周囲を囲む外筒103と、外筒103の内周面に設けられたロックリング104とを備えている。
【0003】
管110を管継手100に挿入すると、管110は内筒102と外筒103との間に嵌り込み、ロックリング104を超えて管継手100の奥部に入り込む。管110に引っ張り力が作用すると、管110の外周面がロックリング104の爪104aに引っ掛かる。ロックリング104の軸方向の移動は規制されているので、管110の軸方向の移動も規制されることになる。そのため、ロックリング104によって管110がロックされる。したがって、管110に引っ張り力が作用しても、管110が管継手100から抜けてしまうことは防止される。
【0004】
このように、ロックリング104を備えた管継手100によれば、管110を管継手100に挿入するだけの簡単な作業によって、管110を接続し且つロックすることができる。したがって、管110の接続作業が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−054020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、配管構造には種々の形態があり、ロックリングを備えた管継手を用いて種類の異なる管を接続したい場合がある。例えば、ロックリングを備えた管継手を用いて、樹脂製の単層管(以下、樹脂管という)と金属補強層を有する三層管とを接続したい場合がある。しかしこのような場合には、以下のような課題があった。
【0007】
すなわち、樹脂管と三層管とでは、呼び径が同じであっても、それらの実際の内径寸法および外径寸法は互いに相違していることが多い。一般に、樹脂管では、外径寸法は設計値通りであるが、内径寸法には若干の誤差が含まれている場合が多い。逆に、三層管では、内径寸法は設計値通りであるが、外径寸法には若干の誤差が含まれている場合が多い。上述の管継手100では、ロックリング104は外筒103の内周面に設けられている。そのため、管継手100を用いて樹脂管と三層管とを接続する場合、外径寸法が正確な樹脂管はロックリング104に適切に把持されるが、外径寸法が不正確な三層管は、ロックリング104に適切に把持されないおそれがある。
【0008】
このように、従来の管継手では、種類の異なる管を接続しようとすると、いずれかの管がロックリングで十分にロックできないおそれがあった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロックリングを備えた管継手において、種類の異なる管を接続する際に、すべての管を十分にロックできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る管継手は、第1の管が挿入される第1の受口と、第2の管が挿入される第2の受口と、前記第1の受口と前記第2の受口とを連通させる流路が形成された継手本体と、を備えた管継手であって、前記第1の受口は、第1の内筒と、前記第1の内筒の周囲を囲む第1の外筒とを有し、前記第1の内筒と前記第1の外筒との間に前記第1の管を挟持するように構成され、前記第2の受口は、第2の内筒と、前記第2の内筒の周囲を囲む第2の外筒とを有し、前記第2の内筒と前記第2の外筒との間に前記第2の管を挟持するように構成され、前記第1の内筒の外周面に設けられた第1のロックリングと、前記第2の外筒の内周面に設けられた第2のロックリングと、を備えているものである。
【0011】
前記管継手によれば、第1の受口ではロックリングが内筒の外周面に設けられている一方、第2の受口ではロックリングが外筒の内周面に設けられている。そのため、内径寸法が正確な第1の管を第1の受口に接続し、外径寸法が正確な第2の管を第2の受口に接続することによって、第1および第2の管の両方をロックリングによって十分にロックすることができる。
【0012】
前記第1のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の外側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の外側には、それぞれ爪が形成され、前記第2のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の内側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の内側には、それぞれ爪が形成されていてもよい。
【0013】
前記各ロックリングでは、先端部だけでなく湾曲部にも爪が形成されている。しかし、湾曲部は撓みやすいので、管の挿入時に、爪は管から逃げるように半径方向の外側または内側に移動する。したがって、爪が管の挿入を邪魔することはない。一方、管に引っ張り力が作用すると、先端部および湾曲部の両爪が管を把持する。そのため、管は、ロックリングによってしっかりとロックされる。
【0014】
前記第1の内筒の外周面にシールリングが設けられていることが好ましい。
【0015】
このことにより、内径寸法が正確な第1の管を第1の受口に接続した場合、その第1の管を内側からシールすることができる。そのため、第1の管と管継手との間を良好にシールすることができる。また、管の内周面と内筒の外周面との間でシールが行われるため、万が一、外筒が損傷した場合であっても、流体は外部に漏洩しにくくなる。また、当該管継手に接続される管として金属補強層を有する多層管を用いた場合に、当該多層管の端面にて金属補強層が流体に晒されることを防ぐことができる。そのため、金属補強層の腐食を抑制することができる。
【0016】
前記第2の外筒の内周面にシールリングが設けられていることが好ましい。
【0017】
このことにより、外径寸法が正確な第2の管を第2の受口に接続した場合、その第2の管を外側からシールすることができる。そのため、第2の管と管継手との間を良好にシールすることができる。
【0018】
前記第1の外筒と前記第2の外筒とは内径が異なっていてもよい。また、前記第1の内筒と前記第2の内筒とは外径が異なっていてもよい。
【0019】
このことにより、第1の管および第2の管の外径寸法または内径寸法が比較的大きく異なっている場合であっても、それら両管を良好に接続することができる。
【0020】
本発明に係る配管構造は、前記管継手と、前記管継手の第1の受口に接続された第1の管と、前記管継手の第2の受口に接続された第2の管と、を備えた配管構造であって、前記第1の管と前記第2の管とは種類が異なっているものである。
【0021】
前記第1の管と前記第2の管とは、内径または外径が互いに異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロックリングを備えた管継手において、種類の異なる管を接続する際に、すべての管を十分にロックすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図2】ソケットの縦断面図である。
【図3】第1のロックリングを表しており、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図4】第2のロックリングを表しており、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図5】第2実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図6】エルボの縦断面図である。
【図7】第3実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図8】チーズの縦断面図である。
【図9】変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図10】他の変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図11】他の変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図12】従来の管継手の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る管継手はソケット51であり、2本の管を真っ直ぐに繋ぐ管継手である。ソケット51は、第1の管1が挿入される第1の受口10と、第2の管2が挿入される第2の受口20と、継手本体5とを備えている。本実施形態では、管1と管2とソケット51とにより、真っ直ぐに延びる配管構造が構成されている。
【0025】
管1と管2とは互いに種類が異なっている。管1は、外径寸法よりも内径寸法の方が正確な管である。言い換えると管1は、実際の寸法と設計値との間の誤差が、内径よりも外径において生じやすい種類の管である。一方、管2は、内径寸法よりも外径寸法の方が正確な管である。そのため、管1と管2とでは、内径または外径が若干異なっていることが多い。
【0026】
本実施形態では、管1は、金属補強層を有する三層管からなっている。詳しくは、管1は、架橋ポリエチレン製の内層と、アルミニウム製の中間層と、架橋ポリエチレン製の外層とを有する三層管である。ただし、各層の材料は何ら限定されない。例えば、内層および外層は、ポリエチレンに限らず、ポリプロピレン等の他の樹脂材料からなっていてもよく、その他の材料で形成されていてもよい。また、中間層は、鉄、銅、ステンレス等の他の金属材料からなっていてもよく、その他の材料で形成されていてもよい。管2は樹脂製の単層の管からなっている。管2は、例えば、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリエチレン管、ポリプロピレン管等である。
【0027】
図2に示すように、受口10は、内筒11と、内筒11の周囲を囲む外筒12とを有している。内筒11の外周面には、第1のロックリング13が設けられている。詳しくは、内筒11の軸方向(図2の左右方向)の中央部には、半径方向の内側に窪んだ凹部11aが形成されている。ロックリング13は、この凹部11aに設けられている。凹部11aの先端側、すなわち図2の右側には、テーパー面11cが形成されている。凹部11aの左右両側には、他の凹部11bが形成されている。これらの凹部11bには、Oリングからなるシールリング14が嵌め込まれている。内筒11の内部の先端側は、末広がり状に形成されている。言い換えると、内筒11の先端側はファンネル形状に形成されている。これにより、管1と内筒11との間における流体の剥離を抑制することができ、流体の流れを円滑化することができる。例えば、内筒11の内部を流れる流体の流速を高めることができる。そのため、内筒11の内径が小さくても、十分な流量を確保することができる。内筒11の先端は、外筒12の先端よりも根元側に位置している。すなわち、内筒11は外筒12の軸方向の内側に入り込んでいる。これにより、管1の曲げ応力に起因する内筒11の破損を防止することができる。また、ソケット51を誤って落としてしまった場合に、内筒11が破損してしまうことを防止することができる。
【0028】
受口20は、内筒21と、内筒21の周囲を囲む外筒22とを有している。外筒22の内周面には、第2のロックリング23が設けられている。詳しくは、外筒22には、半径方向の外側に窪んだ凹部22aが形成されている。ロックリング23は、この凹部22aに設けられている。凹部22aの先端側、すなわち図2の左側には、テーパー面22cが形成されている。外筒22の内周面における凹部22aよりも根元側、すなわち図2の右側には、凹部22bが形成されている。この凹部22bには、Oリングからなるシールリング24が嵌め込まれている。内筒11と同様に、内筒21の内部の先端側も末広がり状に形成されている。また、内筒21も外筒22の軸方向の内側に入り込んでいる。
【0029】
継手本体5には、受口10と受口20とを連通させる流路6が形成されている。具体的には、流路6は内筒11の内部と内筒21の内部とを連通させている。継手本体5は、受口10の内筒11と外筒12との間の空間と、受口20の内筒21と外筒22との間の空間とを仕切っている。本実施形態では、継手本体5と内筒11と内筒21とは一体化されている。言い換えると、継手本体5と内筒11と内筒21とは、一体物である。ただし、継手本体5と内筒11と内筒21とは、互いに別体であってもよい。本実施形態では、継手本体5と外筒12と外筒22とは互いに別体であり、外筒12および外筒22は、継手本体5に摺動不能に嵌め込まれている。ただし、外筒12および外筒22は、軸心回りに回転可能なように、継手本体5に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0030】
内筒11、外筒12、内筒21、外筒22、および継手本体5は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)で射出成形されている。ただし、これらの材料はPPSに限らず、他のエンジニアリングプラスチックであってもよく、金属であってもよく、その他の材料であってもよい。また、内筒11、外筒12、内筒21、外筒22、および継手本体5の成形方法は射出成形に限定される訳ではない。
【0031】
次に、ロックリング13およびロックリング23を説明する。図3(a)、(b)、(c)は、それぞれロックリング13の斜視図、側面図、縦断面図である。ロックリング13は、根元部13aと、先端部13bと、根元部13aと先端部13bとの間に位置する湾曲部13cとを有している。図3(c)に示すように、湾曲部13cは、半径方向の外側に向かって凸状に湾曲している。先端部13bには爪13dが設けられ、湾曲部13cには爪13eが設けられている。爪13dおよび爪13eは、管1が受口10から抜けるのを規制するため、半径方向外側且つ根元側に向かって突出している。
【0032】
図3(a)および(b)に示すように、ロックリング13には、根元部13aから湾曲部13cにわたって延びるスリット13fと、湾曲部13cの一部から先端部13bにわたって延びるスリット13gとが形成されている。スリット13fおよびスリット13gは、それぞれ円周方向にかけて複数配設されている。ここでは、8つのスリット13fが45度毎に配設されている。また、8つのスリット13gが45度毎に配設されている。スリット13fとスリット13gとは、円周方向に関して互いにずれた位置に形成されている。ここでは、スリット13fとスリット13gとは、それらの中心が22.5度ずつずれている。湾曲部13cの一部には、スリット13fおよびスリット13gの両方が形成されている。そのため、湾曲部13cは撓みやすくなっている。
【0033】
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれロックリング23の斜視図、側面図、縦断面図である。ロックリング23は、根元部23aと、先端部23bと、根元部23aと先端部23bとの間に位置する湾曲部23cとを有している。図4(c)に示すように、湾曲部23cは、半径方向の内側に向かって凸状に湾曲している。先端部23bには爪23dが設けられ、湾曲部23cには爪23eが設けられている。爪23dおよび爪23eは、管2が受口20から抜けるのを規制するため、半径方向内側且つ根元側に向かって突出している。
【0034】
図4(a)および(b)に示すように、ロックリング23には、根元部23aから湾曲部23cにわたって延びるスリット23fと、湾曲部23cの一部から先端部23bにわたって延びるスリット23gとが形成されている。スリット23fおよびスリット23gは、それぞれ円周方向にかけて複数配設されている。ここでは、8つのスリット23fが45度毎に配設されている。また、8つのスリット23gが45度毎に配設されている。スリット23fとスリット23gとは、円周方向に関して互いにずれた位置に形成されている。ここでは、スリット23fとスリット23gとは、それらの中心が22.5度ずつずれている。湾曲部23cの一部には、スリット23fおよびスリット23gの両方が形成されている。そのため、湾曲部23cは撓みやすくなっている。
【0035】
ロックリング13および23は、PPSU(ポリフェニルサルフォン)で成形されている。本実施形態のロックリング13および23は、射出成形されている。ただし、ロックリング13および23の材料および成形方法は何ら限定されない。ロックリング13および23の材料は、PPSU以外の他のエンジニアリングプラスチック、例えばPPS等であってもよく、その他の材料であってもよい。ロックリング13および23の材料および成形方法は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
ソケット51を用いて管1と管2とを接続する際には、図2の右側から管1を受口10に挿入し、左側から管2を受口20に挿入する。管1は受口10の内筒11と外筒12との間に嵌り込み、管2は受口20の内筒21と外筒22との間に嵌り込む。ロックリング13には爪13dだけでなく爪13eが形成され、ロックリング23には爪23dだけでなく爪23eが形成されているが、爪13e、23eは、それぞれ湾曲部13c、23cに形成されている。湾曲部13c、23cは変形容易である。そのため、管1が挿入されると湾曲部13cが変形し、爪13eは半径方向内側に移動する。また、管2が挿入されると湾曲部23cが変形し、爪23eは半径方向外側に移動する。したがって、爪13e、23eが設けられているにも拘わらず、管1、2の挿入は容易に行われる。一方、管1、2が挿入された後は、湾曲部13c、23cの反発力によって、爪13eは管1の内周面に食い込み、爪23eは管2の外周面に食い込むことになる。
【0037】
管1に右方向への引っ張り力が作用すると、管1はわずかに右側へ移動する。すると、ロックリング13が管1によってわずかに右側へ引っ張られる。しかし、内筒11にはテーパー面11cが形成されているので、ロックリング13の右側への移動は規制される。また、ロックリング13の先端部13bが管1と内筒11との間に強く挟まれ、爪13dが管1の内周面に強力に食い込むことになる。そのため、管1はロックリング13によって十分にロックされる。したがって、ソケット51から管1が抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0038】
管2に左方向への引っ張り力が作用すると、管2はわずかに左側へ移動する。すると、ロックリング23が管2によってわずかに左側へ引っ張られる。しかし、外筒22にはテーパー面22cが形成されているので、ロックリング23の左側への移動は規制される。また、ロックリング23の先端部23bが管2と外筒22との間に強く挟まれ、爪23dが管2の外周面に強力に食い込むことになる。そのため、管2はロックリング23によって十分にロックされる。したがって、ソケット51から管2が抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0039】
このようにソケット51によれば、内径寸法が比較的正確な管1に対しては、その内周面側にロックリング13が位置し、外径寸法が比較的正確な管2に対しては、その外周面側にロックリング23が位置する。ソケット51によれば、内径寸法が比較的正確な管1の内周面をロックリング13で把持することができると共に、外径寸法が比較的正確な管2の外周面をロックリング23で把持することができる。したがって、管1および管2の両方を十分にロックすることができる。ソケット51によれば、種類の異なる管1と管2とを容易に接続させることができ、その接続状態を良好に維持することができる。
【0040】
本実施形態では、内径寸法が比較的正確な管1が接続される受口10では、シールリング14は内筒11に設けられ、外径寸法が比較的正確な管2が接続される受口20では、シールリング24は外筒22に設けられている。そのため、管1の内周面にシールリング14を配置することができ、管1を内側からシールすることができる。また、管2の外周面にシールリング24を配置することができ、管2を外側からシールすることができる。したがって、管1と受口10との間、および管2と受口20との間を良好にシールすることができる。
【0041】
なお、受口10ではいわゆる内径シールが行われているため、外筒12が破損した場合であっても、管1と内筒11との間のシール性を保つことができ、漏水を防止することができる。また、本実施形態では、管1はアルミニウム製の中間層を含む三層管である。アルミニウムは水に触れると腐食しやすい。しかし、受口10では、シールリング14によって、管1の内周面と内筒11の外周面との間がシールされている。そのため、管1および管2に水を流したときに、アルミニウム製の中間層が水に触れることを防止することができる。したがって、中間層の腐食を防止することができる。
【0042】
なお、本実施形態では図2に示すように、受口10では2つのシールリング14がロックリング13の左右両側に設けられ、受口20では1つのシールリング24がロックリング23の右側に設けられている。しかし、シールリング14およびシールリング24の数および位置は特に限定されない。例えば、シールリング14をロックリング13よりも右側に2つ設けてもよく、あるいは、ロックリング13の左側または右側に1つだけ設けるようにしてもよい。シールリング24を2つ設けてもよく、あるいは、内筒21の先端側に1つだけ設けるようにしてもよい。受口10と同様、受口20において、シールリング24を内筒21に設けることも可能である。
【0043】
図1に示すように、作業者が第1の受口10と第2の受口20とを容易に識別できるように、外筒12および外筒22に目印41および42を設けるようにしてもよい。目印41および42の形態は何ら限定されず、例えば、文字、図形、記号、模様、線、絵、色分け等を好適に用いることができる。また、外筒12および外筒22の外観形状を相違させることによって、第1の受口10と第2の受口20とを識別容易にすることもできる。
【0044】
(第2実施形態)
図5および図6に示すように、第2実施形態に係る管継手はエルボ52であり、2本の管を互いに直交する方向に繋ぐ管継手である。エルボ52は、第1の管1が挿入される第1の受口10と、第2の管2が挿入される第2の受口20と、継手本体5とを備えている。継手本体5は略L字状に形成されている。継手本体5の内部には、流れ方向が90度変化するような流路6が形成されている。本実施形態では、管1と管2とエルボ52とにより、曲がった配管構造が構成されている。
【0045】
図5に示すように、継手本体5の外側には複数のリブ7が設けられている。これらのリブ7によって、継手本体5の剛性が高められている。ただし、リブ7は必ずしも必要ではない。
【0046】
第1の受口10、第2の受口20、第1の管1、および第2の管2は、第1実施形態と同様である。そのため、それらの説明は省略する。なお、本実施形態においても、第1の受口10と第2の受口20とを識別するための目印を設けるようにしてもよい。
【0047】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図7および図8に示すように、第3実施形態に係る管継手はチーズ53であり、3本の管を繋ぐ管継手である。図8に示すように、チーズ53の継手本体5は、略T字状に形成されている。継手本体5の左側には第1の受口10が設けられ、継手本体5の右側には第1の受口10が設けられ、継手本体5の上側には第2の受口20が設けられている。図7に示すように、各第1の受口10には第1の管1が接続され、第2の受口20には第2の管2が接続される。本実施形態では、2本の管1と管2とチーズ53とにより、略T字状の配管構造が構成されている。
【0049】
図7に示すように、本実施形態においても、継手本体5の外側には複数のリブ7が設けられている。ただし、リブ7は必ずしも必要ではない。
【0050】
第1の受口10、第2の受口20、第1の管1、および第2の管2は、第1実施形態と同様である。そのため、それらの説明は省略する。本実施形態においても、第1の受口10と第2の受口20とを識別するための目印を設けるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、チーズ53において、第1の受口10および第2の受口20の配置パターンは何ら限定されない。例えば、図9に示すように、継手本体5の上側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の左側および右側に第2の受口20が設けられていてもよい。また、図10に示すように、継手本体5の左側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の右側および上側に第2の受口20が設けられていてもよい。また、図11に示すように、継手本体5の右側および上側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の左側に第2の受口20が設けられていてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
ところで、種類の異なる管では、内径または外径が若干異なることによって、肉厚が若干異なっていることも多い。そこで、第1の受口10の内筒11と第2の受口20の内筒21とを、互いの外径が異なるように構成してもよい。また、第1の受口10の外筒12と第2の受口20の外筒22とを、互いの内径が異なるように構成してもよい。内筒11の外径と内筒21の外径とが相違する形態は何ら限定されず、例えば、内筒11および内筒21の内径を等しくする一方でそれらの肉厚を相違させてもよく、内筒11および内筒21の肉厚を等しくする一方でそれらの内径を相違させてもよい。また、外筒12の内径と外筒22の内径とが相違する形態も何ら限定されず、例えば、外筒12および外筒22の外径を等しくする一方でそれらの肉厚を相違させてもよく、外筒12および外筒22の肉厚を等しくする一方でそれらの外径を相違させてもよい。
【0054】
これにより、ロックリング13およびロックリング23は、第1の管1および第2の管2を更にしっかりと把持することができる、そのため、第1の管1および第2の管2は、管継手から更に抜けにくくなる。したがって、管継手に対する第1の管1および第2の管2の接続状態を更に良好に維持することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明に係る管継手は、第1の受口と第2の受口とを少なくとも1つずつ備えていればよいが、第1の受口の数および第2の受口の数は、それぞれ1つに限定される訳ではない。第3実施形態のように、受口の総数は3つでもよい。また、受口の総数は4つ以上であってもよい。本発明に係る管継手は、いわゆるヘッダーであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の管
2 第2の管
5 継手本体
6 流路
10 第1の受口
11 第1の内筒
12 第1の外筒
13 第1のロックリング
20 第2の受口
21 第2の内筒
22 第2の外筒
23 第2のロックリング
51 ソケット(管継手)
52 エルボ(管継手)
53 チーズ(管継手)
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手およびこの管継手を備えた配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続した管が抜けてしまうことを防止するロックリングを備えた管継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。図12は、ロックリングを備えた従来の管継手の一例を表している。この管継手100は、内筒102と、内筒102の周囲を囲む外筒103と、外筒103の内周面に設けられたロックリング104とを備えている。
【0003】
管110を管継手100に挿入すると、管110は内筒102と外筒103との間に嵌り込み、ロックリング104を超えて管継手100の奥部に入り込む。管110に引っ張り力が作用すると、管110の外周面がロックリング104の爪104aに引っ掛かる。ロックリング104の軸方向の移動は規制されているので、管110の軸方向の移動も規制されることになる。そのため、ロックリング104によって管110がロックされる。したがって、管110に引っ張り力が作用しても、管110が管継手100から抜けてしまうことは防止される。
【0004】
このように、ロックリング104を備えた管継手100によれば、管110を管継手100に挿入するだけの簡単な作業によって、管110を接続し且つロックすることができる。したがって、管110の接続作業が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−054020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、配管構造には種々の形態があり、ロックリングを備えた管継手を用いて種類の異なる管を接続したい場合がある。例えば、ロックリングを備えた管継手を用いて、樹脂製の単層管(以下、樹脂管という)と金属補強層を有する三層管とを接続したい場合がある。しかしこのような場合には、以下のような課題があった。
【0007】
すなわち、樹脂管と三層管とでは、呼び径が同じであっても、それらの実際の内径寸法および外径寸法は互いに相違していることが多い。一般に、樹脂管では、外径寸法は設計値通りであるが、内径寸法には若干の誤差が含まれている場合が多い。逆に、三層管では、内径寸法は設計値通りであるが、外径寸法には若干の誤差が含まれている場合が多い。上述の管継手100では、ロックリング104は外筒103の内周面に設けられている。そのため、管継手100を用いて樹脂管と三層管とを接続する場合、外径寸法が正確な樹脂管はロックリング104に適切に把持されるが、外径寸法が不正確な三層管は、ロックリング104に適切に把持されないおそれがある。
【0008】
このように、従来の管継手では、種類の異なる管を接続しようとすると、いずれかの管がロックリングで十分にロックできないおそれがあった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロックリングを備えた管継手において、種類の異なる管を接続する際に、すべての管を十分にロックできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る管継手は、第1の管が挿入される第1の受口と、第2の管が挿入される第2の受口と、前記第1の受口と前記第2の受口とを連通させる流路が形成された継手本体と、を備えた管継手であって、前記第1の受口は、第1の内筒と、前記第1の内筒の周囲を囲む第1の外筒とを有し、前記第1の内筒と前記第1の外筒との間に前記第1の管を挟持するように構成され、前記第2の受口は、第2の内筒と、前記第2の内筒の周囲を囲む第2の外筒とを有し、前記第2の内筒と前記第2の外筒との間に前記第2の管を挟持するように構成され、前記第1の内筒の外周面に設けられた第1のロックリングと、前記第2の外筒の内周面に設けられた第2のロックリングと、を備えているものである。
【0011】
前記管継手によれば、第1の受口ではロックリングが内筒の外周面に設けられている一方、第2の受口ではロックリングが外筒の内周面に設けられている。そのため、内径寸法が正確な第1の管を第1の受口に接続し、外径寸法が正確な第2の管を第2の受口に接続することによって、第1および第2の管の両方をロックリングによって十分にロックすることができる。
【0012】
前記第1のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の外側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の外側には、それぞれ爪が形成され、前記第2のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の内側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の内側には、それぞれ爪が形成されていてもよい。
【0013】
前記各ロックリングでは、先端部だけでなく湾曲部にも爪が形成されている。しかし、湾曲部は撓みやすいので、管の挿入時に、爪は管から逃げるように半径方向の外側または内側に移動する。したがって、爪が管の挿入を邪魔することはない。一方、管に引っ張り力が作用すると、先端部および湾曲部の両爪が管を把持する。そのため、管は、ロックリングによってしっかりとロックされる。
【0014】
前記第1の内筒の外周面にシールリングが設けられていることが好ましい。
【0015】
このことにより、内径寸法が正確な第1の管を第1の受口に接続した場合、その第1の管を内側からシールすることができる。そのため、第1の管と管継手との間を良好にシールすることができる。また、管の内周面と内筒の外周面との間でシールが行われるため、万が一、外筒が損傷した場合であっても、流体は外部に漏洩しにくくなる。また、当該管継手に接続される管として金属補強層を有する多層管を用いた場合に、当該多層管の端面にて金属補強層が流体に晒されることを防ぐことができる。そのため、金属補強層の腐食を抑制することができる。
【0016】
前記第2の外筒の内周面にシールリングが設けられていることが好ましい。
【0017】
このことにより、外径寸法が正確な第2の管を第2の受口に接続した場合、その第2の管を外側からシールすることができる。そのため、第2の管と管継手との間を良好にシールすることができる。
【0018】
前記第1の外筒と前記第2の外筒とは内径が異なっていてもよい。また、前記第1の内筒と前記第2の内筒とは外径が異なっていてもよい。
【0019】
このことにより、第1の管および第2の管の外径寸法または内径寸法が比較的大きく異なっている場合であっても、それら両管を良好に接続することができる。
【0020】
本発明に係る配管構造は、前記管継手と、前記管継手の第1の受口に接続された第1の管と、前記管継手の第2の受口に接続された第2の管と、を備えた配管構造であって、前記第1の管と前記第2の管とは種類が異なっているものである。
【0021】
前記第1の管と前記第2の管とは、内径または外径が互いに異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロックリングを備えた管継手において、種類の異なる管を接続する際に、すべての管を十分にロックすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図2】ソケットの縦断面図である。
【図3】第1のロックリングを表しており、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図4】第2のロックリングを表しており、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図5】第2実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図6】エルボの縦断面図である。
【図7】第3実施形態に係る配管構造の正面図である。
【図8】チーズの縦断面図である。
【図9】変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図10】他の変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図11】他の変形例に係るチーズの縦断面図である。
【図12】従来の管継手の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る管継手はソケット51であり、2本の管を真っ直ぐに繋ぐ管継手である。ソケット51は、第1の管1が挿入される第1の受口10と、第2の管2が挿入される第2の受口20と、継手本体5とを備えている。本実施形態では、管1と管2とソケット51とにより、真っ直ぐに延びる配管構造が構成されている。
【0025】
管1と管2とは互いに種類が異なっている。管1は、外径寸法よりも内径寸法の方が正確な管である。言い換えると管1は、実際の寸法と設計値との間の誤差が、内径よりも外径において生じやすい種類の管である。一方、管2は、内径寸法よりも外径寸法の方が正確な管である。そのため、管1と管2とでは、内径または外径が若干異なっていることが多い。
【0026】
本実施形態では、管1は、金属補強層を有する三層管からなっている。詳しくは、管1は、架橋ポリエチレン製の内層と、アルミニウム製の中間層と、架橋ポリエチレン製の外層とを有する三層管である。ただし、各層の材料は何ら限定されない。例えば、内層および外層は、ポリエチレンに限らず、ポリプロピレン等の他の樹脂材料からなっていてもよく、その他の材料で形成されていてもよい。また、中間層は、鉄、銅、ステンレス等の他の金属材料からなっていてもよく、その他の材料で形成されていてもよい。管2は樹脂製の単層の管からなっている。管2は、例えば、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリエチレン管、ポリプロピレン管等である。
【0027】
図2に示すように、受口10は、内筒11と、内筒11の周囲を囲む外筒12とを有している。内筒11の外周面には、第1のロックリング13が設けられている。詳しくは、内筒11の軸方向(図2の左右方向)の中央部には、半径方向の内側に窪んだ凹部11aが形成されている。ロックリング13は、この凹部11aに設けられている。凹部11aの先端側、すなわち図2の右側には、テーパー面11cが形成されている。凹部11aの左右両側には、他の凹部11bが形成されている。これらの凹部11bには、Oリングからなるシールリング14が嵌め込まれている。内筒11の内部の先端側は、末広がり状に形成されている。言い換えると、内筒11の先端側はファンネル形状に形成されている。これにより、管1と内筒11との間における流体の剥離を抑制することができ、流体の流れを円滑化することができる。例えば、内筒11の内部を流れる流体の流速を高めることができる。そのため、内筒11の内径が小さくても、十分な流量を確保することができる。内筒11の先端は、外筒12の先端よりも根元側に位置している。すなわち、内筒11は外筒12の軸方向の内側に入り込んでいる。これにより、管1の曲げ応力に起因する内筒11の破損を防止することができる。また、ソケット51を誤って落としてしまった場合に、内筒11が破損してしまうことを防止することができる。
【0028】
受口20は、内筒21と、内筒21の周囲を囲む外筒22とを有している。外筒22の内周面には、第2のロックリング23が設けられている。詳しくは、外筒22には、半径方向の外側に窪んだ凹部22aが形成されている。ロックリング23は、この凹部22aに設けられている。凹部22aの先端側、すなわち図2の左側には、テーパー面22cが形成されている。外筒22の内周面における凹部22aよりも根元側、すなわち図2の右側には、凹部22bが形成されている。この凹部22bには、Oリングからなるシールリング24が嵌め込まれている。内筒11と同様に、内筒21の内部の先端側も末広がり状に形成されている。また、内筒21も外筒22の軸方向の内側に入り込んでいる。
【0029】
継手本体5には、受口10と受口20とを連通させる流路6が形成されている。具体的には、流路6は内筒11の内部と内筒21の内部とを連通させている。継手本体5は、受口10の内筒11と外筒12との間の空間と、受口20の内筒21と外筒22との間の空間とを仕切っている。本実施形態では、継手本体5と内筒11と内筒21とは一体化されている。言い換えると、継手本体5と内筒11と内筒21とは、一体物である。ただし、継手本体5と内筒11と内筒21とは、互いに別体であってもよい。本実施形態では、継手本体5と外筒12と外筒22とは互いに別体であり、外筒12および外筒22は、継手本体5に摺動不能に嵌め込まれている。ただし、外筒12および外筒22は、軸心回りに回転可能なように、継手本体5に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0030】
内筒11、外筒12、内筒21、外筒22、および継手本体5は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)で射出成形されている。ただし、これらの材料はPPSに限らず、他のエンジニアリングプラスチックであってもよく、金属であってもよく、その他の材料であってもよい。また、内筒11、外筒12、内筒21、外筒22、および継手本体5の成形方法は射出成形に限定される訳ではない。
【0031】
次に、ロックリング13およびロックリング23を説明する。図3(a)、(b)、(c)は、それぞれロックリング13の斜視図、側面図、縦断面図である。ロックリング13は、根元部13aと、先端部13bと、根元部13aと先端部13bとの間に位置する湾曲部13cとを有している。図3(c)に示すように、湾曲部13cは、半径方向の外側に向かって凸状に湾曲している。先端部13bには爪13dが設けられ、湾曲部13cには爪13eが設けられている。爪13dおよび爪13eは、管1が受口10から抜けるのを規制するため、半径方向外側且つ根元側に向かって突出している。
【0032】
図3(a)および(b)に示すように、ロックリング13には、根元部13aから湾曲部13cにわたって延びるスリット13fと、湾曲部13cの一部から先端部13bにわたって延びるスリット13gとが形成されている。スリット13fおよびスリット13gは、それぞれ円周方向にかけて複数配設されている。ここでは、8つのスリット13fが45度毎に配設されている。また、8つのスリット13gが45度毎に配設されている。スリット13fとスリット13gとは、円周方向に関して互いにずれた位置に形成されている。ここでは、スリット13fとスリット13gとは、それらの中心が22.5度ずつずれている。湾曲部13cの一部には、スリット13fおよびスリット13gの両方が形成されている。そのため、湾曲部13cは撓みやすくなっている。
【0033】
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれロックリング23の斜視図、側面図、縦断面図である。ロックリング23は、根元部23aと、先端部23bと、根元部23aと先端部23bとの間に位置する湾曲部23cとを有している。図4(c)に示すように、湾曲部23cは、半径方向の内側に向かって凸状に湾曲している。先端部23bには爪23dが設けられ、湾曲部23cには爪23eが設けられている。爪23dおよび爪23eは、管2が受口20から抜けるのを規制するため、半径方向内側且つ根元側に向かって突出している。
【0034】
図4(a)および(b)に示すように、ロックリング23には、根元部23aから湾曲部23cにわたって延びるスリット23fと、湾曲部23cの一部から先端部23bにわたって延びるスリット23gとが形成されている。スリット23fおよびスリット23gは、それぞれ円周方向にかけて複数配設されている。ここでは、8つのスリット23fが45度毎に配設されている。また、8つのスリット23gが45度毎に配設されている。スリット23fとスリット23gとは、円周方向に関して互いにずれた位置に形成されている。ここでは、スリット23fとスリット23gとは、それらの中心が22.5度ずつずれている。湾曲部23cの一部には、スリット23fおよびスリット23gの両方が形成されている。そのため、湾曲部23cは撓みやすくなっている。
【0035】
ロックリング13および23は、PPSU(ポリフェニルサルフォン)で成形されている。本実施形態のロックリング13および23は、射出成形されている。ただし、ロックリング13および23の材料および成形方法は何ら限定されない。ロックリング13および23の材料は、PPSU以外の他のエンジニアリングプラスチック、例えばPPS等であってもよく、その他の材料であってもよい。ロックリング13および23の材料および成形方法は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
ソケット51を用いて管1と管2とを接続する際には、図2の右側から管1を受口10に挿入し、左側から管2を受口20に挿入する。管1は受口10の内筒11と外筒12との間に嵌り込み、管2は受口20の内筒21と外筒22との間に嵌り込む。ロックリング13には爪13dだけでなく爪13eが形成され、ロックリング23には爪23dだけでなく爪23eが形成されているが、爪13e、23eは、それぞれ湾曲部13c、23cに形成されている。湾曲部13c、23cは変形容易である。そのため、管1が挿入されると湾曲部13cが変形し、爪13eは半径方向内側に移動する。また、管2が挿入されると湾曲部23cが変形し、爪23eは半径方向外側に移動する。したがって、爪13e、23eが設けられているにも拘わらず、管1、2の挿入は容易に行われる。一方、管1、2が挿入された後は、湾曲部13c、23cの反発力によって、爪13eは管1の内周面に食い込み、爪23eは管2の外周面に食い込むことになる。
【0037】
管1に右方向への引っ張り力が作用すると、管1はわずかに右側へ移動する。すると、ロックリング13が管1によってわずかに右側へ引っ張られる。しかし、内筒11にはテーパー面11cが形成されているので、ロックリング13の右側への移動は規制される。また、ロックリング13の先端部13bが管1と内筒11との間に強く挟まれ、爪13dが管1の内周面に強力に食い込むことになる。そのため、管1はロックリング13によって十分にロックされる。したがって、ソケット51から管1が抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0038】
管2に左方向への引っ張り力が作用すると、管2はわずかに左側へ移動する。すると、ロックリング23が管2によってわずかに左側へ引っ張られる。しかし、外筒22にはテーパー面22cが形成されているので、ロックリング23の左側への移動は規制される。また、ロックリング23の先端部23bが管2と外筒22との間に強く挟まれ、爪23dが管2の外周面に強力に食い込むことになる。そのため、管2はロックリング23によって十分にロックされる。したがって、ソケット51から管2が抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0039】
このようにソケット51によれば、内径寸法が比較的正確な管1に対しては、その内周面側にロックリング13が位置し、外径寸法が比較的正確な管2に対しては、その外周面側にロックリング23が位置する。ソケット51によれば、内径寸法が比較的正確な管1の内周面をロックリング13で把持することができると共に、外径寸法が比較的正確な管2の外周面をロックリング23で把持することができる。したがって、管1および管2の両方を十分にロックすることができる。ソケット51によれば、種類の異なる管1と管2とを容易に接続させることができ、その接続状態を良好に維持することができる。
【0040】
本実施形態では、内径寸法が比較的正確な管1が接続される受口10では、シールリング14は内筒11に設けられ、外径寸法が比較的正確な管2が接続される受口20では、シールリング24は外筒22に設けられている。そのため、管1の内周面にシールリング14を配置することができ、管1を内側からシールすることができる。また、管2の外周面にシールリング24を配置することができ、管2を外側からシールすることができる。したがって、管1と受口10との間、および管2と受口20との間を良好にシールすることができる。
【0041】
なお、受口10ではいわゆる内径シールが行われているため、外筒12が破損した場合であっても、管1と内筒11との間のシール性を保つことができ、漏水を防止することができる。また、本実施形態では、管1はアルミニウム製の中間層を含む三層管である。アルミニウムは水に触れると腐食しやすい。しかし、受口10では、シールリング14によって、管1の内周面と内筒11の外周面との間がシールされている。そのため、管1および管2に水を流したときに、アルミニウム製の中間層が水に触れることを防止することができる。したがって、中間層の腐食を防止することができる。
【0042】
なお、本実施形態では図2に示すように、受口10では2つのシールリング14がロックリング13の左右両側に設けられ、受口20では1つのシールリング24がロックリング23の右側に設けられている。しかし、シールリング14およびシールリング24の数および位置は特に限定されない。例えば、シールリング14をロックリング13よりも右側に2つ設けてもよく、あるいは、ロックリング13の左側または右側に1つだけ設けるようにしてもよい。シールリング24を2つ設けてもよく、あるいは、内筒21の先端側に1つだけ設けるようにしてもよい。受口10と同様、受口20において、シールリング24を内筒21に設けることも可能である。
【0043】
図1に示すように、作業者が第1の受口10と第2の受口20とを容易に識別できるように、外筒12および外筒22に目印41および42を設けるようにしてもよい。目印41および42の形態は何ら限定されず、例えば、文字、図形、記号、模様、線、絵、色分け等を好適に用いることができる。また、外筒12および外筒22の外観形状を相違させることによって、第1の受口10と第2の受口20とを識別容易にすることもできる。
【0044】
(第2実施形態)
図5および図6に示すように、第2実施形態に係る管継手はエルボ52であり、2本の管を互いに直交する方向に繋ぐ管継手である。エルボ52は、第1の管1が挿入される第1の受口10と、第2の管2が挿入される第2の受口20と、継手本体5とを備えている。継手本体5は略L字状に形成されている。継手本体5の内部には、流れ方向が90度変化するような流路6が形成されている。本実施形態では、管1と管2とエルボ52とにより、曲がった配管構造が構成されている。
【0045】
図5に示すように、継手本体5の外側には複数のリブ7が設けられている。これらのリブ7によって、継手本体5の剛性が高められている。ただし、リブ7は必ずしも必要ではない。
【0046】
第1の受口10、第2の受口20、第1の管1、および第2の管2は、第1実施形態と同様である。そのため、それらの説明は省略する。なお、本実施形態においても、第1の受口10と第2の受口20とを識別するための目印を設けるようにしてもよい。
【0047】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図7および図8に示すように、第3実施形態に係る管継手はチーズ53であり、3本の管を繋ぐ管継手である。図8に示すように、チーズ53の継手本体5は、略T字状に形成されている。継手本体5の左側には第1の受口10が設けられ、継手本体5の右側には第1の受口10が設けられ、継手本体5の上側には第2の受口20が設けられている。図7に示すように、各第1の受口10には第1の管1が接続され、第2の受口20には第2の管2が接続される。本実施形態では、2本の管1と管2とチーズ53とにより、略T字状の配管構造が構成されている。
【0049】
図7に示すように、本実施形態においても、継手本体5の外側には複数のリブ7が設けられている。ただし、リブ7は必ずしも必要ではない。
【0050】
第1の受口10、第2の受口20、第1の管1、および第2の管2は、第1実施形態と同様である。そのため、それらの説明は省略する。本実施形態においても、第1の受口10と第2の受口20とを識別するための目印を設けるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、チーズ53において、第1の受口10および第2の受口20の配置パターンは何ら限定されない。例えば、図9に示すように、継手本体5の上側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の左側および右側に第2の受口20が設けられていてもよい。また、図10に示すように、継手本体5の左側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の右側および上側に第2の受口20が設けられていてもよい。また、図11に示すように、継手本体5の右側および上側に第1の受口10が設けられ、継手本体5の左側に第2の受口20が設けられていてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
ところで、種類の異なる管では、内径または外径が若干異なることによって、肉厚が若干異なっていることも多い。そこで、第1の受口10の内筒11と第2の受口20の内筒21とを、互いの外径が異なるように構成してもよい。また、第1の受口10の外筒12と第2の受口20の外筒22とを、互いの内径が異なるように構成してもよい。内筒11の外径と内筒21の外径とが相違する形態は何ら限定されず、例えば、内筒11および内筒21の内径を等しくする一方でそれらの肉厚を相違させてもよく、内筒11および内筒21の肉厚を等しくする一方でそれらの内径を相違させてもよい。また、外筒12の内径と外筒22の内径とが相違する形態も何ら限定されず、例えば、外筒12および外筒22の外径を等しくする一方でそれらの肉厚を相違させてもよく、外筒12および外筒22の肉厚を等しくする一方でそれらの外径を相違させてもよい。
【0054】
これにより、ロックリング13およびロックリング23は、第1の管1および第2の管2を更にしっかりと把持することができる、そのため、第1の管1および第2の管2は、管継手から更に抜けにくくなる。したがって、管継手に対する第1の管1および第2の管2の接続状態を更に良好に維持することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明に係る管継手は、第1の受口と第2の受口とを少なくとも1つずつ備えていればよいが、第1の受口の数および第2の受口の数は、それぞれ1つに限定される訳ではない。第3実施形態のように、受口の総数は3つでもよい。また、受口の総数は4つ以上であってもよい。本発明に係る管継手は、いわゆるヘッダーであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の管
2 第2の管
5 継手本体
6 流路
10 第1の受口
11 第1の内筒
12 第1の外筒
13 第1のロックリング
20 第2の受口
21 第2の内筒
22 第2の外筒
23 第2のロックリング
51 ソケット(管継手)
52 エルボ(管継手)
53 チーズ(管継手)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管が挿入される第1の受口と、第2の管が挿入される第2の受口と、前記第1の受口と前記第2の受口とを連通させる流路が形成された継手本体と、を備えた管継手であって、
前記第1の受口は、第1の内筒と、前記第1の内筒の周囲を囲む第1の外筒とを有し、前記第1の内筒と前記第1の外筒との間に前記第1の管を挟持するように構成され、
前記第2の受口は、第2の内筒と、前記第2の内筒の周囲を囲む第2の外筒とを有し、前記第2の内筒と前記第2の外筒との間に前記第2の管を挟持するように構成され、
前記第1の内筒の外周面に設けられた第1のロックリングと、
前記第2の外筒の内周面に設けられた第2のロックリングと、を備えている管継手。
【請求項2】
前記第1のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の外側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の外側には、それぞれ爪が形成され、
前記第2のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の内側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の内側には、それぞれ爪が形成されている、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記第1の内筒の外周面にシールリングが設けられている、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記第2の外筒の内周面にシールリングが設けられている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項5】
前記第1の外筒と前記第2の外筒とは内径が異なっている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項6】
前記第1の内筒と前記第2の内筒とは外径が異なっている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の管継手と、前記管継手の第1の受口に接続された第1の管と、前記管継手の第2の受口に接続された第2の管と、を備えた配管構造であって、
前記第1の管と前記第2の管とは種類が異なっている配管構造。
【請求項8】
前記第1の管と前記第2の管とは、内径または外径が互いに異なっている、請求項7に記載の配管構造。
【請求項1】
第1の管が挿入される第1の受口と、第2の管が挿入される第2の受口と、前記第1の受口と前記第2の受口とを連通させる流路が形成された継手本体と、を備えた管継手であって、
前記第1の受口は、第1の内筒と、前記第1の内筒の周囲を囲む第1の外筒とを有し、前記第1の内筒と前記第1の外筒との間に前記第1の管を挟持するように構成され、
前記第2の受口は、第2の内筒と、前記第2の内筒の周囲を囲む第2の外筒とを有し、前記第2の内筒と前記第2の外筒との間に前記第2の管を挟持するように構成され、
前記第1の内筒の外周面に設けられた第1のロックリングと、
前記第2の外筒の内周面に設けられた第2のロックリングと、を備えている管継手。
【請求項2】
前記第1のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の外側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の外側には、それぞれ爪が形成され、
前記第2のロックリングは、前記継手本体側に位置する根元部と、前記継手本体と逆側に位置する先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置し、半径方向の内側に向かって凸状の湾曲部とを有し、前記先端部および前記湾曲部の半径方向の内側には、それぞれ爪が形成されている、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記第1の内筒の外周面にシールリングが設けられている、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記第2の外筒の内周面にシールリングが設けられている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項5】
前記第1の外筒と前記第2の外筒とは内径が異なっている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項6】
前記第1の内筒と前記第2の内筒とは外径が異なっている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の管継手。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の管継手と、前記管継手の第1の受口に接続された第1の管と、前記管継手の第2の受口に接続された第2の管と、を備えた配管構造であって、
前記第1の管と前記第2の管とは種類が異なっている配管構造。
【請求項8】
前記第1の管と前記第2の管とは、内径または外径が互いに異なっている、請求項7に記載の配管構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−220442(P2011−220442A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90133(P2010−90133)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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