説明

簡易浴槽用組立式筐体

【課題】組立分解作業が極めて容易であるとともに堅牢性に優れ高い水圧にも十分耐えることができ、分解後はパーツのすべてを平らに積み重ねることができて収納スペースの削減を図ることができ、周壁の高さを簡単に変更することができて被介護者の特に膝から下の部分を身長の低い介護者でも容易に洗うことのできる簡易浴槽用組立式筐体を提供することを目的としている。
【解決手段】ベース0と第1乃至第4周壁部材10,20,30,40とこれら周壁部材同士を連結固定する連結固定手段とを備え、ベース0、第2周壁部材20、第3周壁部材30、第4周壁部材40、第1周壁部材10がこの順に重畳可能に構成された簡易浴槽用組立式筐体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護が必要な病人や老人の沐浴のために使用される簡易浴槽の分野において、特に、簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体、より詳しくは被介護者を車椅子に乗せたまま入浴させることができるのに適した簡易浴槽用組立式筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護が必要な老人或いは病人などを安全且つ簡単な方法で入浴させることができるようにした簡易浴槽が多種提案されている。そのなかでも、特に、車椅子に被介護者を乗せたまま入浴させることができる簡易浴槽としては、周囲の三面が一体的に結合した壁体で構成されるとともに一面が開閉自在な扉とされた車椅子用の浴槽(特許文献1〜5)や、パイプ部材を直方体に組み、この中に簡易浴槽用シートを設けた分解組立が可能な車椅子用の浴槽(特許文献6〜8)、またハーフパイプ状の2つの金属製枠を円筒状に組み立て、この中に簡易浴槽用シートを設けた分解組み立てが可能な車椅子用の浴槽(特許文献9)などが知られている。
【0003】
このような浴槽を使用することにより、車椅子に乗ったままでないと入浴できない老人や病人でも介護者の介助を受けて入浴することができ、そのような被介護者にも入浴というひとときの安らぎを与えることができる。
【特許文献1】実開平7−3633号公報
【特許文献2】特開平7−265371号公報
【特許文献3】特開平7−275314号公報
【特許文献4】特開2000−197679号公報
【特許文献5】特開2005−205003号公報
【特許文献6】実開平2−139585号公報
【特許文献7】特開2001−58000号公報
【特許文献8】特開2003−19179号公報
【特許文献9】実開平6−83026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1〜5に所載の技術にあっては、周壁の三面が一体的に結合した壁体で構成されていることから、堅牢であり、内部に貯留される湯の水圧に十分耐えることができる反面、その構造上分解組立は不可能であるため、スペースに限りのある特に一般家庭においての使用には不向きであった。また、かなりの重量があるため、移動させるのが困難であった。
【0005】
その点、特許文献6〜9に所載の技術にあっては、分解組立が可能な構成とされているため、特許文献1〜5に所載の技術が有する上記したような問題はないものの、パイプ部材同士を例えばビスやピン部材他簡単な止着具で連結した構造を採っているため、耐圧性に劣り、特に車椅子に乗ったままの被介護者の入浴時における貯湯量は車椅子に乗らずに入浴できる被介護者の場合に比べてかなり多く浴槽が受ける水圧が極めて高いことから、入浴時の安全性に対する不安を拭うことのできないものであった。また、分解はできてもパイプ部材単位にまで細かく分解できるものではないことから、各パーツをコンパクトに纏めることができず嵩張るため、使用しない時の収納スペースの確保が困難で、特にスペースに限りのある一般家庭では大きな問題であった。さらに、各パーツが大きいため、分解組立作業が行い辛く、特に非力な女性や年配者には取り扱いが難しかった。
【0006】
また、上記いずれの従来技術にあっても、周壁の高さが、車椅子に乗っている被介護者の胸から肩当たりの高さに設定されており、この高さは固定であって変更することは不可能であることから、介護者が被介護者の膝から下の部分を洗おうとしたときに周壁の上縁部が介護者の脇や胸に当たることとなり、介護者の手が目的の部分に届きにくい。このため、特に膝から下の部分を介護者が満足に洗ってあげられないといった問題があった。この問題は、特に被介護者が上肢に障害があって自分の体を洗うことができず、且つ、このような被介護者の介助を身長の低い介護者が行う場合に顕著とあり、介護者及び被介護者の双方ともせっかくの入浴にもかかわらず、十分に下肢部が洗えないといった不満をかかえることになっていた。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決すべく創案されたものであり、組み立て及び分解作業が極めて容易であるとともに堅牢性に優れ高い水圧にも十分耐えることができ、また、分解後はパーツのすべてを平らに積み重ねることができて収納スペースの削減を図ることができ、さらに周壁の高さを簡単に変更することができて被介護者の特に膝から下の部分を身長の低い介護者でも容易に洗うことのできる簡易浴槽用組立式筐体及びこれを用いた簡易浴槽を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体は、簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体において、第1乃至第4の側縁部を有し、第1側縁部が入浴者が出入りする上がり口とされた矩形状のベースと、このベースの第1側縁部に着脱可能に取り付けられた第1周壁部材と、前記ベースの第2側縁部に、該ベースの上へ完全倒伏可能に取り付けられた第2周壁部材と、前記ベースの第3側縁部に、前記ベース上に完全倒伏した前記第2周壁部材の上へ完全倒伏可能に取り付けられた第3周壁部材と、前記ベースの第4側縁部に、前記第2周壁部材の上に倒伏した前記第3周壁部材の上へ完全倒伏可能に取り付けられた第4周壁部材と、前記ベースの第1乃至第4側縁部上で前記第1乃至第4周壁部材が立設状態にあるときこれら周壁部材同士を連結固定する連結固定手段とを備え、前記ベース、第2周壁部材、第3周壁部材、第4周壁部材、第1周壁部材がこの順に重畳可能に構成されたことを特徴とするものである。
【0009】
この特定事項により、分解時にあっては、まず連結固定手段による第1乃至第4周壁部材同士の連結固定状態を解除してから、ベースの上がり口に立設されている第1周壁部材を取り外し、その後ベース上において第2周壁部材、第3周壁部材、第4周壁部材の3つの周壁部材をこの順に折り重ねるように完全倒伏させた上に先の第1周壁部材を重ねることができ、その結果ベースの上にすべての周壁部材が重畳されるから、極めて嵩の低い状態にすべての部材をまとめることができる。したがって、この状態でベッドの下方空間内に収納することも可能となる。一方、組立後にあっては、浴槽の四隅においてすべての周壁部材が相互に線接触した状態で連結固定手段により相互に連結固定されるから堅牢性を確保することができる。
【0010】
尚、上記簡易浴槽用シートとしては、前記特許文献6、7及び9に開示されているようなシートや、本願の出願人が先に提案した特願2006−95302号に記載のシートが挙げられる。
【0011】
上記ベースとしては、その適所に、前記簡易浴槽用シートに接続された排水管が挿通される排水管挿通孔が設けられるとともに、下面に脚部材が取り付けられたものとすることもできる。
【0012】
この場合、簡易浴槽用シートの底から排水することができるので、浴槽内のすべての湯を速やかに排出させることができる。
【0013】
また、上記ベースの下面に取り付けられる脚部材として、脚輪を採用してもよい。
【0014】
この場合、上記したように分解後にベッドの下方空間内に収納する際、また引出す際に作業が楽に行える。
【0015】
第1乃至第4の周壁部材は、その形態はパネル状であってもよいが、棒状部材で所定形状に組まれたフレームと、このフレームの内方空間部に張設され貯湯時に前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する受圧シートとから構成されたものであってもよい。
【0016】
この場合、耐圧性を確保しつつパネル状である場合に比べてさらに軽量化を図ることができ、非力な女性や年配者でも簡単に取り扱うことができる。
【0017】
また、第1乃至第4の周壁部材のうち少なくとも一つは、その縦方向の任意の位置で2つに分割可能に構成されたものであってもよい。
【0018】
この場合、周壁の高さを簡単に変更することができるので、周壁の上縁部が邪魔にならず、被介護者の特に膝から下の部分を身長の低い介護者でも容易に洗うことのできる
上記した周壁部材のうち第2乃至第4周壁部材は、ベース上において折り重ねるように完全倒伏可能な状態でベースの第2乃至第4側縁部に取り付けているが、その具体的手段の一つとして、ベースの第3側縁部には、該ベースの上面からの高さが第2周壁部材の厚み寸法に相当する高さの第3周壁部材取付台座を設け、この第3周壁部材取付台座上に第3周壁部材の下端部を回動可能に支持するとともに、ベースの第4縁部には、該ベースの上面からの高さが第2周壁部材と第3周壁部材の各厚み寸法の和に相当する高さの第4周壁部材取付台座を設け、この第4周壁部材取付台座上に第4周壁部材の下端部を回動可能に支持してもよい。
【0019】
また、上記したような手段以外に、第3周壁部材を、ベースより第2周壁部材の厚み寸法に相当する距離だけ引き上げ可能とするとともに該引き上げ状態で第2周壁部材の上へ完全倒伏可能とし、第4周壁部材は、ベースより第2周壁部材と第3周壁部材の各厚み寸法の和に相当する距離だけ引き上げ可能とするとともに該引き上げ状態で第3周壁部材の上へ完全倒伏可能としてもよい。
【0020】
この場合、上記したような周壁部取付台座をベースの所定の側縁部に設ける場合とは異なり、第1乃至第4周壁部材を縦寸法に留意することなく製作することができる。つまり、ベース上に周壁部材取付台座を設け、この上に周壁部材を設ける場合は、組立後に各周壁部材の上縁のレベルが揃うように、各周壁部材取付台座の高さ寸法を予め見込んだ上で第3及び第4周壁部材の各縦寸法を設定する必要があるが、上記したように第3及び第4周壁部材をそれぞれベースより所定距離だけ引き上げ可能とするとともにこの引き上げ状態で先に倒伏している周壁部材の上へ完全倒伏可能とすれば、第3及び第4周壁部材の取付部材に工夫を施すだけでよくなり、各周壁部材を製作する際に個別に縦寸法に留意する必要がない。つまり、第1乃至第4周壁部材の縦寸法を統一することができる。また、このように周壁部材の縦寸法を統一することができるため、ベースへの取付時に、例えばベースが長方形の場合、短辺用であるか長辺用であるかといった点にのみ留意するだけでよく、製造も容易となる。
【0021】
本発明の簡易浴槽は、上記した構成の簡易浴槽用組立式筐体と、この簡易浴槽用組立式筐体内に配設される簡易浴槽用シートとを備えたものである。
【0022】
これによれば、上記で説明した簡易浴槽用組立式筐体の作用と同様の作用を奏するとともに、分解時に、ベース及び各周壁部材が重畳された上に簡易浴槽用シートを折り畳んだ状態で載置することができ、筐体とシートとをともに、例えばベッドの下方空間内に収納することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体及びこれを用いた簡易浴槽は、組み立て及び分解作業が極めて容易であるとともに堅牢性に優れ高い水圧にも十分耐えることができ、また、分解後はパーツのすべてを平らに積み重ねることができて収納スペースの削減を図ることができ、さらに周壁の高さを簡単に変更することができて被介護者の特に膝から下の部分を身長の低い介護者でも容易に洗うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体を示す斜視図、図2は図1の視点とは反対側の視点から見た斜視図、図3乃至図8は分解工程を示す斜視図、図9は分解を完了しすべての部材を重畳した状態を、ベース以外の部材を想像線にして示す正面図、図10は連結固定手段を示す部分拡大斜視図である。
【0026】
この簡易浴槽用組立式筐体は、簡易浴槽用シート(図示省略)の全周面及び底面をそれらの外側から支持するものであり、ベース0と、このベース0上に立設される第1乃至第4の4つの周壁部材10,20,30,40と、これら周壁部材10,20,30,40同士を連結固定する連結固定手段としての多数個の連結具60とを備えたものである。以下、各部材について詳述する。
【0027】
<ベースの構成>
ベース0は、短辺の寸法が車椅子に座った入浴者の胸部から肩あたりの高さに相当する寸法とされた平面視長方形に形成されており、その適所に、簡易浴槽用シートに接続された排水管が挿通される排水管挿通孔(図示省略)が設けられるとともに、下面に脚輪5(図9参照)が取り付けられている。また、ベース0の一組の短側縁部のうち一方の短側縁部(第1側縁部)1が、入浴者が出入りする上がり口とされている(図5参照)。この上がり口は、車椅子をベース0上に誘導する歩み板の端縁を掛けることができるよう、ベース0の上面よりも一段低く設定されている。
【0028】
さらに、ベース0の一組の長側縁部のうち一方の長側縁部(第3側縁部)3には、ベース0の上面からの高さが前記第2周壁部材20の厚み寸法に相当する高さの第3周壁部材取付台座6が設けられている。また、これに対向する他方の長側縁部(第4側縁部)4には、ベース0の上面からの高さが第2周壁部材20と第3周壁部材30の各厚み寸法の和に相当する高さの第4周壁部材取付台座7が設けられている。これらの各取付台座6,7は、ベース0の本体部分と一体的に形成しても、或いは、ベース0とは別部材で形成し、ベース0の第3側縁部3及び第4側縁部4に固着してもよい。
【0029】
上記のようになるベース0としては、当然のことながら、介護者の体重、車椅子の車重及びシート内に貯留される湯の重量の総重量に余裕を持って耐え得る剛性を有する材料であれば、木製、金属製又は合成樹脂製のいずれであってもよい。但し、軽量化の点からは、合成樹脂製又は木製が好ましい。
【0030】
尚、上記した脚輪5に代えて短支柱状やブロック状の脚部材を設けてもよく、或いはこれら脚輪5や脚部材を省略してもよい。また、上がり口とされる第1側縁部1の構成は上記したものに限定されず、上がり口の機能が損なわれない範囲で任意である。
【0031】
<周壁部材の構成>
第1乃至第4の各周壁部材10,20,30,40は、棒状部材で所定形状に組まれたフレームと、このフレームの内方空間部に張設され貯湯時に簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する受圧シート50とから構成されている。具体的には、各周壁部材10,20,30,40は、パイプ材からなるメインフレーム部11,21,31,41とサブフレーム部12,22,32,42とから構成されている。各メインフレーム部11,21,31,41には、それぞれ2枚の受圧シート50が、上下に対向する一対の水平フレーム13,23,33,43に巻き掛けられるようにして二重に張設されるとともに、各受圧シート50の間隙には、十字状に組んだ補強パイプ15,25,35,45の横パイプ15a,25a,35a,45aが挿通されておりこれら受圧シート50と補強パイプ15,25,35,45とが相互に補強し合うように構成されている。メインフレーム部11,21,31,41の縦寸法は、車椅子に座った入浴者の胸部から肩あたりの高さに相当する寸法に設定されており、貯湯時に湯の水圧を主としてメインフレーム部11,21,31,41で受けるように構成されている。
【0032】
また、第1及び第2の各周壁部材10,20は、メインフレーム部11,21とサブフレーム部12,22とがパイプ材で一体的に組まれた構成とされているのに対し、第3及び第4の各周壁部材30,40は、メインフレーム部31,41とサブフレーム部32,42とが個別に組まれるとともに、連結部材36,46により合体及び上下に2分割できる構成とされている。これによって、介護者が被介護者の膝から下の部分を洗おうとしたときに、少なくとも第3又は第4のうちいずれか一方の周壁部材30(40)のサブフレーム部32(42)をメインフレーム部31(41)から取り外すことにより、これら周壁部材30,40の上縁部が介護者の脇や胸に当たるようなことがなく、介護者の手が目的の部分に容易に届くこととなる。このため、膝から下の部分など、従来技術では介護者が洗うのが困難であった箇所まで介護者が満足に洗ってあげられることになる。特に被介護者が上肢に障害があって自分の体を洗うことができず、且つ、このような被介護者の介助を身長の低い介護者が行う場合に上記の構成は極めて有効であり、従来技術とは異なり、介護者及び被介護者の双方ともせっかくの入浴にもかかわらず十分に下肢部が洗えないといった不満をかかえることはない。
【0033】
尚、上記の例では第3及び第4の両周壁部材30,40を、上記したような2分割構造としているが、これに限らず、すべての周壁部材10,20,30,40を2分割構造としてもよいし、いずれか任意の1つまたは3つの周壁部材を2分割構造としてもよい。またこれとは逆に、すべての周壁部材10,20,30,40を2分割構造としなくともよい。
【0034】
ところで、上記のようになる周壁部材10,20,30,40はそれぞれベース0の第1乃至第4側縁部1,2,3,4に立設されるわけであるが、ベース0の各側縁部1,2,3,4は前記したようにそれぞれ形状が異なっているため、周壁部材10,20,30,40はそれぞれ対応する側縁部1,2,3,4の態様に応じて縦寸法が個別に設定されている。
【0035】
すなわち、ベース0の第2側縁部2に立設される第2周壁部材20は、その下端部が直接ベース0の上面に回動可能に支持されるので、その縦寸法は、ベース0の長辺の長さと略同じ寸法とされ、ベース0上に完全倒伏された際に、上端部がベース0の第1側縁部1から外方に突出しないように図られている。
【0036】
また、ベース0の第1側縁部1に立設される第1周壁部材10は、その下端部がベース0の上がり口の段差部に着脱可能に支持されるので、その縦寸法は、第2周壁部材20の縦寸法に段差部の高さ寸法を加えたのと略等しい寸法とされ、ベース0の第1側縁部1上に立設された際に、上端部がベース0の第2側縁部2に立設された第2周壁部材20の上端部と高さが揃うように図られている。
【0037】
また、ベース0の第3側縁部3に立設される第3周壁部材30は、その下端部が第3周壁部材取付台座6に回動可能に支持されるので、その縦寸法は、第2周壁部材20の縦寸法から第3周壁部材取付台座6の高さ寸法を差し引いたのと略等しい寸法とされ、ベース0の第3側縁部3上に立設された際に、上端部がベース0の第2側縁部2に立設された第2周壁部材20の上端部と高さが揃うように図られている。
【0038】
また、ベース0の第4側縁部4に立設される第4周壁部材40は、その下端部が第4周壁部材取付台座7に回動可能に支持されるので、その縦寸法は、第2周壁部材20の縦寸法から第3周壁部材取付台座6の高さ寸法と第4周壁部材取付台座7の高さ寸法との和を差し引いたのと略等しい寸法とされ、ベース0の第4側縁部4上に立設された際に、上端部がベース0の第2側縁部2に立設された第2周壁部材20の上端部と高さが揃うように図られている。
【0039】
さらに、第3周壁部材30のメインフレーム部31の縦寸法は、完全倒伏された際に、メインフレーム部31の上端部が第4周壁部材取付台座7と干渉しない寸法に、また第4周壁部材40のメインフレーム部41の縦寸法は、完全倒伏された際に、メインフレーム部の上端部が第3周壁部材取付台座6を越えてベース0の側縁から外方に突出しないように図られている。
【0040】
このようになる周壁部材10,20,30,40のうち、第1周壁部材10は、その下端部が、第1側縁部1における段差部に取り付けられた一対の受座8,8内に着脱可能に嵌合されている。一方、第2乃至第4周壁部材20,30,40は、それぞれその下端部におけるパイプ材が挿通される挿通孔9a(図10参照)を有する取付アングル9により各対応するベース0の側縁部2,3,4に回動可能に取り付けられている。
【0041】
<連結具の構成>
連結具について、ここでは、第2周壁部材20と第4周壁部材40の各メインフレーム部21,41同士の連結箇所を例に採って説明する。
【0042】
この連結具60は、第4周壁部材40の垂直フレーム44に回動可能に取り付けられた基端部61と、第2周壁部材20の垂直フレーム24にその内側から嵌合する嵌合部62とを備えたものである。
【0043】
そして、この例で示したものと同じ構成の連結具60が、その他の連結箇所においても設けられており、これら多数個の連結具60で第1乃至第4周壁部材10,20,30,40の各垂直フレーム14,24,34,44同士が連結されることにより、第1乃至第4周壁部材10,20,30,40同士が連結固定される。
【0044】
尚、連結固定手段は、上記したような連結具60に限定されず、第1乃至第4周壁部材10,20,30,40同士を立設状態において強固に連結固定することができるものであれば、その構成は任意である。
【0045】
<分解方法>
次に、上記のように構成された簡易浴槽用組立式筐体の分解手順について、図3乃至図8を参照して説明する。
【0046】
まず、図3及び図4に示すように、第3周壁部材30及び第4周壁部材40の各サブフレーム部32,42をそれぞれメインフレーム部31,41から取り外す。取り外したサブフレーム部32,42は、一旦、分解作業の邪魔にならない場所に置いておく。
【0047】
次に、第1周壁部材10と第3周壁部材30とを連結固定している連結具60、及び、第1周壁部材10と第4周壁部材40とを連結固定している連結具60の連結をそれぞれ解除した後、第1周壁部材10を上方へ引き上げるようにして、ベース0の第1側縁部1の段差部にある受座8,8と第1周壁部材10の下端部との嵌合状態を解除し、第1周壁部材10をベース0から取り外す(図5参照)。取り外した第1周壁部材10は、上記第3及び第4周壁部材30,40サブフレーム部32,42と同様、分解作業の邪魔にならない場所に置いておく。
【0048】
続いて、第2周壁部材20と第3周壁部材30とを連結固定している連結具60、及び、第2周壁部材20と第4周壁部材40とを連結固定している連結具60の連結を解除した後、図6に示すように、第2周壁部材20をベース0上に完全倒伏させる。
【0049】
これに引き続いて、図7に示すように、第2周壁部材20の上へ第3周壁部材30を完全倒伏させ、さらに第3周壁部材30の上へ第4周壁部材40を完全倒伏させる。
【0050】
そして最後に、図8に示すように、第4周壁部材40の上に、先にベース0から取り外した第1周壁部材10を載せ、さらにその上に第3及び第4周壁部材30,40の各サブフレーム部32,42を載せて分解作業を完了する。
【0051】
図9は、その分解作業を完了した状態を、ベース0以外の部材を想像線にして示す正面図であり、この図からもわかるように、すべての部材がベース0上に整然と重畳されることとなる。あとは必要や情況に応じて、この状態のまま、例えばベッドの下方空間内に、ベース0下面の脚輪5を利用して移動させ、これを以って収納も完了する。
【0052】
尚、組立手順は、上記した分解手順と逆の手順となる。
【0053】
<他の実施の形態>
上記した実施の形態では、第1周壁部材10と対向して第2周壁部材20を配し、これらの間に第3及び第4周壁部材30,40を対向配置したが、本発明はこれに限らず、例えば、第1周壁部材10と対向して第3周壁部材30を配し、これらの間に第2及び第4周壁部材20,40を対向配置してもよい。要するに、第1周壁部材10を除く3つの周壁部材20,30,40をベース0上において順に完全倒伏できるのであれば、これら第2乃至第4周壁部材20,30,40の相互の位置関係は任意である。
【0054】
また、上記した実施の形態では、第3周壁部材30を第2周壁部材20の上へ完全倒伏させ得るように第2周壁部材20の厚み寸法に相当する高さの第3周壁部材取付台座6をベース0の第3側縁部3に設けるとともに、第4周壁部材40を第3周壁部材30の上へ完全倒伏させ得るように第2周壁部材20と第3周壁部材30の各厚み寸法の和に相当する高さの第4周壁部材取付台座7をベース0の第4側縁部4に設けているが、第3及び第4周壁部材30,40を完全倒伏させるための方策はそのような取付台座6,7による必要はない。
【0055】
例えば、図11に示すように、第3及び第4周壁部材40の各下端部に、これら各周壁部材30,40をベース0よりそれぞれ所定距離だけ引き上げ可能とするとともに該引き上げ状態で完全倒伏可能とするスライド支持具70を設けてもよい。これらスライド支持具70は、ベース0の第3及び第4側縁部3,4に摺動可能に貫設される摺動部71と、この摺動部71の下端に設けられたストッパ部72と、このストッパ部72とベース0の下面との間における摺動部71に外嵌され、常時摺動部71を下方に付勢するコイルスプリング73と、摺動部71の上端に設けられ各周壁部材30,40の下端部における水平フレームを回動可能に掴持するフレーム取付部74とを備えたものである。そして、第3周壁部材30に設けられるスライド支持具70にあっては、その摺動量、つまりストッパ部72とベース0の下面との間隔が、第2周壁部材20の厚み寸法に相当する距離に設定され、一方、第4周壁部材40に設けられるスライド支持具70にあっては、ストッパ部72とベース0の下面との間隔が、第2周壁部材20と第3周壁部材30の各厚み寸法の和に相当する距離に設定されている。
【0056】
このようなスライド支持具70を用いる構成とすれば、前記した各取付台座6,7をベース0に設ける必要はない。
【0057】
また、第1乃至第4周壁部材10,20,30,40は、上記したようなフレーム構造のものに限らず、面パネルであってもよい。
【0058】
<簡易浴槽>
以上説明した簡易浴槽用組立式筐体内に、例えば、前記特許文献6、7及び9に開示されているような簡易浴槽用シートや、本願の出願人が先に提案した特願2006−95302号に記載の簡易浴槽用シートを適宜設けることで車椅子に乗ったままの入浴に適した簡易浴槽が構成される。また、簡易浴槽用シートは、分解時に、ベース0上に各部材が重畳(図8及び図9参照)された上に簡易浴槽用シートを折り畳んだ状態で載置することができ、筐体とシートとをともに、例えばベッドの下方空間内に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1の視点とは反対側の視点から見た斜視図である。
【図3】分解工程を示す斜視図である。
【図4】分解工程を示す斜視図である。
【図5】分解工程を示す斜視図である。
【図6】分解工程を示す斜視図である。
【図7】分解工程を示す斜視図である。
【図8】分解工程を示す斜視図である。
【図9】分解を完了しすべての部材を重畳した状態を、ベース以外の部材を想像線にして示す正面図である。
【図10】連結固定手段を示す部分拡大斜視図である。
【図11】本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体の他の実施例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0060】
0 ベース
1 第1側縁部
2 第2側縁部
3 第3側縁部
4 第4側縁部
5 脚輪
6 第3周壁部材取付台座
7 第4周壁部材取付台座
10 第1周壁部材
11 メインフレーム部
12 サブフレーム部
20 第2周壁部材
21 メインフレーム部
22 サブフレーム部
30 第3周壁部材
31 メインフレーム部
32 サブフレーム部
40 第4周壁部材
41 メインフレーム部
42 サブフレーム部
50 受圧シート
60 連結具(連結固定手段)
70 スライド支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体において、
第1乃至第4の側縁部を有し、第1側縁部が入浴者が出入りする上がり口とされた矩形状のベースと、
このベースの第1側縁部に着脱可能に取り付けられた第1周壁部材と、
前記ベースの第2側縁部に、該ベースの上へ完全倒伏可能に取り付けられた第2周壁部材と、
前記ベースの第3側縁部に、前記ベース上に完全倒伏した前記第2周壁部材の上へ完全倒伏可能に取り付けられた第3周壁部材と、
前記ベースの第4側縁部に、前記第2周壁部材の上に倒伏した前記第3周壁部材の上へ完全倒伏可能に取り付けられた第4周壁部材と、
前記ベースの第1乃至第4側縁部上で前記第1乃至第4周壁部材が立設状態にあるときこれら周壁部材同士を連結固定する連結固定手段とを備え、
前記ベース、第2周壁部材、第3周壁部材、第4周壁部材、第1周壁部材がこの順に重畳可能に構成されたことを特徴とする簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項2】
前記ベースは、その適所に、前記簡易浴槽用シートに接続された排水管が挿通される排水管挿通孔が設けられるとともに、下面に脚部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項3】
前記脚部材は脚輪である請求項2に記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項4】
前記第1乃至第4の周壁部材は、棒状部材で所定形状に組まれたフレームと、このフレームの内方空間部に張設され貯湯時に前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する受圧シートとから構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項5】
前記第1乃至第4の周壁部材のうち少なくとも一つは、その縦方向の任意の位置で2つに分割可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項6】
前記ベースの第3側縁部には、該ベースの上面からの高さが前記第2周壁部材の厚み寸法に相当する高さの第3周壁部材取付台座が設けられ、この第3周壁部材取付台座上に前記第3周壁部材の下端部が回動可能に支持されるとともに、前記ベースの第4縁部には、該ベースの上面からの高さが前記第2周壁部材と第3周壁部材の各厚み寸法の和に相当する高さの第4周壁部材取付台座が設けられ、この第4周壁部材取付台座上に第4周壁部材の下端部が回動可能に支持されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項7】
前記第3周壁部材は、前記ベースより前記第2周壁部材の厚み寸法に相当する距離だけ引き上げ可能とされるとともに該引き上げ状態で前記第2周壁部材の上へ完全倒伏可能とされ、前記第4周壁部材は、前記ベースより前記第2周壁部材と第3周壁部材の各厚み寸法の和に相当する距離だけ引き上げ可能とされるとともに該引き上げ状態で前記第3周壁部材の上へ完全倒伏可能とされたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体と、この簡易浴槽用組立式筐体内に配設される簡易浴槽用シートとを備えた簡易浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−79637(P2008−79637A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259708(P2006−259708)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【特許番号】特許第3976777号(P3976777)
【特許公報発行日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(506108620)株式会社 ナンワ (3)
【Fターム(参考)】