説明

粉砕装置

【課題】効率よく被粉砕物の粉砕することができる粉砕装置を提供することである。
【解決手段】上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、並行配置される一対の破砕ローラ2,2を回転させて被粉砕物W1を破砕ローラ2,2間で破砕する破砕機1と、並行配置される一対の粉砕ローラ6,6を回転させて破砕機1で破砕された被粉砕物W2を粉砕ローラ6,6間で粉砕する粉砕機5と、破砕機1と粉砕機5との間に破砕機1で破砕された被粉砕物W2を受けて粉砕機5へ投入するホッパ8と、粉砕機5の投入口7aに堆積する被粉砕物W2へ向けて気体を噴射する噴射機10とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木等の被粉砕物を粉砕する粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹木等の被粉砕物を粉砕機で粉砕するには、被粉砕物の大きさが大きすぎ、被粉砕物を直接粉砕機へ投入することができないため、これを粉砕機で粉砕可能な程度の大きさに細かく裁断する必要がある。
【0003】
すなわち、通常、樹木等の被粉砕物を粉砕する工程には、まず、破砕機で樹木等の被粉砕物を細かく破砕し、この細かく破砕された被粉砕物を粉砕機に投入して被粉砕物を粉砕するようにしている。
【0004】
したがって、被粉砕物の粉砕には、被粉砕物を細かく破砕する破砕機と、破砕された被粉砕物を粉砕する粉砕機の二つの機器が必要であり、従来の粉砕装置にあっては、破砕機で破砕した被粉砕物を搬送機で粉砕機まで搬送するようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
または、これに代えて、破砕機の真下に粉砕機を設けて、中間に搬送機を設けるのではなく破砕機へ被粉砕物を搬送する搬送機を備える粉砕装置もあるが、いずれにしても、破砕機と粉砕機の二つの機器で被粉砕物を粉砕するようにしている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
また、上記した従来の粉砕装置では、破砕機の排出口と粉砕機の投入口との間にホッパが設けられており、破砕機によって破砕された被粉砕物をホッパ内に投入して粉砕機の投入口へ導入するようにしている。
【特許文献1】特開2005−350208号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−237625号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の粉砕装置では、破砕機と粉砕機が必須構成要素となっているが、粉砕機は破砕機に比較して被粉砕物を非常に細かく粉砕するため、破砕機の単位時間当たりの被粉砕物の破砕量に比較して、粉砕機における単位時間当たりの被粉砕物の粉砕量は少なく、この処理能力の違いにより、一般的には、粉砕機による被粉砕物の処理が間に合わなくなる傾向がある。
【0008】
そして、粉砕機は並列配置されて回転駆動される一対のローラを有しており、上述の如くホッパ内に投入された被粉砕物は、粉砕機の一対のローラ上に堆積して、各ローラの回転によって、順次、ローラ間に導かれて粉砕されることになるが、処理量に劣る粉砕機の投入口に自然と堆積し、被粉砕物がホッパ内でブリッジを形成してローラの回転によっても被粉砕物をローラ間に導くことができず、被粉砕物の粉砕が不能となってしまい、効率よく粉砕作業を行うことができなくなる場合がある。
【0009】
そして、従来の粉砕装置では、上記排出口に堆積した被粉砕物を取り除くには、作業員が手作業で行うしかなく、破砕機や粉砕機が稼動したまま当該作業を行うのは危険であり、粉砕装置の駆動を停止して堆積した被粉砕物を取り除く方法しか採用できず、この点においても効率よく粉砕作業を行うことができない。
【0010】
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、効率よく被粉砕物の粉砕することができる粉砕装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、並行配置される一対の破砕ローラを回転させて被粉砕物を破砕ローラ間で破砕する破砕機と、並行配置される一対の粉砕ローラを回転させて破砕機で破砕された被粉砕物を粉砕ローラ間で粉砕する粉砕機と、破砕機と粉砕機との間に設けられて破砕機で破砕された被粉砕物を受けて粉砕機へ投入するホッパとを備えた粉砕装置において、粉砕機の投入口に堆積する被粉砕物へ向けて気体を噴射する噴射機を設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、噴射機から気体を噴射すると、粉砕機の投入口に堆積してできた被粉砕物のブリッジを外部から崩すことができ、粉砕作業中であっても作業を中断せずして安全且つ簡単に被粉砕物のブリッジを崩して粉砕機における粉砕不能となる状況を解消して被粉砕物を効率よく粉砕することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、一実施の形態における粉砕装置の概略側面断面図である。図2は、一実施の形態における粉砕装置の概略平面図である。図3は、一実施の形態の粉砕装置における駆動および気体噴射処理手順の一例を示した図である。
【0014】
この一実施の形態における粉砕装置は、図1および図2に示すように、並行配置される一対の破砕ローラ2,2を回転させて被粉砕物W1を破砕ローラ2,2間で破砕する破砕機1と、並行配置される一対の粉砕ローラ6,6を回転させて破砕機1で破砕された被粉砕物W2を粉砕ローラ6,6間で粉砕する粉砕機5と、破砕機1と粉砕機5との間に破砕機1で破砕された被粉砕物W2を受けて粉砕機5へ投入するホッパ8と、粉砕機5の投入口7aに堆積する被粉砕物W2へ向けて気体を噴射する噴射機10とを備えた構成されている。
【0015】
そして、破砕機1と粉砕機5は、ともに、ベースB上に設置されており、また、この実施の形態の場合、破砕機1における破砕ローラ2,2は上下に並列配置されるともに、粉砕機5における粉砕ローラ6,6は横に並列配置され、破砕機1で破砕されて破砕機1から排出される被粉砕物W2を直接粉砕機5へ投入することが可能なように、粉砕機5は破砕機1の斜め下方に設置されている。
【0016】
なお、破砕機1は、ベースBに立設される脚L1上に取付けた天板P1に載置され、粉砕機5は、ベースBに立設される脚L2上に取付けた天板P2に載置されて、それぞれベースBに設置されているが、破砕機1および粉砕機5のベースBへの設置は、上述の構成に限らず、枠体を用いてこれを行うようにしてもよいことは当然である。
【0017】
詳しくは、破砕機1は、上下方向に沿って並行に配置される一対の破砕ローラ2,2と、破砕ローラ2,2を回転駆動するモータM1と、破砕ローラ2,2を回転自在に軸支するハウジング3と、ハウジング3の正面となる図1中右端側に設けた開口に連なり中間部で折り畳み可能な被粉砕物投入台4とを備えて構成されている。なお、被粉砕物投入台4が折り畳み可能とされているので、粉砕作業を行わないときには、これを折り畳んでおくことによって粉砕装置をコンパクトにすることができる。
【0018】
破砕ローラ2,2は、ともに、軸2aと、軸2aの外周に軸方向に所定の間隔を持って複数並べて設けた破砕歯2bとを備え、垂直上下方向に沿って、かつ、回転軸が並行となるように配置されるとともに、一方の破砕ローラ2の破砕歯2bが他方の破砕ローラ2の破砕歯2b,2b間に入子式に入り込んで他方の破砕ローラ2の軸2aの外周に臨むようにしてある。
【0019】
また、図1中上方配置される破砕ローラ2は時計回りに、図1中下方配置される破砕ローラ2は反時計周りに、それぞれモータM1によって回転駆動され、被粉砕物W1を破砕ローラ2,2間に投入すると、上記入子式の破砕歯2bによって裁断されるとともに、いずれか一方の破砕ローラ2における破砕歯2bの外周といずれか他方の破砕ローラ2における軸2aの外周との間で破砕されて、被粉砕物W1は破砕ローラ2,2間を通過後はチップ化された被粉砕物W2となる。
【0020】
そして、この破砕機1に被粉砕物投入台4が設置される図1中右端側から被粉砕物W1を投入すると、被粉砕物W1は回転駆動される破砕ローラ2,2間に導かれて破砕され、破砕後のチップ状とされた被粉砕物W2は破砕機1の後方側となるハウジング3の図1中左端側に設けた矩形筒型の排出口3aから排出されるようになっている。
【0021】
このように、大きな被粉砕物W1は、粉砕機5で粉砕可能な程度のチップ状の被粉砕物W2にまで破砕機1で破砕されることになり、さらに、破砕機1の破砕ローラ2,2は本実施の形態の場合、上下に配置されているので被粉砕物W1を横方向から破砕機1に投入することが可能であるので、特に被粉砕物W1が長尺な樹木であっても、その投入作業が容易となる。
【0022】
つづいて、粉砕機5は、横に沿って並行に配置される一対の粉砕ローラ6,6と、粉砕ローラ6,6を回転駆動するモータM2と、粉砕ローラ6,6を回転自在に軸支するハウジング7と備えて構成され、また、ハウジング7の図1中上端に設けた投入口7aにはホッパ8の下端開口端が連なっており、ホッパ8上に落下した被粉砕物W2を粉砕機5の投入口7aへと導くことができるようになっている。
【0023】
そして、ホッパ8は、破砕機1の後方と粉砕機5の図1中上方を覆って破砕機1の排出口3aと粉砕機5の投入口7aとを接続する閉空間Aを形成しており、被粉砕物W2が破砕機1から粉砕機5へ到る間に外方へ飛散してしまうことを防止している。
【0024】
このホッパ8は、破砕機1のハウジング3における排出口3aの図1中下端と粉砕機5のハウジング7における投入口7aの図1中右端となる破砕機側端とに架け渡されて被粉砕物W2が滑り落ちる傾斜面8aと、上記投入口7aの図1中左端となる反破砕機側端から立ち上がり傾斜面8aに対向するとともに傾斜面8aとは反対側へ傾斜する対向面8bと、傾斜面8aと対向面8bとを接続するとともに破砕機1の排出口3aと粉砕機5の投入口7aのそれぞれの左右端となる図2中上下端に架け渡される各側面8c,8dと、排出口3aの図1中上端と各側面8c,8dとを接続する頂面8eと、側面8cにヒンジ結合されるとともに頂面8eと対向面8bと各側面8c,8dで形成される開口部を開閉する扉9とを備えて構成され、扉9には、アクリル板やガラス板等の透明部材が嵌め込まれたのぞき窓9aを備えている。
【0025】
すなわち、このホッパ8にあっては、破砕機1で破砕された被粉砕物W2がハウジング3の排出口3aから排出されると、この被粉砕物W2を上記した傾斜面8aで受け、被粉砕物W2は傾斜面8aを滑り落ちてホッパ8の下端開口部に連なる粉砕機5の投入口7a内に投入するようになっている。
【0026】
そして、扉9は、のぞき窓9aを備えているので、外部からホッパ8内を視認することができ、ホッパ8内での被粉砕物W2の詰まりや破砕機1および粉砕機5の異常を簡単且つ安全に確認することができるとともに、扉9は開閉可能とされて閉空間Aに外部からアクセス可能とされているので、扉9を開いてホッパ8内を点検することができるようになっている。
【0027】
つづいて、粉砕機5の粉砕ローラ6,6は、ともに、外周に粉砕歯を備えて、外周同士の隙間を0〜数mm程度に設定して水平横方向に沿って、かつ、回転軸が並行となるように配置されており、図1中左に配置される粉砕ローラ6は時計回りに、図1中右に配置される粉砕ローラ6は反時計周りに、それぞれモータM2によって回転駆動され、ホッパ8が設置される図1中上端側から破砕機1で破砕された被粉砕物W2を投入すると、被粉砕物W2は回転駆動される粉砕ローラ6,6間に導かれて粉砕され、粉砕後のより細かい繊維状の被粉砕物W3がハウジング7の図1中下端に設けた排出口7bから排出されるようになっている。
【0028】
この粉砕されて粉砕機5の下方から排出された被粉砕物W3は、粉砕機5のさらに下方に配置されてベースBに設置されるコンベアCによって、ベースB外へ搬送されるようになっている。
【0029】
そして、本実施の形態における破砕機1では、図1中破砕ローラ2,2が垂直上下方向に沿って配置されるので、特に、長尺な被粉砕物W1の破砕機1への投入は水平横方向から行うことができ、その投入作業が非常に容易となるのであるが、厳密に破砕ローラ2,2を垂直上下方向に沿って配置せず、破砕ローラ2,2を垂直上下方向に対して少々傾きを持って上下に配置してもよく、粉砕機5にあっても、図1中粉砕ローラ6,6が水平横方向に沿って配置されるようになっているが、厳密に粉砕ローラ6,6を水平横方向に沿って配置せず、粉砕ローラ6,6を水平横方向に対して少々傾きを持って横に配置してもよい。
【0030】
上述したところから理解できるように、本実施の形態における粉砕装置にあっては、大きな被粉砕物W1はまず破砕機1で破砕されて粉砕機5で粉砕が可能な程度の大きさのチップ状の被粉砕物W2とされ、粉砕機5は破砕機1の斜め下方に配置されていることから、被粉砕物W2は、粉砕機5の斜め上方からホッパ8内に投入されることになる。
【0031】
したがって、本実施の形態における粉砕装置にあっては、粉砕機5が破砕機1の斜め下方に配置されるとともに粉砕機5の粉砕ロール6,6が横に並行配置されて、加えて、破砕機1が粉砕機5へ供給する被粉砕物W2の供給量を制御する役割を担うことができることから、装置内に搬送機が不要となり、さらに、破砕機1の破砕ロール2,2が上下に配置されることから破砕機1が幅を取らないように配慮されているので、粉砕装置が大掛かりなものとなってしまうことがなく、粉砕装置は、軽量、コンパクトとなる。
【0032】
なお、破砕機1で破砕され破砕ローラ2,2の回転によって排出口3aに導かれた被粉砕物W2は、順次破砕機1に投入されて破砕される被粉砕物W2によって排出口3aから押し出されてホッパ8の破砕機1側の傾斜面8a上に落下後、当該傾斜面8a上を滑って粉砕機5における粉砕ローラ6,6間に投入されることになるが、被粉砕物W2が傾斜面8aを滑り落ちる際に傾斜面8aに設置した磁石11,12によって金属が捕集され、粉砕機5には金属が取り除かれた後の被粉砕物W2が投入される。なお、捕集された金属は、粉砕作業の終了後、或いはその途中に、扉9を開いて回収することができる。
【0033】
したがって、本実施の形態における粉砕装置にあっては、作業者が被粉砕物W1中の金属をわざわざ取り除くといった作業を行わずとも、粉砕機5に被粉砕物W2が投入される前に、被粉砕物W2に混入した金属を効率よく捕集することができ、粉砕機5へ金属が投入される機会を減少させることができるので、粉砕機5の劣化を防止することができる。
【0034】
そして、この粉砕装置には、粉砕機5の投入口7aに堆積する被粉砕物W2へ向けて気体を噴射する噴射機10が設けられており、この噴射機10は、この場合、ホッパ8の対向面8bの中間部左右端にそれぞれ固定される二つのノズル10aと、ノズル10a,10aへ気体を供給する空圧源たるコンプレッサ10bと、ノズル10a,10aとコンプレッサ10bとを接続するホース10cと、ホース10cの途中に設けられてノース10cにおけるノズル10a,10aとコンプレッサ10bの連通と遮断を選択可能な開閉弁10dとを備えて構成され、コンプレッサ10bおよび開閉弁10dは手動で駆動操作できるとともに、後述する制御装置21の制御下にもおかれている。また、この場合、コンプレッサ10bは、外気を吸込んで、ノズル10aに圧縮空気を供給しているが、気体の種類は任意である。
【0035】
なお、ノズル10a,10aは、この場合、ホッパ8の対向面8bの中間部左右端に粉砕機5の投入口7aへ向く角度で取付けられており、粉砕機5の投入口7aおよびホッパ8の図1中下方側に堆積してブリッジを形成した被粉砕物W2に気体を噴射して、気体を噴きつけた勢いで被粉砕物W2のブリッジを崩すことができるようになっている。
【0036】
したがって、コンプレッサ10bを駆動して手動操作で開閉弁10dを開くとノズル10aから気体を噴射すると、粉砕機5の投入口7aに堆積してできた被粉砕物W2のブリッジを外部から崩すことができ、粉砕作業中であっても作業を中断せずして安全且つ簡単に被粉砕物W2のブリッジを崩して粉砕機5における粉砕不能となる状況を解消して被粉砕物W2を効率よく粉砕することができる。
【0037】
なお、開閉弁10dの操作にあたり、開閉弁10dを遠隔操作可能としておくとよく、たとえば、被粉砕物投入台4の至近に開閉弁10dの操作を行うことができるコントローラを設置しておくと、作業者が開閉弁10dの操作をし易くなる。
【0038】
また、ホッパ8には、粉砕機5の投入口7aにおける被粉砕物W2の堆積を検知する検知手段としてのセンサ20を設けてあり、このセンサ20は、具体的には、ホッパ8の図2中上方の側面8cに設けた投光器20aと、ホッパ8の図2中下方の側面8dに設けた受光器20bとを備えてなる光電センサとされて、粉砕機5の投入口7aあるいはホッパ8の下方にて被粉砕物W2がブリッジを形成して、被粉砕物W2が粉砕機5の投入口7aに過剰に堆積すると、投光器20aからの光を受光器20b側で一定時間以上に亘って検知できなくなることをもってして、被粉砕物W2の堆積を検知するようになっている。
【0039】
なお、センサ20は、上記したところでは、光電センサとされているが、ホッパ8内での被粉砕物W2の堆積を検知することができれば、他のセンス原理を利用したセンサを用いることが可能である。
【0040】
また、この粉砕装置にあっては、光源たる緑、橙および赤の三つの照明19a,19b,19cと、音源19dとを備えた警報機19を備えており、当該警報機19は、作業者が被粉砕物投入台4から被粉砕物W1と投入する作業をしていても、視認することができる位置に設置されている。
【0041】
つづいて、制御装置21は、詳しくは図示しないが、モータM1,M2および噴射機10におけるコンプレッサ10bおよび開閉弁10d、警報機19を駆動する駆動部と、駆動部へ種々の制御指令を送る制御部とを備えて、モータM1,M2、センサ20、コンプレッサ10bおよび開閉弁10d、警報機19へ接続されており、被粉砕物W2の堆積を検知したセンサ20からの信号を受け取ると、制御部は、モータM1を停止し、コンプレッサ10bを駆動し、開閉弁10dを開動作させ、警報機19を駆動するといった所定の動作をさせるべく制御指令を生成して駆動部へ入力するようになっている。
【0042】
なお、制御装置21は、ハードウェア資源としては、たとえば、CPU(Central Prossesing Unit)と、上記CPUに記憶領域を提供するRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)と、上記各部の処理を行うためCPUが実行するアプリケーションやオペレーティングシステム等のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、モータを実際に駆動する駆動回路と、CPU,RAM、ROM、センサ20、噴射機10、警報機19および上記駆動回路を通信可能に接続するインターフェースとを備えて構成されればよく、制御装置21の各部における構成は、CPUが各部の処理を行うためアプリケーションプログラムを実行することで実現すればよい。また、図示はしないが、制御装置21は、粉砕装置に別途設けられる粉砕装置の運転を開始するための運転スイッチと運転を停止するための停止スイッチにも接続されており、粉砕装置の運転開始と停止をも制御する。
【0043】
この制御装置21の処理について詳しく説明すると、図3に示すように、ステップS1では、作業者の図示しない運転スイッチの押圧によって、制御装置21が運転スイッチから出力される運転信号の入力を受けると、制御装置21は、ホッパ8の扉9が閉じているか否かを判断する。そして、扉9が開いている場合には、そのまま破砕機1と粉砕機5を駆動すると危険であるため破砕機1と粉砕機5を駆動せずに処理を終了する。
【0044】
他方、扉9が閉じている場合には、ステップS2へ移行する。なお、扉9の開閉状態の検知には、近接スイッチや接触式のスイッチを用いればよく、当該スイッチからの信号によって判断すればよい。
【0045】
そして、ステップS2では、制御装置21は、モータM1,M2を駆動して、破砕機1と破砕機5を駆動し、ステップS3へ移行して警報機19の緑の照明19aを駆動する。
【0046】
つづいて、ステップS4へ移行して、制御装置21は、センサ20からの信号から被粉砕物W2が粉砕機5の投入口7aにおいて堆積しているか否かを判断する。
【0047】
このステップS4における判断で、被粉砕物W2が粉砕機5の投入口7aにおいて堆積していない場合、ステップS5へ移行し、図示しない停止スイッチの押されたか否かを判断する。
【0048】
また、ステップS4における判断で、被粉砕物W2が粉砕機5の投入口7aにおいて堆積していると判断される場合、ステップS6へ移行し、破砕機1の駆動を停止する。
【0049】
つづいて、ステップS7へ移行し、制御装置21は、警報機19の橙の照明19bを点灯して作業者へ被粉砕物W2が粉砕機5の投入口7aで堆積した旨の警報を発するとともに音源19dから同様の趣旨を作業者へ伝えるべく所定の音を流す。
【0050】
さらに、ステップS8へ移行して、制御装置21は、噴射機10のコンプレッサ10bと開閉弁10dを駆動して、粉砕機5の投入口7aに堆積してブリッジを形成する被粉砕物W2に向けてノズル10a,10aから気体を噴射させて、被粉砕物W2のブリッジを崩す。なお、気体噴射時間は、本実施の形態では、3秒程度とされているが、被粉砕物W2が形成するブリッジを崩せる程度に設定すればよい。
【0051】
その後、ステップS9へ移行して、制御装置21は、再度センサ20の信号から被粉砕物W2の粉砕機5の投入口7aにおいて堆積しているか否かを判断し、うまく被粉砕物W2のブリッジを崩せず被粉砕物W2が堆積したままである場合には、再度、気体を噴射すべくステップS8へ戻る。
【0052】
他方、被粉砕物W2のブリッジを崩すことができ、センサ20で被粉砕物W2の堆積を検知しない場合には、ステップS5へ移行して図示しない停止スイッチの押されたか否かを判断する。
【0053】
ステップS5による判断において、停止スイッチの押圧が無い場合には、ステップS1へ移行して、上述した処理を繰り返し行うことになる。
【0054】
また、ステップS5による判断において、停止スイッチが押圧されていると判断されると、制御装置21はステップS10へ移行して破砕機1の駆動を停止し、ステップS11へ移行して破砕機1の停止後、所定時間が経過した後に粉砕機5の駆動を停止して処理を終了する。
【0055】
なお、この一連の処理とは別に、制御装置21は、破砕機1と粉砕機5の駆動状況を監視しており、破砕機1と粉砕機5の駆動に異常を認める場合には、割り込み処理などによって破砕機1と粉砕機5を停止して警報機19における赤の照明19cを点灯するとともに、音源19dからステップS7において流した音とは異なる音を流すようになっており、作業者は、被粉砕物W2のブリッジを噴射機10で崩す際における破砕機1の駆動停止と、なんらかの異常があった際における破砕機1および粉砕機5の駆動停止とを、わざわざホッパ8内を覗くことなく、認識することができる。
【0056】
なお、警報機19で流す音は、音楽であってもよく、任意に設定することができる。
【0057】
また、この実施の形態の場合、粉砕機5の投入口7aに堆積した被粉砕物W2のブリッジを崩す際に、粉砕機5については駆動を停止しないため、崩れた被粉砕物W2を順次粉砕することができ、ブリッジの再形成を抑制することができる。
【0058】
すなわち、この粉砕装置では、従来装置では粉砕機5の投入口7aに被粉砕物W2が堆積してブリッジを形成してしまうと手作業にてブリッジを崩さないと、粉砕作業を継続できず、また、その間、粉砕作業を中断しなくてはならなかったが、自動的且つ速やかに噴射機10が作動して被粉砕物W2が形成するブリッジを崩すことができ、被粉砕物W1を効率よく粉砕することができる。したがって、作業者が粉砕機5による粉砕処理が滞っていることを認識する必要も無く、また、粉砕機5の処理状況を監視し続ける手間も省け、作業者の粉砕作業負担が著しく軽減されることになる。
【0059】
さらに、効率よく被粉砕物W1を粉砕することができることに加えて、上記した気体噴射を自動的に行うので、作業者の手を煩わすことも無く、ヒューマンエラーによる被粉砕物W2の堆積の放置を阻止することができる。
【0060】
また、この実施の形態の粉砕装置にあっては、ホッパ8が破砕機1の後方と粉砕機5の図1中上方を覆って破砕機1の排出口3aと粉砕機5の投入口7aとを接続する閉空間Aを形成しており、噴射機10が気体を噴射しても被粉砕物W2が装置外へ飛散してしまうことを防止できる。
【0061】
なお、ノズル10aは、この実施の形態の場合、ホッパ8の対向面8bに設置されており、被粉砕物W2の粉砕機5への投入を妨げることが無いという利点があるが、噴射機10による気体の噴射によって粉砕機5の投入口7aに堆積した被粉砕物W2が形成するブリッジを崩すことができるように取付けられればよいので、その限りにおいて取付位置と噴射の向きは任意である。さらに、ノズル10aは、二つ以上でも設けてもよいし一つでもよい。
【0062】
また、本実施の形態の粉砕装置にあっては、上下に並行配置される一対の破砕ローラ2,2を回転させて被粉砕物W1を破砕ローラ間で破砕する破砕機1と、破砕機1の斜め下方に設置されて横に並行配置される一対の粉砕ローラ6,6を回転させて破砕機1で破砕された被粉砕物W2を粉砕ローラ6,6間で粉砕する粉砕機5とを備えているので、粉砕装置がコンパクトとなるが、たとえば、破砕ローラ2,2を横に並行配置して粉砕機5の直上に破砕機1を配置するとともにホッパを当該破砕機1と粉砕機5との間に設ける構成を採用してもよく、破砕機1と粉砕機5の配置については任意である。
【0063】
さらに、破砕ローラ2,2および粉砕ローラ6,6の駆動に際してはモータM1,M2を使用しているが、油圧モータを使用することも可能である。さらに、破砕機1は、被粉砕物W1を粉砕機5で粉砕可能な程度の大きさは際することが可能であればよく、粉砕機5においても、被粉砕物W2をより細かい被粉砕物W3にまで粉砕することが可能であればよいので、破砕ローラ2および粉砕ローラ6の具体的構成は上記した物に限定されないことは当然である。
【0064】
またさらに、上記した制御装置21における処理手順は、一例であって、検知手段で被粉砕物W2の堆積を検知すると割り込み処理を行って噴射機10を駆動して気体を噴射するようにしてもよい。
【0065】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】一実施の形態における粉砕装置の概略側面断面図である。
【図2】一実施の形態における粉砕装置の概略平面図である。
【図3】一実施の形態の粉砕装置における駆動および気体噴射処理手順の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
1 破砕機
2 破砕ローラ
2a 軸
2b 破砕歯
3,7 ハウジング
3a,7b 排出口
4 被粉砕物投入台
5 粉砕機
6 粉砕ローラ
7a 投入口
8 ホッパ
8a ホッパにおける傾斜面
8b ホッパにおける対向面
8c,8d ホッパにおける側面
8e ホッパにおける頂面
9 ホッパにおける扉
9a ホッパにおけるのぞき窓
10 噴射機
10a ノズル
10b 空圧源たるコンプレッサ
10c ホース
10d 開閉弁
11,12 磁石
19 警報機
19a,19b,19c 光源たる照明
19d 音源
20 センサ
20a 投光器
20b 受光器
21 制御装置
A 閉空間
B ベース
C コンベア
L1,L2 脚
M1,M2 モータ
P1,P2 天板
W1、W2,W3 被粉砕物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行配置される一対の破砕ローラを回転させて被粉砕物を破砕ローラ間で破砕する破砕機と、並行配置される一対の粉砕ローラを回転させて破砕機で破砕された被粉砕物を粉砕ローラ間で粉砕する粉砕機と、破砕機と粉砕機との間に設けられて破砕機で破砕された被粉砕物を受けて粉砕機へ投入するホッパとを備えた粉砕装置において、粉砕機の投入口に堆積する被粉砕物へ向けて気体を噴射する噴射機を設けたこと特徴とする粉砕装置。
【請求項2】
粉砕機の投入口における被粉砕物が堆積を検知する検知手段を備え、当該検知手段で被粉砕物の堆積を検知すると、噴射機が気体を噴射することを特徴とする請求項1に記載の粉砕装置。
【請求項3】
光源或いは音源或いはその両方を作動させることによって警報を発する警報機を備え、粉砕機の投入口に所定量の被粉砕物が堆積すると警報機が警報を発することを特徴とする請求項1または2に記載の粉砕装置。
【請求項4】
噴射機は、気体を噴射するノズルと、ノズルへ気体を供給する空圧源とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の粉砕装置。
【請求項5】
破砕機における破砕ローラが上下に並行配置され、粉砕機における粉砕ローラが横に並行配置されるとともに、粉砕機が破砕機の斜め下方に設置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の粉砕装置。
【請求項6】
ホッパは、破砕機の排出口と粉砕機の投入口とを接続する閉空間を形成することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の粉砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−142740(P2009−142740A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322005(P2007−322005)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】