説明

粉粒剤施用部材

【課題】
畝立機によって畝立しながら肥料を施用する場合等にあって、施用ホース等から畝立土壌面に散布される粉粒剤肥料が、目的位置よりも左側、または右側等へ変移して、施用目的位置に対して左右の側へ大きく片寄って施用されたり、均等施用されないことが多い。
【解決手段】
粉粒剤を流下案内する施用ホース(1)の先端部に、絞口を形成する粉粒剤案内体(39,41)と、粉粒剤案内体(39,41)から流下排出される粉粒剤を左右方向へ分流する分流板(4)を取り付けることを特徴とする粉粒剤施用部材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉粒剤を施用する施肥機や播種機や薬剤散布機等に用いる施用の部材として利用できる。
【背景技術】
【0002】
畝立機によって形成される畝土壌面に散布装置で肥料を局所的に散布して、撹拌装置で土壌と混合させる技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−180739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
畝立機によって畝立しながら肥料を施用する場合等にあって、施用ホース等から畝立土壌面に散布される粉粒剤肥料が、目的位置よりも左側、または右側等へ変移して、施用目的位置に対して左右の側へ大きく片寄って施用されたり、均等施用されないこと等が多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、粉粒剤を流下案内する施用ホース(1)の先端部に、絞口を形成する粉粒剤案内体(39,41)と、粉粒剤案内体(39,41)から流下排出される粉粒剤を左右方向へ分流する分流板(4)を取り付けることを特徴とする粉粒剤施用部材とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記分流板(4)には、後外側へ傾斜の拡散案内面を形成した拡散板(6)を形成したことを特徴とする請求項1記載の粉粒剤施用部材とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、前記施用ホース1を案内されて流下する粉粒剤は、一旦、粉粒剤案内体(39,41)の絞口部に集められてから、分流板4側へ排出されるため、施用ホースの形状や、敷設形態に拘らず、定位置の粉粒剤案内体(39,41)から一定の流出姿勢、乃至流出状態にして排出される。この粉粒剤案内体(39,41)から排出される粉粒剤は左右に案内されて、左右の分流板4側へ案内され土壌面へ的確に施用される。施用ホースの形態や、設置に拘らず、簡単な構成で、安定した粉粒剤の土壌面への施用を行わせることができ、施用ホース1やの設置、及び施用作業等を簡単、容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記分流板4と、拡散板6とを一体構成とするため、簡単な構成として取扱性を安定させることができる。前記分流稜線3で分流された粉粒剤は相互に混合させることなく、各分流板4の後外側の拡散板6への傾斜案内面に順次拡散案内させて的確に施用させることができる。また、施用ホース1や、この先端部に粉粒剤案内体(39,41)を介在させた取付構成として、簡単な取扱形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】散布ノズルの分解斜視図。
【図2】一部別実施例の斜視図。
【図3】一部別実施例の斜視図。
【図4】一部別実施例の分解斜視図。
【図5】施肥機の側面図。
【図6】施肥機の背面図。
【図7】施肥機の散布ノズル部の斜視図。
【図8】施肥機の施用ホースの配置を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面に基づいて、施肥機や、播種機や、中耕除草を行う管理作業機等に、散布ノズル5を装着して、播種、施肥作業する形態を説明する。施肥機は、図5、図6のように、トラクタ車体7の後側にリフトリンク8を介して装着の畝立装置9に、播種装置10を施肥装置11と共に装着して、土壌面を畝立成形しながら、播種及び施肥するものである。播種装置10による播種、及び施肥装置11による施肥は、畝立装置9によって畝立成形される各畝上面部に施用ホース1、12を介して流下案内させる。散布ノズル5は、この播種のための施用ホース1の下端部に取付けている。
【0011】
前記畝立装置9は、リフトアーム13の上下回動によって昇降されるリフトリンク8のリンクヒッチ14に、作業ヒッチ15を介して着脱されるもので、作業ヒッチ15部から左右両側方に亘って形成されるロータ軸18、及び作業フレーム16に畝立培土器17を配置して、図例では三条畝培土成形の形態に設定している。前記ロータ軸18は、これら各培土器17の前側に沿って設けられ、前記作業ヒッチ15下部の伝動ケース19から左右両側方へ張出されて伝動回転される。このロータ軸18の周りに中耕除草用の耕耘爪20を配置している。この耕耘爪20の回転によって土壌面を耕耘しながら、後側の培土器17で畝立培土するものである。21はゲージホイル、22は培土カバー、23はリヤヒッチ、37は後輪である。
【0012】
前記播種装置10は、種子Gを収容する播種ホッパー24と、このホッパー24の種子Gを繰出す繰出ロール等を収容した繰出装置25等からなり、畝立装置9幅の中央部に配置している。又、施肥装置11は、肥料Pを収容する施肥ホッパー26と、このホッパ26の肥料Pを繰出す繰出ロール等を収容した繰出装置27等からなり、前記播種装置10の前側で、左右両部に配置して、前記作業ヒッチ15部上方の取付フレーム28に取付けて支持させる。前記ロータ軸18や、各播種装置10や、施肥装置11等の繰出装置25、27は、車体7側のPTO軸(図面省略)から連動回転する形態である。
【0013】
前記各繰出装置25、27から繰出す種子Gや肥料Pは、施用ホース1、12等によって、畝立成形の各畝土壌面に施用案内するもので、車体7の走行行程において培土器17により三条の畝立成形を行う形態であるから、各繰出装置25、27から繰出される種子Gや、肥料Pを、各畝立条毎に三条宛て分割しえ流下案内するように三本毎の施用ホース1、12を配置して、各繰出装置25、27から繰出す種子や、肥料を三等分毎に分割しながら、各々繰出分割された種子や、肥料を、施用ホース1、12によって各畝立条の土壌面へ流下案内させる。
【0014】
前記各畝立条の土壌面の上方位置には、前記作業フレーム16の一部から取付ホルダ29、30、31のホルダリング32、33、34を配置して、この各ホルダリング32、33、34に施用ホース1、12の先端部を嵌合させて支持する。これら各取付ホルダ29、30、31はセットボルト35を有して、フレーム16に対する取付位置を左右横方向へ移動することができる。前記ホルダリング32、33、34は適宜長さの筒状形態で、上端縁を漏斗状に形成して、上側から施用ホース1、12を適宜深さに差込みし易い形態にしている。各畝立条毎に、中央部に播種用の施用ホース1を支持するホルダリング32を設定し、この左右両側部に施肥用の施用ホース12を支持するホルダリング33、34を設定している。これら施肥用ホルダリング33、34等の下端部は直接畝立条の土壌面にのぞませて施肥させる形態としているが、これら左右のホルダリング33、34と共に同じ肥料Pを施用案内する形態とするもよく、又、各々異種の肥料を案内する形態とすることもできる。
【0015】
散布ノズル5は、前記中央部のホルダリング32の下端部に取付けられて、拡散板6の下面を畝立条の上面に接近させて移動イさせると共に、この拡散板6の中央部に形成の分流板4の上面に、前後方向に沿う分流稜線3を後下りの傾斜に形成し、この分流稜線3の上側に前記ホルダリング32内のノズル2をのぞませる。これら分流板4、及び拡散板6は正断面へ形状に形成して、後端下りで、かつ横端下りの傾斜面に形成している。又、前記拡散板6の左右両側端には起立形成のガイド縁36を有して、拡散板6面を外側へ流下する種子を後端側へ案内して、所定幅域内に播種する形態としている。
【0016】
ここにおいて、粉粒剤を流下案内する施用ホース1の先端部に、絞口のノズル2を形成すると共に、このノズル2から流下排出される粉粒剤を左右方向へ分流する分流稜線3と、分流板4を一体的形成の散布ノズル5を取付ることを特徴とする粉粒剤施用ノズルの構成とする。
【0017】
粉粒剤を施用する作業期の一定の施用箇所に散布ノズル5を取付けて、粉粒剤繰出装置から繰出される粉粒剤を施用ホース1を介してノズル2に流出させる。このノズル2から排出される粉粒剤は絞口によって一定の位置から集中して案内流出される。このノズル2から流出される粉粒剤は、分流稜線3に案内されて、左側と右側との方向へ均等に分流されて、これら左側、右側に位置する分流板4に案内されて土壌面へ施用される。
【0018】
又、前記分流板4には、後外側へ傾斜の拡散案内面を形成した拡散板6を形成する。
前記のように施用ホース1を経て流出される粉粒剤は、一旦ノズル2による絞口に集流されてから分流稜線3に作用して左右の分流板4に分けられるものであり、この左右の分流板4に排出された粉粒剤が、この分流板4に継続する拡散案内面の形成の拡散板6に案内されて土壌面に施用される。前記分流稜線3で分割分離された粉粒剤を混合させないように案内して土壌面の施用位置へ案内させる。 主として図1においては、前記ホルダリング32の下端部に拡散ノズル5を一体構成としたもので、この分流板4部の前端部に前記ガイド縁36と連続する前縁38を形成して、ホルダリング32の外周面に接着させている。このホルダリング32の内側にノズル2を絞口形態に形成したノズルリング39を嵌合し、このノズルリング39の上側内に施用ホース1の下端部を嵌合させて、種子Gが流下するよう案内させる。このノズル2の中心位置を前記分流板4の分流稜線3の直上位置に対向して設定し、このノズル2を流下される種子が分流稜線3部で左右の分流板4に二分されて流下案内される形態である。
【0019】
次に、主として図2においては、前記ホルダリング32自体の下端部にノズル2を絞口形態に形成したもので、このホルダリング32の上側に施用ホース1の先端部を嵌合させる。
【0020】
次に、主として図3においては、前記拡散ノズル5の前端部で分流稜線3の前端部上に、正面視V条形態の供給溝40を形成し、上側のホルダリング32のノズル2部から流下した種子Gを、この供給溝40内に受けて、分流板4側へ流下させる。このとき、この供給溝40のV状下り傾斜の谷線Lが分流稜線3上に一致していて、後側へ流出する種子Gをこの分流稜線3で左右へ分流させる。
【0021】
次に、主として図4において、ノズル2を形成したキャップ皿41を施用ホース1の先端部に一体に接着して、これらノズル2ホース1を一体として、散布ノズル5のホルダリング32に嵌合させて取付できる形態である。
【0022】
ノズルリング39やキャップ皿41の粉粒剤案内体の別実施例として、図示はしないが、一対の案内板の下端に絞口を形成する形状でも良い。また、粉粒剤案内体を分流板側に一体形成する散布ノズルの構成にしても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 施用ホース
2 ノズル
3 分流稜線
4 分流板
5 散布ノズル
6 拡散板
39 粉粒剤案内体(ノズルリング)
41 粉粒剤案内体(キャップ皿)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒剤を流下案内する施用ホース(1)の先端部に、絞口を形成する粉粒剤案内体(39,41)と、粉粒剤案内体(39,41)から流下排出される粉粒剤を左右方向へ分流する分流板(4)を取り付けることを特徴とする粉粒剤施用部材。
【請求項2】
前記分流板(4)には、後外側へ傾斜の拡散案内面を形成した拡散板(6)を形成したことを特徴とする請求項1記載の粉粒剤施用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−70684(P2013−70684A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213874(P2011−213874)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】