説明

粘土をインターレースした酵母組成物およびそれを利用する方法

本発明は、酵母細胞および/または酵母細胞成分を含む組成物、ならびにそれを生成および利用するための方法に関する。具体的には、本発明は、変化した細胞壁構造(例えば、細胞壁および/または変化されたグルカン:マンナン比を含む細胞壁に統合された(例えば、インターレースされた)粘土および/または粘土成分)を含む新規の酵母、同酵母を生成する方法、同酵母を含むおよび/またはそれに由来する組成物、ならびに(例えば、細菌および毒素を隔離および/または吸収するために)同組成物を使用する方法を提供する。本発明の組成物および方法は、食餌(例えば、飼料との混合またはその他の方法で動物に与えられる)、治療、予防(例えば、敷き藁源および/または動物と接触する他の材料と混合する、飲食物の加工および製造中の使用、および液体ろ過中の使用)、ならびに研究適用を含む、様々な適用において用途を見出す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2009年1月14日に出願された米国特許仮出願第61/144,620号に対する優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、酵母細胞および/または酵母細胞成分を含む組成物、ならびにそれを生成および利用するための方法に関する。具体的には、本発明は、変化した細胞壁構造(例えば、細胞壁および/または変化したグルカン:マンナン比を含む細胞壁に統合された(例えば、インターレースされた)粘土および/または粘土成分)を含む新規の酵母、同酵母を生成する方法、同酵母を含むおよび/またはそれに由来する組成物、ならびに(例えば、細菌および毒素を隔離および/または吸収するために)同組成物を使用する方法を提供する。本発明の組成物および方法は、食餌(例えば、飼料との混合またはその他の方法で動物に与えられる)、治療、予防(例えば、敷き藁源および/または動物と接触する他の材料と混合する、飲食物の加工および製造中の使用、および液体ろ過中の使用)、ならびに研究適用を含む、様々な適用において用途を見出す。
【0003】
〔背景技術〕
真菌は、世界的に偏在し、最も一般的には微視的に小さいため、注目されない。マイコトキシンは、菌類によって分泌される二次代謝物である。マイコトキシンは、様々な農産物上で成長する、様々な菌種によって生成される毒性および/または発癌性の化合物である。マイコトキシンの例には、アフラトキシン、フモニシン、オクラトキシンA、デオキシニバレノール(「DON」または「ボミトキシン」として知られる)、パツリン、およびゼアラレノンが挙げられるが、これらに限定されない。マイコトキシンは、収穫前、収穫中、および収穫後に、穀物ならびに飼料中で生成される場合が多い。一部のマイコトキシンは致死的であり、一部は、特定できる疾患または健康問題をもたらし、一部は、マイコトキシンに特異的な症状をもたらすことなく免疫系を脆弱化させ、一部は、アレルゲンまたは刺激物として作用し、一部は、動物またはヒトに対する周知の影響はない。マイコトキシン汚染の最大の経済的影響を受けているのは、穀物および鶏肉生産者、ならびに食物および飼料生産者である。マイコトキシンは、植物生成物の真菌感染の結果として、食物連鎖に現れる場合があり、ヒトによって直接食べられるか、または家畜飼料を汚染することによって導入されるかのいずれかであり得る。マイコトキシンは、有機材料(例えば、敷き藁)ならびに水を汚染し、消化中の分解に強く耐えるため、食用製品(例えば、肉、卵、および乳製品)における食物連鎖内にとどまる。世界中で、マイコトキシンならびにそれらが動物およびヒトの健康に及ぼす負の影響から逃れることができる地域はない。飼料の世界貿易の発展によって、穀物の混合が、所定の食餌中にマイコトキシンの結合をもたらす機会、および異常で予想外のマイコトキシンが、その気候条件にかかわらず、所定の領域に存在する機会が増大する。
【0004】
マイコトキシンの発生を回避するために使用される方策には、マイコトキシン生成を可能にする要素を制御すること、カビの成長を制御すること、ならびに適切なサンプリング、検出、および定量方法を介して、食物および食餌の品質管理を実践することが挙げられる。しかしながら、マイコトキシン汚染は避けることができない。
【0005】
マイコトキシンの負の影響を低減するために、吸着特性が知られている無機材料、例えば、粘土、ベントナイト、およびアルミノケイ酸塩が、歴史的に飼料に添加されている。大量の飼料添加剤は、動物の胃腸管内で一部のマイコトキシンを隔離し、それらの毒性効果を最小化する。しかしながら、添加剤は、動物にとって重要な多くの有益な栄養素、例えば、ビタミン、ミネラル、およびアミノ酸の吸収を妨害し、それによって、食事の栄養素密度を減少させる。さらに、特に動物の糞中の飼料添加剤は、環境に極めて有害な影響を有する。
【0006】
酸、塩基(例えば、アンモニア、苛性ソーダ)、酸化剤(例えば、過酸化水素、オゾン)、還元剤(例えば、重亜硫酸)、塩素化剤、およびホルムアルデヒド等の化学剤、特にアフラトキシンは、汚染された飼料中のマイコトキシンを分解するために使用されている(例えば、Hagler 1991、Phillips et al 1994、Lemke et al 2001を参照)。しかしながら、これらの技術は効率的でなく、高価であり、相当な量の化学廃棄物を生成し、概して安全でない場合が多い。
【0007】
乳酸菌、プロピオン酸菌、およびビフィズス菌の特定の株は、マイコトキシンを結合する細胞壁構造を有し(例えば、Ahokas et al 1998、El−Nemazi et al 1998、Yoon et al 1999)、動物の体内でのそれらの生物学的利用能を制限する。しかしながら、これらの生物学的過程は概して遅く、毒性代謝物を生成し、かつ非効率的である。
【0008】
〔発明の概要〕
一部の実施形態において、本発明は、酵母細胞壁にインターレースした粘土または粘土成分を含む、酵母細胞壁を含む酵母細胞を提供する。一部の実施形態において、酵母細胞は、粘土を含む細胞培養培地中で培養される。一部の実施形態において、粘土は、ケイ酸塩群に属する鉱物粘土または合成粘土である。一部の実施形態において、粘土は、ゼオライト、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、モントモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、有機粘土およびそれらの混合物から選択される。一部の実施形態において、粘土は、アルミノケイ酸塩粘土である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、約0.125%〜約4.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、約0.125%〜4.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、約0.5%〜約2.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は約0.5%〜2.0%である。一部の実施形態において、酵母は、サッカロミセス、カンジダ、クルイベロミセス、トルラスポラ、およびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、酵母は、サッカロミセス・セレビシエである。
【0009】
一部の実施形態において、本発明は、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む、組成物を提供する。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、粘土を含む成長培地中で培養された酵母細胞に由来する。一部の実施形態において、ガラスビーズおよびビードビーターを利用して、酵母細胞壁抽出物を調製する。一部の実施形態において、酵素処理を利用して、酵母細胞壁抽出物を調製する。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、飼料に添加される。一部の実施形態において、飼料は、完全混合飼料(TMR)、秣、ペレット、濃縮物、プレミックス、副産物、穀物、醸造かす、糖蜜、ファイバー、飼い葉、草、干草、穀粒、葉、穀粉、溶解物、および栄養補助剤から成る群から選択される、一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、有機材料に添加される。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、水に添加される。一部の実施形態において、液体は、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を通じてろ過される。一部の実施形態において、液体は、ジュース、水、ビール、またはワインである。一部の実施形態において、組成物は、動物界の任意のメンバーに食餌として与えるために配合される。一部の実施形態において、動物界のメンバーは、鳥、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、およびヤギ、魚、貝、ラクダ、ネコ、イヌ、および齧歯類種から成る群から選択される。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、1つ以上のマイコトキシンを隔離する。一部の実施形態において、およびオクラトキシンから選択される。一部の実施形態において、マイコトキシンは、アセトキシシルペンジオール、アセチルデオキシニバレノール、アセチルニバレノール、アセチルネオソラニオール、すべてのアフラトキシンに拡大されるアセチルT−2トキシン、アフラトキシンB1、B2、G1およびG2、アフラトレム、アルテン酸アルテルナリオール、アウストジオール、アウストアミド、アウストシスチン、アベナセイン+1、ボーベリシン+2、ベンテノリド、ブレビアンアミド、ブテノリド、カロネクトリン、カエトグロボシン、シトリニン、シトレオビリジン、コクリオジノール、シトカラシンE、シクロピアゾン酸、脱アセチルカロネクトリン、脱アクチルネオソラニオール、脱オキシニバレノールジアセテート、脱オキシニバレノールモノアセテート、ジアセトキシシルペノール、デストラキシンB、すべての麦角毒素およびエンドファイトに拡大されるエンニアチン、フルクチゲニン+1、フマギリン、フモニシン、フモニシンB1およびB2およびB3、フサレノン−X、フサロクロマノン、フサル酸、フサリン、グリオトキシン、HT−2トキシン、イポメアニン、イスランジトキシン、ラテリチン+1、リコマラスミン+1、マルホルミン、マルトリジン、モニリホルミン、モノアセトキシシルペノール、ネオソラニオール、ニバレノール、すべてのオクラトキシンに拡大されるNT−1トキシン、NT−2トキシン、オオスポレイン、オキサル酸、パツリン、ペニシリン、ペニシル酸、ペニトレム、ロリジンE、ルブラトキシン、ルブロスキリン、ルブロスルフィン、ルグロシン、サンブシニン+1、サトラトキシンF、G、H、シルペントリオール、スラフラミン、無菌濃縮された改変酵母細胞壁抽出物トシスチン、T−1トキシン、T−2トキシン、すべてのトリコテセンに拡大されるトリアセトキシシルペンジオール、トリコデルミン、トリコテシン、トリコベリン、トリコベロール、トリプトキバレン、ベルカリン、ベルクロゲン、ビオプルプリン、ビオメレイン、ビリジトキシン、キサントシリン、ヤバナイシン+1、およびゼアラレノール、およびゼアラレノンから成る群から選択される。
【0010】
一部の実施形態において、本発明は、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物を提供し、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、マイコトキシンを隔離するために有効な量で存在する。例えば、一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、飼料の約0.0125重量%〜約10重量%の量で存在する。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、飼料の約0.0125重量%〜約4.0重量%の量で存在する。本発明は、飼料の種類によって限定されない。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、動物またはヒトに対するマイコトキシンの生物学的利用能を低減するための方法であって、(a)(i)粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物と、(ii)動物またはヒトによって消費される材料と、を準備することと、(b)粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を材料に組み込んで、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を組み込んだ材料を生成することと、(c)動物またはヒトに、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を消費させることと、を含む、方法を提供する。一部の実施形態において、材料は飼料である。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物の約0.0125重量%〜約0.4重量%が飼料に添加される。一部の実施形態において、材料は敷き藁である。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物の約0.0125重量%〜約99.0重量%が敷き藁に添加される。一部の実施形態において、材料は液体である。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物の約0.0125重量%〜約99.0重量%が液体に添加される。一部の実施形態において、動物は、鳥、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、およびヤギ、魚、貝、ラクダ、ネコ、イヌ、および齧歯類種から選択される。一部の実施形態において、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物は、1つ以上の種類のマイコトキシンを隔離する。一部の実施形態において、マイコトキシンは、アフラトキシン、ゼアラレノン、トリコテセン、フモニシン、オクラトキシン、またはそれらの組み合わせである。一部の実施形態において、本発明は、追加の薬剤を、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を組み込んだ材料に組み込むことをさらに提供し、薬剤は、エステラーゼ、エポキシダーゼ、酵母、および/または細菌株から選択される。
【0012】
一部の実施形態において、本発明は、(a)(i)酵母開始培養物と、(ii)酵母細胞培養培地であって、酵母成長に必要な栄養素および粘土または粘土成分を含む酵母細胞培養培地を準備することと、(b)酵母開始培養物を酵母細胞培養培地に導入することと、(c)産業規模の発酵槽において、酵母成長を可能にするように構成された条件下で、酵母をインキュベートすることであって、酵母は、成長中に粘土または粘土成分を酵母細胞壁に組み込むことと、(d)抗発泡剤を発酵槽に添加することと、(e)粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁を溶解することと、(f)粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁を他の酵母成分から分離することと、を含む、産業規模の量の粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を生成する方法を提供する。一部の実施形態において、酵母は、サッカロミセス、カンジダ、クルイベロミセス、トルラスポラ、またはそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、粘土は、ケイ酸塩群に属する鉱物粘土または合成粘土である。一部の実施形態において、粘土は、ゼオライト、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、モントモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、有機粘土、またはそれらの混合物である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、約0.125%〜約4.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、約0.5%〜約2.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、0.125%〜4.0%である。一部の実施形態において、細胞培養培地中の粘土の量は、0.5%〜2.0%である。一部の実施形態において、産業規模の発酵槽は、1,000リットル〜5,000,000リットルの間である。一部の実施形態において、抗発泡剤を添加して、インキュベーション過程に対する粘土の影響を軽減する。一部の実施形態において、抗発泡剤は、ノンシリコーン分子消泡剤、油性消泡剤、粉末消泡剤、水性消泡剤、シリコーン性消泡剤、ポリエチレングリコール性消泡剤、ポリプロピレングリコール性消泡剤、およびポリアクリル酸アルキルである。一部の実施形態において、抗発泡剤は、ノンシリコーン分子消泡剤である。一部の実施形態において、溶解は、ガラスビーズ、ビードビーター、および/または酵素処理を含む。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
(図1)A)粘土および/または粘土成分を酵母細胞壁にインターレースした酵母細胞の図、およびB)(a)粘土の非存在下で培養された酵母細胞の酵母細胞壁と、(b)粘土の存在下で成長/培養された酵母細胞の酵母細胞壁との比較説明を示す。
【0014】
(図2)(A)ベントナイト粘土(Fluka)、(B)粘土の非存在下で培養された酵母細胞および酵母細胞壁のグルカン部分の拡大、(C1)2%ベントナイト粘土の存在下で培養された酵母細胞(ベントナイトのラメラ構造に捕捉されたいくつかの酵母細胞の集合体形成に関する詳細とともに)、(C2)2%ベントナイト粘土の存在下で培養された酵母細胞(酵母細胞壁構造に直接粘土を包含することに関する詳細とともに)の走査電子顕微鏡写真を示す。
【0015】
(図3)ガラスビーズおよびミニビードビーターを利用して、酵母細胞から調製され、粘土の非存在下で培養された酵母細胞壁抽出物(酵母細胞壁「YCW」のみ)、0.5%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+5%)、1%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+1.0%)、および2.0%粘土の存在下で培養された酵母細胞の特徴を提供する。追加として、試料それぞれのマイコトキシンゼアラレノンの吸着パーセントを提供する。
【0016】
(図4)粘土の非存在下で培養された酵母細胞からのプロテアーゼ切断を利用して調製された酵母細胞壁抽出物(YCWのみ)、1%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+1.0%)、および2.0%粘土の存在下で培養された酵母細胞の特徴を提供する。
【0017】
(図5)酵母細胞の構造を表す。
【0018】
(図6)準工業規模で生成された2つのCIYCWバッチの組成物を示す。
【0019】
(図7)準工業規模で、スメクタイト粘土を用いる場合と用いない場合に、酵素溶解により抽出されたか、または抽出されていない酵母細胞壁を用いて得られた隔離有効性の結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。
【0020】
(図8)スメクタイト粘土を用いて生成され、酵素溶解により抽出された酵母細胞壁を用いて得られた隔離有効性の結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。
【0021】
(図9)粘土MBB02を用いるか、または用いずに成長し、酵素溶解により抽出されたか、または抽出されていない3つの株に由来する、異なる酵母細胞壁を用いて得られた吸着結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。
【0022】
〔定義〕
本明細書で使用されるとき、用語「酵母」および「酵母細胞」は、菌類に分類される真核微生物を意味し、細胞壁、細胞膜、および細胞内成分を有する。酵母は、特定の分類学的または系統的グループを形成しない。現在、約1,500種が知られており、すべての酵母種の1%が説明されているに過ぎないと推定される。用語「酵母」は、サッカロミセス・セレビシエの同義語として取られる場合が多いが、酵母の系統的多様性は、子嚢菌門および担子菌門の両区分にそれらを配置することによって示される。出芽酵母(「真酵母」)は、ほぼサッカロミセス目に分類される。酵母の大部分の種は、出芽によって無性的に複製するが、一部は、二分裂によって複製する。酵母は、単一細胞であるが、一部は、偽菌糸(pseudohyphaeまたはfalse hyphae)として知られる、一連の結合出芽細胞の形成を通じて、多細胞になる。酵母サイズは、種に依存して著しく異なる場合があり、通常、直径3〜4μmと測定されるが、一部の酵母は40μmを超えて到達し得る。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「酵母細胞壁」は、「YCW」とも称され、酵母の原形質膜および細胞内成分を取り囲む、酵母有機体の細胞壁を意味する。酵母細胞壁は、酵母細胞壁の外層(主にマンナン)および内層(主にグルカンおよびキチン)の両方を含む。細胞壁の機能は、構造を提供し、酵母内部(その代謝活性中心)を保護することである。シグナル伝達および認識経路は、酵母細胞壁において行われる。酵母細胞壁の組成物は、株によって、また酵母の成長状態に従って異なる。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「酵母細胞壁抽出物」は、破壊または「溶解」され(例えば、破壊および溶解段階中に)、酵母細胞の可溶性細胞内成分から分離された酵母の酵母細胞壁を意味する。
【0025】
用語「単離した」は、酵母細胞壁との関連で、「単離した酵母細部壁」または「単離した粘土を組み込んだ酵母細胞壁」または「変化したグルカン:マンナン構造を含む単離した酵母細胞壁」は、その天然源において通常関連付けられる、少なくとも1つの成分から識別および分離される酵母細胞壁またはその成分を意味する。したがって、単離した酵母細胞壁は、自然に見出されるものとは異なる形態または設定においてそのように存在する(例えば、酵母の細胞内成分から分離される)。対照的に、非単離酵母細胞壁は、それらが自然に存在する状態で見出される、酵母細胞壁またはその成分である。一部の実施形態において、単離した酵母細胞壁を使用して、酵母細胞壁抽出物を説明する。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「精製した」または「精製する」は、試料から成分を除去することを意味する。例えば、酵母細胞壁または酵母細胞壁抽出物は、非酵母細胞壁成分(例えば、原形質膜および/または酵母細胞内成分)の除去によって精製され、それらは、汚染物質または酵母細胞壁でない他の薬剤の除去によっても精製される。非酵母細胞壁成分および/または非酵母細胞壁汚染物質の除去は、試料中の酵母細胞壁またはその成分のパーセントの増加をもたらす。別の実施例において、酵母細胞壁に統合/インターレースした粘土または粘土成分を含む酵母細胞壁は、非酵母細胞壁成分(例えば、原形質膜および/または酵母細胞内成分)の除去によって精製され、それによって、酵母細胞壁に統合/インターレースした粘土または粘土成分を含む酵母細胞壁のパーセントは、試料中で増加する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「濃縮した酵母細胞壁抽出物」は、1つ以上の手順を介して(例えば、乾燥(例えば、乾燥および濃縮段階中の)によって)濃縮される、酵母細胞壁抽出物を意味する。別の実施例において、濃縮した酵母細胞壁抽出物は、非酵母細胞壁成分の除去によって精製される、酵母細胞壁調製物または酵母細胞壁抽出調製物である。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「改変した酵母」および「変化した酵母」は、酵母の成分、構造、および/または機能を変化させる方法で培養された酵母を意味する(例えば、酵母細胞壁(例えば、変化したグルカン:マンナン比、および/または変化したグルカン:マンナン比のない酵母細胞壁、および/または非粘土または非粘土成分を統合/インターレースした酵母細胞壁とは異なる働きをする、酵母細胞壁に統合/インターレースした粘土/粘土成分を含む酵母細胞壁)の成分、構造、および/または機能を変化させる)。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「改変した酵母細胞壁」は、改変または変化した酵母の酵母細胞壁を意味する。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「改変した酵母細胞壁抽出物」は、改変または変化した酵母の酵母細胞壁抽出物を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「濃縮した改変酵母細胞壁抽出物」は、例えば、米国特許第6,045,834号において、改変または変化した酵母に由来する濃縮した酵母細胞壁抽出物を意味する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「粘土をインターレースした酵母」、「粘土を統合した酵母」、「粘土成分をインターレースした酵母」、「粘土成分を統合した酵母」は、粘土または粘土成分を酵母細胞壁に統合またはインターレースした粘土または粘土成分の存在下で成長または培養された酵母を意味する。粘土または粘土成分をインターレースした酵母は、特定型の改変した酵母である。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物」、「粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物」等における用語「インターレースした」は、酵母細胞壁への粘土または粘土成分の統合を意味する。本発明を実践するために機序は必須でなく、本発明は、任意の特定の作用機構に限定されないが、一部の実施形態において、酵母細胞壁への粘土または粘土成分のインターレースは、細胞成長中に起こる(例えば、その無性的複製サイクル(出芽)(例えば、娘細胞は成長し、その酵母細胞壁ネットワークを形成しているときに、粘土または粘土成分は、酵母細胞に統合される))。一実施例において、グルカンおよび/またはキチン鎖の伸長は、出芽中に粘土または粘土成分の統合に関与する統合部位を提供し、その細胞壁に粘土または粘土成分が統合された娘細胞を生じる。別の実施例において、マクロ分子粘土構造は、そのラメラネットワークに酵母細胞を捕捉し、酵母細胞は、出芽を通じて前進し、さらに粘土または粘土成分を酵母細胞壁に統合する。酵母細胞壁に統合/インターレースされた粘土および/または粘土成分は、細胞壁抽出後も依然として酵母細胞壁に統合/インターレースされている。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「粘土をインターレースした酵母細胞壁」、「粘土成分を統合した酵母細胞壁」、「粘土成分をインターレースした酵母細胞壁」、および「粘土を統合した酵母細胞壁」は、粘土または粘土成分を酵母細胞壁に組み込むか、またはインターレースした、粘土の存在下で成長または培養された酵母の酵母細胞壁を意味する。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物」、「粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物」、「粘土を統合した酵母細胞壁抽出物」、および「粘土成分を統合した酵母細胞壁抽出物」は、粘土または粘土成分を酵母細胞壁に組み込むか、またはインターレースした酵母の酵母細胞壁抽出物を意味する(例えば、細胞壁抽出物が形成される酵母は、粘土の存在下で成長または培養される)。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「濃縮インターレースした酵母細胞壁抽出物」および「濃縮統合した酵母細胞壁抽出物」は、粘土または粘土成分を酵母細胞壁に組み込むか、またはインターレースした、粘土の存在下で成長または培養された酵母の濃縮酵母細胞壁抽出物を意味する。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「インビボ」は、有機体内で行われる研究および/または実験を意味し、生物有機体内で起こる。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「インビトロ」は、有機体外の人工的環境、および通常は有機体内で起こるが、人工的環境において起こるようにされる生物過程または反応を意味する。インビトロ環境は、試験管および細胞培養物を含み得るが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「高性能液体クロマトグラフィ」および用語「HPLC」は、化合物を分離するための液体クロマトグラフィの形態を意味する。化合物は、溶液に溶解される。化合物は、試料混合物のプラグをカラム上に注入することによって分離される。HPLC器具は、移動相の容器、ポンプ、注入器、分離カラム、および検出器を含む。カラム排水中の分析物の存在は、適切な波長または電気化学応答を用いて、励起後の設定波長、蛍光における反射指数、UV−VIS吸収の変化を定量的に検出することによって記録される。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「走査電子顕微鏡」および用語「SEM」は、ラスター走査パターンで、電子の高エネルギービームにより走査することによって、試料表面を撮像する、電子顕微鏡の一種を意味する。電子は、試料を形成する原子と相互作用し、試料の表面トポグラフィ、組成、および電気伝導度等の他の特性に関する情報を含む、シグナルを生成する。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「固定剤」は、物質をその現在の形態で「固定」、安定、またはそうでなければ保存して、物質が分解またはそうでなければ変化するのを防ぐように、1つの物質を別の物質に固定することができる、化学物質を意味する。多くの場合、固定剤は、走査電子顕微鏡(SEM)において使用し、試料を調製する。一次固定剤:本明細書で使用されるとき、用語「一次固定剤」は、物質を「固定」するために使用される第1の固定剤を意味する。二次固定剤:本明細書で使用されるとき、用語「二次固定剤」は、物質を「固定」するために使用される第2の固定剤を意味する。三次固定剤:本明細書で使用されるとき、「三次固定剤」は、物質を「固定」するために使用される第3の固定剤を意味する。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「分析物」は、原子、分子、原子および/または分子のグループ、物質、または化学組成物を意味する。分析物は、それ自体では測定することができず、むしろ分析物の態様または特性(物理的、化学的、生物学的等)は、HPLC等の分析手順を使用して決定することができる。例えば、「いす」(分析物成分)は、それ自体を測定することはできないが、いすの高さ、幅等は測定することができる。同様に、マイコトキシンを測定することはできないが、その濃度に関連するマイコトキシン蛍光を測定することができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「シグナル」は、概して、反応が起こったことを示す(例えば、抗原に対する抗体の結合)、任意の検出可能な過程を参照して使用される。シグナルは、定質的ならびに定量的に評価することができる。「シグナル」の種類の例には、放射性シグナル、蛍光シグナル、または比色生成物/試薬シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「生物学的利用能」は、有機体に使用可能であるか、または全身循環に到達する分子または成分の割合を意味する。分子または成分が経静脈的に投与される場合、その生物学的利用能は、100%である。しかしながら、分子または成分が、他の経路を介して(例えば、経口的に)投与される場合、その生物学的利用能は(不完全な吸収および初回通過代謝物に起因して)減少する。
【0045】
本明細書で使用されるとき、用語「吸収」は、それによって材料が、別の物質を「取り込む」または「吸い上げる」過程を意味する。例えば、「吸収」は、細胞中または組織および器官を越えて、拡散または浸透により物質を吸収するか、または取り込む過程を意味し得る(例えば、消化系による栄養素の吸収、または血流への薬物の吸収)。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「吸着」は、材料が固体または液体(隔離剤および/または吸着剤)によって隔離され、および/またはその表面上に蓄積する場合に起こる過程を意味する(例えば、それによって、分子または原子の膜(吸着質)を形成する)。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「隔離剤」および/または用語「隔離」は、相互に接触している2つ以上の実体の物理的会合(例えば、ドッキングまたは包装を介した)を意味する(例えば、それによって安定した複合体を形成する)。会合の例には、水素結合、配位、イオン対形成が挙げられるが、これらに限定されない。隔離相互作用は、各実体の立体化学および幾何学に応じて、可変数の化学相互作用(例えば、化学結合)を伴ってもよい(例えば、隔離の特異性をさらに定義する)。2つ以上の実体が隔離される場合、それらは化学結合によって隔離され得るが、負荷または他の種類の相互作用を介して会合してもよい。
【0048】
本明細書で使用されるとき、用語「隔離剤(sequestration agentおよび/またはsequestering agent)」は、隔離を導入するか、またはそうでなければ隔離を伴い、および/または第2の実体との複合体を形成することができる、実体を意味する。
【0049】
本明細書で使用されるとき、用語「収着」は、吸着および吸収の両方を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、有益な結果または所望の結果をもたらすのに十分な組成物(例えば、本発明の酵母細胞、酵母細胞壁、または改変した酵母細胞壁成分)の量を意味する。有効量は、1つ以上の投与において投与され得、および/または別の材料と組み合わせることができ、特定の配合または投与経路に限定されるものではない。
【0051】
本明細書で使用されるとき、用語「消化」は、食物、飼料、または他の有機化合物が、吸収可能な形態に変換すること、熱および水分または化学作用によって軟化、分解、または破壊することを意味する。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「消化系」は、消化が起こり得るか、または消化が起こる系(胃腸系を含む)を意味する。
【0053】
本明細書で使用されるとき、用語「飼料」は、動物によって消費され、動物の食餌にエネルギーおよび/または栄養素を寄与する材料を意味する。飼料の例には、完全混合飼料(TMR)、秣、ペレット、濃縮物、プレミックス、副産物、穀物、醸造かす、糖蜜、ファイバー、飼い葉、草、干草、穀粒、葉、穀粉、溶解物、および栄養補助剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用されるとき、用語「動物」は、動物界の動物を意味する。これには、畜産動物、農場動物、家畜動物、愛玩動物、海洋および淡水動物、および野生動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「投与」および用語「投与する」は、薬物、プロドラッグ、または他の薬剤を含む物質、あるいは治療処置を、被験体(例えば、被験体またはインビボ、インビトロ、あるいはエクスビボ細胞、組織および器官)に付与する行為を意味する。典型的な投与経路は、眼(点眼)、口(経口)、皮膚(局所または経皮)、鼻(鼻腔)、肺(吸入)、経口粘膜(頬)、耳、直腸、膣、注入(例えば、静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内等)等により得る。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「共投与」および用語「共投与する」は、少なくとも2つの薬剤または治療薬を、被験体および/または材料(例えば、飼料)に投与することを意味する。2つ以上の薬剤または治療薬の共投与は、同時であり得るか、または第1の薬剤/治療薬を第2の薬剤/治療に先立って投与することができる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、疾患(例えば、マイコトキシン症)の症状の改善および/または回復を意味する。用語「治療」は、治療的処置および予防または回避的手段の両方を意味する。例えば、本発明の組成物および方法による治療から利益を得る可能性がある被験体は、疾患および/または障害(例えば、マイコトキシン症)を既に有する者、ならびに(例えば、本発明の予防的処置を使用して)疾患および/または障害が回避される者を含む。
【0058】
本明細書で使用されるとき、用語「疾患のリスクがある」は、特定の疾患を経験する可能性が高い被験体を意味する。この傾向は、遺伝的であり得るか(例えば、遺伝性疾患等の疾患を経験する特定の遺伝的傾向)、他の因子(例えば、年齢、体重、環境条件、環境に存在する有害成分への暴露等)に起因し得る。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「疾患」、用語「感染」および用語「病理的状態または応答」は、正常な機能の性能を妨害または改変する、生きている動物またはその器官または組織のうちのいずれかの正常な状態の不全と関連付けられる、状態、兆候、および/または症状を意味し、環境因子(例えば、マイコトキシン症を含む、栄養失調、産業危険、または機構)、特定の感染体(例えば、寄生虫、細菌、またはウイルス)に対する応答、有機体に内在する欠陥(例えば、様々な遺伝的異常)、またはこれらおよび他の因子の組み合わせに対する応答であり得る。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「マイコトキシン症」は、マイコトキシンが、ヒトまたは動物の体内の耐性バリアを通過する状態を意味する。マイコトキシン症は、感染または疾患のいずれかであると考えられ、患者に有毒性の影響を及ぼし得る。
【0061】
本明細書で使用されるとき、用語「マイコトキシン」は、様々な真菌種によって生成される毒性および/または発癌性化合物を意味する。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「疾患を患う」は、特定の疾患を経験している被験体(例えば、動物またはヒト被験体)を意味し、任意の特定の兆候または症状、あるいは疾患に限定されない。
【0063】
本明細書で使用されるとき、用語「毒性」は、毒素/毒物との接触または投与に先立って、同一の細胞または組織と比較して、被験体、細胞、または組織に及ぼされる任意の有害で有毒性の悪影響、または他の負の影響を意味する。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「酸」は、プロトンを提供し、および/または電子を受容することができる、任意の化学化合物を意味する。酸には、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、葉酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼルスルホン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。他の酸、例えば、オキサル酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物を得る際の中間体として有用な塩、およびそれらの薬学的に許容される塩付加塩の調製に用いられてもよい。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「塩基」は、プロトンを受容し、および/または電子を提供することができる、任意の化学化合物を意味する。塩基には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NWの化合物(式中、WはC1−4アルキルである)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用されるとき、用語「塩」は、無機または有機酸および塩基に由来し得る、化合物を意味する。塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ブチル酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、オキサル酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。他の塩の例には、Na、NH、およびNW(式中、WはC1−4アルキル基)等の適切なカチオンと合成される本発明の化合物のアニオン等が含まれる。
【0067】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的組成物」は、活性薬剤(例えば、本発明の生存可能な酵母細胞、酵母細胞壁、または改変した酵母細胞壁成分を含む組成物)と、担体との組み合わせを意味し、不活性または活性であり、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでの診断または治療用途に特に適した組成物を形成する。
【0068】
本明細書で使用されるとき、用語「医薬的に許容される」および用語「薬学的に許容される」は、実質的に、周知の有益な反応よりも多くの周知の副作用をもたらさない組成物を意味する。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「抗発泡剤」は、泡の形成を回避するために使用されるか、または既に形成された泡を破壊するために添加される添加剤を意味する。「泡止め剤」または「消泡剤」とも称される「抗発泡剤」は、通気または攪拌に起因して、発酵槽中の溶液または培地あるいは乳液またはブロスの表面張力を低減させ、したがって、泡の形成を阻害または改変する添加剤を意味する。一般に使用される薬剤は、不溶性油、ジメチルポリシロキサン、および他のシリコーン、所定のアルコール、例えば、ステアリルデカノール、オクタルデカノール、スルホン酸塩、ステアリン酸塩、およびグリコールである。
【0070】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞」は、機能的な独立生命単位として存在し得る(単細胞有機体、例えば、酵母に見られるように)、または有機体の場合に特定の機能を全体として実行することに特化した多細胞生物中(例えば、植物および動物中)のサブユニットとして存在し得る、自律的自己複製単位を意味する。2つの異なるタイプの細胞、原核細胞および真核細胞が存在する。
【0071】
本明細書で使用されるとき、用語「真核生物」は、細胞が膜内に封入される複合構造に組織化される有機体を意味する。「真核生物」は、「原核生物」から区別可能である。「原核生物」は、細胞核または他の膜結合オルガネラを欠失する有機体を意味する。用語「真核生物」は、真核生物の典型的な特徴、例えば、内部に染色体が存在する核膜によって結合された真核の存在、膜結合されたオルガネラの存在、および真核生物において一般に認められる他の特徴を呈する細胞を有する、すべての有機体を意味する。したがって、用語は、真菌、プロトゾア、および動物等の有機体を含むが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞培養物」は、細胞の任意のインビトロ培養物を意味する。この用語には、連続細胞株(例えば、不死発現型を有する)、一次細胞培養物、形質転換した細胞株、有限細胞株(例えば、非形質転換細胞)、およびインビトロで維持される任意の他の細胞集団が含まれる。
【0073】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞複製」は、3つの主な段階を有する細胞増殖の過程を意味する。細胞複製の第1段階は、「親細胞のDNA」の複製を伴う。第2段階は、複製したDNAを染色体の2つの等大群に分離する。第3段階は、細胞全体の物理的分割であり、通常、細胞質分裂と呼ばれる。細胞複製は、他の有機体よりも真核生物においてより複雑である。非真核細胞、例えば、細菌細胞は、DNA複製、染色体の分裂、および細胞質分裂を含む過程である、二分裂によって複製される。真核細胞複製は、有糸分裂、または減数分裂と呼ばれるより複雑な過程のいずれかを伴う。有糸分裂および減数分裂は、2つの「核分裂」過程と呼ばれる場合がある。二分列は、有糸分裂を伴う真核細胞複製に類似している。いずれも親細胞と同数の染色体を有する、2つの娘細胞の生成をもたらす。減数分裂は、二倍体有機体の特別な細胞複製過程に使用される。それは、正常なDNA細胞量の半分を有する、4つの特別な「娘細胞」(配偶子)を生成する。次に、雄性および雌性配偶子は結合して、接合子、これも正常な染色体量を有する細胞を生成する。
【0074】
本明細書で使用されるとき、用語「酵母複製」は、無性的および有性的複製サイクルを有する、酵母の複製サイクルを意味するが、酵母における栄養成長の最も一般的な様式は、「親細胞」上に形成される「娘細胞」の「出芽」または「分裂」による無性的複製である。親細胞の核は、娘核に分離し、娘細胞に移行する。出芽は、「親細胞」から分離するまで成長し続け、新しい細胞を形成する。高ストレス条件下で、一倍体細胞は、概して死滅するが、同一条件下で、二倍体細胞は、胞子形成を経ることができ、有性的複製(減数分裂)に入り、多様な一倍体胞子を生産し、これは、交配(接合)するまで継続し得、二倍体を再形成する。
【0075】
本明細書で使用されるとき、用語「出芽」は、真菌(例えば、酵母)およびプロトゾアにおける細胞分裂の一種を意味し、「娘細胞」は、他の細胞からの小さい突出として発達する。通常、出芽細胞の位置は、「親細胞」における極性によって定められる。一部のプロトゾアにおいて、出芽した娘細胞は、他の娘細胞の細胞質内に存在し得る。
【0076】
本明細書で使用されるとき、用語「娘細胞」は、親細胞の分裂において形成される、2つ以上の細胞のうちの1つを意味する。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「親細胞」および用語「母細胞」は、細胞分裂によって娘細胞を生じさせる細胞を意味する。
【0078】
本明細書で使用されるとき、用語「接種」は、培養培地中への微生物の導入または微生物の懸濁(例えば、酵母、真菌、細菌等)の行為を意味する。導入は、何かが成長または複製する場所にそれを導入する行為または過程である。
【0079】
本明細書で使用されるとき、用語「接種材料」および用語「前接種材料」は、接種に使用される細胞、例えば、培養を開始するために添加される細胞を意味する。
【0080】
本明細書で使用されるとき、用語「成長工程」は、酵母細胞に適用される生細胞の複製を意味し、「細胞成長」という表現は、「細胞複製による細胞数の成長」という概念を簡潔に表現したものである。細胞複製中、1つの細胞(「親細胞」または「母細胞」)は、分裂して「娘細胞」を生成する。
【0081】
本明細書で使用されるとき、用語「酵母をインキュベートする」および用語「酵母を成長させる」は、酵母を集団化および/または培養させる行為を意味する。
【0082】
本明細書で使用されるとき、用語「遠心分離」は、固定軸を中心に物体を回転させ、軸に対して垂直な力を加える、回転ロータによって生成される遠心力を使用して、サイズまたは密度別に分子を分離することを意味する。遠心分離は、沈降原理を使用して機能し、求心加速度を使用して、より高い密度および低い密度の物質を異なる密度層に均等に分散させる。
【0083】
本明細書で使用されるとき、用語「濃度」は、定義された空間当たりの物質量を意味する。濃度は、通常、容量単位当たりの質量に関して表される。溶液を希釈するために、より多くの溶媒を添加するか、または溶質の量を低減させなければならない(例えば、選択的蒸散、噴霧乾燥、凍結乾燥によって、例えば、濃縮酵母細胞壁抽出物または濃縮した改変酵母細胞壁抽出物)。対照的に、溶液を濃縮するために、より多くの溶質を添加するか、または溶媒の量を低減させなければならない。
【0084】
本明細書で使用されるとき、用語「層」は、通常、材料層に組織化された水平な沈殿物を意味し、材料の密度特性に関連して、遠心分離による分離後に得られる、オーバーレイ部分またセグメントを形成する。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「採取する」は、生成された材料を収集するか、またはまとめる行為を意味する(例えば、酵母複製中に生成される材料をまとめる)。
【0086】
本明細書で使用されるとき、用語「粘土」は、鉱物粘土、合成、有機粘土、およびそれらの任意の混合物を意味する。
【0087】
本明細書で使用されるとき、用語「鉱物粘土」は、主に粒鉱物(ケイ酸塩)で構成される、自然発生、または合成材料を意味し、可変範囲の水含有量を通して可塑性を示し(極性誘引によって構造に捕捉される水に起因し得る)、乾燥および焼成されると硬化し得る。ケイ酸塩の例には、フィロケイ酸塩、ベントナイト、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、モントモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用されるとき、用語「有機粘土」および用語「改変粘土」は、有機的に改変したフィロケイ酸塩を意味し、自然発生する粘土鉱物に由来する。有機カチオンの元の層間カチオン(通常、四級アルキルアンモニウムイオン)または多糖を交換することによって、共役結合した有機部分で構成される有機親和性表面が生成される。ラメラ構造は、依然として親フィロケイ酸塩に類似している。
【0089】
本明細書で使用されるとき、用語「乾燥」は、噴霧乾燥、凍結乾燥、空気乾燥、真空乾燥、または物質中の液体を低減または排除する任意の他の種類の過程を意味する。
【0090】
本明細書で使用されるとき、用語「噴霧乾燥」は、液体を含有する物質を乾燥させる、一般的に使用される方法を意味し、熱いガスを使用して、液体を蒸発させて、物質中の液体を低減または排除する。つまり、材料は、加熱した乾燥空気のドラフト中に噴霧または霧化することによって乾燥される。
【0091】
本明細書で使用されるとき、用語「凍結乾燥」および用語「凍結乾燥(lyophilization)」ならびに用語「凍結乾燥(cryodesiccation)」は、昇華による凍結状態において、溶媒を物質から除去することを意味する。これは、乾燥させる材料を、その共晶点以下で凍結させた後、昇華の潜熱を提供することによって達成される。熱入力の精密な制御は、生成物の再溶解なしに、凍結状態からの乾燥を可能にする。実践適用において、過程は、減圧条件下で加速され、精密に制御される。
【0092】
本明細書で使用されるとき、用語「乾燥自由流動性粉末」は、自由流動性乾燥粉末を意味する。
【0093】
本明細書で使用されるとき、用語「破砕」は、衝撃、せん断、または磨耗によって粒径を減少することを意味する。
【0094】
本明細書で使用されるとき、用語「洗浄」は、(例えば、任意の種類の溶質(例えば、蒸留水、緩衝液、または溶媒)あるいは混合液を使用する)不純物または調製物の可溶性の不要な成分の除去またはクレンジングを意味する(例えば、酵母細胞壁抽出物を洗浄して、非酵母細胞壁成分を試料から除去してもよい)。
【0095】
本明細書で使用されるとき、用語「酵素」は、折り重なって、分子固有の特性を付与する特定の3次元構造を形成し、特定の化学反応の触媒または化学物質として作用する、アミノ酸の特徴的な配列を有する、タンパク質またはタンパク質ベースの分子を意味し、反応物(基質と呼ばれる)の特定の集合を特定の生成物に変換する。
【0096】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」、用語「ポリペプチド」、および用語「タンパク質」は、共役「ペプチド結合」によって結合される、アミノ酸の一次配列を意味する。一般的に、ペプチドは、いくつかのアミノ酸、通常、2〜50個のアミノ酸で構成され、タンパク質よりも短い。用語「ポリペプチド」は、ペプチドおよびタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、合成され得るか、組み換えられ得るか、または自然発生し得る。合成ペプチドは、インビトロで人工的な手段によって生成される(例えば、インビボで生成されなかった)。
【0097】
本明細書で使用されるとき、用語「プロテアーゼ」は、様々な酵素のうちのいずれかを意味し、ペプチドまたはアミノ酸へのタンパク質の加水分解を触媒する、エンドペプチダーゼおよびエクソペプチダーゼを含む。
【0098】
本明細書で使用されるとき、用語「溶解」は、酵母細胞膜および酵母細胞壁の分解または破壊を意味し、細胞内成分の放出をもたらす。本明細書で使用されるとき、「溶解」は、物理的/機械的、酵素的(自己消化および加水分解を含む)、または浸透圧機構(「アルコールショック」および加水分解を含む)の結果として起こる。
【0099】
本明細書で使用されるとき、用語「自己消化」は、自己生産した酵素による細胞または組織の一部または全体の破壊を意味する。
【0100】
本明細書で使用されるとき、用語「加水分解」は、化合物を水の添加により断片に分割する過程を意味する(例えば、ポリマーをより簡単な単位(例えば、スターチをグルコース)に分解するために使用される分解)。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「アルコールショック」は、成長培地に対するアルコール(例えば、エタノール)の添加によって生成され、培地の浸透圧と、培地中で成長している細胞(例えば、酵母細胞)内の浸透圧との間の差異を形成する浸透圧を意味する。アルコールショックは、培地中で成長する細胞(例えば、酵母細胞)の溶解をもたらし得る。
【0102】
本明細書で使用されるとき、用語「浸透」は、例えば、半浸透性膜を通る、低溶質濃度の溶液(高い水ポテンシャル)から高い溶質濃度の溶液(低い水ポテンシャル)への溶媒(例えば、水)の拡散、溶質濃度勾配の上昇を意味する。これは、エネルギーの入力なしに、半浸透性膜(溶媒は浸透可能であるが、溶質は浸透可能ではない)溶媒が移動する物理的過程であり、異なる濃度の2つの溶液を分離する。溶媒の正味移動は、低濃縮(低張)から高濃縮(高張)溶液に対し、濃度の差異を低減する傾向がある。
【0103】
本明細書で使用されるとき、用語「浸透圧」および用語「浸透ショック」は、細胞周辺の溶液濃度の突然の変化を意味し、その細胞膜全体の水の移動に急速な変化をもたらす。いずれかの条件下で、上清液中の高濃度の塩、基質、または任意の溶質は、浸透により細胞外に引き出される。これは、細胞への基質および共因子の輸送も阻害し、したがって、細胞を「ショックさせる」。代替として、低濃度の溶質において、水が大量に細胞に進入し、細胞を膨張させて、破裂させるか、または細胞死に至らしめる。
【0104】
本明細書で使用されるとき、用語「試料」は、広義で使用され、任意の源から得られる標本または培養物、ならびに生物学的および環境的試料を含む。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られてもよく、液体、固体、組織、およびガスを包含する。生物学的試料には、血液生成物、例えば、血漿、血清等が挙げられる。環境的試料は、環境材料、例えば、表面物質、土壌、水、結晶、および産業試料が挙げられる。
【0105】
本明細書で使用されるとき、用語「複合体」は、2つ以上の個別の実体間の会合によって形成される実体を意味する(例えば、2つ以上の実体間の会合であって、実体は、同一または異なる(例えば、同一または異なる化学種))。会合は、共有結合または非共有結合を介してもよい(例えば、ファン・デル・ワールス、静電気、負荷相互作用、疎水性相互作用、双極相互作用、および/または水素結合力(例えば、ウレタン結合、アミド結合、エステル結合、およびそれらの組み合わせ))。
【0106】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、改変された(例えば、粘土および/または粘土成分が酵母細胞壁にインターレースされる、および/またはグルカン:マンナン比が変化した)細胞壁構造を含む、新規の酵母細胞、それを生成する方法、それを含むおよび/またはそれに由来する組成物、およびそれを使用する方法(例えば、細菌およびマイコトキシンを隔離する)を提供する。
【0107】
一部の実施形態において、本発明は、(例えば、粘土の存在下での酵母細胞の培養に起因して)細胞壁にインターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、酵母細胞壁抽出物(例えば、単離、精製、改変および/または濃縮した細胞壁抽出物)、および/または変化したグルカン:マンナン構造を含む酵母細胞壁抽出物を提供する。一部の実施形態において、酵母細胞壁にインターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物、および/または変化したグルカン:マンナン構造を含む酵母細胞壁抽出物を混合するか、またはそうでなければ、飼料、有機材料(例えば、敷き藁)、および/または水に添加し、それによって(例えば、動物の胃腸管内にある間、またはろ過中に)マイコトキシンを隔離しマイコトキシンの悪影響を打ち消すか、または低減する。したがって、一部の実施形態において、本発明は、マイコトキシンに対する酵母細胞壁系材料の吸着/隔離特性を有意に向上させる方法を提供する(例えば、多様なマイコトキシンの生物学的利用能を有意に吸着および/または隔離および/または制限する)(例えば、粘土単独、酵母細胞壁抽出物単独、粘土が後に乾燥混合ベース上に添加される酵母細胞壁抽出物の組み合わせを使用して吸着および/または隔離されない、および/または粘土系生成物の上に多糖材料の化学移植)。
【0108】
一部の実施形態において、本発明は、1つ以上の粘土の存在下で成長する、酵母細胞の新規調製物を提供する。一部の実施形態において、粘土をインターレースした酵母細胞壁は、1つ以上の粘土の存在下で成長した、粘土をインターレースした酵母細胞から抽出される。一部の実施形態において、粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、精製および/または濃縮される。本明細書に記載されるように、本発明は、任意の特定の酵母細胞株または任意の特定の粘土に限定されない。一部の実施形態において、粘土源は、標準的な商用グレードの粘土源である(例えば、インビトロ、インビボ、および/またはエクスビボでマイコトキシンに対する特性を呈するように選択されるか、またはインビトロ、インビボ、および/またはエクスビボでマイコトキシンに対する特性を呈しないために選択される粘土源)。本発明の組成物および方法は、多様な被験体においてマイコトキシンを吸着および/または隔離するために利用することができる。実際に、本発明は、本明細書に記載される組成物および方法から利益を享受する被験体の種類によって限定されない。本発明は、すべての動物に有益であり得るが、典型的な被験体には、ヒト、鳥、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、魚、ラクダ、齧歯類種、ならびに魚および貝被験体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、有機物質(例えば、敷き藁および飼料)および/または水と混合される場合、および/または被験体に直接与えられる場合、本発明の組成物は、被験体によるマイコトキシンの吸着または摂取を減少させ、それによって、低下した性能、健康を緩和し、および/または被験体におけるマイコトキシン関連疾患および病的応答の発生を低減する。
【0109】
一部の実施形態において、本発明は、酵母細胞壁にインターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、および/または変化したグルカン:マンナン構造を含む、酵母細胞を形成および/または生成するための方法を提供する。例えば、一部の実施形態において、本発明は、粘土の存在下で生成および/または培養された酵母細胞を提供し、酵母細胞壁は、粘土の非存在下で生成/培養された酵母細胞のグルカン:マンナン比よりも(例えば、2.5%を超える、5%を超える、10%を超える、15%、20%を超える、25%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、またはそれ以上)高いグルカン:マンナン比を含む(例えば、実施例2を参照)。一部の実施形態において、本発明は、粘土の存在下で生成および/または培養された、生きた酵母細胞から得た(例えば、単離、精製、および/または濃縮された)酵母細胞壁抽出物を提供し、酵母細胞壁は、粘土の非存在下で生成/培養された酵母細胞のグルカン:マンナン比よりも高い(例えば、2.5%を超える、5%を超える、10%を超える、15%、20%を超える、25%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、またはそれ以上)グルカン:マンナン比を含む(例えば、実施例2を参照)。
【0110】
したがって、本発明は、粘土の存在下で培養される酵母からの新規の粘土をインターレースした酵母細胞壁、およびそれを生成する方法を提供する。一部の実施形態において、酵母細胞を生成する方法は、酵母細胞壁を変化させるか、またはそうでなければ改変する((例えば、粘土および/または粘土成分をインターレースしたおよび/または変化したグルカン:マンナン構造を含む酵母細胞壁に起因して)例えば、酵母細胞壁がマイコトキシンを吸着および/または隔離する能力を強化する)ように、サッカロミセス、カンジダ、クルイベロミセス、およびトルラスポラ種が挙げられるが、これらに限定されない酵母細胞を、1つ以上の粘土の存在下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態において、本発明は、ケイ酸塩(例えば、テクトケイ酸塩(例えば、ゼオライト、クオーツ、長石)、フィロケイ酸塩(例えば、カオリナイト、ハロイサイト、ディックタイト、ナクリット、クリソタイル、アンチゴライト、リザルダイト、タルク)、ピロフィライト、スメクタイト(例えば、モントモリロナイト、ベイデライト、ノントロナイト、ベルミキュライト、ミカサンチゴライト、ムスコバイト、イライト、フェンジャイト、ビオタイト)、セピオライト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト)、および/または水和ケイ酸アルミニウム(例えば、モントモリロナイト、ベントナイト)の群)が挙げられるが、これらに限定されない1つ以上の粘土系材料と酵母細胞培養培地との混合を提供する(例えば、実施例1、5、および6に記載されるとおり)。本発明は、生きた酵母細胞が、粘土および/または粘土成分を酵母細胞壁構造に組み込むものとする(例えば、1Aおよび1Bならびに図2に示されるように)。一部の実施形態において、酵母細胞培養培地中に混合された1つ以上の粘土は、総成長培地の約0.075%、0.1%、0.125%、0.25%、0.5%、1%、2%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、またはそれ以上の濃度で存在する。一部の実施形態において、酵母細胞培養培地中に混合される1つ以上の粘土の量は、酵母細胞が成長する反応器の最終含有量の2%を超えない。一部の実施形態において、酵母細胞培養培地の膨張をもたらさない酵母細胞培養培地中に添加される粘土の量が選択される(例えば、約2.0%以下)。一部の実施形態において、非薬用動物飼料中の飼料添加物(例えば、総比率で2%を越えない)として使用するための規制認可を有する粘土の量を含む、酵母から採取される酵母細胞壁抽出物を生成する、酵母細胞培養培地に添加される粘土の量が選択される。一部の実施形態において、食品等級抗発泡剤または消泡剤は、細胞培養培地に添加される(例えば、ノンシリコーン分子消泡剤、油性消泡剤(例えば、鉱物油、植物油、または発泡培地に不溶性である他の油)またはシリコーン化合物系消泡剤(例えば、油性または水性乳剤として送達される)が挙げられるが、これらに限定されない)。一部の実施形態において、ワックス(例えば、エチレンビスステアルアミド(EBS)、パラフィンワックス、エステルワックス、または脂肪アルコールワックス)および/または疎水性シリカを添加して、発泡培地中の乳化および拡散を向上させる。
【0111】
本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、1つ以上の粘土の存在下での酵母細胞の成長に重要であるとして、多数の因子を識別した。例えば、一部の実施形態において、粘土支持材料と水との(w/v)関係(例えば、グラム/立方センチメートル(g/cc)に対応する)を、3%以下に維持することが好適である(例えば、(例えば、粘土材料の水吸着性および保持力に起因して)固体または半固体状態に到達するのを避けるため)。したがって、水膨張性水和ケイ酸アンモニウムの水収着は、本発明の培養培地の配合における粘土支持材料対水の比率に影響する限定因子である。一部の実施形態において、使用される培養培地およびボトルは滅菌され、微生物の接種は、標準的な手順に従って達成される。例えば、一部の実施形態において、前接種材料は、滅菌した脱イオン水のボトル中で、活性乾燥酵母を用いて調製し、約25〜30℃(例えば、28℃)で、一定期間(例えば、20分)インキュベートする。一部の実施形態において、前接種材料の接種は、無菌で行われる(例えば、約30℃の温度で)。一部の実施形態において、pHおよびグルコース量が監視および維持される。一部の実施形態において、培養物の攪拌は、成長中に漸進的に増加される(例えば、100〜500rpm)。一部の実施形態において、1つ以上の粘土は、(例えば、培養栄養素の半分未満、約半分、または半分より多くが消費されると)成長中に培地に無菌で添加される。
【0112】
一部の実施形態において、酵母細胞培養培地中に混合される粘土の量、(例えば、使用される1つ以上の粘土の種類に応じた量)が増加すると、粘土材料の膨張特性は、酵母細胞成長を阻害する。
【0113】
一部の実施形態において、粘土を混合した酵母細胞培養培地中で酵母を成長させることは、成長中の酵母にストレスを与える状況をもたらす。本発明は、任意の特定の作用機構に限定されないが、作用機構に関する理解は、本発明を実施するために必須ではない。一部の実施形態において、粘土を混合した細胞培養培地によって酵母に加えられるストレスは、酵母により多くのグルカンを生成させ、結果としてグルカン:マンナンの比率を増加させる。
【0114】
一部の実施形態において、本発明は、1つ以上の粘土の存在下で培養された酵母細胞は、粘土および/または粘土の成分を酵母細胞壁中にインターレースするだけでなく、変化した細胞壁組成も示すものとする(例えば、変化したグルカン:マンナン比、総タンパク質含有量、および/または残余量によって特徴化される)。例えば、本発明は、粘土の非存在下で培養される酵母細胞のグルカン:マンナン比よりも高い(例えば、2.5%を超える、5%を超える、10%を超える、15%、20%を超える、25%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、またはそれ以上)グルカン:マンナン比を含む酵母細胞を提供する(例えば、実施例2を参照)。本発明は、粘土の非存在下で成長した酵母細胞および/または酵母細胞壁抽出物の総タンパク質含有量と比較して、増大した総タンパク質含有量(例えば、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上増大したタンパク質含有量)を含む酵母細胞および酵母細胞壁抽出物も提供する(例えば、実施例2を参照)。
【0115】
一部の実施形態において、酵母細胞壁中にインターレースされた本発明は、粘土および/または粘土成分を含む、および/または構造の変化したグルカン:マンナン比を含む、酵母細胞壁抽出物を提供し、従来の組成物よりも優れたマイコトキシン隔離特性をもたらす。本発明は、1つ以上の粘土の存在下で培養された酵母から酵母細胞壁抽出物を生成する任意の特定の方法によって限定されない。実際に、多様な手順を利用して、酵母細胞壁抽出物を生成してもよく、ガラスビーズおよびビードビーターの使用、酵素(例えば、プロテアーゼ(例えば、パパイン))処理、機械的溶解、自己消化および加水分解、および該技術分野において知られている他の方法(例えば、Peppler,H.J.1979.Production of yeasts and yeast products.Page 157 in:Microbial Technology & Microbial Processes,Vol.1(2d Ed.),Academic Pressを参照)が挙げられるが、これらに限定されない。溶解および抽出に続いて、粘土および/または粘土化合物をインターレース/統合した酵母細胞壁を洗浄して、細胞内成分を除去し、抽出物を精製および濃縮する。得られる抽出物は、該技術分野において一般的な多数の方法のうちのいずれかによって乾燥してもよく、(例えば、吸湿性不水溶性粉末を形成するための)凍結乾燥および/または噴霧乾燥が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
したがって、本発明は、一部の実施形態において、酵母細胞壁中に直接インターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、酵母細胞壁抽出物を提供する。一部の実施形態において、酵母細胞壁中に直接インターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、本発明の酵母細胞壁抽出物を含む組成物は、約0.5%未満の粘土、0.5〜1%、1〜2%、2〜5%、5〜10%、10〜15%、15〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70%、またはそれ以上の粘土および/または粘土成分を酵母細胞壁抽出物の一部として含む(w/w%ベース)。一部の実施形態において、培養培地中の粘土量の増加は、酵母細胞壁抽出物の粘土および/または粘土成分含有量を増加させる。
【0117】
一部の実施形態において、酵母細胞中に組み込まれない酵母細胞成長培地に添加される粘土は収集され、次の酵母細胞成長工程において利用される(例えば、組み込まれなかった粘土材料はリサイクルされる)。例えば、粘土材料のリサイクルは、酵母と比較して、粘土の沈降特性によって促進される。実際に、本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、2つの回復可能な層(i)粘土材料のみを含有する下層(99%)と、(ii)酵母に組み込まれた粘土分画を含有する上層と、を生成した。したがって、本発明を実施するために機構は必須ではなく、本発明は、任意の特定の作用機構に限定されないが、一部の実施形態において、本発明は、粘土粒子を酵母細胞壁中および/または上に直接包含する(例えば、酵母細胞壁抽出物調製過程を生き延びる(例えば、粘土または粘土成分を酵母細胞壁のグルカンポリマー鎖中に直接インターレースすることによって))。他の実施形態において、粘土分画は、培養中および出芽時に、酵母細胞を娘細胞とともに捕捉し、酵母細胞は、酵母が溶解され、その細胞内成分が洗浄によって除去される前に、マクロ構造を含む粘土に閉じ込められる。一部の実施形態において、グルカン鎖は、粘土のラメラ構造間で成長する。
【0118】
一部の実施形態において、酵母細胞または酵母細胞壁成分(例えば、本明細書に記載されるように生成および単離される酵母細胞壁抽出物(例えば、酵母細胞壁中にインターレースされた粘土または粘土成分を含む、および/または変化したグルカンおよび/またはマンナン構造を含む))は、(例えば、飼料と混合する、ペレット化した飼料中に組み込む、および/または動物に与える前に)酵素(例えば、エステラーゼ、エポキシダーゼ)、細菌、酵母または酵母成分、粘土等が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の他の薬剤と組み合わされる。
【0119】
一部の実施形態において、本発明は、変化した酵母細胞壁構造(例えば、酵母細胞壁中にインターレースされた粘土および/または粘土成分、および/または変化したグルカンおよび/またはマンナン構造を含む細胞壁)を含む酵母細胞、それを含む組成物、および/またはそれに由来する組成物を利用し、マイコトキシンの低減、除去、および/または排除のための本明細書に記載される1つ以上の方法および/または材料で利用される(例えば、(例えば、細菌および毒素を吸着および/または分離するための)本明細書に記載される物理的、混合、化学的、微生物学的方法)。例えば、一部の実施形態において、酵母細胞または酵母細胞壁成分(例えば、本明細書に記載のとおり生成される酵母細胞壁抽出物(例えば、酵母細胞壁中にインターレースされた粘土または粘土成分を含む、および/または変化したグルカンおよび/またはマンナン構造を含む))を、本明細書に記載される1つ以上の物理的、混合、化学的、微生物学的方法を利用して、マイコトキシンを隔離する。
【0120】
本発明は、隔離されるマイコトキシンの種類に限定されない。実際に、本発明の組成物(例えば、粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物)を利用して、多様なマイコトキシンを吸着および/または隔離することができ、アセトキシシルペンジオール、アセチルデオキシニバレノール、アセチルニバレノール、アセチルネオソラニオール、すべてのアフラトキシンに拡大されるアセチルT−2トキシン、アフラトキシンB1、B2、G1およびG2、アフラトレム、アルテン酸アルテルナリオール、アウストジオール、アウストアミド、アウストシスチン、アベナセイン+1、ボーベリシン+2、ベンテノリド、ブレビアンアミド、ブテノリド、カロネクトリン、カエトグロボシン、シトリニン、シトレオビリジン、コクリオジノール、シトカラシンE、シクロピアゾン酸、脱アセチルカロネクトリン、脱アクチルネオソラニオール、脱オキシニバレノールジアセテート、脱オキシニバレノールモノアセテート、ジアセトキシシルペノール、デストラキシンB、すべての麦角毒素およびエンドファイトに拡大されるエンニアチン、フルクチゲニン+1、フマギリン、フモニシン、フモニシンB1およびB2およびB3、フサレノン−X、フサロクロマノン、フサル酸、フサリン、グリオトキシン、HT−2トキシン、イポメアニン、イスランジトキシン、ラテリチン+1、リコマラスミン+1、マルホルミン、マルトリジン、モニリホルミン、モノアセトキシシルペノール、ネオソラニオール、ニバレノール、すべてのオクラトキシンに拡大されるNT−1トキシン、NT−2トキシン、オオスポレイン、オキサル酸、パツリン、ペニシリン、ペニシル酸、ペニトレム、ロリジンE、ルブラトキシン、ルブロスキリン、ルブロスルフィン、ルグロシン、サンブシニン+1、サトラトキシンF、G、H、シルペントリオール、スラフラミン、無菌濃縮された改変酵母細胞壁抽出物トシスチン、T−1トキシン、T−2トキシン、すべてのトリコテセンに拡大されるトリアセトキシシルペンジオール、トリコデルミン、トリコテシン、トリコベリン、トリコベロール、トリプトキバレン、ベルカリン、ベルクロゲン、ビオプルプリン、ビオメレイン、ビリジトキシン、キサントシリン、ヤバナイシン+1、ゼアラレノール、ゼアラレノン、ゼアラレノン、およびサブファミリー、および/またはその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、本発明の組成物および方法を利用して、アフラトキシン、ゼアラレノン、オクラトキシン、トリコテセン、フモニシン、パツリン、および/またはエンドファイト関連麦角、および前述のマイコトキシンの潜在的複合体および代謝物を吸着および/または隔離する。本発明の開発中に行われた実験は、歴史的または従来の方法と比較して、本発明を使用する利点を実証する。例えば、本明細書に記載されるように、(1)粘土のみを含む組成物、(2)酵母細胞壁抽出物のみを含む組成物、ならびに(3)粘土が添加される酵母細胞壁抽出物を含む組成物を使用する欠点は、それを使用するそのような組成物および方法が、マイコトキシンの悪影響を低減するために、本発明よりも効果が低い手段であり、より多くの欠点を有することである。しかしながら、本発明の粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出物(例えば、酵母細胞壁中にインターレースされた粘土および/または粘土成分を含む、および/または変化したグルカンおよび/またはマンナン構造を含む)は、多様なマイコトキシンを隔離する予想外の能力を示し、従来の組成物と比較して、顕著に強化されたマイコトキシンの吸着能力も示した(例えば、粘土のみを含む組成物、酵母細胞壁抽出物のみを含む組成物、ならびに粘土が添加される酵母細胞壁抽出物を含む組成物、実施例2〜3を参照)。したがって、本発明は、従来の組成物および方法において見出されなかった、多様なマイコトキシンに関する予想外の優れた隔離および/または吸着特性を示す、組成物および方法を提供する。したがって、本発明は、粘土をインターレースした酵母細胞壁ベースの材料、およびそれを形成および使用する方法を提供し、(例えば、飼料、他の有機材料、および/または水中に存在するマイコトキシンを吸着することによって)動物およびヒトの消化管においてマイコトキシンを隔離するための有効な方法を提供する一方で、有益な栄養素の吸着が低いか、またはなく、環境に対する悪影響も少ないか、またはない。
【0121】
一部の実施形態において、本発明の好適な物理形態は、飼料、他の有機物質(例えば、敷き藁)中に直接含めるか、または動物に対する直接栄養補助剤として適した乾燥自由流動性粉末である。
【0122】
本発明の組成物を任意の有機物質(例えば、敷き藁、動物用飼料、ヒト用食料)および/または水(例えば、動物および/またはヒト消費に使用される水、環境水(例えば、池、湖、貯水池、魚タンク等))に添加して、物質からマイコトキシンを除去することができる。動物飼料に直接組み込まれる場合、本発明の組成物は、飼料の約0.0125重量%〜約0.4重量%の範囲の量で添加される。他の有機物質(例えば、動物敷き藁)中に直接組み込まれる場合、本発明の組成物は、約0.0125%〜約99.9%の範囲の量で添加される。液体(例えば、水(例えば、ろ過用))に組み込まれる場合、本発明の組成物は、約0.0125%〜約100%の範囲の量で添加される。一部の実施形態において、本発明の組成物は、飼料の約0.025重量%〜約0.2重量%の量で飼料に添加される。代替として、本発明の組成物は、栄養補助剤として動物に直接与えられる(例えば、動物当たり1日約2.5g〜約20gの範囲の量で)。当業者であれば、動物の種類、サイズ、本発明の組成物が添加される飼料、敷き藁材料、水源等の種類に応じて、与える量が異なることがすぐに理解される。
【0123】
本発明の組成物は、動物およびヒトに与えることができる。飼料と混合されるか、または飼料栄養補助剤として使用される場合、本発明の組成物は、マイコトキシンの生物学的利用能、動物によるマイコトキシンの吸収または摂取を減少させ、性能および/または健康を向上させ、疾患の発生を低減する。一部の実施形態において、本発明の組成物が、動物およびヒトが接触する有機材料(例えば、敷き藁)に添加される場合、本発明の組成物は、マイコトキシンの生物学的利用能を減少させ(例えば、動物によるマイコトキシンの吸収および/または摂取を減少させ)、それによって、性能および健康を向上させ、疾患の発生を低減させる。一部の実施形態において、本発明の組成物は、(例えば、消費または他の目的で)動物またはヒトによる使用が意図される水に添加され、それによって、マイコトキシンの生物学的利用能を減少させ(例えば、動物またはヒト被験体によるマイコトキシンの吸収および/または摂取を減少させ)、性能および健康を向上させ、疾患の発生を低減させる(例えば、本発明の組成物は、マイコトキシンの生物学的利用能、吸収、または摂取を減少させる)。一部の実施形態において、本発明の組成物は、ヒトの消費に使用される水に添加される(例えば、ジュース、ワイン、水ボトル、コーヒー、ミルク、または他の種類の消費される液体の製造に使用される水)。一部の実施形態において、本発明の組成物は、環境水に添加される(例えば、池、湖、貯水池、川、小川、用水路、魚または他の種類の水生動物種を収容するために使用されるタンク等)。したがって、一部の実施形態において、本発明の組成物(例えば、細胞壁中に統合された粘土または粘土成分を含む)酵母細胞壁抽出物は、液体のろ過に利用される(例えば、消費可能な液体(例えば、飲料生産に使用される水、飲料))。例えば、一部の実施形態において、本発明の組成物は、フィルタとして、またはフィルタ内で使用され、液体(例えば、消費可能な液体(例えば、オレンジジュース、アップルジュース、プルーンジュース、グレープフルーツジュース、クランベリージュース、または他の種類のジュース、ビール、ワイン、蒸留液等))は、本発明の組成物を含むフィルタを通して処理され、組成物は、1以上の種のマイコトキシンを液体から除去する。
【0124】
実施例1〜4に記載されるように、粘土の存在下での酵母の培養は、マイコトキシンの酵母細胞壁吸着を劇的に増加させる(例えば、酵母が粘土で培養されない場合は6.917%であるが、1.0および2.0%の粘土が、それぞれ培地に含まれる場合、内部酵母細胞壁層の特異的抽出なしに、73.553%および79.337%に到達する(例えば、実施例2を参照))。さらに、グルカン:マンナン比は、粘土の添加によって1.066〜1.366に増大した。マンナンの減少にもかかわらず、細胞壁のタンパク質濃度は増加した。また残留分画(例えば、抽出過程中、酵母細胞壁に存在するグルカン、マンナン、タンパク質、粘土、N−アセチルグルコサミンの喪失を表す)は、粘土の存在下、表面領域で増加した。本発明を実施する機序は必須ではなく、本発明は、任意の特定の作用機構に限定されないが、一部の実施形態において、成長の環境および条件の変化に起因する、酵母の代償機構に関与するキチン分画の強化に起因する。さらに、本発明の組成物(変化した酵母細胞からの酵母細胞壁抽出物を含む(例えば、酵母細胞壁にインターレースされた粘土および/または粘土成分を含む酵母細胞、変化したグルカンおよび/またはマンナン構造を含む細胞壁))は、マイコトキシンを吸着および/または隔離する有意かつ予想外の能力を提供した(例えば、ゼアラレノン(例えば、粘土が後に乾燥混合ベース上に添加される、酵母細胞壁抽出物の組み合わせを含む、従来の組成物の場合、わずか44.7%の有効率と比較して、79.33%の有効率を示す、実施例1〜4を参照))。
【0125】
プロテアーゼ切断を使用して、粘土をインターレースした酵母細胞の粘土をインターレースした酵母細胞壁を抽出する代替方法の使用について調査した(実施例3を参照)。粘土をインターレースした酵母細胞壁の内層(グルカン)の特定抽出物は、マイコトキシンに対して、粘土をインターレースした酵母細胞壁の隔離および吸着特性を増加させた(例えば、ゼアラレノン)。さらに、粘土を1.0%および2.0%含む細胞培養培地中で酵母細胞をインキュベートすることは、粘土をインターレースした酵母細胞壁のマイコトキシンとの隔離および吸着特性を有意に強化した(例えば、ゼアラレノン)。例えば、粘土が後に乾燥混合ベース上に添加される、酵母細胞壁抽出物の組み合わせを含む従来の組成物は、本発明の組成物により得られるマイコトキシンを隔離する有効率85.89%と比較して、マイコトキシンを隔離する有効率は44.7%であり、アフラトキシンB1の吸着は、2.65%から53.70%まで増加した(例えば、実施例3を参照)。
【0126】
一部の実施形態において、本発明は、粘土をインターレースした酵母細胞壁を含む酵母細胞を生成するための方法を提供する。一部の実施形態において、粘土をインターレースした酵母細胞壁を含む酵母細胞は、多様な規模で生成される(例えば、テスト規模、バッチ規模、パイロット規模、生産前規模、生産規模、商業規模、産業規模)。一部の実施形態において、酵母は発酵槽中で成長する。発酵槽は、任意の適切なサイズ(例えば、5リットル、10リットル、25リットル、50リットル、100リットル、500リットル、1Kリットル、5Kリットル、10Kリットル、50Kリットル、100Kリットル、500Kリットル、100万リットル等)であってもよく、本発明とともに使用するための所望される規模の酵母を生成する(例えば、テスト規模、パイロット規模、産業規模等)。一部の実施形態において、酵母を成長させるための培地は、本発明にしたがって酵母を成長させるための任意の適切な組成物であり得る。適切な栄養素は、炭素、窒素、リン、マグネシウム、硫黄、カリウム、および微量元素の源である。一部の実施形態において、栄養素は、範囲(重量%)内の濃度(源化合物の%w/w)で培地に添加される:炭素源0.01〜20%(例えば、0.05〜10%)、窒素源0.001〜10%(例えば、0.001〜3%)、リン酸源0.001〜5%(例えば、0.01〜0.5%)、マグネシウム源0.001〜0.2%(例えば、0.001〜0.2%)、硫黄源0.01〜0.25%(例えば、0.01〜0.25%)、カリウム源0.001〜05%(例えば、0.01〜0.25%)、有機窒素源0.001〜5%(例えば、0.01〜5%)、および微量元素は、過剰に添加される。一部の実施形態において、酵母培養培地は、水、炭素源(例えば、糖、グルコース、デキストロース、サトウキビ、糖蜜等)、適切な窒素源(例えば、アンモニア、尿素等)、アミノ酸源(例えば、ペプトン等)、塩(例えば、塩化ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛等)、および粘土または粘土成分の源(例えば、ゼオライト、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、モントモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、有機粘土、それらの混合物等)を含む。一部の実施形態において、酵母培養培地成分は、酵母細胞成長のための任意の適切な量で存在し得る(例えば、実施例5を参照)。一部の実施形態において、酵母培養培地中の粘土の存在は、標準的な酵母成長プロトコルに対して、予想外の副作用を提示する。一部の実施形態において、培養培地中の粘土の存在は、発酵槽において異常に大量の発泡をもたらす。一部の実施形態において、本発明は、細胞培養培地中の抗発泡剤(例えば、ノンシリコーン分子消泡剤、油性消泡剤(例えば、鉱物油、植物油、白油等)、粉末消泡剤(例えば、シリカ)、水性消泡剤、シリコーン系消泡剤(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリアクリル酸アルキル等))を提供する。一部の実施形態において、抗発泡剤は、本発明の規模を増大させるために必要とされる。一部の実施形態において、抗発泡剤の使用は、本発明の組成物の生成規模を拡大する能力の強化と関連付けられる。
【0127】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の所定の好適な実施形態および態様を論証およびさらに例証するために提供され、その範囲を限定するものとして見なされてはならない。
【0128】
<実施例1>
材料および方法
酵母培養。以下のプロトコルを各Bioflow発酵槽(BioFlow III、New Brunswick Scientific Co.,Inc.,Edison,New Jersey,U.S.A.)に使用して、サッカロミセス・セレビシエを成長させた(Fermin,Alltech Inc.,からの活性乾燥酵母(ADY)、バッチ#689、酵母数:2.38x1010細胞/グラム、生存能力:92.6%)。酵母接種材料は、28gの新鮮なADY Ferminを、予熱したボトル中の250mL滅菌脱イオン水に移すことによって調製した。次に、溶液を30℃で(水浴中)20分間インキュベートし、数回かき混ぜた。BioFlow培地は、66gの酵母抽出物、10gのペプトン、4gのデキストロース、4gの酵母窒素塩基、および1750mLの脱イオン水で構成された。対照バッチは、酵母を単独で成長させることによって生成し、反応器容積に対して追加で250mLの脱イオン水を要した。酵母およびベントナイトK10(Fluka)を含む3つのバッチは、8、16、および32gを反応器に添加することによって生成した。Bioflow反応器培地を30℃まで加温し、接種前に10分間、流速1L/分で空気を注入した。攪拌は、300rpmに設定し、全体成長中、培地を監視し、最小pH5.0で維持した。抗発泡剤を添加した(Antifoam AES,1:10、必要に応じて)。次に、第二リン酸アンモニウム(DAP)を無菌で注入した(10mL中4g、pH4.0)。以前に再懸濁した酵母を発酵槽に添加した。成長中、糖尿病試験紙(OneTouch,UltraMini,LifeScan,Inc.,Milpitas,California,U.S.A.)を用いて、グルコース量を試験し、グルコース量が0.8mg/mL以下に低下した場合は、補足のグルコースを添加した。攪拌は、2時間の培養ならびに気流(3時間かけて最大4L/分)で、漸進的に500rpmまで増加させた。補足のグルコース基質の半分が消費された場合、追加のベントナイト(250mL脱イオン水中8、16、32g)を反応器に添加して、それぞれ最終培地中の粘土の最終濃度を0.5%、1.0%、および2.0%とした。
【0129】
すべての糖が利用されたら、酵母培養物を採取した。BioFlowの内容物を滅菌ボトルに収集し、4000gで20分間、遠心分離した。上清を除去し、ペレットをH2O中の0.125% NaClで洗浄した。遠心分離後の明らかな2層形成:(i)粘土含有層および(ii)酵母および粘土含有層によって、ペレットを2つの分画に分離した。次に、0.125%NaCl溶液で酵母を3回洗浄した。
【0130】
粘土をインターレースした酵母細胞壁抽出方法。2つの分離方法を使用して、上述のとおり生成された酵母から酵母細胞壁分画を単離した。
【0131】
第1の方法において、ガラスビーズおよびミニビードビーター(Bead−Beater,モデル#1107900、Biospec Products,Inc.,Hamilton Beach/Proctor−Silex,Inc.,Southern Pines,North Carolina,U.S.A.)を用いる「微量法」を使用した。2容量の10mM Tris−Clでペレットを再懸濁し、フェニルメチルスルホノフルオリド(PMSF)でpH7.4にし、総容量5mL中で30秒間、1分の休憩間隔をあけて、その間絶えず氷上で、ガラスビーズ(50:50、酵母スラリー:ビーズ)で打砕した。打砕は、10回または細胞の95%が分断されるまで繰り返した。ビーズを再収集し、洗浄した。分画をプールし、4000gで20分間、遠心分離した。次に、ペレットを収集し、凍結乾燥させて粉砕した。
【0132】
第2の方法において、酵母ペレットを、滅菌脱イオン水で乾燥物質の13〜15%の濃度に再懸濁した。酵母スラリーは、60℃で攪拌した。酵素を0.3mL/Lで添加する前に、10% NaOHを使用して、pHを8.0に調整した。温度および攪拌条件は、8時間にわたって維持した。最初の2時間は、15分毎にpHを監視および(10% NaOHを使用して)調整した後、次の6時間は、1時間毎にpHを監視および調整した。スラリーを滅菌遠心分離ボトルに移し、4000gで20分間遠心分離した。上清を破棄し、3容量の滅菌冷水でペレットを洗浄した後、再度4000gで20分間、遠心分離した。ペレットを凍結、凍結乾燥、および粉砕する前に、洗浄ステップを2回繰り返した。
【0133】
<実施例2>
粘土の非存在および存在下で培養される酵母細胞からガラスビーズおよびミニビードビーターを利用して単離される酵母細胞壁抽出物の特徴化
上述のように(実施例1を参照)ビードビーターおよびガラスビーズを使用する微量法を使用して、Tris−HCl緩衝液中、PMSFによりpH7.4で細胞を再懸濁した後、酵母細胞を分断した。次に、酵母細胞壁、および考慮されるそれぞれ個別のマイコトキシンの物理的pH条件下で、それらがマイコトキシンを吸着する能力(存在する総マイコトキシンと比較して、効率%として表される)を特徴化するため、酵母細胞壁溶解を分析した。全体吸着/結合活性を動力学的に評価した。最小5レベル〜最大10レベルのマイコトキシン濃度をなす試験試料を、0.25〜4g/Lの濃度で使用され、動物の体管におけるpHの消化条件を代表する固定値pH4の水性培地中に分散される、異なる酵母細胞壁調製物を用いて試験した。吸着評価は、蛍光およびダイオード−アレイ検出器に連結される(例えば、マイコトキシンおよび吸着/隔離されたマイコトキシンの量を検出する)、高性能液体クロマトグラフィを使用して計算した。
【0134】
データは、図3に示される。粘土の存在下で培養される酵母細胞(粘土をインターレースした酵母細胞)から得られる酵母細胞抽出物は、ゼアラレノンを隔離および吸着する、有意な予期せぬ能力を示した(例えば、粘土の非存在下で培養された酵母細胞から抽出した酵母細胞壁のわずか6.91%の有効性と比較して、2%の粘土存在下で培養された酵母細胞から抽出した酵母細胞壁は、79.33%の有効性を示す)。2%の粘土存在下で培養された酵母細胞から抽出した酵母細胞壁成分の有効率79.33%は、粘土が後に乾燥混合ベースに添加される、酵母細胞壁の組み合わせを含む、従来の組成物に関して以前に記録されている、わずか44.7%の有効率よりも有意に高かった。AFB1およびZEAの金属イオン隔離剤生成物の包含レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中で、それぞれ0.1および0.4%であった。回転攪拌下で、90分間、37℃で検定を行い、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して、結合された毒素の量を評価した。
【0135】
追加として、粘土の存在下で成長/培養された酵母は、細胞壁成分/構造において、有意な変化を示した。例えば、粘土の量が増加するにつれて、マンナン:グルカンの比率が増加する(例えば、粘土が、ゼロ、0.5%、1.0%〜2.0%に増加するにつれて、マンナン:グルカンの比率は、それぞれ1.01:1.2、1.35および1.45に増加する。タンパク質の総量も、細胞培養培地に添加される粘土の量の増加とともに増加した。
【0136】
<実施例3>
粘土の非存在および存在下で成長/培養された酵母細胞からのプロテアーゼ切断を利用して単離される酵母細胞壁抽出物の特徴化
酵母細胞は、実施例1に記載されるように、プロテアーゼで処理した。次に、酵母細胞壁、および考慮されるそれぞれ個別のマイコトキシンの物理的pH条件下で、それらがマイコトキシンを吸着する能力(存在する総マイコトキシンと比較して、効率%として表される)を特徴化するため、酵母細胞壁溶解を分析した。全体吸着活性を動力学的に評価した。最小5レベル〜最大10レベルのマイコトキシン濃度を成す試験試料を、0.25〜4g/Lの濃度で使用され、動物の体管における消化のpH条件を代表する固定値pH4の水性培地中に分散される、異なる酵母細胞壁調製物を用いて試験した。吸着評価は、蛍光およびダイオード−アレイ検出器に連結される(例えば、マイコトキシンおよび吸着/隔離されたマイコトキシンの量を検出する)、高性能液体クロマトグラフィを使用して計算した。
【0137】
データは、図4に示される。粘土の存在下で培養される酵母細胞(粘土をインターレースした酵母細胞)から得られる酵母細胞抽出物は、ゼアラレノンおよびアフロトキシンB1を隔離および吸着する、有意な予期せぬ能力を示した。例えば、ゼアラレノンの場合、粘土の非存在下で培養された酵母細胞から抽出した酵母細胞壁は、わずか69%の吸着有効率を示すに過ぎないが、2.0%の粘土存在下で成長した酵母から得た酵母細胞壁抽出物は、85.89%の有効性を示した。アフロトキシンB1の場合、粘土の非存在下で培養された酵母からの酵母細胞壁抽出物は、わずか2.65%の吸着有効率を示すに過ぎないが、2.0%の粘土存在下で成長した酵母から得た酵母細胞壁抽出物は、53.7%の有効性を示した。追加として、粘土の存在下で成長/培養された粘土をインターレースした酵母は、細胞壁成分/構造において有意な変化を示した。AFB1およびZEAの隔離生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。回転攪拌下で、90分間、37℃で検定を行い、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して、結合された毒素の量を評価した。
【0138】
実施例1の方法を、酵母の代替源とともに使用して、成長培地中に1.0%で添加される、スメクタイト粘土が、粘土をインターレースした酵母細胞材料の成分に及ぼす影響を評価した(American Colloid Company,Arlighton Height,IL,USA)。サッカロミセス・セレビシエに属する3つの酵母のタイプ、ADY Fermin(08−032/460−89)、Levapanからのパン酵母(バッチ#7169281、Levapan S.A.,Bogota,Columbia)、およびDCLからの活性乾燥酵母(ロット#1390、DCL Yeast Ltd.,Alloa,Great Britain)について調査した。
【0139】
粘土をインターレースした酵母細胞壁間の変動は、溶解前のADY Fermin、Levapan、DCL CIYCWに関して、酵母細胞壁に存在するグルカンの19.9、17.0、および10.3%、マンナンの10.6、10.4、および8.4%、ならびにキチン(N−アセチル−グルコサミン)の1.5、1.4、0.9%のレベルで認められた(および総細胞を参照して表された)。
【0140】
生成された材料の隔離有効性は、選択される酵母細胞型に従う差異も呈した(図9を参照)。有効性に関して認められる変動は、考慮されるマイコトキシンの型にも関連した。
【0141】
<実施例4>
粘土の非存在および存在下で成長/培養された酵母細胞からの酵母細胞壁抽出物の電子顕微鏡撮像
いくつかの酵母試料を特徴化および観察するため、本発明の実施形態の開発中に、実験を行った(例えば、図2を参照)。試料は、0.85% NaCl溶液中の2.5%グルタルアルデヒド(GTA)における酵母の再水和溶液のろ過によって調製した。次に、直径13mm、細孔径0.1μmの0.85% NaClで事前に湿らせたナイロンヌクレオポアを通して、溶液をろ過し、次に、ペトリ皿に移し、GTA/カコジル酸塩(Cac)固定剤の滴で、室温で90分間被覆した。次に、フィルタを0.1M Na Cac、pH7.2で洗浄した。二次固定は、0.1M Na Cac pH7中100μLの2%四酸化オスミウムの入ったチューブに60分間、フィルタを入れることによって達成した。次に、試料を0.1M Na Cac pH7.2で洗浄し、脱イオン水で3回洗浄した。試料の脱水は、エタノール系(25%〜100%)によって達成した。次に、試料を凍結乾燥し、導電目的で炭素テープにより調製されたスタブ上に載置して、Au/P合金で被覆した。観察は、3.0keVでS−4300FESEM(Hitachi,Japan)により行った。酵母と粘土との間の任意の不特定相互作用を除去するため、Au/Pで被覆する前に、窒素高圧ガスを各載置試料に適用した。
【0142】
<実施例5>
粘土で培養された酵母細胞壁の生成の準工業的規模拡大
規模拡大した酵母培養。150Lの発酵槽(ML−4100、New Brunswick Scientific Co.,Inc.,Edison,New Jersey,U.S.A.)を使用して、出芽酵母(Sacchromyces cerevisiae)(Fermin,Alltech Inc.からの活性乾燥酵母(ADY)、バッチ#609、酵母数:2.38x1010細胞/グラム、生存率:92.6%)を成長させた。酵母接種材料は、0.84kgの新鮮なADY Ferminを、チューブの付いた加熱滅菌済みの(121℃で40分間)19L カルボイ(7.5Lの水を含有するBioShieldで被覆され、加熱滅菌後、培養器内で一晩、30℃で維持された)に移すことによって調製した。BioShieldで被覆された2つの19L Foodカルボイは、9Lの水、6kgのデキストロースおよび攪拌バーを添加することによって調整した。炭素源を混合および溶解した後、食物培地を加熱滅菌した(121℃で40分間)。250mLの脱イオン水、濃縮HClによってpH4.0〜4.1に調整した120gのリン酸ジアンモニウムを含む、1Lの滅菌キャップボトルを使用して、窒素溶液を調製した。食物窒素の2つの1L滅菌キャップボトルは、700mLの脱イオン水、濃縮HClによってpH4.0〜4.1に調整した192gのリン酸ジアンモニウムを添加することによって調製した。塩基溶液は、チューブ付の19Lカルボイ中で調製し、BioShieldで被覆して、13.5Lの水、1.5LのKOHを入れた。次に、チューブを蠕動ポンプに接続した。抗発泡剤(Antifoam AES、1:10)溶液を、チューブ付の19Lカルボイ中で調製し、BioShieldで被覆して、12Lの水、3Lの抗発泡剤(Antifoam AES、3kg)を入れて混合した。次に、チューブを蠕動ポンプに接続した。150Lの発酵槽培地は、1.98kgの琥珀、0.3kgのペプトン、0.12kgのデキストロース、0.12kgの酵母窒素ベース、0.516gのスメクタイト粘土(American Colloid Company,Arlighton Height,IL,USA)、および60Lの水で構成し、121℃で15psi、1時間攪拌した。培地を30℃に冷却し、この温度を培養中維持した。
【0143】
培養は、30℃に維持された150Lの発酵槽上で、接種前および全体発酵槽中に、軽度の攪拌(パワーの70%)および空気注入(5psi)により行った。7.5Lの水中、0.84kgのADYを含む接種材料を、接種前に20〜30分間、150Lの発酵槽中で攪拌した。1本の食物窒素ボトルを、混合しながら各食物カルボイに添加した。窒素溶液を150Lの発酵槽にポンプ注入し、最小10分間、接種前に混合した。必要に応じて、抗発泡カルボイを取り付け、チューブを通じて、抗発泡剤を、150Lの発酵槽にポンプ注入した。泡プローブを発酵槽の内部に設置して発泡を監視し、抗発泡剤の適切な補充を可能にした。必要に応じて、塩基溶液を取り付け、チューブを通じて、150Lの発酵槽にポンプ注入した。150Lの発酵槽培地のpHの変化を監視し、全体成長中、最小pH5.0に維持した。接種は、接種カルボイをポートに取り付け、内容物を150Lの発酵槽にポンプ注入することによって行った。発酵槽中の接種材料の混合を、第1のサンプリングに先立って、20〜30分間行った。培養を通して発泡を監視し、空気および攪拌を毎時上方に調整した。pHを内的および外的に監視し、必要に応じて調整して、pH5.0以上に維持した。成長中、糖尿病試験紙(OneTouch,UltraMini,LifeScan,Inc.,Milpitas,California,U.S.A.)を使用してグルコース量を試験し、グルコース量が0.8mg/mL以下に低下した場合は、食物溶液を徐々にポンプ注入するか、または時間をかけて徐々に加速させることによって、補助的グルコースを添加した。糖レベルが0.8mg/mL以上に上がった場合、必要に応じて、供給速度を減速させるか、または遮断する。
【0144】
すべての糖が利用されたら酵母培養物を採取した。150Lの発酵槽の内容物を滅菌ボトルに収集し、4000gで20分間遠心分離した。上清を除去し、洗浄した酵母の乾燥物質のパーセンテージを測定した。次に、材料を150Lの発酵槽に戻し、水を添加して、スラリーを、乾燥物質の9〜11%から濃度13〜15%にした。攪拌は常に維持した。
【0145】
酵素加水分解による粘土をインターレースした酵母細胞壁の抽出。乾燥物質酵母スラリーの13〜15%を、60℃で攪拌した。pHは、酵素を0.3mL/Lで添加する前に、10% NaOHを使用して、8.0に調整した。温度および攪拌条件は、8時間以上維持した。pHを監視し、最初の2時間は15分毎に調整し(10% NaOHを使用して)、その後、pHを監視し、次の6時間は、1時間毎に調整した。スラリーを滅菌遠心分離ボトルに移し、4000gで20分間遠心分離した。上清を捨て、3容量の冷却滅菌水でペレットを洗浄した後、再度4000gで20分間遠心分離した。洗浄工程は、ペレットを冷凍、凍結乾燥および粉砕する前に、2回繰り返した。噴霧乾燥相中の温度の増加は、わずかに高い収率をもたらし、噴霧乾燥器中の生成物の蓄積が少なかった。
【0146】
粘土材料の包含は、試料の灰濃度の変化に続く場合があり、粘土をインターレースした酵母細胞壁の場合、任意の粘土材料を含有しない酵母細胞壁抽出物中の5%濃度と比較して、約20%の値に到達した(図6を参照)。150Lの発酵槽と比較して、Bioflow発酵槽中で以前に生成されたADY Fermin酵母細胞株間の組成物に関する有意差は、大規模生成におけるグルカンおよびマンナン組成物の減少だけでなく、酵母細胞壁のキチン含有量の増加(1.5%〜3%)とともに見出され、酵母細胞壁による摂動剤への応答を説明し、細胞壁シグナル伝達経路を示唆する。
【0147】
準工業規模のCIYCW生成物を、マイコトキシンの隔離有効性について評価したところ(例えば、図7を参照)、結果は、CIYCWのマイコトキシン吸着能力の増加を確認した。
【0148】
<実施例6>
糖の産業源を利用する粘土をインターレースした酵母細胞壁の生成
酵母培養物。サッカロミセス・セレビシエ細胞(Fermin,Alltech Inc.,からの活性乾燥酵母(ADY)、酵母数:2.38x1010細胞/グラム、生存率:92.6%)を、Biofow発酵槽(BioFlow III,New Brunswick Scientific Co.,Inc.,Edison,New Jersey,U.S.A.)中で成長させた。酵母接種材料は、29gの新鮮なADY Ferminを事前に加温した87mLの滅菌脱イオン水ボトルに移すことによって調製した。次に、溶液を30℃で(水浴中)20分間インキュベートし、数回かき混ぜた。BioFlow培地は、0.048gの低塩酸カルシウム、0.24gの硫酸マグネシウム、0.168gの硫酸亜鉛、0.24gの塩酸マグネシウム、2.4g(2.5mLの調製食物)サトウキビマスト、7.5スメクタイト粘土(最終培地中0.5%(American Colloid Company,Arlighton Height,IL,USA))および1440mLの脱イオン水で構成された。サトウキビマストは、水で希釈した糖蜜の総還元糖(TRS)溶液の30%である。マストの調製は、669gの糖蜜(62.8% TRS)および731mLの脱イオン水を用いて行った。窒素源は、163.5mLの脱イオン水中、54.5gの尿素で調製した。
【0149】
Bioflow反応器培地を30℃で加温し、空気を流速1L/分で10分間、接種前に注入した。攪拌は、300rpmに設定し、培地を監視して、リン酸85%を使用して、全体成長中、最小pH5.0に維持した。抗発泡剤を添加した(Antifoam AES,1:10、必要に応じて)。以前に再懸濁した酵母を発酵槽に添加した。成長中に、糖尿病試験紙(OneTouch,UltraMini,LifeScan,Inc.,Milpitas,California,U.S.A.)を用いて、グルコース量を試験し、グルコース量が0.8mg/mL以下に低下した場合は、(サトウキビマストからの)栄養補助食品を添加した。2時間の培養中、攪拌を進行的に500rpmまで増加させるとともに気流を増加させた(3時間で最大4L/分まで)。反応器に対する粘土の最終濃度は、最終培地中0.5%であった。
【0150】
発酵槽に添加される糖蜜の量は、糖を利用する酵母の効率に依存し、400〜600gを含んだ。糖蜜の過剰投与は、生成問題を生じ、発酵を通じて、任意の酵母バイオマスを生成不能にした。さらなる成長が認められなくなった後、酵母培養を採取した。BioFlowの内容物を滅菌ボトルに収集し、4000gで20分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットをH2O中の0.125% NaClで洗浄した。糖蜜を使用して、酵母の培養を行った場合、分離分画は認められなかった。次に、酵母を0.125% NaCl溶液で3回洗浄した。
【0151】
粘土をインターレースした酵母細胞壁の抽出方法。酵母ペレットを滅菌脱イオン水で、乾燥物質の13〜15%の濃度に再懸濁した。酵母スラリーを60℃で攪拌した。10% NaOHを使用して、酵素を0.3mL/Lで添加する前に、pHを8.0に調整した。温度および攪拌条件を8時間以上維持した。pHを監視し、最初の2時間は15分毎に調整し(10% NaOHを使用して)、その後、pHを監視し、次の6時間は、1時間毎に調整した。スラリーを滅菌遠心分離ボトルに移し、4000gで20分間遠心分離した。上清を捨て、3容量の冷却滅菌水でペレットを洗浄した後、再度4000gで20分間遠心分離した。洗浄工程は、ペレットを冷凍、凍結乾燥および粉砕する前に、2回繰り返した。
【0152】
生成された材料の隔離有効性は、酵母の培養に使用される炭素源に従う差異も呈した(図8を参照)。有効性に関して認められる変動は、考慮されるマイコトキシンの種類にも関連した。材料の組成物は、単一源の炭素として、デキストロースにより以前に生成された材料の組成物とも異なった。酵母細胞壁中に存在する(および総細胞を参照して発現される)13.4%グルカン、17.8%マンナン、および2.7%キチン(N−アセチル−グルコサミン)のレベルが見出された。
【0153】
<実施例7>
フサリウムマイコトキシンに対するインビボ有効性
1日齢のハイブリッド七面鳥の雛(Hybrid Turkeys,Kitchener,ON,Canada)を、グェルフ大学Arkell家禽研究所において個別に計量し、翼に帯を付けて、ランダムにグループ分けした。雛を、5つの食餌のそれぞれにランダムに割り当てた。最初に、雛を32℃で維持し、温度を1週間当たり3℃ずつ徐々に低下させて、4週間目の最後には、温度21℃に到達させた。この温度は、実験期間中維持した。七面鳥の雛に、コーン、小麦、および大豆ミールベースの開始(0〜3週間)食餌、および対照穀物、対照+0.2%の粘土をインターレースした酵母細胞壁、汚染した穀物、および汚染した穀物+0.2%の粘土をインターレースした酵母細胞壁を配合した飼育(4〜6週間)食餌を与えた。対照食餌は、NRC(1994)に従って、最小栄養要件を満たすか、または超えるように配合した。マイコトキシン汚染された食餌は、開始段階および飼育段階中に、25〜10%および26〜5%の対照コーンおよび小麦を、それぞれ汚染されたコーンおよびフサリウムマイコトキシンで自然に汚染された小麦と置換することによって調製した。対照穀物と汚染された穀物との置換レベルは、開始段階および飼育段階中の約4mgのDON/kgのマイコトキシン惹起を達成するように計算した。対照コーンを0.2%の粘土をインターレースした酵母細胞壁(CIYCW)と置換することによって、ポリマーグルコマンナン吸着剤を補充した食餌を調製した。食餌および水は、不断で提供した。代表的な食餌試料は、直前分析およびマイコトキシン分析のために各段階の開始時に採取した。タンパク質、乾燥物質、および灰の食餌含有量は、公認分析化学者協会(1980)に従って決定した。食餌の配合および栄養素の含有量は、表1に提示される。実験手順は、グェルフ大学動物愛護委員会によって承認され、Canadian Council on Animal Careのガイドラインに従う。
【0154】
【表1】



【0155】
DON、15−アセチル−DON、ZEN、フモニシン、およびオクラトキシンAの食餌濃度は、表2に示される。他のマイコトキシンは、方法検出限界以下であり、ニバレノールの場合0.12mg/kg、3−アセチル−DONの場合0.05mg/kg、ネオソラニオールの場合0.07mg/kg、ジアセトキシシルペノールおよびT−2毒素の場合0.06、およびアフラトキシンの場合0.001mg/kgであった。15−アセチル−DON、ZEN、フモニシン、およびオクラトキシンAの検出限界は、それぞれ0.06、0.05、0.025、0.05および0.0003mg/kgであった。
【0156】
【表2】

【0157】
汚染された穀物の給餌は、開始段階の最後に、体重増加、飼料消費、および飼料の利用効率に有意に影響しなかった(表3)。汚染された飼料の給餌は、飼育段階の最後と比較して、体重増加を有意に増大させ、飼料効率を向上させた。飼育段階中、食餌は飼料摂取に影響しなかった(表3)。飼育段階の最後に、汚染された食餌に対する粘土をインターレースした酵母細胞壁の補充は、対照と比較して、体重増加、飼料消費を増大させ、飼料の利用効率を向上させた。6週間の実験期間にわたる体重増加および飼料効率は、汚染された食餌および粘土をインターレースした酵母細胞壁を補充した汚染された食餌を与えられた鳥において、有意に高かった。
【0158】
【表3】


【0159】
汚染された穀物の給餌は、6週間目に好酸球数を増加させた(P<0.05)(表4)。汚染された食餌に粘土をインターレースした酵母細胞壁の補充は、これを回避した。粘土をインターレースした酵母細胞壁を対照食餌に補充すると、非補充対照と比較して、ヘマトクリットを有意に増加させた。対照と比較して、3週間目の汚染された食餌を与えられた鳥におけるグルコース濃度およびγ−グルタミルトランスフェラーゼの活性に有意な減少が見られた(表5)。粘土をインターレースした酵母細胞壁の補充は、これを回避した。汚染された食餌に対する粘土をインターレースした酵母細胞壁の補充は、3週間および6週間目の対照と比較して、尿酸の濃度を有意に増加させた。対照と比較して、汚染された食餌+粘土をインターレースした酵母細胞壁を与えられた鳥において、3週間目に乳酸デヒドロゲナーゼの活性に有意な減少が見られた。
【0160】
【表4】



【0161】
【表5】





【0162】
汚染された穀物の給餌は、対照と比較して、6週間目の乳酸デヒドロゲナーゼを有意に減少させた(表5)。粘土をインターレースした酵母細胞壁の補充によってこれを回避した。汚染された粘土をインターレースした酵母細胞壁食餌を与えた鳥において、カルシウムおよびリンの濃度に有意な増加が見られた。6週間目の同一の食餌も、対照と比較して、γ−グルタミルトランスフェラーゼの活性を有意に減少させた。粘土をインターレースした酵母細胞壁を補充した汚染食餌を与えた鳥において、総タンパク質およびグロブリンの濃度の有意な増加、およびコレステロール値の減少が認められた。
【0163】
フサリウムマイコトキシンによって自然に汚染された穀物を七面鳥に給餌することによって、体重増加および食餌有効性に関して、ホルメシス反応をもたらした。食餌媒介性のフサリウムマイコトキシンは、対照と比較して、血液パラメータに何らかの影響をもたらし、6週間目の好酸球数の増加および乳酸デヒドロゲナーゼ活性の減少、ならびに3週間目のグルコース濃度およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ活性の減少を含む。粘土をインターレースした酵母細胞壁の給餌は、これらの影響のすべてを回避した。粘土をインターレースした酵母細胞壁の給餌は、汚染された穀物を補充していない給餌と比較して、数値の増加をもたらした(P>0.05)。
【0164】
上記明細書において記述されるすべての発行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。記載される本発明の組成物および方法の種々の変更および変形は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者に明らかとなる。本発明は、特定の好適な実施形態と併せて説明されたが、請求されている本発明が、そのような特定の実施形態に不要に限定されるべきでないことを理解されたい。実際に、本発明を実施するための記載される形態の種々の変更は、関連分野における当業者に明らかであり、本発明の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】A)粘土および/または粘土成分を酵母細胞壁にインターレースした酵母細胞の図、およびB)(a)粘土の非存在下で培養された酵母細胞の酵母細胞壁と、(b)粘土の存在下で成長/培養された酵母細胞の酵母細胞壁との比較説明を示す。
【図2】(A)ベントナイト粘土(Fluka)、(B)粘土の非存在下で培養された酵母細胞および酵母細胞壁のグルカン部分の拡大、(C1)2%ベントナイト粘土の存在下で培養された酵母細胞(ベントナイトのラメラ構造に捕捉されたいくつかの酵母細胞の集合体形成に関する詳細とともに)、(C2)2%ベントナイト粘土の存在下で培養された酵母細胞(酵母細胞壁構造に直接粘土を包含することに関する詳細とともに)の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図3】ガラスビーズおよびミニビードビーターを利用して、酵母細胞から調製され、粘土の非存在下で培養された酵母細胞壁抽出物(酵母細胞壁「YCW」のみ)、0.5%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+5%)、1%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+1.0%)、および2.0%粘土の存在下で培養された酵母細胞の特徴を提供する。追加として、試料それぞれのマイコトキシンゼアラレノンの吸着パーセントを提供する。
【図4】粘土の非存在下で培養された酵母細胞からのプロテアーゼ切断を利用して調製された酵母細胞壁抽出物(YCWのみ)、1%粘土の存在下で培養された酵母細胞(YCW+1.0%)、および2.0%粘土の存在下で培養された酵母細胞の特徴を提供する。
【図5】酵母細胞の構造を表す。
【図6】準工業規模で生成された2つのCIYCWバッチの組成物を示す。
【図7】準工業規模で、スメクタイト粘土を用いる場合と用いない場合に、酵素溶解により抽出されたか、または抽出されていない酵母細胞壁を用いて得られた隔離有効性の結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。
【図8】スメクタイト粘土を用いて生成され、酵素溶解により抽出された酵母細胞壁を用いて得られた隔離有効性の結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。
【図9】粘土MBB02を用いるか、または用いずに成長し、酵素溶解により抽出されたか、または抽出されていない3つの株に由来する、異なる酵母細胞壁を用いて得られた吸着結果を示す。AFB1およびZEAに対する隔離剤生成物の含有レベルは、一定pH4.0に維持された反応培地中、それぞれ0.1および0.4%であった。検定は、回転攪拌下、37℃で90分間行い、結合された毒素の量は、蛍光検出器を備えたHPLCを使用して評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母細胞壁にインターレースした粘土または粘土成分を含む前記酵母細胞壁を含む、酵母細胞。
【請求項2】
前記酵母細胞は、粘土を含む細胞培養培地中で培養される、請求項1に記載の酵母細胞。
【請求項3】
前記粘土は、ケイ酸塩群に属する鉱物粘土または合成粘土である、請求項2に記載の酵母細胞。
【請求項4】
前記粘土は、ゼオライト、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、モンモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、有機粘土、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の酵母細胞。
【請求項5】
粘土は、アルミノケイ酸塩粘土である、請求項4に記載の酵母細胞。
【請求項6】
前記細胞培養培地中の粘土の量は、約0.125%〜4.0%である、請求項2に記載の酵母細胞。
【請求項7】
前記細胞培養培地中の粘土の量は、約0.5%〜2.0%である、請求項6に記載の酵母細胞。
【請求項8】
前記酵母は、サッカロミセス、カンジダ、クリベロミセス、トルラスポラ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の酵母細胞。
【請求項9】
前記酵母は、サッカロミセス・セレビシエである、請求項8に記載の酵母細胞。
【請求項10】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む、組成物。
【請求項11】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、粘土を含む成長培地中で培養された酵母細胞に由来する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ガラスビーズおよびビードビーターを利用して、前記酵母細胞壁抽出物を調製する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
酵素処理を利用して、前記酵母細胞壁抽出物を調製する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、飼料に添加される、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記飼料は、完全混合飼料(TMR)、秣、ペレット、濃縮物、プレミックス、副産物、穀物、醸造かす、糖蜜、ファイバー、飼い葉、草、干草、穀粒、葉、穀粉、溶解物、および栄養補助剤から成る群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、有機材料に添加される、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、水に添加される、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を通じて液体がろ過される、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
前記液体は、ジュース、水、ビール、またはワインである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
動物界の任意のメンバーに食餌として与えるために配合される、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
前記メンバーは、鳥、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、およびヤギ、魚、貝、ラクダ、ネコ、イヌ、および齧歯類種から成る群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、1つ以上の種類のマイコトキシンを隔離する、請求項10に記載の組成物。
【請求項23】
前記マイコトキシンは、アフラトキシン、ゼアラレノン、トリコテセン、フモニシン、オクラトキシンから成る群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記マイコトキシンは、アセトキシシルペンジオール、アセチルデオキシニバレノール、アセチルニバレノール、アセチルネオソラニオール、すべてのアフラトキシンに拡大されるアセチルT−2トキシン、アフラトキシンB1、B2、G1およびG2、アフラトレム、アルテン酸アルテルナリオール、アウストジオール、アウストアミド、アウストシスチン、アベナセイン+1、ボーベリシン+2、ベンテノリド、ブレビアンアミド、ブテノリド、カロネクトリン、カエトグロボシン、シトリニン、シトレオビリジン、コクリオジノール、シトカラシンE、シクロピアゾン酸、脱アセチルカロネクトリン、脱アクチルネオソラニオール、脱オキシニバレノールジアセテート、脱オキシニバレノールモノアセテート、ジアセトキシシルペノール、デストラキシンB、すべての麦角毒素およびエンドファイトに拡大されるエンニアチン、フルクチゲニン+1、フマギリン、フモニシン、フモニシンB1およびB2およびB3、フサレノン−X、フサロクロマノン、フサル酸、フサリン、グリオトキシン、HT−2トキシン、イポメアニン、イスランジトキシン、ラテリチン+1、リコマラスミン+1、マルホルミン、マルトリジン、モニリホルミン、モノアセトキシシルペノール、ネオソラニオール、ニバレノール、すべてのオクラトキシンに拡大されるNT−1トキシン、NT−2トキシン、オオスポレイン、オキサル酸、パツリン、ペニシリン、ペニシル酸、ペニトレム、ロリジンE、ルブラトキシン、ルブロスキリン、ルブロスルフィン、ルグロシン、サンブシニン+1、サトラトキシンF、G、H、シルペントリオール、スラフラミン、無菌濃縮された改変酵母細胞壁抽出物トシスチン、T−1トキシン、T−2トキシン、すべてのトリコテセンに拡大されるトリアセトキシシルペンジオール、トリコデルミン、トリコテシン、トリコベリン、トリコベロール、トリプトキバレン、ベルカリン、ベルクロゲン、ビオプルプリン、ビオメレイン、ビリジトキシン、キサントシリン、ヤバナイシン+1、およびゼアラレノール、およびゼアラレノンから成る群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含み、前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、マイコトキシンを隔離するために有効な量で存在する、動物飼料。
【請求項26】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、前記飼料の約0.0125重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項25に記載の動物飼料。
【請求項27】
前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物は、前記飼料の約0.0125重量%〜約4.0重量%の量で存在する、請求項25に記載の動物飼料。
【請求項28】
動物またはヒトに対するマイコトキシンの生物学的利用能を低減させるための方法であって、
a)
i)粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む組成物と、
ii)動物またはヒトによって消費される材料と、
を準備することと、
b)前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を、前記材料に組み込んで、粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物が組み込まれた材料を生成することと、
c)前記動物またはヒトに、前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物が組み込まれた材料を消費させることと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記材料は飼料である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む前記組成物の約0.0125重量%〜約0.4重量%が、前記飼料に添加される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記材料は敷き藁である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む前記組成物の約0.0125重量%〜約99.0重量%が、前記敷き藁に添加される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記材料は液体である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む前記組成物の約0.0125重量%〜約99.0重量%が、前記液体に添加される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記動物は、鳥、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、およびヤギ、魚、貝、ラクダ、ネコ、イヌ、および齧歯類種から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を含む前記組成物は、1つ以上の種類のマイコトキシンを隔離する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記マイコトキシンは、アフラトキシン、ゼアラレノン、トリコテセン、フモニシン、オクラトキシン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
追加の薬剤を、前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物が組み込まれた材料に組み込むことをさらに含み、前記薬剤は、エステラーゼ、エポキシダーゼ、酵母、および細菌株から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
産業用量の粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁抽出物を生成する方法であって、
a)
i)酵母開始培養物と、
ii)酵母細胞培養培地であって、前記酵母細胞培養培地は、酵母成長に必要な栄養素と、粘土または粘土成分とを含む、酵母細胞培養培地と、
を準備することと、
b)前記酵母開始培養物を前記酵母細胞培養培地に導入することと、
c)酵母成長を可能にするように構成された条件下で、前記酵母を産業用発酵槽中でインキュベートすることであって、前記酵母は、前記粘土または粘土成分を、成長中に前記酵母細胞壁に組み込むことと、
d)抗発泡剤を前記発酵槽に添加することと、
e)前記粘土または粘土をインターレースした酵母細胞壁を溶解することと、
f)前記粘土または粘土成分をインターレースした酵母細胞壁を他の酵母成分から分離することと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記酵母は、サッカロミセス、カンジダ、クリベロミセス、トルラスポラ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記粘土は、ケイ酸塩群に属する鉱物粘土または合成粘土である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記粘土は、ゼオライト、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、モンモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、有機粘土、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記粘土は、アルミノケイ酸塩粘土である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞培養培地中の粘土の量は、約0.125%〜4.0%である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞培養培地中の粘土の量は、約0.5%〜2.0%である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記産業用発酵槽は、1,000〜5,000,000リットルである、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記抗発泡剤を添加して、前記インキュベーション過程に対する前記粘土の影響を軽減する、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記抗発泡剤は、ノンシリコーン分子消泡剤、油性消泡剤、粉末消泡剤、水性消泡剤、シリコーン性消泡剤、ポリエチレングリコール性消泡剤、ポリプロピレングリコール性消泡剤、およびポリアクリル酸アルキルから成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記抗発泡剤は、ノンシリコーン分子泡剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記溶解は、ガラスビーズ、ビードビーター、および/または酵素処理を含む、請求項39に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515001(P2012−515001A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546341(P2011−546341)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/021076
【国際公開番号】WO2010/083336
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(505404655)オルテック インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】