説明

粘着剤組成物、粘着シート、及び光学用積層シート

【課題】高温高湿環境下での白化現象を防ぎ、良好な透明性及び接着性を有する粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含む(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含み、重量平均分子量(Mw)が2500以上10000以下である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、エポキシ基及びイソシアネート基の少なくとも一方とアルキレンオキシド鎖とを有する化合物(C)とを含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着シート、及び光学用積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などのモバイル端末、パーソナルコンピュータ、家電製品等の入力部位となるタッチパネル、液晶やPDP等を使用した画像表示装置、その他光学用フィルムなどの分野において、プラスチックフィルムを積層して高機能化する試みが広く行なわれている。
【0003】
このようにプラスチックフィルムが積層された積層フィルムは、一般に、種々の特性を有するフィルムが粘着剤を介して積層されることにより作製されるが、各層間に使用される粘着剤組成物も、積層フィルムの高機能化に対応した諸機能が要求されている。
【0004】
例えば、タッチパネル用途においては、ポリカーボネート等の透明プラスチック基板と、導電性のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという。)との貼り合わせや、導電性PETフィルムとハードコートフィルムとの貼り合わせに粘着剤組成物が両面テープの形態で使用されている。
【0005】
具体的には、特定の構造を有するアクリル系ポリマーとオリゴマーとをブレンドした粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物層を透明基材の両面に形成した両面テープが開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。この粘着剤組成物層は、タッチパネル用途に適用した場合に、高温下の使用においてもポリカーボネート板からの発生ガスによる粘着剤の発泡や膨れが抑えられるとされている。
【0006】
タッチパネルの入力方式としては、種々の方式が知られているが、現在では「抵抗膜方式」及び「静電容量方式」が主流となっている。耐久性が高く、透明度が高い静電容量方式においては、ITO層が直接粘着剤層に接した構造を有しているため、金属に対する腐食性の低い粘着剤が必要とされている。また、粘着剤組成物には、反射性を付与するために金属層が蒸着されたプリズムシート等を貼り合わせる等の光学用途に使用される場合にも、金属に対する耐腐食性が要求される。
【0007】
このような、アクリル系ポリマーとオリゴマーとをブレンドした粘着剤組成物は、他に偏光板等の光学部材等の貼り合わせ等の用途にも使用することができる。例えば、被着体との密着性に優れ、応力緩和性に優れた粘着剤組成物として、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー及び架橋剤成分を含有する組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
一方、表示装置等の光学部材やタッチパネル等の光学用途では、高温高湿条件下に置かれることが多い。ところが、高温高湿条件下に曝されると、水分が粘着剤層に浸入し、粘着剤層が白化する問題がある。このような白化現象に対して、樹脂に特定のモノマーを共重合することで高温高湿条件下での透明性を容易に回復する粘着シートが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−255877号公報
【特許文献2】特開2005−15524号公報
【特許文献3】特開2001−335767号公報
【特許文献4】特開2002−327160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術のように、樹脂のモノマー成分として特定のモノマーを含める場合にそれが多量になると、樹脂の特性が変化して粘着剤としての接着性が失われる場合がある。
【0011】
また、白化現象を抑えるため、重量平均分子量が2500に満たない低分子量の化合物を組成物に直接添加した場合には、その化合物が粘着剤組成物の表面にブリードアウトしやすく、粘着剤としての接着性が失われるという課題もある。
【0012】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高温高湿環境下での白化現象を防ぎ、良好な透明性及び接着性を有する粘着剤組成物及び粘着シート、並びに使用環境に関わらず、長期に亘る耐久性をそなえた光学用積層シートを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含む(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含み、重量平均分子量(Mw)が2500以上10000以下である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、エポキシ基及びイソシアネート基の少なくとも一方とアルキレンオキシド鎖とを有する化合物(C)と、を含有する粘着剤組成物である。
【0014】
<2> 前記化合物(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である前記<1>に記載の粘着剤組成物である。
【0015】
<3> 前記化合物(C)は、炭素数2〜3のアルキレンオキシド鎖の単位数(n)が1〜23であるポリアルキレングリコール(モノ又はジ)グリシジルエーテルである前記<1>又は前記<2>に記載の粘着剤組成物である。
【0016】
<4> 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の少なくとも一方の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体におけるアルキル部位の炭素数が2〜8である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物である。
【0017】
<5> 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の少なくとも一方の、前記水酸基を有する単量体は、アルキル部位の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物である。
【0018】
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層を有する粘着シートである。
【0019】
<7> シート状の光学部材と、前記光学部材の少なくとも一方の側に設けられ、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層と、を有する光学用積層シートである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高温高湿環境下での白化現象を防ぎ、良好な透明性及び接着性を有する粘着剤組成物及び粘着シートを提供することができる。また、
本発明によれば、使用環境に関わらず、長期に亘る耐久性をそなえた光学用積層シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の粘着シートの一例である両面粘着シートの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の光学用積層シートの一例であるタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の粘着剤組成物、並びにこれを用いた粘着シート及び光学用積層シートについて詳細に説明する。
【0023】
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含む(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含み、重量平均分子量(Mw)が2500以上10000以下である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)、並びに、エポキシ基及びイソシアネート基の少なくとも一方とアルキレンオキシド鎖とを有する化合物(C)を用いて構成されている。また、本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、更に、架橋剤や促進剤、その他添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0024】
高温高湿環境などの水分量の多い環境条件下に曝された場合にその水分が粘着剤組成物に入り込んで低温時等の条件下で白化する現象を防ぐには、アルキレンオキシ基を与えて親水性を持たせることが有用であることが分かっているが、(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分として、アルキレンオキシ基を有する単量体を多量に含ませると、白化防止に効果はあるが、組成物自体の接着性が損なわれやすく、また、このような単量体を、ポリマーの重合成分としてではなく組成物に化合物として直接添加した場合には、その単量体が組成物の表面にブリードアウトし、接着性も低下する傾向がある。そのため、本発明においては、
(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び主として粘着性に寄与する(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と共に、アルキレンオキシド鎖に加えてエポキシ基やイソシアネート基を持つ化合物(C)を用いることにより、高温高湿環境下などでの白化現象が抑えられると共に、エポキシ基やイソシアネート基が(メタ)アクリル系ポリマー(A)と反応する架橋点となるために組成物表面に現れ難くなり、接着性の低下を招くこともない。
すなわち、本発明においては、被着材料との間の接着性と高温高湿環境など水分量の多い環境下で生じやすい白化現象の防止との両立が可能になる。
【0025】
なお、本明細書中において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0026】
以下に各成分について詳述する。
−(メタ)アクリル系ポリマー(A)−
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と、水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含む(メタ)アクリル系ポリマーの少なくとも一種を含有する。
【0027】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、水酸基を有する水酸基含有単量体とを少なくとも共重合させて得られる共重合体であり、特に前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体として、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好適に共重合反応に供される。
【0028】
C=C(R)COOR ・・・一般式(1)
一般式(1)において、Rは、アルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0029】
前記一般式(1)中のRは、炭素数2〜8の直鎖又は分鎖アルキル基が好ましい。その理由は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度を適切な範囲にし易く、粘着剤組成物の接着力を適切な範囲に制御し易いためである。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特にn−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
前記アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位の含有比率は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー由来の構成単位の総質量に対して、一般に50〜99質量%が好ましく、より好ましくは70〜99質量%である。アクリル酸アルキルエステル単量体の共重合比率が50質量%以上であると、接着性、耐久性、段差面に対する追従性のバランスに優れる。
【0032】
また、前記水酸基を有する水酸基含有単量体(以下、水酸基含有単量体ともいう。)は、接着性、耐久性、及び凹凸面(段差)に対する追従性を付与することができる。
水酸基含有単量体としては、水酸基を持つ以外は特に制限はなく、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基含有単量体が挙げられる。中でも、アルキル部位の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル部位の炭素数は2〜4の範囲であることがより好ましい。
上記のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合性及び後述する(メタ)アクリル系オリゴマー(B)との相溶性に優れる点で、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートが更に好ましい。
【0033】
水酸基含有単量体に由来の構成単位の含有比率は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー由来の構成単位の総質量に対して、0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%の範囲である。水酸基含有単量体の含有量は、50質量%以下であると、凹凸面(段差)への追従性に優れており、また0.5質量%以上であると、接着性及び凝集力に優れる。
【0034】
また、(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、必要に応じて、上記以外の他のモノマー成分として、共単量体を含有させることができる。
共単量体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と水酸基含有単量体とは異なる単量体(モノマー)であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体や水酸基含有単量体と共重合可能な単量体である。
前記共単量体の具体例としては、前記アルキルエステル単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル、例えば、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート等(好ましくはメチルアクリレ−ト);メタクリル酸エステル等(好ましくはメチルメタリレート); 飽和脂肪酸ビニルエステル(例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等)、芳香族ビニル単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、シアン化ビニル単量体(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、マレイン酸もしくはフマル酸のジエステル(例えば、ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルマレート、ジ−n−オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート、ジ−n−オクチルフマレート等)挙げられる。
【0035】
また、共単量体として、水酸基含有単量体とは異なる、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体(以下、官能性共単量体という。)を用いることができる。このような官能性共単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、低級アルコキシル基、エポキシ基、又は珪素含有基等を有する単量体が挙げられる。
【0036】
前記官能性共単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0037】
例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0038】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等のエポキシ基含有単量体;
【0039】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2−ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;
等の単量体群を挙げることができる。
【0040】
官能性共単量体に由来の構成単位の含有比率は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー由来の構成単位の総質量に対して、一般に0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%の範囲である。官能性共単量体の含有量が30質量%以下であると、接着性、耐久性、及び凹凸面(段差)に対する追従性のバランスに優れる。
【0041】
さらに、前記共単量体として、必要に応じて、分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体を共重合することも可能である。
このような共単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような「分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する共単量体」は、本発明の優れた効果を損なわない範囲において含有させることができ、その含有量は、例えば(メタ)アクリル系ポリマー(A)を形成するモノマー成分の全量に対して0.5質量%以下の範囲などとすることが好ましい。
【0042】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量(Mw)が40万以上140万以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50万以上80万以下の範囲である。
前記重量平均分子量(Mw)が上記範囲であることは、後述の(メタ)アクリル系オリゴマーと区別されるポリマー成分であることを表す。また更には、Mwが40万以上であると、凝集力が適切に保たれ、耐久性試験において気泡の発生が抑えられ、またMwが140万以下であると、凹凸面(段差)に対する追従性が保てる。
【0043】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、一般に20以下が好ましく、より好ましくは5〜15の範囲である。比Mw/Mnの値が20以下であると、凝集力不足などに伴なう不都合が生じ難い。
【0044】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の方法により測定される値である。
[平均分子量(Mw及びMn)の測定方法]
Mw及びMnは、下記(1)〜(3)にしたがって測定される。
(1)(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、フィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーを得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーをテトラヒドロフランにて固形分0.2質量%になるように溶解する。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定する。
<条件>
・GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
・カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流速 :0.6ml/min
・カラム温度:40℃
【0045】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、そのガラス転移温度(TgA)が−70〜−30℃の範囲であることが好ましく、−50〜−40℃の範囲であることがさらに好ましい。TgAが−30℃以下であると、凹凸面(段差)に対する追従性が高く、またTgAが−70℃以上であると、接着性が高く、高温での耐久性に優れる。
【0046】
本明細書において、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、以下の計算により求められるモル平均ガラス転移温度である。
下記式中のTg、Tg、・・・・・及びTgは、成分1、成分2、・・・・・及び成分nそれぞれの単独重合体のガラス転移温度であり、絶対温度(゜K)に換算し算出される。m、m、・・・・・及びmは、それぞれの成分のモル分率である。
【0047】
[ガラス転移温度(Tg)の算出式]
【数1】

【0048】
なお、ここでいう「単独重合体のガラス転移温度(Tg)」には、L.E.ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35頁に記載されている単量体のガラス転移温度が適用される。
【0049】
また、本発明における(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶解性パラメーター(SPA;単位:(J/cm1/2)としては、10〜30の範囲が好ましく、15〜25の範囲がより好ましい。SPAが10〜30の範囲であると、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)との相溶性を制御しやすい。
【0050】
−(メタ)アクリル系オリゴマー(B)−
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と、水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含み、重量平均分子量(Mw)が2500以上10000以下である(メタ)アクリル系オリゴマーの少なくとも一種を含有する。
【0051】
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、水酸基を有する水酸基含有単量体とを少なくとも共重合させて得られる共重合体であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び水酸基含有単量体の詳細については、既述の(メタ)アクリル系ポリマー(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び水酸基含有単量体と同様である。
【0052】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)に用いられる単量体を用いることができ、特には、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好適である。この中でも、接着性、耐久性、透明性の点から、t−ブチルメタクリレート(tBMA)、i−ブチルメタクリレート(iBMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)が好ましく、さらに好ましくは、接着性、高温での耐久性の点で、t−ブチルメタクリレート(tBMA)である。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、前記具体例をいずれも一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位の、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)中における含有比率は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル自体の種類及び後述する水酸基含有単量体の種類により、後述するガラス転移温度及びSP値を満たすように適宜選択することができる。一般には、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を構成するモノマー由来の構成単位の総質量に対して、50〜99質量%が好ましく、より好ましくは70〜90質量%である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位の含有比率は、50質量%以上であると、接着性、高温での耐久性に優れており、99質量%以下であると、凹凸面や段差面に対する追従性、被着材料への濡れ性に優れる。
【0054】
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成する前記水酸基含有単量体の具体例としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)に用いられる水酸基含有単量体として列挙したものを用いることができ、中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合性及び前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性に優れる点で、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートが更に好ましい。
【0055】
水酸基含有単量体に由来の構成単位の、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)中における含有比率は、水酸基含有単量体自体の種類及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類により適宜選択することができる。一般には、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を構成するモノマー由来の構成単位の総質量に対して、一般には0質量%を超え50質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
水酸基含有単量体の重合比率が50質量%以下であると、高温での耐久性及び前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性に優れる。
【0056】
さらに、前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)中に、構成成分として、カルボキシル基、水酸基等の官能基を有する単量体を含んでもよい。
【0057】
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の分子量は、前記「重量平均分子量の測定方法」にしたがって測定される重量平均分子量(Mw)で、2500〜10000の範囲とし、好ましくは4000〜7500の範囲である。Mwが2500未満であると、低分子成分によるリワーク性、凝集力の低下が大きく、また高温高湿環境下での白化が悪化し、接着性も低下する。また、Mwが10000を超えると、被着材料の凹凸面、段差面に対する追従性が悪くなり、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性も低下する。
【0058】
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)のガラス転移温度(TgB)は、10〜120℃の範囲であるのが好ましく、より好ましくは50〜120℃の範囲である。TgBが10℃以上であると、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性に優れており、TgBが120℃以下であると、接着性に優れる。
TgBは、前記「ガラス転移温度(Tg)の算出式」を用いた前記方法により算出される値である。
【0059】
また、本発明における(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の溶解性パラメーター(SPB;単位:(J/cm1/2)としては、10〜30の範囲が好ましく、15〜25の範囲がより好ましい。SPBが10〜30であると、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性を制御しやすく有利である。
【0060】
本発明においては、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の溶解性パラメーター(SPB)と、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶解性パラメーター(SPA)との差(絶対値)ΔSP(=|SPB−SPA|)が、3.0未満であることが好ましい。ΔSPの好ましい範囲は、2.0以下であり、更には1.0以下である。
溶解性パラメーターの差ΔSPが3.0以下であると、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と(メタ)アクリル系オリゴマー(B)との相溶性を良好に維持されるので 透明性を保持することができる。
【0061】
前記SPA及びSPBで表される溶解性パラメーター(SP値)は、物質の溶解性の傾向を表す指標である。
SP値は、種々の方法で測定又は計算することができ、例えば、「SP値基礎・応用と計算方法」山本秀樹著:(2005年)に詳述されている。
例えば、重合体のSP値は、凝集エネルギー密度Eとモル分子容Vとに基づいて求める、下式で表されるFedorの推算法により算出される。
SP=[ΣEcoh/ΣV]1/2
また、共重合体のSP値は、単量体由来の共重合成分(構成単位)の各々のSP値に、その各々の構成モル分率を乗じたものを合算し、溶解性パラメーターとする。
【0062】
本発明の粘着剤組成物において、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)との含有比率は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)5〜60質量部、更には10〜40質量部が好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の割合が60質量部以下であると、凝集力及び相溶性の低下が少なく、高温高湿下での透明性に優れており、また該割合が5質量部以上であると、凹凸面、段差面に対する追従性、接着性、加工性に優れる。
【0063】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、その重合方法に特に制限されるものではない。該重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの公知の方法を適用することができるが、重合により得られた共重合体の混合により本発明の粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単で且つ短時間で行なえる点で、溶液重合による方法が好ましい。
【0064】
前記溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行なわれる。この場合、有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0065】
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;
例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;
例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;
などを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、それぞれ一種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0066】
前記有機溶媒のうち、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒、例えば、エステル類、ケトン類を用いることが好ましく、特に(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどが好ましい。また、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を製造する場合には、連鎖移動を生じやすい有機溶媒、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類を用いることが好ましく、特に重合反応の容易さなどの点から、トルエン、メチルエチルケトンなどが好ましい。
【0067】
前記重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
【0068】
前記有機過酸化物のうち、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特にアゾビス系の重合開始剤が好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、通常は単量体の合計量100質量部に対して、0.01〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
また、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の重合に際しては、反応温度により異なるが、10時間半減期温度の低い重合開始剤が好ましく、例えば、10時間半減期温度が80℃以下、好ましくは70℃以下の重合開始剤がより好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、通常は単量体の合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部である。
【0069】
また、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造に際しては、連鎖移動剤は使用しないのが一般的であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて連鎖移動剤を使用することは可能である。一方、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を製造する場合には、しばしば連鎖移動剤の存在下で重合が行なわれる。
本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造には、連鎖移動剤を使用しない方が好ましく、また(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造には、連鎖移動剤のうち、好ましくはメルカプタン類、ハロゲン化炭化水素を、単量体の合計量100質量部に対して0.005〜10.0質量部の範囲で用いることができる。
【0070】
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0071】
重合反応時の重合温度としては、一般に約30〜180℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃の範囲である。特に、本発明における(メタ)アクリル系ポリマー(A)を製造する場合の重合温度は、50〜90℃が好ましく、より好ましくは50〜80℃であり、本発明における(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を製造する場合の重合温度は、70〜110℃が好ましく、より好ましくは80〜100℃である。
【0072】
−化合物(C)−
本発明の粘着剤組成物は、エポキシ基及びイソシアネート基の少なくとも一方と、アルキレンオキシド鎖とを有する化合物(以下、「アルキレンオキシド含有化合物」ともいう。)の少なくとも一種を含有する。アルキレンオキシド含有化合物を含有することにより、高温高湿環境下など水分量の多い環境に曝された場合の白化現象を防ぎ、当該化合物(C)が組成物表面にブリードアウトして、被着材料との接着性が悪化する懸念も少ない。
【0073】
アルキレンオキシド含有化合物中のアルキレンオキシド鎖の単位数(n)は、平均付加モル数で1〜23が好ましく、4〜23がより好ましく、4〜15が更に好ましく、4〜10が特に好ましい。単位数nは、1以上であることで白化現象の防止効果が得られ、高温高湿下の透明性が良好になり、23以下であると溶剤への溶解性が高い点で有利である。
【0074】
前記アルキレンオキシド含有化合物としては、エポキシ基及び/又はイソシアネート基を有すると共に例えばエチレンオキシド鎖やプロピレンオキシド鎖等のアルキレンオキシド鎖を有するアルキレンオキシド含有化合物などが挙げられる。
本発明におけるアルキレンオキシド含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。中でも、白化現象の防止の点で、炭素数2〜3のアルキレンオキシド鎖の単位数(n)が1〜23であるポリアルキレングリコール(モノ又はジ)グリシジルエーテルが好ましく、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖の単位数nが4〜10のポリエチレングリコール(モノ又はジ)グリシジルエーテル又はポリプロピレングリコール(モノもしくはジ)グリシジルエーテルがより好ましく、更には、エチレンオキシド鎖の単位数nが4〜10のポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0075】
アルキレンオキシド含有化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、阪本薬品工業(株)製のSR−PG(n=1)、SR−TPG(n=3)、SR−4PG(n=7)等のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、SR−2EG(n=2)、SR−8EG(n=9)、SR−8EGS(n=9)等のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、SR−DGE(n=2)、SR−4GL(n=4)、SR−4GLS(n=4)等のポリグリセリンポリグリシジルエーテルなど、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−810、同EX−811、同EX−850(いずれもジエチレングリコールジグリシジルエーテル、n=22)、同EX−861(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)、同EX−911(プロピレングリコールジグリシジルエーテル)、同EX−931(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、n=11)など、を挙げることができる。
上記カッコ内の「n」は、アルキレンオキシド鎖の単位数を表す。
【0076】
アルキレンオキシド含有化合物は、アルキレンオキシド鎖を含む単量体と、エポキシ基及び/又はイソシアネート基を含む単量体及び/又はこれら以外の他の単量体との共重合体であってもよい。
これらのうち、エポキシ基及び/又はイソシアネート基を含む単量体の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有単量体が挙げられる。また、前記他の単量体としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)における、炭素数1〜5のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数6〜18のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同様の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0077】
アルキレンオキシド含有化合物〔化合物(C)〕の粘着剤組成物中における含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.5〜30.0質量部が好ましく、1.0〜20.0質量部がより好ましい。アルキレンオキシド含有化合物の含有量が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)に対して、30.0質量部以下であると、接着性及び耐久性に優れ、また0.5質量部以上であると、高温高湿下の透明性に優れる。
【0078】
−架橋剤(D)−
本発明の粘着剤組成物は、既述の(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)、及び化合物(C)と共に、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と反応して架橋構造を形成しうる官能基を(好ましくは2個以上、より好ましくは2〜5個)有する架橋剤を用いて好適に構成することができる。
【0079】
架橋剤(D)は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と反応して架橋構造を形成するものである限り、特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属塩、金属キレート化合物などを挙げることができる。これら架橋剤のうち、基材への密着性、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と配合した後の安定性等の観点から、ポリイソシアネート系化合物、ポリアジリジン化合物及び/又はポリエポキシ化合物が好ましい。これら架橋剤は、それぞれ一種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0080】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、該芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート;それらポリイソシアネートの2量体もしくは3量体、又はそれらポリイソシアネートとトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などの各種ポリイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネートの2量体もしくは3量体、又は、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体など、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0081】
前記ポリイソシアネート化合物として、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」等、住友バイエルウレタン(株)製の「スミジュールN75」、「デスモジュールN3400」等、旭化成工業(株)製の「デュラネートE−405−80T」、「デュラネートTSE−100」等、三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」等、などを好適に使用することができる。
【0082】
前記ポリアジリジン化合物としては、ポリイソシアネート化合物とエチレンイミンとの反応生成物が使用できる。ポリイソシアネート化合物としては、上記例示のものを用いることができる。また、トリメチロールプロパンやペンタエリトリトールなどのポリオールと(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸との多価エステルにエチレンイミンを付加させた化合物も知られており、架橋剤(D)として使用することができる。
【0083】
このようなポリアジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−アジリジンカルボアミド)、メチレンビス[N−(1−アジリジニルカルボニル)−4−アニリン]、テトラメチロールメタントリス(β−アジリジニルプロピオナト)、トリメチロールプロパントリス(β−アジリジニルプロピオナト)などを挙げることができる。また、上市されている市販品として、例えば、相互薬工(株)製の「TAZO」、「TAZM」等、(株)日本触媒製の「ケミタイトPZ−33」等、などを好適に使用することができる。
【0084】
前記のポリエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどを挙げることができる。
【0085】
これらのポリエポキシ化合物のうち、3つ以上のエポキシ基を含有するポリエポキシ化合物が好ましく、中でも、トリス(グリシジル)イソシアヌラト、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌラト、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのポリエポキシ化合物がさらに好ましく、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンが特に好ましい。
また、ポリエポキシ化合物として上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三菱瓦斯化学(株)製の「TETRAD−C」、「TETRAD−X」等、などを好適に使用することができる。
【0086】
架橋剤(D)の粘着剤組成物中における含有量としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、通常は0.001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜5質量部の範囲である。架橋剤の含有量が0.001質量部以上であると、凝集力不足などに伴う気泡の発生を抑えることができ、被着材料の表面の汚染性を回避することができる。また、架橋剤の含有量が10質量部以下であると、凹凸面、段差面に対する追従性及び被着材料への濡れ性を良好に維持することができる。
【0087】
特に、架橋剤(D)としてポリイソシアネート化合物を用いるときの使用量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、特には0.5〜2質量部の範囲であることが好ましい。
また、架橋剤(D)としてポリアジリジン化合物を用いるときの使用量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜0.1質量部が好ましく、特には0.001〜0.05質量部の範囲であることが好ましい。
さらに、架橋剤(D)としてポリエポキシ化合物を用いるときの使用量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.005〜0.3質量部が好ましく、特には0.01〜0.2質量部の範囲であることが好ましい。
架橋剤(D)の反応性官能基の種類により、アクリル共重合体の反応性官能基に対する好適使用量が定まる。
【0088】
また、架橋剤(D)は、2種以上を組み合わせて用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリアジリジン化合物、又は前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリエポキシ化合物を組み合わせてもよい。その場合、ポリイソシアネート化合物、ポリアジリジン化合物、及びポリエポキシ化合物は、それぞれ前記使用量の範囲において、適宜選択することができるが、好ましくは、いずれも有効成分重量比で、ポリイソシアネート化合物:ポリアジリジン化合物=1〜500:1、特には10〜300:1、又はポリイソシアネート化合物:ポリエポキシ化合物=1〜300:1、特には10〜100:1の範囲となるように用いるのがよい。
【0089】
本発明の粘着剤組成物には、以上述べた(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)、化合物(C)、及び架橋剤(D)の他に、必要に応じて、粘着剤組成物に通常配合される配合物、例えば、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤などを、必要特性を満足し得る範囲で適宜配合することができる。この場合の配合割合は、ヘイズ値を上昇させない範囲であることが好ましい。
【0090】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び/又は前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と前記架橋剤(D)との間で架橋構造が形成された後のゲル量が、40〜90質量%であることが好ましく、特に60〜80質量%であることが好ましい。粘着剤組成物中におけるゲル量が40質量%以上であると、凝集力不足が生じにくく、加工性に優れており、また該ゲル量が90質量%以下であると、凹凸面、段差面に対する追従性が高く、ポリカーボネート(PC)板に対する高温処理後の耐アウトガス性に優れる。
【0091】
[粘着剤組成物のゲル分の測定]
粘着剤組成物中における前記「ゲル量」は、下記(1)〜(7)に示す方法により測定されるものである。
(1)粘着剤組成物の溶液を剥離紙上に塗布し、室温で風乾30分後、100℃で5分間本乾燥し、フィルム状の感圧接着剤層を形成する。
(2)上記感圧接着剤層を23℃,相対湿度65%で10日間養生する。
(3)精秤したガラス棒(直径5mm×30mm)に、上記フィルム状の感圧接着剤層を約1g貼付し、デシケーター内で1時間乾燥させる。その後、精密天秤にて重量を正確に測定して試料を作成する。
(4)円筒濾紙(No.84)の中に上記(3)で得られた試料を入れる。
(5)100ml程度の溶剤(酢酸エチル)をソックスレー抽出器の精秤した200ml丸底フラスコに入れ、ソックスレー抽出を4時間実施する。
(6)冷却後、ロータリーエバポレーターにて丸底フラスコ内の溶剤(酢酸エチル)を揮発させた後、上記抽出分を含む丸底フラスコを100℃で3時間及びデシケーター内で1時間乾燥させる。その後、精密天秤にて重量を正確に測定する。
(7)下式によりゲル量を計算する。
ゲル量[質量%] = 100−[(A−B)/(C−D)]×100
〔但し、Aは抽出後の丸底フラスコの重量(g)を、Bは丸底フラスコの重量(g)を、Cは試料の重量(g)を、Dはガラス棒の重量(g)を示す。〕
【0092】
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、既述の本発明の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層を設けて構成されたものである。本発明の粘着剤組成物を用いるので、高温高湿環境など水分量の多い環境下に曝されても、白化現象が生じにくく、透明性に優れ、また被着材料との接着性に優れる。
【0093】
本発明の粘着シートの例として、粘着剤組成物を塗布等して架橋剤により架橋されることで形成された粘着剤組成物層の架橋体からなる粘着剤層を有する両面粘着テープなどが挙げられる。この両面粘着テープは、前記粘着剤組成物が架橋剤を含み、これを粘着剤溶液として剥離紙上に塗工し、乾燥、架橋させることによって作製することができる。
【0094】
前記両面粘着テープは、基材(例えば透明基材)の両面に粘着剤層が設けられたタイプ(有基材タイプ)と、基材を設けていないタイプ(無基材タイプ)のいずれであってもよい。
「有基材タイプ」の両面粘着テープは、基材の一方の面に粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を塗布等して乾燥し、他方の面にさらに粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を塗布等して乾燥する方法や、剥離ライナー(剥離シート)上に透明な粘着剤層を粘着剤組成物により形成し、この粘着剤層を基材(例えば透明基材)に転写する方法などにより作製することができる。
【0095】
透明基材等の基材の厚さは、特に限定されないが、耐久性の点から5〜100μm程度の範囲が好ましい。
【0096】
粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、基材上の凹凸、段差に対する追従性の点から、50〜175μm程度の範囲が好ましい。
【0097】
両面粘着テープ等の粘着シートは、透明であることが好ましく、例えば可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361)が85%以上、好ましくは90%以上であるのが望ましい。
【0098】
また、粘着シートのヘイズ(JIS K 7136)は、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下である。
【0099】
基材や剥離シートに粘着剤組成物を塗布する場合、塗布方法としては、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いた通常の方法により行なうことができる。
【0100】
粘着シートとして、架橋剤を含む本発明の粘着剤組成物を架橋反応させて形成した架橋体は、その透明性、耐久性、段差追随性の点から、シート状の光学部材等を有する光学用積層シートに適用することができる。
具体的には、シート状の基材の少なくとも片面に本発明の粘着剤組成物の架橋体からなる層(粘着剤層)を設けたシート等である。シート状の基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどのポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、酢酸セルロース系フィルムなどのプラスチックフィルム、又はこれらを含む積層シートなどが挙げられる。
【0101】
シート状の基材の厚さとしては、特に制限はないが、通常は20〜150μm程度であり、その用途に応じて適当なものが選定される。この場合、基材上の粘着剤層の上に、必要に応じて更に剥離シートが設けられてもよい。剥離シートが設けられることで、粘着剤層の表面が保護される。
【0102】
前記剥離シートとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素化合物等を用いて表面に離型処理が施された樹脂フィルム(例えばPET等のポリエステルフィルム)などを用いることができる。
【0103】
<光学用積層シート>
本発明の光学用積層シートは、シート状の光学部材と、前記光学部材の少なくとも一方の側に設けられ、既述した本発明の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層とを設けて構成されたものである。本発明の光学用積層シートは、本発明の粘着剤組成物が用いられるので、使用環境に関わらず、長期に亘る耐久性に優れる。
【0104】
本発明の光学用積層シートの実施形態の一例を図2に示す。図2は、本発明の光学用積層シートの一例としてタッチパネルの構成例を示す概略断面図である。
このタッチパネルは、図2に示すように、ガラス板27及び該ガラス板上に蒸着されたITO層23を有するシート状の光学材と、保護材となるカバーフィルム25と、光学材及びカバーフィルム25の間を接着する粘着剤層21とを重層した構成となっている。
【0105】
本発明の光学用積層シートとしては、特に制限はないが、例えば、偏光板をはじめ、位相差板、反射防止板、視野角拡大フィルム等が挙げられる。これらのうち、本発明の粘着剤組成物が架橋体としたときの凹凸や段差に対する追随性に優れる点から、特に表面に凹凸や段差のある構造面を有しているものにより好適に用いることができる。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0107】
[評価方法]
以下に示す各実施例で作製した試験用シートについて、下記方法により測定、評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
【0108】
−1.接着力−
(1)試験用シートの作製
片面に離型処理が施されているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムP(厚さ:75μm)の離型処理面に、以下の各実施例で調製した粘着剤溶液を、乾燥後の厚さが約50μmとなるように流延塗布し、100℃で2分間加熱乾燥させて粘着剤層を形成した。PETフィルムPとは別に、片面に離型処理が施されている(軽剥離性の)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムQ(厚さ:38μm)を用意し、PETフィルムPの粘着材層の表面に、PETフィルムQをその離型処理面が接触するように重ねて加圧ニップロ−ルを通して圧着し、貼り合わせた。その後、温度23℃、相対湿度50%の条件下で7日間養生を行なうことで、図1に示すように、粘着剤層の両面にそれぞれ離型処理を介してPETフィルムを有する両面粘着シートを得た。この両面粘着シートは、離型処理を介して設けられている2枚のPETフィルムを剥がすことで、基材のない粘着材層自体からなる粘着シートである。
得られた両面粘着シートの一方に設けられている厚さ38μmのPETフィルムQを剥離し、露出した粘着剤層の表面に接するように、離型処理が施されていない厚さ100μmのPETフィルムR〔商品名:A4100、東洋紡績(株)製〕を重ね、加圧ニップロ−ルを通して圧着し、貼り合わせることで試験用シートを作製した。
【0109】
(2)測定
前記(1)において作製した試験用シートを25mm×150mmにカットしてサンプル片とし、得られたサンプル片の厚さ75μmのPETフィルムPを剥離し、露出した粘着剤層の表面を厚さ2mmのガラス板に、卓上ラミネート機を用いて圧着し、試験サンプルとした。得られた試験サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、卓上型材料試験機STA−1225((株)オリエンテック製)によりPETフィルムRの一端を180゜の方向に引っ張り、180゜剥離における接着力(剥離速度:300mm/min)を測定した。評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
<評価基準>
○:接着力は15N/25mm以上であった。
△:接着力は10N/25mm以上15N/25mm未満であった。
×:接着力は10N/25mm未満であった。
【0110】
−2.ヘイズ(HAZE;湿熱環境試験後の白化評価)−
前記(1)において作製した試験用シートを80mm×75mmにカットしてサンプル片とし、得られたサンプル片の厚さ75μmのPETフィルムPを剥離し、露出した粘着剤層の表面を厚さ100μmのPETフィルム〔商品名:A4100、東洋紡績(株)製〕に、卓上ラミネート機を用いて圧着し、試験サンプルとした。得られた試験サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、さらに60℃、95%RHの条件下で1ヶ月間放置することにより耐久性試験を行なった。この耐久性試験直後の粘着剤層の白度を下記の評価基準にしたがって目視にて確認した。
<評価基準>
○:粘着剤層の白化は認められなかった。
△:粘着層に若干の白化がみられた。
×:粘着剤層に白化が生じた。
【0111】
−3.ゲル比率−
以下の各実施例で調製した粘着剤溶液の各々について、下記(1)〜(6)に示す操作を行ない、下記式からゲル量を算出した。尚、下記式において、Aは抽出後の丸底フラスコの重量(g)を、Bは丸底フラスコの重量(g)を、Cは試料の重量(g)を、Dはガラス棒の重量(g)を示す。
ゲル量[質量%] = 100−[(A−B)/(C−D)]×100
<操作>
(1)粘着剤溶液をPET100μmフィルムセパレーター(剥離紙)上に塗布し、室温で30分間風乾した後、100℃で5分間本乾燥させ、フィルム状の感圧接着剤層を形成した。
(2)得られた感圧接着剤層を23℃、相対湿度65%の条件にて10日間養生した。
(3)精秤したガラス棒(直径5mm×30mm)に、フィルム状の前記感圧接着剤層を約1g貼付し、デシケーター内で1時間乾燥させた。その後、精密天秤にて重量を正確に測定して試料とした。
(4)円筒濾紙(No.84)の中に、上記(3)で得られた試料を入れた。
(5)100ml程度の酢酸エチル(溶剤)をソックスレー抽出器の精秤した200ml丸底フラスコに入れ、ソックスレー抽出を4時間実施した。
(6)冷却後、ロータリーエバポレーターにて丸底フラスコ内の酢酸エチル(溶剤)を揮発させた後、上記抽出分を含む丸底フラスコを100℃で3時間及びデシケーター内で1時間乾燥させた。その後、精密天秤にて重量を正確に測定した。得られた重量をもとに、前記式からゲル量を計算した。
【0112】
[材料の準備]
<アクリル系ポリマーの製造>
(製造例1−1):アクリル系ポリマー(A−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に、n−ブチルアクリレ−ト(BA)86.0部、メチルアクリレート(MA)10.0部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)4.0部の33%量(質量基準)、酢酸エチル230部、及び開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.08部を加えて加熱し、還流温度で25分間、重合を行なった。次いで、還流温度条件下で2HEAの残量67質量%を100分間かけて滴下すると共に、酢酸エチル67部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.16部を210分間かけて逐次滴下し、重合反応を行なった。
反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分約35質量%、重量平均分子量(MwA):54万、ガラス転移点(TgA):−47℃、溶解性パラメーター(SPA):20.5(J/cm1/2のアクリル系ポリマー(A−1)の溶液を得た。
【0113】
(製造例1−2):アクリル系ポリマー(A−2)の製造
製造例1−1において、n−ブチルアクリレ−ト(BA)86.0部及びメチルアクリレート(MA)10.0部を、イソオクチルアクリレート(iOA)99.5部に変更すると共に、2HEAの量を4.0部から0.5部に変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして、アクリル系ポリマー(A−2)の溶液を得た。
【0114】
(製造例1−3):アクリル系ポリマー(A−3)の製造
製造例1−1において、n−ブチルアクリレ−ト(BA)86.0部、メチルアクリレート(MA)10.0部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)4.0部を、n−ブチルアクリレ−ト(BA)80.0部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)20.0部に変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして、アクリル系ポリマー(A−3)の溶液を得た。
【0115】
上記で得られたアクリル系ポリマー(A−1)〜(A−3)の単量体組成、及びTgA、MwA、SPAの値を下記表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
<アクリル系オリゴマーの製造>
(製造例2−1):アクリル系オリゴマー(B−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に、トルエン25部、メチルエチルケトン(MEK)25部を加えて加熱し、還流温度で10分重合を行なった。次いで、還流温度条件下でt−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部、メチルアクリレート(MA)30.0部、2−ヒドロキシメチルアクリレート(2HEMA)4.0部、トルエン10部、メチルエチルケトン(MEK)10部、及び開始剤としてジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)〔商品名:V−601、和光純薬工業(株)製〕13.3部を180分間かけて逐次滴下し、更に230分間、重合反応を行なった。反応終了後、固形分:約60質量%、重量平均分子量(MwB):4800、ガラス転移点(TgB):55℃、溶解性パラメーター(SPB):20.2(J/cm1/2のアクリル系オリゴマー(B−1)の溶液を得た。
【0118】
(製造例2−2):アクリル系オリゴマー(B−2)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、i−ブチルメタクリレート(iBMA)99.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から1.0部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−2)の溶液を得た。
【0119】
(製造例2−3):アクリル系オリゴマー(B−3)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)98.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から2.0部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−3)の溶液を得た。
【0120】
(製造例2−4):アクリル系オリゴマー(B−4)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、t−ブチルメタクリレート(tBMA)90.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から10.0部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−4)の溶液を得た。
【0121】
(製造例2−5):アクリル系オリゴマー(B−5)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)を66.0部から40.0部に変更し、メチルアクリレート(MA)を30.0部から56.0部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−5)の溶液を得た。
【0122】
(製造例2−6):アクリル系オリゴマー(B−6)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、t−ブチルメタクリレート(tBMA)98.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から2.0部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−6)の溶液を得た。
【0123】
(製造例2−7):アクリル系オリゴマー(B−7)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、t−ブチルメタクリレート(tBMA)99.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から1.0部に変更し、更にジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)(開始剤)の量を13.3部から3.3部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−7)の溶液を得た。
【0124】
(製造例2−8):アクリル系オリゴマー(B−8)の製造
製造例2−1において、t−ブチルメタクリレート(tBMA)66.0部及びメチルアクリレート(MA)30.0部を、t−ブチルメタクリレート(tBMA)99.0部に変更すると共に、2HEMAの量を4.0部から1.0部に変更し、更にジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)(開始剤)の量を13.3部から33.3部に変更したこと以外は、製造例2−1と同様にして、アクリル系オリゴマー(B−8)の溶液を得た。
【0125】
上記で得られたアクリル系オリゴマー(B−1)〜(B−8)の単量体組成、及びTgB、MwB、SPBの値を下記表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
(実施例1)
−粘着剤溶液の調製−
以下の手順にしたがって、粘着剤溶液(粘着剤組成物)を調製した。
アクリル系ポリマーである上記アクリル系ポリマー(A−1)の溶液100部(固形分)と、上記アクリル系オリゴマー(B−1)の溶液10部(固形分)と、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル(商品名:SR−8EG、阪本薬品工業製;化合物(C))5.0部(固形分)と、イソシアネート系架橋剤(商品名:スミジュールN75、スミトモバイエルウレタン社製;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系架橋剤)0.15部(固形分)と、促進剤(商品名:アデカスタブOT−1、ADEKA社製;ジオクチルチンジラウレート(DOTDL))0.003部(固形分)とを混合し、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液のゲル分は、66質量%であった。
【0128】
この粘着剤溶液を用いて、上記「1.接着力」の評価と同様の方法で試験用シートを作製し、この試験用シートを用いて測定、評価を行なった。
【0129】
−タッチパネルの作製−
次に、支持基材としてガラス板を用意し、この一方の表面に蒸着によりITO層を形成した。上記の「1.接着力」の評価で作製した両面粘着シートの作製方法と同様にして、図1に示すように、粘着剤層11の一方の側に厚さ38μmのPETフィルム15を、他方の側に厚さ75μmのPETフィルム13を有する両面粘着シートを作製した。なお、粘着剤層は、各PETフィルムに施された離型処理で形成された離型層17を介して接着され、離型層17とPETフィルム13,15との間で容易に剥離することができ、PETフィルム15はこれより厚い75μm厚のPETフィルム13より更に容易に剥離可能(軽剥離)なようになっている。
得られた両面粘着シートを用い、両面粘着シートの一方に設けられている厚さ38μmのPETフィルム15を剥離し、露出した粘着剤層11の表面に接するように、カバーフィルムとして離型処理が施されていない厚さ100μmのPETフィルム〔商品名:A4100、東洋紡績(株)製〕を重ねて加圧ニップロ−ルを通して圧着し、貼り合わせた。このようにして、カバーシート(不図示)を作製した。
このカバーシートから厚さ75μmのPETフィルム13を剥離し、露出した粘着剤層11の表面を、ITO層が形成されたガラス板のITO層表面に加熱圧着し、貼り合わせた。
以上のようにして、図2に示すように、ガラス板27に蒸着されたITO層23の表面に、粘着剤層21を介してカバーフィルム25を保護材として含むカバーシート30が重層された構造のタッチパネルを作製した。
【0130】
(実施例2〜10、比較例1〜6)
実施例1において、アクリル系ポリマー(A)の溶液、アクリル系オリゴマー(B)の溶液、化合物(C)、架橋剤(D)、及び促進剤の種類や量を下記表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤溶液を調製した。得られた各粘着剤溶液のゲル分は、表3に併せて示す。また、実施例1と同様にして、各実施例等で調製した粘着剤溶液を用いて、両面粘着シートを作製すると共に、タッチパネルを作製した。
【0131】
なお、下記表3中の比較例2〜3の化合物(C)の欄に記載のPME−400(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート;日油社製)、PDE−400(ポリエチレングリコールジメタクリレート;日油社製)は、本発明における化合物(C)に含まれる化合物ではない。これらPME−400、PDE−400は、アルキレンオキシド鎖を有するが、エポキシ基及びイソシアネート基を有しない化合物である。
【0132】
【表3】



【0133】
前記表3に示すように、実施例では、粘着剤層の白化現象が改善され、また粘着剤層におけるブリードアウトもみられず、ガラスに対して良好な接着性を示した。これに対し、比較例では、白化現象を防ぎながら、接着性をも両立することは困難であった。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、液晶表示装置等の表示装置などの光学部材やタッチパネルなどに用いられる部材の接着用途に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含む(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来の構成単位と水酸基を有する単量体に由来の構成単位とを含み、重量平均分子量(Mw)が2500以上10000以下である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、
エポキシ基及びイソシアネート基の少なくとも一方とアルキレンオキシド鎖とを有する化合物(C)と、
を含有する粘着剤組成物。
【請求項2】
前記化合物(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記化合物(C)は、炭素数2〜3のアルキレンオキシド鎖の単位数(n)が1〜23であるポリアルキレングリコール(モノ又はジ)グリシジルエーテルである請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の少なくとも一方の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体におけるアルキル部位の炭素数が2〜8である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の少なくとも一方の、前記水酸基を有する単量体は、アルキル部位の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層を有する粘着シート。
【請求項7】
シート状の光学部材と、
前記光学部材の少なくとも一方の側に設けられ、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成された架橋構造を含む粘着剤層と、
を有する光学用積層シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18871(P2013−18871A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153151(P2011−153151)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】